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確定申告で配偶者控除を受けるには 対象者や書き方・必要書類を詳しく解説!

最終更新日: 2020年01月20日

確定申告には条件に該当する配偶者がいると受けられる配偶者控除があります。配偶者控除は所得控除の一種です。所得とは給与などの収入から必要経費を引いた額のことで、所得控除とは所得から引くことができる控除のことです。配偶者控除を受けると課税所得が減りますから結果として支払う所得税が減ります。配偶者がいる場合に受けられる控除について詳しくご説明します。

この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

 
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配偶者控除の概要

配偶者控除の概要
配偶者控除の概要

確定申告や年末調整では配偶者控除を受けることができます。配偶者控除とは、納税者に対象となる配偶者がいる場合に、納税者の所得税の計算のもととなる課税所得から一定の金額の所得控除が受けられるというものです。配偶者控除の対象となる条件や控除金額についてご説明します。

配偶者控除とは

配偶者控除とは対象配偶者がいる場合に一定の金額の所得控除が受けられるもので、配偶者だけを対象とした控除です。扶養親族を対象とした扶養控除とは対象者がちがうため、配偶者を扶養控除の対象とすることはできません。

また、申告制ですので、納税者自身が確定申告や年末調整で配偶者控除の申告をしないと控除を受けることができません。配偶者控除の対象となる条件を確認して、忘れずに申告することで所得税を減らすことができます。

配偶者控除の対象となる条件

確定申告や年末調整の配偶者控除の対象となる条件は①~④です。①は2018年(平成30年)の税制改正で配偶者控除を受ける条件に追加されたものです。

① 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
② 配偶者が、次の要件すべてに当てはまること。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
(2) 控除を受ける人と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。専業主婦は無所得ですので所得金額が38万円以下となり対象となります。
(4) その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

引用:No.1191 配偶者控除|国税庁

配偶者に収入がある場合

配偶者に収入がある場合は、配偶者控除を受けられるか判定が必要です。給与所得以外に、不動産所得、一時所得、譲渡所得などがあっても、年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であれば配偶者控除の対象者となります。

よく耳にする「配偶者の収入が103万以下でないと扶養からはずれてしまう」というのは、この年間の合計所得金額38万円からくる言葉です。年間の給与収入が180万円以下の場合、65万円の給与所得控除が認められています。給与所得控除65万円と合計所得金額38万円を合わせた額が103万円ですから、給与収入103万円までは配偶者控除の対象となれるという意味です。配偶者に収入がある場合の所得の計算方法についてご説明します。

(例1) 給与収入103万円の場合

給与所得=給与収入103万円-給与所得控除65万円=38万円
合計所得=給与所得38万円
判定:合計所得は38万円で配偶者控除の条件の38万円以下なので配偶者控除が受けられます。

雇用保険の給付金(失業手当・再就職手当など)や健康保険の給付金(出産育児一時金・育児休業基本給付金など)は課税対象ではありません。受け取っていても所得に含めずに計算します。ただし、老齢年金は所得の対象となりますのでの注意してください。

他にも、確定申告をしないことを選択した上場株式の配当金や特定口座の株式等の譲渡所得などは配偶者控除が受けられるかどうかを判定する場合の合計所得金額の対象外です。

配偶者自身が年の途中で仕事を辞めた場合、源泉徴収票は概算の所得税で計算されているため、配偶者自身も確定申告すると還付を受けられる可能性があります。また、その場合でも、収入がかわるわけではないので配偶者控除の判定には影響しません。

配偶者控除による控除金額

配偶者控除の控除金額は次の表のようになります。左側の納税者本人の合計所得によって配偶者控除の金額がかわります。また、配偶者の年齢によっても控除額は違い、配偶者がその年12月31日時点で70歳以上の場合は老人控除対象配偶者の控除額になります。

もし、配偶者が障害者の場合は、配偶者控除と併せて障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)の所得控除を受けることができます。

配偶者控除の金額

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額
一般の控除対象配偶者の控除額 老人控除対象配偶者の控除額
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

