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サラリーマンができる節税の裏ワザ|副業・会社設立での節税についても解説

最終更新日: 2022年12月27日

サラリーマンとして生計を立てていくうえで避けては通れないのが税金の問題です。「家計のために少しでも税金を安くしたい」という方も多いのではないでしょうか。

サラリーマンは個人事業主のように経費計上での節税はできませんが、各種控除制度を活用したりiDeCo・NISAに加入したりすれば安全に節税対策が可能です。

本記事ではサラリーマンが仕事をしながら安心して行える節税方法や注意点を紹介していきます。

この記事を監修した税理士

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

 

控除制度を活用したサラリーマンの節税方法【ふるさと納税・医療費控除等】

控除制度を利用した節税方法
ふるさと納税で節税対策!

控除制度を最大限活用すれば所得金額を減らすことができ、税負担が軽減するのでサラリーマンの節税に効果バツグンです。

日本の所得税では総所得金額が増えるほど税率が上がる累進課税制度が採用されています。つまり、所得金額を抑えれば納税額も抑えられるということです。

控除制度 控除額
ふるさと納税 納税額-2,000円
特定支出控除 経費として認められた額
医療費控除・セルフメディケーション税制 医療費の10万円を超えた部分
配偶者控除 13万円~38万円
生命保険料控除 ~50,000円
地震保険料控除 ~50,000円
住宅ローン控除 住宅ローン残高の1%
雑損控除
  1. 差引損失額-総所得金額×10%
  2. 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

1.2.のいずれか大きい額

ふるさと納税

ふるさと納税は自身が希望する自治体に寄附を行い、その金額に応じた寄附金控除と返礼品を受け取れる制度です。

寄附であるため、希望する人であれば誰でも行うことができます。納税額から2,000円を引いた額が控除額となります。

ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税による控除を受けるために本来必要な確定申告を行うことなく控除を受けられる制度です。

  • 寄附金控除以外の目的で確定申告の必要がない
  • 年間で寄附した自治体が5つ以内

以上の条件を満たしていれば利用できるので、当てはまる場合にはワンストップ特例制度を利用して、より少ない手間でふるさと納税による控除を受けましょう。

関連記事:ふるさと納税は節税になる?優遇措置を丁寧に解説!|ミツモア

特定支出控除

特定支出控除
書籍代が控除されることも!

特定支出控除はサラリーマンをはじめとした給与所得者が特定の場合に限り、経費計上による控除を行える制度です。

例えば職務のために購入したスーツなどが控除の対象となります。これら費用の合計が給与所得控除額の半分を上回ることが条件です。

【特定支出控除として認められる費用例】

  • 通勤費
  • 職務上の旅費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 図書費
  • 衣服費
  • 交際費
関連記事:給与所得者の特定支出控除とは?必要な条件と計算方法をわかりやすく説明|ミツモア

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は年間でかかった医療費が一定額を超える場合に適用される所得控除です。

医療費控除を受けるには、サラリーマンでも確定申告が必要になります。

【医療費控除の計算方法】

{医療費-保険金の補填額}-10万円

【医療費控除の適用条件】

  • 年間の医療費が10万円を超えている
  • (年間の総所得金額が200万円に満たない場合)年間の医療費が総所得金額の5%を超えている

これらの条件の金額には自身の医療費だけでなく、配偶者をはじめとした家族の医療費や通院に必要とした交通費なども含まれるので、これらも忘れずに合算しましょう。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として存在する制度です。

特定の医薬品の購入額が12,000円以上の場合に適用される制度となっています。

医療費控除と併用ができないので、どちらか控除額が多い制度を選ぶようにしましょう。

関連記事:確定申告の医療費控除|必要書類や還付金がいくら戻るのか解説|ミツモア

配偶者控除

配偶者控除は配偶者の所得が一定の額より少ない場合に納税者の所得が控除できる制度です。

【適用条件】

  • 配偶者の総所得金額が48万円以下
  • (所得が給与所得のみの場合)所得103万円以下

【配偶者控除額】

控除を受ける本人の総所得額 控除額
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円
参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

ただし、総所得金額が1000万円以上の場合は本控除を受けられない点に注意しましょう。

関連記事:確定申告で配偶者控除を受けるには|計算方法や書き方、必要書類をわかりやすく解説|ミツモア

生命保険料控除

生命保険料控除は命保険をはじめとした医療保険に加入している場合に適用できる所得控除です。

【生命保険料控除額】

  • 新契約(平成24年1月1日以降の契約)
年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円
  • 旧契約(平成23年12月31日以前の契約)
年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円
参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

