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確定申告の相談先は税務署以外にもある!相談方法や注意点を徹底解説

最終更新日: 2025年01月15日

確定申告の相談先は大きく分けると5つあります。

状況によって適切な相談先が異なるので、自分の困りごとや状況に応じて最適な相談先を見つけましょう。

確定申告について税理士に相談する

この記事を監修した税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区元町通

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。

確定申告の相談先一覧

確定申告の相談先は、税務署、税理士、市役所などの特設会場、青色申告会・商工会議所、信用金庫・銀行の相談会が挙げられます。

確定申告の相談先は以下の5つです。

相談したいことや相談者の属性によって相談先が異なるためご注意ください。

たとえば、青色申告会や商工会議所は事前に登録をした人のみが利用できるケースがほとんどです。

税務署で確定申告の相談をする方法

税務署ではチャットボット、国税専用相談ダイヤル、税務署の窓口、確定申告会場で確定申告の相談を受け付けています

確定申告に関して、税務署に相談する方法は4つあります。

疑問の解決や問い合わせをスムーズにできる順番で相談方法をご紹介します。

① チャットボットに質問をする

所得税の確定申告
出典:チャットボット(ふたば)に質問する|国税庁

個人が行う確定申告の相談であれば、チャットボットの「ふたば」に相談ができます。

チャットボットを使う手順
出典:チャットボット(ふたば)に質問する|国税庁

質問したいことをメニューから選択するか、文字入力をするとAIが自動的に回答します。

ほかの方法とは異なり、土日や夜間でも利用できるのが特徴です。

まずはふたばに質問をし、解決しなければ他の相談方法で相談すると時間的ロスが少ないのでおすすめです。

よくある質問は「タックスアンサー」にまとまっている

チャットボット「ふたば」への質問と合わせて、国税庁の「タックスアンサー」も活用しましょう。

タックスアンサーは税に関するよくある質問に答えたもので、様々な事例に応じたQ&Aが公開されています。

タックスアンサーのトップページには「ピックアップ情報(お知らせ)」のコーナーがあり、確定申告の時期が近づくと確定申告に関するトピックス記事がピックアップされます。

② 国税相談専用ダイヤルにかける

電話相談の流れ
出典:税についての相談窓口|国税庁

チャットボット「ふたば」やタックスアンサーで解決できなかった場合は国税相談専門ダイヤルにかけましょう。

国税相談専用ダイヤルは、2023(令和5)年11月1日から運用が開始された比較的新しいサービスです。

専用ダイヤルにかけると音声案内が再生されます。1から6までの番号で相談する内容がアナウンスされるので、相談内容にあった番号を選択しましょう。

確定申告であれば「所得税」に関する相談なので、選択する番号は「1番」です。

相談内容を番号で選択すると国税局電話相談センターに転送され、国税局の職員に電話がつながります。

③ 事前予約のうえ税務署の窓口へ行く

国税相談専用ダイヤルにかけても解決しなかった、あるいは書類の書き方も同時に教えてほしいなどの理由がある場合は、事前に予約をしてから税務署の窓口へ相談へ行きましょう。

税務署で対面の相談をする前に行う予約の手順は以下の通りです。

  1. 所轄の税務署に電話をかける
  2. 音声案内に従い「2」を選択する
  3. 税務署の受付担当に相談予約をしたい旨を伝える
  4. 名前・住所・相談内容など必要事項を伝える

