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【税理士監修】個人事業主の資本金「元入金」とは?自営業の始め方

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最終更新日: 2019年02月17日

自営業を始める個人事業主にとって「元入金」は、何のために会計処理を行っているかがわかりづらく、初めての決算・確定申告の難所でもあります。

しかし、「元入金」の意味や個人事業、特有のお金の流れを理解してしまえば、仕訳そのものはそれほど難しくありません。

今回は、個人事業主の資本金「元入金」の意味や使い方、仕訳方法と計算方法、事業主勘定との関係、確定申告の方法を自営業を開業したばかりの個人事業主に向けて、わかりやすく解説します。

個人事業主の資本金とは?

個人事業では「元入金」という名称を用います
個人事業では「元入金」という名称です

資本金とは、会社のオーナーである株主が設立時に出資した会社のお金です。

返済する必要がないことから、会社の純資産の一部となります。

一方、個人事業では開業時に出資されたお金は存在しますが、資本金という名称は使いません。

その代わり、個人事業では「元入金」という名称を用います。

個人事業主の資本金とは元入金のこと

資本金も元入金も、もとは開業資金です。

事業を開始するためには、事務所を借りたり、机やパソコンなど必要なものを購入したりしなければなりません。

また、事業用の預金口座にも、支払いができるよう入金しておく必要があります。

これらを会社では「資本金」、そして個人事業では「元入金」と呼ぶのです。

ただし、お金の出資元には違いがあります。

会社(株式会社)の場合、株主に出資されたお金を資本金として、会社の開業資金にします。

一方、個人事業主は株式を発行できないため、開業資金は個人事業主が自ら出資しなければなりません。

つまり元入金は、個人事業主が自ら出資した開業資金となるのです。

個人事業主に資本金の記入は不要

個人事業主が、事業関連の書類に記入する際に、資本金の記載欄があった場合、そこには元入金の額を記載する必要があるのでしょうか。

答えは「ノー」です。

会社の資本金と個人事業主の元入金は、開業資金である点は共通していますが、資本金には、もう一つ別の役割があります。

それは、企業の価値や信頼を外部の投資家に示すというものです。

会社の資本金は、現金や固定資産などの資産の部から、借入金などの負債を差しい引いて残る、純資産の部の一部です。

純資産の額が意味するものは、「今抱えている負債を精算したら、一体企業にいくら残るのか」というもの。

言い換えると、その企業に「現在どのくらいの価値あるか」を示す、企業の価値や信用のバロメータになります。

こうした企業価値の情報を必要とするのは、株式会社などに投資する一般の投資家たちです。

会社は、世界中に存在する投資家たちに、正しい投資判断ができる材料を平等に与えなければなりません。

そのため、資本金は決算書や会社の登記簿などで常に公開されています。

また資本金の額は、法人税の計算にも利用されます。

資本金の額が高いほど、法人税など、すべてではないものの税率が上がる項目がございます。

したがって、会社の資本金とは会計・税務の両面で必要とされる、公開ステータスになります。

つまり、資本金の記入欄が求めるものは、法人の資本金の額のことであり、個人事業主の元入金を求めるものではありません。

もし事業に関する何らかの書類に、資本金の額の記入欄があったとしても、それは法人用に設けられた欄です。

特別な指示がない限り、個人事業主が記入する必要はありません。

元入金とは?意味と使い方

元入金とは?意味と使い方を紹介
元入金とは?意味と使い方

ここまでは、会社の資本金と個人事業主の元入金について、共通点や違いを中心に解説しました。

ここからは、いよいよ個人事業主の元入金について、その意味や使い方、マイナスになった時の具体的な対処法などを解説します。

元入金とは個人事業主の開業費用や開業資金

元入金は、個人事業主が事業を開始する際に用意する開業費用や開業資金のことです。

例えば、事務所の家賃や必要物品の購入費用、開業のためにかかった行政手続費用など、開業にかかった費用や、事業用の通帳に入金した現金などがこれに該当します。

個人事業主は元入金がないと始められない?

