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総合課税とは? 分離課税との違いや計算方法をわかりやすく解説

最終更新日: 2021年04月06日

所得税の計算方法には、総合課税と分離課税の2種類があります。どちらの計算方法を使うかは所得の種類によって異なるので、税額計算を間違えないためにも所得税の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では総合課税の概要と対象所得について説明し、計算の仕方や分離課税との違い、総合課税の場合に確定申告書を書く方法についてもわかりやすく紹介します。

この記事の監修税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

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総合課税の概要と対象の所得

総合課税の概要と対象の所得
総合課税の概要と対象の所得

総合課税とは、1年間の所得をすべて合計して税額を計算する方法です。所得の合計金額に所得税率を乗じて計算します。

ここでは、総合課税とはどのような方法なのかについて概要を説明し、総合課税の対象になる所得や詳しい計算方法について紹介しましょう。総合課税にすることで得られるメリットについても解説します。

総合課税とは

1月1日から12月31日の1年間に得た所得には所得税がかかります。総合課税とは所得税の計算方法の1つです。

総合課税により所得税を計算するときには、対象となる所得をすべて合計したあと、所得控除があれば所得の合計額から差し引いて税率を掛けます。総合課税を簡単に言えば、対象となる所得を総合して税額を計算する方法です。

総合課税の他に分離課税という計算方法がありますが、所得税の計算は総合課税が基本になります。ここでは、総合課税の対象になる所得と計算方法について紹介しましょう。

総合課税の対象となる所得

課税対象になる所得は10種類ありますが、そのうち総合課税の対象になるのは山林所得と退職所得を除く次の8種類です。

  • 利子所得:国外で支払われる預金等の利子など
  • 配当所得:法人から受け取る剰余金の配当など
  • 不動産所得:家賃や地代、権利金、礼金など
  • 事業所得:営業や農業から得られる所得など
  • 給与所得:会社員が勤務先から得る給料、パート・アルバイトの収入、賞与など
  • 譲渡所得:ゴルフ会員権や機械などを譲渡して得られる所得など
  • 一時所得:生命保険や損害保険の一時金や満期返戻金、懸賞の賞金品、立退料など
  • 雑所得:公的年金や年金払いの保険金、原稿料や講演料など他の所得のいずれにもあたらないもの

ただし、上記の所得区分に分類される所得であっても、総合課税ではなく分離課税が適用されるものもあります。例えば、土地や建物を譲渡したことによる譲渡所得は分離課税の対象です。

総合課税の計算方法

総合課税の計算では、対象となる所得をすべて合計します。所得控除があればそこから差し引き、課税所得金額に応じた所得税率を乗じて納税額を求める方法です。計算式は以下のようになります。

(総合課税の対象となる所得の合計額 − 所得控除の合計額) × 所得税率 – 控除額 = 所得税額

所得税率は5%から45%の7段階に区分され、課税所得が多いほど税率が高くなる仕組みです。所得税率と控除額に関しては、下記の速算表で確認してください。

所得税の速算表
所得税の速算表

所得税を計算する際に所得から一定の金額を差し引く所得控除は、納税者のさまざまな個人的事情に合わせ負担を軽減する制度で、基礎控除・配偶者控除・社会保険控除・医療費控除・生命保険料控除をはじめ、様々な所得控除あります。

所得控除に関しては下記の記事で解説しています。

総合課税を選択すれば、所得税と住民税の負担を減らせる?

所得によっては総合課税だけでなく、分離課税もしくは申告不要という方法も選べます。

例えば上場株式の配当の場合、受け取るときに所得税と住民税で20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉徴収が行われるため、すでに納税は完了しています。そのため、確定申告をしないで納税を終わらせることも可能です。

しかし、確定申告をすれば、所得税と住民税の負担を減らせる場合があります。課税所得が900万円以下の場合、総合課税を選ぶことで累進税率が適用になり、所得税の税率が源泉徴収された15.315%よりも低くなるからです。

一方、住民税は確定申告した場合10%になり、源泉徴収の5%よりも税率が高くなります。そのため、所得税は総合課税で確定申告し、住民税は申告不要を選択するのが一番お得な方法といえるでしょう。

