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仮想通貨(暗号資産)の取引で税金はかかる?計算方法と確定申告の対策

最終更新日: 2024年02月29日

【2023年(令和5年)分の確定申告に関して】

★提出期限(所得税・贈与税の申告や納付期間)
2024年2月16日(金)~ 2024年3月15日(金)
※贈与税は2024年2月1日(木)~2024315日(金)

ビットコインやアルトコインなど仮想通貨(暗号資産)の取引で利益が出ると、所得税が発生します。それに伴い一定の条件を満たすと確定申告が必要です。では具体的にどうすればいいのでしょうか。

本記事では仮想通貨にかかる税金や利益の計算方法、確定申告のやり方、節税方法について解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

仮想通貨(暗号資産)にかかる税金

仮想通貨にかかる税金とは

仮想通貨の取引で得た利益は「雑所得」に該当するため、所得税がかかります。ただし課税の対象になるのは、20万円以上の利益が出た場合です。なお利益に該当するのは、仮想通貨の取引で得た金額から必要経費を差し引いた金額となります。

仮想通貨の取引で所得を得たら、確定申告が必要

仮想通貨の取引で利益を得ると所得税がかかります。その際に必要な経費を差し引いて年間所得が20万円を超えると、所得税の確定申告(青色申告)をやらないといけません。また20万円以下でも、2箇所以上の会社から給与を受け取ったり他の副業で20万円以上の利益を出していたりした場合も確定申告が必要なので注意しましょう。

ただし仮想通貨を持っているだけで円に交換したり、商品・サービスを購入したりしていなければ確定申告は不要です。取引で利益が確定した段階で確定申告の対象になります。

なお、仮想通貨の取引で損失を出して収支が赤字の場合や、年間の給与や退職金以外で得た金額の合計が20万円未満の場合、他の要件に該当していなければ確定申告の必要はありません。

会社員で利益が20万円以下の場合でも住民税の申告は必要

20万円以下の利益で確定申告が不要となるのは、あくまでも所得税の規定である点に注意が必要です。住民税についてはこの規定が適用されません。そのため仮想通貨の利益が20万円以下でも住民税が発生し、申告の手続きを要します。住民税の申告をしないと、正しい住民税額や社会保険料が算出されないので、忘れずに手続きを行ないましょう。

仮想通貨(暗号資産)の取引で所得が発生するタイミング

仮想通貨の取引で所得が発生するケースは、主に4つあります。

  • 仮想通貨を売却した時
  • 他の仮想通貨(暗号資産)の取引に使った場合
  • 仮想通貨(暗号資産)で決済した場合
  • マイニングやステーキング、レンディングで報酬を得た場合

ここでは具体例を交えながら解説します。

仮想通貨を売却した場合

主に発生するのは仮想通貨を売却して利益が出たときです。ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を売却したときや、その仮想通貨を取得したときにかかった金額との差額が所得となります。保有した状態で含み益が出たとしても関係はありません。あくまでも売却時の損益で判断します。売却したときに発生する所得の具体的な計算方法と具体例は下記のとおりです。

所得=「売却したときの価額」-「取得したときの1単位あたりの価額」×「売却した数量」

例:1BTCを200万円で購入し、1BTCが270万円のときに売却した場合        

 →70万円の所得が発生する

他の仮想通貨(暗号資産)の取引に使った場合

またビットコインとイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)など、仮想通貨同士で交換したときも所得が発生します。いったん仮想通貨を売却して日本円に換えた後、新たに他の仮想通貨を購入したとみなされるからです。他の仮想通貨と取引した際に発生する所得の具体的な計算方法と具体例は下記のとおりです。

所得=「購入した仮想通貨の価額」-「売却したときの仮想通貨の価額」

例:保有していたBTCを使ってETHを購入した場合

2/1に1BTCを500万円で購入した

→7/1に購入したBTCをすべて他の仮想通貨(ETH)に交換(※5/1時点の1BTCあたりの価格は700万円)

この具体例を見ると、2月から7月にわたって1BTCあたりの価格が200万円上昇しています。700万円のときにBTCを日本円に換金した後、ETHを手に入れたとみなされ、所得として200万円得ています。

