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フリーランスが経費にできるもの・できないもの一覧!家事按分や節税のコツを解説

最終更新日: 2024年06月28日

フリーランスが経費として計上できる支出かの判断基準は、事業に必要かどうかで決まります。事業に関連する支出であれば、経費として計上可能です。

この記事ではフリーランスが経費として計上できる支出を勘定科目ごとに詳しく説明します。さらに、経費にならないようで、実は経費として計上できる支出についても紹介するので必見です。

記事の公判では領収書の管理方法や節税のポイントなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

フリーランスが経費として計上できる支出一覧

個人事業主が経費として計上できる支出
フリーランスが経費として計上できる支出

確定申告の青色申告決算書には、経費として計上できる18項目の勘定科目があります。

この勘定科目ごとに、どのような支出が経費として計上できるのか一覧表にしました。

勘定科目 内容 具体例
租税公課 国税や地方税などの税金、および国や公共団体など支払う交付金や会費
  • 消費税(※)
  • 地方消費税(※)
  • 事業税
  • 固定資産税
  • 印紙税
  • 不動産取得税
  • 登録印紙税
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 自動車取得税
  • 商工会議所や同業者組合への会費や組合費

(※)税込経理方式の場合に限ります

荷造運賃 商品の発送で必要となる梱包資材、配送料など
  • ダンボール箱代
  • ガムテープ代
  • 宅配便代
  • 郵便送料
水道光熱費 事務所で使用するガスや電気などの料金
  • 水道料金
  • 電気料金
  • ガス料金
  • 暖房灯油代
旅費交通費 移動に支出した支出や宿泊代
  • 電車代
  • バス代
  • タクシー代
  • 駐車料金
  • 有料道路料
  • 出張手当
  • 宿泊費
通信費 事業で使用する電話やスマートフォン、インターネットなどの支出
  • プロバイダ料金
  • インターネット料金
  • 固定電話料金
  • 携帯電話料金
  • 切手代
広告宣伝費 宣伝に要した支出や広告のためのノベルティなど
  • テレビやネットなどの広告費
  • ポスター、パンフレット、カタログ・名刺の製作費
  • ホームページ作成費
  • ダイレクトメールの郵送料
接待交際費 取引先との飲食や接待、お中元・お歳暮、お見舞金など
  • 接待の飲食代
  • 取引先の結婚式や葬式の慶弔費
損害保険料 事業用に使用している店舗や自動車の保険料など
  • 事業所の火災保険、地震保険
  • 事業用の自動車、バイクの自動車保険・自賠責保険
修繕費 建物や機械、備品などの修理やメンテナンスの支出
  • コピー機のメンテナンス
  • オフィスの冷暖房修理費
  • パソコンの故障修理
  • 賃貸物件の原状回復支出
消耗品費 購入金額が10万円未満、使用可能期間が1年未満のどちらかの条件を満たした文房具や調度類、パソコンなど
  • 文房具
  • パソコン
  • タブレット
  • ソフトウェア
  • トイレットペーパー
  • ゴミ袋
  • お茶、コーヒー
減価償却費 取得価額が高額な備品を決められた一定の年数にわたり分けて経費計上するもの 備品の償却残高がある場合に用いられる
福利厚生費 従業員の社会保険料(法定福利費)とそれ以外(法定外福利費)がある
  • (法定福利費)
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料など
  • (法定外福利費)
  • 食事代
  • 慶弔見舞金
  • 健康診断
  • 社員旅行
給与賃金 従業員に対して支払われる給与や手当
  • 給与
  • 賞与
  • 残業手当
外注工賃 外部業者に仕事を依頼して支払う支出
  • Webデザインの外注支出
  • エアコンの取り付け工事
  • 電気工事
利子割引料 事業用の資金を借入した際に支払う利息や受取手形の割引料など 事業に関係するローンの支払利息
地代家賃 事務所や倉庫、駐車場などの賃貸料
  • 家賃
  • 管理費
  • 共益費
  • 20万円未満の更新料と礼金
貸倒金 売掛金や貸付金などが得意先の倒産や経営悪化で回収不能となった損失金額 回収不能の売掛金、貸付金、受取手形
雑費 いずれにも当てはまらない少額の支出 ごみ処理代
開業費 フリーランスになるための準備にかかった費用
  • 広告費用
  • セミナー参加費
  • 業者との打ち合わせにかかった費用
  • ホームページ作成にかかった費用

