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【税理士監修】事業所得と雑所得の違いとは?具体的例を挙げて解説

最終更新日: 2020年01月10日

「個人事業主だが、去年は私物をたくさん売却したので結構な金額の副収入があった。これは事業所得?」
「サラリーマンだけど、実は会社に内緒で株取引をしている。この収入は事業所得と雑所得どちらになるのだろうか……」
そんな疑問や不安を抱いている方はいませんか?

今回は、事業所得をメインテーマに、「事業所得の意義」「雑所得との違い」「事業所得のメリット」「事業所得と認定されるための要件」などを解説していきます。

紛らわしい具体例についても、判例や実務をふまえながら、「事業所得と言えるか」について解説していますので、個人事業主かサラリーマンかにかかわらず、副収入の税務処理でお悩みに方はぜひ参考にしてください。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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事業所得と雑所得とはどういうもの?

事業所得と雑所得とはどういうもの?
事業所得と雑所得とはどういうもの?

まずはじめに、事業所得と雑所得それぞれの意義を確認しましょう。あわせて雑所得と一時所得の違いにも触れるので、チェックしてみてください。

所得は10種類に分類される

所得は発生形態に応じて次の10種類に分類されます。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

ここでは所得の一例として、給与所得・不動産所得・山林所得について簡単に説明するので確認してください。

〈給与所得とは〉

給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。就業者(仕事をしている人)の8割がサラリーマンの日本では、もっとも親しみやすい所得の種類だと言えます。

〈不動産所得とは〉

最近では、生涯サラリーマン一筋という例は少なく、副業でお小遣いを稼ぐという人も増えています。副業による所得は様々ありますが、不動産所得はその典型です。

不動産所得とは、土地建物や借地権、船舶・航空機などを他者に貸して得た所得のことです。ただし所得税法上は、不動産経営を不動産業の事業として行っている場合は「事業所得」となるので、ここで言う不動産所得は事業所得とは呼べない小規模なケースだけが対象となります。

〈山林所得とは〉

山林を譲渡したり、山林に生えている木を伐採して売ったりして得た所得が山林所得です。最近は林業の衰退の影響もあってか、所有する山林を処分してしまうケースが増えていますが、その場合に発生するのが山林所得です。

「山林を貸し付けて得た対価」は山林所得ではなく不動産所得または事業所得となります。また山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、事業所得又は雑所得になるので注意しましょう。

事業所得 | 国税庁が定める事業から発生する所得

国税庁によると、「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得」と定義されます。

参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁

事業所得として認められるための具体的な要件については、後述する「事業所得として認められるための要件とは」を参照してください。

雑所得 | 他の所得に当てはまらない「その他の所得」

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得のことです。

国税庁は、雑所得の具体例として、「公的年金」「非営業用貸金の利子」「著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税」を挙げていますが、これはごく一部の例に過ぎません。「特技の手芸を生かしてハンドメイドの財布やバッグを作り、ネットで販売した」「アフィリエイトサイトを立ち上げて副収入を得ている」「仮想通貨の運用で利益を得た」というように、色々な具体例があり得ます。

雑所得と一時所得の違いは?

一時所得とは、次の3つの要件を満たした所得のことです。

  1. 利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得である
  2. 営利を目的とする継続的行為から生じた所得ではないこと
  3. 労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない

要件2は「事業所得から得た収入は含まれない」、要件3は「給料や何かを売って得た代金は含まれない」という意味です。

一時金の例としては生命保険や損害保険の満期返戻金や福引きの当選金品、競馬・競輪の払戻金などが挙げられます。

事業所得と雑所得はどっちが得?それぞれのメリットとは

事業所得と雑所得はどっちが得?それぞれのメリットとは
事業所得と雑所得はどっちが得?それぞれのメリットとは

事業所得と雑所得にはそれぞれメリットがあります。両者の違いをここで確認しましょう。

事業所得のメリット①他の所得と損益通算ができる

不動産所得・事業所得・総合譲渡所得・山林所得の4種類の所得については、各所得の計算上発生した損失を総所得等の計算において控除することが可能です。これを「損益通算」と言います。

事業所得で発生した損失は、損益通算を活用することで給与所得などの本業で得た所得から控除できるので、節税につながります。これは雑所得との大きな違いです。

事業所得のメリット②青色申告特別控除が受けられる

青色申告の承認を受けている場合には青色申告特別控除が受けられることも事業所得のメリットです。

青色申告特別控除とは、不動産所得または事業所得のある人が受けられる控除制度です。「複式簿記による記帳」「貸借対照表および損益計算書の提出」「申告期限内の申告」という要件を満たした場合には最高65万円の控除、それ以外の納税者には10万円の控除が認められます。

