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申告分離課税とは?選択すると所得税が節税できるケースも

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最終更新日: 2019年08月07日

「株の配当は申告分離課税にしたほうがいいらしいよ」そんな言葉を聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、上場株式等の配当所得は「総合課税」か「申告分離課税」かを選ぶことができ、後者の申告分離課税の方が税率が低くなる例があります。

記事ではそもそも「申告分離課税」とはなにか、株の配当の税務申告時に申告分離課税を利用して所得税を節税するテクニックなどをご紹介します。

申告分離課税って何?総合課税との違いを理解しよう

申告分離課税について説明する税理士
申告分離課税とは?

「申告分離課税」は所得税の課税制度の1つですが、聞きなれない方も多いのでは。「申告分離課税」とはどのようなものなのか。制度の概要を理解するために、まずは所得税の課税制度の種類とそれぞれの課税制度での所得税計算の基礎を知っておきましょう。

所得税の課税方法は総合課税と分離課税に分けられる

所得税の課税方法は、「総合課税」と「分離課税」の2種類に分けられます。それぞれについて、確認しておきましょう。

所得税の「総合課税」とは

さまざまな所得を合算した総所得金額に課税する方法であり、原則的に所得税は総合課税で計算します。総合課税される所得の種類は、以下の通りです。

利子所得と配当所得のうち源泉分離課税しない所得

  • 不動産家賃収入
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 株式・建物・土地を除く譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

所得税の「分離課税」とは

分離課税は所得全体に課税する総合課税と対照的に、ほかの所得とは合算しないで別々に課税する方法です。分離課税される所得の種類は以下の通りです。

  • 利子所得・配当所得のうち源泉分離課税しない所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 株式・建物・土地などの譲渡所得

上記また、に加えて、一定の先物取引による雑所得などについては、申告分離課税です。配当所得のうち源泉分離課税しないものは、総合課税と分離課税のどちらで計算するかを選択することができます。

総合課税と分離課税があるのはなぜ?

日本の所得税の税率は、「累進課税制度」をとっているので、所得が高ければ高いほど税率が高くなります。

所得税の課税方法の原則は総合課税なので、さまざまな所得を合算して所得税を計算します。つまり、たくさんの収入があればあるほど税率が高くなっていきます。

つまり総合課税では、たまたまその年に一時的に収入が多くなってしまった場合に、高い税率で所得税が課されてしまいます。たとえば、長期間持っていた土地や建物を売却した場合、その値上がり益はその年だけで発生したものではなく長期間をかけて値上がりしたものなので、ほかの所得と合算して同じように総合課税で課税すると不公平が生じます。

そこで分離課税で別の方法で所得税を計算するのです。ほかの分離課税で課税される所得についても、総合課税で課税することが不公平であったり政策的な理由から、ほかの所得とは別に分離課税で課税されています。

分離課税のうち、申告分離課税する所得の種類は

分離課税は、不公平をなくしたり政策的な理由から、ほかの所得とは別に課税する方法です。分離課税の方法は、「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分けられます。

「申告分離課税」と「源泉課税」とは

「申告分離課税」とは、分離課税の所得を確定申告によって納税する課税方式です。一方の「源泉分離課税制度」とは、先に所得税を控除してから支払われるもので、支払側が収入を受取る人のかわりに所得税を納付します。つまり、所得税が源泉徴収され天引きされるもので、既に所得税は収入から差し引かれているために、その収入についてかかる所得税については、確定申告で納付する必要はありません。源泉分離課税のものは、利子所得や配当所得などがあります。

申告分離課税する所得

  • 退職所得
  • 山林所得
  • 株式・建物・土地などの譲渡所得
  • 一定の先物取引による雑所得

ただし、譲渡所得の中でも特定口座で源泉徴収ありを選んだ場合などは、別の取扱いをする場合もあります。

分離課税に申告分離課税と源泉分離課税があるのはなぜ?

源泉分離課税のもので代表的なものに、預金の利子があります。預金の利子も収入なので、所得税が課されます。しかし、預金の利子についての所得税を気にする人は、ほとんどいませんよね。それは、預金の利子を受け取るときに既に所得税が差し引かれているからです。もし、この預金の利子を総合課税や申告分離課税の方法で課税するとなると、収入に比べて手間がかかり税務署の事務処理量も多くなります。確実に税金を徴収し手間も少なくするために、源泉分離課税制度で先に所得税を源泉徴収しているのです。

上場株式等の配当等の場合、源泉分離課税の税率は、所得税15%、住民税5%です。さらに、平成49年(2037年)12月31日までは復興所得税が所得税の2.1%課され所得税が0.315%増えるので、現在は合わせて20.315%の税率になっています。上場株式等以外の配当等の場合は、所得税と復興特別所得税を合わせて20.42%(住民税はありません)源泉徴収されます。

株式の配当の申告で申告分離課税を選ぶメリットは?

