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開業届のメリット・デメリット!入手方法と提出方法まで解説!

最終更新日: 2019年12月10日

個人事業主・フリーランスになって独立するには、税務署や都道府県に開業届を提出する必要があります。ただ開業届を出したくても、事前にどんなメリット・デメリットがあるか、面倒くさい手続きがないかなどを知らなければ、少し尻込みしてしまいますよね。

当記事では開業届を提出するメリットやデメリット、一緒に提出すべき書類などをご紹介します。開業届の入手先や提出先、手続きに必要なものも解説するので、開業届について不安がある方はぜひ参考にしてください。

この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

 
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開業届とは?

開業届とは
開業届は「事業を始めますよ!」と税務署にお知らせする書類

開業届(かいぎょうとどけ)とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、私たちが事業を開始するときに税務署に提出するものです。大げさに聞こえますが、ようは税務署に事業開始をお知らせするための簡単な手続きに使う書類に当たります。また事業開始等申告書という、都道府県に提出する届出も忘れてはいけません。

まずはそんな開業届の基本から解説していきます。

開業届とはなにか?

開業届とはなにかを簡単にまとめると、個人事業主になるために必要な以下の役割を持つ書類です。

  • 税務署や都道府県税事務所に個人事業を始めたことを報告・通知するもの
  • 法人・個人が営利を目的とした開業を行ったことを証明するもの

開業届には税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書(個人事業の開廃業届出書)」と、都道府県・市町村区に提出する「事業開始等申告書」の2種類存在します。個人事業の開廃業届出書は国税に関係し、事業開始等申告書は地方税に関わる届出となります。

開業届を提出するべき人

開業届を提出するべき人は専業・副業に関わらず、自分で事業を行っている人のみです。ここで言う事業とは「反復・継続・独立している仕事」と定義されます。たとえば誰かに物を売った場合、1回で終われば事業ではありません。しかし何度も繰り返し継続し、会社の所属とは関係なく利益を出せばそれは事業に該当します。

「普段はサラリーマンで、スキマ時間の副業でも事業なの?」と疑問かもしれませんが、定義に当てはまる仕事であればそれは事業です。したがって副業であっても、個人で事業を行っていれば開業届の提出が必要なのです。

◆開業届を提出しなくてよい人

給与所得以外に所得がなく、利益の出る事業を行っていない限りは開業届の提出は必要ありません。たとえば医療費控除や生命保険料控除等の控除を申告する場合、わざわざ開業しなくても確定申告を行うだけで事足ります。

開業届の提出期限は? 期限を過ぎた場合は?

開業届の提出は所得税法第229条に定められている通り、開業(事業の開始)から1ヶ月以内と決められています。

(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

引用:e-Gov|所得税法

個人事業の開廃業届出書は所轄の税務署長宛に、事業開始等申告書は都道府県税事務所宛に提出しましょう。ただし事業開始等申告書の提出期限は都道府県によって異なるので、管轄の都道府県にあらかじめ確認しておいてください(たとえば東京は15日間以内)。

では、もし提出を忘れたらどうなるのでしょうか。結論から言えば罰則はありません。1ヶ月以上経過してからでも受け付けており、たとえ提出を行わなくてもとくにトラブルもないです。さらに言えば事業所得の確定申告さえ行っておけば、税務署は「この人は開業しているな」と判断します。

ただし開業届の提出にはさまざまなメリットがあります。とくに青色申告による控除等は大きな節税につながるため、提出したほうが多くの恩恵を受けられるでしょう。

開業届を提出するメリット・デメリット

開業届を出すメリットとデメリット
開業届にはどんなメリットとデメリットがある?

開業届を提出すれば、個人で事業を行う場合に多くのメリットが発生します。もちろんいくつかデメリットもありますが、それを差し引いても個人事業主としての開業は非常におすすめです。ここからは開業届を提出するメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

開業届を提出するメリット

開業届を提出すると、「個人事業の開廃業届出書を提出するメリット2つ」と「個人事業の開廃業届出書と事業開始等申告書を提出する共通メリット2つ」が発生します。

◆個人事業の開廃業届出書の提出メリット2つ

個人事業の開廃業届出書を提出するメリットは主に以下の2つです。

  1. 青色申告での確定申告ができるようになる
  2. 赤字を3年まで繰り越せる損失申告ができる

青色申告の確定申告を行うと最大65万円の所得控除が受けられるため、非常に高い節税効果が期待できます。

「赤字を3年間繰り越す」と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、こちらも大きなメリットです。たとえば1年目に100万円の赤字、2年目に300万円の利益が出たとすると、2年目は200万円の利益で確定申告できます。つまり100万円分を差し引け、結果として課税所得額が下がり税金が安くなります。