所轄の税務署は「税務署の所在地などを知りたい方」から検索できます。

管轄の税務署を検索する方法
出典:税務署の所在地などを知りたい方|国税庁

郵便番号や住所、地図、都道府県から税務署を調べられます。

最も手軽な方法は郵便番号を入力して所轄の税務署を検索する方法です。

自宅の郵便番号を入力し、検索ボタンを押すだけで所轄の税務署が表示されます。

④ 確定申告の時期に設置される申告相談会場へ行く

確定申告の時期になると税務署は確定申告会場となり、書類の提出のほか確定申告に関する相談もできるようになります。

ほかにも特定の日にちに相談窓口を開く税務署もあります。

確定申告の相談会場に行くときには入場整理券が必要です。

入場整理券はLINEで事前取得するか、当日に会場で配布されるものを取得しましょう。

税務署で確定申告の相談をするときの注意点

税務署で確定申告の相談をするときは3つの注意点があります。

確定申告の相談をする前に注意点を確認しておきましょう。

① 節税・減税に関するアドバイスはもらえないケースが多い

税務署の職員は税務に関するプロフェッショナルではありません。

どちらかといえば手続きに関するプロなので、節税・減税に関するアドバイスはもらえないケースが多いです。

悩み事が確定申告書類の書き方が分からないなど事務的なことがらであれば、税務署職員に聞きましょう

節税や減税に関するアドバイスを期待しているのであれば、税理士に相談することをおすすめします。

税理士に節税アドバイスをもらう

② 職員の言ったことがすべて正しいとは限らない

税務署職員はあくまで税の手続きに関してのプロです。

そのため税務署職員が減税や控除についてアドバイスをくれたとしても、適用できると確定したわけではない点にご注意ください。

一般論としての回答が主になるので、税制に関する詳細な相談をしたいのであれば、税理士に相談するようにしましょう。

③ 混雑により思ったように相談ができないこともある

2月後半になると税務署の窓口相談はたいへん混雑します。

相談しようにも思うように予約ができず、申請作業がストップしてしまうこともあります。

混雑する前に相談するか、混雑することを考慮して余裕を持って相談日程を組みましょう。

税理士へ確定申告の相談をする方法

税理士は税務に関するプロフェッショナルなので、税に関する様々な相談ができます。

節税対策や判断しにくい経費などについて聞きたい場合は、税理士への相談がおすすめです。相談だけでなく、確定申告の手続きを丸ごと代行してもらうこともできます。

ただし確定申告について相談できるかどうかは事務所によって異なるため、必ず事前にホームページなどで確認しましょう。

確定申告に詳しい税理士に相談する

税理士に確定申告の相談をするときの注意点

税理士に相談をするときの注意点は費用面にあります。

初回相談は無料のケースが多いですが、確定申告に関する作業が発生する場合は費用がかかります

税理士に確定申告の相談をしたときの費用相場は以下の表をご参照ください。

依頼内容 費用相場
申告書作成のみ(給与所得者向け) 10,000~30,000円
青色申告の費用(個人事業主向け) 30,000~100,000円
(年間売上高500万円未満の場合)
白色申告の費用(個人事業主向け) 50,000~100,000円

役場・市役所の会場で確定申告の相談をする方法

一部の自治体では各種税金に関する相談窓口を設置しています。

電話で予約をし、市役所や区役所の窓口で相談ができるケースが多いです。

相談時間は30分前後、相談枠の数は1枠であることが多いので、万が一都合が悪くなった場合は他の相談希望者のためにも早めにキャンセル連絡を入れることを忘れないようにしましょう。

役場・市役所の会場で確定申告の相談をするときの注意点

市役所などで税の相談をするときの注意点は、相談したいときにすぐ相談できるとも限らない点です。

たとえば神奈川県川崎市では、市内在住・在勤・在学の人を対象に税理士税務相談の窓口が設けられています。

東京地方税理士会川崎各支部登録の税理士が相談を受け付けているものの、確定申告書の作成・チェックは行っていません

また相談には事前予約が必要です。相談日の2か月前の月の初日から予約を受け付けています。

東京都中央区でも同様の相談窓口を設けています。

電話連絡をし、決まった曜日・時間から相談日を選んで予約をするシステムです。

自治体名 相談可能曜日・時間
神奈川県川崎市川崎区 第2木曜日 13時~15時55分(祝日除く)3月のみ第4木曜日
神奈川県川崎市中原区 第4木曜日 13時~15時55分(祝日除く)
東京都中央区 毎月第2・第4水曜日 13時~16時(祝日を除く)

