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障害者控除とは? 確定申告のやり方や対象となる人について解説

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最終更新日: 2025年01月10日

本人、もしくは親族が障害をお持ちの場合、障害者控除を適用できる可能性があります。障害者控除を利用することで、課税対象の所得が減り、支払う税金の額を抑えることが可能です。

この記事では、障害者控除の適用条件や対象者、申請の方法について詳しく解説します。

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障害者控除は「特定の条件を満たした際に受けられる所得控除」

障害者控除は「特定の条件を満たした際に受けられる所得控除」

障害者控除とは、本人や親族、配偶者が障害者である場合に受けられる所得控除です。

そもそも所得控除とは、課税対象となる所得額から一定の金額を差し引ける仕組みです。たとえば40万円の控除の場合、所得から40万円を引いた金額が課税対象となり、その分所得税や住民税の金額が小さくなります。

障害者控除を受けるには、年末調整や確定申告において自分から申請を行う必要があります。

障害者控除の対象となる親族の範囲

障害者控除の対象者となる親族の範囲は以下の通りです。

障害者控除の対象となる親族

  • 納税者本人
  • 配偶者
  • 配偶者以外の扶養親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)

「姻族」は配偶者のことです。自身は6親等内、配偶者は3親等内に障害者の方がいれば、障害者控除の対象となります。

ただし障害者控除の対象となるには、その親族が以下の条件に当てはまっている必要があります。

障害者控除の対象となる親族の注意点

  • 本人以外の場合、納税者本人と生計を一にしている必要があります。
  • 障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族にも適用されます。
  • 年間の合計所得金額が48万円以下である必要があります。

(給与のみの場合は給与収入(額面)が103万円以下)

※青色事業専従者給与(青色申告の場合)、事業専従者控除(白色申告の場合)の適用を受けている場合は対象外です。

障害者控除の対象となる条件

本人または親族が以下のいずれかの場合に該当すれば、障害者控除の対象となります。

  • 障害者控除の対象者
  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
  • 身体障害者手帳の交付を受けている人
  • 療育手帳の交付を受けている人
  • 精神上の障害により事理を弁識する能力に欠く常況にある人
  • 65歳以上で市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人
  • 常に就床を要し、複雑な介護を受けなければいけない人
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている人
  • 原子爆弾被爆者で厚生労働省が発行する認定書を持っている人

※療育手帳は「愛の手帳(例:東京都、横浜市)」、「みどりの手帳(例:さいたま市)」、「愛護手帳(例:青森県、名古屋市)」等の名称でも呼ばれています。

障害者手帳がなくても控除を受けられるケースもある

確定申告や年末調整時に障害者手帳を持っていなくても、障害をお持ちのことが自明である場合には、障害者控除を受けられる可能性が高いです。

障害者手帳がなくても控除を受けられるケース

  • 障害者手帳の受け取りを申請中であるケース
  • 診断書を持っているケース

上記のケースでは、診断書のコピーをとるなどの対応を求められることが多いです。

障害者控除の金額は障害の重さや状況により3段階に分けられる

障害者控除の適用金額は、障害の程度や状況に応じて変わってきます。具体的には以下の3段階にわけられます。

障害者 特別障害者 同居特別障害者(※)
本人が障害者である場合の所得税における控除額 27万円 40万円
配偶者、扶養親族が障害者である場合の所得税における控除額 75万円
本人が障害者である場合の住民税における控除額 26万円 30万円
配偶者、扶養親族が障害者である場合の住民税における控除額 53万円

順番に詳しく解説していきます。

障害者:27万円 / 26万円の控除

障害者(普通)の場合、

  • 所得税27万円
  • 住民税26万円

の障害者控除が適用されます。

障害者の定義は以下の通りです。

  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人:2級、3級
  • 身体障害者手帳の交付を受けている人:3~6級
  • 療育手帳の交付を受けている人:3度、4度(中度、軽度)
  • 65歳以上で市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人 :市町村等により障害者と認定
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている人:特別項症〜第3項症に該当しない場合

特別障害者:40万円/ 30万円の控除

特別障害者の場合、

  • 所得税:40万円
  • 住民税:30万円

の障害者控除が適用されます。

特別障害者の定義は以下の通りです。

  • 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人:1級
  • 身体障害者手帳の交付を受けている人:1級、2級
  • 療育手帳の交付を受けている人:1度、2度
  • 精神上の障害により事理を弁識する能力に欠く常況にある人:特別障害者に該当
  • 65歳以上で市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人 :市町村等により特別障害者と認定
  • 常に就床を要し、複雑な介護を受けなければいけない人:特別障害者に該当
  • 戦傷病者手帳の交付を受けている人:特別項症〜第3項症
  • 原子爆弾被爆者で厚生労働省が発行する認定書を持っている人:特別障害者に該当

同居特別障害者:75万円/ 53万円の控除

同居特別障害者の場合、

  • 所得税:75万円
  • 住民税:53万円

の障害者控除が適用されます。

同居特別障害者とは、控除対象配偶者か扶養親族が特別障害者に当てはまり、かつ本人、本人の配偶者、本人と生計を一にするその他の親族のどなたかと同居を常況としている人をいいます。

障害者控除以外にも障害者が受けられる特例がある

所得税法上の障害者の対象者となると上記以外でも様々な控除が受けられます。

控除の内容 説明
相続税の障害者控除 相続人が障害者の場合、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)が障害者控除として、相続税額から差し引かれます。
贈与税の非課税 特別障害者である特定障害者の方については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円まで贈与税がかかりません。
心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税  地方公共団体が条例によって実施する心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金(脱退一時金を除きます。)については、所得税はかかりません。

(給付金を受ける権利を相続や贈与によって取得したときも、相続税や贈与税は非課税)

