個人事業主でも給与所得者でも、払いすぎた税金があれば、確定申告で還付金が返ってきます。
ただし入金のタイミングは確定申告の方法によって異なります。税務署または郵送で確定申告をした場合は1~1.5か月ほど、e-Taxで確定申告した場合は3~4週間です。
いつ還付金が振り込まれるのかを知りたい方のために、還付金が返ってくるスケジュールや振り込まれないときの対応、還付金の受け取り方などを解説します。
この記事の監修税理士
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通
還付金とは?確定申告や年末調整との関係
確定申告は個人事業主がするもので、会社員は年末調整だけすればいいと思っている人がいるかもしれません。しかし、会社員でも確定申告することによって還付金を受け取れるケースがあるので、損をしないように確認してみましょう。
最初に、確定申告や年末調整によって受け取れる還付金について解説していきます。
還付金とは?
還付金とは、税金を多く払いすぎて返還されるお金のことです。給与所得者は毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。個人事業主であっても、報酬支払いの際、源泉徴収される場合があります。
これらの所得税は、支払われている金額から計算して仮に納められているものです。実際の所得やさまざまな控除を差し引くと、所得税を支払いすぎていることも少なくありません。そこで、確定申告や還付申告をして実際の税額を確定し、払いすぎた税金を返してもらうのです。
確定申告と還付申告
税金の還付を受けるためには「確定申告」または「還付申告」をする必要があります。2つの方法の違いは、主な目的と申告期限です。
確定申告は、個人事業主のほか、副業をしている給与所得者などが行います。年間の所得を計算し、税金をいくら納めるかを決めるのがその目的です。その結果、税金を払いすぎていた場合に、還付金としてお金が返ってきます。
確定申告をすれば、還付申告をする必要はありません。申告期間は翌年の2月16日から3月15日です。
還付申告を行うのは、確定申告義務のない人でも、予定納税をした個人事業主のほか、ふるさと納税をした人、多額の医療費を払った人、退職などで年末調整を受けていない給与所得者などです。
これらの人は、すでに支払った税金が本来の税金より多かった可能性が高いので、税金を返してもらう目的で申告します。申告期間は翌年1月1日から5年間となっています。
給与所得者の源泉徴収と年末調整
会社員などの給与所得者は、給与から所得税が源泉徴収されます。源泉徴収額額は社会保険料控除後の給与と扶養親族の人数によって計算され、医療費控除などの所得控除は反映されていません。
関連記事:【所得控除とは?】種類と控除額の計算方法
給与から所得控除を差し引くと課税対象額が減って税金は安くなります。そのため所得控除の対象者は、源泉徴収によって税金を払い過ぎたことになります。また、1年間の給与変動がないことを前提に源泉徴収額が計算されているので、実際の税額とは過不足が生じるのです。
こうした源泉徴収額の過不足を修正するために、年末調整を行います。年末調整によって下記の所得控除が受けられます。
- 配偶者控除
- 扶養控除(子供などの扶養親族)
- 保険料控除(生命保険料、地震保険料など)
- 住宅借入金等特別控除 など
ただし、医療費控除など年末調整で所得控除できないものは確定申告が必要です。
個人事業主やフリーランスが還付金を受け取れる場合とは?
個人事業主やフリーランスの場合、一般的には確定申告をして税金を支払うので還付金は発生しません。
しかし報酬や売上から所得税が源泉徴収される場合は、確定申告により還付金が受け取れることもあります。
源泉徴収の対象となる報酬は、所得税法で定められていて下記の通りです。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士の報酬
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロスポーツ選手、モデルや外交員の報酬
- 映画、演劇、テレビの出演料など
- ホテルのコンパニオン、バーのホステスの報酬 など
個人事業主やフリーランスの源泉徴収については、以下の記事で詳しく解説しています。自分が源泉徴収されているか分からない人は参考にしてみてください。
確定申告をしてから還付金はいつ振り込まれる?