これも経費にできる!?実は計上できる支出

飲食代などは経費に計上できないのではないかと思いがちですが、計上できる場合もあります。経費にならないようで、実は計上できる支出を見ていきましょう。

コーヒー代やカフェ代

コーヒー代やカフェ代でも、プライベートではなく取引先の接待や打ち合わせなどで支出した場合は、経費として計上できます。接待の場合の勘定科目は接待交際費、打ち合わせは会議費です。従業員のお茶代を支払った場合は福利厚生費として計上できます。

また、一人でカフェなどの店に入り、仕事をした場合も事業に必要な支出として計上が可能でしょう。

食費

取引先の接待で食事した場合も、カフェ代と同様に接待交際費として計上できます。打ち合わせをした場合は会議費です。従業員の飲食代を支払った場合は福利厚生費になります。

一人で食事した場合、仕事をしながらでも経費にはなりません。食事をする場合は事業との関連性が薄くなり、生活上の支出と考えられるからです。

祝儀や香典など慶弔金

取引先への祝儀や香典など慶弔金は経費として計上でき、接待交際費になります。従業員への支出は福利厚生費です。

ただし、金額によっては経費にできない場合もあります。経費にできるのは社会通念上、一般的な額の範囲内で、相場を超える金額は贈与や給与とみなされる可能性があるので注意が必要です。

家事按分で一部を経費にできる支出

家事按分で一部を経費にできる支出
家事按分で一部を経費にできる支出

自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃や水道光熱費も事業のために必要な支出と考えることができます。ただし、プライベートの使用部分もあり、すべての金額を経費にすることはできません。

そこで、実際に仕事で使っているスペースを按分して計上する方法がとられます。これを家事按分といいますが、ここでは家事按分で経費にできる支出について紹介しましょう。

家事按分とは

家事按分とは、自宅を事務所として利用している場合、家賃や光熱費などについて、生活のための支出と事業のための支出に分けることです。対象となる支出は家賃、水道光熱費、通信費、自動車関連などで、按分の方法はそれぞれ異なります。

家賃

自宅を事務所に使っている場合の家賃は、全体の床面積のうち仕事に使っているスペースの床面積の割合を計算して、地代家賃に計上します。

対象となる支出

  • 賃貸料
  • 管理費
  • 共益費

床面積50㎡、家賃15万円のうち、20㎡の一部屋を事務所として使っている場合で見てみましょう。

  • 20㎡÷50㎡=0.4
  • 15万円×0.4=60,000円

事務所として使っている40%分の60,000円を、経費として計上できることになります。

賃貸ではなく持ち家の場合も、同様に按分が可能です。建物の固定資産税、減価償却費、住宅ローンの金利、火災保険料など、家屋のために支出している金額を、同じ計算方法で按分します。

自動車関連の支出

自動車を仕事で使っている場合も、プライベートの使用と分けて按分します。仕事で使用した際の自動車関連の支出を、経費として計上しましょう。

対象となる支出

  • ガソリン代
  • ETC料金
  • 駐車場代

平日は仕事だけ、土日はプライベートで使うとはっきり分かれている場合は、週7日のうち5日分を経費に計上します。毎日仕事とプライベートで使っている場合は、使用頻度の割合を計算して計上していきましょう。

日々の走行距離や行先、ガソリン代などをこまめに管理しておくと計算が楽になります。

水道光熱費

水道光熱費は、仕事に使っている時間や使用日数を目安にして按分します。時間や日数を正確に出すのは難しいため、月ごとに割合を変えてもかまいません。自宅で飲食店を営んでいる場合は多く計上することが予想され、Web系の仕事などでは少なめになると考えられます。合理的と思われる割合で計算しましょう。

対象となる支出

  • 水道料
  • ガス料金
  • 電気料金

1ヵ月のうち180時間ほど仕事で使い、水道光熱費が15,000円だった場合

  • 180時間÷720時間(30日×24時間)=0.25
  • 15,000円×0.25=3,750円

この月の水道光熱費の経費は、3,750円を計上できます。

通信費

インターネットや携帯電話などを頻繁に利用する仕事も多いでしょう。それら通信費も水道光熱費と同様に、日数や時間を目安にして按分します。正確な把握は難しいため、合理的な範囲で割合を決めて計算してください。

