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確定申告書のわかりやすい書き方! 会社員・パートの記入例【確定申告書A・Bは廃止】

ぴったりの確定申告に強い税理士をさがす
最終更新日: 2024年02月09日

副業をしている人や医療費控除・住宅ローン控除の適用を受ける人は、確定申告のやり方を事前に確認しておくと手続きがスムーズです。

確定申告書の書き方や添付書類、申告書を効率的に作成する方法をわかりやすく紹介します。

会社員やパート・アルバイト収入がある人が確定申告をする場合、「確定申告書【令和5年分以降用】」を使用します

従来はAとBの2種類ある確定申告書のうちAを使用していましたが、2022年度から様式Aが廃止され、従来の確定申告書Bに近い新様式になりました。

※2021年以前分の還付申告では従来のA・B様式も使用可能です。

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

公認会計士・税理士・1級FP技能士、 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

会社員、パート・アルバイトで確定申告が必要な場合とは?

悩む会社員

会社員や公務員、パート収入やアルバイト収入がある人の場合、勤務先で年末調整を受けられれば基本的に確定申告は不要ですが、給与所得者でも確定申告の義務が生じることがあります。

申告書の書き方だけでなく、そもそも確定申告が必要になるのはどんな場合なのか、正しく理解しておくようにしましょう。

会社員で確定申告が必要な場合

会社員などの給与所得者は、原則として年末調整で所得税の申告や納税が完了するので確定申告は不要です。しかし次のようなケースでは確定申告をしなければいけません。

  • 給与収入が2,000万円を超える場合
  • 給与を1ヵ所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の金額が20万円を超える場合
  • 給与を2ヵ所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合

例えば副業による所得が20万円を超えると会社員でも確定申告が必要になります。またダブルワークで仕事を掛け持ちしていて、主な給与支払先以外の勤務先から受け取る給料が20万円を超える場合にも確定申告が必要です。

医療費控除・寄附金控除・雑損控除の適用を受ける場合や、株式投資やFXで生じた損失を翌年以降に繰り越す場合も確定申告をする必要があります。

パート、アルバイトで確定申告が必要な場合

パートやアルバイトの場合も、確定申告が必要になる条件は基本的に会社員の場合と同じです。例えば副業による所得が20万円を超えた場合には確定申告が必要になります。

またパートやアルバイトを掛け持ちしていて、主な給与支払先以外の勤務先から受け取る給料が20万円を超える場合にも確定申告が必要です。

これらのケースに該当する人は、確定申告のやり方や確定申告書の書き方などを確認した上で、手続き期限である3月15日までに忘れずに申告してください。

パート、アルバイトは主に給与所得や雑所得、配当所得を申告する

確定申告をする際、所得を10種類に分類して申告します。どういった所得を申告できるのかを確認しておきましょう。

【所得の種類】 【該当する所得】
給与所得 給料・俸給・賃金・賞与などの所得
雑所得 公的年金、個人年金、原稿料、講演料、印税などの所得
配当所得 株式配当、投資信託などの所得
一時所得 保険の一時金や満期払戻金、賞金、当選金など一時的な所得
事業所得 サービス業・金融・製造・飲食などの営業、医療・スポーツ選手・大工などの自由業、農業によって得た所得
不動産所得 不動産に関する権利、船舶・航空機の貸付で発生する所得
利子所得 銀行預金や社債の利子、公社債投資信託の配当などの所得
譲渡所得 土地、建物、株式などの資産を譲渡で発生する所得
退職所得 退職手当や退職一時金などの所得
山林所得 山林の伐採・譲渡で発生する所得

