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ピアノ教室の確定申告は所得48万円以上から!申告の流れやメリット・リスクを徹底解説

最終更新日: 2025年01月21日

ピアノ教室の先生を含め、個人事業主として働く人は確定申告を行う義務があります。

しかし申告の流れややる必要性・意味が分からないという方も少なくありません。

本記事ではピアノ教室の先生向けに、ピアノ教室の確定申告を行うメリットや手順、行わない場合のリスクなども徹底解説します。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。

確定申告とは?ピアノ教室もやるべき理由

「確定申告」と聞くとなにやら難しい印象を受ける方も少なくありません。実際のところ、手続きの流れを知らないとややこしく感じる計算や作業もあります。

確定申告の手順などを解説する前に、まずは確定申告とはなにか、どうして必要なのかその理由を解説します。

もし先に確定申告の手順を知りたいのであれば、以下のメニューから自分に当てはまる方をクリックしてください。

確定申告は1年間の所得と納税額を計算する手続き

確定申告とは、1年間に得た所得と、それをもとにした納税額を計算する手続きです。日本では納税者1人ひとりが税を計算し、申告して納税する「申告納税方式」を採用しているため確定申告があります。

所得というのは売上から経費を引いた額で、ピアノ教室であれば生徒さんから受領した月謝から楽譜代など、ピアノ教室の運営に必要なお金を引いた額となります。

たとえば月謝が1万円の生徒が10人いるピアノ教室であれば、売上は1万円 × 12ヶ月 × 10人 = 120万円です。

120万円の売上から楽譜代やピアノのメンテナンス費用、文房具代などの経費を差し引いた額が「所得」です。

所得をもとに課税されるのが所得税です。会社員やパート・アルバイトといった会社から給料をもらう「給与所得者」であれば、毎月一定額が源泉徴収により差し引かれています。

ピアノ教室のように会社から給与を得ていない「個人事業主」の場合は、所得税を自分で計算して納税します。

確定申告の流れは国税庁のホームページで確認でき、毎年「確定申告特集」という特設ページが公開されます。税の情報は移り変わりが激しいので、常に最新の情報を取得するように心がけましょう。

確定申告をしないと大きなペナルティが発生する

所得税を計算した結果、「こんなに納税しないといけないの!?」と思われるかもしれません。

数万円、数十万円にも及ぶ所得税を一括で支払う金銭的な負担も大きいと感じる方もいます。

しかし確定申告をせず、納めるべき税を納付しないままでいることは脱税という犯罪です。

脱税をすると以下のペナルティが発生します。

  • 無申告加算税・延滞税などが請求される
  • 財産差し押さえの対象となる
  • 懲役刑や罰金など刑事罰が科せられる

刑事罰を受けると俗にいう「前科もち」になり、社会的信用が大きく損なわれる原因となります。

「確定申告をしなくても大丈夫」は間違い

ピアノ教室の先生の中には「うちはそんなに生徒さんがいないから、確定申告をしなくても大丈夫」「教室に関連することでたくさんお金を使っているから、そんなにもうけがない」と思い込んでしまっている人もいます。

確定申告が大変だからといって無申告のままにしてしまう方も少なくありませんが、納める税金を納めていなかったら脱税となり、税務署の調査や追徴課税、さらには差し押さえなどの対象になってしまいます。

「個人でやっている小さなお教室だから、税務署の職員も分からないはず」と考えてはいけません。税務署の職員は様々な方法で情報を集めており、近年ではX(旧Twitter)やInstagramなどSNSの投稿からも脱税をしている人がいないか調査しています。

とはいえ根本にあるのは「税の公平負担」という理念です。会社員の人は毎月源泉徴収で所得税が引かれているのに、個人事業主は所得税を払っていなくても問題ない、となってしまったら誰も真面目に納税をしなくなってしまいます。

納税は国民の義務ですから、面倒に思えても必ず確定申告をして納税をしましょう。

また確定申告をすることで各種控除を受けられ、結果的に納税額が少なくなるなどのメリットもあります。

代表的な控除として、配偶者控除や社会保険料控除、医療費控除が挙げられます。これらの控除を受けるためには必要な書類があるので、確定申告の時期になる前に書類を集めておきましょう。

