個人事業主の帳簿の付け方には「複式簿記」「単式簿記」があり、複式簿記で青色申告を行えば最大65万円の控除を受けられます。
ただ個人事業主となったばかりの人には「帳簿とはどのようなものか」「どうやって帳簿を付けるの」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
個人事業主が作成しなければならない帳簿の種類やその作成方法、ポイントについて解説します。
個人事業主が自分で帳簿をつけるために初心者が知っておくこと
個人事業主が帳簿をつける際は、以下の点を知っておくことが重要です。
- 帳簿の付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2種類がある
- 帳簿はすべての事業者が付ける義務がある|無記帳者にはペナルティあり
帳簿の作成はすべての事業主にとって必要です。
確定申告をする個人事業主や法人も、事業を営んでいる以上、帳簿を付ける必要があります。
また、副業を事業所得として確定申告する場合も、帳簿を作成し保管しておくことが求められます。
帳簿の記載方法には「複式簿記」と「単式簿記」の2種類があり、それぞれの記載手順には以下のような違いがあります。
複式簿記 | 記帳内容の整理→帳簿記載→関係帳簿への記載→収支計算 |
---|---|
単式簿記 | 収支内容を帳簿へ記載のみ |
帳簿の付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2種類がある
作成する帳簿の付け方により、複式簿記と単式簿記の2つの方法があります。
- 複式簿記:1つの取引を仕訳に起こす際に複数の科目を使う記帳方法
- 単式簿記:1つの取引を1つの科目だけで記帳する方法
それぞれの違いとしては、複式簿記は「借方」と「貸方」の2つの側面から資産や収益などを詳細に管理する方法で、単式簿記は現金ので家裏のみを記録するシンプルな記帳方法です。
例として5万円のパソコンを購入した場合の、複式簿記と単式簿記の記帳方法を確認しておきましょう。
複式簿記では、パソコンの購入により消耗品費が発生し、その際に現金で支払ったことが1つの仕訳で分かります。これに対して単式簿記は何を購入したのかだけを表すものであり、現金で購入したのか預金で購入したのかの違いが分かりません。
【複式簿記】
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
消耗品等 | 50,000 | 現金 | 50,000 | パソコン代 |
【単式簿記】
入金 | 入金 | 出勤 | 内容 |
---|---|---|---|
– | 50,000 | 100,000 | パソコン代 |
複式簿記と単式簿記のどっちで付けるべき?
個人事業主の確定申告方法は「青色申告」と「白色申告」の2種類です。申告方法と控除額に応じて、複式簿記と単式簿記どちらにすべきかが異なります。
青色申告で55〜65万円の控除を受けたいという方は複式簿記で帳簿を付けるようにしましょう。
<申告の種類と記帳方法>
申告の種類 | 控除額 | 帳簿の付け方 |
---|---|---|
青色申告 | 65万円 | 複式簿記 |
55万円 | ||
10万円 | 単式簿記 | |
白色申告 | なし |
青色申告で65万円か55万円の控除を受ける個人事業主は、複式簿記により帳簿の作成が必須です。1年間に発生した事業上の損益を複式簿記によって明らかにし、売上や経費の金額、資産や負債の残高を青色申告決算書に記載して確定申告します。なお青色申告の中でも10万円控除の適用を受ける人は、複式簿記による帳簿の作成は不要です。
白色申告で確定申告する人も、単式簿記による帳簿を作成し、事業上の損益の状況だけ集計すれば問題ありません。確定申告書と一緒に提出する収支内訳書にも損益の状況を記載しますが、資産や負債状況の記載は必要ないです。
平成26年1月1日以降、帳簿の作成自体はすべての人が義務付けられているため必ず帳簿付けはしておきましょう。
帳簿はすべての事業者が付ける義務がある|無記帳者にはペナルティあり
帳簿は個人事業主がどのような取引をいつ行なったのか、その際に受け取ったり支払ったりした金額はいくらかを明らかにするものです。
個人事業主として事業を行なっている人は、すべて帳簿を作成しなければなりません。特に平成26年1月1日以降は、白色申告を行なっている個人事業主も帳簿の作成が義務付けられています。また帳簿を作成するだけでなくその帳簿を保管しておき、税務調査などが行なわれた場合には提示しなければならないとされています。
帳簿を付けないと科されるペナルティ
個人事業主の方が帳簿を付けないことによるデメリットや、無記帳によって発生するペナルティを以下にまとめました。
