ミツモア

確定申告を忘れたらどうなる?考えられる3つのペナルティと今すぐ取るべき行動

ぴったりの確定申告に強い税理士をさがす
最終更新日: 2024年06月28日

忘れないようにしていたものの、気づけば「あっ!確定申告の期限が終わってる!」そんなことありませんか?

確定申告を忘れた場合は「無申告加算税」や「延滞税」など、申告等によって納めるべき税金のほかに新たな税金が課されます。

しかし、確定申告を忘れたことに自分で気がついた場合に「期限後申告」として申告すれば、これらのペナルティを軽減可能です。

また期限までに納税できない場合の救済処置も設けられています。納税の猶予申請書に記載されたから1年以内であれば利用可能な猶予制度と、確定申告した年の5月31日まで納税期間を延長できる延納制度のふたつです。

確定申告を忘れたときに考えられるペナルティと、今すぐ取るべき行動についてわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・1級FP技能士)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

確定申告の期限は?

確定申告は、前年の1年間(1月1日~12月31日)の所得に応じた所得税を算出して、納税済みの税金との差分を精算するものです。手続きを行う期間は、翌年の2月16日~3月15日となっています。なお、3月15日が土日祝の場合、期限は翌日になります。

2023年(令和5年)分については、令和6年2月16日~3月15日の間に確定申告を行うことが必要です。

期間中に確定申告できなかった場合でも期限後申告として受け付けてもらえるため、そのままにせず早めに申告してください。

また、期限内に確定申告をしたものの、内容を間違えていることに気づいた場合は、訂正可能です。訂正したい内容に応じて、更生の請求または修正申告しましょう。書類の作成については、確定申告書等作成コーナー(国税庁HP)から確認してみてください。

確定申告を忘れたらどうなる?考えられる3つのペナルティ

悩む女性

確定申告を忘れた場合のペナルティとしては、次の3種類の課税が挙げられます。

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 重加算税

それぞれで税率や課税の条件が異なり、期限後申告が遅れれば遅れるほど課税額が多くなります。

それでは、どのような場合にペナルティが発生するのか、具体例を交えて解説します。

無申告加算税が課される

確定申告を忘れた場合は「無申告加算税」が課されます「法定期限までに申告がなかった」点に課せられるペナルティです。

無申告加算税は確定申告によって納める必要が生じた税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%で計算されます。また税務署から指摘を受ける前に期限後申告を自主的に行なえば、税率を5%に軽減可能です。

【50万円の税額について税務署から指摘された後に期限後申告を実施した場合の税額例】

この場合、「75,000円」が無申告加算税の税額です。

  • 申告した税額:50万円
  • 適用される無申告加算税の割合:15%
  • 計算式:500,000×0.15=75,000

延滞税が課される

法定期限から2か月を経過するまで:2.6%

法定期限から2か月目以降:8.9%

つまり、確定申告が2か月以上遅れると延滞税の課税額が大きくなります。

【50万円の税額について60日遅れて期限後申告を実施した場合】

この場合の延滞税は「7,315円」です。

  • 申告した金額:50万円
  • 延滞日数:60日
  • 適用される延滞率:8.9%
  • 延滞税の計算式:税額×延滞率×延滞日数÷365
  • 計算式:500,000×0.089×60/365=7,315

重加算税が課される場合もある

確定申告を忘れた場合にもっとも懸念されるのが「重加算税」の課税です。「納税が必要だとは理解しながらも故意に申告しなかった、仮装や隠ぺいで過少に申告した」場合に課せられます

確定申告を実施していない状態で重加算税が発生した場合、納めるべき税額の40%が課税額となります。例えば納めるべき税額が20万円であれば「8万円」が重加算税となるわけです。

無申告加算税と延滞税と比較して課税割合が大きいため、必ず回避しなければいけません。ただし確定申告を忘れたことを知った段階ですぐに対応すれば、重加算税の課税は問題なく避けることが可能です。

【50万円の税額を故意に申告せず、重加算税が課せられた場合】
この場合の重加算税の税額は「20万円」となります。

  • 申告しなかった金額:50万円
  • 適用される重加算税の税率:40%
  • 重加算税の計算式:税額×重加算税の税率
  • 計算式:500,000×0.4%=200,000

