個人事業主にとって悩みの種である帳簿の記録。特に個人事業主になったばかりの人にとっては、「そもそも帳簿って何?」「どうやって記帳するの?」とわからない点だらけなはずです。
そこでこの記事では、帳簿の基礎知識や記帳のやりかたについて詳しく解説していきます。
この記事を監修した税理士
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通
【はじめに】帳簿に関連する用語集
帳簿の分野には聞き慣れない単語が多く、苦手意識のある人も少なくないでしょう。
帳簿について具体的な解説をする前に、まずは帳簿に関連する用語の簡単な説明をまとめました。各用語についてざっくり把握してから読み進めてみてください。
用語 | 意味 |
帳簿 | お金の動きを記録する紙 |
簿記 | 帳簿の記録をまとめて決算書を作ること |
勘定科目 | 何にお金を使ったのかを表す分類 |
仕分 | 取引した記録を勘定科目ごとに整理すること |
記帳 | お金の流れを帳簿に記録すること |
控除 | 特定の条件を満たすことで、課税対象の金額から引き抜ける金額 |
帳簿=日々のお金の流れを記録する台帳
そもそも帳簿とは、事業におけるお金の流れを記録する書類のことです。「台帳」と呼ばれることもあります。
帳簿は以下のような目的で作成されます。
- 決算書作成のため
- 会社のお金の流れを正確に把握するため
- 税務署への説明の根拠とするため
個人法人を問わず、何らかの事業を運営している人全員に帳簿を付ける義務があります。
確定申告の申請方法には2パターンある
帳簿をもとに作成する確定申告書の申請方法には、以下の2パターンがあります。
付け方 | メリット | デメリット |
青色申告 | 10万円~65万円の控除を受けられる | 記帳の方法が複雑で、専門知識が必要 |
白色申告 | 記録のやり方がシンプルで簡単 | 節税効果がない |
ざっくり言うと、
- 青色申告:記録の手間が大きいが大きな節税効果がある
- 白色申告:節税効果はないが日々の記録は簡単
となります。
どちらの申請方法を選ぶかによって、帳簿の付け方や必要書類が異なります。
簿記の知識がない&初めて確定申告を行う人は、いったん白色申告で記帳を行うのがおすすめです。
個人事業主が自分で帳簿をつけるために初心者が知っておくべき2つのこと
個人事業主が帳簿をつける際は、以下の点を知っておくことが重要です。
- 帳簿の付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2種類がある
- 帳簿はすべての事業者が付ける義務がある|無記帳者にはペナルティあり
それぞれ詳しく解説します。
帳簿の付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2パターンがある
作成する帳簿の付け方により、複式簿記と単式簿記の2つの方法があります。
- 複式簿記:1つの取引を仕訳に起こす際に複数の科目を使う記帳方法
- 単式簿記:1つの取引を1つの科目だけで記帳する方法
複式簿記は「借方」と「貸方」の2つの側面から資産や収益などを詳細に管理する方法で、単式簿記は現金のみの出入りを記録するシンプルな記帳方法です。
例として5万円のパソコンを購入した場合の、複式簿記と単式簿記の記帳方法を確認しておきましょう。
【複式簿記】
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
消耗品費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | パソコン代 |
【単式簿記】
摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
消耗品費(パソコン代) | 50,000円 | 100,000円 |
複式簿記では、パソコンの購入により消耗品費が発生し、その際に現金で支払ったことが1つの仕訳で分かります。これに対して単式簿記は、お小遣い帳のようなシンプルな記録で済むものの、詳細なお金の流れまでは把握できません。
複式簿記と単式簿記のどちらで付けるべき?
