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【わかりやすく簡単に解説!】所得税とは?税率と計算方法、控除について知っておこう!

最終更新日: 2024年06月28日

所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金のことです。日本の税法では、所得が多いほど所得税の税率が高くなる仕組みになっていますが、控除などを活用することで、納税額を抑えることもできます。

所得税ではどんな計算で税額を決めているのか、どんな控除があるのか、最後にバイトやパートの方が注意すべきポイントまで、分かりやすく解説します!

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

 

所得税とは?

所得税が課せられるのは給与所得は不動産所得など10種類の所得です
所得税が課せられるのは給与所得、不動産所得など10種類の所得です

そもそも所得税とはどんな税金なのでしょうか。税金が課せられる所得の種類などについて説明します。

所得税とは「所得にかけられる国税」

所得税とは、個人の所得に対してかけられる国税のこと。

1年間の所得から控除を差し引いた残りの所得に税率をかけて計算します。

平成25年から令和19年までの期間中は、復興特別所得税を所得税と併せて申告する決まりです。 復興所得税は、その年の所得税額に2.1%の税率をかけて計算します。

参考:所得税のしくみ | 国税庁

所得税は10種類

所得とは、仕事などで得た年収から必要経費などを差し引いた額です。

所得を得た方法によって10種類に分類され、それぞれ税率などが異なります。これは「日々の労働で得た収入と、不動産を売却して一時的に得た収入を同じ扱いにするのは公平ではない」という考え方によるためです。

<所得の分類>

  • 利子所得:公社債や預貯金などの利子などによる所得のこと
  • 配当所得:株式の配当金や証券投資信託の利益分配金など
  • 不動産所得:土地や家屋を貸して得られる違いや家賃収入など
  • 事業所得:農業や漁業、製造業、サービス業などの事業を経営して得る所得
  • 給与所得:会社員が会社から受ける給与やボーナスなどによる所得
  • 退職所得:退職金や退職一時金などによる所得
  • 山林所得:山林の伐採や譲渡によって得られる所得
  • 譲渡所得:不動産や株式またはゴルフ会員権などの資産を売却して得る所得
  • 一時所得:懸賞金などのように継続性のない一次的な所得
  • 雑所得:1〜9のいずれにも当てはまらない所得

雑所得はその中でも「公的年金等」「業務」「その他」の3つに分類されます。

公的年金等 厚生年金、国民年金、共済年金

企業年金

業務 原稿料・講演料

アフィリエイトの収入

インターネットオークションの売上(生活用動産は非課税)

その他 先物取引やFXなどによる利益

外貨建て預金の為替差益

仮想通貨の売却、使用に伴う利益

課税方法は「分離課税」「総合課税」にわけられる

所得税の課税方法は所得の分類によって異なりますが、大きく「総合課税」と「分離課税」に分けられます。

総合課税はさまざまな所得を合算した総所得額に課税する方法です。所得税の計算は原則として総合課税で計算されます。

<総合課税される所得>

  • 不動産家賃収入
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 株式・建物・土地を除く譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

分離課税は他の所得と合算せず個別に課税する方法です。

<分離課税される所得>

  • 利子所得・配当所得のうち源泉分離課税しない所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 株式・建物・土地などの譲渡所得

分離課税には「申告分離課税」と「源泉分離課税」があります。源泉分離課税は所得税を源泉徴収して支払われるものです。あらかじめ所得税は支払われているので、確定申告で所得税を納税する必要はありません。

所得税が源泉徴収されていないものについては、確定申告が必要です。

<申告分離課税する所得>

  • 退職所得
  • 山林所得
  • 株式・建物・土地などの譲渡所得
  • 一定の先物取引による雑所得

課税方法に総合課税と分離課税があるのは、公平性を保つためです。

たとえば退職金などで一時的に大きな収入を得た場合、その収入は長年の労働が積み重なったもので、その他の収入と合わせて計算するのは公平ではありません。別のものとして計算することで、公平性を保とうとしているのです。

関連記事:総合課税とは? 分離課税との違いや計算方法をわかりやすく解説

復興特別所得税について

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興のために使う財源として創設された税です。納税者すべてに納税義務があり、所得税を納税する際、一緒に納めます。

復興特別所得税は、所得ではなく所得税額を基準に決まります。

復興特別所得税額=所得税額×2.1%

現状では、復興特別所得税は2013年から2037年までの期間限定で課税されることになっています。

所得税の税率とは?