確定申告をして、さまざまな控除が受けられた場合、楽しみなのが還付金の入金です。確定申告後、還付金はいつ振り込まれるのでしょうか。確定申告後の還付金の最短振り込み時期は、確定申告の方法で異なります。
確定申告を税務署で行った、または郵送で行った場合:1~1.5か月
確定申告の書類を税務署に郵送した場合は、おおよそ1か月~1か月半で還付金が振り込まれます。
確定申告の期間は例年2月16日~3月15日です。もし2月16日に確定申告書を提出した場合、最短で3月16日、遅くとも3月末までには還付金が振り込まれることになります。
【おおよその入金日】※さまざまな状況で入金日は前後します。
- 2月16日~2月28日に行った場合:3月下旬(約1か月後)
- 3月1日~3月10日に行った場合:4月中旬(約1か月半後)
- 3月11日~3月20日に行った場合:5月中旬(約2か月後)
確定申告をe-Taxで行った場合:3~4週間
e-Taxとは、所得税などの確定申告を、インターネットを通じて電子申告する仕組みです。マイナンバーカードの取得など事前の準備が必要ですが、自宅でパソコンからそのまま申告できる便利な制度です。
e-Taxのサイト上で行った還付申告の処理状況や、具体的な還付金額を確認することもできます。
e-Taxで電子申告した場合のメリットは還付金の振込も早いという点です。確定申告後入金までの期間は3~4週間。2月16日に確定申告をすれば、最短で3月8日頃に振り込まれる計算です。
確定後、通知ハガキが届く!振込がない場合は確認を!
確定申告後、還付金の額といつ振り込むかが決まったら「国税還付金振込通知書」がハガキで届きます。振込日とハガキが届く日は前後することもありますが、ハガキが届いたら、振込が確定したと考えてよいでしょう。
確定申告をして「想定していた期間を過ぎても還付金が振り込まれない」「ハガキが来ない」という場合は、確定申告書が見落とされている可能性もあります。税務署に問い合わせて確認してみましょう。
e-Taxで電子申告した場合、確定申告書の処理状況をホームページで確認することもできます。「還付金の支払い手続きがどの段階なのか」「予定金額はどのくらいなのか」など、詳細が確認できるので安心です。e-Taxで確定申告し、還付金が遅いと思ったら、ホームページで確認してみましょう。
確定申告で還付金が返ってくる人
給与所得者などが確定申告して還付金を受け取れるのは、年末調整で処理できなかった所得控除のある人です。前述の通り、年末調整で控除できる項目は限られているため、処理できなかった控除を受けるには確定申告する必要があります。
ここでは、所得控除を受けるために確定申告が必要なケースを紹介します。
副業(事業所得)で赤字が出た人
副業(事業所得※)で赤字が出た人は、確定申告することによって損失の一定額を他の所得から控除できます。各所得ごとの黒字と赤字を相殺することを損益通算といい、損益通算できる所得は下記の通りです。
※製造・販売・サービスなどの事業による所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 山林所得
たとえば、会社員の給与所得から副業の事業所得の赤字を控除すれば、給与所得にかかる税金は安くなります。上記所得の損益通算を行うにも、確定申告は必要です。
株取引で赤字が出た人
株取引で赤字が出た人も、確定申告によって還付金を受け取れる可能性があります。株取引の利益は譲渡所得に分類され、損益通算で税額が下がる場合があるからです。
株取引の利益には20.315%の税金がかかり、利用の多い特定口座では株取引の都度、源泉分離課税されます。同じ取引口座で発生した利益と損失は自動的に損益通算されますが、複数の口座がある場合、別口座の損失は損益通算されません。
そのため、確定申告をして複数口座の損益通算を行うのです。その結果、株取引全体で損失が出たときは、翌年以降(3年間)に損失を繰り越すこともできます。
多額の医療費を支払った人(医療費控除)
自分と家族が1年間に支払った医療費が10万円(※)を超える人は、確定申告すると医療費控除を受けられます。控除できる金額は下記の通り計算できますが、200万円が限度です。
- (所得控除額)=(医療費総額)-(生命保険・健康保険からの補てん額)-10万円
※ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額
平成29年に始まったセルフメディケーション税制では、所定の要件を満たせば、一般用医薬品の購入費が1万2,000円を超える場合に、その超えた部分について所得控除が受けられます。医療費控除とは併用できず選択制ですが、どちらも年末調整で処理できず確定申告が必要です。
住宅ローン控除を受ける人