個人事業主の確定申告方法は「青色申告」と「白色申告」の2種類です。申告方法と控除額に応じて、複式簿記と単式簿記どちらにすべきかが異なります。
青色申告で55〜65万円の控除を受けたいという方は複式簿記で帳簿を付けるようにしましょう。
<申告の種類と記帳方法>
申告の種類 | 控除額 | 帳簿の付け方 |
---|---|---|
青色申告 | 65万円 | 複式簿記 |
55万円 | ||
10万円 | 単式簿記 | |
白色申告 | なし |
青色申告で65万円か55万円の控除を受ける個人事業主は、複式簿記により帳簿の作成が必須です。1年間に発生した事業上の損益を複式簿記によって明らかにし、売上や経費の金額、資産や負債の残高を青色申告決算書に記載して確定申告します。
なお青色申告の中でも10万円控除の適用を受ける人は、複式簿記による帳簿の作成は不要です。
白色申告で確定申告する人も、単式簿記による帳簿を作成し、事業上の損益の状況だけ集計すれば問題ありません。確定申告書と一緒に提出する収支内訳書にも損益の状況を記載しますが、資産や負債状況の記載は必要ないです。
帳簿はすべての事業者が付ける義務がある|無記帳者にはペナルティあり
個人事業主として事業を行なっている人は、全員が帳簿を作成しなければなりません。
特に平成26年1月1日以降は、白色申告を行なっている個人事業主も帳簿の作成が義務付けられています。また帳簿を作成するだけでなくその帳簿を保管しておき、税務調査などが行なわれた場合には提示しなければならないとされています。
帳簿を付けないと科されるペナルティ
個人事業主の方が帳簿を付けないことによるデメリットや、無記帳によって発生するペナルティを以下にまとめました。
デメリット | ・事業場の設けや資金残高の把握の複雑化
・帳簿を付けず所得が正しく計算できないことによるの税額の不足 |
ペナルティ | 重加算税の課税
※不足税額の35%または40% |
意図的な所得隠しとなる金額が税務調査で発覚すると、不足税額に対して重加算税が課されるおそれがあります。
重加算税は不足税額に対して35%あるいは40%の税率です。その罰則は大変重いので、重加算税が課されないようにしなければなりません。
また青色申告を行なっている個人事業主が帳簿を正しく付けていない場合には、青色申告が取り消されることもあります。これにより青色申告による特典が適用されず、税負担が増えてしまうのです。
個人事業主が付ける帳簿の種類
個人事業主が付ける帳簿は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 主要簿:青色申告に必須の帳簿
- 補助簿:主要簿の補助的な帳簿
青色と白色のどちらで申請するかによって、必要な帳簿の種類は変わってきます。
青色申告 | 青色申告 | 白色申告 | |
控除額 | 65万円・55万円 | 10万円 | なし |
主要簿 | 仕訳帳
総勘定元帳 |
– | |
補助簿 | 現金出納帳
預金出納帳 売掛帳 買掛帳 固定資産台帳 など |
収入金額・必要経費を記帳した帳簿 |
主要簿:青色申告に必須の帳簿
主要簿には「仕訳帳」「総勘定元帳」の2種類があり、決算時に青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成するための資料となります。
仕訳帳(しわけちょう)
仕訳帳とは、個人事業主が行なった1年間のすべての取引の仕訳を日付順に記録した帳簿を言います。この帳簿により補助簿によって別々に記録されていたすべての取引を、時系列で確認することが可能です。
取引全体の概要をまとめているのが特徴であり、伝票ごとに都度伝票を作成する伝票会計とは異なります。仕訳帳に取引の仕訳を記録したうえで総勘定元帳に転記する流れになるので、帳簿作成の基本となる重要な帳簿です。
総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)
総勘定元帳とは仕訳を行なった勘定科目ごとに1年間の取引を記録した帳簿です。この帳簿により、1年間の資産・負債や売上・経費の内容を確認できます。
総勘定元帳より、青色申告書に含まれる損益計算書や貸借対照表が作成されるため、確定申告の際に重要な帳簿です。
補助簿:主要簿の補助的な帳簿
補助簿と呼ばれる帳簿の種類については、行なう事業の内容にもよりますが、一般的には次の5つの帳簿があります。
- 現金出納帳(げんきんすいとうちょう)
- 預金出納帳(よきんすいとうちょう)
- 売掛帳(うりかけちょう)
- 買掛帳(かいかけちょう)
- 固定資産台帳(こていしさんだいちょう)
個人事業主は、事業に関わる日々の取引のすべてを補助簿に記録していくのが一般的です。会計ソフトを使用している場合は、補助簿の入力から自動的に主要簿の仕訳帳と総勘定元帳が作成されます。
現金出納帳(げんきんすいとうちょう)
お小遣い帳と同じイメージで、現金で支払いを行なったときや、売上代金などを現金で受け取った時に記録する帳簿です。この帳簿をつけることで、現在現金の残高がいくら残っているかを把握したり、どのような用途で現金を支払ったり、受け取ったかを把握することができます。
預金出納帳(よきんすいとうちょう)
預金出納帳は銀行口座に預けているお金の出入りを管理する帳簿です。預金の出入りを記録するものなので、預金通帳の内容を順番に転記することで作成します。