対象となる支出

  • インターネット料金
  • プロバイダー料金
  • 携帯電話料金
  • 固定電話料金

インターネットをほとんど仕事に利用している場合は90%、たまに見る程度なら20%というように計算します。

フリーランスが経費として計上できない支出一覧

個人事業主が経費として計上できない支出
フリーランスが経費として計上できない支出

フリーランスが経費として計上できない支出の例は以下です。ただし中には、スーツ代など、業務上計上できるものも。「事業に必要な支出であるか」で判断することが大切です。

  • フリーランス自身の私的な支出
  • 生計を一にする家族や親族への支払い
  • 所得税や住民税
  • 借入金や住宅ローンの元本
  • 取得価額が10万円を超える備品(減価償却)
  • 罰金や違反金
  • 健康診断の支出やスポーツジムの会費
  • スーツ代
  • 二次会の飲食代

フリーランス自身の私的な支出

フリーランスが経費として計上てきない支出として、一番に挙げられるのは「フリーランス自身の私的な支出」です。

たとえば、プライベートで使用する備品や趣味のための書籍などの支出は事業と全く関係がないため、経費として処理することはできません。

上記にもあるように、経費として計上できるかどうかの判断は「事業に必要な支出であるか」によるため、私的な支出は経費として認められません。

フリーランス自身の私的な支出としては次のような支出があげられます。

  • フリーランスとして活動する本人の給与
  • プライベートで使用する物やサービス代金
  • 事業関係者以外との飲食代や慶弔費
  • 家族に支払った給与(届出書を提出している場合を除く)
  • 所得税や住民税
  • 国民健康保険税(経費ではなく社会保険料控除として所得を減らす効果あり)
  • 罰金や違反金
  • スーツ代(業務用として区別している場合は経費計上可能な場合があります)
  • 自身の健康管理のための支出(トレーニング用品やトレーニングジム代など)

生計を一にする家族や親族への支払い

フリーランスと生計を一にする家族や親族は、事業主と家計が同じと考えます。そのため、家族や親族が事業に従事して給料を支払った場合でも、経費としての計上はできません。

ただし、青色申告で事業専従者給与の届出をしており、次の要件を満たした家族や親族の場合は給与を経費に計上できます。

  • 生計を一にする配偶者、15歳以上の家族や親族であること
  • その年の6か月を超える期間従事している
  • 事前に届出を行っていること

参考:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁

所得税や住民税

税金には租税公課として経費に計上できないものがあります。所得税や住民税はフリーランスが確定申告を行なった結果として支払うものであり、経費には計上しません。帳簿では事業主貸となります。

他にも、相続税や贈与税、復興特別所得税、延滞税、加算税も経費に計上できません。これらは個人に課される税金で、事業に関するとは言えないからです。

借入金や住宅ローンの元本

借入金や住宅ローンの元本も経費に計上できません。借入金は設備投資など事業に関する用途があるともいえそうですが、経費となるのは借入金を使った支出の方です。返済自体は計上できません。

ただし、返済時に支払う利息は借りたお金そのものではないため、経費に計上できます。

取得価額が10万円を超える備品

取得価額が10万円を超える備品を購入した場合、全額を経費に計上することはできません。長期間利用できる固定資産とみなし、耐用年数にわたって数年間に分割して減価償却費として計上します。

高額で長期間利用できるものは徐々に価値が減るものと考え、数年にわたり少しずつ資産価値が減った分を減価償却として経費に計上するわけです。

償却の期間は商品ごとに耐用年数が法律で決められています。

耐用年数の一例

  • パソコン:4年
  • 金属製の事務机やイス、キャビネット:15年
  • 時計:10年

参考:減価償却費|国税庁

たとえば12万円のパソコンを1月に購入した場合、4回に分けて毎年3万円ずつ計上します。通常はこのように、耐用年数に従って毎年減価償却費として計上するのが原則です。

しかし、青色申告の場合は30万円未満の備品について特例があります。こちらは別の項目で詳しく紹介しましょう。

罰金や違反金

罰金や違反金は個人に課されるもので、事業主貸で処理します。「仕事中に交通違反の反則金を取られたら、経費に当たるのではないか」とも思えますが、罰金や違反金で節税できるというのもおかしいため、経費には計上できません。