住宅ローン控除は、自宅を建てたり、リフォームをした際に借りた住宅ローンについての控除です。給与所得者の場合、確定申告は1年目だけでOKです。2年目以降は、税務署から送付される住宅ローン控除についての書類を会社に提出すれば、年末調整で還付金が返ってきます。
ふるさと納税や寄附を行った人(寄附金控除)
ふるさと納税とは、納税者が選択した全国の自治体(都道府県や市区町村)に寄附をすることで、確定申告によって寄附金控除を受けられます。寄附金控除の対象となる主な寄附金は下記の通りです。
- 国または地方公共団体に対する寄附金
- 指定寄附金(公益社団法人などへの寄附金)
- 認定NPO法人等に対する寄附金
- 政治活動に関する寄附金 など
控除できる金額は寄附金額から2,000円を引いた額で、所得金額の40%相当が限度です。医療費控除と同様に、年末調整では控除できないので確定申告が必要になります。
ただしワンストップ特例制度を利用している場合は確定申告をする必要はありません。ふるさと納税をする際に特例申請書を提出し、年間寄附先が5つの自治体以内であれば、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられます。
災害・盗難にあった人(雑損控除)
自然災害や盗難にあって損害を受けた人は、確定申告によって雑損控除を受けられます。控除対象となる損害の原因は下記限定で、自然災害や犯罪行為すべてに適用されるわけではありません。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然災害
- 火災、火薬類の爆発など人為的な災害
- 害虫などによる異常災害
- 盗難
- 横領
控除できる金額は、下記2つのうち多い方の金額です。
- (保険金などを差し引きした損失額)-(総所得金額等の10%)
- (保険金などを差し引きした損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
雑損控除を受けるには、年末調整ではなく確定申告が必要です。
退職して、その後再就職していない人
退職して、その後再就職していない人は、会社が行う年末調整の対象とならないため、配偶者控除や各種保険料控除などを受けるには確定申告が必要です。
また、会社に勤務している間に源泉徴収された所得税は、在職中の高い年収を前提に計算されているので、退職で年収が低下すれば所得税も安くなります。確定申告によって在職中に払い過ぎた所得税が還付されるので、忘れずに確定申告しましょう。
再就職した人は、転職先で前の会社の給与を含めて年末調整できるので、ほかに控除がなければ確定申告は必要ありません。
サラリーマンで多額の経費を支払った人(特定支出控除)
特定支出控除とは、給与所得者が受けられる控除で、とくに支出が多かった経費について所得控除するものです。個人事業主の場合、さまざまな経費が業務に必要な支出として計上することが認められています。一方、給与所得者は原則的に会社が経費を負担するため、経費として給与から差し引くことができません。
そのため、業務に必要な費用が一定の基準を超えた場合に限り、特定支出として控除されます。
対象となるのは以下の項目です。
- 通勤費
- 転居費
- 研修費
- 帰宅旅費
- 勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費など)
申告する際には、会社から必要経費であったことを証明する書類を発行してもらい、書類を添付します。また、対象となっている費用の合計が給与所得控除額の半分以上という条件もあります。
年末調整で所得控除の適用漏れがあった人
年末調整で所得控除の適用漏れがあった人は、自分で確定申告をすることによって所得控除を受けられます。
給与所得者が年末調整のために提出する「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出期限は、「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日まで」です。ただし、事務処理の都合で年末調整の訂正可能な時期は会社によって異なります。
確定申告は例年2月15日から始まりますが、還付申告の場合は2月14日以前でも受け付けてもらえるので、適用漏れがあった人は混雑する時期を避けて早めに手続きを済ませましょう。
配偶者控除・扶養控除
結婚したり、子供が一定の年齢に達したりした場合は、世帯主の所得から一定の額を控除できます。配偶者控除や扶養控除は、年末調整時に行うのが基本ですが、年末調整に間に合わなかった際は、確定申告することで、還付金が返ってきます。
社会保険料控除
自分や家族の国民年金や国民健康保険の納付額に応じて還付金が受けられる社会保険料控除も確定申告で受けられる控除です。給与所得者の場合、自分が納めた厚生年金や健康保険については、会社に計算してもらえますが、家族の国民年金などは計算されません。