個人経営のピアノ教室で48万円以上の所得を得たら確定申告をしよう

FX版・確定申告の要不要がわかるチャート

個人でピアノ教室を開設しているのであれば、1年間の収入から経費を引いた「所得」が48万円を超えたら確定申告が必要です。48万円とは、基本的には全ての方に適用される基礎控除の額を指します。

どれほど売上が高くても経費を差し引いて手元に残る所得が少なければ確定申告は必要ありません

控除についても同じで、控除を活用することで納税額を少なくすることは「節税」として認められています。

所得が48万円未満の場合は基礎控除により課税所得が0円になるので、確定申告の必要はありません。

節税か脱税か悩んだときの簡単なチェックリストを用意したのでぜひご活用ください。

それって脱税?それとも節税?チェックリスト

月謝を手渡しで受け取っている教室は必ず確定申告をしよう

個人で開いているピアノ教室の場合は、月謝を先生に手渡しするケースが多いです。

銀行口座振り込みと異なり、手渡しの場合はどの生徒がいつ月謝を払ったかというデータが残りません。

すると売り上げがあるにもかかわらずお金の流れが把握できなくなり、納税のチャンスが失われます。

月謝を手渡しで受け取っている教室は、月謝をいつ、誰から受け取ったかの記録をつけて確定申告を行う必要があります。

確定申告を行うことで脱税の疑いをかけられることもなくなるので、安心してピアノ教室の運営ができます。

生徒の数が多いピアノ教室は税務調査が入りやすい

生徒の数が多いとその分売上も高くなるので税務署の目に留まりやすくなります。

多くの生徒が通っているのに確定申告をしていないのはとても不自然に映るので、税務調査が行われる確率も高いでしょう。

毎年きちんと確定申告を行うことで1年間の所得を税務署に説明できます。所得が少ない場合は「所得が少なく課税がされないこと」を申告できます。

脱税などの疑惑を払しょくできるので、確定申告はなるべく行うことをおすすめします。

ピアノ教室が確定申告をする3つのメリット

ピアノ教室が確定申告をすることには3つのメリットがあります。

正しい額の納税を行える

確定申告を行わないことによる最も大きなリスクは脱税状態になることです。

脱税をすると刑事罰を受けるなど社会的信用が落ちてしまい、ピアノ教室を続けられなくなる可能性もあります。

確定申告を行えば所得に応じた正しい税額の納付ができるため、「税務調査が来るかも…」などの不安を抱えることなくピアノ教室を運営できます。

また確定申告というと「申告したら多額の税金を納めるもの」と考えている方も少なくありませんが、実際には控除が適用されて思っているよりも少ない納税額になることも珍しくありません。

納税額がないことを確定できる

所得が48万円未満で本来は確定申告の義務がない場合でも、確定申告を行うことにはメリットがあります。

確定申告の目的は税務署に今年1年間の所得と所得税がいくらになるかを申告することです。仮に課税所得がなく、納税額が0円だった場合は0円であると申告することで「脱税はしていません」と報告することになります

控除を適用して節税ができる

確定申告で申請することで各種控除が適用され、節税ができます。

確定申告で申告する対象の控除は以下の15項目です。

  1. 基礎控除
  2. 扶養控除
  3. 配偶者(特別)控除
  4. 配偶者特別控除
  5. 医療費控除
  6. 社会保険料控除
  7. 生命保険料控除
  8. 地震保険料控除
  9. 寄附金控除
  10. 小規模企業共済等掛金控除
  11. ひとり親控除
  12. 寡婦控除
  13. 勤労学生控除
  14. 障害者控除
  15. 雑損控除

このうち、「配偶者(特別)控除」「社会保険料控除」「医療費控除」はピアノ教室の先生でも控除の対象になることが多いので、詳しく解説します。

配偶者(特別)控除とは?

配偶者(特別)控除とは法的に結婚している場合に受けられる控除のことです。内縁状態では受けられないので注意が必要です。

配偶者(特別)控除の対象となるのは女性(妻)側であるケースが多いため、以下は妻がピアノ教室の先生として解説します。

配偶者(特別)控除を受けるのは納税者、つまり夫です。夫に配偶者(特別)控除を適用させるためにはピアノ教室での売上を計算する必要があります。

納税者(夫)の合計所得額 控除される額
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円

納税者(夫)の合計所得額が1,000万円を超えると配偶者(特別)控除は適用されないので注意が必要です。

配偶者(特別)控除に関するよくある疑問や計算方法について、関連記事でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

社会保険料控除とは?