会社を設立する場合、会社の種類に応じた資本金を用意しなければなりません。

(現行法では、株式会社でも1円から設立できるようになりました。)

一方、個人事業主にはこのような制限はありません。

0円で事業を開始しても全く問題はないのです。

しかしその場合、事業費は常に自分のプライベートマネーから支出することとなります。

そのため、現在事業にどのくらいの資産が残っているかを貸借対照表からひと目で理解することができません。

また融資を受ける際に元入金が全くない決算書を提出すれば、一概には言えませんが、融資の判断が正しく行われないことも起こり得ます。

目安ですが、事業を開始する際は、少なくとも半年以上の固定費用の支払いがまかなえるくらいの元入金を入れるとよいでしょう。

開業後に元入金が増える?元入金の意味とは

元入金とは、資産の部から負債の部を差しい引いて残る資本の部分、つまり現在の資金力を意味する部分になります。

したがって事業の成長とともに、元入金も増えていくのです。

具体的な計算方法と仕訳は、後ほど解説します。

(会社の場合は、利益剰余金という資本金とは別の純資産が増加し、資本金は通常変動しません。)

元入金がマイナスになったらどうなる?

元入金は、マイナスになることもあり得ます。

収入が少なく赤字決算を迎えてしまった場合や、プライベートで事業の資金を引き出すことが多かった場合は、決算時にマイナスとなってしまうのです。

しかし、マイナス状態で事業を続けることに問題はありません。

会計処理もマイナスのまま行うことは可能です。

ただ、決算書で元入金のマイナスは目立ちます。

元入金がマイナスということは、業績あるいは私生活のバランスが悪いことを暗に示し、他人が見れば「管理能力が低い人」ということが一発で見抜かれてしまうポイントだからです。

元入金をプラスにするには、後に解説する「事業主借」がポイントです。

この「事業主借」が多ければ、たとえ事業の収益が芳しくなくとも、元入金のマイナス状態は期末決算で解消できます。

元入金の仕訳方法と計算方法

元入金の仕訳方法と計算方法
元入金の仕訳方法と計算方法

いよいよ、個人事業主の元入金について、具体的な仕訳方法と計算方法を解説します。

毎年行うことなので、必ずこの機会にマスターしましょう!

