確定申告の際に「還付金や所得税は一体いくらなんだろう」「どうやって計算すればいいんだろう」と困っていませんか。そんな時は、シミュレーションツールを用いるのが1番です。
この記事では還付金や所得税などの計算ができるシミュレーターを、用途別に7つご紹介します。いずれもパソコンやスマホから無料で使えるものばかりです。
自分に最適なシミュレーションツールでサクッと計算して、確定申告の準備をスムーズに進めましょう。
この記事を監修した税理士
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通
個人事業主の青色申告・白色申告シミュレーション
個人事業主のかんたん税金計算
「個人事業主のかんたん税金計算」は個人事業主に向けたツールで、白色申告と青色申告の還付額の違いを知りたい個人事業主におすすめです。
1年間の売上金額と経費、配偶者等に支払った給与額、医療費控除、配偶者控除等の額を入力すると、所得税・住民税・国民健康保険料が自動で計算できます。
このシミュレーターは白色申告と青色申告でどのくらいの差が出るか計算してくれるので、どちらがより最適なのか分かりやすいでしょう。
住民税や国民健康保険料は自治体によって少し異なるので、概算として考えるのがよいです。
会社員の所得税・還付金シミュレーション
確定申告税額計算シミュレーション
「確定申告税額計算シミュレーション」は還付金を知りたい方に適したツールです。
還付金とは、源泉徴収された分や予定納税額が大きいなどの理由で所得税を納め過ぎた場合に、余剰分として戻ってくる金額を意味します。
このシミュレーターでは、所得金額や控除金額だけでなく、すでに納めた所得税も入力可能です。
もし納めた税金の額が大きい場合「還付される税金」の欄に還付額が表示され、還付金が発生しない場合「納める税金」の欄に納付が必要な額が表示されます。
今年の分だけでなく、過去の分についても還付金があるのか調べられるので便利です。
所得税・住民税簡易計算機
「所得税・住民税簡易計算機」は医療費控除がある給与所得者におすすめのシミュレーションツールです。
所得税・住民税簡易計算機のページ上部には給与収入とその他控除を入力する欄、下部に各種控除計算機が用意されています。控除項目がある場合、控除の種類ごとに設けられた計算機の必要箇所に入力しましょう。必要事項をすべて入力すると、自動的に所得税と住民税が計算されます。
一見すると項目が多く複雑そうに感じるかもしれませんが、入力が必要な項目は多い人でも15か所程度です。その他の欄は自動的に数値が入ります。
年末調整では対応しきれない医療費控除を加味した所得税・住民税のシミュレーションができる点が大きなメリットです。ただし、給与所得以外の所得には対応していません。
副業者向けの確定申告シミュレーション
副業確定申告シミュレーター【副業や雑所得による収入がある方向け】
「副業確定申告シミュレーター」は主な収入が給与で副業や雑所得による収入もある方におすすめのツールです。
こちらのツールで確定申告のシミュレーションをするメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 入力する項目が給与収入・副業による収入・副業にかかった費用・扶養家族に関する情報のみでシンプル
- 所得の額が副業・雑所得・青色申告のパターン別にそれぞれ表示される
入力項目がわかりやすく、パターンによる所得金額の違いにも対応しているため、所得税の確定申告に必要な情報を把握しやすいです。
ただし算出できるのはあくまで可処分所得のみで、税額の計算まではできません。副業や雑所得のある方が、確定申告シミュレーションの途中の段階で使うのに便利です。
所得税・住民税の計算シミュレーションツール
「所得税・住民税の計算シミュレーションツール」も副業をしているサラリーマンで、かつ、副業売上と経費の金額に大きな変動がない人に適したツールです。
ツールで入力する項目は、給与月収・副業に関する情報・控除に関する情報の3つに大別できます。入力する情報自体は単純ですが基本的な項目を広くカバーしているため、多くの人の税額シミュレーションに使えるでしょう。
ただし給与月収および副業の売上・経費は、いずれも月あたりの情報という点に注意が必要です。月によって収入の違いが大きい場合、入力するべき金額の判断が難しいため使いにくく感じるかもしれません。
会社員の源泉徴収税シミュレーション
源泉徴収票(給与所得) – 高精度計算サイト
「高精度計算サイト」の「源泉徴収票(給与所得)」は、源泉所得税の額を知りたい会社員におすすめのツールです。
年収や扶養家族など簡単な情報を入力するだけで、源泉所得税の額が簡単に計算できます。所得税の速算表や計算における注意事項なども記載されていて、計算の根拠がわかるので安心です。
