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給与所得と給与所得控除の計算方法について

最終更新日: 2026年01月05日

サラリーマンが確定申告書を作成するとき、源泉徴収票の内容を転記する部分があります。そこで出てくる給与所得や給与収入とは、一体何をさすのか、何が違うのかご存知でしょうか。

給与所得だけではなく、計算するときに必要な給与収入、給与所得控除について、わかりやすく解説します。

給与所得の計算方法

給与所得の計算方法
給与所得の計算方法

給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いたものです。

ここでは「給与所得」と、それを求めるために必要な「給与収入」と「給与所得控除」、よく聞く「手取り」という4つについて、わかりやすく解説していきます。

また、給与所得額が簡単にわかる自動計算ツールも紹介しています。給与所得の計算の参考にしてください。

給与所得と手取りの違い

給与所得とは、1年間の給与収入のうち、課税対象となる金額をさし、次の計算式で求められます。

給与所得=給与収入-給与所得控除

一方の手取りとは、次のように給与所得から税金や保険料などを差し引いた後の金額をさします。

手取り=給与所得(給与収入-給与所得控除)-税金や保険料など

つまり、

  • 給与所得=給与収入から給与所得控除のみを引いた後の金額
  • 手取り=給与所得からさらに税金や保険料などを差し引いた、金融口座に入金される金額

ということになるのです。

給与収入と給与所得の違い

給与収入とは、税金や保険料などが引かれる前の、1年間に受け取ったすべての収入金額=年収のことをさします。

給与収入には次のものが含まれます。

源泉徴収前の毎月の給料、ボーナス
住宅手当や残業手当、役職手当、家族手当などの手当
通勤手当のうち次の金額

  • 通勤で実際にかかる交通費より通勤手当のほうが多い場合、実際の交通費と通勤手当の差額
  • 毎月の通勤手当が15万円を超える場合、15万円を超えた分の金額
次のような現物支給や経済的利益も含まれる場合がある

  • 無償または低価格で受け取った会社の商品
  • 無償または低価格で借りた会社の土地や建物
  • 無利息または低い金利で借りた会社の金銭

給与収入と給与所得は間違いやすいですが、

  • 給与収入=給与所得控除や税金などが引かれる前の、1年間の全収入金額
  • 給与所得=給与収入から給与所得控除のみを引いた後の金額

という違いがあるのです。

簡単にわかる給与所得の自動計算ツール

国税庁サイトには、給与収入(=年収)から給与所得を簡単に計算できるツールが用意されています。

簡単にわかる給与所得の自動計算ツール
簡単にわかる給与所得の自動計算ツール

給与収入(=年収)を入力するだけなので、給与所得額をすぐに知りたいという方は使ってみてください。

給与所得控除

個人事業主などの場合、収入から経費を差し引いて所得を計算します。

一方サラリーマンなどの場合、仕事にかかわるさまざまな費用を自己負担しているにもかかわらず、経費として差し引くことができません。

この経費の代わりとして差し引かれるのが給与所得控除です。

給与所得控除については次の章で、役割や具体的な計算方法など、詳しく解説していきます。

給与所得控除と特定支出控除とは

給与所得控除と特定支出控除
給与所得控除と特定支出控除

給与所得控除はサラリーマンなどの給与受給者のみに適用される控除です。

  • なぜ給与所得控除が設定されているのか、その役割
  • 給与所得控除額はずっと同じではなく、法改正によって変わる

ということについて、詳しく解説していきます。また給与所得控除とは別に設定されている特定支出控除についても見ていきます。

給与所得控除の役割

(1)給与所得者と個人事業主、双方の税制上の公平性を保つ

個人事業主は経費が認められるのに、サラリーマンは経費を認めてもらえないのでは、不公平になってしまいます。

そのため、給与所得控除は経費の代わりの役割を果たしているのです。

(2)会社での税計算・処理の煩雑化を防ぐ

給与所得者も個人事業主と同様に、仕事にかかわるさまざまな費用を経費として計上できると仮定します。

すると会社は社員一人一人にかかった経費を確認・計算しなければいけません。

給与所得控除額は、会社側の業務煩雑化を防ぐという意味合いもあり、年収(=給与収入額)に応じて経費の概算(=給与所得控除)が決まっています。

給与所得控除額の最新計算式(令和7年分以降)

給与所得控除の計算式は、令和7年(2025年)12月施行の改正により引き上げられました。最新の計算式は次のとおりです。

給与等の収入金額

(給与所得の源泉徴収票の支払金額)

2025年(令和7年)分以降
190万円以下 収入金額×40%

(65万円に満たない場合は65万円)

190万円超360万円以下 収入金額×30%+19万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+55万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+121万円
850万円超 205万円(上限)