デメリット | ・事業場の設けや資金残高の把握の複雑化
・帳簿を付けず所得が正しく計算できないことによるの税額の不足 |
---|---|
ペナルティ | 重加算税の課税
※不足税額の35%または40% 参考:無記帳者の重課税について |
意図的な所得隠しとなる金額が税務調査で発覚すると、不足税額に対して重加算税が課されるおそれがあります。
重加算税は不足税額に対して35%あるいは40%の税率です。その罰則は大変重いので、重加算税が課されないようにしなければなりません。
また青色申告を行なっている個人事業主が帳簿を正しく付けていない場合には、青色申告が取り消されることもあります。これにより青色申告による特典が適用されず、税負担が増えてしまうのです。
個人事業主が付ける帳簿の付け方の種類
個人事業主は確定申告の際に正しく所得金額を計算し、税務調査が行なわれた場合に申告書の金額が正しいことを示すために、帳簿を作成しなければなりません。
作成する帳簿はどのような形式でもいいわけではなく、申告の種類ごとに異なります。どのような帳簿があるのかを確認しておきましょう。
青色申告 | 白色申告 | ||
---|---|---|---|
控除額 | 65万円・55万円 | 10万円 | なし |
主要簿 | 仕訳帳
総勘定元帳 |
ー | |
補助簿 | 現金出納帳
預金出納帳 売掛帳 買掛帳 固定資産台帳 など |
収入金額・必要経費を記帳した帳簿 |
収入金額・必要経費を記帳した帳簿
主要簿
主要簿には「仕訳帳」「総勘定元帳」の2種類があり、決算時に青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成するための資料となります。
仕訳帳
仕訳帳とは、個人事業主が行なった1年間のすべての取引の仕訳を日付順に記録した帳簿を言います。この帳簿により補助簿によって別々に記録されていたすべての取引を、時系列で確認することが可能です。
取引全体の概要をまとめているのが特徴であり、伝票ごとに都度伝票を作成する伝票会計とは異なります。仕訳帳に取引の仕訳を記録したうえで総勘定元帳に転記する流れになるので、帳簿作成の基本となる重要な帳簿です。
総勘定元帳
総勘定元帳とは仕訳を行なった勘定科目ごとに1年間の取引を記録した帳簿です。この帳簿により、1年間の資産・負債や売上・経費の内容を確認できます。
総勘定元帳より、青色申告書に含まれる損益計算書や貸借対照表が作成されるため、確定申告の際に重要な帳簿です。
補助簿
補助簿と呼ばれる帳簿の種類については、行なう事業の内容にもよりますが、一般的には次の5つの帳簿があります。個人事業主は、事業に関わる日々の取引のすべてを補助簿に記録していくのが一般的です。会計ソフトを使用している場合は、補助簿の入力から自動的に主要簿の仕訳帳と総勘定元帳が作成されます。
現金出納帳
お小遣い帳と同じイメージで、現金で支払いを行なったときや、売上代金などを現金で受け取った時に記録する帳簿です。この帳簿をつけることで、現在現金の残高がいくら残っているかを把握したり、どのような用途で現金を支払ったり、受け取ったかを把握することができます。
預金出納帳
預金出納帳は銀行口座に預けているお金の出入りを管理する帳簿です。預金の出入りを記録するものなので、預金通帳の内容を順番に転記することで作成します。
売掛帳
掛(ツケ)によって商品を販売した場合や、掛による販売代金を回収した際に記録する帳簿です。
掛けによる取引は信用取引であるため、いくら商品を販売していくら代金を回収したかを管理していなければ、取引先の信用を失うおそれがあります。また売掛帳によって管理することで、販売代金の回収漏れなどを防ぐことができます。
買掛帳
基本的に売掛帳と逆の立場の取引の際に記録する帳簿で、掛けによって商品を仕入れた場合や、掛けによる仕入代金を支払った際に記録します。売掛帳と同じくきちんと管理することで、取引先の信用を守り代金の支払い漏れなどを防ぐことが可能です。
なお買掛帳に入力する取引は本業の商品の仕入のみで、備品などを後払いで購入した場合は「未払金」として処理します。
固定資産台帳
個人事業主の所有する固定資産を管理する帳簿です。固定資産の種類や耐用年数、減価償却費や未償却残高を記録します。固定資産台帳をつけることで、固定資産の管理に役立ちます。
確定申告までの帳簿の付け方
1.毎日の取引を仕訳帳や補助簿に記入する
まず毎日の取引を、発生主義で「仕訳帳」に記入していきます。青色申告で65万円または55万円の控除を受ける人は、必ず複式簿記で記帳しましょう。
仕訳帳は日付順に、詳細に取引を記録する必要があります。基本的に欠かすことなく毎日更新しましょう。
仕訳帳の記載項目例は以下です。