少額貯蓄の利子等の非課税 身体障害者手帳等の交付を受けている方等が受け取る一定の預貯金等の利子等については、一定の手続を要件に非課税の適用を受けることができます。

※これらの控除の対象者は「本人」が障害者の場合です。

障害者控除の年末調整における必要書類と書き方

障害者控除の年末調整における必要書類と書き方
障害者控除の年末調整における必要書類と書き方

サラリーマン等の給与所得者(会社員)の方で年末調整しか行なっていない方(確定申告をしないor確定申告をする必要がない方)の場合は、扶養控除等申告書の障害者控除の欄に必要な情報を記載し会社に提出します(添付書類は不要です)。

会社側は年末調整時にその情報をもとに障害者控除の額を計算し適用を受ける事ができます。

年末調整に必要な書類

サラリーマン等の給与所得者が「障害者控除」を受けるためには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に障害者である旨を記載するのみで適用を受ける事ができます。添付書類(療育手帳等のコピー等)の提出を会社から求められる場合もありますが提出は義務ではありません。

扶養控除等申告書の書き方

サラリーマン等の給与所得者が障害者控除の適用を受けるため扶養控除等申告に記載する方法を説明します。

例:扶養親族である父親が一般の障害者(身体障害者3級)、交付年月日:平成27年4月11日の場合

扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄、抜粋
扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄、抜粋
  1. 図左上の障害者にチェックを入れる
  2. 「一般の障害者」枠の扶養親族にチェックを入れ、人数を「1人」と記載
  3. 氏名、障害の内容、交付年月日を記載

※配偶者が障害者の場合には「同一生計配偶者」の欄にチェックを入れます。

扶養控除申告書の全体は以下の国税庁のリンクから確認可能です。

参考:給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

障害者控除の確定申告における必要書類と書き方

障害者控除の確定申告における必要書類と書き方
障害者控除の確定申告における必要書類と書き方

個人事業主の方、年末調整で障害者控除の適用を受けなかった(会社にばれたくない等の理由で障害者である旨を記載しなかった等)方、年金受給者で確定申告をする必要がある方等は確定申告で障害者控除の適用を受ける事ができます。

確定申告に必要な書類

確定申告で障害者控除を受けるためには「確定申告書」に必要な情報を記載すればよく、添付書類は必要ありません。

※令和4年までは確定申告書A様式・B様式がありましたが、令和5年より一元化されました。

確定申告書の書き方

確定申告書の障害者控除の書き方を説明します。

例:扶養親族である父親(山田太郎)が特別障害者(身体障害者1級)の場合

確定申告書第一表_障害者控除
確定申告書第一表(国税庁の画像を加工)

第一表の「勤労学生、障害者控除」の欄に「400,000円」と記載(障害者控除欄以外の入力は省略しています)

確定申告書第二表_障害者控除
確定申告書第二表(国税庁の画像を加工)

第二表では、対象者が本人か、扶養家族かによって記載する場所が異なります。

今回は「扶養親族である父親(山田太郎)が特別障害者」なので、赤枠の「配偶者や親族に関する事項」欄に記入しましょう。続柄が「父」で、「特障」に〇をつけます。

本人が対象者であれば、青丸の「特別障害者」部分に〇をつけてください。「障害者」の場合は、それぞれ左の枠に〇をつけます。

確定申告書に障害者控除の対象者である旨を図の通り記載して提出すれば、その情報が市にいきますので住民税の控除額は市の方で計算してくれます。年末調整の場合も同様に扶養控除等申告書に記載して会社に提出すれば市の方で計算してくれます。

確定申告書の提出方法

確定申告書の作成が終わると税務署に申告書を提出します。

提出方法は税務署へ出向き紙で提出する方法と郵送で提出する方法の他に「e-Tax(電子申告)」で提出する方法もあります。紙で提出する場合は税務署の「受付印」、電子申告で提出する場合は「メール詳細」が申告した根拠資料になります。

「e-Tax(電子申告)」で提出する場合は、電子証明書が必要なため事前にマイナンバーカード等(ICチップが搭載されたもの)を取得しておく必要があります。

以下が「e-Tax(電子申告)」のURLです。

国税庁 確定申告書等作成コーナー|国税庁

障害者控除の申告を忘れたら

障害者控除の申告を忘れても、一定の条件を満たしていれば控除を受けることが可能です。

確定申告の期日前

確定申告の期日前に障害者控除の申告漏れに気づいたら、訂正申告を行って提出内容を修正します。

訂正申告については以下の記事で詳しく解説していきます。

参考記事:確定申告を間違えた!修正申告・訂正申告・更正の請求の方法をわかりやすく解説

確定申告の期日後

確定申告の期日が終わってしまった後に申告漏れに気づいたら、「更正の請求」という手続きを行うことで控除を受けられます。

更正の請求が有効なのは、確定申告の期日から5年後までになるのでご注意ください。

更正の請求については以下の記事で詳しく解説しています。

参考記事:【確定申告】更正の請求とは?必要書類やe-Taxでの方法をパターン別に解説

障害者控除の対象者を知り正しく確定申告を行おう

障害者控除の対象者を知り正しく確定申告を行なおう
障害者控除の対象者を知り正しく確定申告を行なおう

障害者控除は正しい知識さえあれば、簡単に適用を受ける事ができ納税額も少なくなりますし、サラリーマン等の給与所得者が扶養控除等申告書に記載し忘れていたり、確定申告時に申告し忘れていたりしても過去5年分は遡及適用を受ける事ができます。

親族が障害者控除の対象者となるかどうか不明な場合等は税務署に問い合わせるのも良いでしょう。

障害者控除を受けるために必要な情報
① 誰が対象者となるのかを把握する。
② どの控除の区分に該当するのかを把握する。
必要書類に適切に記載する。

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