年末調整で配偶者控除の申告を忘れていて確定申告で申告手続きをしても配偶者控除の控除金額は同じです。

配偶者特別控除の概要

配偶者特別控除の概要
配偶者特別控除の概要

配偶者に収入があり配偶者控除を受けられなくても、配偶者特別控除を受けられる場合があります。配偶者特別控除は配偶者の所得金額に応じて段階的に控除額が決まります。また、配偶者特別控除も申告制で、確定申告や年末調整で納税者本人が申告しなければ控除を受けることができません。配偶者特別控除の条件や控除金額についてご説明します。

配偶者特別控除の条件

配偶者控除と配偶者特別控除のイメージ図
配偶者控除・配偶者特別控除のイメージ図 出典:国税庁

配偶者特別控除は、配偶者控除の所得条件を超えた配偶者を対象にしています。確定申告する場合の対象者を判断する条件は、所得金額以外は配偶者控除と同じです。

配偶者特別控除の所得条件は年間の合計所得金額が38万円超123万円以下(令和2年分以降は48万円を超え133万円以下)、収入でいうと103万円超201万円以下であることです。もちろん合計所得金額には不動産所得や一時所得も含まれます。また、夫婦の間で互いに配偶者特別控除を受けることはできません。

配偶者特別控除の控除金額

確定申告や年末調整で受けられる配偶者特別控除の控除金額は次の表のようになります。配偶者の合計所得と納税者本人の合計所得によって配偶者特別控除の金額が決まります。また、配偶者控除と異なり年齢による控除額の区分はありません。また、2019年(令和元年)と2020年(令和2年)以降では対象となる配偶者の合計所得がちがいます。

配偶者特別控除額一覧(令和元年)
配偶者特別控除額一覧2019年(令和元年) 出典:国税庁
配偶者特別控除額一覧(令和2年以降)
配偶者特別控除額一覧2020年(令和2年以降) 出典:国税庁

配偶者控除と配偶者特別控除の併用は不可

配偶者控除と配偶者特別控除が併用できない説明図
配偶者控除と配偶者特別控除が併用できない説明図 出典:国税庁

配偶者控除と配偶者特別控除は併用することができませんどちらにも、所得条件があり、該当する所得により受けられる控除が決まります。年末調整で配偶者控除の申告をした配偶者の所得が38万円を超えていると判明した場合、確定申告で配偶者特別控除の対象として修正して申告し直すことができます。ただし、この場合も配偶者控除と配偶者特別控除の併用はできません。

例として2019年の納税者本人の年間合計所得400万円の場合の配偶者控除と配偶者特別控除の金額を計算してみます。

【年末調整】
配偶者が2019年9月30日に退職して専業主婦だったため配偶者控除の対象として申告した場合
配偶者控除38万円、配偶者特別控除0万円
        ↓ 
【確定申告】
配偶者が退職前の1月1日~9月30日までに120万円の所得があったことが判明したため、配偶者特別控除の対象として修正して申告した場合
配偶者控除0万円、配偶者特別控除6万円

年末調整で配偶者控除を申請するときの必要書類と書き方

年末調整で配偶者控除を申請するときの必要書類と書き方
年末調整で配偶者控除を申請するときの必要書類と書き方

会社から給与をもらっている会社員は、年末調整を会社で行うため、基本的に確定申告の必要はありません。配偶者控除を受けたい場合も、会社に対象となる配偶者を申請すれば年末調整で処理してくれます。2018年(平成30年)の税制改正で会社に申請する書類の様式にも変更があり、申告書も2種類から3種類に増えました。年末調整で会社に提出する必要書類と書き方について詳しくご説明します。

平成30年度から提出書類が変更に

2018年(平成30年)の税制改正で配偶者控除と配偶者特別控除に大きな変更があり、年末調整に必要な書類の様式も変わりました。税制改正前と改正後の提出書類の違いと、新しい提出書類につて説明します。

また、収入が給与のみの会社員は税制改正後も年末調整が正しく行われていれば確定申告は不要です。その点は改正前後で変更はありません。

2017年(平成29年)までの提出書類

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告

2018年(平成30年)以降の提出書類

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書
    その年の最初の給与を受け取る前日までに会社に提出する書類です。会社はこの書類で源泉控除対象配偶者や扶養親族数など扶養する人数を把握して、毎月の給与から控除する所得税を算定します。年の途中で変更があれば都度提出します。
  2. 給与所得者の配偶者控除等申告書
    年末調整で受ける配偶者控除と配偶者特別控除を申告するために提出します。
  3. 給与所得者の保険料控除申告書
    年末調整で受ける生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分)申告するために提出します。毎月の給与から控除されている社会保険料は会社が把握しているので申告不要です

