ミツモアロゴ
ミツモアメディア

一時所得とは 確定申告が必要な場合や確定申告書の書き方を解説

最終更新日: 2020年12月17日

給与以外の所得を得たら確定申告にて所得税を納付しなければなりません。一時所得は保険を解約した際や返戻金を受け取ったときに申告が必要な場合もあるため、一時所得について理解を深めるとともに、確定申告書の書き方などを確認しておきましょう。

今回の記事では、一時所得について税額の計算方法や確定申告書の書き方、注意点などの疑問を一挙に解決していきます。

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

 
ミツモアでプロを探す

一時所得とは

一時所得とは
一時所得で身近なのは競馬の払戻金や保険の返戻金など

一時所得とはどんな所得のことを指すのでしょうか?混同しやすいものに「雑所得」がありますが、該当するものや税金の計算方法が異なるため注意が必要です。また通常、一時所得は確定申告にて納税を行ないますが、中には源泉徴収されるケースもあるため確認しておきましょう。

一時所得とは

税制上の一時所得とは、利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡の各所得に当てはまらない所得を指します。営利を目的とした継続的な行為から生じた所得以外の所得であり、労働・役務の対価や譲渡による対価ではありません。例えば、下記のものが一時所得に該当します。

  • 懸賞の賞金品、福引の当選金
  • 競馬・競輪の払戻金
  • 法人から贈与された金品
  • 遺失物の拾得、埋蔵金の発見による資産
  • 生命保険の一時金や満期返戻金
  • 新株等を有利な発行価額で取得する権利を与えられた際の所得
  • 事務作業の合理化や製品の品質改善などを考案した際の報奨金

宝くじの当選金は「当せん金付証票法」という法律によって非課税になっています。どんな高額な宝くじが当たっても所得税は課せられません。もし当選したら金融機関から「当選証明書」を発行してもらっておけば、税務署からお尋ねがあった際にお金の出処を説明できるので覚えておきましょう。

源泉徴収される一時所得

一時所得を得たら、給与と合算して所得税を計算する「総合課税」で確定申告します。ただ、源泉徴収で課税されるケースもあるため注意しましょう。例えば、下記のものが該当します。

  • 保険期間が5年以下の一時払養老保険などの満期金
  • 保険期間が5年以上の一時払養老保険などを5年以内で解約した場合
  • 懸賞金付預貯金等の懸賞金など

これらは「金融類似商品」として、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率で源泉分離課税となるため、金融機関側が源泉徴収します。他に給与以外の収入がなければ、源泉徴収で納税が完了するのです。

ふるさと納税の返礼品も一時所得

任意の自治体に寄付して返礼品を受け取る「ふるさと納税」も一時所得の対象になります。地方公共団体は法人として扱われるため、「法人から贈与された金品」になるわけです。ただ、すべてが課税対象となるわけではありません。一時所得とする返礼品の合計が50万を超えた場合に限り、課税対象となるため注意してください。

一時所得と雑所得の違いとは

一時所得と雑所得の違いとは
一時所得と雑所得は混同しがちなので注意しよう

一時所得と雑所得にはどんな違いがあるのでしょうか?税制上、一時所得と雑所得は「利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡の各所得に当てはまらない所得である」という点では同じです。雑所得は上記の各所得に当てはまらず、かつ一時所得以外の所得となります。さらに具体的にみていきましょう。

一時所得と雑所得の違い

一時所得として扱うものは上記でご説明しましたが、雑所得には下記のものなどが含まれます。

  • 講演料・原稿料・著作権使用料など
  • インターネットを利用して得た収入
  • 友人などへの貸付利子
  • 公的年金・個人年金
  • 商品先物取引・金融商品先物取引による所得
  • 生命保険契約に基づく年金
  • 株主が受ける株主優待券など

一時所得が労働をせずに得た一時的・臨時的な所得であるのに対し、雑所得は労役による対価として受け取るものも含まれていることがわかります。また、一時所得と雑所得のいずれも「収入=所得」ではありません。収入を得るために支出した「経費」を差し引いた金額から計算されます。

場合によって雑所得となる収入

一時所得に該当するものでも、条件によっては雑所得として扱うものもあるため注意しましょう。

小規模企業共済の共済金

65歳未満で解約した場合は一時所得ですが、65歳以上では退職所得となります。また、一括での受取りも退職所得扱いとなり、分割での受取りは公的年金同様に雑所得の扱いです。

満期保険金

満期保険金を一時金として一括で受け取る場合は一時所得ですが、年金として受け取る場合は雑所得になります。

一時所得の計算方法

一時所得の計算方法
一時所得は給与と合算して所得税を計算する「総合課税」

一時所得は給与と合算して所得税を計算する「総合課税」です。総合課税においては、給与所得控除額の計算や累進課税による税率の違いなどを理解しなければなりません。一例を挙げて、わかりやすく解説していきます。

