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【2024】個人事業主の帳簿の付け方|初心者でもわかる3つのポイント

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最終更新日: 2024年02月28日

個人事業主の帳簿の付け方には「複式簿記」「単式簿記」があり、複式簿記で青色申告を行えば最大65万円の控除を受けられます。

ただ個人事業主となったばかりの人には「帳簿とはどのようなものか」「どうやって帳簿を付けるの」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

個人事業主が作成しなければならない帳簿の種類やその作成方法、ポイントについて解説します。

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

個人事業主の帳簿の付け方|初心者でもわかる3つのポイント

初めて帳簿を付ける個人事業主は、最初から完璧に帳簿を作成するのは難しいかもしれません。しかし帳簿の作成を誤ってしまうと正しい税額計算ができず、場合によってはそれが原因でペナルティが発生することもあります。

そこで初心者が最初に押さえておくべきポイントを3つ紹介します。初めからすべてを完璧にはできないため、できることから順番に作成するのがいいでしょう。

  • 帳簿はすべての事業者が付けないといけない
  • 付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2種類
  • 売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける

帳簿はすべての事業者が付けないといけない

帳簿は個人事業主がどのような取引をいつ行なったのか、その際に受け取ったり支払ったりした金額はいくらかを明らかにするものです。

個人事業主として事業を行なっている人は、すべて帳簿を作成しなければなりません。特に平成26年1月1日以降は、白色申告を行なっている個人事業主も帳簿の作成が義務付けられています。また帳簿を作成するだけでなくその帳簿を保管しておき、税務調査などが行なわれた場合には提示しなければならないとされています。

帳簿を付けないと科されるペナルティ

そもそも個人事業主の方は、帳簿を付けていないと事業上の儲けや資金の残高を把握できません。そのため確定申告をしようにも売上や経費がいくらあるのか分からず、1年間の儲けを表す所得金額を正しく計算できないのです。

帳簿を付けていないために所得が正しく計算できず、それによって納税額が不足していれば「申告漏れ」または「所得隠し」と判断されます。意図的な所得隠しとなる金額が税務調査で発覚すると、不足税額に対して重加算税が課されるおそれがあります。

重加算税は不足税額に対して35%あるいは40%の税率です。その罰則は大変重いので、重加算税が課されないようにしなければなりません。

また青色申告を行なっている個人事業主が帳簿を正しく付けていない場合には、青色申告が取り消されることもあります。これにより青色申告による特典が適用されず、税負担が増えてしまうのです。

付け方は「複式簿記」と「単式簿記」の2種類

作成する帳簿の付け方により、複式簿記と単式簿記の2つの方法があります。

  • 複式簿記:1つの取引を仕訳に起こす際に複数の科目を使う記帳方法
  • 単式簿記:1つの取引を1つの科目だけで記帳する方法

例として5万円のパソコンを購入した場合の、複式簿記と単式簿記の記帳方法を確認しておきましょう。

複式簿記では、パソコンの購入により消耗品費が発生し、その際に現金で支払ったことが1つの仕訳で分かります。これに対して単式簿記は何を購入したのかだけを表すものであり、現金で購入したのか預金で購入したのかの違いが分かりません。

複式簿記

借方 貸方 摘要
消耗品等 50,000 現金 50,000 パソコン代

【単式簿記】

入金 出金 残高 内容
50,000 100,000 パソコン代

複式簿記と単式簿記、どっちで付けるべき?

個人事業主の確定申告方法は「青色申告」と「白色申告」の2種類です。申告方法と控除額に応じて、複式簿記と単式簿記どちらにすべきかが異なります

<申告の種類と記帳方法>

申告の種類 控除額 帳簿の付け方
青色申告 65万円

55万円

複式簿記
10万円 単式簿記
白色申告 なし

青色申告で65万円か55万円の控除を受ける個人事業主は、複式簿記により帳簿の作成が必須です。1年間に発生した事業上の損益を複式簿記によって明らかにし、売上や経費の金額、資産や負債の残高を青色申告決算書に記載して確定申告します。なお青色申告の中でも10万円控除の適用を受ける人は、複式簿記による帳簿の作成は不要です。

白色申告で確定申告する人も、単式簿記による帳簿を作成し、事業上の損益の状況だけ集計すれば問題ありません。確定申告書と一緒に提出する収支内訳書にも損益の状況を記載しますが、資産や負債状況の記載は必要ないです。