申告分離課税と総合課税の違いを考えよう
申告分離課税と総合課税の違いを考えよう

所得の種類によって、総合課税になるのか、分離課税(申告分離課税)になるのかは決まっています。しかし、株式の配当金の収入についての所得税については、課税方法から選択することができるのです。3つのうちから申告分離課税を選択するメリットとはいったい──くわしく説明します。

配当所得は総合課税と申告分離課税を選べる!

上場株式等の株式についての配当金の収入がある人は、一般的には配当金から所得税が源泉徴収されているので、確定申告は不要です。しかし、確定申告をすることで総合課税か申告分離課税を選択することもできます。ただし、配当金を受け取った人が大口株主等である場合や非上場株式の配当金は原則として総合課税となります。また、NISAとよばれる少額投資非課税制度の非課税口座で取引した株式の配当金などは非課税なので、源泉徴収で所得税が引かれず確定申告も不要となります。

配当所得があり総合課税か申告分離課税を選択することもできる場合に、どちらを選べばよいのか、それぞれのメリットとデメリットを考えてみます。

配当所得を総合課税とするメリット・デメリット

総合課税では、ほかのさまざまな所得と配当所得とを合算して所得税を計算するので、全体の所得が高くなる結果、高い税率で課税が行われる可能性があります。全体の所得が高く所得税率が高くなってしまう人にとっては、総合課税を選択すると税率が高くなるというデメリットがあります。

配当所得を総合課税とすることで得られるメリットは、配当控除を受けることができることです。配当控除は、配当所得に配当控除の割合をかけて計算しますが、その割合は、配当の種類やその年の課税総所得金額によって異なります。たとえばその年の課税総所得金額が1,000万円以下の場合で剰余金の配当等に係る配当所得がある場合には、配当金に10%をかけた金額が配当控除の金額となります。

配当所得を申告分離課税にするとお得なケース

申告分離課税では、ほかの所得と配当所得とわけて、配当所得は配当所得のみで所得税を計算します。この場合の税率は、所得税と地方税をあわせて20.315%となります。

所得が多く所得税率が高くなってしまう人は、申告分離課税を選択することで配当所得については20.315%の税率となるのでメリットがあります。

また、申告分離課税にするもう1つのメリットとして、申告分離課税に区分される所得と「損益通算」ができるということがあります。損益通算とは、ある所得のマイナスをほかの所得と合算できる制度です。

たとえば、申告分離課税に区分されるものに株式の譲渡所得がありますが、株の売買で譲渡損が出ている場合にその損失を配当所得から引くことができるのです。配当収入がある人の中には株の売買を行っている人も多いので、その年に株の売買で譲渡損が出てしまっている場合には、申告分離課税とすると有利になる可能性が高くなります。

総合課税と申告分離課税のどちらがよい?

配当所得の総合課税と申告分離課税には、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれのメリットとデメリットから、総合課税と申告分離課税のどちらがよいのかを考えると以下のようになります。

総合課税を選ぶと良い人

配当所得の課税方法を選ぶときの所得税率は、課税所得金額で決められる所得税率に配当控除の割合を加味して考えます。課税される所得金額が695万円以下であれば、実質的にかかる税率は17.41%以下となるので、総合課税を選択すると所得税が安くなります。配当金の所得税が源泉徴収されている場合には、確定申告をすることで還付を受けられる可能性が高くなります。

申告分離課税を選ぶと良い人

課税される所得金額が695万円を超える人は、実質的にかかる税率が申告分離課税の税率である20.315%以上となってしまうので、配当所得を申告分離課税にすることにより配当所得については税率を低くすることができます。また、株式の譲渡損が発生している場合などで配当所得がある場合には、損益通算をすることができるので、申告分離課税を選ぶと税金が安くなる可能性があります。

課税方法を検討し、確定申告に備えよう!

配当所得の課税方法には、総合課税、申告分離課税、源泉分離課税があり、課税方法を選択することができます。節税のために自分に有利な課税方法を選択したいものです。

どの課税方法がよいのかはケースにより異なりますが、配当所得をあわせた課税所得金額が695万円以下の場合には総合課税で確定申告を行うことにより、配当金から源泉徴収された所得税が還付される可能性が高くなります。

還付が可能かどうかは配当金の種類によっても異なりますので、具体的な計算については税金の専門家である税理士に相談するも一つの選択肢です。

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