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内職の確定申告は必要?経費の項目や節税のポイントも確認しよう

最終更新日: 2025年01月16日

内職や在宅ワークで収入を得る人が増えていますが、内職の収入にも税金がかかり、確定申告が必要になる場合があります。確定申告を怠ると思わぬペナルティを受ける可能性もあるため、正しい知識を持っておくことが大切です。

本記事では、内職の確定申告が必要なケースや経費として認められる項目、節税のポイントなどを詳しく解説します。内職で収入を得ている方はもちろん、これから始めようと考えている方にも役立つ情報をお届けします。

そもそも確定申告とは?

確定申告とは、1年間の所得と税額を計算し、最終的に納める税金の額を確定させる手続きです。会社員であれば会社が年末調整を行ってくれるため、基本的に確定申告は不要です。しかし、内職や副業の収入がある場合、自分で確定申告を行う必要があります。

確定申告では、1年間の収入から必要経費を差し引いた所得を計算し、そこから各種控除を適用した最終的な納税額を算出します。

内職の確定申告が必要なケース

在宅勤務する女性と子供

内職の場合、確定申告は基本的に必要です。ただし、収入額や他の所得の状況によって判断が分かれます。以下のケースに当てはまる場合、原則として確定申告が必要となります。

内職専業で所得が48万円を超える場合

内職を専業としており、年間所得が48万円を超える場合は確定申告が必要です。所得税では、年間所得2,400万円以下の場合、48万円の基礎控除が適用されます。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。

内職の所得が48万円以下であれば、基礎控除によって課税される所得は0円となります。しかし、48万円を超えると課税される所得が発生するため、確定申告が必要となるのです。

また、扶養の観点からも注意が必要です。配偶者控除を受けるには、配偶者の年間所得が48万円以下である必要があります。内職の所得が48万円を超えると配偶者控除が受けられなくなる可能性があるため、家計全体での税金対策を考える必要があります。

兼業で雑所得金額が20万を超える会社員・アルバイト

会社員やアルバイトとして給与所得を得ながら内職をしている場合、内職の収入は雑所得として扱われます雑所得の金額が年間20万円を超える場合、確定申告が必要となります

給与所得者であれば、通常は会社の年末調整で税金が精算されますが、内職などの副業による所得が20万円を超えると、確定申告をしなければなりません。その場合、給与所得と内職による雑所得を合わせて申告します。

なお、掛け持ちをしていて給与を2か所以上から受け取っている場合、年末調整をできていない勤務先があることになります。この場合は、年末調整をできていない給与所得と雑所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要となります。

例えば、内職での雑所得が10万円でも、年末調整できていない勤務先で10万円以上の所得が発生していると確定申告が必要になるので、注意してください。

内職の確定申告が不要なケース

内職の収入があっても、必ずしも確定申告が必要というわけではありません。以下のようなケースでは、確定申告が不要となる場合があります。

確定申告が必要な条件に当てはまらない場合

内職の所得が一定額以下の場合、確定申告が不要となることがあります。具体的には以下のような場合です。

  • 内職を専業としており、年間所得が48万円以下の場合
  • 会社員やアルバイトと掛け持ちしており、内職の年間所得(雑所得)が20万円以下の場合

例えば、主婦の方が内職で年間30万円の収入を得て必要経費が10万円だった場合、所得は20万円となります。この場合、所得が48万円以下であるため、確定申告は不要です。

ただし、所得税の計算上は申告が不要でも、住民税の申告は必要です。

会社で年末調整に対応してもらえる場合

会社で年末調整に対応してもらえる場合、以下の条件を満たしていれば確定申告が不要です。

  • 給与所得と副業による雑所得の合計額が2,000万円以下
  • 副業による雑所得が20万円以下

内職の確定申告をしない場合のリスク

確定申告が必要にもかかわらず、申告を行わないと様々なリスクが生じます。以下では、確定申告をしない場合のリスクについて詳しく説明します。

脱税となり刑事罰を科される可能性がある

確定申告を怠ると、法律上「脱税」という犯罪行為に該当する可能性があります。脱税と認定された場合、最悪のケースでは懲役や罰金などの刑事罰が科される可能性があります。

例えば、所得税法においては、偽りその他不正の行為により所得税を免れた場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

追徴課税される可能性がある

確定申告を行わなかった場合、後日税務署に発覚すると、本来納めるべきだった税金に加えて、追加の税金(加算税)が課される可能性があります。

  • 延滞税:納付期限を過ぎた場合に課される追加の税金
  • 無申告加算税:申告書を提出しなかった場合に課される追加の税金
  • 重加算税:悪質な脱税と判断された場合に課される追加の税金

内職の確定申告で経費にできるものは?

