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【税理士監修】特定支出控除とは?サラリーマンのスーツを経費に!

最終更新日: 2020年01月16日

「サラリーマンの経費」と呼ばれる、特定支出控除。

一定の条件を満たすとサラリーマンでも支出を経費として所得から控除できる制度ですが、スーツなども経費として認められるのでしょうか?

本記事では、特定支出控除の申請方法や実情について、具体例を交えながら説明します。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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サラリーマンの経費「特定支出控除」とは?

特定支出控除
サラリーマンでも対象となる特定支出控除

サラリーマンが仕事上の支出をした場合に経費として申請できる「特定支出控除」とはどのような制度なのでしょうか。
制度の概要や経費として認められる支出の要件、そして基準額について説明していきます。

特定支出控除とは

特定支出控除とは、給与所得者(サラリーマン)が業務上で必要な支払いを個人でした場合、条件を満たす支出(特定支出)に限り「経費」として所得金額から控除できる制度です。

通常、給与所得者には「給与所得控除」が適用されており、給与に応じた金額が自動的に所得から控除されております。しかし、これは個人事業主の必要経費とは異なり、実際に支出した金額をもとにしていません。
つまり、最初からある程度の経費が見込みで控除されているという考え方ですね。この「特定支出控除」は見込みの経費である給与所得控除を大きく上回る会社員を救済するために、設けられた制度と言えるでしょう。

特定支出となる6つの経費項目

特定支出控除の対象となるのは、次に示す6種類の支出で一定の要件を満たすものです。どのようなものが該当するのかみていきましょう。

①通勤費

通勤に要する費用を自己負担している場合や支給されている通勤手当を超過する場合が該当します。多くの会社では、通勤手当が支給されているので、主に通勤費を自己負担しているパートや派遣社員が対象になります。

②転居費

転勤に伴う転居のために要した費用が該当します。ただし、会社が転居費を負担した場合は対象になりません。

③研修費

業務を遂行する上で必要な技術や知識を得ることを目的として受講した研修費用が該当します。ただし会社が費用負担をした場合は対象外です。

④資格取得費

職務に直接必要な資格を取得するための支出が該当します。たとえば特殊車両の免許や簿記検定などが含まれるほか、医師、弁護士、公認会計士などの資格取得についても認められます。ただし、教育訓練給付金などの支給を受けた場合は、その給付金の額を除きます。

⑤帰宅旅費

単身赴任をしている人が、生計を一にする配偶者と別居を余儀なくされた場合、単身赴任先から配偶者の居住先への帰宅旅費に必要な支出が該当します。交通費は往復分認められますが、会社負担分は除きます。

⑥勤務必要経費

勤務必要経費とは、「図書費」「衣服費」「交際費等」の総称です。それぞれ次のようなものが該当します。

  • 図書費:職務に関係する書籍、新聞、定期刊行物などを購入するための支出が該当します。ただしこれらの記事を閲覧するためのパソコンの購入費用は認められません。
  • 衣服費:制服、事務服、作業服その他の勤務先で着用が必要とされる衣服を購入するための支出が該当します。
  • 交際費等:勤務先の得意先や仕入先など職務上関係のある者に対する交際や接待に要した支出が該当します。

勤務必要経費には上限額があり、これらの支出の合計額は65万円までしか認められません。

特定支出控除のために必要な書類

特定支出控除の適用を受けるためには確定申告をします。その際、次のような書類を添付する必要があります。

  • 特定支出に関する明細書:国税庁のウェブサイトから様式をダウンロードして、必要事項を記入します。
  • 給与等の支払者の証明書:国税庁のウェブサイトからダウンロードした様式に、特定支出の種類ごとに必要事項を記入します。給与の支払者は、記載された内容が妥当であると判断すれば、所定の事項を記入して証明書を交付します。
  • 支出金額の証明書:それぞれの特定支出が適正であることを証明するために、領収書や振込受付書を提示します。

特定支出控除の計算

特定支出控除の計算方法
特定支出控除の計算方法

特定支出控除を適用することができれば、業務に関連する個人的な支出を経費にすることができるので、節税につながります。ただ、給与所得控除の1/2の額を超えた場合にしか利用できません。ここでは、年収に応じてそれぞれの給与所得控除の額と、特定支出控除を利用するために必要な金額について説明します。