社会保険料とは納税者が自分や自分と家計が同じ家族の社会保険料を支払ったときに受けられる控除です。

配偶者控除と同じく、ピアノの先生本人が利用できる控除ですが、場合によっては夫の方でも利用できる控除です。

控除できる金額は、その年に実際に支払った保険料の全額あるいは給与・公的年金から差し引かれた金額の全額です。控除額が大きいため確定申告の際には必ず適用したい控除です。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1年間のうちに10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額)以上の医療費を支払った人・世帯が対象となる控除です。

確定申告で申告することで控除が適用されるので、医療費として支払った額のいくらかが還付金として返還されます。

医療費控除で返ってくる還付金は以下の計算式で求められます。

還付金 = 医療費控除対象額 × 所得税率

還付金を求めるためには「医療費控除対象額」と「所得税率」を知らなければならないので解説します。

医療費控除対象額とは、医療費の合計や保険金や給付金、所得金額に応じた控除額を差し引いたあとに残る金額のことです。

所得額に応じた控除額は、総所得金額等が200万円以上か200万円未満かによって変わります。

所得金額 控除額
200万円以上 10万円
200万円未満 総所得金額の5%

たとえば総所得金額等が180万円で保険金・給付金は0円、1年で支払った医療費の合計が20万円だった場合、医療費控除対象額は以下のように求められます。

20万円 – 0円 – 9万円 = 11万円

ここで求めた医療費控除対象額に所得額に応じた税率をかけます。所得が180万円の場合の税率は5%です。

還付金 = 11万円 × 5% = 5,500円

所得税の税率は所得の額によって変わるので、自分の所得税率がいくらかは国税庁のホームページでチェックしましょう。

「年末調整」との違い

ピアノ教室の先生の中でも、音楽教室に雇われて給与を受け取っている方は、毎年11月頃に「年末調整」を行います。

年末調整と確定申告は似たような手続きをするため混同してしまう人もいますが、以下の違いがあります。

  • 年末調整は天引き(源泉徴収)された所得税の額を清算するもの
  • 年末調整では各種控除を医療費控除や寄附金控除を適用できない

多くの場合、会社から給与をもらうサラリーマンなどの給与所得者は、年末調整を行うだけで所得税等の清算が完了するので、確定申告をする必要性はありません。

しかし各種控除を適用させる場合には確定申告が必要です。

確定申告でのみ適用できる控除もあるので、何か適用したい控除がある場合は確定申告を行うことをおすすめします。

ピアノ教室が確定申告をしない2つのリスク

ピアノ教室が確定申告をしないことには2つの大きなリスクがあります。

脱税となり多額の追徴課税がなされる

確定申告をしないことで考えられる1つ目のリスクは、脱税状態となり多額の追徴課税がなされることです。

確定申告をしていないことが原因で加算される「加算税」の税率は申告するタイミングによって変動します。

申告するタイミング 税率
税務署からの調査通知の前 5%
税務署からの調査通知の後 10%
税務署からの調査を受けた後 15%

税務署から「税務調査を行います」と通知される前に気づいて確定申告をすれば、加算税の税率は5%ですみます。

ただし「税務調査を行います」と通知されてから確定申告をした場合は加算税の税率は10%になってしまうので注意が必要です。

税務調査後に確定申告をした場合は15%もの税率になってしまうため、たとえ面倒に思えたとしても確定申告は早めに終わらせておくことを推奨します。

さらに加算税のほかにも延滞税がかかります。延滞税は納税の期日の翌日から税をすべて納めた日までの日数に応じた額が加算されるので、完納まで時間がかかればかかるほど多くの延滞税が課せられます。

税務調査が行われ差し押さえなどが行われる

確定申告をしないことで考えられる2つ目のリスクが、税務調査が行われ資産の差し押さえなどが行われることです。

初回の税務調査で差し押さえまで行われることは多くありませんが、意図的に無申告でいるなど悪質性が高い場合や税の未納額が大きい場合は差し押さえまで発展するケースが多いです。

資産が差し押さえられると自分の意志では処分・換金などが行えなくなります。差し押さえられた資産は競売にかけられて手元を離れてしまうので、ピアノ教室を続けられなくなる可能性が高いといえます。

