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【個人事業主の領収書】宛名の書き方はどうする?もらう時、発行する時の注意点と保管方法

最終更新日: 2024年06月28日

領収書はビジネスをする上で必ず必要となる書類ですが、正しいもらい方、発行の方法、整理・保管についてご存じですか?

個人事業主として活動していくうえで、領収書について正しい知識を身につけておくことはとても重要です。

この記事では領収書をもらう時に確認する点、発行する際に気を付ける点、整理、保管方法まで領収書の取り扱いについて詳しく解説します。

この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

領収書とは?

領収書とは?
領収書とは?

領収書は金銭のやり取りを証明する大切な書類です。個人事業主として事業を営むうえで欠かすことのできない書類ですが、ここでは領収書がなぜ必要でなのか、その役割について確認しておきましょう。

領収書はなぜ必要か?

領収書には下記のような役割があり、必要に応じて活用されています。

  • 売上げや経費の証明…個人事業主として発行した領収書の控えが売上げの証明となることはもちろん、受領した領収書は事業においての支出として経費の証明となります。
  • 二重請求・過払いの防止…支払い後に金銭の受領が確かに行われていることの証明となるため、二重請求や過払いを防ぐことができます。
  • 内部不正の防止…従業員に領収書の提出を義務づけることで、私的な出費を経費として申請することを防げます。また実際に利用した交通費よりも高い交通費を申請するなどの不正も防止することができます。

【領収書の受領】領収書を受け取るときの注意点

領収書を受け取るときの注意点
領収書を受け取るときの注意点

普段何気なく受け取りがちな領収書ですが、受領の際に確認しておくべきポイントについて知っておくとトラブルを防ぐことができます。領収書の記載項目について注意すべき点と併せてレシートのみ発行された場合、また領主書自体が発行されない場合の対処法について詳しく解説していきます。

領収書の記載事項を確認する

後でトラブルとならないためにも、領収書を受領した際に記載事項を確認しておくことは大切です。確認しておきたいポイントは下記の通りです。

書類名 「受取書」「領収書」といった金銭受領書類だということが記載されているか
宛名 代金を支払った「個人名」または「会社・団体名」が正式名称で記載されているか
金額 正しい数字で、以下のルールに則って記載されているか。

・数字の前に「¥」または「金」
・数字の末尾に「也」または「-(ハイフン)」
・3桁ごとに「,」

記載例:¥15,000-、金15,000也

但し書き 具体的なサービス名や商品名が記載されているか。クレジットカードを利用した場合はその旨も記載してあるか
発行日 支払いを行った日付が記入してあるか
受領人 金銭を受け取った側の「個人名」または「会社・団体名」「住所」「連絡先」が記載してあるか
印紙 税抜き5万円以上の支払いの際に領収書への添付が必要

領収書の宛名について

領収書へ記載する会社名や屋号は正式名称で記入します。株式会社を(株)、有限会社を(有)といったように略して記載することはマナー上好ましくありません。個人事業主に向けての発行であれば、宛名は「屋号+個人名」を記載します。どちらかのみでも問題ありませんが、一方のみの場合は個人名を記載する方が良いでしょう。

また「上様」といった書き方は、基本的に用いないようにします。業種によっては認められる場合もありますが、税務処理において正式な記載方法ではありませんので注意しましょう。

領収書はレシートでも代用可能か?

レシートで代用も可能(画像提供:PIXTA)

下記の項目が記載されていれば、レシートでも領収書の代用とすることは可能です。

  • 発行日
  • 金額
  • 明細
  • 発行元

レシートには「宛名」の記載がありません。しかし取引内容の明細が記載されること、必要項目が印字されているので改ざんが難しいことから信用性が高いとされることもあります。

レシートは領収書の代用として利用が可能なため、レシートと領収書の2つを一緒に発行することは経費の二重請求に繋がるため一般的に避けられています。同時発行したレシート・領収書が不正に使われた場合、発行した側も有印私文書偽造に当たるとされることがあります。個人事業主として領収書・レシートの発行を行う場合にはどちらか1種類のみを相手に渡すようにしましょう。

領収書が発行されない場合の対処法

個人事業主の場合慶弔費や自販機の利用代といった領収書が発行されない場合でも、目的や支払い内容が明確であれば経費として計上することができます。領収書が発行されない場合は、下記のような方法で対処します。

クレジット決済 ・クレジット会社発行の請求明細

・利用伝票の控え

銀行振り込み 振込明細
公共交通機関の利用料金 IC乗車券の利用履歴・出金伝票
慶弔費 招待状・案内状が証明書+出金伝票
その他(自販機の利用など) 出金伝票

出金伝票とは下記の画像のような、領収書が発行されない場合や無くした場合に支払いの内容を記載しておく書類です。出金伝票は文具店などで購入できるほか、インターネット上にテンプレートも多数公開されていますので、必要な場合は利用してみると良いでしょう。

