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確定申告で国民健康保険料の控除を受ける申請方法と条件

最終更新日: 2019年12月23日

会社を辞めた人や退職した人、自営業の人が加入するのが国民健康保険(国保)です。

この国民健康保険料は確定申告すると、保険料が控除されることをご存知でしょうか?

本記事では、確定申告をする時の国民健康保険料の控除について、確定申告書の書き方、控除後の納税額の計算方法、申告の期限など、控除を受けるための方法と条件を解説します。

この記事の監修税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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確定申告の国民健康保険料の控除について

国民健康保険に加入している人は確定申告で社会保険料控除できます
国民健康保険に加入している人は確定申告で社会保険料控除できます

確定申告で国民健康保険料の控除は、所得からの控除として計算されます。その項目は、「社会保険料控除」。この社会保険料控除とはどのようなもので、どんな人が控除対象になるのでしょうか。

国民健康保険とは?

病気や怪我をした際、治療費などをあまり気にせず病院に行けるのは、日本が「国民皆保険制度」を取り入れているからです。みんなが少しずつ医療費を保険として出し合うことで、お互いを支え合っています。国民健康保険はそんな保険制度の一つです。

国民健康保険のほかにも、企業や公務員、高齢者など、職種や年齢によってさまざまな種類の健康保険があります。すべての国民がどれかの保険に加入することが義務付けられています。

<主な健康保険>

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ):中小企業の社員とその家族
  • 組合管掌健康保険(組合健保):大企業の社員とその家族
  • 共済組合:公務員、私立大学教職員とその家族
  • 船員保険:船員
  • 後期高齢者医療制度:75歳以上と、65~74歳で一定の障害がある人
  • 国民健康保険(国保):自営業者、職業についていない人とその家族

確定申告の社会保険料控除とは?

国民健康保険料を確定申告で控除する場合は、社会保険料控除の記入欄に記載します。社会保険料控除には、国民健康保険料だけでなく、国民年金や厚生年金保険、会社が加入する健康保険などが含まれます。支払った保険料を所得から差し引くことで所得税額減額することができます。

国民健康保険料の控除を受けられる人は?

国民健康保険料の控除が受けられるのは、国民健康保険の加入者です。自営業で確定申告をしなければならない人に加え、会社員でも、年末調整で国民健康保険の控除をしていない人や忘れた人も、確定申告をすれば国民健康保険料の控除が受けられます。また、退職したまま再就職をしていない人など、年末調整をしていない人も控除の対象になります。

家族の国民健康保険料も控除できる

確定申告で控除できる国民健康保険料は、自分の分だけではありません。生計を同じくする家族の国民健康保険料を支払っていれば、その分も控除できます。ただし、自分が支払っている社会保険料であることが条件です。

例えば、家族が年金受給者で、そこから国民健康保険料等が特別徴収(天引き)されている場合は、保険料を支払ったのは家族とみなされます。そのため、支払った本人以外の控除額としては認められません。

確定申告の申告書の書き方

源泉徴収票や支払調書、国民健康保険の控除証明書を用意しましょう
源泉徴収票や支払調書、国民健康保険の控除証明書を用意しましょう

確定申告で国民健康保険料を控除したい場合、申告書はどのように書いたらよいのでしょうか。申告書の書き方と必要な書類について、説明します。

確定申告で申告が必要な人と不要な人

国民健康保険料を控除したいと思った場合、すべての人が申告しなければならないわけではありません。

確定申告が必要なのは、

  • 自営業の人
  • 会社員で副業をしている人
  • 会社員で年末調整時に控除の申告をしていない人

などです。

副業を行っている人は、副業での所得(収入-経費)が20万円を超えると、確定申告が必要になります。会社員の人は、会社が行う年末調整で所得税の確定を行うため、確定申告は不要です。社会保険料控除も、年末調整の書類で申告しておけば、確定申告をしなくても控除が受けられます。

確定申告書と必要な書類の準備

国民健康保険料の控除を確定申告で行う場合は、確定申告書を入手します。給与所得者が使用するのは「確定申告書A」、個人事業主は「確定申告書B」を使用します。

<確定申告書の入手方法>

  • 税務署に取りに行く
  • 税務署に郵送を依頼する
  • 国税庁のホームページからダウンロードする
 参考:確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等|国税庁

次に確定申告書を作成するのに必要な書類を準備します。国民健康保険料控除の確定申告に必要な証明書等は以下です。

<必要書類>

  • 源泉徴収票・支払調書
  • 国民健康保険の領収書、または控除証明書(添付は不要)

源給与所得者は、源泉徴収票を年末に勤務先から渡されます。個人事業主の場合は、取引先から支払調書として、源泉徴収票に近いものが送付されることがあります。必ず送付されるものではありませんが、確定申告書を作成する際には、便利なものなので保管しておきましょう。

