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減価償却とは?なぜやるの?対象資産や計算、仕訳方法をわかりやすく解説

最終更新日: 2023年12月18日

資産価値のあるものを取得したとき、減価償却の考え方に基づいて経費処理をする場合があります。減価償却の対象となる資産では原則として、全額をその年の経費として計上することはできません。

一括して経費計上できる資産とは扱いが異なるので注意が必要です。この記事は、減価償却費の計算方法や仕訳方法、資産ごとの法定耐用年数など、減価償却について詳しく解説します。

減価償却について理解しよう!

減価償却について理解しよう!
減価償却について理解しよう!

減価償却とは、事業を行う経営者や経理担当者にとって必須といえる会計知識のひとつです。減価償却の考え方を理解しておくと、収益と費用の関係を適切に捉えられるようになります。

また帳簿作成時の仕訳や確定申告でミスをしないためにも、減価償却について正しく理解しておかなければいけません。減価償却とは何か、まずは基本的な事項を押さえるようにしましょう。

減価償却とは?

事業で使う建物や機械装置、備品などは、一般的に時間が経つと減価、つまり価値が減っていきます。期間の経過とともに資産の価値が減っていくことを、会計上で反映させるために行う処理が減価償却です。

減価償却の対象となる資産(減価償却資産)については後述しますが、減価償却資産では取得に要した金額を各年分の必要経費として配分します。耐用年数が4年のパソコンを購入した場合、購入金額が40万円であれば、4年間の各年に計上できる経費は10万円です。

減価償却の目的

たとえば高額な機械設備を導入した場合、資産を購入した年に全額経費に計上するとその年だけ利益が極端に減ってしまい、逆に翌年以降は経費が計上されず利益が大きく見えてしまいます。

しかし、設備を使って利益を生み出している点では1年目も2年目以降も同じはずです。ある年に経費として一括計上することで、年によって会計上の見え方が変わると、実態を正しく反映しているとは言えません。

会計処理では、費用と収益の関係を適切に反映させて経営活動の実態を正確に表す必要があります。「費用収益対応の原則」と呼ばれるもので、減価償却もこの原則に則って行う会計処理のひとつです。一括して計上せず複数年に分けて費用を計上することで経営の実態を反映できます。

減価償却に関わる用語集

実際の会計処理において減価償却をする際、関連する用語の意味を理解しておく必要があります。

用語 意味
減価償却資産 減価償却の対象となる資産
減価償却費 取得価額のうち経費として計上する額
取得価額 資産の取得に要した金額(購入代金や建築費、引取運賃、荷役費、関税など)
取得年月 資産を取得した日
事業供用日 資産を事業用に使い始めた日(減価償却費の計上を開始する日)
償却方法 減価償却費の計算方法(定額法や定率法など)
耐用年数 資産の使用可能期間(減価償却を行う期間)
未償却残高 取得価額から、それまでに計上した減価償却累計額を引いた額

なお、資産を取得して使い始めた場合、一般的に取得年月と事業供用日は同じです。しかし、事務所に機器を搬入して据え付けたものの実際に使い始めるまで期間があったような場合は、取得年月は事業供用日とは異なります。会計処理として減価償却を開始するのは事業供用日からです。

減価償却をすることのメリット・デメリット

減価償却をすることのメリット・デメリット
減価償却をすることのメリット・デメリット

減価償却の対象となる資産は法律で決まっています。減価償却をするかどうか、メリットやデメリットを踏まえて任意に選ぶことは基本的にはできません。(少額減価償却資産の特例を使える場合を除きます)

ただ、法律で決まっていることとはいえ、減価償却で生じる効果や会計上のメリット・デメリットを押さえておけば、経費処理をする際に役立ちます。事務機器や車、建物など、資産を減価償却するとどのような効果があるのか、理解した上で減価償却費の計算や仕訳を行うようにしましょう。

減価償却のメリット

減価償却の主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。

  • 収益と費用が適切に計上されて経営の状況を把握しやすくなる
  • 節税になる場合がある
  • 自己金融効果を得られる

メリットの1つ目は、前述のとおり経営の実態がより適切に会計に反映される点です。経営の状況を把握しやすくなり、今後の見通しを立てやすくなります。

メリットの2つ目は、減価償却をせず一括して経費計上する場合に比べて、耐用年数に応じて複数年に分けて計上するほうが、節税になる場合がある点です。

たとえば、所得税率をかける前の課税所得金額が200万円、所得税率10%の個人事業主が80万円の資産を購入した場合、4年に分けて20万円ずつ経費計上すると、各年の課税所得金額は180万円になり税率が5%に下がります。各年の所得税額は9万円(180万円×5%)で4年間の納税額は36万円です。