青色申告特別控除については法改正があり、2020年分の所得(=2021年2〜3月に手続きを行う確定申告)から控除額の種類や適用要件が変更されました。最も大きな変更点は、控除額が3種類になったこと。従来、青色申告特別控除額は65万円と10万円の2種類でしたが、改正後は55万円の控除額が加わります

最高65万円の特別控除を受けるには、新たに電子申告または電子帳簿保存が条件となるので注意が必要です。紙による申告・帳簿だと控除額が55万円にダウンしてしまいますが、基礎控除が従来の38万円から48万円に引き上げられたので、実質的な控除額に変化はありません。

改正後における青色申告特別控除と基礎控除の関係については次の図を参照してください。

令和2年分以後の所得税における青色申告特別控除と基礎控除の関係(国税庁作成)
令和2年分以後の所得税における青色申告特別控除と基礎控除の関係(引用:国税庁)

なお、上記の青色申告特別控除は、事業所得があれば誰でも受けられる訳ではなく、所轄の税務署への開業届と青色申告承認申請書の提出が必要です。青色申告の開業届については、下記を参照してください。

関連記事:青色申告が断然おすすめ!青色申告をするには開業届を提出しよう!|ミツモア

事業所得のメリット③損失額の繰越しと繰戻しが可能

青色申告の適用を受ける事業所得に対しては、「損失額を3年間繰り越せる」という特典が与えられます。事業所得で大きな赤字が出た場合に、前掲の損益通算では控除しきれないことがありますが、その場合でも最大3年間赤字を繰り越せるので、節税につながります。

また青色申告2年目以降の個人事業主は、今年の赤字を前年に繰り戻して計算することも可能です。繰り戻し計算の結果、所得税の払いすぎが明らかになれば、還付申告をすることでお金が戻ってきます。

事業所得のメリット④30万円未満の少額減価償却資産を一括経費計上できる

青色申告の適用を受ける個人事業主は、30万円未満の少額減価償却資産を一括で経費に計上できます

たとえば事務所で使うパソコンやプリンタ、電話機などが少額減価償却資産の典型です。少額減価償却資産の購入または使用を開始した年度にまとめて経費に計上すれば、その分黒字を圧縮できるので節税につながります。

事業所得のメリット⑤家族の給与を経費計上できる

個人事業主の場合、配偶者などの家族を従業員として雇うことは珍しくありません。家族に支払った給与は「専従者控除」という形で経費計上できるので必ず活用しましょう。

ただし、青色申告と白色申告では専従者控除が認められる要件および金額が異なります。詳しくは国税庁のHPを確認してください。

参考:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

雑所得のメリット 手軽に確定申告ができる

雑所得のメリットもあわせてチェックしておきましょう。雑所得のメリットはとてもシンプルで、「手軽に確定申告できる」という点につきます。

事業所得を青色申告し、控除を受けようとすれば、開業届や青色申告承認申請書の提出や帳簿付けといった要件を満たす必要があります。雑所得の場合そのような手続きは不要で、確定申告書に収入や経費の金額を記入すれば足ります。

またサラリーマンの場合、収入から経費を引いた所得が20万円以下の場合は、そもそも確定申告すら不要です。雑所得は事業所得とは違って収入金額自体が小さいので、結果として確定申告が不要となることも珍しくありません。

事業所得のほうがメリットは大きい

ここまで説明したとおり、節税という見地からは、雑所得よりも事業所得のほうが圧倒的にメリットが大きいと言えます。

しかしだからといって、「売上Aは事業所得、売上Bは雑所得……」などと納税者の裁量で決定できるわけではありません。ある売上が事業所得として認められるためには、次の見出しで説明する要件を満たす必要があります。

事業所得として認められるための要件とは

事業所得として認められるための要件とは
事業所得として認められるための要件とは

ある売上が事業所得となるかどうか(=事業性の有無)について、税法は明確な基準を定めていませんが、実務上は以下の4つの基準で判断しています。

判断基準①反復継続性があるか

事業が単発で終わるような場合や、事業がスタートしたばかりでほとんど営業実績が存在していないような場合は、「反復継続性がなく、一時的な所得に過ぎない」と判断されるため、事業所得として認められません。