敷金や保証金

入居時の敷金や保証金は退去時に返金されるという前提のため、資産として処理して経費には計上しません。勘定科目は「敷金・保証金」です。

退去時には敷金から物件の原状回復支出が差し引かれて残金があれば戻ってきますが、差し引かれた原状回復支出は修繕費として経費に計上できます。

敷金とともに支払う礼金や、更新時の更新料は返還されないため、経費として計上が可能です。

20万円未満であれば「地代家賃」として仕訳しますが、20万円以上の場合は資産として処理します。賃貸期間もしくは5年間での減価償却となり、勘定科目は「長期前払費用」です。

健康診断の支出やスポーツジムの会費

健康診断や人間ドッグ、スポーツジムを利用した場合は福利厚生にあたります。従業員への支出は経費になりますが、フリーランス自身には福利厚生費は認められないため、経費に計上できません。

フリーランスだけでなく、青色事業専従者として働く家族の場合も経費にはできないため、注意しましょう。

スーツ代

スーツは取引先などに会う場合に必要で、プライベートではあまり着るものではありません。その点からは、スーツ代は事業に必要な支出とも考えられるでしょう。

しかし、スーツは経費としては認められにくい傾向があります。過去の判例では、「スーツは個人の好みに左右され、誰もが利用するものであり個人的な家事消費に当たる」として、経費としては認められませんでした。

ただし、判例ではスーツが業務の遂行上必要で、私的な使い道との区分が明らかであれば経費と認められる余地があるともしています。このような場合は、経費と認められる可能性があるでしょう。

二次会の飲食代

フリーランスとして活動するにあたり、事業関係者との飲食代は「接待交際費」、従業員との飲食代は「福利厚生費」として経費に計上することができますが、二次会の飲食代には注意が必要です。

交際接待費として経費計上できるのは「一次会まで」となっており、二次会や三次会などの飲食代は経費に計上できません。

また忘年会や新年会など、従業員以外の取引先といった第三者が参加した場合は「接待交際費」として計上する必要があるため併せて注意が必要です。

フリーランスの経費の判断基準

個人事業主の経費とは

フリーランスに限らず事業を行なっていくうえで、経費の判断基準は非常に重要です。

誤った判断基準は無駄な税金を払うことになるだけでなく、知らず知らずのうちに申告漏れにつながってしまう可能性もあります。そうならないためにも、フリーランスの経費に関する正しい判断基準を理解しておきましょう。

経費の判断基準は「事業に関わる支出かどうか」

フリーランスの経費に関する判断基準は「事業に関わる支出かどうか」です。

経費の定義としては「売上を獲得するために必要な支出」という大前提があるため、事業に関係のない支出は売上を獲得するために必要な支出となりません。そのため、経費として計上できるものは「事業に関係のある支出のみ」ということになります。

また経費の判断基準が誤っていた場合は、税務調査時において指摘され追徴課税などのペナルティが発生する場合もあるため注意が必要です。

「これは経費になるのだろうか?」と悩んでしまう際は、その支出が客観的に見て事業に関係のある支出なのかどうかを一度考えてみましょう。

ただし一般的に事業に関係がない支出とみられる場合でも、しっかりとフリーランスの事業との関係性が説明できる場合は経費に計上することができます。

経費は「節税」のための重要項目

経費を多く計上することは利益を圧縮し、税金を減らすことにつながります。そのため支出した経費を漏らすことなく計上することで、最低限の税額に抑えることができます。

このように税金を減らすための対策のことを「節税対策」といい、フリーランスにとって節税を意識して活動していくことが非常に重要になります。

しかし、経費を支出するということは資金も減っているということを理解しておかなければなりません。節税対策を考えるあまり無駄な経費を支出し、資金ショートをおこしてしまっては節税対策どころの話ではなくなります。

そうならないためには以下のことが重要になります。

  • 事業に必要な最低限の経費を支出する
  • 支出した経費を漏らすことなく計上する

経費の上限はいくらまで?経費率が60%を超えると要注意

フリーランスや個人事業を行なっている人は経費率が60%を超えないように注意する必要があります。これは経費率が60%を超えると税務調査の対象となってしまう可能性が高くなるためです。