非常に簡単なツールなのですが、複数の所得を持つ方の所得税計算はできません。年間で得た所得が1箇所からの給与所得のみであるサラリーマンに適しています。
シンプルな機能であるため利用できる人は限られますが、給与所得のみのサラリーマンにとっては使いやすいツールでしょう。
ふるさと納税の上限額・還付金シミュレーション
「ふるさと納税」控除限度額計算シミュレーション
『「ふるさと納税」還付・控除限度額計算シミュレーション』はふるさと納税を行なっている方におすすめのツールです。
シミュレーション方法は2種類で、「かんたんシミュレーション」「控除上限額シミュレーション」があります。
「かんたんシミュレーション」
ふるさと納税前に大体の目安額を知ることができます。
家族構成と年収を選択すると控除上限の概算を計算してくれるので、非常に簡単です。
「控除上限額シミュレーション」
配偶者の収入や医療費控除、社会保険料、住宅ローン控除なども含めて限度額をきちんと知ることができます。
会員登録すれば計算結果が保存できるので、あといくらで寄附金控除上限か、すぐに確認できて非常に便利です。
医療費控除の金額シミュレーション
医療費控除の計算(簡易シミュレーション)
「医療費控除の計算(簡易シミュレーション)」は医療費控除に関するシミュレーションができるツールで、医療費控除を受けたい方におすすめです。
年間で支払った医療費・年収または所得・受取保険金を入力するだけで計算でき、所得税の還付金と住民税の減税額それぞれを把握できます。
医療費控除とは支払った医療費の額に応じて、所得税を軽減する制度です。年間で支払った医療費と同額がそのまま戻るわけではありません。
医療費控除の金額は、以下の式で計算できます。
なお医療費控除の額は上限200万円です。
確定申告の計算方法
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得額からその年の所得税額を計算し、国に申告する手続きです。
所得税は申告納税方式が採用されているため、納税者が税額の計算および申告を行なう必要があります。
【会社員の場合】
毎月の給与から所得税が差し引かれるので、基本的には確定申告が必要ではありません。
【副業を行なっている人や個人事業主の場合】
たいてい確定申告が必要で、所得税を自分で計算することが不可欠となる場合がほとんどです。
給与所得者しかない会社員は、所得税額の調整は年末調整で済むため、納税者自身による確定申告は必要ありません。
給与収入分の所得税について、給与から所得税が天引き(源泉徴収)されており、納税者本人の代わりに会社が所得税の納付を行ないます。そして源泉徴収された額と実際の所得税額の過不足は年末調整で精算されるためです。
なお住宅借入金等特別控除を受ける初年度や医療費控除など、確定申告でしか反映できない控除の適用を受ける場合には給与所得者も確定申告する必要があります。2か所以上から給与を受け取っている人も同様です。
給与所得以外の所得がある個人事業主や副業者は、原則、全員確定申告が必要です。
所得税とは
所得税とは、働くことで得られた所得(売上から経費を引いた金額)に対し課せられる税金です。働いている全ての人に納税義務があります。
所得税の計算では、収入と所得がイコールではない点に注意しましょう。所得は収入から必要経費を引いた額です。額面給与や事業の売上収入がそのまま課税対象になるわけではありません。
所得は収入を得た方法によって10種類に分類され、それぞれ所得の計算方法が異なります。所得の性質や発生形態によって担税力(税を負担する能力)が異なるという前提に由来する決まりです。
また所得税の計算時には所得控除の考慮がされます。所得控除とは名前の通り所得から一定額を差し引く制度です。所得税額の計算において、納税者の個人的事情を加味する目的で設けられています。
所得税の対象となるのは、所得から所得控除を差し引いた「課税所得」の部分です。
所得や所得控除の種類について詳しくは以下の記事で解説しております。
所得税の計算方法
所得税の計算式は以下の通りです。
所得税は所得額が多くなるほど税率が高くなる累進課税制度を採用しており、課税所得額によって適用する税率が異なります。
課税される所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0 |
195万~330万円以下 | 10% | 97,500 |
330万~695万円以下 | 20% | 427,500 |
695万~900万円以下 | 23% | 636,000 |
900万~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000 |