年末調整の必要書類

年末調整の必要書類は人によって異なることがあります。それは、受けようとする所得控除の内容が異なるためです。提出すべき書類について確認していきます。

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書
    その年の最初の給与を受け取る前日までに会社に提出した内容に変更がなければ年末調整に再度提出する必要はありません。年の途中に変更があれば都度提出が原則です。
  2. 給与所得者の配偶者控除等申告書
    配偶者控除と配偶者特別控除を受けたい人のみ提出します。但し、納税者本人の所得が1,000円を超えている場合は控除を受けられませんので提出しても意味がありません。
  3. 給与所得者の保険料控除申告書
    生命保険料、地震保険料、給与引きされている以外の社会保険料・小規模企業共済等掛金控除(申告分)などの支払いがあり控除を受けたい人のみ提出します。※①給与所得者の扶養控除等申告書のみ、給与を受け取るすべての人が提出しなければならない書類です

会社によっては当年の年末調整の申告書と同時に翌年分の「①給与所得者の扶養控除等申告書」を回収していることもあるかと思います。「③給与所得者の保険料控除申告書」は、会社の方針で提出を必須としている会社もあるようです。

また、年末調整で会社に提出した書類は確定申告のときに再度添付する必要はありません。

年末調整書類の書き方

年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けようとする場合の申告書の書き方についてご説明します。ちなみに、給与所得者の配偶者控除等申告書は年末調整だけの書類で確定申告する際は不要です。

給与所得者の配偶者控除等申告書
給与所得者の配偶者控除等申告書

上部に納税者の氏名・住所を記入し、納税者の本年中の合計所得金額の見積額を記入します。合計所得金額の見積額が1,000万円未満であれば配偶者(特別)控除を受けられますから、その下の配偶者の情報を記入します。

控除対象とする配偶者の氏名・個人番号(マイナンバー)・生年月日・住所などと配偶者の本年中の合計所得金額の見積額を記入します。配偶者の本年中の合計所得金額の見積額は非常に重要で、これにより控除をうけられる金額が決まりますから、できる限り正確に記入します。

給与所得者の配偶者控除等申告書の様式と、納税者の所得別の記載例は国税庁のサイトにありますので参考にしてください。

参考:[手続名]給与所得者の配偶者控除等の申告|国税庁
参考:令和元年分給与所得者の配偶者控除等申告書(PDF/317KB)|国税庁
参考:《記載例》令和元年分給与所得者の配偶者控除等申告書の記載例|国税庁

確定申告で配偶者控除を申請するときの必要書類

確定申告で配偶者控除を申請するときの必要書類
確定申告で配偶者控除を申請するときの必要書類

会社で年末調整をしない個人事業主や年金受給者は確定申告することで配偶者控除を受けることができます。また、年末調整で申請し忘れた方や、誤りを発見し修正したい方も確定申告で修正できます。配偶者がパート勤めで年末調整後の源泉徴収票をみないと正確な所得がわからない場合もあると思います。そんな場合も、結果として配偶者が所得オーバーだったら確定申告すれば問題ありません。確定申告に必要書類をご説明します。

配偶者(特別)控除を申告するときの必要書類

確定申告書にはの二種類があります。どちらを使うかは納税者の状況により判断します。給与所得者や年金受給者は確定申告書を使います。個人事業主やフリーランスは確定申告書を使います。不動産所得がある会社員や年金受給者も確定申告書を使います。

確定申告するときに、配偶者控除を申告するための添付書類は特にありません。しかし、申告書に記載する部分がありますから、配偶者の所得やマイナンバーが必要です。申告書の作成前に必要な書類は準備しましょう。