判断基準②営利性・有償性があるか

事業は営利目的で行うものですので、無償で商品を与えたり、著しく安い対価でサービスを提供したりする場合は事業性が否定されます。

判断基準③自己の計算と危険において独立して遂行する業務か

個人事業においては、事業資金を銀行から借りる際は事業主名義ですし、事業活動で事故が起きた場合は事業主個人が賠償責任を負います。このように、お金の計算や事業遂行上の危険を事業主自身が引き受けていれば、事業性が認められやすくなります。

反対に、「運営資金の大半を、友人から無期限・無利息で借りている」「取引の代金を親が肩代わりしている」といった場合は、自己の計算と危険において独立して事業を遂行しているとは到底言えませんので、事業性が否定されます

判断基準④事業として客観的に成立しているか

サラリーマンが通勤電車の中でスマホを使って株取引をし、数百万円を稼いでいたとしても、「事業所得」とは認められません。本業はサラリーマンであり、株取引は客観的に見て事業として成立していないからです。

「日々その事業に専従する」「屋号を掲げて仕事をする」「事業主としての名刺や連絡先を用意し、取引先とやりとりする」といった条件をクリアしないかぎり、事業として客観的に成立しているとは認められないため、収入を事業所得とすることもできません。

事業所得と雑所得に明確な線引きはない

事業性の有無は、前掲したような要件を総合判断して行うため、事業所得と雑所得を明確に線引きするのは難しいかもしれません。

事業所得の判断基準については、最高裁判所の判例や国税不服審判所の裁決が先例を示していますが、ポイントとなる判断基準は上記の4つに集約されますので、よく確認しておきましょう。

この業務は事業所得?雑所得?

この業務は事業所得?雑所得?
この業務は事業所得?雑所得?

ここでは具体例を使って、事業所得と雑所得の区別を確認していきます。ポイントは「事業性の有無」と「所得金額の大きさ」です。

ケース①太陽光発電による売電

自分の家や土地にソーラーパネルを設置し、太陽光発電を行って得た電力は、国が定めた「固定価格買取制度」に基づいて電力会社に売ることができます。

個人が太陽光発電によって売電する場合、電気を売ることが主目的ではありません。生活に必要な電力を発電し、使い切れなかった電力を売電するので、反復継続性や営利性が認められません。したがって太陽光発電による売電で得た所得は、事業所得ではなく雑所得となります。

ただし、自宅兼事務所の屋根にソーラーパネルを設置し、主に事業用電力を確保するために太陽光発電を行っていたような場合は別です。事業用電力目的の太陽光発電で余った電力を売電した場合、対価がどんなに少額であっても事業所得と扱われるので注意しましょう。

ケース②ネットオークションで収入を得た場合

ネットオークションで服や小物、本などを売ってお小遣いにするという方はよく見かけます。このような場合、ごく一般的な利用であれば雑所得に区分されます。

参考:No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合|国税庁

たとえば本業がサラリーマンの人なら、「雑所得が20万円以下なら個別の確定申告が不要」という慣例があるので、「年に数回程度、不要な物をオークションで売り、数万円の所得を得ている」という場合なら、確定申告は不要です。

もっとも個人事業主の場合、「20万以下〜」の慣例は当てはまりませんので、オークションで得た雑所得がたとえ1万円でも申告する必要があります。

また、サラリーマンか個人事業主かにかかわらず、宝石や骨董品などの贅沢品をネットオークションで売り、その金額が30万円を超えた場合は、雑所得ではなく譲渡所得となるので、譲渡所得税の確定申告が必要です。

ケース③個人契約の家庭教師の場合

個人契約の家庭教師が得る報酬は「給与所得」ではありませんので、事業所得または雑所得となります。事業所得となるかどうかは、前掲した「反復継続性」などの基準により判断します。

副業は雑所得に区分されることが多い

ここまで説明したように、副業は雑所得に区分されるのが一般的です。これは、利益が小さいことや、反復継続性・営利性など事業性を認めるための要件を満たしていないことなどが理由です。

したがって、利益が本業の収入よりも大きかったり、事業性の要件を満たしているような場合は、雑所得ではなく、譲渡所得や事業所得に区分し、適切に確定申告する必要があります

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

事業所得と雑所得を比較すると、メリットとしては当然事業所得のほうが大きいですが、特にサラリーマンの副業が事業所得と認められるには実際かなりハードルが高いですし、状況によってケースバイケースな部分もあるので、慎重に判断する必要があります。 以前事業所得で赤字を発生させて、損益通算で給与所得と相殺し、税金を減らすというスキームが流行したことがありました。このようなケースでは税務署も当然目をつけてくると思われますので、注意しましょう。
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この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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