会社員・アルバイト・パート・年金受給者は、主に「給与所得」「雑所得」「配当所得」「一時所得」などを記入します

例えば会社員が医療費控除を受ける場合、所得が勤務先から受け取る給料だけであれば「給与所得」への記載のみ(別途控除などの記入あり)で申告が可能です。

確定申告書の入手方法や必要書類

確定申告書の入手方法

確定申告が初めての人の中には、申告書の書き方や提出方法だけでなく、そもそも申告書の用紙の入手方法が分からないという人もいるでしょう。

確定申告の際には、以下の書類を手元に用意しましょう。

  • 確定申告書(ネット上で作成する場合は必要なし)
  • 本人確認書類
  • 確定申告書に添付する書類
  • 源泉徴収票

ここでは、確定申告書の用紙はどこで手に入れられるのかや申告書に添付する書類が何か、また確定申告書を作成する際に必要になる源泉徴収票の見方について解説します。

確定申告書の入手方法

確定申告書の主な入手方法は次の3つです。

  • 国税庁のサイトからダウンロードする
  • 税務署に取りに行く
  • 税務署から郵送してもらう

国税庁サイトからダウンロードすれば、わざわざ税務署の窓口に取りに行く手間や郵送を依頼する手間はかかりません。

2023年分の所得の確定申告をするときに使う確定申告書は、以下のサイトからダウンロードできます。

本人確認書類

マイナンバーカードを持っている場合はマイナンバーカードを提示または写しを提出します。持っていない場合は番号確認書類と身元確認書類の提示または写しの提出が必要です。

  • マイナンバーカード(ない場合は番号確認書類と身元確認書類を提示または写しを提出)
  • 番号確認書類(住民票などのマイナンバーを確認できる書類)
  • 身元確認書類(運転免許証やパスポート、公的医療保険の被保険者証など)

確定申告書に添付する書類

また確定申告書に添付する書類は申告内容によって変わります。例えば次の所得控除を受ける場合には、それぞれ以下の書類が必要です。

【控除の種類】 【添付書類】
医療費控除 医療費控除の明細書
社会保険料控除 支払った社会保険料の金額が記載された控除証明書など
生命保険料控除 保険会社から発行される控除証明書など
地震保険料控除 保険会社から発行される控除証明書など
小規模企業共済等掛金控除 iDeCoの掛金額が記載された控除証明書など

医療費控除を受ける際に提出する「医療費控除の明細書」は以下のサイトからダウンロードできます。明細書の書き方も掲載されているので、医療費控除を受ける予定の人は確認してみてください。

国税庁|医療控除の明細書の書き方など

なお勤務先から受け取る源泉徴収票や副業の収入や経費が分かる書類(領収書など)は、確定申告の際に提出する必要はありません。ただし確定申告書を作成するときに使うので手元に用意しておく必要があります。

源泉徴収票の見方

次の「確定申告書の書き方」で解説しますが、給与所得者が確定申告書を作成するときには、手元に源泉徴収票を用意して転記することになります

源泉徴収票に記載されている項目がそれぞれ何を意味するのか、見方を理解しておきましょう。

源泉徴収票の見方
源泉徴収票の見方

①支払金額

給与やボーナス・各種手当を含んだ1年分の給料の金額で、一般的に「額面」と呼ばれる金額です。

②給与所得控除後の金額

「①支払金額」から給与所得控除額を差し引いた金額です。所得税の計算では額面の金額に税率をかける訳ではなく、額面(①支払金額)から給与所得控除額を引いた上で税額を計算します。

③所得控除の額の合計額

給与所得控除以外の控除の合計額です。所得税の計算では、「②給与所得控除後の金額」(と副業などその他の所得額を合計した1年間の所得額)から各種所得控除額を引いた上で税率をかけ合わせて税額を計算します。

④源泉徴収税額

1年間に源泉徴収された所得税の合計額のことで、毎月の給与やボーナスが支払われる際に天引きされた金額です。

源泉徴収された額はすでに納税済ですが、計算した所得税額のほうが少ない場合は、納め過ぎた分が還付金として払い戻されます。

⑤配偶者・扶養親族の情報

配偶者や扶養親族の人数などが記載されています。扶養家族がいる場合は、税率をかける前の金額から配偶者(特別)控除額や扶養控除額を差し引くことができます。

⑥社会保険料等の金額

健康保険料や厚生年金保険料など1年間に支払った社会保険料の合計額です。税率をかける前の金額から社会保険料控除額として差し引くことができます。

⑦各種控除の金額

生命保険や地震保険、住宅ローンに応じた控除額が記載されています。税率をかける前の金額から控除額を差し引くことができます。

源泉徴収票が手元にない場合は、以下を参考ください。

参考:確定申告で源泉徴収票がない場合の対処法とは?給与明細でも対応できる?

