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所得控除とは?種類と金額、対象者や計算方法をわかりやすく解説【2024年】

最終更新日: 2024年02月01日

所得控除とは、所得税を計算する際、所得から一定の金額を差し引くことで、納税者の負担を軽くする仕組みです。

所得控除には家族の状況や、必要になった医療費、保険料など、個人の状況を考慮した控除があります。

15種類の所得控除の税額や、適用条件について詳しく解説します。

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

所得控除とは?税額控除や給与所得控除との違い

所得税計算の際、収入から経費を引いた所得から差し引かれるのが所得控除です
所得税計算の際、収入から経費を引いた所得から差し引かれるのが所得控除です

所得控除は、個人の状況にあわせて税負担軽減を行なう仕組みです。所得税額の計算において、各納税者の個人的事情を加味することを目的に設けられています。

所得控除の計算方法、税額控除や給与所得控除との違いをわかりやすく説明します。

所得控除とは:課税される金額を減らせる制度

所得控除とは所得から一定額を控除し、課税所得を減らせる制度です。課税される金額が少なくなるため、所得控除を利用すると所得税の額を抑えられます。

所得控除は課税対象となる所得額を減額する制度であり、税額から直接引けるわけではありません。税額から一定額を直接控除する制度は、後述する「税額控除」に該当します。

なお所得控除の基準となる所得額は、収入額とは異なる概念です。所得控除の計算に用いる「所得額」とは、収入から事業を行うために支払った必要経費を差し引いた部分となります。

所得控除の計算方法

所得控除による控除額の計算方法は種類によって異なりますが、大きく以下の3パターンに分けられます。

  1. 支払った金額がそのまま控除額になる
    例:社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
  2. 控除額が一定額に決められているもの
    例:基礎控除、配偶者控除、寡婦・寡夫控除
  3. 支払金額を基準に指定の計算方法で算出するもの
    例:生命保険料控除、地震保険料控除

それぞれの控除額を合算したものが所得控除の額の合計額です。所得から所得控除の合計額を差し引いた金額が、所得税の課税対象となります。

所得控除と「税額控除」の違い

税額控除とは課税所得に税率を乗じて算出した税額から、直接控除できる制度です。

所得控除が所得額から一定金額を差引くのに対し、税額控除は、計算後の所得税から一定金額を差引きます。

所得税の計算方法

  1. 収入から必要経費を差し引いて所得を計算する
    収入-必要経費=所得
  2. 所得から所得控除を計算し課税所得額を算出する
    所得-所得控除=課税所得
  3. 課税所得に所定の税率を乗じ、所得金額ごとに定められた控除額を差し引く
    課税所得×税率-控除額=所得税額
  4. 所得税額から税額控除を差し引き最終的な納付税額を算出する
    所得税額-税額控除=申告納税額

所得控除は「2」の工程で所得額から一定額を差し引く制度であるのに対し、税額控除は「4」の工程で計算後の所得税から一定額を差し引きます。

所得控除と「給与所得控除」の違い

給与所得控除とは会社などの就業先から給与をもらっている給与所得者が受けられる控除制度です。

給与所得控除は所得控除ではありません。所得控除は収入額から経費を引いた所得額から控除する仕組みですが、給与所得控除は収入額から控除する仕組みです。

給与収入額(源泉徴収される前の額)-給与所得控除=給与所得

会社員などの給与所得者は、所得税を計算する際に給与収入から経費を差し引けません。しかし仕事をする上で、必要な道具や資料を自己負担で購入する場面があります。

そうしたとき、必要経費に相当する額を収入額から、控除できる制度が給与所得控除です。

なお給与所得控除の額は、給与等の収入金額によって異なります。より詳しく知りたい人は、以下の記事をご確認ください。

所得控除の全15種類をわかりやすく解説

高齢の両親を扶養している場合は扶養控除が適用できます
高齢の両親を扶養している場合は扶養控除が適用できます

所得控除には基礎控除など15の種類があります。それぞれに控除が受けられる条件や上限額、計算方法が異なります。適用できる控除が増えれば、より節税につながるでしょう。