税務署は売上や経費のバランスを見ることで、売上の計上漏れや架空経費の計上、本来経費であるものを経費として計上していないかなどを判断します。

そのため、経費率が多くなってしまうと「本当に経費を支出しているのだろうか」と疑われ、税務調査が実施される可能性が高くなってしまいます。

もちろん、実際に事業に必要な経費が計上されているのであれば何も問題ないため、必ずしも60%以内に抑えなければならないということではありません。

業種によって経費の種類や経費率は異なるため、下記の経費率一覧を参考に売上と経費のバランスが崩れていないか定期的に確認してみるとよいでしょう。

  • 卸売業・・・90%
  • 小売業・・・80%
  • 製造業・・・70%
  • 飲食業・・・60%
  • サービス業・・・50%

フリーランスの経費はプライベートと区別することが大切

フリーランスが経費を計上する際に迷いやすいのが、プライベートの出費との区別です。事業を行なうために必要な支出はすべて経費になりますが、まったく関係がないプライベートの出費は計上できません。

たとえば自宅を仕事場にしている場合、家賃や水道光熱費は事業に必要な支出ですが、プライベートにも使用しているため、すべての支出を計上することは難しいでしょう。

このような場合の計上は家事按分という計算をすることになります。家事按分については別の項目で詳しく説明しますので、チェックしてみてください。

また経費として計上するためには、その年の12月31日までに債務が確定している必要があります。実際に現金を支払ったかどうかで判断するわけではありません。たとえば12月分の請求書を1月に支払う場合、12月に債務が確定していると考え、その金額は年内の経費として計上します。

フリーランスにおすすめの領収書管理方法

領収書の整理

フリーランスが経費を計上する際に必要になるものが「領収書」です。領収書は経費を支払った証憑書類として一定期間保管しておく必要があり、領収書を紛失してしまった場合、税務調査時において経費が否認される可能性もあります。

そのため、日々の会計業務の1つとして、領収書を適切に管理しておくことが非常に重要となるのです。ここでは、領収書の管理方法として「アナログ」「デジタル」の2つの方法をご紹介します。

【アナログで管理】月ごとに領収書を管理しよう

アナログで管理するということは紙媒体で保存するということです。紙の領収書を保管する際は、領収書を月ごとに管理する方法がおすすめです。

茶封筒などを使って月ごとに管理することで、過去の取引を見返したい際などにすぐに見つけることができます。さらに細かく管理していきたいという場合は、「月ごと」+「取引先ごと」に管理してみましょう。そうすることで過去の取引をより細かく、かく迅速に見返すことができます。

ただし、領収書がなくレシートのみしかない場合は、以下の項目が記載されているかを確認し、未記載の項目がある場合は手書きで追記するようにしましょう。

【追記項目】

  • 取引日
  • 支払先
  • 取引金額

【デジタルで管理】会計ソフトで管理しよう

領収書の保存はデジタルで行なうことも可能です。最近では会計ソフトもクラウド化が進み、スマホで領収書を撮影するだけで済ませることができるものもあります。

フリーランスの場合は1人で事業活動を行なうことがほとんどです。そのため、経費管理や事務負担という観点からもスマホなどを用いて、デジタルで領収書を管理することは非常に効率が良いといえます。

また領収書をデジタルで保存することは、以下のメリットがあります。

  • ペーパーレスを実施できる
  • 検索機能を使うことで簡単に領収書を見つけることができる
  • プリンターや用紙代などのランニングコストを抑えることができる

最近では撮影した領収書から取引内容などを認識し、仕訳を作成するなど高機能なクラウド会計ソフトが販売されています。

有名なクラウド会計ソフトは次の2つです。

  • MFクラウド
  • freee

会計ソフトごとに操作性や機能面など細かな違いも多いため、操作性も含めて自社に合った会計ソフトを探してみましょう。

2022年の電子帳簿保存法の改正で電子化のハードルが下がった

令和4年1月1日からは電子帳簿保存法の改正により、領収書や国税関係書類などをデータとして保存しやすくなりました。

現在は領収書や国税関係書類などを電子データで保存する際は、税務署に事前申請を行なう必要がありました。しかし、令和4年1月1日以降については事前申請なしで電子データで保管することができるようになります。