確定申告書・第一表の書き方と記入例

確定申告書第一表
確定申告書第一表(出典:国税庁

ここからは確定申告書の具体的な書き方について解説していきます。確定申告書には第一表と第二表があり、このうち第一表は、収入金額や所得金額などを順番に記入して所得税額を計算・記入する用紙です。

ここで紹介する記入例を見本として使って、ご自身でも実際に確定申告書を作成してみてください。

住所や氏名、生年月日などの基本情報

住所や氏名、生年月日などの基本情報の記載例
出典:確定申告の手引き

確定申告書の提出先は原則として住所地を管轄する税務署です。確定申告書の左上の税務署欄には住所地の税務署名を記入します。管轄の税務署がどこなのか分からない場合は国税庁サイトで検索して記入しましょう。

また住所やマイナンバー、氏名、生年月日、電話番号なども記入します。

生年月日を記入する際、元号は以下の番号で記入してください。書き方は記入例の画像のとおりで、例えば昭和32年9月1日生まれであれば「3320901」と記入します。

  • 元号に対応する数字:明治「1」、大正「2」、昭和「3」、平成「4」、令和「5」

なお以前は申告書に押印欄がありましたが、令和3年分の所得税の申告書から押印欄がなくなりました。押印は不要です。

収入金額等

収入金額など
出典:確定申告の手引き

「給与」の欄には源泉徴収票の「支払金額」欄に書かれた金額を記入します。

年末調整済みで勤務先から給与情報が税務署に伝わっている場合でも、確定申告をする場合には給与額を記入する必要があるので、記入例のように金額を記入してください。

会社員でダブルワークをしている人やアルバイト・パートを掛け持ちしている人は、各勤務先から受け取る源泉徴収票に書かれた金額を合計した額を記入しましょう。

なお給与の横の「区分」欄は、給与所得と公的年金等の雑所得の両方がある人や、給与収入が850万円を超える人など、一定の要件に該当する人が記入する欄です。

また副業をして原稿料や講演料などを受け取った場合には「雑・業務」欄に収入金額を記入し、暗号資産取引などで利益を得た場合は「雑・その他」欄に収入金額を記入します。

所得金額等

所得金額
出典:確定申告の手引き

「給与」の欄には源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に書かれた金額を記入します。ダブルワークなど複数の勤務先から給与を得ている場合は、各勤務先から受け取る源泉徴収票に書かれた金額を合計して記入してください。

副業をして雑所得に該当する所得がある場合は「雑・業務」や「雑・その他」に記入します。記入する所得額は収入金額から必要経費を引いた額です。

そして確定申告書の⑦~⑨の合計額を⑩に記入し、配当所得や一時所得がある場合には⑤・⑪に記入した上で合計額を⑫に記入します。

なお給与の横の「区分」欄は、特定支出(職務上の旅費や研修費など)の額が一定額を超える人が特定支出控除を受ける場合に記入する欄です。

特定支出控除を受ける人は、計算方法や確定申告のやり方、申告書の書き方を次の記事で解説しているので参考にしてください。

所得から差し引かれる金額

所得から差し引かれる金額
出典:確定申告の手引き

確定申告書の「所得から差し引かれる金額」欄には各種控除額を記入します。源泉徴収票に記載された社会保険料等の金額や各種控除の金額を確認しながら記入しましょう。以下では主な所得控除について紹介します。

⑬社会保険料控除

健康保険料や厚生年金保険料、国民健康保険料などを支払った場合、全額が控除の対象になります。同一生計の家族の分の社会保険料を支払った場合も基本的に控除の対象です。

⑭小規模企業共済等掛金控除

心身障害者扶養共済制度の掛金やiDeCoの掛金などを支払うと全額が控除の対象になります。iDeCoの掛金を払った場合は、国民年金基金連合会から届く控除証明書に記載された掛金額を記入しましょう。

iDeCoの掛金が給与天引きされている人は、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に内書きで掛金額が記載されているので、金額を確認して転記してください。

⑮⑯生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合には生命保険料控除を、地震保険料を支払っている場合には地震保険料控除を受けられます。

控除額の上限はそれぞれ12万円と5万円です。控除額の計算式は以下の国税庁サイトで確認できます。

なお確定申告等書作成コーナーを使って申告書を作成する場合は、控除証明書に記載された保険料額を画面に入力すると控除額が自動的に計算されます。計算ミスをする心配がなく自分で計算する手間もかかりません。

