インターネットが普及したことで海外通販を利用する機会も増えています。そんな中「いくらから関税がかかるのか」気になる方も多いのではないでしょうか。
個人で利用する目的で輸入した場合、課税価格が1万円以下であれば基本的に免税され、商品価格で言うと約16,666円です。
課税価格の計算方法は?
課税価格の計算方法は個人輸入の場合「海外小売価格×60%」、一般輸入の場合「海外小売価格+運送費+輸入保険料」で計算されます。免税対象になる課税価格1万円以下は海外小売価格だと1万円÷0.6=約16,666円です。つまり販売価格が16,666円程度までは関税・消費税は免除されます。
課税1万円以下でも関税の対象になるものは?
革製品、ニット製品、砂糖やその加工品、乳製品を使った加工品、肉の加工品全般は関税対象になります。
この記事を監修した税理士
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台
【価格帯別】個人輸入の関税の計算方法
課税価格が1万円超20万円以下の場合は簡易税率で、課税価格が20万円を超える場合は一般税率で計算します。
また20万円以下でも簡易税率が適用されないものもあるので、正しく理解することが重要です。
課税価格が1万円超20万円以下の場合【簡易税率】
課税価格が1万円~20万円以下のものは関税を計算する際、簡易税率が適用されます。
関税には簡易税率と一般税率という2つの税率があります。その中でも簡易税率は以下のように、一般税率を7つの税率に分類しなおしたものです。
品目 | 関税率 |
---|---|
酒類 (1) ワイン (2) 焼酎等の蒸留酒 (3) 清酒、りんご酒 等 |
70円/L 20円/L 30円/L |
トマトソース、氷菓、なめした毛皮(ドロップスキン)、毛皮製品等 | 20% |
コーヒー、茶(紅茶を除く)、なめした毛皮(ドロップスキンを除く)等 | 15% |
衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く)等 | 10% |
プラスチック製品、ガラス製品、卑金属(銅、アルミニウム等)製品、家具、玩具等 | 3% |
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品 | 不課税 |
その他 | 5% |
ただし、20万円以下のものすべてに簡易税率が適用されるわけではなく、適用外のものもあります。
20万円以下でも簡易税率が適用されないもの
簡易税率が適用されない商品の場合は一般税率が適用されることになります。
【20万円以下でも簡易税率の対象外になるもの】
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課税価格が20万円を超える場合【一般税率】
簡易税率は課税価格が1万円以上20万円以下の場合に適用される税率で、課税価格が20万円超になった場合には一般税率が適用されることになります。
一般税率は品目ごとに税率が分かれており、相手国によっても異なりますので詳しく知りたい方は以下の実行関税率表を参照するようにしてください。
ワインを個人輸入した場合の関税計算例
それでは実際にワインを輸入した場合の関税の計算をしてみましょう。なお、ワインの関税は以下のとおりです。
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【個人使用目的で10Lのワイン2万円分を購入した場合】
課税価格=2万円×0.6で12,000円 |
課税の対象となり、課税価格20万円以下の簡易税率が適用されます。簡易税率では70円/Lであるため「10L×70円=700円」の税金が発生します。
購入価格 | 2万円(10L) |
課税価格 | 2万円×0.6=12,000円 |
税率 | 1Lあたり70円 |
関税 | 10L×70円=700円 |
【個人使用目的で10Lのワイン40万円分を購入した場合】
課税価格=40万円×0.6で24万円 |
課税価格が20万円以上なので一般税率の適用対象です。
一般課税の場合は低い税率が適用される(24万円×15%=36,000円 > 10L×125円=1,250円)ので、関税額は10L×125円で1,250円の関税が発生することになります。
購入価格 | 40万円(10L) |
課税価格 | 40万円×0.6=240,000円 |
税率 | 15%または1Lあたり125円 |
関税 | 10L×125円=1,250円 |
なお、日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)において、EUから輸入されるワインにかかる関税は撤廃されています。
個人輸入で払う必要のある費用
個人輸入で欲しい商品を輸入する場合には、大きく分けて次の3つの費用が発生します。
- 関税
- 消費税
- 通関手数料
関税
個人で消費する個人輸入、販売目的の一般輸入どちらにも関税が発生します。
課税価格は個人利用目的の場合商品の小売価格の6割で、課税価格が1万円以下のものであれば非課税です。
一方で商業目的の輸入の場合は、商品の小売価格が課税価格となるので小売価格に関税率を乗じた関税を支払う必要があります。
個人輸入で関税を支払うべきか迷う方は「課税価格が1万円」が基準になることを覚えておくとよいでしょう。
消費税
輸出品であったとしても消費税は適用されます。
課税価格と関税額に消費税率10%をかけたものを消費税として納めなければなりません。
通関手数料