仕訳帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
借方 | 借方の勘定科目と金額 |
貸方 | 貸方の勘定科目と金額 |
摘要 | 取引の内容 |
元丁 | 総勘定元帳の転記先 |
また仕訳帳とあわせて補助簿も随時記入していきます。補助簿は預金出納帳、売上帳、支払手形記入帳などがありそれぞれ詳細は異なりますが、一般的には以下の項目を記入します。
預金出納帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
入金 | 入金があった際の金額 |
出金 | 出金があった際の金額 |
摘要 | 取引の内容 |
勘定科目 | その取引において相手方となる勘定科目 |
残高 | 当取引後の残高 |
2.仕訳帳への記入をもとに総勘定元帳に転記する
仕訳帳に仕訳を記入した後は、仕訳帳の内容を各個別の勘定科目ごとにまとめ、それを総勘定元帳に書き写していきます。この手順は「転記(てんき)」と呼ばれる手続きです。
転記では仕訳帳から総勘定元帳の該当ページに関連する情報を写し取ります。日付や相手勘定科目、金額などです。
摘要欄には仕訳帳における相手の科目を指定しましょう。たとえば「現金」の総勘定元帳なら「売掛金」などです。複数の科目が関与する場合は「諸口」と記入します。
仕丁欄は仕訳帳をもとにしているため、仕訳帳のページ番号を書いてください。
総勘定元帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
借方 | 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入 |
貸方 | 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入 |
摘要 | その取引において相手方となる勘定科目 |
仕丁 | 仕訳帳のどのページに関連しているか |
3.仕訳帳や総勘定元帳の記入をもとに青色申告決算書を記入する
確定申告を青色申告にて実施する場合、「青色申告決算書」と呼ばれる書類の提出が必要です。
青色申告決算書は一定期間にわたる帳簿の結果をまとめたもので、3ページにわたる損益計算書とその内訳、1ページの貸借対照表の計4ページの文書でなりたっています。
損益計算書
損益計算書は1年間の所得(儲け)をまとめたもので、PL(Profit and Loss statement)とも呼ばれます。仕訳帳や総勘定元帳でまとめた金額を元に、売上、仕入、各種経費などの金額を記入していきましょう。
1ページ目は概要で、2~3ページに各項目の内訳を詳細に示す必要があります。消耗品費や支払手数料など、損益計算書で詳細な内訳が必要な項目は、日常の会計処理から注意が必要です。
貸借対照表
損益計算書は1年間の所得(儲け)をまとめたもので、PL(Profit and Loss statement)とも呼ばれます。仕訳帳や総勘定元帳でまとめた金額を元に、売上、仕入、各種経費などの金額を記入していきましょう。
1ページ目は概要で、2~3ページに各項目の内訳を詳細に示す必要があります。消耗品費や支払手数料など、損益計算書で詳細な内訳が必要な項目は、日常の会計処理から注意が必要です。
個人事業主の帳簿の付け方のポイント
そこで初心者が最初に押さえておくべきポイントは以下の3つです。
- 定期的に記帳する習慣をつける
- 取引内容は適切な勘定科目に分類して正確に記録する
- 売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける
- 記帳する中で表記・勘定科目の分類などがぶれないようにする
初めて帳簿を付ける個人事業主は、最初から完璧に帳簿を作成するのは難しいかもしれません。しかし帳簿の作成を誤ってしまうと正しい税額計算ができず、場合によってはそれが原因でペナルティが発生することもあるため気をつけましょう。
定期的に記帳する習慣をつける
記帳において初心者が押さえておくべきポイントの1点目は、定期的に記帳する週間をつけることです。
普段から記帳内容を整理せず溜めていると、確定申告前に焦って一気に記帳しなければならなくなります。
急いで記帳すると計算間違いや記載ミスなどが発生する可能性があるため、焦らないように定期的に記帳する習慣をつけておくことが重要です。
おすすめの記帳頻度は、月に1回がおすすめです。
月次決算をおこなって経営者が事業の財政状況を把握しておくことで、事業の軌道修正などをおこなってスピード感のある経営ができるようになります。
取引内容は適切な勘定科目に分類して正確に記録する
記帳する際は、取引内容を適切な勘定科目に分類して正確に記録することも重要です。