日本の所得税は超過累進課税制度で計算されます
日本の所得税は超過累進課税制度で計算されます

日本の所得税は、超過累進課税制度で計算されています。どんな仕組みで、税額はどのように計算するのでしょうか。

日本は「超過累進課税制度」で課税される

累進課税制度とは所得が高い人ほど税率が高くなる制度です。

累進課税制度には「単純累進課税制度」と「超過累進課税制度」の2種類があり、日本は超過累進課税制度を導入しています。

単純累進課税制度は、課税所得が一定額を超えると、所得全体に高い税率が適用されます。

一方の超過累進課税制度は、課税所得が一定額を超えた場合、超えた金額に対してのみ高い税率を適用する仕組みです。

単純累進課税を適用した場合、わずかな所得の差で税率が変わってしまった人は、それほど所得は変わらないのに、納税額が高くなってしまいます。所得増加以上に納税額があがると公平性が保てません。そこで、日本では超過累進課税制度を採用しているのです。

税額早見表と控除額

課税される所得額によって異なるのは、所得税率だけではありません。所得額によって控除額も変わります。

税率と控除額については、以下の速算表で確認できます。

<所得税の速算表>

所得税の速算表
所得税の速算表 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁


所得税で受けられる控除の種類

ふるさと納税などの寄附をすると控除で所得税が減額できます
ふるさと納税などの寄附をすると控除で所得税が減額できます

税率計算の際に控除されるものとは別に、所得税にはさまざまな控除を受けられます。控除は、納税者の個人的な事情に沿うことや、生活基盤を確保することが目的です。

一般的には確定申告が不要の給与所得者でも、控除を受けるためには、確定申告が必要な場合があります。当てはまるものがないかしっかり確認しておきましょう。

控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類がある

控除には所得から差し引く「所得控除」と、所得税額から差し引く「税額控除」の2種類があります。

「所得控除」は、所得税を計算する前の所得から差し引く仕組みです。所得から所得控除額を引いた金額を「課税所得」といい、ここに規定の税率をかけて所得税額を計算します。控除額がそのまま所得税額から差し引かれるわけではない点に注意しましょう。

「税額控除」は計算後の所得税から、所得税額を上限に控除額を差し引きます。そのため節税効果が高くなるのが特徴です。

基礎控除は基本48万円

基礎控除とは国民全員が受けられる控除で、所得控除の1つです。年間の所得金額が2,400万円以下の方であれば一律48万円です。2,400万円を越える場合、以下のように基礎控除額が変わります。

<所得金額に対する基礎控除額>

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

所得控除は15種類

所得控除には15種類があります。家族の人数や年齢、扶養の有無などが条件になっている人的控除と、家計支出状況によって受けられる物的控除があります。

<所得控除一覧と控除額>

控除の種類 控除の概要 控除額
基礎控除 すべての人が対象 所得によって変動する。合計所得2400万円以下の場合48万円
配偶者控除 合計所得が38万円以下の配偶者がいる場合。所得制限がある 13~48万円
配偶者特別控除 合計所得が48万円超133万円未満の配偶者がいる場合。所得制限がある 1~38万円
扶養控除 合計所得が38万円未満で16歳以上の子どもや、親・兄弟姉妹などの高齢者などを扶養している場合 扶養家族の年齢や同居の有無で異なる
寡婦・寡夫控除 配偶者と離婚または死別した寡婦(寡夫)が対象。子どもの有無や合計所得額などの条件に該当すれば特別寡婦となる 27万円(特別寡婦、ひとり親は35万円)
ひとり親控除 婚姻の有無にかかわらず、ひとり親で合計所得500万円以下の場合 35万円
勤労学生控除 納税者が勤労学生の場合。給与収入が130万円までの制限あり 27万円
障害者控除 納税者が障害者の場合 1人につき27万円(指定された特別障害者は40万円、特別障害者と同居する場合は75万円)
医療費控除 生計が同じ家族が支払った医療費の一部を控除できる。

【特例】セルフメディケーション税制 健康診断や予防接種を受けている人は、一部の医薬品の購入費が控除できる(医療費控除との併用はできない)

医療費―保険料―10万円(年間所得200万円未満の人は (医療費―保険料―総所得金額)×5%)

【セルフメディケーション税制】

対象医療品の購入費―12,000円

寄附金控除 ふるさと納税などの特定寄附金をした場合 寄附合計額―2,000円
社会保険料控除 国民健康保険料や国民年金など公的な社会保険料を支払った場合(生計が同じ家族全員分が対象) 保険料全額
生命保険料控除 民間の保険会社に生命保険料を支払った場合 支払金額から計算(最高12万円)
地震保険料控除 民間の保険会社に地震保険料を支払った場合 支払金額から計算(最高5万円)
小規模企業共済等掛金控除 個人事業主が加盟する小規模共済や確定拠出年金(iDeCo)