必要書類

  1. 納税者本人の源泉徴収票
    1,000万円超の所得があると配偶者控除・配偶者特別控除を受けられないため所得確認に使います。
  2. 配偶者の源泉徴収票
    配偶者の所得から配偶者控除・配偶者特別控除の額を確認するために使います。
  3. 配偶者のマイナンバーカード
    配偶者控除・配偶者特別控除の対象となる場合は申告書に記載が必要ですので番号を確認するために使います

平成30年度分から配偶者のマイナンバーも必要に

2018年(平成30年)の税制改正から確定申告で配偶者控除を申告する場合は、納税者のマイナンバーだけではなく、配偶者のマイナンバーの記載が必須となりました。マイナンバーカードの写しの添付は不要で、申告書に記載するだけです。

確定申告書に記載する配偶者の情報

  • 氏名
  • 生年月日
  • マイナンバー
  • 年間合計所得

配偶者が海外にいる場合の添付書類

確定申告で配偶者控除を受けようとする配偶者が1年を超えて海外に居住している場合は、申告書に「親族関係書類」および「送金関係書類」の2つを添付する必要があります。

親族関係書類

配偶者控除を受けようとする国外居者が、納税者の配偶者であることを証明する書類です。

  • 戸籍謄本の写し
  • 国又は地方公共団体が発行した書類(住民票など)
  • 国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
  • 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(配偶者の氏名、生年月日および住所又は居所の記載があるもの)

送金関係書類の種類

納税者が国外居住配偶者の生活費などの費用を、必要の都度、国外居住配偶者に支払ったことを証明する書類。

  • 送金者が納税者で、送金先の口座が扶養控除の対象となる配偶者名義の振込用紙やその写し
  • クレジットカードやファミリーカードの利用料が納税者の口座から引き落としてされている利用明細書やその写し

どちらの書類も外国語で記載されている場合には翻訳文も添付する必要があります。また、上記の添付書類を年末調整のときに会社に提出していれば、源泉徴収票の配偶者控除額・配偶者特別控除額に内容が反映されています。そのため、確定申告書への添付は不要となります。

確定申告書における配偶者控除の書き方

確定申告書における配偶者控除の書き方
確定申告書における配偶者控除の書き方

確定申告書の配偶者控除の書き方について、確定申告書A・Bそれぞれの記入例を挙げてご説明します。源泉徴収票が手元にある会社員や年金受給者は確定申告書A、個人事業主やフリーランスまたは不動産所得などがある方は確定申告書Bです。

確定申告書Aの書き方

確定申告書Aの書き方についてご説明します。確定申告書は第一表と第二表がありセットで提出します。赤枠部分が配偶者控除を記入する部分です。第一表と第二表の記入の方法は「申告書の書き方」の通りです。

記入する前に配偶者の所得を確認して配偶者控除の対象なのか、配偶者特別控除の対象であれば控除を受けられる額を確認してから始めてください。

確定申告書A第一表

配偶者控除または配偶者特別控除の金額を左側の配偶者(特別)控除欄に記入します。その際、区分の□には「1」記載してください。また、右側の配偶者の合計所得欄は配偶者特別控除を受ける場合のみ記入します。

確定申告書A第一表
確定申告書A第一表 出典:国税庁

確定申告書A第二表

確定申告書A第二表
確定申告書A第二表 出典:国税庁

申告書の配偶者控除・配偶者特別控除の書き方

確定申告書A配偶者控除記入例
確定申告書Aの手引き 出典:国税庁

配偶者の所得や記入前に確認した控除を受けられる金額と、配偶者の生年月日・マイナンバーが必要になります。

参考:所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書A用)|国税庁

確定申告書Bの書き方

確定申告書Bの書き方についてご説明します。確定申告書は第一表と第二表がありセットで提出します。赤枠部分が配偶者控除を記入する部分です。第一表と第二表の記入の方法は「申告書の書き方」の通りです。

記入する前に配偶者の所得を確認して配偶者控除の対象なのか、配偶者特別控除の対象であれば控除を受けられる額を確認してから始めてください。

確定申告書B第一表

配偶者控除または配偶者特別控除の金額を左側の配偶者(特別)控除欄に記入します。また、確定申告書Aと同様に区分の□には「1」と記載してください。右側の配偶者の合計所得欄は配偶者特別控除を受ける場合のみ記入します。