仮想通貨(暗号資産)で決済した場合

さらに仮想通貨を使って商品やサービスを購入するときも所得が発生します。商品やサービスを購入する際、一度仮想通貨を売却した後に日本円に換金したとみなされるためです。仮想通貨の価額が取得時の価額を上回っていれば、利益とみなされます。仮想通貨で商品やサービスを購入したときに発生する所得の具体的な計算方法と具体例は下記のとおりです。

所得=購入した商品またはサービスの価額-仮想通貨購入したときの価額

例:1BTCが20万円のときに1BTCを購入し、1BTCの評価額が50万円まで上がったとき、ビットコインで50万円のテレビを購入した。       

 →30万円の所得が発生する

マイニングやステーキング、レンディングで報酬を得た場合

あわせて「マイニング」という仮想通貨の売買取引を記録する作業で得た報酬も対象です。仮想通貨は「ブロックチェーン」を使って取引日時や取引量などの情報を管理しており、その情報に不正はないか、マイナー(採掘者)と呼ばれる人たちが確認して承認しています。この作業の報酬として仮想通貨を受け取り、必要経費を差し引いた分が所得として発生します。

この他にも、「ステーキング」という特定の仮想通貨を保有して報酬を得たときや、「レンディング」という第三者に仮想通貨を貸し付けて利率を設定し、利息を得る取引も対象です。

仮想通貨(暗号資産)の取引で得た利益を申告しなくてもバレない?

仮想通貨で得た利益を申告しなくてもばれない?

仮想通貨の取引で得た利益を確定申告(青色申告)しないと、税務署からペナルティが課せられるでしょう

税務署は仮想通貨の取引所や利用者の銀行口座に関する入出金履歴などを調査します。多くの利益を出したにもかかわらず適切に申告されていないと、法律で罰せられる可能性があるので、利益が発生したら確定申告することを忘れないでください。

仮想通貨で得た利益を申告しなかった場合のペナルティ

仮想通貨の取引で20万円以上の利益を得ていたにもかかわらず、確定申告を怠ったり、金額を少なめに申告した場合は税務署からペナルティが課せられます。

無申告加算税

申告期限内に申告しなかった場合に追加で納めないといけない税金です。修正申告や更正を行った後、本来払うべき税金とあわせて最大30%の加算税を納めます。

過少申告加算税

本来払わないといけない納税額よりも少ない金額を申告した場合に課せられる税金です。

修正申告または更生後、追加で納める税金とあわせて最大15%の加算税を支払います。

延滞税

申告期限後に確定申告を行ったときにペナルティとして税金を支払います申告期限の翌日から2か月までの場合は年率7.3%、それ以降を過ぎると年率14.6%の税金を追加して払わないといけません。(実際は延滞税特例基準割合というものが使われるため、年率はもう少し低いです)

重加算税

仮想通貨の口座を他人名義にして所得を隠したり、利益を出したのにあえて申告をしなかったりするなど、悪質な場合に課せられる税金です。最大35%~40%の追徴課税を受けるほか、刑事罰の対象となる場合もあります。

仮想通貨にかかる税金の計算方法

仮想通貨にかかる税金の計算方法

仮想通貨は売買や資金決済など、保有目的によって勘定科目が異なり、個人事業主の場合は「雑所得」として扱います。では仮想通貨で得た所得はどのように算出するのでしょうか。課税方式と税額の計算方法について紹介します。

仮想通貨の課税方式

仮想通貨の取引にかかる税金は「総合課税」で計算します。総合課税とは仮想通貨での雑所得の他に、給与所得等の他の所得と金額を合算して税額を求める方法です。たとえば、仮想通貨の取引で得た100万円の所得と400万円の給与所得があれば、合計500万円から控除額を差し引いた金額に対して課税されます。

一方でFXや株取引で得た所得は「分離課税」で計算します。分離課税とは総合課税の所得とは分離して個別に税額を求める計算方法です。仮想通貨の取引と、株やFXの取引を同一の方法と勘違いする方が多いため注意しましょう。

仮想通貨の所得の計算方法

仮想通貨で得た所得の確定申告を行う際、「移動平均法」か「総平均法」どちらかの計算方法を選択する必要があります。計算方法は途中で変更できますが、以下の3点に注意しましょう。

  • 計算方法は仮想通貨の種類ごとに選択できる
  • 確定申告期限までに所轄の税務署に「所得税の仮想通貨の評価方法の届出書」を提出すること
  • 届け出た計算方法は原則として3年間変更できない