取引日や取引内容、金額、取引先などを正確に記録しておくことで、仕訳の際に勘定科目と金額を適切に割り振り、正確に記録できるようになります。
わからない場合は、「〇〇 勘定科目」で検索すると見つかることが多いので、都度調べてみてください。
売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける
帳簿は売上や経費が発生したタイミングで損益に計上する「発生主義」という考え方で作成します。
たとえば12月25日に購入した物品が、1月3日に届き、費用を支払ったとします。この場合帳簿をつけるべきは12月25日です。
なお「現金主義」という考え方が発生主義とよく比較されます。現金主義は「現金の入金・出金があった時に、売上や経費を認識する考え方」であるため混同しないように注意しましょう。
記帳する中で表記・勘定科目の分類などがぶれないようにする
記帳の中で表記や勘定科目の分類がぶれないようにすることも重要なポイントだと言えます。
ブレの発生しやすいものとしては下記のようなものがあります。
項目 | 分類 1 | 分類 2 | 判断基準 |
---|---|---|---|
タクシー代 | 交通費 | 交際費 | ビジネス移動(交通費)か、接待やクライアント対応のための利用(交際費)かで分類 |
少額の事務所設備 | 雑費 | 消耗品費 | 一度きりの少額出費・多目的使用(雑費)か、消耗品として使用するもの(消耗品費)かで判断 |
接待関連の食事費用 | 交際費 | 広告宣伝費 | 顧客接待などで発生した費用(交際費)か、自社のPRやプロモーション目的(広告宣伝費)かで分類 |
申告内容に誤りがあると、税務調査の際に指摘される要素になりうるため注意が必要です。
個人事業主が付ける帳簿の保存期間は何年?申告種別に紹介
個人事業主は確定申告の際に正しく所得金額を計算し、税務調査が行なわれた場合に申告書の金額が正しいことを示すために、帳簿を作成しなければなりません。
作成する帳簿はどのような形式でもいいわけではなく、申告の種類ごとに異なります。どのような帳簿があるのかを確認しておきましょう。
青色申告 | 白色申告 | ||
---|---|---|---|
控除額 | 65万円・55万円 | 10万円 | なし |
主要簿 | 仕訳帳 | – | |
総勘定元帳 | |||
補助簿 | 現金出納帳 | 収入金額・必要経費を記帳した帳簿 | |
預金出納帳 | |||
売掛帳 | |||
買掛帳 | |||
固定資産台帳 |
なお、帳簿や領収書を紛失した場合、青色申告が取り消されてしまったり、税務署から推計課税を課されてしまう可能性があるため注意しましょう。
帳簿の保存期間
個人事業主の帳簿の保存期間は、青色申告と白色申告のどちらで申告するかにより、異なる期間が定められています。保存期間が経過するまでに捨ててしまったということがないように注意してください。
帳簿の種類 | 保存期間 | |
---|---|---|
青色申告の場合 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
白色申告の場合 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 |
必要書類の保存期間
※前々年分の不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額が300万円以下の人は、5年間保存すればよいことになっています
書類の種類 | 保存期間 | |
---|---|---|
青色申告の場合 | 決算関係書類:損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類:領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年※ | |
その他書類:取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 | |
白色申告の場合 | 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 | 5年 |
※前々年分の不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額が300万円以下の人は、5年間保存すればよいことになっています。
個人事業主が帳簿を付ける手段別のメリット・デメリット
記帳手段としてご紹介した3つの方法について、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのか確認しておきましょう。
手書き | エクセル | 会計ソフト | |
---|---|---|---|
メリット |