確定申告書B第一表
確定申告書B第一表 出典:国税庁

確定申告書B第二表

確定申告書B第二表
確定申告書B第二表 出典:国税庁

申告書の配偶者控除・配偶者特別控除の書き方

確定申告書B配偶者控除記入例
確定申告書Bの手引き 出典:国税庁

配偶者の所得や記入前に確認した控除を受けられる金額と、配偶者の生年月日・マイナンバーが必要になります。

参考:所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書B用)|国税庁

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法についてご説明します。提出方法は基本的に次の①~③の方法です。

  1. 所轄税務署に持参する
    申告期間は税務署に時間外収受箱が設置されますので、時間外収受箱投函により提出することもできます。
  2. 所轄税務署に郵送する
  3. e-Taxで電子申請する
参考:国税庁 確定申告書等作成コーナー|国税庁

また、地域によっては確定申告期間中に確定申告の相談会場を設置している場合もあり、そちらでも確定申告書を提出することができます。配偶者控除や配偶者特別控除などの記入で迷ったら相談に行くのも一つの手です。

「入力用ファイル」の活用で計算・申告が簡単に

年末調整で配偶者控除を適用する場合には、「配偶者控除等申告書」の提出が必要です。

この申告書を作成する際に便利なのが、国税庁のサイトで公開されている「令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)」です。この申告書は、入力用のエクセルファイルですから、必要なデータを入力すれば、控除額が自動的に表示されます。

利用に際しては、 Excelがインストールされたパソコンが必要です。 なお、国税庁では、次のオペレーティングシスム(OS)と表計算ソフトの動作確認をしています。

OS……Microsoft Windows 7 / 8.1 / 10
表計算ソフト……Office Excel 2010 / 2013 / 2016 / 2019

ただし、業務上の支出が多い場合に申告する「特定支出控除」の適用を受ける場合や給与所得以外の所得がある場合は、入力用ファイルの利用はできません。

入力用ファイルは、次のサイトからダウンロードすることができます。

参考:令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)|国税庁

年金を受給しているときの配偶者控除

配偶者が70歳以上の場合の老人控除対象配偶者控除については先に説明をしたところですが、ここでは、配偶者が年金を受給している場合の配偶者控除についてみていきましょう。

配偶者が高齢の場合は控除額が増える

配偶者の収入は、公的年金等の源泉徴収票によって確認をしますが、年金の受給額がそのまま所得になるわけではありません。

国税庁の速算表によって所得金額の算出方法が、次のように示されています。

(65歳未満の場合)

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
70万円以下 0円
70万円超130万円未満 収入金額-70万円
130万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

(65歳未満の場合)

公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得の金額
120万円以下 0円
120万円超330万円未満 収入金額-120万円
330万円以上410万円未満 収入金額×0.75-37万5千円
410万円以上770万円未満 収入金額×0.85-78万5千円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5千円

これにより、配偶者が65歳以上の方が控除額が大きいこと分かります。

控除額の計算方法

年収が900万円以下の会社員の配偶者が年金を受給している場合、配偶者控除がどうなるのかをみていきましょう。

配偶者が65歳未満で、年金収入が108万円以下だと、速算表により所得は108万円-70万円=38万円となるので、配偶者控除を受けることができます。

また配偶者が65歳以上で、年金収入が158万円以下だと、158万円-120万円=38万円となり、配偶者控除を受けることができます。

なお、ここでの年齢は、その年の12月31日時点におけるものです。

配偶者が育児休暇中の配偶者控除

共働き夫婦の場合、通常は配偶者控除とは無縁ですが、妻が育児休暇中であれば、その年は配偶者控除が適用される可能性があります。実際、どういった条件であれば配偶者控除が適用されるのかみていきましょう。

育休中でも配偶者控除を受けることができる

妻が出産した場合、健康保険組合から「出産手当金」と「出産育児一時金」が支給されます。また雇用保険から「育児休業給付金」が支給されることになります。

しかしこれらの支給金は所得税法上、課税される収入の扱いを受けないので、税金の対象にはなりません。このため、その年の給与が、103万円以下であれば配偶者控除を受けることができます。

年収600万円でいくら節税できる?