国民年金基金や介護保険料なども対象です。支払った社会保険料全額を所得から控除できるので、課税額が大きく減り、還付金が返ってきます。
ひとり親控除
ひとり親控除は、2020年分から新たに創設された所得控除です。1人で子どもを養っていて、以下に該当する人であれば婚姻歴・性別問わず適用できます。
- 子どもと生計を一にしている(生活費の出所が同じであること)
- 子どもの総所得金額等が48万円以下
- 納税者(親)の合計所得金額が500万円以下
控除額は一律35万円で、子どもの人数によって変動することはありません。ひとり親控除は年末調整で申告できますが、個人事業主やフリーランスの場合は確定申告が必要です。
ひとり親控除と似たような控除として「寡婦控除」がありますが、ひとり親控除と寡婦控除には以下のような違いがあります。
ひとり親控除 | 寡婦控除 |
---|---|
|
|
ひとり親控除と寡婦控除の両方の適用条件を満たしていても併用はできず、控除額の大きいひとり親控除が優先されます。
障害者控除
障害者控除も年末調整で申告できる控除ですが、年末調整を受け忘れたり、個人事業主やフリーランスであったりした場合は確定申告が必要です。
障害者控除には障害者・特別障害者・同居特別障害者の3区分があり、それぞれ条件や控除額が異なります。
【区分:障害者】
障害者に区分されるのは、以下のような方です。
- 身体障害者手帳に身体上の障害について記載されている
- 精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・戦傷病者手帳などの交付を受けている
- 65歳以上で、市区町村から障害者控除対象者と認められている など
所得に応じて税額が数万円安くなります。障害者控除額に税率(所得税の場合は5%~45%)をかけることで障害者控除によって所得税から引かれる金額がわかります。
【区分:特別障害者】
特別障害者に区分されるのは、以下のような方です。
- 寝たきりで介護を受けている
- 重度の知的障がいがある
- 身体障害者手帳1級・2級、あるいは精神障害者保健福祉手帳1級である など
所得税の障害者控除額は40万円となっており、これに所得に応じた税率をかけた金額が惹かれる所得税になります。、住民税の控除額は30万円と定められています。
【区分:同居特別障害者】
同居特別障害者とは、特別障害者に区分されていて、生計を一にしている納税者本人や親族などと同居している方です。所得税の控除額は75万円、住民税の控除額は52万円と定められています。
勤労学生控除
勤労学生控除とは、仕事をしながら学生として学ぶ人の税負担を軽減するための控除です。以下の条件に該当すると、所得税算出時に27万円、住民税算出時に26万円を控除できます。
- 特定の学校(学校教育法によって規定された学校など)の学生である
- 給与所得など、働いて得た所得がある
- 合計所得金額が75万円以下
- 勤労以外の所得額10万円以下
勤労学生控除は、勤務先が1ヵ所であれば年末調整で申告できます。しかし、勤務先が2ヵ所以上であったり、年末調整による申告が行なわれなかったりした場合は、確定申告をする必要があります。
還付金額の計算方法
確定申告をするにはある程度の手間と時間がかかるため、いくら還付されるかわからない状況では手続きをためらう人も多いでしょう。しかし、予想以上の還付を受けられるケースもあるので、還付金計算にチャレンジすることをおすすめします。還付金の計算方法を紹介しますので参考にしてください。
還付金の計算式
還付金は、源泉徴収で払い過ぎた税金の1年間の合計額で次のように計算できます。
源泉徴収された税額は、毎月の給与明細で確認できます。また昨年と税金があまり変わらなければ、昨年の源泉徴収票をみれば大雑把に把握できるので、確認してみるといいでしょう
実際の税額は、各種控除後の課税所得に対し税率をかけて計算します。
- (課税所得)=(所得)-(各種控除※)
- (実際の税額)=(課税所得)×(税率)
※これまで紹介した所得控除のほか、基礎控除があります。
税率は課税所得金額によって異なりますので、次の計算例で確認してください。
還付金の計算例
それでは下記ケースの還付金を計算してみましょう。
- 1年間の源泉徴収額:26万円
- 1年間の所得金額:500万円
- 各種控除:200万円
所得税は累進課税となっており、税額は下記の速算表を使って(課税所得)×(税率)-(控除額)で計算します。
また2037年(令和19年)までは、復興特別所得税(所得税額×2.1%)も併せて申告します。
所得税の速算表
計算例
- 課税所得:500万円(所得)-200万円(各種控除)=300万円
- 所得税額:300万円(課税所得)×10%(税率)-9万7,500円(控除額)=20万2,500円