売掛帳(うりかけちょう)
掛(ツケ)によって商品を販売した場合や、掛による販売代金を回収した際に記録する帳簿です。
掛けによる取引は信用取引であるため、いくら商品を販売していくら代金を回収したかを管理していなければ、取引先の信用を失うおそれがあります。また売掛帳によって管理することで、販売代金の回収漏れなどを防ぐことができます。
買掛帳(かいかけちょう)
基本的に売掛帳と逆の立場の取引の際に記録する帳簿で、掛けによって商品を仕入れた場合や、掛けによる仕入代金を支払った際に記録します。売掛帳と同じくきちんと管理することで、取引先の信用を守り代金の支払い漏れなどを防ぐことが可能です。
なお買掛帳に入力する取引は本業の商品の仕入のみで、備品などを後払いで購入した場合は「未払金」として処理します。
固定資産台帳(こていしさんだいちょう)
個人事業主の所有する固定資産を管理する帳簿です。固定資産の種類や耐用年数、減価償却費や未償却残高を記録します。固定資産台帳をつけることで、固定資産の管理に役立ちます。
個人事業主が帳簿を付ける手段別のメリット・デメリット
帳簿をつける手段には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 手書き
- エクセル
- 会計ソフト
手書き | エクセル | 会計ソフト | |
メリット |
|
|
|
デメリット |
|
|
|
初心者の方には会計ソフトをおすすめします。必要最低限の項目を入力すれば、自動で書類を作ってくれるからです。
確定申告までの帳簿の付け方
確定申告までの帳簿の付け方を具体的に解説します。
1.毎日の取引を仕訳帳や補助簿に記入する
まず毎日の取引を、発生主義で「仕訳帳」に記入していきます。青色申告で65万円または55万円の控除を受ける人は、必ず複式簿記で記帳しましょう。
仕訳帳は日付順に、詳細に取引を記録する必要があります。基本的に欠かすことなく毎日更新しましょう。
仕訳帳の記載項目例は以下の通りです。
仕訳帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
借方 | 借方の勘定科目と金額 |
貸方 | 貸方の勘定科目と金額 |
摘要 | 取引の内容 |
元丁 | 総勘定元帳の転記先 |
また仕訳帳とあわせて補助簿も随時記入していきます。補助簿は預金出納帳、売上帳、支払手形記入帳などがありそれぞれ詳細は異なりますが、一般的には以下の項目を記入します。
預金出納帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
入金 | 入金があった際の金額 |
出金 | 出金があった際の金額 |
摘要 | 取引の内容 |
勘定科目 | その取引において相手方となる勘定科目 |
残高 | 当取引後の残高 |
勘定科目の判断の仕方
「どの勘定科目にすればいいか迷ってしまう」と悩む方は多いでしょう。
勘定科目には厳格なルールがなく、企業や個人事業主側である程度自由に決められます。ただし税務署に見せる機会もあるため、ほかの人にもわかりやすいように科目を設定する必要があります。
勘定科目の判断の仕方については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
2.仕訳帳への記入をもとに総勘定元帳に転記する
仕訳帳に仕訳を記入した後は、仕訳帳の内容を各個別の勘定科目ごとにまとめ、それを総勘定元帳に書き写していきます。この手順は「転記(てんき)」と呼ばれる手続きです。
転記では仕訳帳から総勘定元帳の該当ページに関連する情報を写し取ります。日付や相手勘定科目、金額などです。
摘要欄には仕訳帳における相手の科目を指定しましょう。たとえば「現金」の総勘定元帳なら「売掛金」などです。複数の科目が関与する場合は「諸口」と記入します。
仕丁欄は仕訳帳をもとにしているため、仕訳帳のページ番号を書いてください。
総勘定元帳の記載項目 | |
---|---|
日付 | 取引の日付 |
借方 | 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入 |
貸方 | 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入 |
摘要 | その取引において相手方となる勘定科目 |
仕丁 | 仕訳帳のどのページに関連しているか |
3.仕訳帳や総勘定元帳の記入をもとに青色申告決算書を記入する
確定申告を青色申告にて実施する場合、「青色申告決算書」と呼ばれる書類の提出が必要です。
青色申告決算書は一定期間にわたる帳簿の結果をまとめたもので、3ページにわたる損益計算書とその内訳、1ページの貸借対照表の計4ページの文書でなりたっています。
損益計算書
損益計算書は1年間の所得(儲け)をまとめたもので、PL(Profit and Loss statement)とも呼ばれます。仕訳帳や総勘定元帳でまとめた金額を元に、売上、仕入、各種経費などの金額を記入していきましょう。
1ページ目は概要で、2~3ページに各項目の内訳を詳細に示す必要があります。消耗品費や支払手数料など、損益計算書で詳細な内訳が必要な項目は、日常の会計処理から注意が必要です。
貸借対照表
貸借対照表はバランスシートとも呼ばれ、特定の時点における企業の財産や権利を示す表です。