確定申告の作業をする女性

内職の確定申告では、業務に必要なものを経費にできます。経費を計上することで所得金額が減り、節税対策になります。

内職の確定申告での経費の一例として、以下のようなものがあります。

仕事に必要な備品(消耗品費)

内職の仕事に直接必要な備品や消耗品は、経費として計上できます。例えば、文房具、印刷用紙、インク、梱包材料などが該当します。仕事のために使用した備品であれば、購入した金額を全額経費として計上することができます。

ただし、注意が必要なのは、完全に仕事用途であることです。プライベートでも使用するものは、使用割合に応じて按分する必要があります。

仕事用のパソコンや機器(減価償却費)

パソコンやプリンター、スキャナーなど、内職に使用する機器も経費として計上できます。ただし、これらの機器は一般的に「減価償却費」として計上します。

減価償却とは、機器の取得価額を使用可能期間で分割して経費計上する方法です。ただし、10万円未満の少額減価償却資産については、購入した年に全額を経費として計上することができます。

家賃・光熱費・通信費の一部(家事関連費の按分)

自宅で内職を行っている場合、家賃や光熱費、通信費の一部を経費として計上できます。ただし、生活費と仕事用の費用が混在しているため、仕事で使用している割合を適切に按分する必要があります。

例えば、自宅の一室を仕事専用スペースとして使用している場合、その部屋の面積が自宅全体の10%だとすると、家賃や光熱費の10%を経費として計上できます。また、Wi-Fiなどの通信費についても仕事での使用割合を見積もり、その分を経費として計上できます。

参考資料や書籍(図書研究費)

内職の仕事に関連する参考資料や書籍の購入費用も、「図書研究費」として経費に計上できます。ただし、完全に仕事目的で購入したものに限ります。一般教養や趣味のための書籍は経費として認められません。

例えばライターの仕事をしている場合、文章術に関する本や業界動向を知るための専門誌などが該当します。これらの購入費用は、全額を経費として計上することができます。

内職の確定申告で経費にできないもの

内職の確定申告では、仕事に直接関係のない支出は経費として認められません。例えば、以下のような費用は経費として計上できない可能性が高いです。

  • プライベートで使用するもの:家族で使用する家電製品や、趣味のための道具など
  • 食費(取引先とのミーティングの一環でない場合):日常の食事代など
  • 自家用車の費用(業務で使用しない場合):車代、ガソリン代、車検費用、保険料など
  • 衣服費(特殊な作業着を除く):普段着として着用できる衣服など
  • 各種保険料:国民健康保険、国民年金、生命保険など
  • 各種税金:原則経費としては計上できない(仕事に関わる自動車税や固定資産税は経費にできる場合がある)

上記のような項目を経費として計上してしまうと、税務調査の際に指摘される可能性があります。経費の計上には十分に注意して、不明な点がある場合は税理士に相談するか、国税庁のガイドラインを確認しましょう。

なお、各種保険料については経費にはできないものの、所得控除として利用可能です。確定申告の際に忘れずに申告しましょう。

内職の確定申告のやり方

内職の確定申告を適切に行うためには、以下の手順で進めましょう。ここでは、確定申告の具体的な進め方を解説します。

1. 必要書類の準備

確定申告を始める前に、まず必要な書類をそろえましょう。主な必要書類は以下の通りです。

  • 源泉徴収票(会社員やアルバイトをしている場合)
  • 収入金額や経費がわかる帳簿や領収書
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 印鑑(税務署に直接提出する場合)
  • 各種控除証明書(医療費控除や生命保険料控除などを受ける場合)