平成26年1月1日以降、帳簿の作成自体はすべての人が義務付けられているため必ず帳簿付けはしておきましょう。

売上や経費が発生したタイミングで帳簿をつける

帳簿は売上や経費が発生したタイミングで損益に計上する「発生主義」という考え方で作成します。

たとえば12月25日に購入した物品が、1月3日に届き、費用を支払ったとします。この場合帳簿をつけるべきは12月25日です。

なお「現金主義」という考え方が発生主義とよく比較されます。現金主義は「現金の入金・出金があった時に、売上や経費を認識する考え方」であるため混同しないように注意しましょう。

個人事業主が付ける帳簿の種類

個人事業主が付ける帳簿の種類

個人事業主は確定申告の際に正しく所得金額を計算し、税務調査が行なわれた場合に申告書の金額が正しいことを示すために、帳簿を作成しなければなりません。

作成する帳簿はどのような形式でもいいわけではなく、申告の種類ごとに異なります。どのような帳簿があるのかを確認しておきましょう。

青色申告 白色申告
控除額 65万円・55万円 10万円 なし
主要簿 仕訳帳

総勘定元帳

補助簿 現金出納帳

預金出納帳

売掛帳

買掛帳

固定資産台帳 など

収入金額・必要経費を記帳した帳簿

主要簿

主要簿には「仕訳帳」「総勘定元帳」の2種類があり、決算時に青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)を作成するための資料となります。

仕訳帳

仕訳帳とは、個人事業主が行なった1年間のすべての取引の仕訳を日付順に記録した帳簿を言います。この帳簿により補助簿によって別々に記録されていたすべての取引を、時系列で確認することが可能です

取引全体の概要をまとめているのが特徴であり、伝票ごとに都度伝票を作成する伝票会計とは異なります。仕訳帳に取引の仕訳を記録したうえで総勘定元帳に転記する流れになるので、帳簿作成の基本となる重要な帳簿です。

総勘定元帳

総勘定元帳とは仕訳を行なった勘定科目ごとに1年間の取引を記録した帳簿です。この帳簿により、1年間の資産・負債や売上・経費の内容を確認できます

総勘定元帳より、青色申告書に含まれる損益計算書や貸借対照表が作成されるため、確定申告の際に重要な帳簿です。

補助簿

補助簿と呼ばれる帳簿の種類については、行なう事業の内容にもよりますが、一般的には次の5つの帳簿があります。個人事業主は、事業に関わる日々の取引のすべてを補助簿に記録していくのが一般的です。会計ソフトを使用している場合は、補助簿の入力から自動的に主要簿の仕訳帳と総勘定元帳が作成されます。

現金出納帳

お小遣い帳と同じイメージで、現金で支払いを行なったときや、売上代金などを現金で受け取った時に記録する帳簿です。この帳簿をつけることで、現在現金の残高がいくら残っているかを把握したり、どのような用途で現金を支払ったり、受け取ったかを把握することができます。

預金出納帳

預金出納帳は銀行口座に預けているお金の出入りを管理する帳簿です。預金の出入りを記録するものなので、預金通帳の内容を順番に転記することで作成します。

売掛帳

掛(ツケ)によって商品を販売した場合や、掛による販売代金を回収した際に記録する帳簿です。

掛けによる取引は信用取引であるため、いくら商品を販売していくら代金を回収したかを管理していなければ、取引先の信用を失うおそれがあります。また売掛帳によって管理することで、販売代金の回収漏れなどを防ぐことができます。

買掛帳

基本的に売掛帳と逆の立場の取引の際に記録する帳簿で、掛けによって商品を仕入れた場合や、掛けによる仕入代金を支払った際に記録します。売掛帳と同じくきちんと管理することで、取引先の信用を守り代金の支払い漏れなどを防ぐことが可能です。

なお買掛帳に入力する取引は本業の商品の仕入のみで、備品などを後払いで購入した場合は「未払金」として処理します。

固定資産台帳

個人事業主の所有する固定資産を管理する帳簿です。固定資産の種類や耐用年数、減価償却費や未償却残高を記録します。固定資産台帳をつけることで、固定資産の管理に役立ちます。