1,800万~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000 |
参考:所得税の税率|国税庁
課税所得額の計算方法は所得の種類によって異なります。また税額控除には住宅ローン減税などがあり、計算された所得税額から差し引きます。
【個人事業主の課税所得額の計算方法】
個人事業主の経費や、個人事業主が押さえておくべき所得控除の種類は以下をご覧ください。
【給与所得者の課税所得額の計算方法】
給与所得および給与所得控除、所得の種類を問わず納税者全員が確認しておきたい所得控除については詳しく解説しています。
所得税の計算例
売上が500万円、経費が200万円、所得控除50万円、税額控除5万円の個人事業主の場合で、計算例を紹介します。
まず、課税所得額を「売上-経費-所得控除」で求めます。
課税所得額が250万円のため、税率は10%、控除額が97,500円となります。適用させた金額は152,500円です。
最後に税額控除の5万円を引いた「102,500円」が、所得税の金額です。
確定申告で使える無料のエクセルテンプレート
エクセルで使える便利なテンプレートを上手く活用すれば、確定申告を効率良く進められるでしょう。
EXCEL確定申告
- 確定申告に必要な書類を身近なソフトであるエクセルで手軽に作成できる
- 毎年の確定申告に対応して変更・アップデートが行なわれており、変更点も明確に発表されているため安心
- 基本的に計算式やレイアウトなどを目的に合わせて変更する必要がない
「EXCEL確定申告」は必要事項を入力するだけで確定申告書および収支内訳書を自動で作成します。
個人事業主や副業を行うサラリーマンなど、給与以外の所得がある全ての人におすすめです。
計算など一部の機能が無料で、2,200円を支払えば全ての機能が解放されます。
エクセルは日常的に使用することが多いため、比較的早く馴染めるでしょう。慣れてしまえば確定申告に必要な作業をスムーズに進められます。
経費/領収書管理表
- 確定申告で提出する収支内訳書の科目分類に対応しており、科目がプルダウン形式で選択可能
- 自動集計機能がついているため計算が容易
- エクセルのフィルタ機能を使えば月や項目ごとの集計が可能
「経費/領収書管理表」はマイクロソフト公式のエクセルテンプレートです。
経費の記録および管理に特化しており、さまざまな種類の経費が発生する個人事業主の方に適しています。
確定申告で提出する収支内訳書を作成するには、経費を項目ごとに集計する必要があります。
経費/領収書管理表を利用すれば、経費に関して必要な情報をすぐに把握できるため、確定申告がより簡単に進められるでしょう。
収支管理表
- 毎月の経費を入力すれば自動で項目ごとの合計額を算出可能
- 項目は申請の際の公式収支内訳書に対応しているため確定申告書の作成にそのまま利用可能
- 入力箇所の色分けがされているため直感的でわかりやすい
「収支管理表」もマイクロソフト公式のエクセルテンプレートで、収支管理の効率化・可視化を実現させたい個人事業主の方におすすめです。
収支内訳書にそのまま転記できるように作成されるため、確定申告の手間を大きく抑えられます。
医療費集計シート
- 自動集計機能がついているため、明細書の作成に必要な情報の集計が容易
- フィルタ機能により人や医療機関などの絞り込みが可能
- 医療費控除に関する専門知識がなくても使いやすい仕様
「医療費集計シート」は医療費控除の明細書を作成する方に向けた、マイクロソフト公式のエクセルテンプレートです。
医療費集計シートでは、利用した病院・利用者・診療内容・金額などをまとめることができます。
2017年から医療費控除を受けるには医療費控除の明細書の提出が必要となったので、これらの情報は整理しておくことが大切です。
医療費控除は確定申告で必要な作業の中でも、やや複雑な印象を受けやすいです。
こちらのエクセルテンプレートを使えば、難しさを感じることなく手軽に必要な情報を把握できます。
確定申告に悩んだら税理士に相談を!
確定申告は個人事業主や副業を行っている会社員にとって避けては通れない義務です。無料のテンプレートや便利なクラウドソフトがあるとはいえ、専門的な知識が求められる内容も多く、不安な人も多いでしょう。間違った認識で作成してしまえば、延滞税や過少申告加算税などが課せられる場合もあります。
少しでも不安を感じたら、税のプロである税理士に相談するのがおすすめです。相談料がかかったとしても、正確な確定申告ができるのは大きなメリット。確定申告に詳しい税理士を探して、希望するサポート内容の見積もりをお願いしてみましょう!
監修税理士からのコメント
安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通