◆個人事業の開廃業届出書と事業開始等申告書の共通メリット2つ

個人事業の開廃業届出書と事業開始等申告書を提出する共通のメリットは以下の2つです。

  1. 屋号が付けられ、社会的信用が向上する
  2. クレジットカードが作りやすくなる

屋号とは個人事業につける名前を表します。屋号が決まることで、「事業用の銀行口座の開設」「名刺・領収書・請求書・お店の看板等への屋号名使用」が可能です。他にも屋号名で事業内容が伝えられたり相手の印象に残りやすかったりなど、ビジネスシーンにおいて個人名義よりも信用を勝ち取りやすくなります。

また開業届を出すと業者になるので、クレジットカード会社の信用を得やすくカードの発行もやりやすくなるでしょう。各種融資も受けやすくなります。

開業届を提出するデメリット

開業届を出すデメリットには、「失業保険が受けられなくなる」「扶養から外れる可能性がある」というものが挙げられます。

たとえば副業として開業をしていると、会社を辞めても個人事業主として登録されています。つまり失業しても個人事業主扱いとなり、失業保険の受給対象から外れてしまうのです。ただし、失業中に条件を満たして開業したケースだと、ハローワークから再就職手当を受け取れます。

もう一つのデメリットは扶養等の控除対象から外れる可能性についてです。会社の健康保険組合によっては開業すると扶養を外すと決まっている場合があります。また、配偶者を事業の専従者にして給与を支払った場合も、所得税の配偶者控除から外れてしまいます。事前に確認しておきましょう。

開業届の入手方法と書き方

開業届の入手先や書き方まとめ
開業届の入手先や書き方をご紹介!

開業届の提出を決めたら、まずは開業届の書式を手に入れましょう。手に入れたら書き方に注意しながら、実際に項目を埋めていきます。ここからは開業届の入手方法や書き方の注意点を解説します。

開業届を手に入れよう

開業届は税務署に足を運ぶか、国税庁・都道府県のホームページからのダウンロードで入手できます。

◆個人事業の開廃業等届出書

個人事業の開廃業届出書は、最寄りの税務署で手に入れるか国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。どの税務署に提出する場合でも同じ書式です。

参考:国税庁|[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

◆事業開始等申告書

事業開始等申告書は、各都道府県のホームページからダウンロードできます。お住まいの都道府県のサイトより入手してください。参考として、東京都のホームページのリンクは以下です。

参考:東京都主税局|事業を始めたとき・廃止したとき

◆最近は経理ソフトでも作成可能

さまざまなクラウド系経理ソフトが登場している昨今では、登録し画面の指示通り入力するだけで開業届の完成品が作成できます。自分だけでの作成が不安なときは、クラウド系経理ソフトで記入するのも1つの手です。

開業届の書き方で注意したいポイント

開業届を書く時は、項目の内容通りに記載すれば問題ありません。ただし、いくつか書き方で注意していただきたいポイントをまとめました。

職業欄について 厳格な決まりはないが、職業によって事業も変化するため、税率が変わる。記入時には間違えないように。
屋号について 空欄でも問題なし。後日あらためて申請も可能。ただしすぐに銀行口座開設等で使用したいときは提出時に記入しておくこと。
開業日について 開業日は事業を開始した日もしくはお店を開店した日を記入する。
事業内容について できるだけ詳細に書いたほうが後々確認しやすい。
記入間違いを訂正する場合 二重線と訂正印で対応する。

開業届の記入についてさらに知りたい場合は、下記の記事をぜひご覧ください。

関連記事:フリーランスの開業届|職業欄の書き方~複数職業を持つ方へ|ミツモア

個人事業の開廃業等届出書と一緒に提出するべき4つの書類

開業届と一緒に出すべき青色申告承認申請書等の書類
開業届と一緒に出すべき青色申告承認申請書等の書類

開業届を提出するタイミングでは、同時に以下4つの書類を出すことが可能です。

<開業届と一緒に提出すべき書類>

  1. 青色申告承認申請書
  2. 青色事業専従者給与に関する届出書
  3. 給与支払事務所等の開設届出書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

一緒に出せば手間が省けたり、いち早く制度を利用できたりとメリットが大きいので、提出できそうなら同時に出してしまいましょう。以下では開業に欠かせない必要書類それぞれの詳細を解説します。

①青色申告をするときに欠かせない【青色申告承認申請書】

青色申告承認申請書とは、確定申告時に青色申告を希望する際に提出する書類です。開業しないと手続きできませんが、開業届と同時手続きは可能です。自分ひとりの事業でも青色申告はできるため、個人事業主になるのであれば一緒に提出することをおすすめします(所得税法第144条・所得税法第166条による)。