を支払った場合

支払った全額
雑損控除 災害や盗難などで損害をうけた場合 (損失額―総所得金額)×10%または、災害関連支出額―5万円のどちらか多いほう

寄附金控除は、寄付の内容によっては所得控除か税額控除を選択できます。

ふるさと納税は所得控除と税額控除を併用している仕組みです。所得税と住民税のそれぞれから控除でき、結果的に税額控除と同じ節税効果があります。

主な税額控除

主な税額控除は以下です。「源泉徴収税額」は、職場で年末調整をしていれば申告する必要はありません。

<税額控除一覧と控除額>

控除の種類 控除の概要 控除額
住宅ローン控除 正式には住宅借入金等特別控除。住宅の取得や増改築など、住宅ローンを組んで行った人が対象。控除期間は原則13年。中古住宅は10年。 各年の住宅ローンの年末残高×0.7%(限度額35万円)
配当控除 証券投資信託の配当や株式配当を受けた人が対象 課税総所得が1,000万円以下のとき 配当所得×10%(一定のものは5%)
源泉徴収税額 源泉徴収として所得税が支払われている場合 支払済所得税と復興特別所得税の全額
外国税額控除 海外で行なった事業でその国に支払った所得税がある場合 その年の外国所得税額 または その年の所得税額×(その年分の国外所得総額÷その年分の所得総額)の多いほう

また2020年分の確定申告から、基礎控除や配偶者控除の金額、適用条件に変更がありました。控除の種類や金額は法改正により変化するので注意しましょう。

個人事業主の所得税の計算方法

所得税の計算は4つのステップで行います
所得税の計算は4つのステップで行います

それでは具体的な所得税の計算方法を見ていきましょう。控除方法が選択できるものもあるので、自分で計算してみると、どちらを選択したほうがいいかもわかります。

所得税計算の流れ

所得税の計算は、大きくは以下の流れになります。

  1. 所得金額の計算
  2. 課税所得の計算
  3. 所得税額の計算
  4. 税額控除後の納税額の計算

所得金額の計算方法

所得税は、年収すべてに課せられるわけではなく、収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた利益である「所得」に課せられます。

所得金額は、以下の方法で計算します。

所得金額=収入―必要経費

課税所得の計算

計算された所得金額から、基本控除や配偶者控除など、適用できる所得控除を差し引いたものが、課税所得となります。

課税所得=所得金額―所得控除額

この課税所得を基準に所得税の早見表で適用される税率をかけ、控除額を引いたものが所得税額です。

所得税額=課税所得×税率―控除額

さらに所得税額から税額控除額を差引き、納税額を計算します。

納税額=所得税額―税額控除額

所得税の計算例

例)独身・所得(収入‐経費)400万円・フリーランスの場合

所得400万円のフリーランスの場合を見ていきましょう。

フリーランスの場合は事業所得となり、申請して帳簿付けや申告に関する条件を満たせば、青色申告特別控除が受けられます。

年収400万円の場合、受けられる各種控除は以下の3つです。

  • 青色申告特別控除:最大65万円(今回は、複式簿記記帳の55万円控除とする)
  • 基礎控除:48万円
  • 社会保険料控除:30万円(金額は人による)

所得から各種控除額を差し引いて、所得税課税所得が267万円となります。式は次のとおりです。

所得税課税所得:2,670,000円=所得4,000,000円-青色申告特別控除(550,000円)-基礎控除(480,000円)-社会保険料控除(300,000円)

課税所得金額が分かったら、税率と控除額が決まりますので、計算します。

2,670,000×(税率)0.1-(控除額)97,500=169,500円

さらに復興特別所得税を含めます。

169,500円×1.021=173,059

100円未満は切り捨てですので、このケースの所得税額は「173,000円」となりました。

フリーランスの方は会社員とは違い給与所得控除が受けられないため所得税が高くなってしまいますが、青色申告を行えば青色申告特別控除により所得税を安く抑えることが出来ます。

青色申告の提出期限や承認申請の書き方など詳細は、参考記事をご覧ください。

参考:個人事業主が青色申告をするメリットとは? 白色申告との違いや届出、帳簿について解説

会社員の所得税の計算方法

会社員の所得税は給与から源泉徴収されています
会社員の所得税は給与から源泉徴収されています

個人事業主は所得税計算の際、経費を差し引くことができますが、会社員の場合は、年収額をそのまま使って計算しているのでしょうか。会社員の所得税額について説明します。

会社員には給与所得控除額がある

個人事業主が収入を得るためにさまざまな経費をかけているように、会社員もスーツなどの衣装代や通勤費、勉強のための図書費など、よりよい仕事をするためにお金をかけています。