一方で減価償却せずに1年目に一括して費用計上した場合は、1年目の税額は6万円(課税所得金額120万円×5%)、2~4年目の各年の税額は20万円(課税所得金額200万円×10%)で4年間の納税額が66万円になるので、減価償却によるほうが節税になります。

メリットの3つ目は、一般的に自己金融効果や内部留保効果と呼ばれるものです。減価償却を行うと会計上は費用が計上されて利益が減りますが、2年目以降は現金の支出は実際にはありません。つまり、その額の現金を払わずに済んだ分、企業や個人事業主の手元(内部)に資産を溜める効果があります。

減価償却のデメリット

減価償却に大きなデメリットはありませんが、敢えて挙げれば、会計処理が複雑になる点がデメリットといえます。

減価償却という考え方があることで、定額法や定率法など減価償却費の計算方法を理解しなければいけません。また帳簿を作成する際、勘定科目として減価償却費を設定したり毎年計算して費用計上したりする手間がかかります。

減価償却の対象になる資産とは?

減価償却の対象になる資産とは?
減価償却の対象になる資産とは?

資産を取得したときに、減価償却の対象になる場合とならない場合があります。減価償却の対象になる資産とは何か、正しく理解しておくことが大切です。

また減価償却を行うにあたり、減価償却資産と似た用語である一括償却資産や少額減価償却資産についても意味を理解しておく必要があります。

減価償却の対象になる資産

減価償却の対象になる資産とは次の条件に当てはまる資産をいいます。

  • 事業用として使っている資産
  • 時の経過とともにその価値が減っていく資産

ただし、そもそもの使用可能期間が1年未満の資産の場合は、2年以上に分けて費用計上することができません。また取得価額が少額の資産も減価償却の考え方に適さないため、減価償却の対象になるのは次の2つの条件を満たす資産と決まっています。

  • 使用可能期間が1年以上の資産
  • 取得価額が10万円以上の資産

建物や建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、事業用であれば一般的に上の条件に当てはまることが多く、減価償却の対象になります。また有形固定資産だけでなく、ソフトウェアや特許権、商標権などの無形固定資産も減価償却の対象です。

なお、取得価額が10万円以上なのか判定する際、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。税込経理であれば消費税を含んだ金額が、税抜経理であれば消費税を含まない金額が取得価額です。ただし免税事業者の経理方式は税込経理になります。

減価償却の対象にならない資産

減価償却の対象になる資産の条件を満たさない場合、つまり次のような資産は、減価償却の対象にはなりません。

  • 事業用ではない資産
  • 事業用資産であっても使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満の資産
  • 時が経過しても価値が減少しない資産

時が経過しても価値が減少しない資産には、たとえば骨董品や土地、借地権などが該当します。

不動産では建物は減価償却を行いますが土地は対象外です。一戸建てを購入して、売買契約書に土地代と建物代の内訳が記載されていない場合は、建物の購入費相当額を算出した上で減価償却を行います。

減価償却資産と一括償却資産の違い

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、その減価償却資産の全部または特定の一部を一括した上で、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を、その年以後3年間の各年分において必要経費にできます。

つまり、該当する資産(一括償却資産)では、本来の法定耐用年数に従って減価償却をせず、取得価額の合計額を3年で償却できるということです。10万円以上20万円未満の減価償却資産であれば、法定耐用年数よりも短い期間で減価償却を終わらせることができます。

減価償却資産 一括償却資産
取得価額 10万円以上 10万円以上20万円未満
減価償却費の計算方法 定額法や定率法により法定耐用年数で償却 3年間の均等償却
償却資産税 課税対象 課税対象外

なお、次に紹介する少額減価償却資産とは違い、一括償却資産に関する規定は青色申告者でも白色申告者でも適用できます。ただしリース資産は、取得価額が10万円以上20万円未満であっても一括償却資産として扱うことはできません。

「少額減価償却資産の特例」について

少額減価償却資産の特例とは、10万円以上30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得金額を全額その年の経費として計上できる特例です。