元入金の開業時の仕訳と計算方法

個人事業を開始する際の、開業費用や開業資金は、元入金勘定で処理します。

個人事業を開業した時の仕訳はこちらです。

例)開業時に、事業用通帳に10万円を入金し、開業費10万円を支払った

仕訳金と仕訳の計算方法

開業仕訳はたったこれだけです。

もし開業費の中に、固定資産に該当するものがあれば固定資産の科目に分けましょう。
期末まで、元入金の額を変動させることはありません。

元入金の期末決算時の仕訳と計算方法

続いて、期末における元入金の仕訳と計算方法です。

期末で行う元入金の会計処理は、以下の3つになります。

  • 当期の「利益(損失)」を計算する
  • その利益(損失)を元入金に加算(減算)する
  • 事業主借と事業主貸の差額を元入金と相殺する

まず、当期の利益とは、損益(P/L)科目の収益(売上など)から費用(仕入れ、一般管理費など)を差し引いた金額です。

損益科目は、期末ごとにリセットされますが、その差額となる利益は、元入金として「資本の部」に組み込まれます。

資本の部は、貸借対照表(B/S)の構成要素です。

なぜ損益(P/L)を貸借対照表(B/S)に組み入れるのでしょうか。

理由は、期中に以下のような仕訳を起こしてきたこと思い出すとわかります。

例)5月分の売り上げ金△△円を計上した

売掛金や現金預金などの資産科目

売上科目の相手勘定は、売掛金や現金預金などの資産科目です。

したがって期末を迎えた時には、貸借科目は損益科目の差、つまり「利益」の分だけ、貸借が合っていない状態となるのです。

もし赤字決算であれば、「損失」の分だけ貸借が合っていないこととなりますが、いずれも収益と費用の差が、貸借の差額です。

そのため期末には、当期の「利益(損失)」を計算した上で、その利益(損失)を元入金に加算(減算)するという作業が必要になります。

それでは、まず当期の利益を計算する方法を見ていきましょう。

ここから先は、確定申告ができる会計ソフトであれば自動で行ってくれるはずです。

期中の収益科目が売上のみ、費用科目が仕入のみと仮定した場合、それぞれの勘定残高を0円とするよう、相手勘定に「損益勘定」を使用し仕訳を起こします。

損益勘定とは、当期の利益を計算するためだけの決算用の科目だと考えて下さい。

会計ソフトでは通常出てきませんが、ここでは、利益が元入金にどう関わっていくかを説明するために、あえて損益勘定を使った基本通りの仕訳で解説をしています。

例)当期の売上100万円、仕入70万円の場合

損益勘定

すると、「損益勘定」の残高が貸方に30万円となります。

この30万円が当期の利益です。

せっかく計上した損益勘定ですが、出番は一瞬です。

すぐに、この損益を元入金に加算します。

例)当期の利益30万円を元入金に計上する

事業主借と事業主貸の処理

さて、損益を元入金に計上しましたが、個人事業主の場合、これだけではまだ貸借が合いません。

理由は、個人事業主の独自勘定となる「事業主借」と「事業主貸」の決算処理を行っていないからです。

ここでは「事業主借」と「事業主貸」の意味や期中・期末の仕訳を解説します。

事業主借と事業主貸とは

事業主借と事業主貸とは、事業用の財布から、私物用の財布とのお金のやり取りがあった時に使用する勘定科目で、個人事業主独自のものです。

事業主借と事業主貸の期中の仕訳

例えば、出かけた先で、事業に必要な物品を購入したとしましょう。

事業用の現金を金庫に入れて常に持ち歩いていれば話は別ですが、通常は、自分の私物の財布から支払いを済ませるはずです。

この時、事業用の通帳からも事業用の現金からもお金は減っていません。

この時の仕訳を具体例でみてみましょう。

例)本屋で専門書(3,000円)を購入。自分の財布から支払った。

事業主貸の期中の仕訳

図書研修費という科目がない場合は、任意の費用科目を使用して下さい。

続いて、今度は事業用の資金を自身の生活費のために引き出したとしましょう。

自営業では、個人事業主に対する給与という概念がありません。

したがって事業で得た資産を個人事業主が使用する場合、必要な時に事業主勘定で引き出すことになります。

例)生活費として10万円を事業用通帳から出金した。

事業主勘定

事業主借と事業主貸は期末に元入金と相殺する

先程、損益(P/L)から計算した利益を元入金に計上しましたが、それだけでは貸借勘定は合いません。

なぜなら事業主勘定を相手勘定としている仕訳の分だけ、事業用の貸借がずれているからです。

そこで決算では、事業主借と事業主貸を最後に元入金と相殺します。

期末の事業主借勘定の残高が3,000円、事業主貸勘定の残高が10万円とした場合、

つまり、この仕訳では元入金のマイナスということになります。

したがって期末の元入金は、(開業)20万円+(利益)30万円-(事業主勘定調整)97,000円=40万3,000円です。

この元入金40万3,000円が、翌期の期首元入金の額になります。

