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【個人事業主必見】接待交際費とは何?費用上限や仕訳例などをわかりやすく解説

最終更新日: 2024年11月01日

接待交際費は確定申告に記載する経費科目のひとつです。個人事業主は法人と違って接待交際費に明確な上限はありません。ただし、金額があまりにも高ければ税務調査が入る場合があります。

また接待交際費だけではなく、会議費・福利厚生費などの類似した科目もあるため分類が難しく感じるのではないでしょうか。いい加減に記録すると思いがけず時間がとられてしまうこともあるため、計上する際には気を遣いたいところです。

本記事では接待交際費とは何か・接待交際費が発生する具体例とともに、個人事業主が接待交際費を経費計上する際のポイントについてわかりやすく解説します。

接待交際費=事業に関わる人とのやり取りで発生する費用

接待交際費とは
個人事業主の接待交際費とは

接待交際費とは、事業に関連する人とのやり取りや交流により発生する費用のことです。接待交際費への計上によくある支出費用は、主に以下のとおりです。

  • 得意先との会食
  • 取引先への訪問時のお土産
  • 取引先担当者ご家族への贈り物

そのほかに多い支出や具体例はこれはOK?個人事業主が交際費に計上できる支出の例で解説します。

個人事業主が計上できる交際費の上限

個人事業主の接待交際費とは
個人事業主・接待交際費の上限は?

接待交際費とは、所得税法の「交際費等」に該当します。「交際費等」は法人では上限が定められていますが、個人事業主には特別上限が決まっていません

個人事業主には上限がない・金額には注意※法人は上限あり

個人事業主の接待交際費に上限は定められていません。ただし、費用が多すぎると税務調査が入る場合があります。税務調査を経て否認される例もあるので、事業に関連する用途である証拠をしっかり残しておきましょう。明確であれば、否認されるリスクは軽減できます。

税務調査が入ると、帳簿ならびに関連書類の開示が必要です。もちろん明確な用途により発生した費用なら問題ないでしょう。ただ正当性が証明されるまでは時間がかかるため、さらなる労力も割かなければなりません。

上記のリスクを極力避けるためにも、本当に必要な費用かはしっかりと見極めましょう。

なお法人の接待交際費は、以下のとおり所得税法で上限が定められています。無制限で経費として計上できるわけではありません。

  • 資本金1億円以下の法人⇨年間800万円まで、もしくは接待飲食費の50%のいずれか大きい方
  • 資本金1億円以上の法人⇨接待飲食費のうち50%は損金算入可能
  • ただし社外の方と複数名で食事を行なった場合、人数で割った金額が5,000円以下であれば「会議費」などとして全額損金計上できる
参考:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算 – 国税庁

起業家たちの接待交際費用、いくらかかっている?

2015年に行なわれた起業家100名に対するアンケートによると、実際に接待交際費で計上した金額は0円~数万円程度とのことでした。営業収入に対しても、6%以内に収まっているようです。

また法人においても、2018年の会社標本調査によると、営業収入金額10万円当たりの交際費等は256円でした。こちらは営業収入の0.2~0.3%にあたります。

実際に接待交際費として使う金額は、売上の数%以内が一般的といえるでしょう。

参考:

個人事業主の1ヶ月の接待交際費はいくら?|サーブコープブログ

平 成 3 0 年 度 分会社標本調査

個人事業主が交際費を計上するために行なうべきこと

接待交際費 個人事業主 領収書
個人事業主が交際費を計上するために行うべきこと

個人事業主が接待交際費を経費として計上するためは、「誰と行ったか」を領収書などにメモしておくことが大切です。

税務調査が入った際に、証拠とともに事実関係の説明がしっかりできなければ認められないこともあるため必ず行いましょう。

「誰と行ったか」を必ずメモする

接待交際費を計上するためには、私的な飲食代などではなく、事業に関する費用であると証明する必要があります。そのため「誰と行ったのか」に関する情報は重要です。

領収書に直接「いつ誰と行ったか」「どのような取引内容か」など書き込んでおくと良いでしょう。また記帳時も摘要欄に記しておくことが大切です。

領収書の保存期間にも注意しましょう。白色申告の場合は5年間、青色申告の場合は7年間となります。

領収書をもらえなかった場合は出金伝票を作成する

領収書がもらえなかった際の対応策は、「内容のメモ書きを残す」ことと「出金伝票を作成する」ことです。

取引の内容については自身でこまめに記録を取っておくと良いでしょう。また、市販されている出金伝票を用いて、取引の日時や金額・相手先・取引内容などの情報も加えておくことも必要です。

これはOK?個人事業主が交際費に計上できる支出の例

接待交際費を含む「交際費等」の定義は「交際費、接待費、機密費、その他の費用で事業者がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」です。