特に領収書は重要です。内職の収入や経費に関する全ての領収書を保管しておくことで、正確な申告を行いましょう。またこういった記録は、税務調査の際の証拠にもなります。

2. 帳簿の作成

次に、1年間の収入と支出を記録した帳簿を作成します。帳簿には、取引の年月日や取引先の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費などを記載します。エクセルやクラウド会計ソフトを利用すれば、効率的に帳簿管理ができます。

3. 確定申告書の作成

帳簿をもとに、確定申告書を作成します。確定申告書の作成方法は主に4つあります。

  • 国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用する
  • 税務署で配布される紙の申告書に手書きで記入する
  • 会計ソフトを使用して作成する
  • 税理士に依頼する

初めて確定申告を行う場合や不安な場合は、会計ソフトや税理士への依頼がおすすめです。手書きでの作成や確定申告書等作成コーナーでの作成も可能ですが、やや手間がかかる場合があります。

4. 確定申告書の提出

作成した確定申告書は、以下のいずれかの方法で提出します。

  • e-Tax(電子申告)で提出
  • 税務署に直接持参
  • 郵送で提出

e-Taxを利用すれば、自宅からインターネットを通じて申告書を提出できて便利です。また、早期に還付金を受け取ることができたり、還付金を多く受け取れるメリットもあります。

税務署に直接持参する場合は混雑するので、早めに提出することをおすすめします。郵送の場合は、確定申告期限(通常は3月15日)当日までの消印が有効です

内職の確定申告における節税のポイント

確定申告書と電卓

以下では、内職の確定申告における節税のポイントを解説します。

  • 家内労働者等の所得計算の特例を活用する
  • 経費を適切に計上する
  • e-Taxで青色申告を行う

家内労働者等の所得計算の特例を活用する

内職や在宅ワークを行っている場合、「家内労働者等の所得計算の特例」を利用できる可能性があります。家内労働者とは、「自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人」のことをいいます。

この特例は、実際の経費が55万円未満であっても、収入金額の55万円を上限として必要経費を認めてもらえるというものです。確定申告書にその旨を記載することで適用されます。

条件を満たしている場合は、積極的に活用を検討しましょう。

経費を適切に計上する

内職の所得を正確に計算するためには、経費を適切に計上することが重要です。前述の「内職の確定申告で経費にできるもの」を参考に、仕事に関連する支出を漏れなく記録して経費として計上しましょう。

e-Taxで青色申告を行う

e-Tax(電子申告)を利用して青色申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。通常の青色申告(55万円控除)と比べても、さらに節税効果を得られます。

内職の確定申告におけるよくある質問

最後に、内職の確定申告におけるよくある質問をまとめました。

内職の確定申告はいつまでに行えばよい?

1月1日から12月31日までの所得に対する申告は、原則として毎年3月15日までに行う必要があります。ただし、3月15日が土日祝日の場合は、次の平日が期限となります。例えば、2024年中の所得に対する確定申告は、2025年3月17日(月)が期限です

なお、還付申告の場合は、期限後5年以内であれば申告可能です。ただし、早めに申告することで、還付金をより早く受け取ることができます。

パートと内職を掛け持ちしている場合も確定申告が必要?

パートと内職を掛け持ちしている場合、確定申告が必要かどうかは状況によって異なります。

  • パートの給与収入が103万円以下で、内職の所得が20万円以下の場合:不要
  • パートの給与収入が103万円を超え、年末調整が行われている場合:内職の所得が20万円以下であれば不要
  • パートの給与収入が103万円を超え、年末調整が行われていない場合:必要

ただし、医療費控除などの各種控除を受けたい場合は、上記の条件に関わらず確定申告を行うことができます。

内職の確定申告は税理士への依頼も検討しよう

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内職の確定申告、必要なケース、手順、計上できる経費などを詳しく解説しました。内職でも必要なケースがあり、確定申告により還付金を受け取れるメリットもあります。しかし、確定申告の手続きは複雑で、初めての方にとっては不安が大きいかもしれません。

確定申告に不安を感じる方は、税理士への相談がおすすめです。申告書を作り方がわからない場合や忙しい方でも、税理士に相談すればスムーズに確定申告を終えられます。

税理士選びの際におすすめなのが、全国の税理士が登録している「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。

その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

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