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配当控除でいくら戻る?申告すべき場合・計算方法を解説

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最終更新日: 2023年01月25日

パソコンはもちろんスマホからの取引など、最近はサラリーマンでも気軽に株式投資ができる時代です。

そんな中「株式投資にかかる配当金の税金ってどうなるのだろう」「確定申告すれば税金が戻ってくるって本当?」などの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

配当金の確定申告で税金がいくら戻るのかを左右する「配当控除」について、お得になるケースや注意点などをわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

 
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配当控除とは

複数のパソコンで株取引を行う女性

配当控除とは、配当金の確定申告時に適用できる税額控除のことです。配当金の収入を確定申告する場合「総合課税」か「分離課税」のいずれかの計算方法で所得計算しなければなりません。このうち「総合課税」を選択した場合に適用できる税額控除が「配当控除」です。

配当控除は生命保険料控除や社会保険料控除などの所得控除とは異なり、所得税額から直接控除できる「税額控除」なので高い節税効果があります。

配当控除は二重課税を調整するためにある

配当控除が設けられている理由は税金が二重に課税されることを調整するためです。

通常、国内株式における配当金は法人の確定申告後のお金が原資となっています。そのため、個人が受ける配当金は法人税が課税されたあとのお金です。この配当金に所得税がそのまま課税されてしまうと、結果として法人税と所得税の2つが課税されていることになります。

この法人税と所得税の二重課税を調整するために配当控除が設けられているのです。

総合課税で申告した場合に適用される

配当控除は総合課税で申告した場合に適用されます。総合課税とは、1年間のすべての所得を合計して税額を計算する方法のことです。

他の所得と合算しない代わりに、上場株式などの損失との損益通算ができる申告分離課税制度では、配当控除は適用されません。

関連記事:総合課税とは? 分離課税との違いや計算方法をわかりやすく解説|ミツモア

税率は課税所得金額によって異なる

配当控除の税率は配当所得を含む課税所得金額によって異なります。

【配当控除税率表】

課税総所得金額
(配当含む)
所得税
配当控除税率
住民税
配当控除税率
1,000万円以下 10% 2.8%
1,000万円超 5% 1.4%

配当控除は年末調整で申請できない

配当控除を適用する場合には、必ず確定申告を行なう必要があるため注意が必要です。会社員など給与所得者の場合は会社の年末調整で所得税の納税手続きまで行なわれますが、年末調整では配当控除を適用できません。

年末調整はあくまでも給与所得に関する申告手続きです。配当所得のような給与以外の所得がある場合や、給与とは関係のない配当控除といった特殊な控除を適用したい場合は確定申告が必要です。

配当控除の対象とならない配当

ノートパソコンをタイピングする人の手元

配当控除は原則として総合課税を選択した配当金に適用することができますが、すべての配当金が対象となるわけではありません。

【配当控除の対象とならない配当の例】

  • 基金利息
  • 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る配当等
  • 国外私募公社債等運用投資信託等の配当等
  • 外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等
  • 特定外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当等
  • 適格機関投資家私募による投資信託から支払を受けるべき配当等
  • 特定目的信託から支払を受けるべき配当等
  • 特定目的会社から支払を受けるべき配当等
  • 投資法人から支払を受けるべき配当等
  • 確定申告不要制度を選択したもの
  • 申告分離課税制度を選択したもの

外国株式の配当金には適用不可

配当控除は国内株式の配当金に対する制度なので、外国株式の配当金に対しては適用できません。

なお外国株式の配当金については、外国で源泉徴収された税金を免除する制度(外国税額控除)があります。そのため、外国への投資でも税金面で不利ということはありません。

特定口座(源泉徴収あり)で配当控除を利用する場合の注意点

メガネを掛けた女性

源泉徴収のある特定口座で配当控除を利用する場合、譲渡損失を申告する場合は配当全額を申告しなければなりません。また口座ごとに総合課税を選ばなければならない点も注意が必要です。

