「合同会社を設立したいけど何を用意すればいいの」といった疑問を持ってはいませんか。
合同会社の設立時に必要な書類は、登記申請書や収入印紙など7種類です。現物出資しているなど場合によってはさらに増えることもあります。
この記事では、合同会社設立時に必要な書類と作成方法を詳しく説明します。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
合同会社設立の手続きに必要となる7つの書類
合同会社設立時には、以下の7つの書類が必要です。
必要書類 | 入手方法 |
合同会社設立登記申請書 | 自分で作成 |
登録免許税の収入印紙 | 郵便局や法務局窓口 |
登記用紙と同一の用紙 | 法務局HP |
定款(会社保存用と法務局提出用の2部) | 自分で作成 |
代表社員の印鑑証明書 | 役所窓口かコンビニ |
払込証明書 | 自分で作成 |
印鑑届書 | 法務局HP |
合同会社設立登記申請書
合同会社設立登記申請書は会社の基本情報と、他の提出書類について説明するための書類です。
全ての書類を揃えて、法務局に提出する際には表紙のような役割も果たします。申請書を作成する際には、以下のことに注意が必要です。
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記載内容や形式は法律で定められているため、必ず守らなければなりません。雛形は法務局のHPからダウンロード可能です。
登録免許税の収入印紙
登記申請の際には登録免許税を納める義務があります。その方法は収入印紙の購入です。郵便局や法務局の窓口で購入できます。
また収入印紙を貼る台紙は法務局で無料配布されていますが、A4やB5のコピー用紙でも構いません。
登録免許税で納める金額は「合同会社設立時の資本金の0.7%」です。ただしその金額が6万円を下回る場合は、納める金額は6万円になります。
例えば資本金が500万円の場合、0.7%は3.5万円です。6万円を下回るため、この場合の登録免許税は6万円です。
登記用紙と同一の用紙
登記すべき事項をすべて記入したものを「登録用紙と同一の用紙」と言います。発起人会議事録や定款で決まっている事項を、一字一句正確に書き写して作成します。
登録用紙と同一の用紙は、法務局の登記簿のファイルに収納され、謄本などにも利用される重要な書類です。少しでも間違えてしまうと、登記を受け付けてもらえないため注意しましょう。
提出方法には、以下の2種類あります。
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法務省のホームページから雛形をダウンロードできるため、作成時に活用してみてください。
定款(会社保存用と法務局提出用の2部)
定款とは、その会社の運営にあたってのルールや基本規約、規則などをまとめたものです。別名「会社の憲法」とも呼ばれています。
定款に記載する事項は定められていますが、書式や大きさはとくに決められていません。ただし手書きの場合、鉛筆は使用不可なので注意しましょう。
定款の提出方法は、紙の定款か電子定款(CD-R)どちらでも可能です。しかし紙の場合には4万円の印紙代がかかるため、電子定款の方が費用を安く済ませられます。
紙で作成した場合には原本を法務局へ提出し、会社保存用としてコピーをとっておきましょう。
電子定款の場合には、PDFデータが入ったCD-Rを提出します。CD-Rは一度提出したら返却されることはないため、法務局へ提出する前に会社内にデータを保管しておく必要があります。
代表社員の印鑑証明書
合同会社設立の手続きを進めていく際に必要となってくるのが「実印」と「印鑑証明」です。
実印とは自分の印鑑であることを公的に証明された印鑑です。市区町村役場で登録すると実印と認められます。印鑑証明書は登録された印鑑の実印証明をしてくれる書類です。
印鑑証明書の発行場所は役所窓口かコンビニです。どちらの場合も手数料が200~300円かかります。
役所で発行する場合、印鑑登録証と本人確認書類を窓口に持参しましょう。コンビニの場合はマイナンバーカードを持参すると、マルチコピー機から発行できます。
払込証明書
払込証明書とは、資本金が正しく支払われていることを証明するための書類です。
払込の金額は必ず定款に記載されている資本金額でなければなりません。また振込先は通常であれば、代表社員の個人通帳に各社員が定められた金額を振り込む形になります。通帳のコピーが必ず必要になるので、振込額を間違えないよう注意してください。
払込証明書を有効な書類にするために、資本金の振込の際には以下の2点を確認しておきましょう。
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印鑑届書
印鑑届出書とは、会社の実印を登録する際に必要な書類です。合同会社設立時には、代表社員だけでなく会社の印鑑も実印登録しなければなりません。
会社実印の登録は、市区町村役場ではなく法務局で行う必要があります。そのため合同会社設立の手続きの書類に「印鑑届出書」が含まれているのです。
実印登録がされた会社の印鑑は、今後様々な書類を作成する際にも必要になってくるので、作成後も大切に保管しましょう。