ピアノ教室の確定申告で必要な書類

ピアノ教室の先生は2つのパターンが考えられます。

個人でピアノ教室を開いているピアノの先生は、税法上は「個人事業主」となります。

一方、音楽教室に雇われているピアノの先生は、税法上は「給与所得者」という扱いです。

個人事業主と給与所得者では確定申告で用意する書類が異なりますが、共通する書類もあります。

まずは確定申告で必ず必要になる書類を確認しましょう。

本人確認書類

確定申告をするときはマイナンバー(個人番号)が必要です。

e-Taxを利用する場合はマイナンバーカードが必須です。税務署の窓口に直接提出する場合は、本人確認書類が必要です。

確定申告で必要な本人確認書類は以下の2パターンのうちいずれかで用意しましょう。

  • マイナンバーカード
  • マイナンバー記載住民票 + 運転免許証 など

マイナンバーカード

確定申告をする際に用意する本人確認書類は、マイナンバーカードがおすすめです。

電子証明書が有効なマイナンバーカードであればe-Taxを利用した電子申告ができるので、手続きの手間が少なくなります。

マイナンバーカードを持っていなかったり、電子証明書の有効期限が切れていたりしても、e-Taxからの申告は可能ですが手間が増えてしまいます。

電子証明書の更新は市区町村役場や窓口で受け付けています。更新した当日はe-Taxなどが使えないので、e-Taxを利用して確定申告を行うのであれば早めに電子証明書が有効か確認しましょう。

マイナンバー記載住民票 + 運転免許証 など

マイナンバーカードを所持していない場合は、マイナンバーを記載した住民票にくわえ、ほかの本人確認書類で代替できます。

おすすめの組み合わせはマイナンバー記載住民票と運転免許証です。運転免許証は顔写真付きの身分証明書なので、本人確認もスムーズに進みます。

控除を受けるための書類

確定申告で控除を受けるのであれば、控除を受けるために必要な書類を準備しましょう。

今回は控除の対象者が多い3つの控除で必要な書類を解説します。

配偶者控除を受ける場合

配偶者控除および配偶者特別控除を受けるときに用意する書類はありません。婚姻届を提出し、法律上の配偶者であることが認められていれば配偶者控除や配偶者特別控除が適用できます。

配偶者控除の適用方法は以下の通りです。

    • 確定申告の申告書を用意する
    • 「所得から差し引かれる金額」21,22番の「配偶者控除」に控除される額を記載する

控除される額は以下の表をご確認ください。

納税者(夫)の合計所得額 控除される額
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円

社会保険料控除を受ける場合

社会保険料控除を適用する場合、納税者(夫)が会社員(給与所得者)であれば年末調整の際に控除の適用作業が完了します。

納税者(夫)も個人事業主の場合は、支払った国民年金や国民健康保険などの社会保険料を納付した記録が必要です。

社会保険料控除の対象

  • 国民年金保険料
  • 国民健康保険料
  • 介護保険料

納税者本人とその配偶者、家族の分も控除の対象となるので支払いの記録はなくさないように注意しましょう。

医療費控除を受ける場合

医療費控除を適用する際に必要な書類は以下の通りです。

  • 病院にかかった際の領収書・明細書
  • 薬局で受け取った領収書
  • 医療費のお知らせ

領収書を集めて自分で計算しても良いですが、健康保険協会に加入している場合は毎年1月10日ころから「医療費のお知らせ」が送付されます。

医療費のお知らせには1年の間に支払った医療費が全額記載されているので、総額を転記するだけで書類を作成できるため手間が省けます。

個人経営のピアノ教室の確定申告で必要な書類

個人経営のピアノ教室で確定申告をするのであれば、以下4つの書類も用意してください。

開業届

開業届のフォーマット
出典:国税庁

ピアノ教室を開いた年から青色申告をするのであれば、開業届を税務署に提出し、青色申告承認申請書を提出します。

開業届はピアノ教室を開いた日から1か月以内に提出するように決められています。

ただし提出できなかったとしても罰則はないので教室を開いてからしばらく経過してから提出しても問題ありません。

開業届はe-Taxでも作成・提出ができます。自宅で手続きが完結するので、手間が少なくおすすめです。

開業届を提出するときに、青色申告承認申請書と消費税に関する課税事業者選択届出書の提出有無について答える欄があります。

青色申告承認申請書を提出すると青色申告ができるようになり、節税効果の高い申告ができます。所得が多いのであれば青色申告がおすすめですが、ピアノ教室の先生であれば節税効果が低いものの手間が少ない白色申告でも良いでしょう。