海外から輸入された商品の通関手続きは宅配業者が代行しており、この手続きにかかる費用を通関手数料と言います。
国際郵便の場合は一律200円の通関手数料が発生するので覚えておきましょう。
また、国際宅配便の場合には宅配業者によって以下のように料金が異なります。
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ヤマトや佐川の場合には通関手数料が料金の中に含まれているので、所定の料金を支払うことで、通関手数料も納めたことになります。
個人輸入で気を付けるべき3つのポイント
個人輸入で気を付けるのは関税や消費税の面だけではありません。気を付けるべきポイントとして、以下のような点があります。
- 禁止品や規制品があるので把握しておく
- 複数の荷物で届いた場合は課税価格を合計金額で判断する
- 医薬品や化粧品は輸入に数量制限があるため把握しておく
禁止品や規制品を把握する
金額を問わず輸入自体が禁止されているものがあります。知らずに罰則を受けることのないように注意しましょう。
【禁止品・規制品の例】
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麻薬や火薬のように「禁止であるだろう」と想像できるものもありますが、意外なものも禁止品とされています。
輸入する際は今一度、禁止品でないかを確認してみましょう。
複数の荷物がある場合は合計金額で判断する
原則として課税価格1万円以下は関税がかかりませんが、もし複数の荷物に分けて届いた場合はその合計金額で判断します。
複数の商品を輸入した際、1つの包装でまとめて郵送された場合は、合計金額が課税価格です。
また分割して郵送した場合は、差出人と受取人が同一で郵送時期が同じであれば合計金額で関税を計算しなければなりません。
ひとつひとつが課税価格1万円以下になっていても、合計金額が1万円を超える点に注意しましょう。
医薬品や化粧品は輸入に数量制限がある
医薬品や化粧品の輸入は可能ですが、その数量に制限があります。
【医薬品または医薬部外品の輸入の数量制限】
外用剤(軟膏、点眼薬など) | 標準サイズで1品目24個以内 |
毒薬、劇薬または処方箋薬 | 用法用量からみて1ヵ月分以内 |
上記以外の医薬品・医薬部外品 | 用法用量からみて2ヶ月分以内 |
サプリメント剤 | 用法容量からみて4か月分以内 |
この他にも、医師の指示なしに使用して重大な健康被害が起きるおそれのある医薬品は、数量に関係なく医師からの処方箋等が確認できない限り個人輸入できません。
【化粧品の輸入の数量制限】
※ブランドや色などに関わらず1品目で24個以内 |
医薬品・化粧品に関しては「個人輸入が可能なのか」そして「数量制限があるか」をよく確認しておきましょう。
個人輸入を代行業者に依頼する場合
海外の業者から商品を購入すると言っても「現地の言葉が分からない」「どの業者から購入したらいいか分からない」方も多いのではないでしょうか。
そのような人のために個人輸入を代行してくれる業者が存在します。
しかし、代行業者はメリットだけでなく詐欺被害などのデメリットもあるので、きちんと理解してから利用するようにしましょう。
代行の種類
輸入代行業者と一口に言っても、発送代行を行なう業者と購入代行を行なう業者が存在します。
発送代行 |
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購入代行 |
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どちらの代行業者を利用するのかはケースバイケースですが、業者の中には発送と購入をどちらも扱っているところもあります。
「買い付けは自分でできるから発送だけを代行して欲しい」場合には、発送代行のみを行なっている業者の方がお得に済むのでおすすめです。
代行業者に依頼するメリット・デメリット
代行業者への個人輸入依頼にはメリットとデメリットがあります。
メリット |
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デメリット |
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代行業者に頼めば、現地の言語や店舗に精通していなくても欲しい商品を日本語で購入することができ、日本に未入荷の新商品などを手に入れることができます。
また、ネットビジネスで輸入業務を行なうのであれば、発送代行に依頼することで面倒な管理や発送業務から解放されることになるので、より効率的に営業活動ができるようになると言われています。
一方で海外の代行業者の中には、料金だけ受け取って代行業務を行なわない詐欺会社も存在するのも現実です。
優良業者を見つけることができない限りは詐欺の被害と隣り合わせと言っても過言ではありません。
手数料が安いからと言って業者を選んでしまうと詐欺のリスクもあるので、信頼性を第一に業者を選びましょう。
代行業者の依頼にかかる費用
手数料は輸入商品の量や重量、業者によって異なりますが、平均的な手数料は商品価格の20~30%もしくは5,000円程度です。
数千円程度の商品を購入する場合は、代行業者への手数料の方が高くなることが一般的だとされています。
「お金に糸目をつけずに欲しいものを輸入したい」という理由でない限りは、代行業者に支払う手数料によって倍程度の価格になることを知っておくとよいでしょう。
税金の支払い方法
前述のように個人輸入であっても関税が発生するケースがあります。では関税はどのように支払えばよいのでしょうか?