一時所得の計算式

一時所得の計算は経費である「収入を得るために支出した金額」と、50万円の「特別控除」を差し引いて算出します。

生命保険や損害保険など契約では、支払った保険料や掛け金が「収入を得るために支出した金額」に該当するので覚えておきましょう。

一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出金額-特別控除(50万円)

また、一時所得を給与と合算して所得税を計算する際には、上記で算出した一時所得に2分の1を掛けて計算するのがポイントです。

給与と合算する場合の一時所得の金額=(総収入金額-収入を得るために支出金額-特別控除)×1/2

一時所得は総合課税

一時所得は給与など他の収入と合算して所得税を計算する「総合課税」です。税率は課税所得が多いほど税率が高くなる「累進課税方式」を採用しているのが特徴で、5%~45%の7段階に分かれています。

税率のほか、課税される所得に応じて控除額も決められており、確定申告する際には税率と控除額を参照して計算してください。

    課税される所得金額   税率     控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40 % 2,796,000円
4,000万円超え 45% 4,796,000円

一時所得の計算例

それでは、実際に一時所得を得たときの所得税を計算してみましょう。保険を解約したサラリーマンが返戻金を受け取ったケースを想定し、以下の条件で計算します。

  • 年収:480万円
  • 家族構成:独身
  • 所得控除:基礎控除・給与所得控除
  • 保険掛金:600万円
  • 返戻金:710万円

まず、一時所得の金額を計算しましょう。収入から支出を引いた額から特別控除50万円を差し引きます。

一時所得の金額:(収入710万円-支出600万円)-特別控除50万円=60万円

次に課税額を計算しますが、給与と合算して所得税を計算するので上記の一時所得の金額に2分の1を掛けます

一時所得課税額:一時所得60万円×1/2=30万円

ここで一旦、一時所得課税額は置いておき、年収480万円に対する給与所得額を計算しましょう。源泉徴収税額・社会保険料控除・基礎控除・給与所得控除を差し引きます。給与所得控除は下記の表を確認してください。

 給与  給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%
65万円に満たない場合には65万円
360万円以下 収入金額×30%+18万円
660万円以下 収入金額×20%+54万円
1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超え 220万円(上限)

※平成29年分~令和元年分

出典:No.1410 給与所得控除|国税庁

年収480万円の給与所得控除額は、収入金額×20%+54万円=150万円となります。仮に天引きされた源泉徴収税額20万円、社会保険料80万円として計算した場合、給与所得額は192万円です。

給与所得額:給与収入480万円-源泉徴収税額20万円-社会保険料80万円-基礎控除38万円-給与所得控除150万円=192万円

給与所得192万円と一時所得課税額30万円を合算します。

合計課税所得:一時所得課税額30万円+給与所得額192万円=222万円

最後に、累進課税の表にある課税所得222万円に対応する所得税率10%を掛け控除額の97,500円を差引くと所得税124,500円と計算され、それに1.021%を掛けたのが復興特別所得税であり、1,200円となります。

所得税額:課税所得額222万円×税率10%-97,500円=124,500円

復興特別所得税:124,500円×1.021%=1,200円(100円未満は切り捨て)

配偶者控除を受けるための要件は「年間の合計所得金額が38万円以下であること」です。給与を103万円以下に抑えていても、一時所得(収入-経費-50万円)が一定額発生し、合計所得金額が38万円を超えてしまう可能性があります。その場合、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けられなくなる可能性がありますのでご注意ください。

一時所得の確定申告が必要なのはいくらから?

一時所得の確定申告が必要なのはいくらから?
一時所得の金額が20万円以下なら原則確定申告は不要

一時所得の金額が20万円以下なら、原則として確定申告は必要ありません。しかし、一時所得が20万円以下であっても確定申告の必要なケースがあるため注意が必要です。また、一時所得を得たときの住民税の扱いも気になります。詳しく解説していきましょう。

一時所得が20万円以下なら確定申告は原則不要

一時所得の金額が20万円以下なら確定申告は原則不要です。注意したいのが「所得金額」であって「収入」ではないこと、特別控除の50万円を差し引いた金額であること。単純に「収入-支出」ではないため注意してください。

また経費ですが、例えば、保険金の解約金や返戻金を受け取るのであれば、それまで掛けてきた金額が支出した金額「経費」となります。

上記の一時所得を得た際の所得税の計算でご説明したように、一時所得では50万円の特別控除が適用されるため、「収入-支出」が50万円以下なら実質的に一時所得額は0円になるわけです。

一時所得が20万円以下であっても確定申告が必要な場合

一時所得の金額が20万円以下であっても、確定申告の必要なケースもあります。

  • 年収2,000円以上の人
  • 給与を2カ所以上から受け取っている人
  • 給与以外の所得合計が20万円を超える人
  • 医療費控除を申請する人
  • 住宅ローン控除の適用を初めて受ける人
  • 寄附金控除でワンストップ特例制度の利用しない人
  • 公的年金の年間収入が400万円以上の人