基礎控除

基礎控除は納税者の所得金額に応じて一定額を差し引くことができる所得控除です。控除額は合計所得金額ごとに一律で設定されており、2,400万円以下の所得であれば48万円の控除が必ず適用されます。

納税者の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。控除額は納税者の合計所得額によって以下のように異なります。

納税者の合計所得 控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
※その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点で以下すべての要件を満たす配偶者を意味します。

  • 民法の規定による配偶者である
    ※内縁関係の場合は該当しません。
  • 納税者と生計を一にしている
  • 合計所得金額が48万円以下である
  • 青色事業専従者給与の支払いを受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が48万円を超えて、配偶者控除を受けられない人が適用できる所得控除です。

配偶者特別控除を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 納税者の合計所得が1,000万円以下である
  • 配偶者が次の要件をすべて満たす
    • 民法の規定による配偶者である
      ※内縁関係の場合は該当しません。
    • 納税者と生計を一にしている
    • 青色事業専従者給与の支払いを受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない
    • 年間の合計所得額が48万円超133万円以下である
  • 配偶者が配偶者特別控除の適用を受けていない
    ※夫婦の両方が配偶者特別控除の適用を受けることはできません。
  • 配偶者が源泉徴収されていない

配偶者特別控除による控除額は、配偶者の合計所得額と納税者の合計所得額に応じて細かく定められています。令和2年分以降の金額の一部を紹介します。

配偶者の合計所得 控除を受ける納税者の合計所得
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
48万円超
95万円以下
38万円 26万円 13万円
95万円超
100万円以下
36万円 24万円 12万円
100万円超
105万円以下
31万円 21万円 11万円
~途中省略~
130万円超
133万円以下
3万円 2万円 1万円

たとえば、納税者本人の合計所得金額が900万円、配偶者の合計所得金額が100万円の場合、配偶者特別控除による控除額は36万円です。

扶養控除

扶養控除とは、所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。控除額は条件によって以下のように異なります。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外 48万円
同居老親等 58万円

扶養親族に該当するのは以下の要件をすべて満たす人です。

  • 配偶者以外親族、もしくは都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人
  • 納税者と生計を一にしている
  • 合計所得金額が48万円以下である
  • 青色事業専従者給与の支払いを受けていない、もしくは白色申告者の事業専従者でない

扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人が扶養控除における控除対象扶養親族となります。

寡婦・寡夫控除

寡婦・寡夫控除とは、配偶者と離婚または死別した寡婦(寡夫)が受けられる所得控除です。寡婦・寡夫控除の金額は27万円です。

控除の適用要件は、寡婦控除と寡夫控除で異なります。

まずは寡婦控除の要件です。寡婦控除はひとり親に該当せず、事実婚状態の人もいない人のうち、以下のいずれかに該当する人が対象となります。

  • 夫との離婚後に婚姻をしておらず、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下
  • 夫と死別後に婚姻をしていない、もしくは夫の生死が明らかでない一定の人であり、合計所得金額が500万円以下である
    ※扶養親族の有無は要件に含まれません。

一方で寡夫控除は、次のすべてを満たす人のみが対象です。

  • 合計所得金額が500万円以下である
  • 妻と離婚、死別、妻の生死が明らかでない一定の人のいずれかに該当
  • 生計を一にする子どもがいる

ひとり親控除

ひとり親控除とは、納税者がひとり親である場合に受けられる所得控除です。控除額は35万円と一律に定められています。

ひとり親控除の対象となるのは、次の要件をすべて満たす人です。

  • 事実上婚姻関係にあると認められる一定の人がいない
  • 生計を一にする子どもがいる
  • 合計所得金額が500万円以下である

寡婦・寡夫控除とひとり親控除の大きな違いとして以下の2つが挙げられます。

  1. 性別による適用要件の違いがない
  2. 婚姻の事実の有無が関係ない
    ※寡婦・寡婦控除は婚姻後の離婚・死別・生死不明が要件の1つであり、婚姻経験がないシングルマザーは適用対象外

勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者自身が勤労学生の場合に受けられる所得控除です。勤労学生控除による控除額は27万円と一律に定められています。

勤労学生控除の対象は、以下3つの要件をすべて満たす人です。

  1. 給与所得など勤労による所得がある
  2. 合計所得金額が75万円以下で、かつ、1の勤労による所得以外の所得が10万円以下である
  3. 特定の学校の学生、生徒であること
    3の要件の詳細は、国税庁公式サイト「No.1175 勤労学生控除」をご確認ください。

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人または同一生計配偶者・扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる所得控除です。

障害者控除による控除額は区分によって以下のように異なります。

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者 75万円

障害者控除の対象となる人の範囲および区分は、判定の有無や等級によって異なります。正しい区分・控除額を把握するため、必ず国税庁公式サイトの案内をご確認ください。

医療費控除

医療費控除とは、1年間に自己または自己と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費が一定額を超える場合に受けられる所得控除です。

医療費控除による控除額は以下の方法で計算します。なお、最高額は200万円です。

(実際に支払った医療費の額-保険金などで補てんされる金額)-10万円

保険金などで補てんされる金額とは、生命保険等により支給される入院費給付金や、健康保険により支給される高額療養費等が該当します。

医療費控除による控除額の計算では10万円を差し引くため、年間の医療費が10万円以下の場合は控除の適用を受けられません。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の場合、10万円ではなく、総所得金額等の5%を差し引きます。

医療費控除の対象となる医療費の要件は以下の通りです。

  • 納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者およびその他の親族のために支払った医療費である
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費である

寄附金控除

寄附金控除とは、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」を支出した場合に受けられる所得控除です。

以下のいずれかに該当するものが特定寄附金となります。

  • 国または地方公共団体に対する寄附金
  • 公益を目的とする事業を行う組織に対する寄附金のうち一定の要件を満たしている
  • 所得税法別表第一に掲げる法人等への寄附金のうち一定の要件を満たしている
  • 特定公益信託のうち一定の要件を満たしている
  • 政治活動に関する寄附金のうち一定の要件を満たしている
  • 認定特定非営利法人等(認定NPO法人等)に対する寄附金のうち一定のもの
  • 特定新規中小会社によって発行される特定新規株式の取得に要した金額のうち一定の金額

要件の詳細は国税庁公式サイト「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」をご確認ください。

寄附金控除による控除額は以下の通りです。

以下のうちいずれか低い金額-2,000円=寄附金控除額

  1. その年に支出した特定寄附金の合計額
  2. その年の総所得金額等の40%相当額

参考:寄附金控除とは? ふるさと納税との違いや確定申告のやり方も解説!

社会保険料控除

社会保険料控除とは、自己または自己と生計を一にする配偶者や親族が負担するべき社会保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。社会保険料の対象となる支出として、以下の7つが挙げられます。

  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 厚生年金基金の掛金

社会保険料控除は控除額の上限が設定されていません。その年に支払った社会保険料の全額がそのまま控除額となります。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、「生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」を支払った場合に受けられる所得控除です。控除額は、保険の契約時期および年間で支払った保険料等の金額によって異なります。

新契約(平成24年1月1日以降に締結した保険契約等)の場合

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等全額
20,000円超40,000円以下 支払保険料等×2分の1+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料等×4分の1+20,000円
80,000円超 40,000円

旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)の場合

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等全額
25,000円超50,000円以下 支払保険料等×2分の1+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払保険料等×4分の1+25,000円
100,000円超 50,000円

