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還付申告の期限と必要書類は?医療費、ふるさと納税は確認を!

最終更新日: 2023年01月17日

確定申告還付申告、税金に関する用語は難しいものがたくさんです。確定申告に慣れていない人にとっては「確定申告のことで手いっぱいで、還付申告まで頭が回らないとい」ということもあるでしょう。

でも一つ一つ意味を調べていけば、難しく考えるものではないということがわかります。まずはそれらの言葉をおさらいするところから始めましょう。

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。

還付申告とは?用語のおさらい

確定申告に関する用語のおさらい
還付申告に関する用語のおさらい

還付申告
還付申告とは、納税する人が確定申告書を提出することにより、税金が還付(戻される)ことを申告する手続きのことを言います。 この還付申告により、源泉徴収や予定納税で払いすぎた税金が戻ってきます。還付申告は申告年の翌年1月1日から5年間申告することが可能なので、確定申告の期限前でも期限後でも行うことができます。

確定申告
確定申告とは、所得にかかる税金(所得税及び復興特別所得税)の額を計算し、税金を支払うための手続きです。個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間。確定申告書や決算書などの必要書類をそろえ税務署に申告・納税します。

源泉徴収
源泉徴収とは、年間の所得にかかる税金(所得税)を事業者が給与からあらかじめ差し引くことをいいます。従業員の給与を支払う事業者であれば、必ず行わなければなりません。事業者が源泉徴収を行うことで、従業員は確定申告をする必要がなく、毎月の給与から少額ずつ所得税を納めることができます。また、国にとっても「安定的な税収を得る」「確実に所得税を徴収できる」という意味で、大きなメリットがあるのです。

年末調整
会社が給与を支払うときに、従業員の給与や賞与(ボーナス)から所得税を徴収することが「源泉徴収」です。本来徴収すべき所得税の一年間の総額を再計算し、源泉徴収した合計額と再度比較することで、「過不足金額」を調整することが「年末調整」です。仮に余分に源泉徴収をしていた場合、その差額は従業員に還付されることになります。

予定納税
予定納税とは、その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度です。

還付申告は払った税金が返ってくる仕組み

還付申告でお金が返ってくる
還付申告でお金が返ってくる

年末調整がある給与所得者や400万円以下の年金受給者などは、原則として確定申告が不要なため、還付申告ができることに気が付かない人が多くいます。自分の収入が還付申告の対象となっているかどうか、注意しなければなりません。

還付申告を行うためには以下の3つの条件を満たしていることが必要になります。

●予定納税・源泉徴収等で、その年の税金をすでに支払っていること
●提出すべき申告書及び明細等を期限までに税務署に提出していること
●保存すべき書類をきちんと保管していること。

還付申告は、税金の「還付」であり、税金の受取りではありません。予定納税・源泉徴収等で、きちんと事前に税金を納付していることが条件です。また、還付申告を行うためには、法律で規定された書類を提出又は保存する必要があります。例えば、源泉徴収票や医療費の領収書等です。これらは源泉税を支払ったことを証明する書類となるので、きちんと保存しておきましょう。

払いすぎた所得税が返ってくる

個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間。還付申告はこの間の払いすぎた税金が返ってくる制度です。個人所得税では、暦年の途中で、予定納税・源泉徴収等の税金の前払いがあります。暦年終了後は、翌年の3月15日までに確定申告を行い、納税額を確定します。予定納税・源泉徴収等の税金の金額が、1年間の所得に対する税額を上回っている場合に、税務署から還付金が支払われます。

医療費控除、寄付金控除には必須

医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円以上になった場合に所得から控除されます(年間所得が200万円未満の場合は、所得の5%)これは本人の分だけでなく、生計をともにしている家族の医療費も合計できます。

また、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し「特定寄附金」を支払った場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。

確定申告と還付申告の違いは?