この特例は一定の要件を満たす青色申告者が対象で、青色申告法人の場合は常時使用する従業員の数が500人以下であることなどが要件です。また経費計上できる額は300万円が上限になります。

固定資産台帳の作成

固定資産台帳とは、事業で使う固定資産を管理するための台帳で、固定資産ごとに名称や取得年月日、取得価額などを記載したものです。減価償却費を計算して記録するために必要な台帳であり、7年間の保存が義務付けられています。

固定資産台帳に決まった形式はありませんが、台帳に記載する主な項目を挙げると次のとおりです。

固定資産台帳に記載する主な項目〕

  • 資産名
  • 資産区分(耐用年数表にある区分名のうち該当するものを記入)
  • 設置場所(住所)
  • 取得年月日
  • 取得価額、数量
  • 耐用年数(耐用年数表から調べて記入)
  • 償却方法、償却率
  • 減価償却費
  • 帳簿価格(未償却残高)

減価償却費の仕訳方法

減価償却費の仕訳方法
減価償却費の仕訳方法

帳簿に記入する際、減価償却費の仕訳方法には直接法と間接法の2種類の方法があります。

  • 直接法:減価償却費を固定資産から直接引く方法
  • 間接法:減価償却費を直接引くのではなく、勘定科目として減価償却累計額を設定する方法

どちらの仕訳方法を選ぶかは自由に決められます。ここでは直接法と間接法のメリット・デメリットや具体的な仕訳方法を紹介するので、それぞれの仕訳方法の特徴や違いを理解した上で記帳方法を選ぶようにしましょう。

直接法

直接法では固定資産の取得価額から減価償却費を直接差し引きます。帳簿上で記載される固定資産の価格は、減価償却費を引いた後の価格です。たとえば、業務用の車の減価償却費として15万円を計上する場合、直接法では次のような仕訳になります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 150,000円 車両運搬具 150,000円

固定資産にどれだけの価値が残っているのか分かるため、同じ資産を中古などで再購入するときの再調達価格の目安を把握しやすくなります。

ただし直接法の場合、元々の購入価格が貸借対照表には表示されません。新品で買い直すときの価格の目安を知りたい場合など、元々の価格を知るには固定資産台帳を確認する必要があります。

個人事業主や規模があまり大きくない企業であれば固定資産の数が少なく、固定資産台帳での確認もしやすくてそれほど手間にはならないので、シンプルな仕訳方法である直接法で問題ないでしょう。

間接法

間接法では減価償却累計額という勘定科目を設定して記帳します。固定資産の金額は取得価額のまま減らしません。借方に設定する勘定科目が減価償却費、貸方に設定する勘定科目が減価償却累計額です。仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 150,000円 減価償却累計額 150,000円

間接法の場合、固定資産の取得価額が貸借対照表に表示される点で分かりやすいといえます。

一方で減価償却を行った結果、現在どれだけの資産価値が残っているのかは一見すると分かりません。ただし貸借対照表に記載された固定資産の取得価額から減価償却累計額を引けば計算できます。

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法

減価償却費の主な計算方法には定額法と定率法の2種類の方法があります。平成28年4月1日以降に取得した資産のうち、建物・建物附属設備・構築物については定額法のみ、それ以外の有形の減価償却資産では定額法と定率法のいずれかを選択可能です。

新たに資産を取得して償却方法を決めたときは、その減価償却資産の取得日が属する事業年度の確定申告書の提出期限までに税務署に届出を行います。個人事業主が届出をしなかった場合は、定額法を選択したものと見なされるので注意してください。

以下では、定額法と定率法それぞれの計算方法や特徴を説明していきます。

定額法

定額法では毎年同じ額の減価償却費を計上します。たとえば、100万円で購入した物品の耐用年数が5年であれば、各年の減価償却費は20万円です。

  • 減価償却費(定額法)=資産の取得価額÷法定耐用年数

次に解説する定率法に比べると、定額法は計算方法がシンプルで分かりやすくなっています。

定率法

定率法では、資産の取得価額から減価償却累計額を引いた額(未償却残高、期首帳簿価額)に、耐用年数に応じて設定されている償却率を乗じて減価償却費を計算します。

  • 減価償却費(定率法)=期首帳簿価額×償却率

ただし、上の式で求めた減価償却費が償却保証額を下回る場合は、初めて下回った年の期首未償却残高に改訂保証率を乗じて得た額を減価償却費とします。

  • 償却保証額=取得価額×保証率

定額法に比べると定率法は計算が複雑になります。また1年目に最も減価償却費が大きくなり、期間が経過すると各年の減価償却費が低減していく点が特徴です。前半のほうが利益額を減らす効果が大きく税負担が抑えられます。

「残存簿価」とは?