参考:国税庁公式サイト「No.1140 生命保険料控除」

生命保険料控除による控除額は、「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」のそれぞれに適用されます。ただし旧制度には「介護医療保険料」の区分がありません。

合計12万円が生命保険料控除の上限額となります。

地震保険料控除

地震保険料控除とは、特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合に受けられる所得控除です。控除額は、保険の区分および年間の支払保険料の合計によって異なります。

区分 年間の支払保険料 控除額
①地震保険料 50,000円以下 支払額全額
50,000円超 50,000円
②旧長期損害保険料 10,000円以下 支払額全額
10,000円超20,000円以下 支払金額×2分の1+5,000円
20,000円超 15,000円
①②両方がある場合 ①②それぞれで計算した額の合計

※上限50,000円

参考:国税庁公式サイト「No.1145 地震保険料控除」

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合に受けられる所得控除です。控除対象となる掛金として以下の3つが挙げられます。

  • 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
    例:小規模企業共済
  • 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金
    例:iDeCo、企業型DC
  • 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金

その年に支払った掛金の全額が控除額となります。

雑損控除

雑損控除は災害・盗難・横領によって資産に損害が生じた場合に受けられる所得控除です。

雑損控除による控除額は、以下のうち大きい方の金額となります。

  • (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等×10%
  • (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

控除対象となるのは、以下すべての要件を満たす資産です。

  • 資産の所有者が以下のいずれか
    • 納税者本人
    • 納税者と生計を一にする配偶者や親族で総所得金額等が48万円以下
  • 棚卸資産・事業用固定資産等・生活に通常必要でない資産のいずれにも該当しない

なお、詐欺や恐喝が原因の場合は雑損控除の適用を受けられません。

所得控除の申請方法:年末調整と確定申告

所得控除は要件を満たした場合に自動で適用されるわけではありません。所得控除を受けるためには、年末調整または確定申告での申告が必要です。

年末調整と確定申告の違いを踏まえたうえで、それぞれの所得控除の申告方法について解説します。

年末調整と確定申告の違い

年末調整 確定申告
実施する人
  • 会社

※納税者である従業員は、会社から指示される書類の提出が必要です。

  • 納税者本人
対象者
  • 会社に勤務している給与所得者

※「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合のみ対象です。

※給与所得者でも年末調整の対象外になるケースがあります。詳細は以下の記事で解説しています。

  • 給与所得以外の所得がある人
  • 年末調整の対象外である給与所得者
  • 年末調整で適用を受けられない控除制度の対象者

年末調整は給与所得者の給与から差し引かれた源泉徴収税額の合計と、実際の所得税額の過不足を精算する手続です。会社員や役員などの給与所得者が対象となります。

会社員の給与や賞与は、所得税が差し引かれる源泉徴収が適用された後の金額が支給されます。しかし、源泉徴収による控除額は概算で、正しい税額ではありません。その年の所得税額は1年間の所得額が判明するまでわからないため、源泉徴収額と正しい所得税額にどうしても過不足が生じてしまいます。この過不足を精算する手続きが年末調整です。

年末調整の手続きは勤務先である会社が実施します。所得税額よりも源泉徴収税額が大きい場合は差額が還付され、源泉徴収税額の方が小さい場合は追加徴収が行われます。

確定申告は所得税額を確定させるために納税者本人が行う手続きです。給与所得以外の所得がある人や、年末調整の対象外となる人は、全員確定申告を行う必要があります。

【年末調整】会社員向け:所得控除の申請手順

年末調整の対象者が所得控除を受けるには、会社に以下の書類を提出するのみです。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 各種控除証明書
    ※保険料控除および小規模共済等掛金控除の適用を受ける場合