【領収書の発行】領収書の正しい発行方法

領収書の正しい発行方法
領収書の正しい発行方法

領収書をこちらから発行する場合も記載すべき項目について抜けがないように注意しなければなりません。また5万円以上の金額を受け取った場合、印紙が必要となります。基本的なポイントを押えたうえで領収書を作成しましょう。

記載すべき項目

個人事業主として事業を始めたばかりの時には、領収書の書き方に戸惑ってしまうことも多いものです。

領収書の作成時に記載すべき項目は、基本的に領収書を受領する際に確認するポイントと同じです。領収書の発行になれるまでは、相手に渡す前に下記の項目が記載してあるか、一度確認しておくと良いでしょう。

領収書
領収書
  1. 書類名
  2. 宛名
  3. 金額
  4. 但し書き
  5. 発行日
  6. 受領人
  7. 収入印紙(5万円以上の支払いがあった場合)

金額に関しては、頭に「¥」または「金」、末尾に「-」または「也」を記入し、3桁ずつ「,」で区切ることを忘れないようにしましょう。

印鑑について

領収書の作成に印鑑は必要ありません。一般的に領収書に捺印されている印鑑は偽装防止を目的としたものであり、領収書自体の有効性には関与しません。

捺印する印鑑は認印を使用します。個人名の印鑑でも問題ありませんが、個人事業主として屋号を定めている場合は屋号印を使用すると良いでしょう。事業として取引を行っているという印象を相手に与えることができます。個人事業主の印鑑について、詳しい解説はこちら>>

印紙について

受領した金額が税抜きで5万円を超えた場合、金額に応じた印紙を領収書に貼り付けなければなりません。

取引額に応じた収入印紙の金額は下記の通りです。収入印紙が必要であるにもかかわらず添付されていない場合、罰則として収入印紙の3倍の額の過怠税が課せられることになっています。貼り忘れを自主的に申し出れば1.1倍の額に減額されますが、領収書発行時に貼り忘れがないよう注意しておきましょう。

収入印紙を貼り付けた際には、印紙が再利用されることを防ぐために印紙と領収書にまたがって捺印するようにしましょう。印鑑がない場合はボールペンでのサインでも構いません。

記載された受取金額 印紙代
5万円以下 非課税
5万円以上~100万円以下 200円
100万円~200万円以下 400円
200万円~300万円以下 600円
300万円~500万円以下 1千円
500万円~1千万円以下 2千円
参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
参考:国税庁 クレジット販売の場合の領収書

金額の記載の仕方によっては税抜き価格が5万円以下であっても収入印紙を貼り付けなければならないため注意が必要です。

収入印紙が必要な場合

  • 税込価格のみが記載されている場合
  • 消費税の詳細な金額の記載がなく、(税込み)といった表記しかない場合

収入印紙が不要な場合

  • 税込価格・消費税金額がそれぞれ記載されている
  • 税込価格・本体価格・消費税金額がそれぞれ記載されている
  • クレジットカードでの取引(ただし領収書へクレジットカードでの支払いという点を明記しなければ課税対象となる
  • FAX・メールといった電子データでの取引

領収書の整理・保管方法

領収書の整理・保管方法
領収書の整理・保管方法

発行・受領した領収書や控えは確定申告の際に必要となり、また一定の期間保管しておくことが定められています。ただしせっかく領収書を保管しておいても、きちんと整理されていなければ確定申告の書類をスムーズに用意することができません。領収書の保管期限や整理の方法について見ていきます。

領収書の保存は7年間

青色申告の場合領収書は「現金預金取引等関係書類」と見なされ、帳簿と併せて7年間保管しておく必要があります。また保管期間中に税務署から提出を求められた場合は、すみやかに応じなければなりません。

白色申告の場合には5年間の保管で良いとされていますが、消費税の課税事業者となっている場合には7年間の保管が必要など例外もありますので、誤って破棄してしまわないためにも領収書は全て7年間の保管としておくのがおすすめです。

領収書は下記のような方法で月別、もしくは経費別、取引先別に分けて保管しておくと良いでしょう。見返した時に自分がわかりやすい方法でこまめに整理しておくことが大切です。

封筒にまとめる 受け取った領収書やレシートを月別・費用別に封筒を分けて保管しておきます。
ノートに貼る 領収書やレシートを月別または経費別にノートに貼り付けて管理していきます。
ファイリングする クリアファイルなどを使用して領収書・レシートを月別・経費別に管理します。ファイルに月・科目を記入したインデックスを貼っておくと見返す際に便利です。

電子帳簿保存法について

領収書がかさばっている場合や感熱紙の劣化が気になる場合には、電子帳簿保存法の適用を受けるのもおすすめです。

電子帳簿保存法は、税法によって保存が義務づけられている帳簿類や領収書などの証憑類をデータ化して保存することを認めた法律です。

ただし全ての書類がデータ保存を認められているわけではありません。しかし一部の書類だけでもデータ化して保存することで、業務の効率化を図ることに繋がる場合もあります。電子帳簿保存法では、以下の方法でのデータ保存を認めています。