わかりやすくいうと、事業活動に関係あるなら交際費として認められます。以下から具体例を見ていきましょう。

飲食店で取引先を接待した

取引先などとの接待での支出は接待交際費にあたります。通常の飲食代の他に、

  • 3万円のコース料理などの高額な支出
  • キャバクラでの接待飲食代

なども接待交際費として計上可能です。

また取引先との直接的な接待はもちろんですが、将来的に取引先となり得そうな相手との飲食代なども接待交際費となり得ます。

懇親を兼ねて取引先とゴルフをした

取引先などと懇親を兼ねてゴルフをしたとき、プレーに伴うゴルフ代や、ゴルフ場利用税も接待交際費として計上できます。

お中元・お歳暮・商品券などの贈答品を取引先に送った

お中元やお歳暮は、取引先などとの良好な関係構築・維持として必要な贈答です。そのため接待交際費として計上できます

商品券は一般の贈答品に比べると相手の好みを選ばないので、贈答に利用しやすいでしょう。贈答やお返しなどの目的で購入した商品券も接待交際費として計上できます

なお店舗名などの入ったカレンダーや手帳を取引先に贈答した場合は、交際費ではなく広告宣伝費となりますので注意しましょう。

取引先の家族にお祝い事があり、慶弔金を贈った

慶弔金とは結婚や出産のお祝い金、お葬式などの不幸に際して支払うお金です。取引先やその家族に対しての慶弔金も、接待交際費として計上できます

慶弔金の場合、領収書をもらうことはできないため、自身で出金伝票などを作成しておくのがおすすめです。

打ち合わせを兼ねて食事を取り、代金を割り勘で支払った

打ち合わせなどで複数人で食事をし、費用を各々で割り勘にした場合は、自分の分のみを経費計上しましょう。領収書を分割して発行してもらうことは難しいはずですので、自身で出金伝票などを作成しておくことをおすすめします。

その際、以下のような事項をなるべく具体的に記載しておきましょう。

  • 日時
  • 店名・所在地
  • 金額
  • 使用目的・内容
  • 参加人数・相手

友人や親族と食事をした

事業には関係しない、事業の利益を生み出すことにはならない費用は対象となりません。そのため家族で食事をとった飲食代や、プロ野球を観戦したチケット代などは、もちろん接待交際費には含まれません。

ただし支出が「事業に関係する」ものであれば、友人や親族との飲食代も接待交際費として計上できる場合があります。たとえば「取引先でもある友人と街でバッタリ遭遇し、そのまま飲みに行った」などという場合の飲食代は、接待交際費として計上可能です。

接待交際費と間違えやすい科目の例

交際費と会議費の違い
交際費と他科目との違い

接待交際費と似た勘定科目には「接待飲食費」「会議費」「福利厚生費」「広告宣伝費」などがあります。これらの勘定科目は会計上処理を間違えやすく混同しやすいため、注意が必要です。

接待飲食費:接待交際費に含めて良い・ただし計算時は注意

接待飲食費はその名の通り、飲食をした際に発生した費用です。接待交際費とほぼ同義なので、特別な理由がない限りは接待交際費として計上しましょう。

2つを分けて計上すると費用や項目が重複しやすく、計算ミスにつながってしまいます。

会議費(取材費):会議中の食事や飲み物代

「取引先とのランチミーティングでのランチ代」や「会議で出すお弁当代」は、一般的には接待交際費ではなく会議費として計上します。記事作成などの目的で取材が行われた際、発生した費用は取材費とする場合もあります。取材費も会議費とほぼ同義です。

接待交際費と会議費の違いは、その支出の目的です。接待交際費は取引先などとの接待に伴う飲食代であることに対し、会議費は社内外での会議や打ち合わせなどに要した費用を指します。

福利厚生費:従業員の慰安のために飲み会を開いたら

福利厚生費は、従業員の慰安のために開催される行事に伴う支出を指します。

「従業員を慰労するための食事会」「会社のレクリエーションのために要する費用」などは接待交際費からは除外され、福利厚生費として計上するのが一般的です。

ただし、食事などの目的が従業員の慰安ではなく接待であれば、接待交際費として処理する点に注意しましょう。たとえば退職を検討している従業員を引き留めるための食事の場や、採用したい従業員をもてなす食事会などです。

参考:No.5261 交際費等と福利厚生費との区分 – 国税庁

広告宣伝費:得意先や取引先以外の不特定多数へ配布

広告宣伝費は、一緒に事業を行う得意先・取引先以外へプレゼントやノベルティを渡す場合に用いられます。

例えば、自社のロゴが入ったカレンダー・ボールペンなどのノベルティ配布です。他にも、抽選で少人数に金券をプレゼントする・旅行やアミューズメントパークなどへ招待するキャンペーンなども該当します。

ただし、同業者間でのやり取りは対象外です。機械の製造業者が鉄工業者へ部品を贈る・化粧品業者が美容(理容)業者へ化粧品を贈る場合などが該当する点に注意が必要です。

参考: No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分

接待交際費の仕訳例

複式簿記

接待交際費の複式簿記における仕訳は、以下のとおりです。摘要欄に取引相手の名前や人数を具体的に記載することを忘れないようにしましょう

年月日 借方 貸方 摘要
2024年11月1日 交際費 20,000円 現金 20,000円 〇〇会社代表〇〇様と2人で会食
2024年11月15日 交際費 30,000円 現金 30,000円 △△会社へオフィス移転祝い金

経費計上できるか迷ったら税理士へ相談を!

個人事業主が経費にできる接待交際費は、法人と異なり上限が決まっていません。しかし何の費用でも計上できるわけではないため、接待交際費の範囲を正しく理解することが大切です。

「これは経費計上できるのだろうか」と迷ったら、税務のプロである税理士に相談しましょう。

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