参考:国税庁|[手続名]所得税の青色申告承認申請手続

②家族に給料を支払うときに必要な【青色事業専従者給与に関する届出書】

青色事業専従者給与に関する届出書とは、従業員として雇った配偶者・親・子に対する給与を、全額経費計上できるようにするために必要な書類です。夫婦や親子での開業を計画しているときは、開業届と一緒に提出しましょう(所得税法第57条による)。

参考:国税庁|[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続

③事務所や店舗開設したら提出する【給与支払事務所等の開設届出】

給与支払事務所の開設届出とは、あなたが給与支払い事務を取り扱う事務所や店舗を開設したときに税務署に提出する届出です。1ヶ月以内が提出期限のため、開業届と一緒に出してしまいましょう。なお、この手続きは新しい社員・アルバイト・パートを雇い入れる場合には必要ですが、自分ひとりだけの場合は提出しなくて大丈夫です(所得税法230条・所得税法施行規則第99条による)。

参考:国税庁|[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

④源泉徴収をまとめて支払うのに必要な【源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書】

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは、事業所の従業員が9人以下のとき、源泉徴収した所得税を半年分まとめて納税できるようにするための書類です。本来源泉徴収した所得税は、その給与を支払った月の翌月10日までに納めなければならず、毎月作業を行う必要があります。しかしこの手続きを行えば年2回で済むのです(所得税法第216条・第217条による)。

参考:国税庁|[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

開業届の提出方法と提出先

開業届の提出先や方法について
開業届はどこに出せばいいの?

開業届を作成したら、税務署や都道府県税事務所に提出を行いましょう。以下より主な提出先と提出方法をご紹介します。

開業届の提出先

開業届の提出先は、個人事業の開廃業等届出書が「事業を運営する所在地所轄の税務署」です。事務所を構える場合は事務所の住所、自宅を事務所にする場合は自宅の住所管轄の税務署に提出できます。事業開始等申告書は「事業を運営している所在地の都道府県税事務所」に提出しましょう。

以下のリンク先では、あなたが知りたい住所の所轄税務署を探せます。

参考:国税庁|税務署の所在地などを知りたい方

開業届の提出方法

個人事業の開廃業等届出書の提出方法は、「税務署に直接提出する」「税務署に郵送する」「e-Taxを用いて提出する」の3パターンです。事業開始等申告書は「税事務所に直接提出か郵送」になります。ここでは個人事業の開廃業等届出書を中心に出し方をご紹介します。

◆税務署に直接提出する

足を運ぶ手間がかかるものの、記入漏れやミス、その他書類の不備をその場で修正できるメリットがあります。提出書類が多い場合におすすめです。税務署の開庁時間は平日8:30~17:00が基本で、土日祝日は閉庁しています。ただ開庁時間外であっても、設置してある投函ポストにて24時間提出のみ受け付けています。

◆税務署に郵送する

税務署に足を運ぶ時間がないときは郵送しましょう。自宅から提出できるのが魅力です。ただ封筒や身分証明証のコピー、マイナンバーの写し等も送る必要があるため、直接持っていくより準備する物が多くなります。また、開業届の控えも郵送で返ってくるため、受け取りも手間になってしまいます。

◆e-Taxを用いて提出する

自宅で確定申告の電子申請ができるe-Taxですが、開業届の提出も可能です。ただしe-Taxのアプリをダウンロードし、登録を行う必要があります。ダウンロード後は画面の指示に従い入力すれば、作成と提出が同時にできます。

提出する際に必要なもの

開業届を提出する際の必要書類等は、主に以下のものです。

  1. マイナンバー通知カードもしくはマイナンバーカード裏面のコピー等個人番号がわかるもの
  2. 運転免許書・健康保険証・パスポート等の身分証明書
  3. 開業届の控え など

控えは必須ではありませんが、各種融資や保険の手続きで「受付印のある開業届の控え」の提出が求められるので必ず作成しておきましょう。事業開始等申告書の場合は都道府県ごとに必要なものが異なるので、所轄の都道府県に確認しておいてください。こちらの控えにも受付印をもらっておくとよいです。

監修税理士のコメント

進藤崇 - 東京都中野区新井

確定申告のご依頼を受ける際に、税務署に提出した書類を確認するのですが、開業届は提出したものの青色申告承認申請書の提出をしていない方を見受けます。提出期限を過ぎてしまうと開業年分は青色申告での申告ができなくなるため、開業届とセットで提出するようにしましょう。
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この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

2017年10月に独立・開業いたしました。会社の税務顧問・記帳代行はもちろんのこと、個人の確定申告、相続税の相談申告を承っています。 また、ファイナンシャル・プランナーの資格もありますので、個人のライフプランニングについてもご相談ください。
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