課税事業者選択届とは、消費税を納める課税事業者になるかの申請です。ピアノ教室の先生であれば消費税の課税業者になる必要性が低いので、あえて選択する必要はありません。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書とは、所轄の税務署に対し「青色申告での申請を希望しています」と申請するための書類です。

確定申告期間の前に提出する必要があり、青色申告承認申請書を提出していない場合は白色申告しか選べないのでご注意ください。

青色申告承認申請書は青色申告をする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内)に提出する必要があります。

帳簿

確定申告で使う「帳簿」とは、お金の出入りを記録した書類のことです。

ピアノ教室の先生であれば、収入は生徒さんから受け取った月謝、支出はレッスンに使う楽譜やピアノのメンテナンス・調律費、そのほかにも文房具の購入費などが挙げられます。

青色申告で使う帳簿の付け方には一定のルールがあり、ルールを守っていない場合は帳簿として認められません。

帳簿の管理は無料で配布されているテンプレートを使うと手軽に行えます。表計算ソフトのExcel(エクセル)を販売しているマイクロソフト社もテンプレートを配布しているので、エクセルが使えるのであればダウンロードして使ってみると良いでしょう。

関連記事では青色申告で使う帳簿の付け方について詳細に解説しています。あわせてチェックしてください。

青色申告決算書

青色申告決算書とは、1年間にいくらの収入と支出があるかをまとめた書類のことです。

帳簿をもとに作成する書類で、こちらはフォーマットが決まっています。

青色申告決算書
出典:所得税青色申告決算書|国税庁

印刷して手書きで作成することも可能ですが、「確定申告書等作成コーナー」を利用してオンライン上で作成することもできます。

「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、自動で計算してもらえるので所得税の計算間違いがないのも嬉しいポイントです。

個人経営のピアノ教室の確定申告を行う手順

ピアノ教室を開業してから確定申告を行うまでの流れと手順は以下の通りです。

① 「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する

個人事業主としてピアノ教室を運営する場合は、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しましょう。

管轄の税務署は国税庁ホームページの「税務署の所在地などを知りたい方から確認できます。

郵便番号や自宅住所から管轄の税務署を検索できます。

② 月謝などお金のやり取りを帳簿につける

開業届と青色申告承認申請書を提出したら、事業にともなって発生したお金のやり取りを帳簿で管理します。

一定のルールを守っていれば帳簿への記載方法や頻度は大きな問題にはなりません。ただしなるべくこまめに記帳することをおすすめします。

1か月1回にまとめて記帳すると、抜け漏れが発生したり領収書を紛失したりといったトラブルが発生する可能性が高いです。

理想は毎日記帳することですが、長くとも2週間に1度を目安に帳簿をつけましょう

③ 確定申告に必要な書類を用意する

国税庁は毎年1月頃に、確定申告に関する特設サイトを公開します。

2024年分確定申告の申告期間は2025年2月17日(月)~3月17日(月)です。

確定申告書の作成は時間に余裕をもって行うのが望ましいです。確定申告の特設サイトが公開されたらすぐに申告書の作成をできるように、確定申告に必要な書類を手元に用意しておきましょう。

忘れてしまいがちなのが各種控除を適用させるために必要な書類です。領収書や受領書などが該当するケースが多いです。

④ 「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成する

確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成します。

「作成開始」をクリックすると、税務署への提出方法を選ぶ画面に変わります。おすすめはマイナンバーカードを使ってe-Taxを利用する方法です。

書類ができたらそのまま税務署に提出できるので手間がありません。

提出方法を選択するとどの申告書を作成するのか選択します。個人経営のピアノ教室の先生であれば、左から2番目の「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択します。