確定申告とは、1年間で発生した所得について、支払うべき所得税額と、源泉徴収や予定納税で既に支払い済の所得税額を足し引きして最終的な税金を確定させることを意味します。確定後、納税する必要があれば税金を支払い、払い過ぎている場合は払い戻し(還付)を受けます。

確定申告と還付申告。ふたつの大きな違いは「申告期間」です。国へ納税をすることは義務であるため、期限が厳しく、納税が遅れると延滞税など追加の税が加算されます。還付される場合は期限が5年間と長く、還付を受ける義務はありません。5年が経過すると還付の権利は消失します。

還付だと思って計算を後回しにしていた結果、実は納税義務があったという可能性もあります。還付申告であってもなるべく翌年の確定申告時期までには計算までは終わらせておくようにしましょう。

還付申告の時期

還付申告の時期
還付申告の時期

確定申告は、基本的に2月16日~3月15日の期間内に行わなければならず、この申告期間を過ぎると、無申告加算税が課される場合があります。

しかし、源泉徴収分の還付を受けるなど、すでに天引きされている所得税以外で納税しなくてもいいことがはっきりしている「還付申告」なら、確定申告期間は関係ありません。ここでは、還付申告の時期や期限についてまとめてみました。

期限は翌年1/1からの5年間

還付申告は申告年の翌年1月1日から5年間申告することが可能なので、確定申告と一緒に行うことも可能ですが、別で行うこともできます。

確定申告の時期を過ぎても大丈夫

2022年分(令和4年分)の還付申告は2023年の1月1日から5年以内が期限です。還付申告の場合は通常の確定申告が始まる2月15日以前でも申告書を受け付けてくれるので、確定申告と違って焦る必要はありません。

前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して還付がある場合は、翌年1月1日から申告書の提出が可能です。ただし、税務署は1月3日まで年末年始の休みであるため、実際の受付は1月4日以降となります。2月16日~3月15日の確定申告の期間中、税務署は大変混み合うので、できればその前後に行くようにしましょう。

【注意!】還付申告は確定申告の期間だけではない。

確定申告の期間は2月16日〜3月15日ですが、還付申告は申告年の翌年1月1日から5年間という違いがあります。さらに、当然ながら5年間を過ぎれば還付申告ができなくなるので、還付がある場合は早めにしたほうが良いでしょう。

還付申告の必要書類・方法

還付申告の必要書類・方法
還付申告の必要書類・方法

還付申告は、勤め先が処理してくれる年末調整とは方法が異なります。また、税務署からの通知を受けて行うものではありません。自分で申告書を作成し、住所地を管轄する税務署の税務署長宛に提出しなければなりません。

確定申告書には還付金を受け取る銀行口座の記載が必要です。一部のインターネット専業の銀行は国税からの口座振替を受けることができない場合があります。普段使っている銀行が対応しているか、銀行のホームページで確認しておきましょう。

確定申告と同じ書類が必要

確定申告書と源泉徴収票が必要になります。他には受ける予定の控除に合わせたもの(医療費のレシート、住宅ローンに関する書類、ふるさと納税に関する書類)が必要になります。

■全てに共通して必要なもの:確定申告書+(給与所得者は)源泉徴収票(添付は不要)
■予定納税分の還付:青色申告決算書 or 収支内訳書(通常の確定申告同様)

【住宅ローン控除を受ける場合】
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住民票(コピー)
・年末残高等証明書(住宅取得資金にかかわる借入金のものをすべて)
・家屋の登記事項証明書
・請負契約書(コピー)
・売買契約書(コピー)
・給与所得の源泉徴収票

【医療費控除を受ける場合】
・医療費控除の明細表

【ふるさと納税などの寄附金控除を受ける場合】
・領収書(寄付した団体が発行したもの)
・証明書類(特定公益増進法人であることの証明書の写し、特定公益信託であることの認定書の写しなど)
・政治活動に関する寄付では「寄付金(税額)控除のための書類」(選挙管理委員会等の確認印があるもの)が寄付金の領収書のほかに必要