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デメリット |
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初心者が帳簿を付け始めるなら会計ソフトがおすすめ!各種の特徴を解説
クラウド型の会計ソフト
クラウド型の会計ソフトには以下のようなメリットがあります。
- スマホで利用することができ、場所を選ばずに使える
- 預金やカード利用記録のデータを同期し、効率的に仕訳を作成できる
- バージョンアップの手間がない
- PCが故障してもクラウドにデータがあるので、データはクラウドサーバーに残っている
クラウド型の会計ソフトは新しく開発されたものなので、インストール型と比較して便利な機能を多く持ちます。費用としては基本的な機能を備えているソフトで年間1万円〜2万円で、部門管理などの機能が備わっているソフトは年間3万円〜4万円かかります。
インストール型の会計ソフト
インストール型の会計ソフトには以下のようなメリットがあります。
- バージョンアップがない限りはソフトを購入後は費用が基本的にかからない(ただし保守料などを契約している場合は、毎年費用が必要です)
- オフラインで使用できるためセキュリティ対策となる。
インストール型の会計ソフトは大きな税法改正などがない限りはバージョンが古いソフトでも使うことができ、ソフトの費用は安く抑えて使用することができます。ただし法律の改正があった場合には、誤った会計処理になるおそれがあるので注意が必要です。
初心者は特におすすめ!個人事業主の帳簿付けに便利な会計ソフト3選
会計ソフトを利用するのがいいと分かれば、次にどの会計ソフトを利用するのか決めなければなりません。そこで多くの人に利用されているおすすめの会計ソフトを3つご紹介します。
初心者でも利用しやすいのか、スマホアプリにも対応しているのかといった点から、以下3つの会計ソフトを紹介しますので、自分にとってどれが使いやすいのか考えてみましょう。
- freee
- マネーフォワードクラウド会計
- 弥生会計シリーズ
freee
freeeは個人事業主のような、比較的小規模な事業者が特に利用しやすいクラウド型の会計ソフトです。
その最大の特徴は、アプリが提供されておりスマホからも操作できることです。入力画面からの操作も分かりやすく、特に経理初心者の方でも直感的に入力ができる特徴があります。スマホだけでなくパソコンを使っても操作しやすいため、迷いなく入力ができるはずです。
またfreeeは確定申告書の作成にもスムーズに移行できます。中でもスマホで帳簿付けを行なっている人は、そのままスマホで確定申告書が作成可能です。スマホから確定申告書を作成できる会計ソフトはほとんどないため、非常に珍しいといえます。
マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードクラウド会計は、その名のとおりクラウド型の会計ソフトです。
銀行口座やクレジットカードなどの支払い手段を登録しておき、その動きを入力しながら仕訳処理ができます。また勤怠管理や経費精算などのサービスとの連携も簡単にできるので、多くの会社や個人事業主に利用されています。簿記の知識があれば、多くの機能を使いこなして経理業務を簡潔にできるでしょう。
機能に制限はありますが、個人事業主は無料で利用できるプランも用意されています。そのためまずはお試しとしてマネーフォワードクラウド会計を利用するのもおすすめです。
弥生会計シリーズ
弥生会計には、インストール版とクラウド版があります。
個人事業主だけでなく中小企業でも広く利用されており、最も有名な会計ソフトの1つです。多くの人に使われているのは、単に青色申告決算書や確定申告書を作成するだけでなく、財務分析や資金繰りなど経営者として知りたい情報を分析してくれる機能があるためです。
弥生会計はいくつかの種類がある中から自分に合ったソフトを選択できます。また事業を始めたばかりの人でも利用しやすいよう「やよいの白色申告オンライン」は無料で利用できます。その一方で料金は発生しますが、サポートを受けられるプランも充実しているのがポイントです。
会計初心者でどうしても帳簿の付け方がわからない時の対処法
初めて帳簿の作成に取りかかろうとしても、その付け方が分からないというのは実際によくあります。何も分からないため誰に聞いたらいいのかも、どうしたらいいのかも分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そこで、初めて帳簿を付ける場合や帳簿の付け方が分からない方に向けて、以下の3点を解説します。
- 税務署の個人課税部門の説明会を受ける
- 青色申告会や商工会議所・商工会の指導を受ける