確定申告までの帳簿付けの流れ【3ステップで解説】

必要な帳簿を理解したところで、取引内容から確定申告に必要な書類を作成するまでの一般的な手順を把握しましょう。

  • 毎日の取引を仕訳帳や補助簿に記入する
  • 仕訳帳への記入を元に、総勘定元帳に転記する
  • 仕訳帳や総勘定元帳の記入を基に、青色申告決算書を記入する

帳簿付けの流れ

個人事業主は基本的に、備品の購入や商品の売買など費用が動くたびに、日々帳簿への記入が必要です。

複式簿記で帳簿付けする場合は、取引が発生したら仕訳帳に順次記入した上で、総勘定元帳へ転記します。1年間の取引が終わったら、年間の利益や損失を計算し、確定申告書を作成して提出する流れです。

青色申告決算書を作成するまでの具体的な流れを解説します。

毎日の取引を仕訳帳や補助簿に記入する

まず毎日の取引を、発生主義で「仕訳帳」に記入していきます。青色申告で65万円または55万円の控除を受ける人は、必ず複式簿記で記帳しましょう。

 仕訳帳は日付順に、詳細に取引を記録する必要があります。基本的に欠かすことなく毎日更新しましょう。

 仕訳帳の記載項目例は以下です。

仕訳帳の記載項目
日付 取引の日付
借方 借方の勘定科目と金額
貸方 貸方の勘定科目と金額
摘要 取引の内容
元丁 総勘定元帳の転記先

また仕訳帳とあわせて補助簿も随時記入していきます。補助簿は預金出納帳、売上帳、支払手形記入帳などがありそれぞれ詳細は異なりますが、一般的には以下の項目を記入します。

預金出納帳の記載項目
日付 取引の日付
入金 入金があった際の金額
出金 出金があった際の金額
摘要 取引の内容
勘定科目 その取引において相手方となる勘定科目
残高 当取引後の残高

仕訳帳への記入を元に、総勘定元帳に転記する

仕訳帳に仕訳を記入した後は、仕訳帳の内容を各個別の勘定科目ごとにまとめ、それを総勘定元帳に書き写していきます。この手順は「転記(てんき)」と呼ばれる手続きです。

転記では仕訳帳から総勘定元帳の該当ページに関連する情報を写し取ります。日付や相手勘定科目、金額などです。

摘要欄には仕訳帳における相手の科目を指定しましょう。たとえば「現金」の総勘定元帳なら「売掛金」などです。複数の科目が関与する場合は「諸口」と記入します。

仕丁欄は仕訳帳をもとにしているため、仕訳帳のページ番号を書いてください。

総勘定元帳の記載項目
日付 取引の日付
借方 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入
貸方 取引の内容に応じて、金額を借方または貸方のどちらかに記入
摘要 その取引において相手方となる勘定科目
仕丁 仕訳帳のどのページに関連しているか

仕訳帳や総勘定元帳の記入を基に、青色申告決算書を記入する

確定申告を青色申告にて実施する場合、「青色申告決算書」と呼ばれる書類の提出が必要です。
青色申告決算書は一定期間にわたる帳簿の結果をまとめたもので、3ページにわたる損益計算書とその内訳、1ページの貸借対照表の計4ページの文書でなりたっています。

・損益計算書

損益計算書は1年間の所得(儲け)をまとめたもので、PL(Profit and Loss statement)とも呼ばれます。仕訳帳や総勘定元帳でまとめた金額を元に、売上、仕入、各種経費などの金額を記入していきましょう。

1ページ目は概要で、2~3ページに各項目の内訳を詳細に示す必要があります。消耗品費や支払手数料など、損益計算書で詳細な内訳が必要な項目は、日常の会計処理から注意が必要です。

・貸借対照表

貸借対照表ではその年の初めである1月1日と終わりである12月31日の時点での資産や負債の状態が示されます。仕訳帳や総勘定元帳を元に、預金や売掛金などの資産だけでなく、買掛金などの負債や資本金などの純資産も残高として記載しましょう。

貸借対照表を作成するために、複式簿記で日常の会計処理を正確に進めることが重要です。

青色申告決算書の書き方について詳しく知りたい人は以下を参照ください。

個人事業主が付ける帳簿や書類の保存期間

帳簿そのものを確定申告のときに提出する必要はありませんが、帳簿には保存義務があります。申告方法によって保存期間が違ったり帳簿以外にも併せて保存しなければならない書類もあるので確認しておきましょう。

帳簿の保存期間

個人事業主の帳簿の保存期間は、青色申告と白色申告のどちらで申告するかにより、異なる期間が定められています。保存期間が経過するまでに捨ててしまったということがないように注意してください。