- 実際の税額:20万2,500円(所得税額)+20万2,500円×2.1%(復興特別所得税)=20万6,752円
- 還付金額:26万円(源泉徴収された税額)-20万6,752円(実際の税額)=5万3,248円
源泉徴収税額の計算式
個人事業主やフリーランスの源泉徴収税額は、支払金額によって計算方法が異なります。
- 支払金額が100万円以下:(源泉徴収額)=(支払い金額)×10.21%
- 支払金額が100万円超:(源泉徴収額)=(支払い金額-100万円)×20.42%+10万2,100円
支払金額が100万円までの税率は10.21%、100万円を超える部分の税率は20.42%です。また支払い金額に消費税が含まれていれば、消費税を含めて源泉徴収額を計算し、消費税の額が明確に区分されていれば、消費税額を除いて計算しても問題ありません。
還付申告の必要書類やその書き方
これまで、確定申告や所得控除について紹介してきましたが、実際に還付申告を行って還付金を受け取るとなると、ハードルの高さを感じる人もいるかもしれません。
しかし、数字を入力するだけの確定申告書作成コーナーや、スマホによる電子申請など手続きは簡素化されてきました。下記の必要書類・書き方も参考にして還付申告に挑戦してみましょう。
ここでは給与所得者の還付申告を例に解説します。
還付申告に必要な書類
確定申告書以外で、還付申告に必ず必要な書類は下記の通りです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード)
※ない場合は、番号確認書類(住民票など)と本人確認書類(運転免許証など)
- 源泉徴収票(提出不要だが申告書の記入に必要)
その他の必要書類は、申告する所得控除の種類によって異なります。
- 生命保険料控除:生命保険料控除証明書
- 医療費控除:医療費控除の明細書、医療費通知(医療費のお知らせ)
- 寄附金控除:ふるさと納税は寄附金受領証明書
- 住宅借入金等特別控除:初回は「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」「住宅の登記事項証明書」など
確定申告書の書き方
確定申告書の書き方は、国税庁ホームページ掲載の令和5年分所得税及び復興特別所得税の手引きに詳細な記入見本があるので、記入見本を参考に記入しましょう。
①:最初に属性情報を記入します。マイナンバーの記入は必須です。
②:収入金額等の給与欄は、「給与所得の源泉徴収票」の「支払金額」を、所得金額の給与欄は、給与所得控除後の所得を記入します。
③:各種の所得控除額を記入します。所得控除できる金額は、前述の確定申告の手引きで確認しましょう。
④:「給与所得の源泉徴収票」より源泉徴収額を転記し、課税所得金額、所得税の額、還付金額の順で計算します。
細かな項目については、以下の記事でも詳しく解説しています。
還付金の受取方法【口座振込と郵便局受取】
確定申告で還付金が返ってくることがわかった場合、どのようにして受け取るのでしょうか。還付金の受取方法には、預貯金口座への振込と郵便局の窓口での受取があります。
確定申告書に、どの方法をとるのか、口座振込の場合どこに振り込むのか、情報を記載する欄があるので書き込んで提出しましょう。
個人名義の金融機関
個人名義の金融機関口座を指定して、還付金を振り込んでもらう方法です。振込ができる口座は申告者本人名義の口座のみ。口座名義に屋号が含まれる口座には振り込みできません。
【振込先に指定できる金融機関】
- ゆうちょ銀行
- 銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- 農業協同組合及び漁業協同組合
インターネット銀行は注意が必要!
最近では、実店舗がないインターネット銀行をビジネス用の口座にしている人も増えています。ところが、一部のインターネット銀行は振込口座に指定できません。インターネット銀行を振込先に指定したい場合は、確定申告書に振込先口座を記入する前に、銀行のホームページで調べるか、電話などで問い合わせておきましょう。
【還付金の受取ができるインターネット銀行】
- ソニー 銀行
- 住信SBIネット銀行
- 楽天銀行
- イオン銀行
- 新生銀行
- PayPay銀行
- auじぶん銀行
郵便局の窓口で受け取る
インターネット銀行の口座しかもっていない場合は、最寄りのゆうちょ銀行や郵便局の窓口で受け取ることもできます。税務署から「国庫金送金通知書」が送られてきたら、本人確認書類を持参すれば、窓口で還付金が受け取れます。
郵便局の窓口で受け取る場合は、確定申告書の受取場所欄に、郵便局の支店や出張所の名前を記載します。指定した窓口以外で還付金は受け取れないので注意しましょう。
還付金が振り込まれたときの仕訳は?