青色申告決算書の書き方について詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事もご覧ください。
個人事業主の帳簿の付け方のポイント
帳簿初心者が最初に押さえておくべきポイントは以下の3つです。
- 定期的に記帳する習慣をつける
- 売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける
- 記帳する中で表記・勘定科目の分類などがぶれないようにする
初めて帳簿を付ける個人事業主は、最初から完璧に帳簿を作成するのは難しいかもしれません。しかし帳簿の作成を誤ってしまうと正しい税額計算ができず、場合によってはそれが原因でペナルティが発生することもあるため気をつけましょう。
定期的に記帳する習慣をつける
記帳において初心者が押さえておくべきポイントの1点目は、定期的に記帳する習慣をつけることです。
普段から記帳内容を整理せず溜めていると、確定申告前に焦って一気に帳簿をつけなければいけなくなります。
急いで記帳すると計算間違いや記載ミスなどが発生しやすいため、焦らないように定期的に記帳する習慣をつけておくことが重要です。最低でも月に1回程度は帳簿をまとめる時間を作りましょう。
売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける
帳簿は売上や経費が発生したタイミングで損益に計上する「発生主義」という考え方で作成します。
たとえば12月25日に購入した物品が同日届き、1月3日に費用を支払ったとします。この場合帳簿をつけるべきは12月25日です。
なお「現金主義」という考え方が発生主義とよく比較されます。現金主義は「現金の入金・出金があった時に、売上や経費を認識する考え方」であるため混同しないように注意しましょう。
記帳する中で表記・勘定科目の分類などがぶれないようにする
記帳の中で表記や勘定科目の分類がぶれないようにすることも重要なポイントだと言えます。
ブレの発生しやすいものとしては下記のようなものがあります。
項目 | 分類 1 | 分類 2 | 判断基準 |
---|---|---|---|
タクシー代 | 交通費 | 交際費 | ビジネス移動(交通費)か、接待やクライアント対応のための利用(交際費)かで分類 |
接待関連の食事費用 | 交際費 | 広告宣伝費 | 顧客接待などで発生した費用(交際費)か、自社のPRやプロモーション目的(広告宣伝費)かで分類 |
申告内容に誤りがあると、税務調査の際に指摘される要素になりうるため注意が必要です。
個人事業主が付ける帳簿の保存期間は何年?申告種別に紹介
帳簿や領収書には、それぞれ保存期間が設けられています。
帳簿や領収書を紛失した場合、青色申告が取り消されてしまったり、税務署から推計課税を課されてしまうリスクがあるため注意しましょう。
帳簿の保存期間
個人事業主の帳簿の保存期間は、青色申告と白色申告のどちらで申告するかにより、異なる期間が定められています。保存期間が経過するまでに捨ててしまったということがないように注意してください。
帳簿の種類 | 保存期間 | |
青色申告 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
白色申告 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 |
必要書類の保存期間
書類 | 保存期間 | |
青色申告 | 決算関係書類:損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類:領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年※ | |
その他書類:取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 | |
白色申告 | 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 | 5年 |
※前々年分の不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額が300万円以下の人は、5年間保存すればよいことになっています。
初心者は特におすすめ!個人事業主の帳簿付けに便利な会計ソフト3選
会計ソフトを利用するのがいいと分かれば、次にどの会計ソフトを利用するのか決めなければなりません。そこで多くの人に利用されているおすすめの会計ソフトを3つご紹介します。
初心者でも利用しやすいのか、スマホアプリにも対応しているのかといった点から、以下3つの会計ソフトを紹介しますので、自分にとってどれが使いやすいのか考えてみましょう。
- freee
- マネーフォワードクラウド会計
- 弥生会計シリーズ
freee
freeeは個人事業主のような、比較的小規模な事業者が特に利用しやすいクラウド型の会計ソフトです。
その最大の特徴は、アプリが提供されておりスマホからも操作できることです。入力画面からの操作も分かりやすく、特に経理初心者の方でも直感的に入力ができる特徴があります。スマホだけでなくパソコンを使っても操作しやすいため、迷いなく入力ができるはずです。