控除額は契約した時期によって新契約と旧契約に分けられ、控除額も異なるため注意が必要です。

地震保険料控除

地震保険料を支払っている場合、その保険料に応じた控除が受けられます。

【地震保険料控除額】

保険料支払い額 地震保険料控除額
50,000円以下 保険料支払い額の全額
50,000円を超えている 一律50,000円

住宅ローン控除

住宅ローン控除は10年以上のローンを組んで住宅を購入した際に適用できる控除です。年末ローン残高の1%が控除額となります。

【適用条件】

  • 新築又は取得の日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引続き住んでいること
  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1が専ら居住の用に供すること
  • ローン返済期間が10年以上であること
  • 長期譲渡所得の課税特例を受けていないこと

サラリーマンの場合には初年度のみ確定申告が必要になり、翌年以降は会社の年末調整で対応してもらえる点も押さえておきましょう。

以下の記事で住宅ローン控除の適用条件や申告の手続きを詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。

関連記事:【税理士監修】住宅ローン控除を利用して所得税を減らす?適用条件から注意点まで|ミツモア
関連記事:住宅ローン控除を受けるための必要書類|初年度と2年目以降の手続き方法も解説|ミツモア

雑損控除

雑損控除

雑損控除は自然災害や盗難・横領などによる被害を受けた場合に適用できる控除です。

以下の2つの額のうち大きい方が控除額として適用されます。

  1. 差引損失額-総所得金額等×10%
  2. 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

「総所得金額300万円、差引損失額が100万円(うち30万円が災害関連支出)の場合」を見てみましょう。

※差引損失額→(損害金額)+(災害等に関連した支出)−(保険金などによる補填額)

①差引損失額が総所得金額の10%を超えている額 ②災害に関連した支出から5万円を差し引いた額
100万円-300万円×10%=70万円 30万円-5万円=25万円

この場合、より高い①の70万円が雑損控除額となります。

災害減免法

災害減免法は、災害で大きな被害を被った際に所得税そのものを免除してもらえる制度です。

雑損控除の適用を受けておらず、災害によって受けた損害額が住宅等の価額の2分の1以上の場合に適用できます。

【災害減免法による減免額】

その年の所得金額 減免額
500万円以下 全額
500万円を超750万円以下 2分の1
750万円を超1,000万円以下 4分の1

所得金額が1,000万円を超える場合は災害減免法による免除の対象外になります。

雑損控除、災害減免法に関しては以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:雑損控除とは|確定申告の流れ、必要書類、控除額について解説|ミツモア

iDeCo・NISAでのサラリーマンの節税方法

iDeCo・NISAでのサラリーマンの節税方法

サラリーマンでもできる節税対策の方法として頻繁に名前が挙がるのがiDeCo」「NISA」です。

iDeCoは任意加入の年金で、掛金が控除の対象になったり運用益が非課税になったりと節税効果が大きく期待できます。

一方、NISAはダイレクトに節税につながりにくいですが、資産運用を非課税でできる点が大きな魅力です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは公的年金とは別に運用を行って60歳以降に受け取ることができる、高い節税効果が魅力の私的年金制度です。

掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税額や住民税額の節税につながることが魅力といえるでしょう。

国民年金や厚生年金とは異なり任意で加入できる年金で、20歳以上60歳未満の方であれば誰でも加入できます。

運用益も全て非課税となっているため、利息や配当を受け取る際にも税を払うことなく運用できます。

受け取りは年金もしくは一時金で受け取ることになっており、受け取りの際にもお得な所得控除が用意されているのでおすすめの節税ワザです。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは定められた投資金額までの運用で発生した利益を非課税とすることができる制度です。