印鑑届出書は法務局のHPからダウンロードできます。
参考:印鑑届書|法務省 |
場合によっては作成が必要となる書類
合同会社の設立時に「代表社員、資本金総額、本店所在地の詳細が定款に記載されていない」「現物出資がある」などの場合には以下の書類が必要になる場合があります。
代表社員の就任承諾書
代表社員が定款上、実名で定められていない場合は必要になるのが代表社員の就任承諾書です。代表社員になる者が、本当に代表就任することに同意しているかどうかを証明するための書類になります。
また代表社員を複数名置く場合、代表社員の就任承諾書も代表社員に就任する人数分だけ用意しなければなりません。
定款は「会社の憲法」なので、役員の任期で変更しなければならない株式会社でなければ、頻繁に書き換えない方が良いでしょう。
そのため、合同会社で代表社員の入れ替えや増員が予測できない場合には、定款に代表社員の実名を入れない企業も多いです。
代表社員、本店所在地及び資本金決定書
以下の内容が定款に記載されていない場合に必要となる書類です。
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急ぎで定款を作成する必要がある場合や、企業の事情によって上記の事柄を記載できないこともあるでしょう。その場合、出資者である社員が後日集まり、上記の未決定部分を決定する必要があります。「代表社員、本店所在地及び資本金決定書」はその際に決定した事項を書面にしたものです。
財産引継書
現金での資本金以外に、不動産や自動車などの「現物出資」があるときに必要となるのが「財産引継書」です。合同会社を設立する際の現物出資の確認や、出資する物品の詳細について記載します。「何を出資するのか」をわかりやすく書くことが大切です。
資本金の額の計上に関する証明書
以下のどちらかに当てはまる場合、必要になる書類です。
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現物出資がある場合、振り込んだ現金と、物品を金額に換算した現物を合わせた金額が資本金となります。株式会社設立時と根拠法律の条文が異なる以外、ほぼ同じ書式です。合同会社設立に、現物出資をお考えの方は以下のサイトを参考にしてください。
7つの必要書類それぞれの作成方法
合同会社設立時に必要な7つ書類の作成方法を解説します。
合同会社設立登記申請書
合同会社設立登記申請書は雛形をプリントして手書きするか、ダウンロードして必要事項を入力します。
赤字は各自記入または入力する箇所です。雛形は法務局のHPからダウンロード可能なので、ぜひ利用してください。
商号
定款で定められている合同会社の名称を記載します。フリガナは片仮名で、左に寄せて記入しましょう。
本店
本店所在地の住所を番地まで詳しく記載します。
登記すべき事項
「登記用紙と同一の用紙」の提出方法を記載します。
登記用紙と同一の用紙の提出方法 | 記載内容 |
用紙 | 別紙の通り |
CD-R | 別添CD-Rの通り |
フロッピー | 別添FDの通り |
オンライン | 別紙のとおりの内容をオンラインにより提出済み |
課税標準金額
資本金の額を記載します。登録免許税を計算する元になりますので、誤りがないよう注意してください。
登録免許税
納めるべき登録免許税の収入印紙購入金額を記載します。
納める金額の基本は、資本金×0.7%ですが、6万円以下の場合一律で6万円となります。
100円未満の端数が生じた場合は、端数を切り捨てて記載しましょう。
添付書類
合同会社設立登記申請書以外に添付して提出する書類を記載します。添付書類として必ず記載する書類は以下の4つです。
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また定款に定められていない場合には「代表社員の就任承諾書」などを準備する必要があるので、随時、添付書類として記載します。
日付
法務局に合同会社設立登記申請書を提出する日付を記入します。
法務局の名称
本店の所在地を管轄する法務局の名称を記入します。
添付書類では、定款の内容や各書類の提出方法によって書き方が異なるので、書類が全て揃ってから作成した方が良いでしょう。
登録免許税の収入印紙
購入した収入印紙を四角で囲まれた、「収入印紙」の枠に貼り付けます。また「契印」をする必要がある場合には、必ず登記申請書に押した印鑑と同一の印鑑を使用するようにしてください。
登記用紙と同一の用紙
登記用紙と同一の用紙は画像の赤字の欄を記載します。
登録用紙と同一の用紙を作成する方法は、大きく分けて3つです。
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オンラインによる提出
オンラインによる作成は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。オンラインでの作成には以下のメリットがあります。
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システムの導入方法はわかりやすい動画を用いて説明をしているので、パソコンに不慣れの人でも利用しやすいです。詳しくは法務省のホームページから確認できます。