関税の支払方法は輸入業者によって異なるので、業者ごとに解説していきます。
日本郵便を使って輸入する場合の流れ
日本郵便を使って海外から商品を輸入する場合の関税支払いまでの流れは以下のとおりです。
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このように日本郵便では税関に対して関税を立て替え払いをしているため、商品受取時に立て替えてもらった関税を支払うことで、関税の支払いを終えることができます。
民間配送会社を使って輸入する場合の流れ
ヤマトや佐川などの民間配送会社を使って商品を輸入する場合の関税支払いまでの流れは以下の通りです。
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やはり民間会社であっても関税は立て替え払いを行なってくれますので、商品受取時に関税を支払うことができます。
日本郵便も民間会社も関税の決定を税関職員が行なうのか、自社が代理申告するのかで異なりますが支払いは立て替えで行なってくれます。
スムーズに関税の支払いができる仕組みが確率されていると言えるでしょう。
消費税の納入方法
個人輸入の商品にも消費税は発生しますが、消費税の支払いについても関税の支払いと同様に、関税支払いと同時に日本郵船や民間配送業者が立て替えてくれます。
立て替えてもらった料金を関税と一緒に宅配時に宅配業者に支払うことで消費税の支払いは完了です。
商品返品の関税の払い戻し
輸入した商品を海外に返品する際には、すでに支払った関税の払い戻しが受けられます。
しかし関税の払い戻しを受けるためには、以下の2つの条件を満たしている必要があるので注意が必要です。
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さらに、郵便物の価格が20万円を上回っているか否かで手順が大きく異なるので注意が必要です。
【郵便物の価格が20万円以下の場合】
①郵便物を返送する前に、最寄りの税関に返したい郵便物に以下の書類を添えて提示し事前検査を受ける
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②事前検査を受けた後、郵便物を郵便局等に差し出し、郵便局等から「郵便物受領書」を受け取る |
③郵便物受領書に上記1~3又は4に記載している書類を添えて、事前検査を受けた税関に提出する |
④税関での審査が終了すると、払戻しされる関税等の金額が指定された銀行口座等に振り込まれる |
【郵便物の価格が20万円超の場合】
①郵便物を返送する前に、最寄りの税関に返したい郵便物に以下の書類を添えて提示し事前検査を受ける
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②事前検査を受けた後、購入先の通信販売会社や出品者等を仕向人として税関に輸出申告を行なう
なお事前検査を受けた税関で輸出申告を行なうことができるので、事前検査を行なう際にその税関に輸出申告を行なう旨を申し出る |
③ 税関の審査が終了した後、郵便物を郵便局等の窓口に差し出し、郵便局等から「郵便物受領書」を受け取る |
④ 輸出申告を行なった税関に郵便物受領書を提示して輸出許可書を受けとった後、その税関に上記1~3又は4に記載している書類を提出する |
⑤ 税関での審査が終了すると、払戻しされる関税等の金額が指定された銀行口座等に振り込まれる |
このように郵便物の価格によって手続きが異なり、郵便物が20万円超の場合には事前に税関で輸出申告を行なう必要があるので注意してください。
監修税理士からのコメント
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台
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この記事の監修税理士
京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台