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確定申告は代理できる?勘違いしがちなポイントや注意点を解説!

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最終更新日: 2024年06月28日

確定申告の「代理」は依頼内容によって誰が担当できるかどうかが異なります。代理を依頼する際のポイントや注意点をわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

 

確定申告の「代理」は依頼内容によって代理できる人が異なる

夫婦に説明する税理士

「代理」といっても、確定申告の内容を数字から代理で作成する「代理作成」と、本人が計算したものを代理で書くだけの「代筆」、提出だけを代理でおこなう「代理提出」では、代理できる人が異なります。これは税理士法によって定められているルールなので、確定申告を進めるためには守らなければなりません。

「代筆」「代理提出」は家族や友人でも可能

確定申告の「代筆」と「代理提出」は家族や友人でも可能です。

「代筆」は申告者の決定のもと本人に代わって申告書に記入するだけの作業であり、厳密には「代理」ではなく「代行」になります。申告書の内容から代理で作成する「代理作成」とは違うので注意しましょう。

そして「代理提出」は申告書を税務署に提出する作業です。「多忙で税務署へ行けない」「体調不良でポストへ投函しに行けない」などの理由で申告書の提出を家族や友人に頼みたい場合、代理提出なら家族や友人でも可能です。

「代理作成」は税理士のみ可能

申告書の数字から作成する「代理作成」は税理士だけが行なうことができます(税理士法第52条)。税理士以外の人が代理で作成すると「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の罰則を受ける可能性があるので注意してください(税理士法第59条第1項第4号)。

家族や友人に申告書の作成から手伝って欲しいこともあるかと思いますが、税理士法違反になるためできません。これは有償でやってもらうときだけでなく、無償の場合も反復継続して行っていれば税理士法違反になります。申告書の作成はご自身でやるか、税理士へ依頼するしかありません。

代理提出で必要な書類

友人に相談する女性

家族や友人に申告書の「代理提出」をお願いする際には、どのような準備が必要なのでしょうか?マイナンバーカードや申告書など、代理人に渡しておかなくてはならない書類を解説します。

委任状は不要

確定申告書を「代理提出」する際、委任状は必要ありません

確定申告書の代理は税理士しかできないことになっているので「提出だけの作業」の委任という考え方がないのです。

マイナンバーカードが必要

家族や友人が代理提出する際には「申告をする本人の本人確認書類」が必要です。マイナンバーカードがある場合には「申告をする本人のマイナンバーカード」があれば十分です。

マイナンバーカードは原本を提示するか、写しの添付でも認められます。写しを添付する場合には「本人確認書類(写)添付台紙」を利用してください。

参考:本人確認書類(写)添付台紙|国税庁

マイナンバーが記載された住民票と本人確認書類でも可能

マイナンバーカードがない場合には「番号確認書類」と「身元確認書類」が必要になります。

【番号確認書類】

  • 通知カード
  • マイナンバーの記載がある住民票の写し等

これらのうちいずれか1つ

【身元確認書類】

  • 運転免許証
  • 公的医療保険の被保険者証
  • パスポート
  • 在留カード等

これらのうちいずれか1つ

これらの確認書類も原本を提示するか、写しの添付でも認められます。写しを添付する場合には「本人確認書類(写)添付台紙を利用してください。

このように代理であっても代理人自身のものを持参する必要はなく、申告をする本人が提出する必要のあるものを持参すれば大丈夫です。

確定申告自体の必要書類も忘れずに

確定申告自体の必要書類も忘れずに持参しましょう。

【必要書類】

  • 確定申告会場で電子申告をされたことのある方:「利用者識別番号等の通知」もしくは「利用者識別番号が分かる書類」
  • 昨年分の確定申告をされている方:昨年分の申告書等の控
  • 扶養している者や事業専従者がいる方:その者のマイナンバーがわかるもの

また確定申告の数字に必要な添付書類も忘れずに添付して持参しましょう。収入関係では「給与収入や年金収入の源泉徴収票」、所得控除を受ける場合はその根拠資料である「医療費の明細書」や「国民年金の控除証明書」などです。