そこで、会社員には給与所得控除という所得控除が認められています。給与収入から給与所得控除を差し引いたものを給与所得とし、ここから所得税の計算を行います。

給与所得控除額は給与収入額によって異なりますが、最低額は55万円です。給与所得控除額を超えるような研修を受けた場合などは、確定申告をすれば、特別支出控除としてその一部を控除することが認められています。

<令和2年分以降>

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

引用元:給与所得控除 | 国税庁

【給与所得税控除額の計算例】

300万円×30%+80,000円=980,000円

たとえば、年収300万円の人の給与所得控除額は98万円です。

給与所得の所得税の計算例

例)独身・年収400万円・会社員の場合

年収が400万円の会社員の場合、給与所得控除124万円が受けられます。ここで給与所得は276万円だとわかります。

年収400万円×20%+440,000円=1240,000円

年収4,000,000円 – 給与所得控除1,240,000円=2,760,000円

さらに、所得控除(基礎控除+社会保険料控除)を受けられます。

<所得控除(所得税):780,000円の内訳>

  • 基礎控除:480,000円
  • 社会保険料控除:300,000円(金額は人による)

所得税の課税所得は、給与所得から各種控除を差し引いた金額ですので、次の式によって198万円だと算出可能です。

所得税課税所得:1,980,000円= 給与所得2,760,000円 – 所得控除780,000円

課税所得が分かったら、所得税率と控除額が決まります。計算すると所得税は100,500円だと算出可能です。

所得税:100,500円= 課税所得1,980,000円 x 所得税率10% – 控除額97,500円

さらに、復興特別所得税を含めます。

100,500×1.021(復興所得税率)=102,610円

100円未満は切り捨てですので、年収400万円の場合の所得税額は「102,600円」となるのです。

源泉徴収とは?会社員は年末調整で申告

源泉徴収とは、給与を支払う事業者が所得税を給与から差し引き、社員に代わって納税することです。

会社員が自分で確定申告をして、所得税を納税しなくていいのは源泉徴収制度があるからです。なにもしなくても、毎月少しずつ所得税を納税していることになっています。

ただし、源泉徴収で計算される所得税には、生命保険料控除などは考慮されていません。そこで、年末調整として個人の事情を申告し、払いすぎた税金を返してもらったり、足りない税金を追加で支払ったりするのです。

なお2020年の税制改正により、年収850万円を超えると所得税が増税となったことから、給与所得者を対象に「所得税額調整控除」が創設されました。介護や子育て世代で年収850万円を越える方は、年末調整時に「所得金額調整控除申告書」を提出すれば控除を受けられます。

被扶養者(バイト・パート)の所得税の計算方法

パートやアルバイトの人は年収で所得税が課せられるか、控除されるかが決まります
パートやアルバイトの人は年収で所得税が課せられるか、控除されるかが決まります

自分が家族に扶養され、アルバイトやパートで仕事をしている場合「103万の壁」「150万の壁」を意識する人も多いでしょう。これらの言葉の意味や、パート、アルバイトの方が利用できる控除について解説します。

「103万の壁」「150万の壁」とは?

「103万の壁」「150万の壁」とは、課税や控除の対象になるかどうかの分岐となる金額のことです。これを意識することで、がんばって働いたのに納税額が大きくなり、手取りが少なくなった、ということが防げます。

とくに「103万の壁」は、所得税や住民税が課せられるかどうかの分岐点になっています。

なぜ103万円なのでしょうか。これは、すべての給与所得者が受けられる給与所得控除額の最低額と基礎控除額の合計が103万円だからです。パート収入が103万円以下の場合、課税所得額が0になり、所得税が発生しないのです。

給与収入103万円 ― 給与所得控除55万円 = 給与所得48万円

給与所得48万円 ― 基礎控除48万円 = 課税所得0円

配偶者パートの場合

納税者の配偶者としてパートを行う人の場合にもう一つ考慮すべきものが「150万の壁」です。

配偶者として扶養されている場合、もし、パート収入が103万円を超えても配偶者特別控除が受けられます。

配偶者特別控除は年収200万円まで適用されます。控除額は年収によって異なり、満額の38万円を受けられるのは年収150万円以内です。そのため、年収150万円を意識している人が多いのです。