国税庁サイトより

給与所得控除額は、給与収入額が190万円に満たない場合でも最低65万円が控除されます。また、850万円を超える場合は205万円が上限となります。

給与所得者には特定支出控除も適用される

サラリーマンの給与所得控除額は、給与収入に対して一律で決まっています。

実際に経費として支出した金額が給与所得控除額の2分の1を上回る場合は、その超えた分を「特定支出控除」として所得から差し引けます。

【特定支出控除の適用条件】

特定支出控除が認められるには、

特定支出がその年中の給与所得控除額の2分の1を超える

という条件があります。例えば年収400万円のサラリーマンの場合、

  • 年収400万円の給与所得控除額は135万円
  • 特定支出控除は、135万円の2分の1=67.5万円を超えた場合に受けられる

ということになり、特定支出が67.5万円を超えなければ控除を受けられません。

特定支出として認められるのは、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費など)の6種類です。

【特定支出控除の注意点】

特定支出控除の適用を受けるためには、次のことに注意が必要です。

  • 申告書に領収書や明細書の添付と、給与支払者(=会社)の証明書の添付が必要
  • 自分で確定申告をしなければ適用を受けられない

給与所得控除の計算方法とシミュレーション

給与所得控除の計算方法とシミュレーション
給与所得控除の計算方法とシミュレーション

給与所得額を求めるために必要な給与所得控除額は、どのようにして決められるのでしょうか。

給与所得控除の計算方法

令和7年(2025年)分以降の給与所得控除額は、最新の速算表(前述)に基づいて計算されます。
※2ヵ所以上から給与をもらっている場合は、合計額を合算して計算します。

年収400万の人の例

具体的な例を使って、2026年(令和8年)以降の給与所得控除額と給与所得を求めてみましょう。

<<モデルケース>>

・サラリーマン

・年収(=給与収入額)400万円

最新の表(360万超660万以下)の式に当てはめると、

給与所得控除額=収入金額×20%+55万円=400万円×20%+55万円=135万円

となります。つまり、年収400万円のサラリーマンの場合、給与所得控除額は135万円です。

さらにこの場合の給与所得額は

給与所得額=給与収入額-給与所得控除額=400万円-135万円=265万円

となります。この265万円が「給与所得」となり、ここからさらに最新の「基礎控除」を差し引いて税金を計算します。

パート・バイトは給与収入123万円〜最大160万円まで所得税が非課税に

最新の税制改正により、基礎控除額が大幅に引き上げられました。

給与所得控除額の下限:65万円
基礎控除額:58万円〜最大95万円

これらを合わせると、

65万円 + 58万円 = 123万円

となり、給与収入額が123万円までであれば、所得税は一切かかりません。(※納税者本人の合計所得金額が132万円以下の場合、基礎控除は最大95万円まで加算されるため、実質的な非課税枠はさらに拡大します。)

パートで働いている人などは、1年間の給与収入額をこの範囲に抑えると、所得税を払う必要はありません。

ただし、配偶者控除・配偶者特別控除や社会保険の扶養枠に関わる場合は、上記とは異なる基準があることに注意が必要です。

合計所得金額に応じた基礎控除額(2026年/令和8年分)

2026年分の確定申告では、所得金額によって基礎控除額が変動します。

合計所得金額 基礎控除額
132万円以下 95万円
132万円超 336万円以下 88万円
336万円超 489万円以下 68万円
489万円超 655万円以下 63万円
655万円超 2,350万円以下 58万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

書類上での給与所得と給与収入の見方

書類上での給与所得と給与収入の見方
書類上での給与所得と給与収入の見方

給与収入と給与所得は、実際の書類ではどこに記載されているのでしょうか?

源泉徴収票の場合

源泉徴収票での給与収入と給与所得の見方は、次のとおりです。

源泉徴収票の表記
源泉徴収票の表記

上の図のように、

  • 源泉徴収票の「支払金額」欄=給与収入=年収
  • 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄=給与所得

として記載されます。

確定申告書の場合

確定申告書(第一表)での給与所得と給与収入の見方は、次のとおりです。

確定申告書の表記

上の図のように、

  • 確定申告書の「収入金額等」欄「給与」=給与収入=年収
  • 確定申告書「所得金額等」欄「給与」=給与所得

として記載します。

給与所得者も確定申告が必要?

給与所得者も確定申告が必要?
給与所得者でも確定申告が必要なケースがある

多くのサラリーマンは年末調整によって納税が完了しますが、以下のパターンに当てはまる場合は確定申告が必要です。

  • 年間の給与収入が2,000万円を超える人
  • 給与を1カ所から受け取っており、副業等の所得合計が20万円を超える人
  • 給与を2カ所以上から受け取っており、年末調整されなかった給与収入等が20万円を超える人

事業所得が混在している給与所得者は確定申告が必要

事業所得が混在している給与所得者は確定申告が必要
給与以外の所得が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要

副業などの所得が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要です。
基礎控除の引き上げにより、2026年分からは所得合計が基礎控除額(最大95万円)を下回る場合は申告不要となるケースが増えますが、サラリーマンの副業の場合は「20万円ルール」が優先されます。

給与所得がある年金受給者も確定申告が必要

給与所得がある年金受給者も確定申告が必要
公的年金は雑所得として扱われており課税の対象

公的年金は雑所得として扱われます。年金受給者にも新しい基礎控除(最大95万円)が適用されるため、非課税枠が拡大しています。
「公的年金等の収入金額が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下」であれば確定申告不要制度が利用可能です。

確定申告書の書き方と注意事項

確定申告書の書き方と注意事項
現在は確定申告書Aが廃止され一本化されています

所得税の確定申告期間は毎年2月16日から3月15日(休日の場合は翌平日)です。

2026年(令和8年)の確定申告期間は令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までです。

令和7年分の年末調整からは、新しい基礎控除等の申告書様式が統合され、名称が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に変わります。

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