特定口座は確定申告の負担を減らすために非常に便利な口座ですが、いくつかの注意点を把握しておかなければ大きな損をしてしまう可能性もあります。

譲渡損失を申告する場合は配当全額を申告する必要がある

特定口座では株式等にかかる譲渡損失を確定申告する場合、配当金額をあわせて申告する必要があります。

<株式等の譲渡益と配当金がある場合>

株式等の配当金 申告または、申告不要(総合課税または申告分離課税のいずれか)
株式等の譲渡益 申告または、申告不要

配当金と譲渡益がある場合はどちらかのみの申告で問題ありません。

<株式等の譲渡損と配当金がある場合>

株式等の配当金 譲渡損を申告する場合は申告(総合課税または申告分離課税のいずれか)
株式等の譲渡益 申告または、申告不要

譲渡損失が発生し翌年以降に発生する譲渡益と損益通算を行なう場合は、配当金も申告対象となります。

口座ごとに総合課税を選択しないといけない

特定口座では申告の有無を口座ごとに選択する必要があります。

配当金は「一般口座」と「特定口座」のいずれかの口座で取引する必要があり、それぞれで課税方式が異なるため注意しましょう。

【一般口座の場合】

一般口座では配当金ごとに課税方法を選択可能です。

<例>

A社の配当金:総合課税を選択

B社の配当金:申告しない

C社の配当金:総合課税を選択

【特定口座の場合】

特定口座の場合は配当金ごとに課税方法を選択することができないので、口座ごとに選択します。

<例>

Aの口座:総合課税を選択

Bの口座:申告しない

Cの口座:総合課税を選択

また総合課税ではなく分離課税を選択する場合は、一般口座の場合でも配当金ごとの選択はできません。その場合は配当金のすべてが分離課税の対象になります。

【有利】課税総所得額900万円以下の人

青いグラフとノートパソコン

課税総所得額が900万円以下の場合は、配当控除を活用して確定申告した方が有利です。以下の3つのパターンに分けて、それぞれの税率を見ていきましょう。

パターン1:所得税、住民税ともに申告しない

パターン2:所得税、住民税ともに総合課税で確定申告

パターン3:所得税は総合課税、住民税は申告しない

【課税総所得額別の税率】

課税総所得額 パターン1 パターン2 パターン3
~330万円 20% 7.2% 5%
~695万円 20% 17.2% 15%
~900万円 20% 20.2% 18%
~1,000万円 20% 30.2% 28%
~1,800万円 20% 36.6% 33%

課税総所得額が900万円以下の場合、総合課税で確定申告をして、住民税申告不要制度を活用することで税額が下がることがわかります。

そして900万円を超える場合は所得税・住民税ともに申告しないパターンが最も有利な組み合わせとなります。

住民税は申告不要制度を利用すればデメリットなし

確定申告は所得税だけでなく、住民税や国民健康保険税の税額にも影響を与えます。そのため配当金を確定申告した場合、住民税などが多くなってしまうデメリットがあります。

しかし住民税の「申告不要制度」を活用すれば、このデメリットは解消可能。例えば次のように、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できます。

  • 所得税の計算では配当金を含めて確定申告を行ない、配当控除などを受ける
  • 住民税の計算では申告不要制度を適用し、収入金額を最低額に抑える

この住民税の申告不要制度についてはこれまでも存在した制度ですが、従来では確定申告書を税務署に提出後、所定の文言を記載した住民税の申告書を市区町村へ提出する必要があり、納税者にとって手続きが面倒ということで大きなデメリットとなっていました。

しかし、令和3年(2021年)分の確定申告からは所得税の確定申告書に「住民税の申告不要制度に関する適用の有無」を記載する欄が設けられているため、手続きも簡単にできます。

配当控除の計算のやり方

パソコン操作をする若い女性の手元

配当金の確定申告をおこなうかどうかの判定は配当控除の計算のやり方や、流れを正しく把握しておく必要があります。

配当控除の金額などを考慮したうえで確定申告したほうがよいのかを判断する必要がありますが、その前に所得税や住民税の税率についても把握しておく必要があるため、まずはそこから確認していきましょう。

配当控除の税率【所得税・住民税】

配当金を受け取る際は所得税が一定の税率で源泉徴収されています。この所得税の源泉徴収税率については所有する株式が上場企業であるかや、配当金の金額によって異なります。