  • 電磁的記録…PCで作成した書類をDVD・CD・クラウドサービスなどに保存する方法。
  • スキャン…紙データをスキャナーやデジタルカメラ、スマートフォンでスキャン・撮影し、電子データとして保存する方法。
  • COM(電子計算機出力マイクロフィルム)…PCで作成したデータをCOMで保存する方法。

電子帳簿保存法の適用を受けるには、管轄の税務署に電子保存の開始三ヶ月前までに必要書類を提出する必要があるほか、国税庁の提示する適用条件を満たしている必要があるので注意しておきましょう。

参考:はじめませんか、帳簿書類の電子化! 国税庁

クレジット決済について

各お店や取引先から発行された領収書をそれぞれ仕分けして管理しておくのが手間だという場合は、事業用にクレジットカードを作っておくことも一つの方法です。

クレジット決済を行った際に発行される利用明細は、必要項目が全て記載されているため領収書の代用として利用することができます。事業での出費に限定して管理することが可能なため、カード会社から発行される明細と併せて管理しておくと一目で一月の支出を把握することができます。

個人事業主の経費と按分について

個人事業主の経費と按分について
個人事業主の経費と按分について

領収書の整理・保管と関連して、経費としての計上が可能な項目や家事按分について解説します。確定申告の際に項目によってはプライベートと事業上の支出を明確に分ける必要がありますので、ぜひ参考にしてください。

個人事業主の経費の考え方

個人事業主の場合、プライベートの支出と事業上の支出が混ざってしまう方は多いのでは無いでしょうか。

事業に関連する支出は経費として処理することができます。しかし自宅を事務所として利用している場合の光熱費や家賃といった項目は、事業場の支出と明確に分けるために按分という処理が必要ですとなります。

按分に関しては次項で触れていきますが、具体的にはどのような項目が経費として認められるのでしょうか。経費として計上できる項目の例は下記の通りです。

経費として計上できる項目例

家賃 更新費含む家賃、住宅ローンの金利、自宅の減価償却費など
税金 固定資産税、自動車税など
賃貸 駐車場、倉庫、会議のレンタルなど
公共料金 水道代、ガス代、電気代など
通信費 携帯電話の料金、インターネット代など
修理費 PC・車など事業にかかわる物品の修理代など
車関連 ガソリン代、車検費用、保険料、車の減価償却費など
図書費 事業にかかわるDVDや書籍、新聞代
接待交際費 取引先との食事、取引先へのお中元代など
旅費交通費 出張に関わる交通費、宿泊費など

下記の記事では、個人事業主の経費処理についてより詳しくご紹介しています。個人事業主として事業を営むうえで疑問を抱きやすい項目についてまとめてありますので、ご一読の上ぜひ参考にしてください。

参考:個人事業主の必要経費とは 車や家賃も経費で落とせる?
参考:個人事業主が経費にできる支出とできない支出 家事按分や確定申告のやり方まで解説

個人事業主の家事按分の考え方

家事按分できる項目の例については下記の通りです。

家賃 事業用に使用している床面積の割合から計算
水道光熱費 使用日数・使用時間から計算
通信費 使用日数・使用時間から計算
自動車関係
  • 走行距離数から計算する方法が一般的
  • 業務中のパーキング代、高速道路代は経費として全額計上することができる
  • 車本体の購入代金は、固定資産として計上したうえで減価償却する方法が一般的

ただし経費の家事按分が認められるには、下記の2点の条件を満たしている必要があります。

  • 業務上の支出とプライベートの支出を明確に区別することができる
  • 事業を営むうえで必要な支出である

どの項目であっても、それが必ず業務に関係する支出であることが合理的に説明できるという点が重要となります。

監修税理士からのコメント

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

領収書は経費に計上するために必要な書類になります。領収書を紛失もしくは存在を失念していた場合は、本来経費計上できたものが経費計上されず結果的に必要以上の税金を納めることとなります。普段から領収書を丁寧に整理・保管することで経費計上漏れを防ぐことが重要なポイントとなります。

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お金の支払い・受け取りの証明となる領収書は、正しい知識をもって確認・作成することでその後のトラブルを避けることができます。また確定申告の際には提出書類として1年分の領収書が必要となるため、見返した時にわかりやすい方法で整理しておくことが重要です。

慣れない領収書の取り扱いや確定申告の手続きでお困りの際は、プロである税理士に相談してみるのがおすすめです。ミツモアでは複数の税理士に無料で見積もりを依頼することができますので、ぜひお気軽に利用してみてください。>>個人事業主にお勧めの税理士55選と税理士の選び方

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この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

大手監査法人で多様な業種、規模の上場企業、非上場企業の監査業務に従事。併せて、同じ監査法人でコンサルティング業務(決算早期化支援、内部統制構築支援、システム導入支援等)を実施してきました。その後、大手監査法人を退所、独立開業。独立開業後は中小企業、個人事業主を中心に税務に関して全般的にサービスを提供しています。