減価償却費を計上していけば最終的に帳簿上の資産の価格は0円になり、0円になった時点で帳簿から記載を消すことになりますが、実際には使い続けていて資産が消えたわけではありません。

実態と帳簿の記載が乖離してしまい、資産を管理する上でも問題が生じ得るので、耐用年数が経過して減価償却が終わった資産については、0円ではなく1円と記載することになっています。この1円が残存簿価です。

残存簿価があることで固定資産台帳などでの管理がしやすくなります。たとえば取得価額16万円・耐用年数4年のパソコンであれば、1~3年目の各年は減価償却費4万円を計上しますが、最後の4年目の減価償却費だけは、残存簿価1円を残すため39,999円です。

減価償却資産の耐用年数

減価償却資産の耐用年数
減価償却資産の耐用年数

何年かけて減価償却費を計上するのか、法定耐用年数が「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で定められています。減価償却をするときには、自分が取得した資産の法定耐用年数を確認した上で減価償却費を計算するようにしてください。

同じ車でも小型車と大型車で耐用年数が違う場合があるなど、資産の種類が同じでも法定耐用年数が異なる場合があるので注意が必要です。主な減価償却資産の耐用年数を見ていきましょう。

建物の耐用年数

建物の耐用年数は、木造・金属造などの構造や、事務所用・店舗用・工場用などの用途によって変わります。また、電気設備や給排水設備、衛生設備、空調設備などの建物附属設備は、建物本体と金額を区分することで、建物と分けて減価償却することが可能です。

建物附属設備の耐用年数は一般的に15年で、建物本体よりも期間が短くなることが多く、減価償却を早く終わらせることができます。

建物の法定耐用年数
建物の法定耐用年数(出典:国税庁
建物附属設備の法定耐用年数
建物附属設備の法定耐用年数

なお、実際の仕訳においては、たとえばエアコンが建物附属設備なのか器具・備品なのか、判断が難しい場合があります。

どちらに該当するかによって耐用年数が変わり、各年の減価償却費が変わる場合があるので、迷ったときには税理士に相談するようにしましょう。

パソコンの耐用年数

サーバーとして使用するパソコンの耐用年数は5年で、それ以外のパソコンの耐用年数は4年です。

ただし、パソコンの購入価格が10万円を超えて減価償却資産に該当する場合でも、20万円未満であれば一括償却資産として3年間で償却でき、30万円未満で少額減価償却資産の特例を使う場合はまとめて費用計上できます。

車の耐用年数

車の耐用年数は、一般の事業者の場合と運送会社やタクシー会社などの場合で異なり、後者のほうが使用頻度が高いため耐用年数が短く設定されています。

一般の事業者では、普通自動車の耐用年数は6年、総排気量が0.66リットル以下の小型自動車の耐用年数は4年です。運送事業者などの場合は、普通自動車では4年、積載量が2トン以下の貨物自動車など小型自動車では3年、総排気量が3リットル以上の大型乗用車では5年になります。

車両・運搬具の法定耐用年数
車両・運搬具の法定耐用年数

減価償却の注意点

減価償却の注意点
減価償却の注意点

ここまで減価償却費の仕訳方法や計算方法を解説しましたが、その際、新しい資産を購入するという基本的なケースであることを前提としていました。

資産が新品ではなく中古の場合や購入ではなく資産を処分・売却した場合などは、仕訳方法が変わってきます。実際に減価償却を行うときには、基本的なケースとは考え方や計算方法が異なるケースがあるので、主なものについて確認しておきましょう。

中古で購入した場合

中古で購入した資産は新品のものより耐用年数が短い場合が多く、通常の法定耐用年数を使って減価償却費を計算するのは適切ではありません。

中古資産の価格が新品の購入価格の50%以下の場合には、法定耐用年数ではなく「事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数」を耐用年数とすることができます。