課税所得が900万円を超える場合は、累進税率が源泉徴収の税率よりも高くなるため、申告不要もしくは分離課税を選択する方が納税額が低くなります。

分離課税の概要と対象所得

分離課税の概要と対象所得
分離課税の概要と対象所得

所得税の計算方法には総合課税の他に分離課税があります。課税の基本となるのは総合課税で、分離課税は例外的な方法と考えてよいでしょう。総合課税は累進税率で所得が多いほど税率が高くなるのに対し、分離課税は所得ごとに別途定められた税率が適用されます。

ここでは分離課税の概要や、対象となる所得について紹介しましょう。

分離課税とは

分離課税とは、他の所得と合計せず、独自の税率を乗じて所得税を算出する計算方法です。分離課税の方式には、源泉分離課税と申告分離課税の2種類があります。

源泉分離課税

源泉分離課税とは、報酬を支払う時点で所得税を源泉徴収する方法です。特定の所得につき、他の所得とは完全に分離して所定の税率で課税され、所得から差し引かれます。

2021年(令和3年)1月現在の源泉分離課税の税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。例えば1万円の利息を受け取る場合、20.315%の2,031円が差し引かれて7,969円を受け取ることになります。この源泉徴収により納税は完了し、確定申告をする必要はありません。

なお一定の割引債の償還差益については、源泉徴収税率が20.315%ではなく18.378%となります(特定のものは16.336%)。

申告分離課税

申告分離課税は、確定申告の段階で分離課税を行う方法です。申告の際に分離課税の対象になる所得を分離し、それぞれ申告する必要があります。

申告分離課税については下記の記事で詳しく解説しています。

分離課税の対象となる所得

分離課税の対象になるのは以下に記載する8つの所得です。同じ所得区分に分類される所得でも、内容によって総合課税が適用されるのか分離課税が適用されるのか課税方法が異なります。

  • 事業所得:事業規模で行う、株式譲渡や先物取引など
  • 利子所得:預貯金や特定公社債の利子など
  • 山林所得:所有期間が5年を超える山林を伐採して譲渡した場合など
  • 譲渡所得:土地や建物、借地権、株式譲渡など
  • 雑所得:株式譲渡の収益、FXや先物取引など
  • 配当所得:上場株式の配当、公募株式等証券投資信託の収益分配など
  • 退職所得:退職金や一時恩給、確定給付企業年金法や確定拠出年金法による一時払の老齢給付金など
  • 一時所得:保険・共済期間が5年以下の一定の一時払養老保険や一時払損害保険など

総合課税と分離課税の対象所得の違い

給与所得と不動産所得、退職所得、山林所得以外の6つの所得は、同じ所得でも総合課税と分離課税に分かれるため注意が必要です。

株式譲渡は事業で行った結果の収益かどうかの違いで事業所得や雑所得、譲渡所得に分類されますが、どの所得の場合でも分離課税になります。雑所得にあたるFXや先物取引による利益も、分離課税の対象です。

配当所得である株式の配当金や投資信託などの分配金は源泉分離課税の対象となり、支払われる際に源泉徴収されています。

ただし、配当所得の種類によっては総合課税にするか申告分離課税にするかを確定申告の際に選ぶことも可能です。総合課税か申告分離課税のどちらが得かを考えて選ぶとよいでしょう。

総合課税の確定申告書の書き方

総合課税の確定申告書の書き方
総合課税の確定申告書の書き方

確定申告は所得の内容により使用する用紙が異なるため、申告する所得に合った確定申告書を用意します。第一表と第二表があり、順序を考えて記入することが必要です。

ここでは、総合課税で確定申告をする場合について図を見ながら説明しましょう。配当所得や譲渡所得がある場合を例にして、実際の書き方を紹介します。

確定申告書Aと確定申告書Bを準備

総合課税の確定申告をする際には、まず確定申告書を用意しましょう。確定申告書は確定申告書Aと確定申告書Bの2種類あり、どちらの申告書を使うのかは申告する所得によって異なります。所得に合った確定申告書を準備してください。

  • 確定申告書A:申告する所得が給与所得や公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで予定納税額がない場合に使う申告書
  • 確定申告書B:所得の種類にかかわらず誰でも使える申告書