青色申告の場合

帳簿の種類 保存期間
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年

白色申告の場合

帳簿の種類 保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年

必要書類の保存期間

個人事業主の確定申告には、帳簿だけではなく領収書などの書類の保存も必要となります。保存が必要な書類とは、個人事業主が仕訳を行なった取引の根拠となる書類のことを言います。これらの書類についても、青色申告・白色申告によって保存期間が異なるので注意してください。

青色申告の場合

書類の種類 保存期間
決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年※
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分の不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額が300万円以下の人は、5年間保存すればよいことになっています

白色申告の場合

書類の種類 保存期間
決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

記帳手段は手書きやエクセル、会計ソフトなどさまざま

帳簿を作成しようとしても、実際にどのように作成したらいいのか分からない人もいるでしょう。主な帳簿の作成方法には以下の方法があります。

  • 手書きで行なう
  • エクセルで作成する
  • 会計ソフトを利用する

記帳方法によってどのような違いがあるのか、そのメリット・デメリットを知った上で、最適な選択を行なうようにしましょう。

各記帳手段のメリット・デメリット

記帳手段としてご紹介した3つの方法について、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのか確認しておきましょう。

手書き エクセル 会計ソフト
メリット
  • ノートなどを使ってすぐに帳簿付けを始められる
  • 手書きのため自分の好きな形式で作成できる
  • 自分流の使いやすい帳簿付けが可能となる
  • 取引量がどれだけ増えても対応できる
  • 仕訳さえ入力すれば帳簿の作成が完結する
  • 青色申告決算書や確定申告書の作成にスムーズに進める
デメリット
  • 帳簿の基本的な書き方を知らないと難しい
  • 取引量が多くなるとすべてを手書きするのは大変
  • 帳簿付けの基本を知らなければ帳簿自体を作成できない
  • ただの集計表になってしまうと帳簿として認められない
  • 費用がかかる
  • 帳簿付けの仕組みを理解できない

おすすめは会計ソフト

それぞれメリットとデメリットがありますが、個人事業主の方が自分で帳簿付けを行なうのであれば、おすすめの方法は会計ソフトです。会計ソフトを利用する場合は複式簿記による仕訳を入力すると、後はソフトが自動的に帳簿の作成、青色申告決算書の作成を行なってくれます。

また会計ソフトで確定申告書が作成できるものがあり、そのまま申告書の作成に進めます。そのため帳簿の作成だけソフトを利用し、確定申告書は手書きをするような必要もありません。

さらに会計ソフトを利用すれば、うっかりミスを減らすことができます。正確な帳簿作成が可能になると、加算税などのペナルティを科される可能性が低くなるのです。

会計ソフトにはオンラインでデータを保存するクラウド版と、オフラインでも使用できるインストール版があります。

クラウド型の会計ソフトのメリット

  • スマホで利用することができ、場所を選ばずに使える
  • 預金やカード利用記録のデータを同期し、効率的に仕訳を作成できる
  • バージョンアップの手間がない
  • PCが故障してもクラウドにデータがあるので、データはクラウドサーバーに残っている

クラウド型の会計ソフトは新しく開発されたものなので、インストール型と比較して便利な機能を多く持ちます。費用としては基本的な機能を備えているソフトで年間1万円〜2万円で、部門管理などの機能が備わっているソフトは年間3万円〜4万円かかります。

インストール型の会計ソフトのメリット

  • バージョンアップがない限りはソフトを購入後は費用が基本的にかからない(ただし保守料などを契約している場合は、毎年費用が必要です)
  • オフラインで使用できるためセキュリティ対策となる。

インストール型の会計ソフトは大きな税法改正などがない限りはバージョンが古いソフトでも使うことができ、ソフトの費用は安く抑えて使用することができます。ただし法律の改正があった場合には、誤った会計処理になるおそれがあるので注意が必要です。

税理士コメント:青色申告なら会計ソフトがおすすめ

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

青色申告での申告を考えられている方は会計ソフトを利用されることをおススメします。青色申告の要件を満たしていますし、何より手間が掛かりません。また、誤りも減ります

個人事業主におすすめの会計ソフト3選

個人事業主におすすめの会計ソフト3選

会計ソフトを利用するのがいいと分かれば、次にどの会計ソフトを利用するのか決めなければなりません。そこで多くの人に利用されているおすすめの会計ソフトを3つご紹介します。