特定支出控除の「基準額」

特定支出控除が適用できる基準額は、「特定支出の額が給与所得控除額の1/2を超えた場合」です。
では、その給与所得控除の額はどのように決められているのでしょうか。
給与所得控除の額は給与収入の額に応じて計算されます。収入に応じて計算式が設けられており、下記表の通りになっています。

給与の収入金額給与所得控除額
162.5万円以下65万円
162.5万円超180万円以下収入金額×40%
180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下収入金額×10%+120万円
1,000万円超220万円

例えば、給与収入が500万円のサラリーマンの場合、給与所得控除の額は154万円となります。この場合、特定支出控除の適用が認められるのは、特定支出の年間額が154万円×1/2=77万円を超えた場合になります。

【例】年収400万円のサラリーマンの場合

給与の年収が400万円の場合、給与所得控除の額は134万円になります。この場合、年間で134万円×1/2=67万円を超える特定支出がなければ特定支出控除の適用を受けることができません。

年収400万円のサラリーマンが個人的に業務に関連する支出を年間67万円以上するケースは稀でしょう。
可能性があるとすれば、「資格取得費」です。弁護士や公認会計士、MBAなどの資格取得のために予備校に通う費用などは、年間67万円を超える可能性は十分にあります。

さらに参考書などの図書費やスーツや靴などを購入した費用も合計すると、適用基準に達するかもしれません。まとまった支払いをする場合には、その支払いが特定支出に該当するか否かをあらかじめ確認しておき、特定支出に該当するものについては領収書を捨てずに保管しておきましょう。

【例】年収1500万円の医師の場合

給与の年収が1500万円の場合、給与所得控除の額は220万円になります。したがって、特定支出の額が年間で220万円×1/2=110万円を超えた場合に特定支出控除の適用ができます。

年収1500万円の医師の場合、学会の会費や学会に参加するための費用、書籍代を支出していることが想定されます。また、診療や手術に使う器具を個人で負担しているケースも多くあるほか、スーツ代などサラリーマンと同じような支出もあるため、特定支出の額はサラリーマンと比較するとかなり多額になると思われます。

そのため、年収1500万円の医師の場合、特定支出の合計額が110万円を超える可能性があります。職務に関連する支出については、領収書やレシートなどを保管しておいてください。

関連記事:【税理士監修】勤務医の節税は特定支出控除?それとも会社設立?

特定支出控除を受ける上での注意点

特定支出控除を受ける上での注意点
特定支出控除を受ける上での注意点

特定支出控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。源泉徴収をされている会社員は、通常申告を要しないため、確定申告に際しては、いくつかの注意点がありますので、紹介していきましょう。

その①ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えない

ふるさと納税をした方は、確定申告をすると「ワンストップ特例制度」を利用できなくなることに注意してください。ワンストップ特例制度とは、給与所得者でふるさと納税を行った人が所定の手続きを行えば、確定申告を行わなくても翌年の住民税額がふるさと納税の額に応じて減額される制度です。

特定支出控除の適用を受けるために確定申告する場合でも、ワンストップ特例制度を利用することはできなくなるため、ふるさと納税による節税を行うには確定申告時に寄付金控除の適用を受ける必要があります。

この時、ふるさと納税をした証明として、寄付金の受領証が必要になります。もしワンストップ特例制度を利用するつもりで寄附金控除に必要な書類をもらっていない場合は、早めに再発行の依頼をするようにしましょう。

その②会社から「給与等の支払者の証明書」の認可が必要

給与等の支払者の証明書を交付してもらうには、国税庁の書式による「特定支出に関する証明の依頼書」を会社に提出する必要があります。この依頼書は特定支出の種類ごとに様式が異なるため、最大で8種類(勤務必要経費の3種類を含む)の書式を用意することになります。

依頼書に支出の内訳を書き込んだうえで、会社に確認をしてもらい、証明書欄に会社の住所、名称を記入の上、法人印を捺印してもらうことで証明書の交付となります。

したがって特定支出控除を適用してもらうためには、本人はもちろん会社にも納得のいく内容でないと認められないことになります。会社と認識が一致していないと、特定支出控除を期待した支出が、確定申告前に会社から認められないというデメリットがあるので注意しましょう。