⑰⑱寡婦・ひとり親控除

納税者がひとり親で、合計所得金額が500万円以下の場合に35万円の控除を受けられます。

また夫と離婚したのち血縁関係がない扶養親族がいたり、または夫と死別(扶養親族は問わない)したりした場合は寡婦控除が対象です。寡婦控除も合計所得金額が500万円以下の方が対象で、27万円の控除を受けられます。

⑲⑳勤労学生、障害者控除

アルバイトなどで給与を得ている学生で、合計所得金額が75万円以下かつ、給与以外の収入が10万円以下の場合の方が対象です。所得税には27万円、住民税には26万円を控除できます。

障害者控除の金額は、障害等級に応じて27~40万円です。勤労学生控除と障害者控除は併用できます。

㉑㉒配偶者控除・配偶者特別控除

本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に、配偶者の合計所得金額が一定額以下であるなどの要件を満たすと控除の適用を受けられます。

控除額は配偶者控除が最大48万円、配偶者特別控除が最大38万円です。本人や配偶者の所得額、配偶者の年齢によって控除額が変わります。

㉓扶養控除

合計所得金額が48万円以下で生計を同じくする(配偶者以外の)家族がいる場合、その家族の年齢が16歳以上であれば控除を受けられます。

控除額は基本的に38万円ですが、家族が19歳以上23歳未満だと63万円、70歳以上だと48万円、70歳以上かつ同居の家族だと58万円です。

㉔基礎控除

合計所得金額が2,400万円以下の人は基礎控除額として48万円を差し引けます。2,400万円を超えると基礎控除額が減り、2,500万円を超える場合は基礎控除の適用はありません。

㉖雑損控除

災害や盗難、横領の被害にあった際に受けられる控除です。以下の計算式で多い方の金額を控除できます。

  • 差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
  • 差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円

㉗医療費控除

自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を払った場合、医療費が一定額を超えると医療費控除を受けられます。控除額は次の式で計算した金額で控除の上限は200万円です。

  • 控除額 = 実際に支払った医療費の合計額 – 保険金等で補填された金額 – 10万円(※)

※総所得金額等が200万円未満の人は10万円ではなく総所得金額等の5%の金額

㉘寄附金控除

国、地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附金を支払った際に寄附金控除を受けられます。控除金額は「年間寄附総額(所得により上限あり)-2,000円」です。

ふるさと納税も寄附金控除の1つですが、控除金額後に所得税額をかける通常の控除とは異なり限度額内の寄附であれば実質負担が2,000円のみになるように設定されています。

税金の計算

まず「⑫所得金額等の合計額」から「㉙所得から差し引かれる金額の合計額」を引いて、千円未満を切り捨てた額を「㉚課税される所得金額」に記入します。

その下の㉛に記入するのは㉚の額に税率をかけ合わせた金額です。所得税の税率は「㉚課税される所得金額」の大きさに応じて変わり、具体的には次の表のようになっています。

課税される所得金額
所得税の速算表(出典:国税庁HP

たとえば以下の記入例のように㉚が3370,000円であれば税率は20%で、㉛に記入する税額は246,500円(3370,000円×20%-427,500円)と求められます。

課税される所得金額に対する税額
課税される所得金額に対する税額(出典:確定申告の手引き

続いて、必要に応じて確定申告書の㉜~㊵及び㊷に記入しますが、該当するものがない場合にはすべて空欄で構いません。その場合の書き方は、㉛で記入した金額と同じ金額を㊶と㊸に記入します。

住宅ローン控除を受ける人が、年末調整でこの控除の適用を既に受けている場合には、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」欄の額を 「㉞住宅借入金等特別控除」欄 に転記し、「区分2」欄に「1」と記入しましょう。

各種控除
出典:確定申告の手引き

所得税額・復興特別所得税額

所得税額・復興特別所得税額
出典:確定申告の手引き

そして「㊹復興特別所得税額」には㊸に税率2.1%をかけて求めた税額を記入します。この際、1円未満の端数が生じた場合は端数を切り捨てた金額を記入してください。

たとえば以下の記入例のように所得税額が224,500円であれば、2.1%をかけた額は4,714.5円となるため、1円未満を切り捨てた額は4,714円です。㊸と㊹を合計した金額229,214円が㊺に記入する最終的な税額になります。