その後は画面の指示に従って必要事項を入力してください。

⑤ 税務署に確定申告書類を提出する

確定申告書を作成したら税務署に提出します。提出方法は3つあります。

  • 窓口に直接提出
  • 郵送で提出
  • e-Taxを利用した電子申告

近年はIT化が進み、電子申告を利用する人が増えています。確定申告書の作成から提出まで自宅で完結するので、忙しいピアノ教室の先生にもおすすめの方法です。

⑥ 必要があれば追加納税・還付金を受け取る

確定申告書を提出したら結果を待ちます。e-Tax内のメッセージボックスにメッセージが届いていないかこまめに確認しましょう。

必要があれば納税や還付金受け取りの手続きが発生します。

音楽教室に雇われているピアノ教室の先生の確定申告で必要なもの

音楽教室に雇われているピアノの先生が確定申告をするときは、源泉徴収票が必要です。

源泉徴収票は毎年1月頃に発行されるので、2月になっても手元に源泉徴収票がない場合は発行を依頼しましょう。

源泉徴収票が手元に見当たらないときは以下の記事を参考にしてください。再発行の手続きやどこに問い合わせるべきかが解説されています。

音楽教室に雇われているピアノ教室の先生の確定申告の手順

音楽教室に雇われているピアノの先生が確定申告を行うときの手順は以下の通りです。

① 確定申告に必要な書類を手元に用意する

国税庁は毎年1月頃に、確定申告に関する特設サイトを公開します。

2024年分確定申告の申告期間は2025年2月17日(月)~3月17日(月)です。

確定申告書の作成は時間に余裕をもって行うのが望ましいです。確定申告の特設サイトが公開されたらすぐに申告書の作成をできるように、確定申告に必要な書類を手元に用意しておきましょう。