期限までに納税できない場合の救済処置

期限内の納税を忘れてしまった場合は、延滞税などのペナルティがあるため、気付き次第すぐに確定申告または納税をする必要があります。ただし、一定の条件を満たしている場合は救済措置を受けられるケースがあるため、ご自身の状況が救済措置の対象になるかの確認も行いましょう。

ここでは、期限までに納税できない場合の救済処置について解説していきます。

納税の猶予申請書の記載日から1年以内に猶予制度を利用する

納税期限までに所得税を納めることができない場合は、猶予制度を利用できることがあります。納税が猶予されるのは、納税する金額が以下のような金額に該当する場合です。

【会社員の場合】

  • 災害または盗難によって損失した財産の金額
  • 納税者または家族の医療費や治療にかかった費用にあたる金額

【事業主の場合】

  • 休業または廃業による損失・費用にあたる金額
  • 利益減少などで受けた損失額と同等の金額

上記に当てはまる場合、納税の猶予申請書を税務署に申請しましょう。申請が受理されたら、1年以内に限って納税の猶予を受けることができます。そのほか、猶予されている間の延滞税が軽減されたり、免除されたりします。

確定申告をするときに延納制度を利用する

確定申告をする時点で、3月15日までに納税しきれないことが分かっているときは、延納制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

延納制度を利用するには、事前に申請することが必須となります。申請方法は、確定申告書の「延納届出額」という欄に納税する税額と延納額を記載して提出するだけです。これによって、残りの税額の納税期限を5月31日まで伸ばすことができます。

ただし、延納している間は利子税がかかるため、元々の納税額より割高になることに注意しましょう。

納税額の半分を納めることも難しい場合は、振替納税を活用することもできます。特定の振替日に口座引き落としによって税金を納める方法です。詳しくは国税庁のホームページを確認してみてください。

確定申告を忘れたときに今すぐ取るべき行動

パソコンを操作する男性

確定申告を忘れたことに気づいたら、以下の行動をすぐに取りましょう。

【今すぐ取るべき行動】

  • まずは本当に確定申告が必要か確認する
  • とにかくすぐに提出する
  • 税務署に相談する
  • 税理士に相談する

対処が早ければ早いほど「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティも軽減され、そこまで大きな問題にはなりません。

まずは本当に確定申告が必要か確認する

確定申告を忘れたと気づいたときは、そもそも申告が必要なのかどうかを確認しましょう。

【確定申告が必要となる可能性があるケース】

  • 給与所得が年間2,000万円以上あった
  • 副業の所得が年間20万円以上あった
  • ふたつ以上の事業所から給与を得ている
  • 源泉徴収を受けていないか猶予されている
  • 不動産や株の取引で収入があった
  • 年金や保険金を受給した
  • 贈与を受けた

上記のいずれにも該当しないなら確定申告は必要ではありません。該当したとしても収入額次第では確定申告の対象ではないケースもあります。

とにかくすぐに提出する

確定申告が必要にもかかわらず忘れていた場合は、自分で気がついた段階でできるだけ早く申告しましょう。法定期限を過ぎた後でも申告は可能で「期限後申告」として扱われます。

「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティは発生してしまいますが、早急に提出すれば課税額はさほど大きなものではありません。場合によっては数千円程度のペナルティで抑えられるケースもあります。

また税務署は確定申告を忘れた人にその旨を通知する場合があります。この場合はペナルティが大きくなりますが、通知される前に確定申告すればより少ない課税額で抑えることが可能です。

確定申告を法定期限後に行う場合は提出日と同日が納税期限となります。つまり、手続きしたその日のうちには納税が必要です。当日に納税できない場合は分割での納付が認められる場合もあります。

1か月遅れなら無申告加算税がなくなる

期限後申告が法定期限から1か月以内で以下の要件を満たしていれば、無申告加算税は加算されません。

  • 期限後申告が法定期限から1か月以内に自主的に行われていること
  • 法定納期限(所得税は3/15、消費税は3/31)までに納税していること
  • 過去5年間にペナルティを受けていないこと

