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【副業所得の落とし穴】20万円以下でも確定申告は必要?【税理士監修】

最終更新日: 2021年12月25日

副業で得た収入を確定申告しないといけないのか、不安になりませんか?また確定申告をすると会社に副業をしていることがバレるのでは、という心配な方もいるでしょう。この記事ではそんな疑問に分かりやすく答えているので、ぜひチェックしてください。

この記事の監修税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

 

副業とは

ダブルワークのイメージ
副業とは

副業の収入は仕事の種類によって税法上の扱いが違うので、確定申告するときは自分がしている副業がどれに当たるかを知っておく必要があります。

副業とは

副業とは主な収入源となっている仕事(=本業)以外の仕事のことです。ただし、税法上に本業と副業の区別があるわけではなく、収入源が複数ある場合に少ない方を便宜的に副業と呼ぶことになっています。

芸人や劇団員の中には、気持ち的には本業のお笑いや俳優の仕事の収入が、生活のためにしている飲食店でのアルバイトより少ない場合も多いことでしょう。

サラリーマンの場合、本業はもちろん給与所得に当たりますが、副業の仕事の種類によっては、給与所得の場合もあれば事業所得や雑所得に分類される場合もあります。

【所得の種類】給与所得と事業所得、雑所得の違い

税法上の所得分類には給与所得、利子所得、不動産所得など10種類があります。副業はほとんどの場合、給与所得・事業所得・雑所得のどれかに該当します。

給与所得とは、コンビニや飲食店でのパートやアルバイトなどで「給料」としてもらう収入です。

事業所得とは、自分で仕入れをして販売するなどで得た収入で、ある程度の規模や継続性がある仕事での所得を指します。

雑所得は、事業所得と明確な区別はありませんが、事業と呼ぶほどの規模や継続性がない仕事で得た所得です。

例えば、小説家の原稿料は事業所得ですが、サラリーマンが頼まれて書いた原稿の原稿料は雑所得になります。

ちなみに、競馬で大儲けしたという場合は、雑所得ではなく一時所得という分類になります。一時所得には50万円の控除があるので、50万円以下の儲けであれば申告する必要がありません。

よくある副業の所得の種類

サラリーマンの副業としてよくある仕事の所得の分類は次のようになります。

  • パート・アルバイト→給与所得
  • クラウドソーシング(ネットでの記事執筆やデザイン)→雑所得または事業所得
  • 趣味で作った制作物の販売→雑所得
  • ネットオークションやフリマアプリでの個人取引→雑所得
  • アフィリエイト(ブログの広告収入)→雑所得
  • 不動産経営(アパート経営など)→不動産所得

副業がアルバイトやパートのときの確定申告

アルバイトで働く女性のイメージ
副業がアルバイトやパートの場合の確定申告

副業の収入が源泉徴収されている給与所得の場合は、確定申告することで払いすぎた所得税が還付されます。副業がアルバイトやパートのときは、給与は源泉徴収されているので、確定申告で税金が還付させる場合があります。

源泉徴収されているかを確認しよう

土・日や夜間に警備員のアルバイトをする、スーパー、コンビニ、レストランでパートをするなどの副業は、給与から所得税が源泉徴収されています。

人を雇って給与を支払う事業主は源泉徴収をしてそれを国に納める義務があるからです。ただし個人の家の介護や家事の手伝いをしたなどのアルバイトでは、源泉徴収はされていません。

小さな会社ではまれに源泉徴収を怠っている事業者もいるので、念のために申告前に確認しておきましょう。

源泉徴収されている場合は確定申告すると税金が還付される場合があります。その際はパート・バイト先の会社に源泉徴収票を発行してもらい、申告書に添付する必要があります。

所得が20万円以下の場合、確定申告は不要

所得税の申告に関しては、バイト先の給与所得が年間20万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。