国民健康保険の控除証明書は、1~2月頃、自治体から送られてきます。(自治体によってない場合がある。)

確定申告書の書き方

必要な書類が揃ったら、確定申告書に記入します。

確定申告書B

①給与額や副業での収入を記載します。源泉徴収票を確認して、手取りではなく支給額を記入します。

②副業で経費がかかった、などの場合は、それを差し引いた額、給与所得の場合は源泉徴収票の給与所得控除後の金額を所得金額として記入します。

③支払った国民年金保険料など社会保険料の合計を記入します。
扶養控除や基礎控除など、該当する控除の金額を記載します。

④記載されている式に従って、税金の額を計算します。

⑤還付金がある場合、振り込まれる銀行口座を記入します。

国民健康保険料の控除額と還付金の計算

確定申告書に記載の計算式で還付金が計算できます
確定申告書に記載の計算式で還付金が計算できます

確定申告で国民健康保険料の控除を申告した場合、すでに支払われている所得税が安くなるので、還付金が返ってきます。控除額によって、還付金の額は変わります。どんな計算をして、どのくらい返ってくるのか、具体的にみてみましょう。

還付金の計算方法

取引先から報酬をもらう場合や給与が支払われる場合は、支払額の一部から所得税が源泉徴収されています。この額は、経費や控除などが考慮されていないので、年末調整や確定申告などでその分を計算し直し、正しい所得税額を確定します。

控除額が多ければ、所得税額が少なくなるので、支払うべき所得税は少なくなります。源泉徴収されている所得税額より、支払うべき所得税が少ない場合はその分が還付金として返ってくるのです。

 還付金=すでに支払っている所得税(源泉徴収額)-確定した所得税

源泉徴収額は収入の10.21%です。20万円の報酬の場合は、

20万円×10.21%=20,420円

となります。

所得税額は、以下の式で計算されます。

 所得税=(収入-必要経費-所得控除)×所得税率-税額控除

所得税率は以下の表で計算します。

 所得税率
控除額
195万円以下
5%
0
195万~330万円以下
10%
97,500
330万~695万円以下
20%
427,500
695万~900万円以下
23%
636,000
900万~1,800万円以下
33%
1,536,000
1,800万~4,000万円以下
40%
2,796,000
4,000万円以上
45%
4,796,000

国民健康保険などの社会保険料控除は所得控除の1つです。収入から一定の額や支払った保険料の額などを差し引くことができます。

<主な所得控除>

  • 基礎控除:38万円
    誰でも控除できる
  • 配偶者控除:最大38万円
    年間の合計所得が38万円以下、(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の配偶者がいる場合控除できる
  • 扶養控除:最大63万円
    16歳以上の生計を同じくする家族がいる
    ※16歳以下の子どもは「子ども手当」があるため対象外
  • 社会保険料控除:その年に支払った社会保険料
  • 医療費控除:支払った医療費(支払われた保険金などをのぞく)-10万円
    本人や生計を同じくする家族のための医療費を控除できる

※青色申告特別控除は所得控除ではなく、事業所得や不動産所得で控除できるものです。

例:確定申告を青色申告(複式簿記)で行う場合、配偶者がいる方が家族分の国民健康保険料を控除する場合の所得税の計算式

 (収入-必要経費-青色申告特別控除)-
 (社会保険料控除+基礎控除+配偶者控除)×所得税率

還付金のシミュレーション例

国民健康保険料を控除した場合としなかった場合について、具体的な例をシミュレーションしてみましょう。

・源泉徴収額51万円
・収入が500万円、必要経費が200万円
・自分と配偶者の国民健康保険料の年額は合計40万円
・青色申告(複式簿記)

例1:国民健康保険料控除を申告しなかった場合
<所得税額の計算>

 (500万円-200万円-65万円)-(38万円+38万円+65万円)×5%=79,500円

<還付金の計算>

 51万円-79,500円=430,500円

例2:国民健康保険料控除を申告した場合
<所得税額の計算>

 (500万円-200万円-65万円)-(40万円+38万円+38万円)×5%=59,500円

<還付金の計算>

 51万円-59,500円=450,500円

国民健康保険料を社会保険控除として申告すると、20,000円多く還付金が戻ってきます。控除できる項目が多ければ、課税される所得額が抑えられ、税金が安くなり、還付金が増えます。

国民健康保険料の控除申告の期間と注意点

確定申告を忘れると追徴課税されることもあります
確定申告を忘れると追徴課税されることもあります

確定申告で国民健康保険料を申告する際、注意すべき点はどんなところでしょうか。また、申告の期間はいつからいつまでなのでしょうか。

還付申請の期間、いつからいつまでできるのか?