例えば3/15に納税して3/16に確定申告書を提出した場合は、上記要件を満たすため無申告加算税がかかりません。

税務署に相談する

「確定申告を忘れていて、どうすればよいのかわからない・・・」という場合は税務署に相談するとよいでしょう。税制上、最もリスクが少ない形で確定申告を完了するための指導を受けられます。

該当年度の経理がさほど複雑でないならその場で確定申告が完了する場合もあります。

【電話相談も可能】

窓口に出向くのが難しければ電話で相談することも可能です。申告期限の前後は電話が繋がりにくいケースもあります。そのため、できるだけ早く電話をするとよいでしょう。

また電話で相談できる内容や範囲はある程度限定されます。必要に応じて窓口での相談も検討してください。

税理士に相談する

確定申告を忘れた際は、税理士への相談も検討しましょう。税理士に相談すれば、安心して申告を進められるサポートを受けられます。忘れていた確定申告の手続きを一任することも可能です。

税理士は多くのクライアントの確定申告についてサポートや代行を経験しているプロフェッショナルです。彼らに相談すれば現在抱えている不安や疑問についてはすべて解決できるでしょう。

また税理士は節税方法についても精通しており、指導に従えばより納税額が少ない形で確定申告を終えることが可能です。

相談できる税理士を探す

確定申告をしないと起こるデメリット

悩む若い女性

確定申告を忘れたまま放置していると、次のデメリットが生じます。

  • 青色申告で受けられる控除の減額
  • 住民税の余分な徴収
  • 収入が証明できない

今後の事業運営を円滑に進めるためにも、確定申告は期限内に済ませることを心がけましょう。

青色申告で受けられる控除の減額

確定申告の期限を過ぎてしまうと青色申告の65万円控除が受けられなくなり、控除額が10万円に減額されます。65万円の青色申告特別控除を受けるためには、要件のひとつである「期限内申告」を守らなければなりません。

また期限後申告では損益計算書など、作成書類の記載を修正しなければならない可能性も考えられます。

住民税の余分な徴収

確定申告を忘れた場合、住民税の余分な徴収が発生する可能性があります。

通常通りに確定申告が実施されれば自治体から住民税の納付書が届きます。しかし確定申告がなければ、そもそも住民税が算出されません。つまり納付書自体がないので、住民税の支払いがそのまま放置されてしまうのです。

その状態で税務調査が入った場合、所得税のみならず住民税まで徴収されるかもしれません。さらに未納だった住民税にも最大で納税額に14.6%をかけた延滞税が発生する可能性があります。

つまり税務調査が入ると、通常よりも住民税が余分に徴収される懸念があるわけです。必要のない課税を避けるためにも速やかな申告を心がけましょう。

収入が証明できない【個人事業主やフリーランスの場合】

個人事業主やフリーランスとして働いている場合、収入が証明できないケースも考えられます。

会社員であれば確定申告を忘れたとしても給与については年末調整が行なわれます。年末調整によって給与額が税務署に報告されるため、所得証明書などを発行することが可能です。

一方で個人事業主やフリーランスの場合、確定申告以外に収入を税務署へ伝える方法がほとんど存在しません。すなわち確定申告をしないでいると、確定申告を忘れた年の収入が不明なままになります。

【考えられるデメリット】

  • 住宅ローンが組めない
  • 賃貸契約を締結できない
  • 事業資金を借り入れられない
  • 保育園の入園手続きが進められない
  • 国民健康保険料が減額されない
  • 収入証明書や課税証明書などの公的書類を発行できないため、それらが必要な手続きが遅滞する

つまり、今後の生活において重大な悪影響を及ぼす可能性が高いです。この状態を解消するには、忘れていた確定申告を実施するほかありません。法定期限を過ぎているとはいえ、申告さえ完了すれば該当する年度の収入を証明できます。

還付申告の場合は忘れていても5年間は大丈夫

パソコンを笑顔で眺める男女

納めすぎた税金の返還を求める還付申告であれば、5年間は申告を忘れていても問題ありません。還付申告の期限は確定申告と異なり、翌年の1月1日から5年間の申告が可能です。