一時所得が1円以上なら住民税の申告は必要

一時所得の金額が20万円以下なら確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。住民税の申告は、確定申告で自動的に税務署から自治体へ送付されるため問題ありません。ただ、一時所得が20万円以下で住民税のみを申告する際には市町村の窓口で申告する必要があります。

一時所得の確定申告書の書き方

一時所得の確定申告の書き方
一時所得は確定申告書Aに記入

それでは、一時所得を得たときの確定申告の書き方や必要書類、提出方法を確認しておきましょう。確定申告の期間は基本的には毎年2月16日~3月15日までの1カ月間となっています。ただ、初日と最終日が土曜・日曜・祝日の場合は翌日になるのでご注意ください。

確定申告の必要書類

給与所得と一時所得を申告する場合は、下記の書類が必要になります。

  • 確定申告書A
  • 源泉徴収票
  • 各種控除に必要な書類(医療費明細など)

加えて、保険の返済金などで一時所得を得ている場合は、保険会社からの支払通知書なども用意しておきましょう。

確定申告書の書き方

では、一時所得の確定申告書への記入方法をご説明します。確定申告書Aの第1表に、給与と一時所得の収入と所得額を記入しましょう。

出典:国税庁「申告書A 平成30年分以降用」 ※一部加工
  • A=給与収入の金額
  • B=一時所得の金額
  • C=給与所得控除後の金額
  • D=一時所得に2分の1を掛けた金額

上記の下に各種控除を記入する欄があります。当てはまるものがあれば記入しましょう。ここでは、誰でも一律に控除できる基礎控除額38万円を記入しています。

出典:国税庁「申告書A 平成30年分以降用」 ※一部加工

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法には下記の3つの方法があります。

  • e-TAXを利用してインターネットで送信する
  • 郵便にて所轄の税務署に送付する
  • 所轄の税務署の受付に持参する(時間外収受箱に投函も可能)

一時所得を会社にばれたくない場合

一時所得が会社にばれたくない場合
会社にばれたくないなら「普通徴収」にチェック

市町村から会社に送付される「給与所得に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」または「特別徴収税額明細」によって、一時所得を得たことを会社に知られてしまう場合があります。

これらには住民税の金額が記載されており、一時所得によって住民税が増えていれば、給与所得以外の所得を得ている事実を知られてしまうわけです。また、「主たる給与以外の合算所得区分」という項目があり、一時所得の欄にチェックがあれば容易にばれてしまいます。

一時所得を得ていることを会社に知られたくないなら、確定申告書Aの第2表に、住民税の徴収方法として「普通徴収」か「特別徴収」のどちらを希望するのかチェックする欄があるので、「普通徴収」にチェックを入れておきましょう。

出典:国税庁「申告書A 平成30年分以降用」 ※一部加工

「特別徴収」とは会社が天引きして代わりに納付する方法です。「普通徴収」とは自分で納付すること。「普通徴収」にチェックを入れておけば、給与の分は会社からの天引きで、一時所得分は自分で納付と分けられるのです。

ただ、この方法も絶対ではありません。チェックを確認するのは機械ではなく人の手作業で行なわれます。よって「普通徴収にチェックを入れたけど会社に通知が行ってしまった」ということも起こり得るので注意してください。

一時所得は確定申告が必要な場合も

一時所得は確定申告が必要な場合も
一時所得で納める税金が心配なら税理士に相談しよう

では、今回ご説明したことをまとめておきましょう。

  • 一時所得とは利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・雑所得に当てはまらない所得
  • 一時所得の金額は「総収入金額-収入を得るために支出金額-特別控除(最高50万円)」
  • 一時所得は給与と合算して申告する際は2分の1を掛けて算出
  • 源泉徴収される一時所得もある
  • 一時所得は給与など他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」
  • 一時所得が20万円以下なら原則として確定申告は不要
  • 所得税の確定申告が不要でも住民税の申告は必要
  • 給与と一時所得を申告する場合は確定申告書Aを使用
  • 確定申告書の提出方法は3つある
  • 会社にばれたくない場合は「普通徴収」にチェックを入れるが絶対ではない

一時所得について理解を深められたでしょうか?一時所得は雑所得と混同してしまう場合もあります。どちらを選択するかで控除額や計算方法が異なるため注意が必要です。

もし、多額な一時所得を得て納める税金が心配ならば、税理士に相談するとよいでしょう。万が一間違って実際より少ない申告を行なうと、税務署から指摘を受ける場合もあります。トラブルを防止するためにも、わからないときや迷ったときには、税金のプロである税理士に相談するのがオススメです。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

一時所得と雑所得は区別が難しいですが、一時所得は具体的なものが限定的に列挙されていますので、それに当てはまるかどうかを検討してください。それに当てはまらなければ雑所得になる可能性が高いです。迷った場合は税理士に相談しましょう。
ミツモアでプロを探す

ミツモアで税理士を探そう!

ミツモアでプロを探してみよう!
ミツモアで税理士を探そう!

税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

簡単!2分で税理士を探せる!

ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。

パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

安田亮(公認会計士・税理士・CFP?)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。
ミツモアでプロを探す