- 簿記3級の勉強をする
それぞれについて詳しくみていきましょう。
税務署の個人課税部門の説明会を受ける
税務署では事業所得等を有する白色申告の方を対象にした記帳説明会が随時開催されます。この説明会では、記帳の方法や帳簿の保存制度について説明を受けられるため、記帳方法の理解を深められるはずです。
また決算時期には決算説明会が開催され、決算時に必要となる棚卸の仕方や減価償却の計算方法の説明を受けられます。これにより、記帳だけでなく正しい所得計算の方法も理解できるのです。
これらの説明会は、いずれも青色申告をしていない白色申告の人しか利用できない点に注意して下さい。事前の申し込みが必要なので、まずは最寄りの税務署に問い合わせしてみましょう。
青色申告会や商工会議所・商工会の指導を受ける
青色申告会や商工会議所・商工会といった団体が、中小事業者の確定申告のサポートをしてくれます。そのため帳簿の付け方や確定申告書の作成で迷った場合には、これらの窓口で相談できるのです。
具体的にはどのように会計ソフトを操作したらいいのか、確定申告書のどこに金額を記載するのか、あるいは必要経費と認められるのかといった質問にも答えてもらえます。
まずは、自分が住んでいる地域や事務所・店舗がある地域の青色申告会、商工会議所や商工会のホームページを探してみましょう。実際に決算や確定申告の相談会の日程が公表されているので、予約を取って出かけるようにしましょう。
簿記3級の勉強をする
税務署の記帳説明会や青色申告会などの指導を受けるには、あらかじめ予約をしておき空いた時間を作らなければなりません。しかし個人事業主として開業したばかりの人は本業に時間を使いたいため、昼間に時間を割かれるのはつらいという方が多いと思います。
そこで説明会などに参加できなくても記帳の実務が進められるよう、簿記3級の勉強をするのも1つの方法です。まったく何の知識もないと記帳を行なうのは大変ですが、簿記3級程度の知識があれば、大半の個人事業の方の記帳はできます。
独立すると忙しくなるので、個人事業主として独立する前に簿記の勉強を行なうのが理想です。ただどうしても独立前に勉強ができなかった場合は、確定申告直前ではなく早いうちから勉強して準備しておくようにしましょう。
おすすめの参考書:
そこでおすすめしたいのが、「イメージで攻略 わかる! 受かる! ! 日商簿記3級」です。この本は簿記初心者が勉強しやすいよう、フルカラーで多くのイラストを使って、直感的に理解できるよう工夫されています。実際の取引のイメージがイラストで説明されており、初心者でも抵抗なく学習を進められるのです。
またテーマごとに学習できるため、少しの空き時間を有効に使いながら、簿記のイロハを学習できます。さらに無料の仕訳アプリが利用でき、簿記の知識を得るだけでなく実践に対応できる力もつけられるはずです。
会計・税務のプロに帳簿付けをおまかせする
記帳業務については、会計・税務のプロにおまかせするのがおすすめです。
会計士や税理士などのプロであれば記帳業務に精通しているため、記帳をミスなくスムーズに済ませてもらえるでしょう。
記帳代行を依頼することで、自身のリソースを会計・税務に割く割合が大きく減り、本業に集中できるようになります。
記帳業務が負担になっていて本業がおろそかになってしまうというのは本末転倒であるため、無理せずに依頼してしまうと良いでしょう。
初心者は帳簿の付け方と手順を正しく理解して確定申告を乗り切りましょう
最後に帳簿についてまとめると、次のことがポイントになります。
- 全ての個人事業主に帳簿の作成・保存義務がある。
- 白色申告や青色申告で10万円の控除を受ける場合は簡易式での帳簿作成ができる。
- 青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記で主要簿の作成が必要。
- 65万円控除を受ける際には会計ソフトでの記帳がおすすめ。
- 帳簿や書類により保存期間が異なるが原則7年保管しておけばOK!
- 帳簿を付けなかったり、紛失したりした際には大きな罰則のおそれがある。
帳簿の作成は、初めは面倒な作業になるかもしれませんが、正確な帳簿を付けることで自身の業績の分析にも役立ち、事業の内容を理解することに繋がります。正しく帳簿を付けることを心がけましょう。
また、帳簿について分からないことがあれば、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
自分に合った税理士を探したい、比較検討してできるだけ費用が安い税理士に依頼したいという方はミツモアを利用することがおすすめです。
ミツモアであれば、簡単な質問内容に答えるだけで目的にあった税理士を最大で5人まで一括比較できるため、簡単に税理士を探すことができます。