配偶者控除が適用されると、所得金額が抑えられるため、それに伴い税額が下がります。年収600万円の会社員の場合、いくら節税ができるのかみていきましょう。

  • 所得税 38万円(配偶者控除額)×20%(税率)=76,000円
  • 住民税 33万円(配偶者控除額)×10%(住民税率)=33,000円
  • 合計 76,000円+33,000円=109,000円(節税額)

これにより、税率20%が適用される会社員の場合、配偶者控除を受けることにより、109,000円の節税ができることが分かります。

配偶者控除の申請し忘れや誤りを発見したら

配偶者控除の申請し忘れや誤りを発見したら
配偶者控除の申請し忘れや誤りを発見したら

年末調整で配偶者控除の申告をし忘れていた場合は、確定申告で配偶者控除の申請ができます。確定申告の期限は基本的に毎年2月16日〜3月15日です。2019年分の確定申告期限は2020年2月17日から3月16日です(原則の期限日である3月15日が日曜日のため、翌平日である3月16日が期限となります)。

配偶者が働いている場合は、納税者が年末調整の書類を提出している時期に配偶者も年末調整を行っているので正確な所得は源泉徴収票をもらうまでわかりません。そのため、配偶者の源泉徴収票をみて予想より所得が少なく配偶者控除の対象外であったなんてこともあり得ます。その場合は確定申告して正しい申告をしてください。

過去5年間以内の申請し忘れは還付申告する

配偶者控除の申請し忘れがあった場合に確定申告の期限に気づけばよいのですが、気づかない場合もあります。配偶者控除の申請を忘れた場合は、還付される所得税を少なく申告したことになりますから、所轄の税務署に「更正の請求」をすることになります。

更生の請求期限は、確定申告の法定申告期限から5年以内ですので、5年度分までさかのぼって更正の請求をすることができます。更正の請求書の提出には、その事実を証する書類の添付が必要です。配偶者控除を受ける場合は「配偶者の源泉徴収票」を添付します。添付書類をもとに内容を調査し、正当だと認められたときは、減額更正の通知が届き、納め過ぎの税金が還付されます。

更正の請求書
所得税及び復興特別所得税の更正の請求書 出典:国税庁

記入方法は、上部の氏名等と更正の請求をする理由など記入し、誤って申告した確定申告書の内容を「申告し又は処分の通知を受けた額」転記します。右横の「請求額」には正しい内容の配偶者控除と再計算した所得税を記入します。還付される税金の受取場所には振込を希望する銀行口座の内容を記入します。振込口座は納税者名義のものに限られます。

更生の請求書は持参でも郵送でも受け付けてくれます。また、書面以外にも、e-Taxでも更正の請求手続きをすることができます。e-Taxの場合、画面上で更正の請求をする年度を選び進めます。

参考:国税庁 確定申告書等作成コーナー|国税庁

過去の申告に誤りを発見したら

配偶者(特別)控除を適用して確定申告をしたあとに適用できないことが分かった、または多く控除しすぎたなど、確定申告した過去の申告に誤りを発見したら所轄の税務署に修正申告します。修正申告の期限は、確定申告の法定申告期限から5年以内ですので、5年度分までさかのぼって修正申告をすることができます。

修正申告には①修正申告書と②確定申告書Bの2つを提出します。添付書類はありません。ただ、不足分の税金を納める納付書が必要となります。

参考:申告書第五表(修正申告・別表)【平成29年分以降用】(PDF/520KB)|国税庁
参考:申告書B【平成30年分以降用】(PDF/611KB)|国税庁
参考:修正申告書の記載例|国税庁

確定申告の誤りに気づいたら早急に修正申告してください。修正申告した時点で納めるべき期日までに税金を納めなかったとして延滞税が課せられますが、延滞税は延滞した日数で計算されますので早く修正申告したほうが税額は少なくすみます。また、自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税が課されませんが、税務署の調査で発覚すると過少申告加算税が課せられます。

会社員で年末調整に誤りがあった場合は、そのまま配偶者控除の申告を誤ったままにしておくと、翌年秋頃に税務署から会社あてに是正書類が届きます。会社を通して正しい申告をし直し、会社経由で不足分の所得税を納付することになります。

