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太陽光発電の収入は確定申告が必要?経費計上の方法もご紹介!

最終更新日: 2024年01月05日

太陽光発電による売電収入があった場合、その収入の確定申告はどうしたらよいのでしょうか。そもそも売電収入がどの程度あると確定申告が必要なのか、経費には何が計上できるのか、確定申告での注意点や節税方法について解説をします。

太陽光発電の収入は2種類!

電気料金節約や売電収入を得るために、太陽光発電のパネルを自宅や事業所に設置している人が増えてきていますが、実は太陽光発電によって売電収入を得ている場合、確定申告が必要になる可能性があるのです。

本項では太陽光発電の収入(売電)について、確定申告が必要になる条件や、経費の計算方法について詳しく解説します。

太陽光発電の「売電」とは

太陽光発電は、自宅や事業所に太陽光発電の設備を設置することで行います。電力会社との電力需給契約を結び電力会社と接続することにより、太陽光発電で生み出された電力を電力会社に売ることができます。これを売電といい、以下の2種類があります。

  • 余剰買取
  • 全量買取

これらの詳細と2つの違いを見ていきましょう。

余剰買取とは

余剰買取とは、生み出された電気のうち自家消費して余った部分を、電力会社側に流して売電する方法です。

発電が多い昼間に余った電力は自動的に電力会社に送られ、逆に太陽が出ておらず発電をすることのできない夜間や発電量の少ない雨の日などは、電力会社から電力の供給を受けます。

全量買取とは

全量買取とは、発電した電気を自家消費せずに、全て電力会社に送る方法です。

家庭や事業所などに設置して行う太陽光発電は余剰買取が多いのですが、土地前面に太陽光設備を設置して発電し、全量買取を行っている場合もあります。

余剰買取か全量買取かの選択は、住宅用の太陽光発電か産業用の太陽光発電かによって異なります。太陽光発電のシステム出力が10kw未満の場合は、「住宅用の太陽光発電」と呼ばれ、余剰買取のみしか認められていません。

逆にシステム出力が10kw以上あると「産業用の太陽光発電」となり、余剰買取と全量買取のどちらかを選ぶことができます。

太陽光発電の収入は確定申告が必要

太陽光発電 確定申告 税理士
太陽光発電の確定申告にはさまざまなパターンが存在する(画像提供:yoshi0511/Shutterstock.com)

太陽光発電で売電による一定の収入がある場合、確定申告で収入を申告し所得税を納付しなければなりません。

確定申告が必要となるケースは給与所得者(サラリーマンなど)と給与所得者以外で異なります。また、同じ太陽光発電による所得でも、太陽光発電の形態によって申告する所得分類が異なりますので詳しくご説明しましょう。

給与所得者(会社員)の場合

会社員として給与収入を得ている人が年末調整を行っている場合、「給与以外の年間所得が20万円を超える」のであれば確定申告が必要です。

つまり、売電による所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、売電所得が20万円以下でも、売電以外の副業収入があり、売電収入と他収入の合計所得が20万円を超えると、確定申告が必要になりますので注意が必要です。

給与所得者(会社員)以外の場合

太陽光発電を会社員の副業としてではなく事業として行っており、売電収入が事業所得や不動産所得にあたる場合には、合計所得が38万円(所得税の基礎控除)を超えると確定申告が必要になります。

売電収入の所得区分は?

太陽光発電の売電収入がある場合、原則として確定申告で収入を申告し所得税を計算して納付しなければなりません。

そして確定申告時には、所得税法で決められた区分に収入を分けるのですが、太陽光発電による売電収入は以下の区分に分けられます。

  • 雑所得
  • 事業所得
  • 不動産所得

以下でそれぞれの区分をどのように判断するかを説明していきます。

雑所得と見なされる売電収入

余剰売電しか認められていない住宅用の太陽光発電システム(出力10kw未満)の場合、「家庭で使用する電力の余りを電力会社に売った」と見なします。

その場合の売電収入は事業として電力を売っているわけではないため、「雑所得」となります。

また、産業用の太陽光発電システム(出力が10kw以上)の場合でも、個人が住宅に設置して余剰売電を行っている場合には、ほとんどの場合が「雑所得」として取り扱われます。