源泉徴収税額・納税額・還付金額

出典:確定申告の手引き

「㊽源泉徴収税額」には給与や副業収入の支払時に源泉徴収された税額を記入するので、源泉徴収票などを確認して金額を記入しましょう。

外国税額控除があれば㊻~㊼に記入します。外国税額控除とは日本に住んでいる人が、外国の所得税を納付したときに記入するものです。当てはまらなければ書かなくて問題ありません。

確定申告書に沿って、「㊺所得税+復興特別所得税」から㊻~㊽を引いた金額を㊾申告納税額に記入します。

予定納税額が通知されていて、所得税を前払いしている場合は㊿に記入しましょう。

申告納税額(㊾)が予定納税額(㊿)より大きい場合は差額(百円未満切り捨て)を(51)納める税金に記入し、逆に源泉徴収税額のほうが大きい場合は還付金を受け取れるので(52)に差額を記入します。

その他

その他
出典:確定申告の手引き

その他の欄(ピンク色の欄)は必要に応じて記入します。

  • (55)「公的年金等以外の合計所得金額」:公的年金等の収入がない場合には記入する必要はありません
  • (56)「配偶者の合計所得金額」:配偶者特別控除を受ける場合に記入します
  • (57)「専従者給与(控除)額の合計金額」:家族に支払った給与がある場合に記入するものです。給与所得者の場合、ほとんど記入しないでしょう
  • (58)「青色申告特別控除額」:給与所得や雑所得のみの場合記入しません。「事業所得」「不動産所得」「山林所得」いずれかで収入があり、青色申告特別控除の要件を満たしていて、控除を受ける場合に記入します
  • (59)「雑所得・一時所得の源泉徴収税額の合計額」:該当する金額があれば記入します
  • (60)「未納付の源泉徴収税額」:会社員やパートの場合源泉徴収をされているため原則記載しなくて大丈夫です

還付される税金の受取場所

「還付される税金の受取場所」の書き方(出典:確定申告の手引き

還付金を受け取る場合は振込口座を記入します。ゆうちょ銀行の貯金口座の場合は記号番号のみを左詰めで確定申告書に記入してください。

また一部のインターネット専用銀行については還付金の振込みができません。振込みの可否についてあらかじめ銀行に確認したほうが良いでしょう。

確定申告書・第二表の書き方と記入例

確定申告書第二表
確定申告書第二表(出典:国税庁

続いて確定申告書・第二表の書き方について見ていきましょう。第二表は、所得や支払った保険料の内訳、家族に関する事項などを記入する用紙です。

所得の内訳

所得の内訳
出典:確定申告の手引き

「所得の内訳」には給与の支払者や金額など、所得の具体的な内容を記入します。書き方は上の記入例の画像のとおりです。それぞれの項目には次のように記入していきます。

  • 所得の種類:給与、雑、配当、一時(該当する所得の種類に応じて記入)
  • 種目:国民年金、個人年金、原稿料、講演料、印税、暗号資産など
  • 給与などの支払者の名称:源泉徴収票や配当金支払通知書などに記載された支払者の名称と住所

源泉徴収税額を合計した金額は、確定申告書・第一表「㊽源泉徴収税額」欄に記入した金額と同じになります。

保険料控除等に関する事項

保険料や掛金を支払った場合に該当する箇所に記入します。

社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除

社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除
出典:確定申告の手引き

源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に記載された金額を記入する場合は、「保険料等の種類」欄に「源泉徴収分」と記入します。

また家族の国民年金や国民健康保険などの保険料を支払った場合も基本的に控除の対象になるので、支払った場合は「保険料等の種類」欄に「国民年金」や「国民健康保険」などと記入して右横の欄に金額を記入しましょう。

小規模企業共済等掛金控除

心身障害者扶養共済制度の掛金やiDeCoの掛金などを支払った場合、全額が控除の対象になるので掛金額を記入しましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払った場合は、次の2つのケースのどちらに該当するかで書き方が変わります。

  • 掛金が給与天引きされている場合
  • 給与天引きではなく個人の銀行口座などから掛金が引き落とされている場合

まず掛金が給与から天引きされていて、年末調整でこの控除の適用を既に受けている場合は、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に内書きで掛金額が記載されています。確定申告書・第二表には、「保険料等の種類」欄に「源泉徴収分」と記入しましょう。