また、使用可能期間の見積りが困難な場合は、次の計算方法で求めた年数を耐用年数とすることができ、これは一般的に簡便法と呼ばれる計算方法です。

法定耐用年数の全部を経過した資産 その法定耐用年数の20%に相当する年数
法定耐用年数の一部を経過した資産 その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

たとえば法定耐用年数30年、経過期間10年の中古資産であれば、簡便法で計算した耐用年数は22年(10年×20%+(30年-10年))です。

なお計算結果の年数に1年未満の端数があるときは端数を切り捨て、2年に満たない場合には2年とします。

リース料を払って資産を使う場合

リース取引によって資産を使う場合、基本的な考え方としては、実態が資産の購入に近ければ、自分で購入した場合と同様に考えて減価償却を行います。しかし単に借りているだけと見なせる場合は、自分の資産になったわけではないので会計上、資産として計上せず減価償却も行いません。

まずリース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の2つに分けることができ、このうちファイナンス・リース取引とは次の2つの条件を満たす取引を指します。該当しないリース取引はオペレーティング・リース取引です。

  • リース期間中の中途解約が禁止されている(中途解約が禁止されている契約に準じる契約を含む)
  • 賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受でき、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担している

さらに、ファイナンス・リース取引は、リース取引終了後に所有権が借り手に移る所有権移転ファイナンス・リース取引と、所有権が移らない所有権移転外ファイナンス・リース取引に分かれます。それぞれの減価償却の取扱いは、原則として以下のとおりです。

所有権移転ファイナンス・リース取引 自分で資産を購入した場合と同様に減価償却を行う
所有権移転外ファイナンス・リース取引 リース期間を耐用年数として減価償却を行う
オペレーティング・リース取引 減価償却を行わない

所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース取引が終了すると資産は貸し手に戻るため、借り手は取引終了までの間に減価償却費を計上することになります。そのため減価償却費の計算で使う耐用年数はリース期間です。

またオペレーティング・リース取引の場合は、費用として支払いリース料は計上しますが減価償却費は計上しません。

なお次の場合には減価償却をせず賃貸借処理によることができます。

  • リース期間が1年以内
  • リース料総額が300万円以下

分割で購入した場合

ローンを組んで分割払いにした場合でも、使用可能期間が1年以上で価格が10万円以上であれば減価償却の対象になります。なお分割払いにすると手数料がかかり、代金を一括で支払う場合に比べて支払総額が大きくなるのが一般的です。

減価償却費の計算の基礎となる資産の取得価額は、購入代金に利息などの手数料を含めた金額を使いますが、契約書などから購入代金と利息を明確に区分できる場合は、利息を含めない金額を取得価額とすることができます。

処分した場合

固定資産を処分した場合は除却の処理を行います。耐用年数が経過する前に処分して未償却残高がある場合、直接法による仕訳例は以下のとおりです。借方に固定資産除却損という勘定科目を設定して未償却残高を記載します。

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 20,000円 車両運搬具 20,000円

また既に減価償却が終わって未償却残高がない場合は、残存簿価1円を処理するため次のように仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 1円 車両運搬具 1円

なお、価格が10万円以上20万円未満で一括償却資産として3年間の均等償却をしている資産の場合は、3年が経過する前に途中で処分した場合でも、未償却残高をまとめて計上することはできません。一括償却資産の場合は3年間かけて減価償却を行います。

売却した場合

減価償却資産を売却し、未償却残高がある場合は、売却によって得た現金などの金額を借方に記入して、貸方には未償却残高および未償却残高と売却価格の差額を記入します。未償却残高2万円の車を3万円で売却した場合、直接法による仕訳例は以下のとおりです。

借方 金額 貸方 金額
現金 30,000円 車両運搬具 20,000円
固定資産売却益 10,000円

なお、個人事業主の場合は、機械装置や器具備品などの減価償却資産の売却代金は原則として事業所得の収入金額にはならず、譲渡所得の収入金額になります。事業とは関係がないという位置付けになるため、勘定科目としては固定資産売却益や固定資産売却損ではなく、事業主借や事業主貸を使って仕訳しましょう。

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減価償却は事業経営者や経理担当者にとって必須の知識のひとつです。取得した資産は減価償却の対象になるのか、定額法と定率法の違いとは何か、正しく理解して経費処理を適切に行いましょう。

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