忘れてしまいがちなのが各種控除を適用させるために必要な書類です。領収書や受領書などが該当するケースが多いです。

② 「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成する

確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成します。

「作成開始」をクリックすると、税務署への提出方法を選ぶ画面に変わります。おすすめはマイナンバーカードを使ってe-Taxを利用する方法です。

書類ができたらそのまま税務署に提出できるので手間がありません。

提出方法を選択するとどの申告書を作成するのか選択します。

その後は画面の指示に従って必要事項を入力してください。

③ 不備・間違いがないかチェックし提出する

確定申告書を作成したら税務署に提出します。提出方法は3つあります。

  • 窓口に直接提出
  • 郵送で提出
  • e-Taxを利用した電子申請

近年はIT化が進み、電子申請を利用する人が増えています。確定申告書の作成から提出まで自宅で完結するので、忙しいピアノ教室の先生にもおすすめの方法です。

④ 必要があれば追加納税・還付金を受け取る

確定申告書を提出したら結果を待ちます。納付の場合は自ら納付する必要がありますが、還付の場合はe-Taxに通知が来ます。

通知が届いていないかこまめに確認しましょう。

ピアノ教室の先生が「経費」にできるものの例

ピアノ教室の先生が経費にできるものや費用の例を紹介します。

ピアノ教室で使うものは「新聞図書費」や「消耗品費」として計上することが多いです。

事業に関する出費であれば経費として認められるものの、そのためには客観的な証拠が必要です。

領収書などはなくさないようにしっかり管理して、帳簿にも記載することを忘れないでください。

① レッスンに利用するレッスン本や楽譜

レッスンに利用するレッスン本や楽譜などの書籍は「新聞図書費」として経費計上ができます。

購入時に領収書を受け取ることを忘れないようにしましょう。

② ジャスラックへの著作物利用料

ジャスラックが管理している楽曲を利用した場合は著作物利用料を支払います。

項目としては「リース料」「手数料」「使用料」として計上することが多いです。シンプルに「著作権使用料」として計上しても問題ありません。

③ レッスンに使う楽器のメンテナンス費用

レッスンに使う楽器の購入費やメンテナンスの費用は、音楽教室の経費として認められます

ピアノ教室の場合はピアノの調律にかかる費用も経費として計上できます。

そのほか防音設備のメンテナンス代金も経費計上可能です。

④ 文房具などの消耗品

ピアノ教室で使っているペンやシールなどの消耗品も経費として計上できます。

幼稚園や小学生向けにレッスンを開催していると、課題曲を上手に弾けたらシールなどのご褒美を用意することもあるでしょう。

そのようなケースでも、ピアノ教室で利用しているのでシールの購入費用を経費にできます。

⑤ 発表会で着るドレスや衣装のレンタル代

生徒さんたちの発表会でドレスや特別な衣装を着る場合は、ドレスの購入費やレンタル費も経費として計算できます。

⑥ 発表会でのヘアメイク代

生徒さんの発表会でドレスを着る場合、ドレスや衣装にあったヘアメイクをすることがほとんどです。

このヘアメイク代も業務に関係があると判断されるため、経費として計上できます。

ヘアメイクをしてもらったら領収書を受け取ることを忘れないようにしましょう。

⑦ スタジオ・発表会会場の利用料

自宅ではなく別の場所にスタジオを借りてレッスンをしている場合や、発表会の際に会場を借りて利用料を支払った場合、それらの利用料金も経費になります

ピアノのレッスンでは難しいものの、実際にバイオリンやフルートは街中のカラオケボックスなどでレッスンをすることもあり、その際のルーム利用料は原則として経費として認められます。

時間貸しの場合は1時間あたりの単価と借りた時間、月貸しの場合は月額利用料が経費として計上可能です。

ピアノ教室の確定申告をカンタンにするための工夫

ピアノ教室の確定申告の手間を減らすための4つの工夫をご紹介します。

① 月謝の受け渡し方法を「振込」にする

月謝を手渡しで受け取っている教室では、誰がいついくら月謝を払ったかということを記録する手間が発生します。

銀行振込にしてもらえば振込記録が残ります。お金の行き来が明確になるので、確定申告のときにも困りません。

② ピアノ教室に関する買い物では必ず領収書をもらう

経費として計上できるものを明確化するために、ピアノ教室に関する買い物では必ず領収書をもらいましょう

この時の注意点は、自宅で個人的に使うものとピアノ教室で使うものはわけて会計をし、領収書を発行してもらうことです。

経費として計上したいときの考え方を簡単に以下にまとめます。

購入の仕方 経費として計上していいか
ピアノ教室でだけつかうボールペンを購入する
生徒さんに配るお菓子を購入する
自宅でのみ使うペンを買う ×

大切なのはピアノ教室でのみ使うものと自宅でのみ使うものを明確に分けることです。

「あれもこれも経費で落とそう」と考えて領収書をもらう人もいますが、経費として認められるのは事業に関係のある費用のみなので勘違いしないように注意が必要です。

③ 月に1度ピアノ教室に関するお金の流れをまとめる

毎日の収支を管理するだけでなく、月に1度ピアノ教室に関するお金の流れをまとめることも重要です。

このとき役に立つのが会計ソフトです。無料で使えるものもあるので、まずは無料のものを使ってみて、手の届かないところがあると思ったら有料のソフトを購入することをおすすめします。

会計ソフトは項目に数字を入力するだけで自動的に計算をしてくれたり、確定申告の提出時に使える書類としてまとめてくれたりなど、便利な機能が揃っています。

導入直後こそ使い勝手が悪くまごついてしまうこともありますが、慣れれば会計業務を肩代わりしてくれる頼もしい存在となります。

関連記事では会計ソフトを比較し、おすすめのソフトを紹介しています。

④ 税理士に確定申告を代わりに行ってもらう

会計ソフトを使ってみたけれど操作に慣れない、あっているのか不安という場合は、税理士に依頼することをおすすめします。

税理士に確定申告の代行を依頼すると数万円ほどの費用がかかりますが、控除による還付金や節税効果を考えるとコストパフォーマンスが高いです。

確定申告につよい税理士をさがす!

監修税理士からのコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

ピアノ教室は現金で月謝を受け取っているケースが多いと思いますが、クラウド会計等を使って確定申告を効率化するには銀行振込にしてもらうのが便利です。 確定申告に係る手間を削減し本業に集中しましょう。 面倒な場合は税理士に依頼することをおすすめします。

ピアノ教室を安心して経営し続けるには確定申告が必要

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ピアノ教室の先生にとって確定申告は難しい課題です。しかし難しいからといって確定申告をしないままだと大きなペナルティを受ける可能性があります。

税に関するペナルティが発生するのではないかという不安を感じずにピアノ教室を経営し続けるためには確定申告を行いましょう。

確定申告について悩み事があるのなら、自力で解決するほかにも税理士に依頼する方法があります。

税理士をさがす時は複数の税理士から相見積もりを取って比較しましょう。相見積もりをとって比較することで自分に合った税理士を見つけられる可能性が高くなります。

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