一方で、個人の銀行口座などから掛金が引き落とされていて、掛金が年末調整の対象になっていない場合は、記入例のように「保険料等の種類」欄に「個人型確定拠出年金」と記入して控除証明書に記載された金額を記入します。

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料控除・地震保険料控除
出典:確定申告の手引き

保険会社などから届く生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書に記載された金額を確定申告書に転記します。

なお新生命保険料や新個人年金保険料とは平成24年以後に締結した保険契約に係る保険料で、旧生命保険料や旧個人年金保険料とは平成23年以前の保険契約に係る保険料のことです。

また地震保険料のうち、平成18年以前に締結した契約で一定の要件に該当する保険契約に係る保険料は旧長期損害保険料の欄に記入します。

一時所得・雑損控除・寄附金控除に関する事項

該当する所得や損失、寄附金がある場合はそれぞれ金額を記入します。

本人に関する事項・配偶者や親族に関する事項

「本人に関する事項」欄は、寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・障害者控除を受ける人が記入する箇所です。控除の適用を受ける人は、確定申告書の該当する箇所に丸を付けて□にチェック(✓)をしてください。

本人に関する事項
出典:確定申告の手引き

「配偶者や親族に関する事項」欄には、配偶者や扶養親族の氏名・マイナンバー・続柄・生年月日を記入します。

配偶者や親族に関する事項
出典:確定申告の手引き

配偶者や親族に関する事項

また各項目はそれぞれ次の場合に丸を付けます。配偶者や扶養親族が該当する場合は丸を付けましょう。

項目
障害者である場合
特障 特別障害者である場合
国外 国外居住親族である場合
年調 国外居住親族である場合で、年末調整において配偶者(特別)控除又は扶養控除又は障害者控除の適用を受けている場合
16 16歳未満である場合
別居 別居している場合又は国外居住親族である場合
調整 所得金額調整控除額がある場合で、配偶者や扶養親族が一定の要件に該当する場合

特例適用条文等

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受ける場合などに記入します。

住宅ローン控除を受ける人は確定申告書の「特例適用条文等」欄に居住開始年月日を記入し、特例の種類に応じて居住開始年月日の前に次のとおり記入してください。また「措法〇条の〇」のように条文を記入する書き方でも構いません。

特例適用条文等
特例適用条文等(出典:確定申告の手引き

住民税に関する事項

確定申告書を提出すれば申告内容が自治体にも送られるので、改めて住民税の申告書を提出する必要はありません。

ただし所得税と住民税で取扱いが異なる事項があるため、該当事項については「住民税に関する事項」欄で記入することになっています。

確定申告書の提出方法

確定申告

確定申告書の提出方法

確定申告書の書き方に続いて提出方法についても確認しておきましょう。2024年の確定申告期間は2月16日~3月15日です。なお控除のための申告のみであれば、2025年1月1日~2029年12月31日まで行なえます。

提出方法には主に次の3つの方法があります。

  • e-Taxを使ってパソコンやスマホから提出する
  • 税務署の窓口に書類を持参して提出する
  • 税務署に書類を郵送して提出する

e-Taxで提出する

e-Taxとは電子申告のことで、パソコンやスマホからネット経由で確定申告書を提出できます。

確定申告書作成コーナーを使って申告書を作成した場合、用紙を印刷して税務署に持参または郵送して提出することもできますが、e-Taxで提出すれば自宅にいながら提出手続きまで完了できるので便利です。

【e-Taxのメリット】

  • 税務署よりも受付日、受付時間帯が長いため税務署が休みの土日祝日でも手続きしやすい
  • 税務署に申告書類を持参したり郵送したりする手間がかからない
  • 還付金の振込までの期間が短く3週間ほどで受け取れる(窓口申請・郵送申請の場合は1ヵ月~1ヵ月半ほどかかる)
  • 生命保険料控除や地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などを受ける際に控除証明書の添付が不要になる

e-Taxを使うためにはマイナンバーカードを用意しておくか、事前に利用申請をしてIDを取得する必要があります。e-Taxを使う場合には早めに手続きをしましょう。

IDの発行方法にはWEBから手続きをする方法や税務署に直接行って発行する方法、マイナポータルの「もっとつながる」機能から登録する方法などがあります。

手続きの詳しいやり方は次の国税庁サイトに掲載されているので確認してみてください。

管轄税務署へ提出に行く

住所地を管轄する税務署に直接行って提出する場合、手続きができるのは税務署が開いている平日の午前8時30分から午後5時までです。

土日祝日は税務署が開いていないため基本的に手続きできませんが、一部の税務署では確定申告期間中の2024年2月25日(日)に開庁して申告書の受付等を行なう場合があります。