これらも「代理提出」だから必要になるものはなく、本人が提出する場合と同様のものを持参すれば問題ありません。

参考:確定申告の際にご持参いただくもの|国税庁

代理提出や代筆の注意点

確定申告の代理提出に悩む女性

代理提出や代筆を家族等にお願いした場合、いくつかの注意点があります。代理提出や代筆は可能ですが、場合によっては税務署に受理されない可能性があります。

代理提出や代筆では受理されない可能性がある

代理提出や代筆では税務署に受理されない可能性がある理由は、信用度が下がってしまうからです。「代筆だ」「代理提出しているだけだ」などの主張は、実際のところ明確に証明することができません。

税理士以外が代理提出や代筆ではなく「代理作成」をすると税理士法違反になります。代理作成ではないこと、および本人以外が代理提出や代筆をせざるを得なかった理由がはっきりしていてその状況が認められないと、税務署に受理されない可能性があるのです。

例えば代理提出をお願いした人が、税務署で本人ではない理由を聞かれたときに、「代理で申告をしに来ました」と応えてしまうと、申告書の「代理作成」をしていると思われて税理士法違反を疑われ、受理してもらえない可能性があります。

代理提出の際は「代わりに提出するだけ」とはっきり伝えてもらう

税務署に受理されない危険を回避するためには、代理提出の際に「代わりに提出するだけ」である旨を代理人からはっきりと伝えてもらうことが大切です。

繰り返しますが「代理作成」は税理士法違反となり、申告書を受理してもらえません。代理提出をお願いする人にはその旨をよく説明しておくとよいでしょう。

友人や知人への依頼はなるべく避ける

代理提出は、家族ではない友人や知人への依頼はなるべく避けることも大切です。

【友人や知人への依頼を避けるべき理由】

  • 本人以外が代理提出や代筆をせざるを得なかった理由がはっきりしていてその状況が認められないと、税務署に受理されない可能性がある (確定申告は所得を申告する大切な作業なので、家族に頼む場合と比べると「やむを得ない状況である」かどうかの信用度が下がる)
  • 友人、知人に税理士法違反の疑いをかけられる可能性があり、迷惑がかかるケースも考えられる
  • マイナンバーの情報など多くの個人情報を渡す必要があり、悪用されるリスクがある

これらのリスクを軽減するためにも、代理提出の依頼はできるだけ配偶者や家族にするのがよいでしょう。

申請者本人が海外に居住している・病気の場合

海外から電話をかける男性

申請者本人が海外に居住していたり、病気であったりして、物理的にどうしても本人が確定申告を提出できないこともあるでしょう。またそのような状況では、その後の納税手続きなども難しいことが考えられます。これらの状況下における対策について解説します。

海外に居住している場合

海外に居住している場合は「納税管理人」を指定することができます。海外居住者は確定申告をするためだけに国内に戻るのは現実的ではなく、代理で提出を依頼したくとも家族も海外にいる可能性があるからです。

納税管理人は以下のような納税義務を果たすための一連の手続が可能です。

  • 確定申告書の提出
  • 税務署等からの書類の受け取り
  • 税金の納付や還付金の受け取り

ただし納税管理人であっても申告書の「代理作成」はできません。「代理作成」はやはり税理士のみしか行なえないので注意してください。

納税管理人は個人でも法人でもよいのですが、指定したら管轄の税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出しなければなりません。

参考:[手続名]所得税・消費税の納税管理人の届出手続|国税庁

病気である場合

本人が病気や高齢で寝たきりになっていたりして動くことができず、提出が物理的に難しい場合は家族などに代理提出を依頼できます。代理提出の理由として十分認められる理由でしょう。しかしこちらも「代理提出」だけで、申告書の「代理作成」はできません

もし申告書の作成自体も本人ができなくなった場合には、税理士に依頼する以外に「成年後見制度」を利用することも可能です。成年後見人は包括的代理権があり、税務申告も可能です。業としておこなわない限り税理士法に違反しません。

成年後見制度は、認知症や精神障害などで判断能力がなくなった場合に本人の財産を保全する制度です。成年後見人になるには家庭裁判所に審判等を申し立てる必要があります。

税理士の代理は安心で確実

税理士に確定申告の代理を依頼する様子

税務申告の最も大変なところは、やはり「作成」に関する部分です。その代理をお願いするには税理士に依頼するしかありません。

【税理士に代理作成を依頼するメリット】

  • 申告の内容が正確で安心できる
  • 税務調査も対応してもらえる
  • 申告の煩雑な手続きを代理してもらえるので、その時間を本業につぎ込める
  • 専門的なアドバイス、節税対策をしてもらえる可能性がある
  • 家族などの代理提出では税理士法違反を疑われて申告書を受理されないリスクがあるが、税理士の代理の場合はまったくない