ただし住民税は所得が20万円以下でも申告する必要があります。

確定申告をしない場合は、住民税の申告は税務署ではなく市町村に対して行ないます。住民税の申告についてはこの記事の後半で説明します。

所得が20万円超の場合の確定申告

副業の給与所得が年間20万円を超えたときは、本業の勤務先での年末調整以外に、自分で確定申告する必要があります。

確定申告をした場合は、税務署から市町村に通知が行くので、住民税の申告は必要ありません。

副業が上記以外(クラウドソーシングなど)のときの確定申告

パソコンで仕事をしている女性のイメージ
クラウドソーシングなどの副業の確定申告

副業がパート・アルバイトの給与収入でない場合は、収入から経費を差し引いた額が所得になります。

副業が事業所得か雑所得かの判断基準

副業が事業所得か雑所得かの区別に明確な基準はありませんが、副業による所得が20万円前後の場合は雑所得として申告しましょう。

どちらを選択しても税金の額に違いはありません。青色申告の場合は事業所得にすると控除額が大きくなりますが、サラリーマンやOLの通常の副業には関係ありません。

副業所得の計算方法

事業所得も雑所得も、収入から経費を引いた額が所得です。

例えばYouTubeで得た収入は、そこからカメラやPC代、編集用のソフト代などの経費を引いた額が所得になります。

編み物や工芸品などを販売した収入は、材料費が経費になるのです。

フリーマーケットなどでの物品販売の収入は、場所代や交通費、商品を仕入れた場合は仕入れ代金が経費になります。

所得が20万円以下の場合

収入(売上げ)から経費を引いた所得が年間20万円以下の場合は、確定申告(所得税の申告)は必要ありません

ただし、上記の給与所得の場合同様、住民税の申告は必要です。

年間20万円以下の所得でも自治体に把握されるかどうかは別問題として、副業所得があった場合は、本業で天引きされている住民税とは別に自分で住民税の申告をする義務があります。

所得が20万円超の場合の確定申告

副業収入から経費を差し引いた所得が年間20万円を超えた場合は、本業の会社で行なう年末調整以外に、自分で税務署に確定申告する必要(義務)があります。

確定申告した場合は、税務署から自治体に通知が行くので、住民税の申告は必要ありません。

副業所得20万円以下でも確定申告が必要な場合

確定申告賜与Aに記入しているイメージ
副業が20万円以下でも確定申告が必要な場合

副業の所得が年間20万円以下でも確定申告が必要になるのは、源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合と、本業の所得が2,000万円を超える場合です。

確定申告で還付を受けたいとき

副業の収入も源泉徴収されているときは、確定申告することで多くの場合税金が還付されます。副業収入が原稿の執筆やデザインなどの場合、報酬から10.21%源泉徴収されています。パートやアルバイトの場合は、給与から約3%源泉徴収されています。

例えば、年間の原稿料が手取り20万円とすると、10.21%の源泉徴収前の金額は22万2741円で、すでに2万2千円ほどの所得税を支払い済みなのです。源泉徴収は経費を差し引く前の手取りの収入に課せられるので、税金払いすぎになっていることがほとんどです。

パートやアルバイトの場合は源泉徴収税率は3%ほどですが、給与控除をする前の額から差し引かれているので、確定申告すると還付される場合が多いといえます。

住民税の納付

住民税は副業所得が20万円以下でも申告する必要があります。

市町村に住民税の申告する代わりに、税務署に確定申告をすると住民税の納付手続きが完了します。(市町村へは税務署から通知されます)

住民税の計算方法

住民税の計算方法は課税所得×10%で、所得額に関わらず税率が一定です。

副業の所得(収入-経費)が20万円だった場合は、2万円が住民税になります。

副業が給与収入の場合は、給与収入の必要経費にあたる給与所得控除(収入の40% 等)を引いた額の10%が住民税の額になります。

例えば、パート・アルバイトの手取りが20万円の場合は、源泉徴収前の給与22万2,700円から給与所得控除分を引いた13万3,600円(控除率が40%の場合)の10%、13,300円が住民税額です。

住民税の課税所得は所得税の課税所得とは金額が違うので注意しましょう。所得から控除される基礎控除や扶養控除の額が住民税の場合は所得税より少ないので、住民税の課税所得は所得税の課税所得より少し高くなります。

