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特定支出控除とは?サラリーマンのスーツが経費になる?

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最終更新日: 2019年02月17日

「サラリーマンの経費」と呼ばれる、特定支出控除。

一定の条件を満たすとサラリーマンでも支出を経費として所得から控除できる制度ですが、スーツなども経費として認められるのでしょうか。
本記事では、特定支出控除の申請方法や実情について、具体例を交えながら説明します。

サラリーマンの経費「特定支出控除」とは?

サラリーマンが仕事上の支出をした場合に経費として申請できる「特定支出控除」とはどのような制度なのでしょうか。
制度の概要や経費として認められる支出の要件、そして基準額について説明していきます。

特定支出控除の適用条件とは?
特定支出控除の条件とは…

特定支出控除とは

特定支出控除とは、給与所得者(サラリーマン)が業務上で必要な支払いを個人でした場合、条件を満たす支出(特定支出)に限り「経費」として所得金額から控除できる制度です。

通常、給与所得者には「給与所得控除」が適用されており、給与に応じた金額が自動的に所得から控除されております。しかし、これは個人事業主の必要経費とは異なり、実際に支出した金額をもとにしていません。
つまり、最初からある程度の経費が見込みで控除されているという考え方ですね。この「特定支出控除」は見込みの経費である給与所得控除を大きく上回る会社員を救済するために、設けられた制度と言えるでしょう。

特定支出に含まれる6項目

では、特定支出控除の対象となる「特定支出」にはどのようなものがあるのでしょうか。仕事や業務に関連する支出であればすべて特定支出(経費)として認められるわけではなく、いくつかの項目に限定されています。具体的には以下の6種類です。

  1. 通勤費
    一般の通勤者として通常必要であると認められるものについて該当します。ただ、多くの企業では通勤手当を支給しているため、通勤費を自ら負担しているケースはそれほど多くないと思われます。
  2. 転居費
    転勤に伴う転居のために通常必要であると認められるものが該当します。しかし、転勤による転居は会社が転居費を負担することが多いため、該当するケースは少ないと思われます。
  3. 研修費
    職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出が該当します。あくまでも個人で負担した金額が対象であり、会社が負担したものについては該当しません。
  4. 資格取得費
    職務に直接必要な資格を取得するための支出が該当します。例えば、自動車やフォークリフトのような特殊車両の免許、簿記検定などが含まれるほか、医師・弁護士・公認会計士などの資格取得についても認められます。ただし、教育訓練給付金などの支給を受ける場合には、その給付金の額を除いた金額となります。
  5. 帰宅旅費
    単身赴任をしている人がその単身赴任先と自宅を往復する際に通常必要な支出です。帰宅旅費も企業が負担することが多く、実際には本人が負担しているケースは少ないでしょう。
  6. 勤務必要経費
    書籍や定期刊行物など、図書で職務に関連する書籍の購入費用や制服・事務服・作業服その他の勤務先で着用が必要とされる衣服の購入費用(衣服費)、勤務先の得意先や仕入先など職務上関係のある者に対する交際費・接待費(交際費等)の3つを総称した支出です。ただし勤務必要経費は、支出の合計額が65万円までに限られています。

以上、6種類の支出が特定支出に該当します。ポイントは「通常必要であると認められること」と「職務に直接必要なもの」であることです。「勤務必要費」として考えれば、スーツも特定支出として経費に出来る可能性は高いでしょう。
逆に、「通勤費」であってもグリーン車を利用した場合や帰宅旅費として飛行機のファーストクラスを利用した場合は業務に必要な範疇を超えていると考えられ、認められないでしょう。
他にも、資格を取得するための支出でも、職務に直接関係ない資格の場合は特定支出には該当しないと考えられています。

特定支出控除の基準額とは

特定支出控除が適用できる基準額は、「特定支出の額が給与所得控除額の1/2を超えた場合」です。
では、その給与所得控除の額はどのように決められているのでしょうか。
給与所得控除の額は給与収入の額に応じて計算されます。収入に応じて計算式が設けられており、下記表の通りになっています。

給与の収入金額給与所得控除額
162.5万円以下65万円
162.5万円超180万円以下収入金額×40%
180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1,000万円以下収入金額×10%+120万円
1,000万円超220万円

給与所得控除 一覧表

例えば、給与収入が500万円のサラリーマンの場合、給与所得控除の額は154万円となります。この場合、特定支出控除の適用が認められるのは、特定支出の年間額が154万円×1/2=77万円を超えた場合になります。

特定支出控除の注意点① 確定申告が必要

給与所得者は勤務先で年末調整を受けるので、通常は確定申告する必要はないのですが、特定支出控除の適用を受けるには確定申告をしなければなりません。
申告をする際には、特定支出に関する明細書を作成したうえで、特定支出の金額を証明する領収書や、勤務先から職務の遂行に必要なものであることについて証明を受けた書類を申告書に添付しなければなりません。