そのため、確定申告をおこなうかどうかの判断については、次の2点を比較することが重要です。

  • 配当金を除いた状態で税率がいくらであるか
  • 配当金を含めた状態で税率がいくらであるか

まずは下記の税率表を参考に、配当金を計算に含める場合とそうでない場合の税率を比較するところから始めてみましょう。

【所得税の税率表】

課税所得 申告しない場合 申告する場合
以下 源泉徴収税率 総合課税 申告分離課税
195万円 15.315% 0% 15.315%
195万円 330万円 15.315% 0% 15.315%
330万円 695万円 15.315% 10.210% 15.315%
695万円 900万円 15.315% 13.273% 15.315%
900万円 1,000万円 15.315% 23.483% 15.315%
1,000万円 1,800万円 15.315% 28.588% 15.315%
1,800万円 4,000万円 15.315% 35.735% 15.315%
4,000万円超 15.315% 40.840% 15.315%

【住民税の税率表】

課税所得 申告しない場合 申告する場合
源泉徴収税率 総合課税 申告分離課税
1000万円以下 5.0% 7.2% 5.0%
1000万円超 5.0% 8.6% 5.0%

※上記の税率表は配当控除を考慮した税率です

課税所得額700万円の場合の計算例【シミュレーション】

課税所得が700万円、うち配当所得が50万円である場合における配当控除額を計算してみましょう。

【配当控除額の計算式】

配当控除額 = 配当所得 × 10%

ただし、課税所得が1,000万円を超える場合は、1,000万円を超える金額の控除割合が半分となるため注意が必要です。今回の事例では1,000万円を超えていないため、原則どおりの計算となります。

詳細な配当控除の計算の流れは下記のとおりです。

配当所得の金額(第一表3欄の金額) 500,000円 A
課税所得金額(第一表21欄の金額) 7,000,000円 B
B - 1,000万円(赤字のときは0円) 0円 C
A - C 500,000円 D
D × 0.1 50,000円 E
(A - D) × 0.05 0円 F
配当控除額(E + F) 50,000円 G

【計算式解説】

①A:配当所得の金額をそのまま記載 → 500,000円

②B:課税所得の金額をそのまま記載 → 7,000,000円

③C:7,000,000円 - 10,000,000円 = △3,000,000円

     △3,000,000円 < 0円 → 0円

④D:500,000円 - 0円 = 500,000円

⑤E:500,000円 × 0.1 = 50,000円

⑥F:(500,000円 - 500,000円) × 0.05 = 0円

⑦G:50,000円 + 0円 = 50,000円

課税所得が10,000,000円を超える場合は上記計算の流れ「C」の箇所がプラスになるため最終的な配当控除の金額に影響を与えます。

上記の計算で配当控除の金額を算出し、配当金の確定申告を行ったほうがよいのかどうかを適切に判断していきましょう。

投資信託の収益分配金にかかる配当控除

株価チャートをパソコンで確認する様子

投資信託の収益分配金にも株式配当金と同様、配当控除があります。ただし、配当控除率については、投資信託の内訳(組入れ比率)によって異なり、場合によっては配当控除の適用なしもあります。

簡単に言うと、国内資産への投資割合が多ければ多いほど配当控除率は上がりますが、多くても株式配当金の場合の半分となります。

【収益分配金の配当控除税率表】

  外貨建資産と非株式の組入比率
50%以下50%超75%以下75%超
課税総所得金額
(配当含む)
1,000万円以下所得税5%所得税2.5%控除なし
住民税1.4%住民税0.7%
1,000万円超所得税2.5%所得税1.25%・住民税0.35%控除なし
住民税0.7%

例えば、投資信託の投資内訳で外貨建資産が50%以下の場合は、課税所得額500万円で、年間10万円の分配金(源泉徴収前)を受け取った場合、所得税は10万円×5%=5,000円、住民税は10万円×1.4%=1,400円の控除が受けられます。

監修税理士からのコメント

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

配当控除を受けたほうが有利となる一つの基準として、課税総所得金額900万円以下というものがあります。但し、配当控除を受けるためには、別途確定申告を行う必要があるため、申告の手間を考慮する必要があります。 また、自営業者などの場合、総合課税にて配当控除を受けたものの、国民健康保険料が増加してしまったりするため、総合的な支払額も考慮して配当控除を受けたほうが良いのか検討いただければと思います。
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この記事の監修税理士

風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川

風間優作(かざまゆうさく) 1985年千葉県銚子市出身。兵庫県立大学大院卒業。 上場会社経理部にて一般経理実務を経験した後、Big4監査法人及び税理士法人にて、公認会計士・税理士としての実務を経験し独立開業を果たす。現在は会計監査やIPO実務だけではなく、個人・法人税務からM&Aや事業承継に係る税務業務まで幅広く対応している。
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