初心者でも利用しやすいのか、スマホアプリにも対応しているのかといった点から、自分にとってどれが使いやすいのか考えてみましょう。

freee

freee
引用:freee

freeeは個人事業主のような、比較的小規模な事業者が特に利用しやすいクラウド型の会計ソフトです。

その最大の特徴は、アプリが提供されておりスマホからも操作できることです。入力画面からの操作も分かりやすく、特に経理初心者の方でも直感的に入力ができる特徴があります。スマホだけでなくパソコンを使っても操作しやすいため、迷いなく入力ができるはずです。

またfreeeは確定申告書の作成にもスムーズに移行できます。中でもスマホで帳簿付けを行なっている人は、そのままスマホで確定申告書が作成可能です。スマホから確定申告書を作成できる会計ソフトはほとんどないため、非常に珍しいといえます。

マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計
引用:マネーフォワードクラウド会計

マネーフォワードクラウド会計は、その名のとおりクラウド型の会計ソフトです。

銀行口座やクレジットカードなどの支払い手段を登録しておき、その動きを入力しながら仕訳処理ができます。また勤怠管理や経費精算などのサービスとの連携も簡単にできるので、多くの会社や個人事業主に利用されています。簿記の知識があれば、多くの機能を使いこなして経理業務を簡潔にできるでしょう。

機能に制限はありますが、個人事業主は無料で利用できるプランも用意されています。そのためまずはお試しとしてマネーフォワードクラウド会計を利用するのもおすすめです。

弥生会計シリーズ

弥生会計シリーズ
引用:弥生会計シリーズ

弥生会計には、インストール版とクラウド版があります。

個人事業主だけでなく中小企業でも広く利用されており、最も有名な会計ソフトの1つです。多くの人に使われているのは、単に青色申告決算書や確定申告書を作成するだけでなく、財務分析や資金繰りなど経営者として知りたい情報を分析してくれる機能があるためです。

弥生会計はいくつかの種類がある中から自分に合ったソフトを選択できます。また事業を始めたばかりの人でも利用しやすいよう「やよいの白色申告オンライン」は無料で利用できます。その一方で料金は発生しますが、サポートを受けられるプランも充実しているのがポイントです。

帳簿の付け方が分からない時の対処法

初めて帳簿の作成に取りかかろうとしても、その付け方が分からないというのは実際によくあります。何も分からないため誰に聞いたらいいのかも、どうしたらいいのかも分からなくなってしまうこともあるでしょう。

初めて帳簿を付ける場合や帳簿の付け方が分からない場合、どうしたらいいのでしょうか。

税務署の個人課税部門の説明会を受ける

税務署では事業所得等を有する白色申告の方を対象にした記帳説明会が随時開催されます。この説明会では、記帳の方法や帳簿の保存制度について説明を受けられるため、記帳方法の理解を深められるはずです。

また決算時期には決算説明会が開催され、決算時に必要となる棚卸の仕方や減価償却の計算方法の説明を受けられます。これにより、記帳だけでなく正しい所得計算の方法も理解できるのです。

これらの説明会は、いずれも青色申告をしていない白色申告の人しか利用できない点に注意して下さい。事前の申し込みが必要なので、まずは最寄りの税務署に問い合わせしてみましょう。

青色申告会や商工会議所・商工会の指導を受ける

青色申告会や商工会議所・商工会といった団体が、中小事業者の確定申告のサポートをしてくれます。そのため帳簿の付け方や確定申告書の作成で迷った場合には、これらの窓口で相談できるのです。

具体的にはどのように会計ソフトを操作したらいいのか、確定申告書のどこに金額を記載するのか、あるいは必要経費と認められるのかといった質問にも答えてもらえます。

まずは、自分が住んでいる地域や事務所・店舗がある地域の青色申告会、商工会議所や商工会のホームページを探してみましょう。実際に決算や確定申告の相談会の日程が公表されているので、予約を取って出かけるようにしましょう。

簿記3級の勉強をする

税務署の記帳説明会や青色申告会などの指導を受けるには、あらかじめ予約をしておき空いた時間を作らなければなりません。しかし個人事業主として開業したばかりの人は本業に時間を使いたいため、昼間に時間を割かれるのはつらいという方が多いと思います。