現在の節税に直接つながるわけではないですが、向こう数年や老後の資産管理を非課税で行える点に強みがあります。

【3種類のNISA】

年間投資金上限額 非課税期間
一般NISA 120万円 5年
つみたてNISA 40万円 20年
ジュニアNISA 80万円 5年

なお、NISAとつみたてNISAの口座開設は各種金融機関で行えますので、興味のある方はぜひ活用してみてください。

【副業するサラリーマン】個人事業主になれば節税できる

副業サラリーマン 個人事業主になれば節税効果大

副業するサラリーマンは個人事業主になれば必要経費を計上でき、その分所得が減るので税負担が軽減します。

個人事業主になるには税務署に開業届を提出するだけでよいので、メリット・デメリットを正しく知ったうえで検討してみましょう。

個人事業主になれば経費計上ができる

個人事業主は事業に必要とした費用を必要経費として計上できます。

個人事業主の必要経費による控除はサラリーマンの給与所得控除にあたるので、経費にできるようにもれなく計上しましょう。

【経費にできるものの例】

  • 地代家賃
  • 減価償却費
  • 給与
  • 通信費
  • 旅費交通費
  • 広告宣伝費
  • 水道光熱費
  • 荷造運賃
  • 接待交際費
  • 外注工賃
  • 消耗品費
  • 損害保険料
  • 福利厚生費
  • 修繕費
  • 貸倒損失
  • 租税公課
  • 利子割引料
  • 雑費
関連記事:個人事業主の経費はいくらまで?上限や割合を解説!|ミツモア

個人事業主のデメリット

経費計上ができるのは個人事業主の大きなメリットですが、会社に副業がバレたり本業に支障をきたしたりするデメリットもあります。

個人事業主として事業を行う場合、会社に書類が送付される、住民税の金額が年度によって大きく変わっていることなどから、副業が会社にばれる可能性があります。

副業OKの会社であれば問題ないですが、副業禁止の会社の場合には個人事業主として節税をすることは難しいでしょう。

また、専業の個人事業主と比較して副業で個人事業主となる場合には時間が限られてきます。体力的、精神的にもハードになることが多いでしょう。

会社で副業が認められていても、本業に支障をきたしてしまえば最悪の場合、副業の禁止という事態にもなりかねません。

個人事業主として事業を行う場合には本業である会社員とのバランスを大切にしましょう。

関連記事:個人事業主のメリット・デメリットとは?会社員や法人との違いをそれぞれ解説|ミツモア
関連記事:【税理士監修】会社員でも副業で個人事業主になれる!会社にバレない方法、メリットを解説|ミツモア

個人事業主になるには「開業届」を税務署に提出する

サラリーマンが個人事業主となるには、所轄の税務署へ開業届を出すだけでOKです。

税務署への開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に提出するようにしましょう。

開業届をする際に、税務署の職員に「青色申告は申請しますか?」と聞かれます。

青色申告をする場合は開業から2ヶ月以内か、申告する事業年度3月15日までに申請する必要があります。

関連記事:開業届提出のメリットとデメリット 嬉しい恩恵から意外な落とし穴まで徹底解説!|ミツモア
関連記事:【お悩み解決】青色申告が必要なサラリーマンは?副業の確定申告の条件|ミツモア

【株取引で損した場合】サラリーマンの節税ワザ

【株取引で損した場合】サラリーマンの節税ワザ
株で損したら損益通算できる!

株式などの取引で発生した損失は、その年の配当所得で得た利益と相殺することで税負担を軽減できます。これを、損益通算といいます。

また、多額の損失を生んでしまい、その年で控除しきれないほどの損失の場合には、向こう3年間の配当所得から控除を行う繰越控除も可能です。

損益通算、繰越控除を利用して節税を行う場合にはどちらも確定申告が必要になります。

もし損失が生じた年に確定申告を行っていなくても、5年前までの損失であればさかのぼって確定申告を行えます。

関連記事:損失を出したら節税できる⁉株の確定申告が不要・必要な場合を徹底解説|ミツモア

サラリーマンの会社設立が節税につながることも

サラリーマンの会社設立が節税につながることも

個人事業主より法人の方が経費の幅がひろがるなど。会社設立による法人化も節税につながります。

ただし、個人事業主の場合と比べて開始までの手間や費用は高くなるため、法人化する必要があるかは慎重に検討しましょう。

法人になるメリット

メリット
  • 給与所得控除が適用される
  • 社会的信用度が向上する
  • 経費計上の幅が広がる
デメリット
  • 事務負担が増加する
  • 赤字でも税金を払わなければならない