青色申告会・商工会議所で確定申告の相談をする方法

個人事業主で青色申告会や商工会議所に登録している場合は、青色申告会などでも確定申告の相談ができます。

青色申告会や商工会議所で確定申告の相談をしたい場合は、対応する窓口を尋ねましょう。

確定申告の時期には窓口が混雑することが予想されるため、時間に余裕をもって訪問してください。

また、青色申告会や商工会議所では税理士や弁護士、ファイナンシャル・プランナーなどの税やお金に関するプロフェッショナルを紹介してもらえることもあります。

確定申告の時期だけではなく、普段から経営などの悩み事を相談するようにすると良いでしょう。

青色申告会・商工会議所で確定申告の相談をするときの注意点

青色申告会や商工会議所は個人事業主が所属する組織です。

会社員(給与所得者)はもちろんのこと、個人事業主であっても登録手続きをしていない人は利用できないのでご注意ください。

会員等になると年間10,000~30,000円ほどの会費がかかるケースが多いです。

信用金庫・銀行の相談会で確定申告の相談をする方法

信用金庫や銀行などの金融機関でも確定申告の相談会が開催されます。

ただしすべての信用金庫・銀行で相談会が開催されるとは限りません。

地元の税理士会の協力などの特殊事情がある場合に限ることが多いため、個別に確認しましょう。

相談そのものは無料の場合が多く、事前予約が必須です。

現役の税理士や税務署OBなどが対応してくれることが多く、専門的な事柄にもきちんと答えてくれます。

金融機関では税務関係のほかにも、各種事業にまつわるセミナーや異業種交流会を主催していることがあるので、気になるものには積極的に参加することをおすすめします。

信用金庫・銀行の相談会で確定申告の相談をするときの注意点

信用金庫や銀行の確定申告相談会は、すべての金融機関で行われるわけではありません。

また開催される場合も日程が限定的であることが多く、都合が合わない場合も再度の開催は期待できない点に注意してください。

確定申告の時期が近くなると店頭やメールなどで相談会が開催されるお知らせが配布・配信されることがあります。

金融機関の相談会に参加したいのであれば、確定申告前はお知らせや通知を見逃さないようにしましょう。

確定申告の相談で必要なもの

確定申告に関する相談をするときは以下のものを用意しましょう。

給与所得者と個人事業主で必要なものが異なるのでご注意ください。

給与所得者・個人事業主ともに必要なもの

  • 本人確認書類
  • マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、住民票など)
  • 確定申告書類(作成済みの場合)
  • 控除の証明書
  • 通帳など口座の情報が記載された書類

個人事業主が相談する際に必要なもの

  • 収支が分かる帳簿
  • 経費となる費用の領収書

事業所得や副業収入がある場合は取引に関する書類をすべて持参してください。契約書や請求書、領収書が挙げられます。

確定申告で必要な書類について、関連記事で詳細に解説しています。あわせてご覧ください。

確定申告の相談をスムーズに進めるための事前準備

確定申告は書類の作成など複雑な手続が発生するので疑問も多岐におよぶことが多いです。

限られた時間内で聞きたいことを聞くためにはこれから紹介する2つの事前準備を行いましょう。

① 質問事項を箇条書きでまとめる

無料相談の場合、相談時間は30分程度であることが多いです。

相談時間になってから1から質問を考えると貴重な時間が無駄になってしまうので、事前に質問事項を箇条書きでまとめておきましょう。

相談中に断りなくスマートフォンを出すことは相談相手にとても失礼な行為なので、質問事項は紙のメモにまとめることをおすすめします。

「何が分からないのかがよく分からない」という場合は確定申告の手順を確認し、1度読んでもまだ理解しきれない部分を中心に質問をしましょう。

特に疑問や確定申告で誤りが多いのは以下のポイントです。

  • 副収入の申告漏れ
  • 給与所得・雑所得の計算ミス
  • 寄附金控除の適用漏れ(ふるさと納税をした人)
  • 寡婦控除・ひとり親控除の適用漏れ
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の適用ミス

② 確定申告の期日直前は避ける

確定申告の締め切り直前になるとどこの相談先もたいへん混雑し、思うように相談ができないことが多いです。

確定申告の疑問点はなるべく早い時期に解決しましょう。おすすめは12月~1月に相談することです。

あまりにも早すぎると必要事項が十分に集まっていないので、意味のない相談になってしまうケースが多いのでご注意ください。

確定申告を自分で進めるのが難しいなら税理士に相談しよう

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確定申告に関する情報を集めても、自分1人では作業を進めるのが難しいと感じることもあるでしょう。

そのような場合は無料相談を活用するだけでなく、有料であっても税理士に相談することをおすすめします。

税理士は税務のプロフェッショナルであり、きちんとした対価を支払うことで無料相談の時間だけでは答えられないことにも相談できます。

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