確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日(当日が休日の場合は伸びる)です。個人事業主の方などは、この期間に確定申告しなければ、申告漏れになり、延滞税等がかかります。国民健康保険料の控除など、還付だけを目的とした確定申告であれば、この期間以外でも申告できます。

ちなみに、還付金が戻ってくるのは、1か月~1か月半後が目安です。

今までしていない、忘れてしまった場合

もし、国民健康保険の控除をこれまでの確定申告でしていない、忘れていた、という場合でも、還付申告の期間は、還付対象の翌年1月1日から5年間となっています。確定申告の期間前、または期間後でも受け付けてもらえます。数年分をまとめて申告することはできません。1年分ずつをまとめて計算し、必要な書類を添えて税務署に提出すれば、各年の所得税から還付金が返ってきます。

還付金がなくても、個人事業主の場合は確定申告をするのが義務です。確定申告をしなくてもバレないと思っているかもしれませんが、誰にどのくらい支払ったか、取引先からも申告されます。申告漏れを指摘されてからの「期限後申告」は無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられてしまいます。

また、還付申告だからと先送りにするのも、税金の無駄です。所得額を元に計算されるもう一つの税金が住民税。所得額が高ければ、住民税も高くなります。きちんと所得控除していれば、翌年の住民税が高くなることも防げるのです。

源泉徴収票、領収書、証明書の添付は必要?

確定申告の際、源泉徴収票は添付が必要ですが、国民健康保険の証明書や領収書の添付は不要です。社会保険料控除の中でも、国民年金の控除証明書は添付が必要なので注意しましょう。

会社を辞めて個人事業主になった人、副業で確定申告が必要な人など、確定申告の控除や必要な書類の記入方法が不安な人は税理士に相談してみましょう。

早くて確実な確定申告は税理士へ

確定申告を相談できる税のプロが税理士です
確定申告を相談できる税のプロが税理士です

確定申告の書類は、インターネット上でも作成できます。ですが、収入や経費に関する書類の準備だけでなく、さまざまな控除についての書類の準備などがあり、わからないことも少なくありません。そんなとき、不明点の相談や書類作成を、税金のプロである税理士に依頼する人も増えています。

確定申告は複雑・煩雑

確定申告は、個人事業主にとっては毎年1回発生する業務です。とはいえ、日々の忙しい仕事をこなす中、細かい帳簿つけや金額の計算を1年分まとめるのは、思っている以上に時間がかかります。さらに、収入の範囲や所得控除の条件や税額控除などは制度が変わることも多く、知らずに税金を払いすぎてしまうということにもなりかねません。

また、控除についても、すべて申請した方が良いわけではありません。よく計算してみると、翌年の住民税や国民健康保険料が増加し、還付以上の負担増になってしまうこともあります。申告書に指定された数字を入れていくだけでは終わらないのが、確定申告の難しいところなのです。

税理士に依頼して、迅速かつ正確な確定申告を

そんなとき、確定申告についての相談や申請書作成をまかせられる強い味方が税金のプロ、税理士です。税理士というと、大きな企業だけが関係しているように思う人も多いのですが、個人事業主が、確定申告の際だけ書類作成などを依頼する場合も増えています。

確定申告は、3月15日まで、と提出期限が決まっています。帳簿つけに慣れていて、日々処理をしている事業者であっても、確定申告書作成には時間がかかるもの。万が一申告が遅れれば、延滞税や加算税などのペナルティも発生します。日々の仕事にできるだけ影響を与えず、早く確定申告を終わらせるためにも、税理士への依頼は有効な方法なのです。

また、自分で確定申告書類を作成する場合には慣れない書類作成を短時間で行うため、計算や帳簿のミスが発生することもあります。わざと間違ったのではなくても、ミスが一つ見つかれば、脱税を行っていないかなどを調査する、税務調査につながる可能性も高くなるのです。

実は、確定申告書には税理士の署名欄があります。税理士に申告書作成を依頼すれば、ここに署名が入り、プロの目を通っていることが証明されます。税務署も、ここに署名があれば、正確な書類が作成されているとみなされ、税務調査の可能性も低くなります。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

国民健康保険料は、国民年金や生命保険料などと違って基本的には控除証明書が送られてきません。したがって納付した領収書などをきちんと保管していなければ、いくら払ったかわからなくなってしまいます。領収書を紛失などしてしまった場合には自治体に金額を確認して確定申告をしましょう。また年の途中で国民健康保険から社会保険に切り替わった方などは、税金を安くするためにも年末調整で国民健康保険料の申告を忘れずに行うようにしましょう。
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国民健康保険の控除以外にも、確定申告時には知っておきたい節税の方法がたくさんあります。それらの知識や計算方法は正確な知識が求められますが、複雑で煩雑な部分も大きく、個人でやるのはとても時間がかかるものです。確定申告期間内に、節税効果も考えた確定申告書を迅速に出したい、と思ったら税理士への相談も検討してみましょう。

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