法人は認可を受けた証明でもあるので社会的な信用につながり、資金調達もしやすくなります。

しかし会社を運営しなければならない分、各種事務負担の増加は避けられません。

設立時はもちろん、運営していくうえで税務や社会保険などの手続きに多くの時間が必要でしょう。

法人化のメリット・デメリットをきちんと把握したうえで会社設立を検討してみてください。

関連記事:個人事業主の法人化のメリットは?所得の分岐点と節税効果|ミツモア
関連記事:サラリーマンの会社設立|勤務先にばれない方法、設立の手続きを解説|ミツモア

会社設立の費用

法人化して会社を設立する際に合同会社は最低6万円、株式会社だと20万円ほどを想定する必要があります。

これらの初期費用を考慮すると、事業でこれらの費用をペイできる見込みがたってから法人化すべきといえるでしょう。

関連記事:1円起業とは?開業方法や必要な費用、デメリットを解説!|ミツモア

不動産投資が節税につながるケース【投資のリスクには要注意】

不動産投資が節税になるケース

不動産投資でも節税を行うことができます。

ただし不動産投資による節税は、年収が1200万円を超えるような高所得者で、高い税率で課税を受ける方に特におすすめといえるでしょう。

不動産投資で不利益を被るリスクを把握したうえで、着手するかをよく検討しましょう。

損益通算によって給与所得と相殺できる

不動産所得が赤字になった場合には、損益通算を行うことで給与所得と相殺できます。

「赤字を発生させてしまっては節税よりも損をしてしまうのでは?」という疑問が生じるかと思いますが、以下の減価償却を利用することで実際には出費をすることなく税務上の赤字を発生させられます。

不動産所得は減価償却費の計上ができる

減価償却とは建物をはじめとした複数年使用を前提としたものにかかった費用を複数年にわたって費用として計上できる制度です。

例えば、4000万円の建物を20年に分けて減価償却を行うと仮定します。

この場合、1年につき「4000万円÷20年=200万円」が費用として計上されます。

その年の家賃収入による利益が100万円だった場合、その年の不動産所得は「100万円-200万円=100万円」です。

つまり、毎年100万円分を費用として計上することで税金を抑えられるのです。

青色申告特別控除が受けられる

不動産所得は青色申告を利用することで特別な控除を受けられます。

簡易帳簿で申告を行った場合は10万円の控除複式簿記で申告を行った場合には65万円の控除を受けることができます。

青色申告に関する詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

関連記事:青色申告特別控除とは?控除額65万円と55万円、10万円の条件をそれぞれ解説|ミツモア

税金をクレジットカードで払えばポイントが貯まってお得になる!

税金をクレジットカードで払うとお得に!
クレジットカードで支払うとポイントが貯まる!

クレジットカードで税金の支払いをするメリットは、納税することで同時にクレジットカードのポイントも貯めることができる点です。

平成28年度の税制改正により、税金の支払いをクレジットカードで行えるようになりました。

これ以前にも住民税の支払いに関しては、クレジットカードで税金の支払いが行えた自治体はありましたが、税制改正により所得税にも適用されるようになったのです。

納税額が多ければ多いほどポイントも多く貯めることができるため、カードの種類によっては、ポイントで年会費を捻出できる場合もあります。

関連記事:所得税をクレジットカード納税する方法【メリット&デメリット】|ミツモア

サラリーマンの節税対策で気を付けるべきポイント

サラリーマンの節税で気を付けるべきポイント
確定申告をしないと受けられない控除もあるので忘れずに申告しよう!

サラリーマンが節税対策をする際は次の3点に気を付けて行いましょう。

  • 確定申告を忘れずに行う
  • ムリな節税をしない
  • 節税のための無駄な出費は抑える

確定申告を忘れずに行う

節税を行う際には、確定申告を忘れずに行いましょう。サラリーマンは普段確定申告を行う機会が少ないため、特に注意が必要です。

控除によっては確定申告をしないと適用されない控除も存在します。

控除の条件を満たしているのに控除を受けられない、という事態を防ぐためにも控除の適用条件はしっかりチェックし、確定申告が必要か否か確認しましょう。

ムリな節税はペナルティにつながる可能性もある

法に触れるような行き過ぎた節税は、脱税行為とみなされる可能性があります

脱税行為と認められた場合、より多くの納税を要求される重加算税が課されるうえ、悪質な場合には懲役刑となる場合もあります。

特に、副業における経費を必要以上に計上して本業の所得と相殺する「赤字副業」には注意が必要です。

本来経費とはいえないものを計上するなど、脱税行為と認められるような事案も多数発生しているため、税務署も厳しくチェックを行っています。

このようなリスキーな節税は行わず、自身ができる範囲で疑念を生まないような節税を行いましょう。

節税するための出費が増えすぎないよう注意する

節税のために出費を増やし過ぎては本末転倒です。

住宅ローン控除の恩恵をより大きくするために予定より高い住宅を購入する、ふるさと納税を必要以上に行うなど、本来の目的から逸脱しないよう注意しましょう。

節税シミュレーション【サラリーマンのみ・副業サラリーマン】

alt="節税のシミュレーション"
どれくらい節税効果があるのかシミュレーションしてみよう! (画像提供:PIXTA)