例えばふるさと納税や、住宅ローン控除の還付申告などがあてはまります。

ふるさと納税の期限後の還付申告

ふるさと納税をしてから5年間であれば、還付申告が可能です。そのため翌年に申告を忘れてしまった場合でも問題ありません。

ふるさと納税の控除を受けるためには「寄附金控除」を申告する必要があるので、忘れている方は早めに手続きを行ないましょう。

住宅ローン控除の期限後の還付申告

住宅ローン控除の適用を受けるためには原則として、入居した翌年に確定申告を行なう必要があります。しかし、住宅ローン控除を受ける還付申告の場合も入居してから5年間であれば、さかのぼって申告可能です。

なお給与所得者の場合、最初の年だけ確定申告をすれば、あとは年末調整で住宅ローン控除の申請が可能です。

生命保険料控除の期限後の還付申告

生命保険料控除を受ける還付申告の場合も5年間さかのぼって申告が可能です。翌年の申告を忘れたとしても問題ありません。

なお生命保険料控除の対象となる保険料の支払い期間は、その年の1月1日から12月31日です。同じ期間中に受け取った配当金などがある場合は、保険料合計から配当を差し引いた保険料が対象になります。

確定申告に時効はあるがその前に必ずばれる

ノートパソコンをタイピングする人の手元

法律上は確定申告に「時効」とも捉えられる基準が存在します。しかし忘れたままで時効を迎えることはまずありません。なぜならそれよりも早く無申告が発覚するからです。

時効は5年(さらに伸びることも)

申告を忘れたまま5年経過すれば国の徴収権が失われ、納税の必要性も失われます。このことを「時効」として考えることは可能です。

しかし、税務署はこの時効を必要に応じて延長できる立場にあります。また税務署は確定申告の必要性がある旨を個々人へ通知することが可能です。その場合は通知された日から5年後が新しい時効として再度設定されます。

たとえば2019年の確定申告を忘れた場合、2024年が時効となります。しかし2022年に税務署からの通知が来た場合には2027年まで時効が先送りされる仕組みです。

つまり時効は税務署の裁量でいくらでも延長できます。当然ながらその間も延滞税は増額されているうえに、なおかつ時効を迎えるとも限りません。現実的に考えれば時効は期待せず、早急に確定申告する必要があります。

無申告はほぼ確実にばれる

無申告の事実はいずれ確実にばれます。たとえ確定申告を忘れた場合でも、すぐに税務署から指摘されるわけではありません。このことからいつまでも申告しないケースが見受けられます。

しかし、税務署は無申告を取り締まるために日々税務調査を実施しています。税務調査は企業のみに行われるものではありません。会社員やフリーターはもちろんのこと、小規模の個人事業主も対象となりえます。

税務調査が入れば無申告の事実はほぼ確実に発覚します。また税務調査がなくとも以下の経緯で無申告が発覚するケースも珍しくありません。

  • 取引先が提出した支払調書から収入が発生していると把握される
  • 取引先に税務調査が入った結果芋づる式に無申告が発覚する
  • 第三者が無申告であるとを税務署に知らせる

確定申告を忘れたままにしていると、上記の理由で確実に無申告の事実は発覚します。したがって「時効になれば税金は支払わなくてもよい」と判断して確定申告を放置するべきではないといえます。

悪意なく適切に確定申告を実施すれば「ばれるかばれないか」という不安に苛まれることはありません。できるだけ早い段階で申告しましょう。

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

確定申告は期限から遅れれば遅れるほどペナルティが大きくなります。気付いた段階で早めに申告をしましょう。

税理士への相談はミツモアで

簡単!無料の3ステップでぴったりのプロが見つかる!

「確定申告を忘れていて、どうすればよいのかわからない・・・」そんなときは相談できる税理士をミツモアで探してみてはいかがでしょうか。税理士は税務のプロフェッショナル。法定期限を過ぎた確定申告も適切に処理します。

ミツモアなら相談したい内容などの簡単な質問に答えるだけで、最短2分、最大5件の見積もりが無料でもらえます。税理士とチャットで相談することもできるので、まずは悩みを打ち明けてみてはいかがでしょうか。ミツモアなら、あなたにぴったりの税理士がきっと見つかります。

簡単!2分で税理士を探せる!

相談したい内容などの簡単な質問に答えるだけで「2分」で見積もり依頼が完了します。パソコンやスマートフォンから手軽に見積もり依頼が出せます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件なども異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

近くの税理士を無料で探す