磁気データ(CD-R、FD)による提出
CD-Rやフロッピーなどの磁気データによる提出は、テキストファイルを用いて提出します。提出後は、返却されないので事前に会社にデータ保存しておいた方が良いでしょう。詳しい記入方法については、法務省ホームページを確認してください。
用紙による提出
用紙での提出には2通りの方法があります。
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定款2部(会社保存用と法務局提出用)
上図の雛形はあくまで一例です。それぞれの企業によって内容が異なるので、自分の会社にあった事項を記載してください。定款の作成方法は用紙と電子の2通りです。
用紙で定款を作成する場合
用紙の定款の場合には、印紙税として4万円が必要です。会社保存用の定款に貼っておくものなので、法務局への提出は必要ありません。しかし張っていないと3倍程度のペナルティがあるので貼っておいた方が良いでしょう。
電子定款を作成する場合
電子定款は課税文書にならないため、4万円の印紙代は必要ありません。ただし提出するにはPDF化して電子署名などをする必要があり、少々難易度が高いです。
時間や知識が必要なため、自分ではなく司法書士などのプロに依頼する企業も少なくありません。
代表社員の印鑑証明書
代表社員の印鑑証明書は、発行から3か月以内に法務局へ提出しなければなりません。発行までに4つのステップがあるため、合同会社設立前に早めに用意しておくことをおすすめします。
【印鑑登録証明書発行までの4つの手順】
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【発行に必要なもの】
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払込証明書
資本金の払込証明書は4つの手順で作成します。
1.資本金を払い込む
資本金を払い込む際には「定款作成日以降の振込年月日にすること」と「誰が振り込んだかわかるようにすること」の2点に注意しましょう。
2.払込証明書を作成します
資本金の振込が完了したら、払込証明書を作成します。記載する項目は「払込を受けた金額」「資本金が銀行口座に振り込まれた日付」「住所、商号、氏名」です。
また会社の実印を押すのを忘れないようにしましょう。
3.通帳のコピーを取る
資本金を振り込んだら、通帳のコピーを取る必要があります。
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上記の3つを、1枚ずつコピーしてください。
4.資本金の払込証明書を製本する
払込証明書→通帳の表紙のコピー→通帳の裏表紙のコピー→通帳の明細のコピーの順に重ね、左端の2ヶ所をホチキスで留めます。
その後、各見開きページのつづり部分に代表社員の実印で契印をしたら払込証明書の完成です。
印鑑届書
合同会社設立時における印鑑届書を作成する際には、必要事項を記入しましょう。「資格」の()内には代表社員と書くのを忘れないように注意してください。また提出する押印欄下の「印鑑カードの引き継ぎ」のボックスは空欄でも大丈夫です。
印鑑届書で登録する印鑑は、以下のサイズが指定されています。
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場合によって必要になる書類の作成方法
合同会社設立時に必要になる可能性がある、2つの書類の作成方法について紹介していきます。
代表社員就任承諾書
代表社員就任承諾書は、代表社員就任の承諾と年月日、会社名、住所、氏名を記載し、実印を押します。
実印は、印鑑証明書として登録してあるものと同じ印鑑を使用してください。
代表社員、本店所在地及び資本金決定書
代表社員、本店所在地及び資本金決定書に記載する項目は以下の3つです。
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ただし定款の中で具体的に本店所在地を定めた場合は、所在地の記載は必要ありません。
また定款作成日から払込証明書に記載する日付の間の日付を記載してください。
必要書類の綴じ方
合同会社設立に必要な全ての書類が揃ったら、提出用に書類を綴じなければなりません。
順番や留め方も決まっているので、しっかり最後まで作成しましょう。
書類の綴じる順番
書類を以下の順番にホチキスで綴じて製本します。
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クリップで留める書類
上記の書類はホチキス留めですが、以下の書類はクリップで留める必要があります。
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すべての書類を綴じ終えたら、合同会社設立の手続きにおける必要な書類は完成です。書類一式を持参して、本店の管轄法務局へ行き、手続きを進めてください。
監修税理士からのコメント
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
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