税務署に提出しに行く

メリット:申請書類を税務署に持参する。直接書類を渡すため「提出を確認できた」という安心感がある
デメリット:確定申告時期の混雑した税務署まで行かなければならない、待ち時間が長いなど、手間がかかる

郵送で提出する

メリット:確定申告会場に行く時間が取れない人や、申告会場が遠い人、家庭の事情などで外出が困難な人でも、無理なく確定申告ができ、e-Taxのように特別な機器も必要ない
デメリット:確定申告書類の記入方法がわからないときでも、自分自身で調べて対処が必要。税務署の電話相談や会計ソフトを利用するなどしながら、作成を進めることになるので、確定申告書作成に自信がない人には不向き

e-Taxを用いる

メリット:窓口オンや郵送での申告では、控除証明書をはじめとする添付しなければならない書類が多いが、e-Taxでは添付を免除され、通常よりも還付金の振込が早くなる。また、ラインなので24時間提出できる

デメリット:インターネットに接続できるパソコンを用意し、カードリライタを用意し、マイナンバーカードを取得しなければならない

どの提出方法にもメリットとデメリットがあります。ご自分にあった確定申告書が提出しやすい方法を選びましょう。

還付申告の対象者

還付申告の対象者
還付申告の対象者

ほとんどのサラリーマンは会社で年末調整をしてもらえるため、確定申告をする必要はありませんが、年の途中で退職した場合などは年末調整もなく、税金を払い過ぎている可能性があります。払い過ぎた所得税を、申告することによって戻してもらえるのが還付申告です。還付申告が必要な人や受けられる人、各ケースの必要な条件などをご紹介しましょう。

医療費控除を受けたい人

医療費控除は、医療費の自己負担分が10万円以上かかった人が税金を取り戻すことができるものです。所得が200万円未満の場合は、所得金額の5%で申告できます。同一生計の家族の医療費負担分も計算に入れられます。出産で退職をしたような場合は、医療費がかっていることも多いものです。出産は病気ではありませんが、出産費用から健康保険の出産育児一時金の額を引いた金額が医療費控除の対象となるので、他の医療費と合わせて計算しましょう。

ふるさと納税をしている人

医療費控除や寄付金控除等の年末調整では処理されない控除を受けたい場合には還付申告する必要があります。そのため、ふるさと納税をして所得税額から寄付金控除を受けたい場合には還付申告を行わなければなりません。

原則として、ふるさと納税の控除を受けるためには、ふるさと納税を行った翌年の2月~3月に確定申告をする必要があります。申し込み後2ヶ月程度で寄付先の自治体より発送される、寄付金の領収書である「寄付証明書」が申告の際に必要となるので、大切に保管しましょう。

住宅ローンを払っている人

個人が住宅ローン等を利用して、マイホームを購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事をしたりすると、年末のローンの残高に応じて税金が還ってくる制度のことを「住宅ローン控除」と呼びます。初年度は還付申告が必要ですが、次年度からは自動で適用されます。

住宅の床面積が50㎡以上(1/2以上の部分を自己の居住用)で、築20年(マンションなど耐火建築物25年)以下の住宅を10年以上1,000万円以上の住宅ローンを組んで購入した時は最初の年に住所地の税務署に確定申告が必要です。

2か所以上でパート/アルバイトをしている人

複数の会社でアルバイトやパートを掛け持ちして働いている場合や、勤務先から年末調整を受けなかった場合は、税金の申告や還付について「確定申告」を行う必要があります。

■パート・アルバイトで確定申告が必要な場合
・2ヵ所以上から給与をもらっている場合
・どこの会社でも年末調整を行っていない場合
・年の途中でアルバイトを辞めた場合
・医療費控除や各種控除の申告を行う場合
・ふるさと納税の申告を年末調整で行っていない場合

退職して年末調整を受けていない人

退職者で確定申告が必要な人とは、会社を年の途中で退職した場合です。年内に別の会社に就職した場合は、年末調整の対象者となり、以前に働いていた会社の分も含めて再就職先の会社で年末調整を行うことになります。新しい会社で年末調整を受けるには、再就職先で同じ年の12月31日まで働いている必要があります。