特定支出控除を受けるには確定申告が必要

特定支出控除を受けるには確定申告が必要
特定支出控除を受けるには確定申告が必要

給与所得者は勤務先で年末調整を受けるので、通常は確定申告する必要はないのですが、特定支出控除の適用を受けるには確定申告をしなければなりません。
申告をする際には、特定支出に関する明細書を作成したうえで、特定支出の金額を証明する領収書や、勤務先から職務の遂行に必要なものであることについて証明を受けた書類を申告書に添付しなければなりません。

確定申告書の記入欄と書き方

会社員は「確定申告書A」を用います。詳しい記入方法は、下記の記事を参考にしてください。

関連記事:【確定申告書Aの書き方・2020年】徹底解説!会社員、パートの記入例|ミツモア

特定支出控除は、適用される金額をそのまま確定申告書に記載するのではなく、収入から控除した金額を「所得金額」欄の「給与⑥」に記入します。

特定支出控除は、その年中の給与所得控除額の2分の1を超える額が適用されます。たとえば年収400万円で給与所得控除が134万円の会社員の特定支出が90万円だとすれば、次の計算式より導き出します。

収入  400万円
給与所得控除 134万円
特定支出控除 90万円-(134万円/2)=23万円
給与所得 400万円-134万円-23万円=243万円

ここで算出した243万円を「給与⑥」に記載します。なお「区分」の欄には、特定支出が適用される種類ごとに割り当てられた区分番号を記入します。それぞれの区分番号は次のとおりです。

特定支出控除の種類 区分番号
通勤費 1
転居費 2
研修費 4
資格取得費 8
帰宅旅費 16
図書費 32
衣服費 64
交際費等 128

確定申告はe-Taxを使うと便利

確定申告は、パソコンによる申告も可能です。「e-Tax(イータックス)」と呼ばれる国税庁のオンラインサービスです。

インターネットのある環境であれば、自宅から確定申告が行えるので大変便利です。ただし、これを利用するためには、マイナンバーカード(個人番号カード)とICカードリーダーが必要です。

詳しくは下記を参考にしてください。

関連記事:確定申告をe-Taxで申請すると10万円控除される!やり方とメリット|ミツモア

コラム|特定支出控除の実際の利用状況

特定支出控除を適用すれば、サラリーマンでもスーツ代や取引先との飲食代を経費にすることができます。しかし、金額や必要書類の準備に関するハードルが高く、実際にはあまり利用されていません。

ただ、突発的に大きな支出が発生する場合や、資格取得のために多額の支出をしなければならない場合はありえます。また、前述した医師などの職業を始め、勤務先によっては特定支出の額が大きくなることも考えられます。

そのような場合は特定支出に該当する支出があるかを確認し、該当する支出がある場合には確定申告できるように前もって準備をしておきましょう。

「特定支出控除」を使える場合は積極的に活用しよう

「特定支出控除」を使える場合は積極的に活用しよう
「特定支出控除」を積極的に活用しよう

特定支出控除が適用できる人はかなり限定されていると言えます。資格取得のため予備校に通っている人や、通勤・出張にかかる旅費や宿泊費を個人で負担している人などです。

適用までのハードルが高いために「あまり使えない」と考えられていることも多いのですが、仮に特定支出控除の要件を満たすせば節税につながりますので、知識として持っておくに越したことはありません。まずは自分の給与所得控除の額を確認した上で、特定支出に該当する支払いがないか、あるとすれば特定支出の額がいくらになるかを確認してみてはいかがでしょうか。

実際に適用を検討するときは、はじめての確定申告を行うことになると思います。なんだか難しそうな確定申告ですが、無料相談を受け付けている税理士も多くいますので、無料で税理士を探せるミツモアを使って相談してみてください。

また、こちらの記事ではミツモアに登録している税理士の紹介と、依頼に必要な費用や選び方を解説していますのであわせてご確認ください

関連記事:個人事業主にお勧めの税理士55選と税理士の選び方

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

特定支出控除は実際適用できるケースはかなり少ないのですが、うまく利用できれば有効な節税になります。近年所得税の改正により給与所得控除がどんどん減額される傾向にあります。少しでも有利な制度活用していくためにも、あなたが適用できるかどうか一度検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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