確定申告会場に入るためには入場整理券が必要になるので、あらかじめ以下の国税庁サイトの内容を確認するようにしてください。

郵送で提出する

作成した確定申告書や添付書類は税務署に郵送して提出することもできます。郵送で提出した場合の申告書提出日は通信日付印の日付です。

税務署の窓口で提出する場合のように税務署に直接行く手間はかかりませんが、書類に不備があるとやりとりに時間がかかる場合があります。

確定申告書の書き方や添付書類に間違いがないか、十分に確認した上で郵送するようにしましょう。

確定申告書の効率的な作成方法

確定申告書の書き方だけでなく効率的に作成する方法も理解しておくと、スムーズに確定申告を終えられます。

仕事などが忙しくて申告書を作成する時間をあまり取れないという人もいるでしょう。ここで紹介する方法の中で実際に使える方法がないか、確認してみてください。

確定申告書作成コーナーを使用して作成する

確定申告書に手書きで記入すると手間や時間がどうしてもかかります。しかし確定申告書作成コーナーを使って作成すれば、パソコン画面で必要な情報を入力すると申告書を作れるので効率的です。

例えば生命保険料控除を受ける場合、保険料額を入力すると以下のように控除額が自動的に計算されます。手書きで作成する場合のように自分で控除額を計算する手間はかかりません。

確定申告書作成コーナー・生命保険料控除
確定申告書作成コーナー・生命保険料控除

また紙の確定申告書に手書きすると書き方がよく分からず困る場合がありますが、確定申告書作成コーナーでは入力のやり方に関する説明書きが入力画面の随所に記載されていて、分かりやすくなっています。

必要な情報の入力漏れがあるとエラーが表示されるので、不備があるまま書類を提出して手続きがやり直しになる可能性を下げられる点でもおすすめです。

確定申告アプリや会計ソフトを使用して作成する

確定申告アプリや会計ソフトの多くは、普段から記帳をしておくと確定申告書を自動的に作成してくれます。

記帳のやり方など簿記の知識を学ぶ必要はありますが、申告書を手書きしたり確定申告書作成コーナーで入力したりする手間がかからず効率的です。

費用がかかる点はデメリットですが、銀行口座の履歴情報を取り込んで自動的に仕訳や記帳をしてくれるアプリやソフトもあります。

税理士に作成を依頼する

税金の専門家である税理士に依頼すれば確定申告をミスなくスムーズに終えられます。依頼すると費用はかかりますが、記帳や確定申告書の作成を任せれば自分でやる手間はかかりません。

また最新の税制に基づいて適切な内容で申告してもらえるので、その年に何が変わったのか法改正内容を自分で確認する手間がかからずに済む点もメリットといえるでしょう。

副業をしているなど来年以降も確定申告をする可能性がある人は、税理士に相談して毎年の確定申告を依頼することも検討してみてください。税理士に普段から相談すれば、節税に関するアドバイスを受けられるなどさまざまなメリットがあります。

確定申告の税理士に相談する

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

会社員の方やパートの方は、その他の所得がある方と比較すると確定申告書の作成は容易とされていますが、計算ミスや記入漏れを防ぐことが出来る点で、申告書を書面で作成するのではなく、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用されることをおススメします。指示に従って入力していけば申告書を完成させることができますので、非常に便利です。

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会社員やパート・アルバイトの方が確定申告するときには所得や控除に関する事項を記入することになります。手元に源泉徴収票や副業の収入・経費が分かる書類、控除証明書を用意して、今回紹介した書き方を参考に申告書を作成してみましょう。

確定申告で分からないことがあれば税理士への相談がおすすめです。副業の所得がどの所得区分なのか迷った場合や申告書を作る時間が取れない場合でも、税理士に相談すれば解決できてスムーズに確定申告を終えられます。

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チャットで相談ができる

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