特定支出控除の注意点② ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えない

ふるさと納税をした方は、確定申告をすると「ワンストップ特例制度」を利用できなくなることに注意してください。ワンストップ特例制度とは、給与所得者でふるさと納税を行った人が所定の手続きを行えば、確定申告を行わなくても翌年の住民税額がふるさと納税の額に応じて減額される制度です。特定支出控除の適用を受けるために確定申告する場合でも、ワンストップ特例制度を利用することはできなくなるため、ふるさと納税による節税を行うには確定申告時に寄付金控除の適用を受ける必要があります。
この時、ふるさと納税をした証明として、寄付金の受領証が必要になります。もしワンストップ特例制度を利用するつもりで寄附金控除に必要な書類をもらっていない場合は、早めに再発行の依頼をするようにしましょう。

特定支出控除の注意点③ 給与支払者の証明

特定支出控除の適用を受けるためには、特定支出について職務の遂行に必要な支出であることを、給与支払者が証明した証明書を添付しなければなりません。
証明書の様式は支出の項目ごとに定められており、国税庁のホームページから取得することができます。記載内容は、特定支出した者の氏名や住所のほか、職務の内容や支出の中身が職務に関連するものであること、接待費等についてはその相手方の詳細などとなっており、決して難しい内容ではありません。
ただし、支出の内容ごとに証明書を作成し、給与支払者の証明をもらわなければなりません。特に図書費や衣服費などの場合、スムーズに証明をもらうことができないかもしれません。また、支出の中身を会社に知られるため、証明をもらうことに抵抗を感じるかもしれません。しかし証明がなければ特定支出控除の適用を受けることはできないため、証明書の作成は超えなければならないハードルです。

実際使える?「特定支出控除」

特定支出控除を適用することができれば、業務に関連する個人的な支出を経費にすることができるので、節税につながります。ただ、給与所得控除の1/2の額を超えた場合にしか利用できません。ここでは、年収に応じてそれぞれの給与所得控除の額と、特定支出控除を利用するために必要な金額について説明します。

サラリーマンのスーツも特定支出にあたるものの…

【例】年収400万円のサラリーマンの場合

給与の年収が400万円の場合、給与所得控除の額は134万円になります。この場合、年間で134万円×1/2=67万円を超える特定支出がなければ特定支出控除の適用を受けることができません。
年収400万円のサラリーマンが個人的に業務に関連する支出を年間67万円以上するケースは稀でしょう。
可能性があるとすれば、「資格取得費」です。弁護士や公認会計士、MBAなどの資格取得のために予備校に通う費用などは、年間67万円を超える可能性は十分にあります。
さらに参考書などの図書費やスーツや靴などを購入した費用も合計すると、適用基準に達するかもしれません。まとまった支払いをする場合には、その支払いが特定支出に該当するか否かをあらかじめ確認しておき、特定支出に該当するものについては領収書を捨てずに保管しておきましょう。

【例】年収1500万円の医師の場合

給与の年収が1500万円の場合、給与所得控除の額は220万円になります。したがって、特定支出の額が年間で220万円×1/2=110万円を超えた場合に特定支出控除の適用ができます。
年収1500万円の医師の場合、学会の会費や学会に参加するための費用、書籍代を支出していることが想定されます。また、診療や手術に使う器具を個人で負担しているケースも多くあるほか、スーツ代などサラリーマンと同じような支出もあるため、特定支出の額はサラリーマンと比較するとかなり多額になると思われます。
そのため、年収1500万円の医師の場合、特定支出の合計額が110万円を超える可能性があります。職務に関連する支出については、領収書やレシートなどを保管しておいてください。

特定支出控除の実際の利用状況

特定支出控除を適用すれば、サラリーマンでもスーツ代や取引先との飲食代を経費にすることができます。しかし、金額や必要書類の準備に関するハードルが高く、実際にはあまり利用されていません。
ただ、突発的に大きな支出が発生する場合や、資格取得のために多額の支出をしなければならない場合はありえます。また、前述した医師などの職業を始め、勤務先によっては特定支出の額が大きくなることも考えられます。そのような場合は特定支出に該当する支出があるかを確認し、該当する支出がある場合には確定申告できるように前もって準備をしておきましょう。

「特定支出控除」を使える場合は積極的に活用しよう

特定支出控除が適用できる人はかなり限定されていると言えます。資格取得のため予備校に通っている人や、通勤・出張にかかる旅費や宿泊費を個人で負担している人などです。適用までのハードルが高いために「あまり使えない」と考えられていることも多いのですが、仮に特定支出控除の要件を満たすせば節税につながりますので、知識として持っておくに越したことはありません。まずは自分の給与所得控除の額を確認した上で、特定支出に該当する支払いがないか、あるとすれば特定支出の額がいくらになるかを確認してみてはいかがでしょうか。

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