しかし、確定申告は所得税の申告で、住民税はそれを基に自治体が計算するので、申告者が自分で住民税を計算する必要はありません。

給料年収が2,000万円を超える人

サラリーマンでも給与収入が2,000万円を超えた場合は、副業の収入のあるなしに関わらず確定申告が必要です。

副業が会社にバレないようにするためには

偉そうな上司のイメージ
副業が会社にバレないようにするためには

会社が副業を禁止している場合はもちろん、とくに禁止はしていなくても、副業をしていることは会社にはあまり知られたくないものです。副業収入があることが会社にバレるきっかけの多くは、住民税の滞納や納め方にあります。

サラリーマンが会社にバレずに副業をする方法

同僚に副業の話をしてそれが上司の耳に入る、というようなバレて当然の場合を除けば、副業が会社にバレるのは税金がらみ、とくに住民税がらみのケースがほとんどです。

確定申告の住民税の納付方法に注意する

確定申告書Aの第二表にある「住民税の徴収方法の選択」で「給与から差引」を選択すると、自治体から本業の会社に税額の通知が行くのでバレる可能性が高くなります。

本業の会社の給与からすると高い額の住民税が通知されるからです。

「給与から差引」ではなく「自分で納付」を選択すると、会社にはその分の通知が行かないのでバレません。

マイナンバーで副業がバレることはない?

副業が会社にバレるかどうかにマイナンバーは直接関係しません。

しかし、会社によっては(とくに公的な機関では)源泉徴収票を送ってきたときに、マイナンバーを記入した受取書を返送するように要求されることがあります。

それがどのように使われるのかは分かりませんが、税金に関係しているのは確かなので、税務署や市町村がそれを把握する可能性はあり、本業の会社に知られる可能性も否定できません。

申告しなかったらどうなる?

様々な問題が降りかかっている女性のイメージ
副業の所得を申告しなかったらどうなる

会社に副業をしていることを隠しているうえに無申告だった場合、税務署や市区町村に見つかってしまうと会社に副業がバレてしまう可能性があります。

会社に副業がバレてしまう

副業所得が20万円以上で確定申告しなかった場合、あるいは20万円以下でも住民税の申告をしなかった場合、懸念されるのは会社に副業がバレることです。

例えば、アルバイト先の会社が同じ市区町村にある場合は、会社が市区町村に提出した給与支払報告書から副収入があることを知られるケースがあります。その場合、市町村の税務課が本業の会社に問い合わせると、即バレるでしょう。

また、給与所得ではなく雑所得や事業所得の場合でも、お金を払った会社に税務調査が入った場合などにバレる可能性があります。税務署から本人に通知が来ればまだ良いのですが、会社に問い合わせが行くかもしれないからです。

無申告加算税が徴収されるおそれ

納めるべき税金があるのに申告しなかった場合は、税務署にバレると最長で過去5年分の所得税の支払いを命じられます。本来の税額に15~20%の無申告加算税と年14.6%の延滞税が加えられるのです。

さらに住民税も過去にさかのぼって徴税されるので、総額では大金になることがあります。

監修税理士のコメント

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

昨今は副業を認める会社も増えてきておりま す。よって確定申告をする必要性があるサラ リーマンは多くなり、結果として無 申告者に対する税務署の目は今後よりいっそう厳しくなると思われます。その場合、無申告や誤った 申告により税務調査が入ることや、何らかの 事情により税務署や役所から本業の会社へ副業の報告があったりすると、本業に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。そうならないためにも、正しい知識を身に付け、専門家である税理士を上手く活用することをオススメします。

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副業の収入が事業所得といえるくらいに大きくなったら、確定申告を税理士に相談・依頼することを検討しましょう。とくに会社にバレずに副業を続けようと考えるなら、税理士に相談することにメリットがあります。

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この記事の監修税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

税理士の竹田と申します。東京都池袋にてtake会計事務所を経営しております。 特徴としてはMBAを首席で卒業しておりますので、 通常の税理士とは違い、マーケティングや売上アップのお手伝いを 顧問料の範囲内で行わせて頂くのが特徴となります。