学生のアルバイト場合

学生アルバイトの場合は、勤労学生控除を受けることができます。そのため、年収130万円以下であれば、所得税はかかりません。

給与収入130万円 ― 給与所得控除55万円 = 給与所得75万円

給与所得75万円 ― 基礎控除48万円 ― 勤労学生控除27万円 = 課税所得0円

勤労学生控除が受けられるのは以下の全ての条件に当てはまる人です。

  • 勤労による所得がある
  • 合計所得金額が75万円以下
  • 勤労以外は所得が10万円以下である
  • 特定の学校の学生である

ただし、親に扶養されている学生の場合は、給与所得103万円を超えると扶養を外れることになります。扶養控除が適用できなくなり、親の納税額が増える場合もあるので、注意しましょう。

配偶者控除、扶養控除がある場合の所得税の計算例

例)既婚(16歳の子供1人)・年収700万円・会社員の場合

年収700万円の会社員のケースを見ていきましょう。配偶者と子供がおり、配偶者控除と扶養控除が適用されます

年収700万円であれば、180万円の給与所得控除が受けられ、給与所得は520万円となります。

給与所得:5,200,000円= 年収7,000,000円 – 給与所得控除1,800,000円

所得控除は、合計154万円です。内訳は次のとおりになります。

<所得控除(所得税):1,540,000円の内訳>

  • 基礎控除:480,000円
  • 配偶者控除:380,000円
  • 扶養控除:380,000円
  • 社会保険料控除:300,000円

先ほどお伝えした通り、基礎控除と社会保険料控除の他に、配偶者控除と扶養控除が加わっています。給与所得から各種控除額を差し引いて、所得税課税所得が「366万円」となりました。

所得税課税所得:3,660,000円= 給与所得5,200,000円 – 所得控除1,540,000円

課税所得額が分かったら、所得税率と控除額が決まります。以下の式に当てはめたところ、所得税が算出できました。

所得税:304,500円= 課税所得3,660,000円 x 所得税率20% – 控除額427,500円

さらに復興特別所得税を含めます。計算式は、以下のとおりです。

304,500×1.021=310,894円

100円未満は切り捨てなので、年収700万円の会社員の場合の最終的な所得税額は「310,800円」となります。

所得税と住民税の違い

所得税と住民税は同時に申告しますが、納税は別です
所得税と住民税は同時に申告しますが、納税は別です

所得税と一緒に計算されるのが住民税。住んでいる地方自治体に支払う税金で、都道府県税と市町村民税があります。住民税はどのように計算され、所得税とはどのような関係にあるのでしょうか。

住民税とは?

所得税も住民税も、前年の所得にかかる税金です。所得税と住民税の違いは、納付先と計算方法、納付時期です。

違いを下表にまとめました。

「所得割」と「均等割」の合算で計算

住民税の計算は、所得額に応じて課せられる「所得割」と、所得額に関わらず一律で負担する「均等割」を合算して行います。

所得割の税率は都道府県や市区町村によって異なる場合がありますが、標準的には以下です。

  • 市町村民税・特別区民税 6%
  • 都道府県民税 4%

均等割の金額は、都道府県や市区町村によって異なる場合もありますが、標準的には以下で決まっています。

  • 市町村民税・特別区民税 3500円
  • 都道府県民税 1500円

住民税を計算する際は、所得税を計算する際と同じように所得控除も適用されますが、控除額が異なるものもあります。

住民税の金額は国や自治体から通知される

所得税は確定申告を行って、納める税金を自分で申告し納税します。しかし住民税は、国や自治体が税額を計算し、住民に通知しています。これを「賦課課税方式」といいます。

確定申告が終わり、所得税を納税して安心しているころに、住民税の納付書が届くこともあります。所得税の納付が終わっても、住民税のお知らせがあることを忘れず、納付期限に間に合うよう準備しておきましょう。

監修税理士からのコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

サラリーマンの方は、基本的には年末調整で所得税の計算が行われるので自分で確定申告をする必要はありません。ただし、給与以外の所得がある場合や、「給与額が2,000万円を超える」、「2か所以上から給与を受けており、主たる給与以外の給与が年間20万円を超える」場合などは、確定申告が必要です。判断に迷った場合は税務署又はお近くの税理士にご確認ください。

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例年、細かい変更も起こる所得税や控除。確定申告の際、正しい知識で計算しなければ、本来払う必要のない税金を支払うことにもなりかねません。

確定申告で所得税計算する際は、税のプロである税理士に相談して不安や疑問を解消するのがおすすめです。

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