一方、会社を年の途中で退職し、12月31日時点で会社に勤めていない場合は確定申告が必要になります。これは、退職という事実を税務署が把握していないためです。また、会社を辞めたあとに自営業を始めたり、アルバイトをしたりするなどして収入を得ていた可能性も考えられます。このように、退職後の身の振り方は人それぞれであり、その後の収入についてはさまざまなケースが考えられます。このため、正しい所得税を計算するために確定申告が必要なのです。

災害や盗難などの被害を受けた人

災害又は盗難、横領などによって、資産について本人またはその年の総所得等が38万円以下の生計同一の配偶者や親族の資産が損害を受けた場合は「雑損控除」という所得控除を受けることができます。これらを申告するのは、次のいずれかの場合に限られます。
・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難
・横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

住民税の還付申告

住民税の還付申告
 住民税の還付申告

所得税は、本人の給与金額や扶養人数などを考慮して、給与等から事前に大まかな金額を源泉所得税として前払いされています。年末調整や確定申告で本人が受けられる諸控除を考慮して、年間確定税額が計算され、年間確定税額が前払いしていた税金よりも少なければ、還付されます。

一方、住民税は、所得税とは違い、年間の所得が計算された後に翌年の6月から納付を開始するという後払い制なのです。医療費控除を適用すると、所得税だけでなく住民税も安くなります。ただし、確定申告をすると安くなった税額がすぐに住民税に反映されたり、税額が還付されたりするわけではありません。住民税に反映されるのは、翌年6月からになる点を覚えておきましょう。

医療費控除で住民税は直接還付されない

医療費控除とは、所得税の計算をするときに、課税対象の所得から医療費を差し引くものです。医療費は本人のものだけでなく、同一生計の家族のものも含みます。医療費控除を適用するために確定申告をすると、所得税だけでなく住民税も安くなります。住民税のために追加で手続きをする必要はありません。

医療費控除の金額は、実際に支払った医療費から、10万円を引いた額です。生命保険・医療保険から入院給付金を受け取った場合や、健康保険から高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを受け取った場合は、その金額も医療費から差し引きます。

所得にかかる住民税の税率は10%(都道府県民税・市区町村民税の合計)であることから、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税が安くなります。

翌年の住民税が安くなる

住民税が還付されるのは以下のような支出があった場合です。

・ 前年所得税から差し引かれなかった住宅ローン控除
・ 株や投資信託等の配当金から差し引かれている住民税
・ ふるさと納税などの地方に対する寄付金
・ 公益法人や私立学校法人、社会福祉法人やNPO法人、政党への寄付金

還付申告は5月までに終わらせるべし

住民税においては、5~6月に行われる納税通知書の送達時までに還付申請を行わないと住民税控除が受けられません。そのため、還付申請は5月までには終わらせておくべきです。

実は、還付申告は確定申告の申告期限後でも受け付けているため、還付の時期をこだわらないなら、税務署が混雑する確定申告時期に行く必要はありません。

払い過ぎた税金の還付を受けることができる還付申告は、必ずしなければならないものではありません。しかし、対象となる事案があるのならば、申告した方が得と言えます。ご自分に対象となる控除があるかしっかりチェックしてみてくださいね。

監修税理士のコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

給与所得者や年金受給者などの確定申告義務のない方は、税金を納め過ぎていても還付申告が出来ることに気づかない場合が多くあります。年の途中で会社を退職して年末調整を受けていない場合、マイホームを購入して住宅ローンを利用した場合、医療費が多くかかった場合(出産のあった年は出産にかかった費用を含む)、災害や盗難で資産に損害があった場合、ふるさと納税などの寄附を多くした場合などがよくあるケースです。このように源泉徴収が実際よりも過剰に行われている場合は、源泉徴収税の還付を受けられることが多いです。還付申告は5年遡ることが出来ますので、過年度分の納税額を一度確認してみると良いでしょう。

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