「扶養控除等(異動)申告書」及び「保険料控除申告書」は会社から空欄の資料が配布されるため、必要事項を記入して提出します。

所得控除を受ける際に記入が必要な欄は以下の通りです。該当の所得控除の対象でなければ記入の必要はありません。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
    • A 源泉控除対象配偶者
    • B 控除対象扶養親族
    • C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
    • D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等の情報
      ※所得控除の適用要件を満たす扶養親族がおり、その扶養親族について、同世帯の別の所得者が該当の所得控除を受ける場合に記入が必要です。
  • 給与所得者の保険料控除申告書
    • 生命保険料控除
    • 地震保険料控除
    • 社会保険料控除
    • 小規模共済等掛金控除

※保険会社等から届く「保険料控除証明書」または「掛金控除証明書」の内容通りに記入します。

 

なお、以下の控除は年末調整での適用を受けられません。以下の控除を受けるには確定申告を行う必要があります。

  • 寄附金控除(ふるさと納税など)
  • 医療費控除
  • 雑損控除

【確定申告】個人事業主向け:所得控除の申請手順

確定申告における所得控除の申請手順は、確定申告書を紙で作成するか、Webで作成するかによって大きく異なります。

紙で作成する場合、確定申告書の所定の欄に必要事項の記入が必要です。

前提として、確定申告書は第一表と第二表に大別されます。第一表は所得や控除の合計および税額、第二表は税額計算に必要な情報の詳細を書くイメージです。各種所得控除による控除額の合計は第一表、所得控除の内訳や詳細は第二表に記入します。

例として、社会保険料控除の書き方を紹介します。今回使用する条件は以下の通りです。

  • 支払った保険料の種類:国民健康保険、国民年金
  • 保険料の額:国民健康保険料400,000円、国民年金350,000円

確定申告書には以下のように記入します。

  1. 第二表の「⑬社会保険料控除」の欄の「保険料等の種類」に「国民健康保険料」「国民年金」を入れる
  2. 「支払保険料等の計」の部分に、国民健康保険料は400,000円、国民年金は350,000円を入れる
  3. 右隣の「うち年末調整等以外」の欄に2と同額を書く
  4. 第一表の「社会保険料控除」の欄に、国民健康保険料と国民年金の合計である750,000円と記入する

確定申告書作成コーナーまたはe-Taxを使いWebで作成する場合は入力欄が表れるため、画面の案内に沿って必要事項を入力しましょう。所得控除の入力ページは、所得の入力がすべて終わってから表示されます。

所得控除の申請を忘れたらどうする?

年末調整と確定申告の両方で所得控除の申請を忘れてしまった場合、還付申告を行いましょう。還付申告とは、既に支払った税額が本来の納付税額よりも大きい場合に、納め過ぎた分の還付を受けるための申告です。

還付申告の期限は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間です。たとえば、令和5年分の所得控除の申請漏れがあった場合、令和6年1月1日から令和10年12月31日までの間に還付申告をすれば所得税の還付を受けられます。

還付申告は通常の確定申告よりも受付期間が長いため、年末調整と確定申告に間に合わなかった場合でも安心です。

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所得控除は全部で15種類もあり、制度によって適用要件や控除額の計算方法が異なります。

自身が適用対象となる所得控除について正しく把握しなければ、所得控除の申請が漏れて税金を払いすぎてしまう恐れや、逆に誤って過少申告をしてしまう恐れがあります。所得控除は内容に複雑な部分があるため、専門知識のない人が正確に申請するのは容易ではありません。

「どの所得控除を受けられるかわからない」「正しく申請できるか不安」とお悩みの人は、税金のプロである税理士へ依頼するのがおすすめです。自身の負担を最小限に抑えた上で、正しい所得控除の申請および確定申告を実施できます。

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監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

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納税は国民の義務とはいっても払わなくていい税金を払うのは負担が大きくなるだけです。所得控除を上手に活用して節税すれば、納めすぎていた税金の還付を受けることができます。

どんな控除が当てはまるのかは、条件など難しい部分もあります。間違って申告してしまえば、税務調査などの要因になってしまうこともあるのです。

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