ただし電子帳簿保存法の改正では、メールやインターネット取引などによる「電子取引」については、強制的に電子データの保存が義務づけられているため注意が必要です。

電子取引を電子データとして保存する際には「真実性の要件」「可視性の要件」といった細かな要件がいくつかあるため、必ず確認しておくようにしましょう。

参考URL:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁

領収書がもらえない場合は出金伝票を活用しよう

懇親会費や講習会費、冠婚葬祭時の慶弔費など、領収書がもらえない場合は出金伝票を作成することで領収書の代わりとすることができます。

出金伝票
出金伝票 参考:すぐに使える出金伝票テンプレート

出金伝票に記載されている以下の項目を記載するだけで大丈夫です。

  • 取引年月日
  • 支払先
  • 勘定科目
  • 摘要
  • 金額

また、慶弔費関係の場合、案内状などの文書は証憑書類として税務調査時において有効ですので、出金伝票と併せて保管しておきましょう。

経費を支払うためのクレジットカードを分けて作ると便利

プライベートとは別に、経費を支払うためのクレジットカードを作っておくと便利です。カードの利用明細書がそのまま毎月の経費になるため、計算しやすいでしょう。

会計ソフトを使用している場合は、データを連携することで自動的に経費として計上することが可能です。プライベートの利用もしているカードの場合、個人利用のデータを後から直すなど、手間がかかります。

また事業用のカードであれば、年会費を経費として落とすことができるのもメリットの1つです。

領収書の保管期間は「7年」

帳簿書類の保存期間
帳簿書類の保存期間 出典:国税庁

領収書の保管期間は7です領収書以外にも支払いをした証拠として経費の証明に使った書類は7保管です。この期間は確定申告書の提出日ではなく、提出期限の翌日から数えます。

フリーランス初心者におすすめの節税方法

フリーランスの経費として計上できない支出でも、所得控除として所得から差し引くことができる場合があります。

所得控除とは、一定の要件にあてはまる場合に所得から差し引くものです。事業の売上から最初に差し引く経費とは別物ですが、節税効果があるという点では同じになります。

ここでは、経費にはならないが所得控除の対象になる支出を紹介しましょう。

国民健康保険や国民年金の保険料は「社会保険料控除」として申告

国民年金保険料や国民健康保険料は事業に必要な支出ではなく、経費には計上できません。しかし、その支払いが個人の負担となることから、社会保険料控除として所得控除の対象となります。

帳簿上は事業主貸として処理しますが、確定申告では社会保険料控除として申告すると、所得を減らすことができます。

生命保険や地震保険、個人年金の保険料は「生命保険料控除」として申告

生命保険や介護医療保険、個人年金などの保険料を支払った場合、生命保険料控除として所得から差し引くことができます。

生命保険料控除は、契約が平成24年(2012年)より前か後かで控除額が異なり、旧契約は上限が10万円、新契約は12万円です。

小規模企業共済やiDeCoの掛金を利用

小規模企業共済やiDeCoの掛金も所得控除の対象です。小規模企業共済はフリーランスなどを対象とした退職金のような制度で、6カ月以上積み立てると、廃業した場合に共済金を受け取ることができます。支払った掛金は全額が控除対象です。

掛金の月額は1,000円から70,000円までの範囲から選べ、70,000円なら1年で840,000円の控除が受けられることになります。

iDeCoの掛金は個人型確定拠出年金で、国民年金や厚生年金に加えて給付を受けられる私的年金です。掛金が5000円から68,000円まで選択でき、小規模企業共済と同じくすべての掛金を所得から控除できます。年額では最高816,000円の控除ができ、高い節税効果があるのも小規模企業共済と同様です。

小規模企業共済やiDeCoについては以下の記事で詳しく説明しているため参考にしてみてください。

関連記事:【小規模企業共済等掛金控除とは?】対象と上限金額、iDecoとの併用について詳しく解説!|ミツモア

ふるさと納税などの寄附金を利用

ふるさと納税とは、地方自治体(都道府県、市区町村)に寄附をすると、豊富なラインナップの中から返礼品が受け取れる制度です。寄附した金額は寄附金控除として所得控除できます。

返礼品を受け取りながら節税もできるため、所得が多い場合はとてもお得な制度です。寄附する自治体は居住地に関係なく、全国どこでも寄附ができます。

個人事業主のふるさと納税については以下の記事で詳しく説明しているため参考にしてみてください。

関連記事:個人事業主もふるさと納税を利用できる 控除限度額や確定申告の方法を解説|ミツモア

フリーランスがより多くの経費を計上するために利用できる特例

個人事業主がより多くの経費を計上するために利用できる特例
フリーランスがより多くの経費を計上するために利用できる特例

経費の計上には特例があり、要件に当てはまればフリーランスはより多くの経費を計上することが可能です。10万円以上の備品についての減価償却費や、継続的なサービスの提供を受ける契約で前払いをした場合に、特例が設けられています。