なんといっても税理士は税の専門家。確定申告においても代理作成を依頼すれば安心で確実です。

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税理士に代理を依頼する際の費用

3名の税理士

税理士に代理を依頼する際の費用は数万円程度のケースが多いです。また作業内容や判断の難しさなど個人の状況によって費用は変動します。

確定申告書の作成だけなら数万円程度

税理士に確定申告書の作成だけを依頼する場合の費用は数万円程度です。ただし所得の区分によって差があります

申告書の作成だけを依頼するケースは、給与所得だけ、退職所得だけ、雑所得だけなどで確定申告が必要な人や、所得控除を取りたいために申告を依頼するケースが考えられます。このような場合は数万円で可能なことが多いです。

例外として、難しい判断をともなう譲渡所得がある場合などは10万円を超える高額になるケースが多いでしょう。

事業をおこなっている方など、申告書作成の前に帳簿を作成しなければならないケースだと、申告書の作成だけを税理士に依頼することは現実的にはあまり考えられません。その場合、税理士側も正確な申告ができないとして依頼を受けないことがあります。

青色申告を税理士に依頼した場合は十万円以上かかることも

青色申告で帳簿の作成から税理士に依頼した場合は、仕訳の数や売上の金額によって報酬の差をつけていることが多いですが、作業量が多くなるため数十万の費用負担が発生します。

まず、税理士に依頼する形態にはおおむね下記の2パターンがあります。

  • 確定申告だけを年に1回依頼する
  • 顧問契約を結び顧問料を月額で支払い、年間を通してアドバイスを受けたうえで確定申告も依頼する

【確定申告だけを年に1回依頼した場合の相場】

売上(年商) 決算料相場
500万円未満 7~8万円程度
500万円以上1,000万円未満 10万円~15万円程度
1,000万円以上3,000万円未満 15万円~25万円程度

領収証の整理から依頼すると、追加料金になるケースもあります。

【顧問契約を結んでいる場合】

顧問契約を結んでいると、確定申告では毎月の顧問料の4~6か月分程度が決算料として支払うことが多いです。

年に1回の依頼と比べて、顧問契約の場合は少し低めの決算料になるでしょう。

確定申告は郵送やインターネットでも提出できる

真剣な眼差しでパソコンの画面を見る若い男性

確定申告の提出は対面に限ったことではありません。足を運ぶのが難しい場合は郵送やインターネットでの提出も可能です。

【郵送での提出】

申告書を税務署に郵送することでも受付してもらえます。必要な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書および各種必要書類
  • 控の申告書と切手を貼った返信用封筒(控えが欲しい場合)
参考:【申告書の提出】|国税庁

【インターネットでの提出】

インターネットでe-TAXを利用して電子申告をおこなうことができます。ただし事前準備が必要です。

  • 紙ではなく「確定申告書作成コーナー」で申告書を作成する (e-Taxソフトの利用でも可能)
  • マイナンバーカード、暗証番号を準備
  • マイナンバーカードを読み取れるカードリーダーかスマートフォンを準備
  • マイナンバーカードがない場合には事前に税務署でID、パスワードを発行してもらう方法でも可能
参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁

時間がなくて税務署に出向けない人は、これらのやり方も検討してみましょう。

監修税理士からのコメント

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

税理士の無資格者が、親族や友人から頼まれたからと深く考えずに確定申告書の作成を代行した場合、税理士法違反となるため注意が必要です。確定申告を他人に依頼する場合は、必ず税理士に相談するようにしましょう。税理士に相談すれば、確定申告を正確に行うことができるだけでなく、自分の時間を有効に使うことができるのでおすすめです。

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この記事の監修税理士

京浜税理士法人 横浜事務所 - 神奈川県横浜市青葉区青葉台

横浜市青葉区を拠点として、個人及び中小規模法人のお客様を中心に税務サービスを提供しております。 「小規模事務所ならではのフットワークの軽さ」「代表税理士の顔が見える安心感の提供」をモットーに、日々お客さんのお役に立てるよう業務に邁進しております。