修正申告は持参でも郵送でも受け付けてくれます。また、更生の請求と同様に書面以外にも、e-Taxでも手続きをすることができます。e-Taxの場合、画面上で修正申告する年度を選び進めます。

参考:国税庁 確定申告書等作成コーナー|国税庁

また、過去の申告ではなく、確定申告の期限内の申告について修正したいのであれば、再度、正しい確定申告書を提出するだけで処理はすみます。

配偶者と離婚又は死別した場合の配偶者控除

配偶者と離婚又は死別した場合はどうなるか?
配偶者と離婚又は死別した場合はどうなる?

予期せぬ配偶者との離婚や死別は配偶者控除に影響します。確定申告ならば、翌年になってからの申告ですから、基準となる12月31日時点の現況で申告できます。しかし、会社で行う年末調整は年内に処理を行っている関係で、タイミングによっては源泉徴収票の税額が正しく計算されないことになります。配偶者と離婚又は死別した場合の対応につて説明します。

配偶者と離婚した場合

確定申告で認められる配偶者控除は、その年の12月31日時点で婚姻関係にある配偶者です。そのため、年の途中で離婚した配偶者は配偶者控除の対象外となります。

会社員で年初に配偶者として「給与所得者の扶養控除等申告書」で申告している場合でも、離婚した時点で申告書を提出し直すことになります。その場合は、すでに給与引きされた経過月分の所得税は年末調整で精算されます。

配偶者と死別した場合

配偶者が年内に死亡した場合の配偶者控除は、死亡した配偶者のその年の所得により決まります。その年の12月31日時点で亡くなっていても、所得が条件の38万円以下であれば確定申告で配偶者控除を受けることができます。

また、年の中途で配偶者と死別し、その年の12月31日までに再婚した場合で、どちらも、配偶者控除を受ける条件を満たしていれば、死亡した配偶者か再婚した配偶者のいずれか1人に限り配偶者控除を受けることができます。どちらを申告するかは任意です。これは配偶者特別控除も同様です。

配偶者控除を正しく申告して節税しよう

配偶者控除を正しく申告して節税しよう
配偶者控除を正しく申告して節税しよう

配偶者控除や配偶者特別控除は所得税を計算するもととなる課税所得から引くことのできる控除金額です。単純に配偶者控除や配偶者特別控除の金額に税率をかけた分だけ納める所得税が減ります。以下の要件に該当するようなら配偶者として申告できる可能性がありますから確定申告する前に確認してください。

【配偶者として控除を申告できる条件】

① 納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
② 配偶者と婚姻関係にあること(内縁関係の人は該当しません)。
③ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
④ 年間の合計所得金額が38万円以下(配偶者特別控除は123万円以下)
⑤ 青色申告者の事業専従者又は白色申告者の事業専従者でないこと。

また、会社で行う年末調整で申告を忘れていれば確定申告で申請できますし、確定申告で忘れていれば更生の請求として所得税の還付を請求することができます。正しい処理をすれば節税になります。配偶者控除や配偶者特別控除を正しく理解して確定申告するようにしましょう。

監修税理士のコメント

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

近年税制改正によって配偶者控除及び配偶者特別控除は大きく変更されました。具体的には収入が多い方について配偶者控除及び配偶者特別控除の適用が縮小されております。これによって本人の所得と配偶者の所得の両方が絡み合って適用の有無や控除額が変わってきますので、複雑に感じると思います。特に控除額については表などをきちんと確認して間違いがないよう注意しましょう。
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この記事を監修した税理士

高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷

こんにちは、高崎文秀税理士事務所の税理士高崎と申します。 当事務所は文京区の総武線水道橋駅から徒歩4分と利便性が高く、税務顧問を月額1万円~の低価格で品質の高いサービスをご提供する税理士事務所です。 創業3年以内の個人事業者・法人については税務顧問を月額1万円、決算料なし(年12万円+年調等1万円、合計13万円)からご提供しております。 創業したばかりでお金と時間に余裕がない、という方でも経理や税金のことを心配せず、本業に集中して頂き、1日でも早く事業を軌道に乗せて頂くお手伝いができればと考えております。
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