またfreeeは確定申告書の作成にもスムーズに移行できます。中でもスマホで帳簿付けを行なっている人は、そのままスマホで確定申告書が作成可能です。スマホから確定申告書を作成できる会計ソフトはほとんどないため、非常に珍しいといえます。
マネーフォワードクラウド会計
マネーフォワードクラウド会計は、その名のとおりクラウド型の会計ソフトです。
銀行口座やクレジットカードなどの支払い手段を登録しておき、その動きを入力しながら仕訳処理ができます。また勤怠管理や経費精算などのサービスとの連携も簡単にできるので、多くの会社や個人事業主に利用されています。簿記の知識があれば、多くの機能を使いこなして経理業務を簡潔にできるでしょう。
機能に制限はありますが、個人事業主は無料で利用できるプランも用意されています。そのためまずはお試しとしてマネーフォワードクラウド会計を利用するのもおすすめです。
弥生会計シリーズ
弥生会計には、インストール版とクラウド版があります。
個人事業主だけでなく中小企業でも広く利用されており、最も有名な会計ソフトの1つです。多くの人に使われているのは、単に青色申告決算書や確定申告書を作成するだけでなく、財務分析や資金繰りなど経営者として知りたい情報を分析してくれる機能があるためです。
弥生会計はいくつかの種類がある中から自分に合ったソフトを選択できます。また事業を始めたばかりの人でも利用しやすいよう「やよいの白色申告オンライン」は無料で利用できます。その一方で料金は発生しますが、サポートを受けられるプランも充実しているのがポイントです。
会計初心者でどうしても帳簿の付け方がわからない時の対処法
初めて帳簿の作成に取りかかろうとしても、その付け方が分からないというのは実際によくあります。何も分からないため誰に聞いたらいいのかも、どうしたらいいのかも分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そこで、初めて帳簿を付ける場合や帳簿の付け方が分からない方に向けて、以下の3点を解説します。
- 青色申告会や商工会議所・商工会の指導を受ける
- 税務署の個人課税部門の説明会を受ける
- 会計・税務のプロに帳簿付けをおまかせする
青色申告会や商工会議所・商工会の指導を受ける
青色申告会や商工会議所・商工会といった団体が、中小事業者の確定申告のサポートをしてくれます。そのため帳簿の付け方や確定申告書の作成で迷った場合には、これらの窓口で相談できるのです。
具体的にはどのように会計ソフトを操作したらいいのか、確定申告書のどこに金額を記載するのか、あるいは必要経費と認められるのかといった質問にも答えてもらえます。
まずは、自分が住んでいる地域や事務所・店舗がある地域の青色申告会、商工会議所や商工会のホームページを探してみましょう。実際に決算や確定申告の相談会の日程が公表されているので、予約を取って出かけるようにしましょう。
税務署の個人課税部門の説明会を受ける
税務署では事業所得等を有する白色申告の方を対象にした記帳説明会が随時開催されます。この説明会では、記帳の方法や帳簿の保存制度について説明を受けられるため、記帳方法の理解を深められるはずです。
また決算時期には決算説明会が開催され、決算時に必要となる棚卸の仕方や減価償却の計算方法の説明を受けられます。これにより、記帳だけでなく正しい所得計算の方法も理解できるのです。
これらの説明会は、いずれも青色申告をしていない白色申告の人しか利用できない点に注意して下さい。事前の申し込みが必要なので、まずは最寄りの税務署に問い合わせしてみましょう。
会計・税務のプロに帳簿付けをおまかせする
記帳業務については、会計・税務のプロにおまかせするのがおすすめです。
会計士や税理士などのプロであれば記帳業務に精通しているため、記帳をミスなくスムーズに済ませてもらえるでしょう。
記帳代行を依頼することで、自身のリソースを会計・税務に割く割合が大きく減り、本業に集中できるようになります。
記帳業務が負担になっていて本業がおろそかになってしまうというのは本末転倒であるため、無理せずに依頼してしまうと良いでしょう。
初心者は帳簿の付け方と手順を正しく理解して確定申告を乗り切りましょう
最後に帳簿についてまとめると、次のことがポイントになります。
- 全ての個人事業主に帳簿の作成・保存義務がある。
- 白色申告や青色申告で10万円の控除を受ける場合は簡易式での帳簿作成ができる。
- 青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記で主要簿の作成が必要。
- 65万円控除を受ける際には会計ソフトでの記帳がおすすめ。
- 帳簿や書類により保存期間が異なるが原則7年保管しておけばOK!
- 帳簿を付けなかったり、紛失したりした際には大きな罰則のおそれがある。
帳簿の作成は、初めは面倒な作業になるかもしれませんが、正確な帳簿を付けることで自身の業績の分析にも役立ち、事業の内容を理解することに繋がります。正しく帳簿を付けることを心がけましょう。
また、帳簿について分からないことがあれば、専門家である税理士に相談することをおすすめします。
自分に合った税理士を探したい、比較検討してできるだけ費用が安い税理士に依頼したいという方はミツモアを利用することがおすすめです。
ミツモアであれば、簡単な質問内容に答えるだけで目的にあった税理士を最大で5人まで一括比較できるため、簡単に税理士を探すことができます。