確定申告で個人事業主に還付金が振り込まれたときは、貸方勘定科目に「事業主借」として仕訳するのが一般的です。逆に源泉徴収された場合は、借方勘定科目に「事業主貸」で仕訳します。還付金や源泉徴収された所得税は個人事業の売上・収益でも経費でもないので、事業用の勘定科目と明確に区分するために、別に勘定科目を設けて仕訳を行うのです。
還付金や源泉徴収された所得税に限らず、事業主の個人的な費用でお金を入れた場合は「事業主貸借」、引き出した場合は「事業主貸」になります。
確定申告の還付金でよくある疑問
払いすぎた税金が還付金として返ってくる確定申告。そのほかに、注意すべき点を解説します。
翌年の住民税額はどうなる?
確定申告は、1年間の所得額を申告し、正しい所得税を納付する手続きです。実は、この所得税をもとに計算される税金があります。それが住民税です。住民税とは市町村が徴収する市町村民税と、道府県が徴収する道府県民税をあわせたもので、住んでいる場所や所得額によって金額が異なります。
住民税の計算は、前年の所得を基準に行われます。そのため、正しい所得が申告されていない場合、翌年の住民税が高くなる、こともあります。住民税を無駄に支払わないためにも、確定申告は重要です。
間違えて申告した場合も修正ができる?
確定申告をした後、経費計上の間違いや給与所得と事業所得を間違えた、などに気づいた場合はどうしたらよいのでしょうか。
確定申告の期限内に間違いに気づいた場合は「訂正申告」をして、確定申告書を修正します。
確定申告の期限が過ぎてしまった場合は、「更正の請求」または「修正申告」を行います。納税額を少なく申告した場合や還付金が多かった場合は「修正申告」をします。修正申告書等を作成して提出しますが、追加して納税する金額には延滞税が加算されます。
納税額が多かった場合や還付金が少なかった場合は「更正の請求」をします。「更正の請求書」という書類に記入して提出し、税務署の審査を通った場合のみ受理されます。ただし、法定の申告期限後、5年以内と期限が定められていますので、注意しましょう。
いずれにしても、間違いに気づいたら、早めに修正しましょう。
振込口座を間違えたので変更したい場合は?
もし指定する口座を間違えたという場合には、税務署に電話をして変更できます。
振込口座の変更を電話で行う場合の流れは、以下の通りです。
- 申告書を提出した税務署に電話する
- 交換ダイアルのアナウンスが流れたら、受話器の「2」を押す
- 自動メッセージではなく、税務署員に直接繋がるので、要件を伝える
- 住所や氏名などの個人情報と共に振込先を伝える
なお、振込先口座を間違えたまま気づかなかったという場合、自宅に税務署から通知が届くと思われます。
還付申告は5年間できる?
還付申告は、確定申告をしなくてもよい給与所得者などが、払いすぎた所得税の還付を受けるために行う申告です。
個人事業主など確定申告をする人は、通常の確定申告が還付申告となります。給与所得者も年末調整で税金の還付がありますが、年末調整では対応していない控除がある場合は、還付申告をしましょう。
還付申告は納める税金はなく、還付だけを申告するものなので、いつ申告してもよいことになっています。還付申告の期限は5年間。2022年分の還付申告であれば、2023年1月1日から2027年12月31日の間に申告すればOKです。
ただし、個人事業主で青色申告特別控除を受けられる方は、たとえ還付になるとしても3月15日までに提出しないと青色申告特別控除額が10万円になってしまうので注意しましょう。
上記いずれでもない場合は税務署に直接確認を
上で見たいずれの理由にも該当しない場合には、こちらも税務署に直接状況を確認するようにしましょう。税務署といっても人間が運営している組織ですから、思わぬ業務ミスで還付の手続きが遅れている場合があります(これは意外によくあるケースです)。
確定申告の還付金でわからない場合は、税理士に相談してみることをお勧めいたします。
監修税理士からのコメント
確定申告に強い税理士を探すならミツモアで!
税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。
その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。
簡単!最短1分で税理士を探せる!
ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで最短1分で見積もり依頼が完了です。
パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。
最大5件の見積りが届く
見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。
チャットで相談ができる
依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。
税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?