そこで説明会などに参加できなくても記帳の実務が進められるよう、簿記3級の勉強をするのも1つの方法です。まったく何の知識もないと記帳を行なうのは大変ですが、簿記3級程度の知識があれば、大半の個人事業の方の記帳はできます

独立すると忙しくなるので、個人事業主として独立する前に簿記の勉強を行なうのが理想です。ただどうしても独立前に勉強ができなかった場合は、確定申告直前ではなく早いうちから勉強して準備しておくようにしましょう。

おすすめの参考書:

‎マイナビ出版 イメージで攻略 わかる! 受かる! ! 日商簿記3級|Amazon
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簿記3級の勉強を行なう際は資格試験の講座を受講したり、簿記などの資格を取得できる学校に通ったり、様々な勉強方法があります。ただ個人事業主として開業前後に簿記の勉強もするのであれば、空いた時間に参考書を使って勉強するのが、一番無駄がない方法といえるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、「イメージで攻略 わかる! 受かる! ! 日商簿記3級」です。この本は簿記初心者が勉強しやすいよう、フルカラーで多くのイラストを使って、直感的に理解できるよう工夫されています。実際の取引のイメージがイラストで説明されており、初心者でも抵抗なく学習を進められるのです。

またテーマごとに学習できるため、少しの空き時間を有効に使いながら、簿記のイロハを学習できます。さらに無料の仕訳アプリが利用でき、簿記の知識を得るだけでなく実践に対応できる力もつけられるはずです。

帳簿を付けてない場合や紛失した場合のリスク

個人事業主は、青色申告や白色申告関係なく帳簿の作成・保存の義務があります。紛失した際にはやむを得ない事情も考えられますが、そもそも帳簿を付けていないなどといった場合には、税務調査の際に厳しく処分されるおそれがあります。

万が一帳簿を付けていなかったり紛失したりした場合に、どのようなことが想定されるか見ていきましょう。

帳簿を付けていない場合

青色申告を行なっている場合、帳簿を付けていないと青色申告の承認が取り消されます。青色申告が認められないと、最大65万円の特別控除が認められないうえ、損失の繰越控除や専従者給与・少額減価償却資産などの特典が認められず、税負担の大幅増につながります。

また青色申告の場合だけでなく、白色申告の人も帳簿の作成は義務です。もし帳簿を作成していないと、当初の申告で計上していた必要経費が認められず、税額が増えてしまう場合もあります。

帳簿を紛失してしまった場合

帳簿を作成したものの、正しく保管されていないために紛失してしまった場合は、その理由を税務署に説明しなければなりません。もし災害などやむを得ない理由で帳簿を紛失したのであれば、罰則を受けることはないためきちんと説明を行いましょう。

しかし帳簿を紛失したのが単なる不注意としか考えられないような場合は、帳簿を意図的に破棄したとみなされる可能性もあります。意図的に破棄したと判断されれば、青色申告の取消や税額の増加、重加算税の適用といった処分を受けると考えられます。

【まとめ】個人事業主の帳簿付けは申告方法と控除額で判断

最後に帳簿についてまとめると、次のことがポイントになります。

  • 全ての個人事業主に帳簿の作成・保存義務がある。
  • 白色申告や青色申告で10万円の控除を受ける場合は簡易式での帳簿作成ができる。
  • 青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記で主要簿の作成が必要。
  • 65万円控除を受ける際には会計ソフトでの記帳がおすすめ。
  • 帳簿や書類により保存期間が異なるが原則7年保管しておけばOK!
  • 帳簿を付けなかったり、紛失したりした際には大きな罰則のおそれがある。

帳簿の作成は、初めは面倒な作業になるかもしれませんが、正確な帳簿を付けることで自身の業績の分析にも役立ち、事業の内容を理解することに繋がります。正しく帳簿を付けることを心がけましょう。また、帳簿について分からないことがあれば、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

帳簿付けは大変な作業ですが、複式簿記で帳簿付けを行なうことで、個人事業主の最大の節税策である青色申告を行なうことができます。青色申告を行なうと、最大65万円の控除を受けることができますが、65万円の経費を探すことは容易ではありません。 面倒ではありますが、複式簿記を行なって青色申告特別控除を受けることは非常に有効な節税策となりますので、白色申告を行なっている方は是非検討してみましょう。税理士に依頼すると基本的に青色申告の要件を満たした帳簿付けをしてくれますので、自分でやるのが面倒だという方は税理士への依頼を検討しましょう。

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