届け出なかった場合は「総平均法」が適用されます。それぞれの計算方法は「購入時の単価を求めること」が目的です。ただし下記のようなメリットとデメリットがあるため、自身に合った計算方法を選ぶことが大切です。

メリット デメリット
移動平均法
  • 実際の取引の損益に近い
  • 取引ごとに損益が計算できるため、その時点で損益が把握しやすい
  • 計算が複雑
総平均法
  • 計算が簡単
  • 実際の取引の損益との差が出る可能性
  • その時点で損益が把握しづらい

移動平均法

仮想通貨を購入する度に、購入時の単価を求める方法です。購入の度に平均単価を算出する必要があるので、多くの売買を行う場合、複雑な計算を行ないます。その一方で売買の度に計算することから、実際の損益と計算上の損益が近しくなるほか、年の途中であってもその段階の損益を把握でき、所得や税金の予想がしやすくなるでしょう。

そのため取引が少ない人正しい税金の額を出したい人、年の途中で損益を把握したい人などにおすすめです。

総平均法

1年間に購入した仮想通貨の平均単価で、購入時の単価を求める方法です。対応する期間が終わった後にまとめて計算ができ、非常に容易と言えます。しかし正確な損益を出しにくく、対象期間が終わるまで正しい損益が把握できません。そのため「取引回数が多いから容易に計算を行ないたい人」などに向いています。

仮想通貨(暗号資産)は損益通算や繰越控除はできる?

仮想通貨の取引で損失が出た場合、給与や株式の売買で得た所得など、他の区分所得に対して損益通算はできません。ただし仮想通貨同士や雑所得内での損益は対象です。

また仮想通貨は「雑所得」に該当するため、利益から差し引いてもさらに損失が残る場合、向こう3年は損失を繰り越せる「繰越控除」も対象外になるので注意しましょう。

仮想通貨の所得にかかる所得税の計算手順

会社員が仮想通貨で得た所得に対する税金は、給与所得と合算して以下の手順で求めます。

  1. 仮想通貨での所得額を計算する
  2. 給与所得金額と合算して合計の所得金額を求める
  3. 所得金額から基礎控除額を差し引き、課税所得金額を求める
  4. 課税所得金額に税率をかけ控除額を引いて所得税額を求める
  5. 給与所得の源泉徴収税額を差し引き、実際の納付金額を求める

会社からの給与所得金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の給与等の額」です。「支払金額」は給与の「収入金額」に該当するため、間違えないようにしましょう。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

所得税の速算表 出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

また現在は、求めた所得税額に復興特別所得税として2.1%が加算されます。

実際の計算例

実際の計算例として以下の条件で計算を行ないます。

  • 給与所得控除後の給与等の額250万円
  • 仮想通貨での利益150万円
  • 給与の源泉徴収税額10万円
  • 所得控除は基礎控除のみ

この際に納めるべき税金は182,300円です。

  1. 仮想通貨の所得額=150万円
  2. 合計の所得金額=250万円+150万円=400万円
  3. 課税所得金額=400万円ー48万円(基礎控除額)=352万円
  4. 復興特別所得税額={352万円×20%(税率)ー427,500円(控除額)}×1.021≒282,306円
  5. 納めるべき税額=282,306円ー100,000円(源泉徴収税額)=182,306円

→182,300円(100円未満切捨て)

損益を正しく把握するには計算ツールが便利

仮想通貨の損益を正しく把握するには、計算ツールの使用が便利です。

仮想通貨の取引が多ければ多いほど計算は複雑になり、計算ミスが発生するかもしれません。そこでシステムの自動計算で手間とミスの両方を削減できる計算ツールの活用をおすすめします。移動平均法でも簡単なため、損益や税金をシミュレーションしながら仮想通貨の売買ができます。

Gtax

特におすすめのツールが「Gtax」です。Gtaxでは仮想通貨の損益の自動計算に加えて、仮想通貨の評価方法の届出書も作成できます。また対応している仮想通貨取引の多さと、高いセキュリティも魅力となっています。無料で使用できるプランから提供されているため、税務手続きを簡易に、ミスなくやりたい人に大変おすすめです。