ここまでサラリーマンでもできる節税や、個人事業主ができる節税などについてお伝えしてきました。

では実際に様々な控除を活用して節税を行った場合、どれくらいの節税効果があるのかシミュレーションしてみましょう。

年収600万円サラリーマンの場合(副業なし)

【控除項目】

給与所得控除 1,640,000円
基礎控除 480,000円
扶養控除 380,000円(1人)
配偶者控除 380,000円
生命保険料控除 40,000円(新契約、年80,000円支払い)
社会保険料控除 1,200,000円(仮定)
寄付金控除(ふるさと納税) 8,000円(10,000円のふるさと納税を行ったと仮定)
iDeCo 276,000円(月額23,000円拠出)
医療費控除 100,000円(年間医療費200,000円と仮定)
住宅ローン控除 400,000円(40,000,000円の借入れ、新築)

①給与所得控除後の金額
6,000,000-1,640,000円=4,360,000円

②所得控除の金額
480,000円(基礎控除)+380,000円(扶養控除)+380,000円(配偶者控除)+40,000円(生命保険料控除)+1,200,000円(社会保険料控除)+8,000円(寄付金控除)+276,000円(iDeCo)+100,000円(医療費控除)+400,000円(住宅ローン控除)=3,174,000円

③課税所得の金額
4,360,000円-3,174,000円=1,096,000円

④所得税額
1,096,000円×5%=54,800円

年収550万円副業サラリーマンの場合

※前提条件:副業年収50万円

【控除項目】

給与所得控除 1,640,000円
青色申告特別控除 650,000円
基礎控除 480,000円
扶養控除 380,000円(1人)
配偶者控除 380,000円
生命保険料控除 40,000円(新契約、年80,000円支払い)
社会保険料控除 1,000,000円(仮定)
寄付金控除(ふるさと納税) 8,000円(10,000円のふるさと納税を行ったと仮定)
iDeCo iDeCo276,000円(月額23,000円拠出)
医療費控除 100,000円(年間医療費200,000円と仮定)
住宅ローン控除 400,000円(40,000,000円の借入れ、新築)

①給与所得控除後の金額
5,500,000-1,640,000円=3,860,000円

②副業の所得(経費200,000円と仮定)との合計
3,860,000円+300,000円=4,160,000円

③所得控除の金額
650,000円(青色申告特別控除)+480,000円(基礎控除)+380,000円(扶養控除)+380,000円(配偶者控除)+40,000円(生命保険料控除)+1,200,000円(社会保険料控除)+8,000円(寄付金控除)+276,000円(iDeCo)+100,000円(医療費控除)+400,000円(住宅ローン控除)=3,914,000円

④課税所得の金額
4,160,000円-3,914,000円=246,000円

⑤所得税額
246,000円×5%=12,300円

年収600万円のサラリーマンを想定した上記のシミュレーションでは、副業サラリーマンの方が42,500円ほど節税効果が高いと言えます。

節税効果を最大限に活かすには上記で述べた通り、副業での経費をどれだけ計上できるかが鍵となるのです。

監修税理士のコメント

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

以上、サラリーマンの節税・副業について解説しました。サラリーマンの節税は上記のとおりですが、限界があるのも事実です。起業が副業を認めていることも少なくなく、不動産投資や事業を行うことで節税をしている方も年々増えています。無知の知と言う言葉もあるとおり、個人事業主や法人を利用する事で、もちろん合法的に節税をする事は実質可能です。自分自身やネット、本だけの情報で判断する事も危険なのもまた事実ですので専門家にご相談する事もお勧めします。

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この記事を監修した税理士

大原政人税理士事務所 - 神奈川県川崎市川崎区

大原政人(おおはらまさと) 1975年茨城県土浦市出身。法政大学経営学部経営学科卒業。 法人税申告約1500件、相続案件は約200件、確定申告案件は約1200件(開業から過去17年実績) セミナー、研修会講師 年間30回新聞、専門誌への原稿執筆多数、毎月無料の起業相談会を2回実施しています。