確定申告書のAとBの違いは上記のとおりなので、例えば給与所得や雑所得、配当所得、一時所得がある人は一般的に確定申告書Aを使います。確定申告書Aでは申告できない譲渡所得や利子所得、事業所得、不動産所得がある人は確定申告書Bを使って申告してください。

第二表の「所得の内訳」を記入

総合課税の対象となる所得の申告で使う確定申告書には第一表と第二表があり、まず第二表から記入していきます。

最初に第二表の「所得の内訳」を記入しましょう。上場株式の配当金が100,000円(源泉徴収税額が20,315円)の場合は次のように記入します。

確定申告書Aの記入例
確定申告書Aの記入例

第二表の「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」を記入

確定申告書Bの第二表には「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」を記入します。5年以上保有したゴルフ会員権の譲渡所得600,000円(必要経費100,000円)の例を見てみましょう。

確定申告書Bの記入例
確定申告書Bの記入例

第一表の「収入金額等」「所得金額等」を記入

第一表の「収入金額等」「所得金額等」を記入
第一表の「収入金額等」「所得金額等」を記入

第二表に記入した「所得の内訳」「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」をもとに、第一表の「収入金額等」を記入します。

「所得金額等」には、給与所得の場合は給与所得控除を、事業所得や雑所得などの場合は必要経費を差し引いた金額を記入してください。

第二表の「所得から差し引かれる金額に関する事項」を記入

第二表の「所得から差し引かれる金額に関する事項」を記入
第二表の「所得から差し引かれる金額に関する事項」を記入

総合課税の対象になる所得から差し引く所得控除がある場合、第二表に記入します。

第一表の「所得から差し引かれる金額」を記入

第一表の「所得から差し引かれる金額」を記入
第一表の「所得から差し引かれる金額」を記入

第二表に記入した内容をもとに、第一表の「所得から差し引かれる金額」を記入します。総合課税の対象になる所得から差し引くものです。第二表での記入欄はありませんが、基礎控除も忘れずに記入しましょう。

会社員などの給与所得者で年末調整で受けた所得控除に変更がない場合、源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」欄の数字を㉑「⑨から⑳までの計」と㉕「合計」に転記するだけでも大丈夫です。

所得税額と復興特別所得税額を計算して第一表の「税額の計算」欄へ記入

所得税額と復興特別所得税額を計算して第一表の「税額の計算」欄へ記入
所得税額と復興特別所得税額を計算して第一表の「税額の計算」欄へ記入

第一表の「所得金額等」の合計額から「所得から差し引かれる金額」の合計額を引いて、「課税される所得金額」の欄に記入します。「課税される所得金額」に応じた所得税率を掛けて所得税額を算出します。所得税率は以下の速算表から確認可能です。

所得税の速算表
所得税の速算表

例えば課税される所得金額が200万円だった場合、所得税率は10%、控除額は97,500円なので、所得税額は、

200万円 × 10% – 97,500円 = 102,500円

となります。この102,500円を「課税される所得金額」の下の欄に記入してください。配当控除などの税額控除があれば、それらを該当する欄に記入していきます。

2037年までは、所得税だけでなく復興特別所得税の計算も必要です。復興特別所得税の税率は所得税額に対して2.1%なので、上記の102,500円に対する復興特別所得税の計算式は、

102,500円 × 2.1% = 2,152.5円

となり、端数は切り捨てた税額2,152円を「復興特別所得税額」の欄に記入してください。算出した所得税額と復興特別所得税額の合計が、給与や報酬から源泉徴収された額の合計「源泉徴収税額」よりも高ければその差額を納付し、低ければその差額の分だけ還付を受けられます。還付を受けられる場合は、その下の「還付される税金の受取場所」欄の記入も忘れないようにしましょう。

監修税理士のコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

分離課税で計算するのは「譲渡所得」(譲渡所得のうち土地・建物等及び株式等の譲渡所得)、「退職所得」、「山林所得」の3つのみです。分離課税は特定の所得のみを単独で計算して課税額を決定するため、総合課税の対象所得がいくらであろうと、課税額は変わりません。
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この記事を監修した税理士

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仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。
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