仮想通貨の確定申告のやり方

仮想通貨の確定申告のやり方

仮想通貨で得た所得の確定申告を行うには、確定申告書をはじめとした税務署に提出する書類を準備しましょう。事前に確定申告のやり方を把握することで、実際の手続きもスムーズになるでしょう。

仮想通貨の確定申告に必要な書類

仮想通貨の確定申告を始める前に下記の提出書類を用意しましょう。

  • 確定申告書
  • 本人確認書類(マイナンバーカードや免許証等)
  • 源泉徴収票
  • 控除を受けるために要する書類(社会保険料の領収書等)
  • 仮想通貨の取引に関する書類(出金明細書や取引履歴等)

確定申告書は税務署の窓口や国税庁のホームページから入手できます。なお電子申告で手続きを行う場合、確定申告書の用紙は不要です。また源泉徴収票は職場から、仮想通貨の取引に関する書類(年間取引報告書)は取引所から年の始めに郵送されます。

確定申告書の書き方

確定申告書は分離課税の申告でない限り「第一表」と「第二表」で構成されています。そして仮想通貨の税金の確定申告をする際は「第二表」からの作成がおすすめです。

第二表は所得の内訳や各種控除の詳細等を記載する欄となっています。そのため先に第二表を作成することで、第一表の一部は転記をするだけで記載ができるのです。

確定申告書第二表の書き方

確定申告書第二表
確定申告書第二表 出典:国税庁HP

【確定申告書第二表の書き方】

  1. 住所及び氏名を記載する
  2. 「所得の内訳」欄に支払者、給与所得の金額及び源泉徴収税額を記載する
  3. 「雑所得・配当所得・一時所得に関する事項」欄に仮想通貨の交換所の住所や、収入金額及び必要経費額を記載する
  4. 「所得から差し引かれる金額に関する事項」欄に適用する所得控除の情報を記載する
  5. 「住民税に関する事項」欄に同一生計配偶者や、16歳未満の扶養親族の情報を記載する

記載項目に該当していない場合は空欄での提出で問題ありません。

ただし「住民税に関する事項」の「住民税の徴収方法の選択」をする際に注意が必要です。ここで「給与から天引き」にすると、仮想通貨分の所得に関する住民税も会社で徴収されます。一方で「自分で納付」にすると給与所得以外の住民税の税金は自分で納付することとなります。住民税の徴収で会社に仮想通貨の利益がバレたくない場合は「自分で納付」を選択するといいでしょう

確定申告書第一表の書き方

確定申告書第一表
確定申告書第一表 出典:国税庁HP

確定申告書第二表の記載が完了したら、次に第一表の作成を行ないます。

【確定申告書第一表の書き方】

  1. 申告書上部に住所・氏名等を記載する
  2. 「収入金額等」欄に給与収入や仮想通貨での雑収入の収入金額を記載する
  3. 「所得金額」欄に給与所得や仮想通貨での所得金額を記載・合計する
  4. 「所得から差し引かれる金額」欄に適用する控除内容の控除金額を記載・合計する
  5. 所得金額の合計から所得控除額の合計を差し引いた値に税額を掛け所得税額を求める
  6. 税額控除額を所得税額から差し引く(ある人のみ)
  7. 所得税額に対して2.1%の復興特別税を算出し、復興特別所得税を求める
  8. 復興特別所得税から給与所得の源泉徴収税額を差し引き、納める税金を算出する
  9. 「その他」欄を記載する
  10. 記載の結果還付申告になった場合は「還付される税金の受取場所」欄を記載する

確定申告書の提出方法や提出時期

確定申告の提出方法は以下の3点です。

  • e-Taxで申告する
  • 郵便または信書便により、住所地等の所轄税務署に送付する
  • 住所地等の所轄税務署の受付に提出する

確定申告の提出期間は原則として2月16日から3月15日までです。ただし開始日か終了日が土日の場合は、変更となる可能性があります。必ず国税庁のホームページで確認しておきましょう。

税金の納付方法や納付時期

税金の納付方法は以下の5つです。

  • 振替納税
  • e-Tax(ダイレクト納付)
  • クレジットカードで納付
  • QRコードによりコンビニエンスストアで納付
  • 金融機関または税務署の窓口で現金納付

仮想通貨の税金を節税する方法

所得税の税率は累進課税を採用しており、仮想通貨の取引で得た利益が多ければ多いほど税率は上がります。少しでも税額を減らしたい人は、適切な節税対策を練ることが大切です。