経費の計上を増やし、節税ができる特例を2つ紹介しましょう。

少額減価償却資産の特例

前の項目でも説明したように、10万円以上の購入は固定資産となります。減価償却費として金額を分け、毎年経費を計上するのが原則です。その年の経費として全額を計上することはできません。

 しかし、特例により、30万円未満の備品であれば一括でその年の経費にできる場合があります。 

この特例を受けるためには、次の要件に当てはまることが必要です。

  • 青色申告者であること
  • 年間の合計限度額は300万円

特例を受けるには青色申告の届出をしておく必要があり、一つ30万円未満の備品の合計は年間300万円までが限度になります。

短期前払費用の特例

インターネットのレンタルサーバー料金や保険料など、継続的なサービスの提供を受ける契約で代金をまとめて支払った場合は、翌期の経費の前払いになります。そのため、原則として当期の必要経費には計上できません。 

しかし、一定の要件を満たした場合、特例として当期の経費に計上することが可能です。

この特例を受けるには、次の要件を満たさなければなりません。

  • 当期中に支払いが済み、支払った日から1年以内に提供を受けるサービス
  • 継続的にサービスを受けること
  • 今期だけでなく、今後も毎年継続して前払いをすること
  • 支払ったものが収益と対応するものではないこと
  • 支払い額が大きくなく、重要性の低いもの

前払いは毎年行なわなければならないため、予算も考えながら特例を受けましょう。

フリーランスが確定申告で経費を計上するやり方

フリーランスは会社員と異なり年末調整がありません。そのため、自分で確定申告をして所得税を納めます。また、申告には事業の収入から経費を引いて収支を計算した書類を添付する必要があります。その収支の結果をもとに所得税を計算するのです。

確定申告書に添付する必要書類や書き方と提出方法について詳しくご説明します。

確定申告の必要書類

フリーランスの確定申告には青色申告白色申告があります。白色申告は誰でもできますが、青色申告は申告する年の3月15日まで、もしくは開業してから2か月以内に税務署へ届出をしていなければなりません。

青色申告と白色申告では認められる経費も異なりますので、青色申告を選択する場合は忘れずに届け出ましょう。申告の種類により必要な書類が違いますので以下で確認しましょう。

白色申告に必要な書類 青色申告に必要な書類
① 確定申告書
様式第二表には配偶者、扶養親族、事業専従者のマイナンバーを記載
② 各種控除を証明する書類
収支内訳書
「マイナンバーの記載」と「本人確認書類の提示又は写しの添付」
① 確定申告書
様式第二表には配偶者、扶養親族、事業専従者のマイナンバーを記載
② 各種控除を証明する書類
青色申告決算書
「マイナンバーの記載」と「本人確認書類の提示又は写しの添付」

確定申告に必要な各種書類は以下の国税庁のホームページからダウンロードできます。

【白色申告】収支内訳書の書き方

収支内訳書(一般用)の記入方法 出典:国税庁
収支内訳書(一般用)の記入方法 出典:国税庁

白色申告には①確定申告書、②各種控除を証する書類、③収支内訳書が必要です。必要書類③の収支内訳書の書き方は、左上部分に収入と原価を記入します。その下から中段までは経費を科目別に記入します。ここで、勘定科目別の集計が必要となってきます。

【青色申告】青色申告決算書の書き方

所得税青色申告決算書の記入方法 出典:国税庁
所得税青色申告決算書の記入方法 出典:国税庁

確定申告の青色申告には①確定申告書、②各種控除を証する書類、③青色申告決算書が必要です。必要書類③の青色申告決算書の書き方は、左上部分に収入と原価を記入します。その下から中段までは経費を科目別に記入します。科目の㉕~㉚は任意で使用します。

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法は次の3通りあります。経費を集計して作成した青色申告決算書や収支内訳書も確定申告書に添付して提出します。

  1. 所轄税務署に持参する
  2. 所轄税務署に郵送する
  3. e-Taxで電子申告する以下の「確定申告書等作成コーナー」から電子申告することができます。
    確定申告書等作成コーナー|国税庁

e-Taxで確定申告書を作成する場合、詳しい作成方法などは以下のページを参考にしてください。

監修税理士からのコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

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この記事の監修税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。