これで元入金に関する仕訳は完了です。

それぞれの仕訳が何のために行われているのかが掴めれば、仕訳そのものは複雑ではありません。

元入金の確定申告

「青色申告決算書」の4枚目「貸借対照表」
「青色申告決算書」の4枚目「貸借対照表」

確定申告書における元入金は、確定申告書に添付する「青色申告決算書」の4枚目「貸借対照表」に登場します。

ところが、せっかく苦労して計算した期末の元入金額を、青色申告決算書にそのまま書くと間違いとなってしまいます。

これは青色申告決算書の仕様によるものです。

ここでは元入金の確定申告について解説します。

青色決算書(貸借対照表)の元入金の額

さて、先程計算した期末元入金の額40万3,000円は、翌期首の元入金の額となります。

ところが、税務署に提出する確定申告書の様式では、記載する時に少し注意が必要です。

元入金を記載するのは、青色決算書の4枚目の貸借対照表では、

  • 損益勘定は「青色申告特別控除前の所得金額」
  • 事業主借、事業主貸は相殺せずにそのままの金額

として、元入金と相殺する前の状態で記載するよう欄が設けられています。

したがってこの欄に従って記載すると、元入金も、決算整理をする前の金額(つまり期首の金額。例では20万円)を記載することとなるのです。

しかし、翌年の青色申告決算書の貸借対照表で、期首の元入金の額は、40万3,000円を記載します。

したがって、2期分の貸借対照表を並べると前年の期末元入金と当年の期首元入金の額がずれていることになるのです。

違和感しかないため、過去に税務署に確認したことがあるのですが、やはりこの記載方法しかないそうです。

つまり、青色決算書の上では、期末元入金≠翌期首元入金となるので注意しましょう。

監修頂いた税理士

西尾 治 - 熊本県熊本市東区

会計事務所に20年程度に従事の後、税理士資格を取得し開業された先生。お客様とのつながり・コミュニケーションを最も重視しておられ、節税はもちろんのこと、 資金調達・経営分析他コンサルも対応している。税理士業を顧客へのサービス業であると考えており、お客様の悩み事に対して、税務のみならず会計・法務なども含めたよろず相談所になるべく、顧客に寄り添う地域密着の税理士事務所。
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開業準備にかかった支出のうち一定のものは開業費として処理できます。開業費は経費ではなく、繰延資産という資産です。会計上は5年間で5分の1ずつ経費としていきますが、税務上は、申告する事業主の方が自由に経費にする年を選択できます。それまでは、繰延資産として毎年、貸借対照表に残したままにしておき、開業から5年以内の任意の年に一括もしくは任意の金額で経費にすることができます。

創業後しばらくは、赤字が続くこともよくあることですし、事業が軌道に乗って利益が出るようになってから開業費を経費にすることもできるということです。もちろん青色申告の方は、3年間は赤字を繰り越すことができ、それ以後に出た黒字と相殺することは可能です。

また創業融資は別として、事業がある程度経過したのちに金融機関から融資を受ける場合は、確かに元入金がマイナスでないにこしたことないですが、それ以上に損益計算書上の利益及びそれ以外に生活費がどのくらいかかり、それを考慮してもなお返済できる余力があるか、また将来の収入の受注見込みなどが融資を受ける際のポイントではと考えます。

青色申告で特別控除65万円を受けるためには、貸借対照表を作成することが必須となっており、損益計算書だけしか作れないときは10万円の控除しか受けることができません。

この55万円の差は、利益が出るようになりますと所得税・住民税・国民健康保険料の金額に大きく影響してきますので、貸借対照表を作成の上、青色申告を行うことをお勧めいたします。

まとめ ミツモアで確定申告を依頼できる税理士を探そう

確定申告に強い税理士を探しましょう
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今回は、個人事業主の資本金である「元入金」について解説しました。

決算書上の元入金は、会社の資本金と同様に開業費の意味をもちますが、資本金のような公開ステータスの意味合いはありません。

また、決算時には当期の利益と事業主勘定と相殺して貸借対照表を調整する役割を担っています。

さて問題は確定申告で、青色申告決算書の仕様によって、ややわかりづらい記載となる点に注意が必要です。

ミツモアでは、個人事業主の確定申告を代行する税理士をご紹介しています。

青色決算書を作成するための決算整理仕訳はもちろん、所得控除や税額控除などの面倒な計算も税理士に任せれば、安心して本業に集中できますよ。

ぜひミツモアで、確定申告に強い税理士を探してみて下さい。

また、こちらの記事ではミツモアに登録している税理士の紹介と、依頼に必要な費用や選び方を解説していますのであわせてご確認ください。>>個人事業主にお勧めの税理士55選と税理士の選び方