必要経費の計上で利益を減少させる

仮想通貨の取引でも、必要経費を正しく計上することで支払う税金を抑えられる場合があります。仮想通貨の売買だけでなく市場の動向調査や、運用に関する学習などで発生するさまざまなコストを経費として計上すれば、節税できるかもしれません。たとえば仮想通貨の投資にあたって、以下のような項目は必要経費と認められる可能性が高いでしょう。

  • 通貨取引所に支払う仮想通貨の取得手数料
  • 書籍・新聞代
  • 仮想通貨に関するセミナーや勉強会の参加費
  • 仮想通貨のセミナーや勉強に参加するための交通費
  • 出金手数料や取引手数料
  • 仮想通貨の取引を行うための端末購入費

仮想通貨の取引を行うための端末購入費が10万円を超えた場合は、基本的に固定資産として計上して減価償却の対象となってしまい、一括で経費計上することはできません。

また、上記以外にも、家賃や電気代・通信費といった項目は必要な割合を按分することで経費として認められる場合があります。按分とは家賃などの生活と事業の両方に必要な費用を、一定の割合で分割して経費として計上することです。このような費目を「家事関連費」といい、使用している割合や頻度で割合が変動し、一定の割合で按分計算します。

仮想通貨同士で損益通算を利用する

仮想通貨の取引で得た利益と別の仮想通貨で損失が発生した場合、相殺できます。この損益通算の特例を利用することで全体の課税所得が減るため、税負担を軽減できるでしょう。

たとえばビットコインで60万円の利益を得た一方、イーサリアムで20万円の損失を出した場合、この2つを相殺すると課税所得は40万円となります。ただし、この手法を考えるときは確定申告で正確に損益を計算して報告しましょう。

また年末調整を行なったうえで年間の取引で得た利益を20万円以下に抑えられれば、所得税の確定申告を行う必要はありません。税率も考慮しつつ、計画的に取引することをおすすめします。

個人事業主として青色申告を行うこと

個人事業主として青色申告の手続きを行い、登録が認められれば最大65万円の「青色申告特別控除」が受けられます。登録されると仮想通貨の取引で得た所得が「事業所得」として認められるため、「損益通算」や「繰越控除」が適用されるでしょう。ただし、1年間に300万円を超える収入金額があり、かつ、暗号資産取引にかかる帳簿書類を保存しているなどの要件があります。

法人を設立する

仮想通貨の取引で大きな利益を得られるようになった場合は、法人を設立して法人税を納めるのもおすすめです。法人税の最高税率は25.5%と所得税よりも低いため、大幅に税負担を軽減できるでしょう。

ただし法人を設立すると、赤字や利益が少なくても毎年決算と確定申告が必要なほか、事務処理が煩雑化するため手間が増えます。さらに赤字を出しても最低で年間7万円の法人住民均等割を支払う必要もあり、個人よりも年間の運営コストが多くかかるので注意しましょう。

ふるさと納税や各種税控除を利用する

さらにふるさと納税生命保険料控除住宅ローン控除など、税額控除を利用するのもおすすめです。これらの制度を上手に活用することで所得税や住民税の負担を軽減できるので、ぜひ活用してみてください。

確定申告に困ったら税理士に相談しよう

確定申告に困ったら税理士に相談しよう

今回は仮想通貨に関する税金の計算方法や、確定申告の方法、利益を申告しなかった場合のリスク、節税対策について解説しました。

確定申告は税区分や経費計上の分類など煩雑な業務が多く、それだけで手間と時間がかかります。税理士に依頼すれば手間なく正確な確定申告ができるので、申告漏れの心配はありません。

仮想通貨によって得た所得を正しく申告しなかったり、申告を忘れたりすると多額の追徴課税が課せられます。専門家に任せられる点は任せ、負担を減らして適切に申告しましょう。

確定申告に強い税理士を探す

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

仮想通貨は、売却時だけでなく、他の仮想通貨に交換する際や、買い物時の支払手段として使う場合も含み益が実現するとみなされ、所得が発生することとなります。この点を認識しておらず、後々莫大な税金を追徴課税されるケースが散見されますので注意しましょう。迷った際は税理士に相談してみましょう。

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