事業所得と見なされる売電収入

電気主任技術者の選任が必要となる出力(50kw以上)がある太陽光発電システムの場合は、一般的に「事業所得」になると考えられています。

また、土地の周囲にフェンスなどを設置している、周囲の除草や除雪を行いメンテナンスをしている、土地を借りて太陽光発電を行っているなどの事情がある場合には、出力が50kw未満でも事情を総合的に判断して「事業所得」と認められます。

不動産所得と見なされる売電収入

事業用に設置した太陽光発電でも、「事業所得」ではなく「不動産所得」となる場合もあります。元から事業を営んでいた人が事業所に設置した太陽光発電システムから得た売電収入の場合は「事業所得」になります。

一方で、賃貸不動産業を営んでいる人が所有する賃貸物件に取り付けた太陽光発電システムから得た売電収入については、「不動産所得」となるのです。

確定申告が不要でも住民税に注意

事業者としての売電所得が33万円を超えた場合、住民税の申告が必要です。

事業者としての売電所得が年間38万円を超えなければ確定申告は必要ないと前述しましたが、基準所得が異なっていますので混同しないようにしてください。

2020年以降は所得税、2021年以降は個人住民税の基礎控除額が変更に

2020年以降は所得税の基礎控除額が、2021年以降は個人住民税の基礎控除額が変更になります。

2020年以降、所得税の基礎控除額は合計所得金額が2,400万円の人は48万円に、2021年以降は個人住民税の基礎控除額が43万円となります。

確定申告や住民税申告が必要になる基準額も変わるので注意してください。

太陽光発電の所得計算の方法と経費

太陽光発電の売電収入による「所得」は、売電収入から経費を引いて計算し、このように計算した所得の金額によって確定申告が必要かどうか、所得税の金額はいくらなのかが決まります。

ここでは、太陽光発電をしている場合に具体的に何が経費として認められるのか、経費の計算はどのようにして行えばよいのかを解説します。

売電収入=所得ではない

確定申告の必要有無には「売電による所得」が条件になっているのですが、収入=所得ではないので注意してください。

売電の所得とは、売電で得た収入から、必要経費を差し引いた金額になります。

したがって、売電収入が20万円以上であったとしても必要経費をひくと20万円未満となり確定申告が不要になる場合もあります。

経費として認められる支出とは?

売電収入で経費として認められるのは、売電収入を得るために必要な支出です。

具体的には以下のものがあげられます。

  1. 減価償却費
  2. ローン利息
  3. 固定資産税・償却資産税
  4. メンテナンス費など

1.減価償却費

太陽光発電を行うには、ソーラーパネルなどの設備購入が必要となります。

この設備は長期に渡って使用するので、価値も長期間存在するために、購入費用を1年目に一括して経費とすることができず、2年目以降にも配分して経費としていきます。

そして太陽光発電の設備を数年にわたり経費として計算するのが、「減価償却」という方法です。

減価償却は、設備購入や設置にかかった費用を、その設備の耐用年数にわたって経費として計上していく方法です。

太陽光発電の耐用年数は一般的には17年で計算されますが、利用状況によって耐用年数が異なる場合もあるので、税理士や税務署に確認をするとよいでしょう。

個人の場合は、減価償却の方法は「定額法」が原則です。定額法での1年間の減価償却は、原則として「取得価額×償却率」となります。償却率は「1÷耐用年数」で求めることもできますが、国税庁のHPに速算表があるので参考にしてください。

2.ローン利息

太陽光発電の設備を設置するときにローンを利用して購入する人も多いのですが、ローンを利用すると利息が発生します。

1年間に支払った利息は、その年の売電収入の必要経費として計上できます。

3.固定資産税・償却資産税

太陽光発電の設備を土地に設置している場合には、その土地の固定資産税を売電収入の必要経費とすることができます。

また、償却資産税は、設備(償却資産)を保有しているとかかる税金です。

事業者としての太陽光発電では、システム出力が10kw以上あると償却資産税がかかり、支払った償却資産税は売電収入の必要経費とすることができます。

なお、個人事業主の場合は、出力に関係なく償却資産税の対象となります。

土地や家屋を所有していると自動的に課税される固定資産税と異なり、償却資産税は自分で申告をする必要があるので、注意が必要です。

4.メンテナンス費など

太陽光発電を行う場合、さまざまなメンテナンス費や雑費がかかります。このメンテナンス費は、売電収入の必要経費とすることができます。主なメンテナンス費は以下のとおりです。

  • 業者に設備の点検を依頼した場合の点検費
  • 太陽光発電設備の機器の交換費用
  • 太陽光発電設備の維持に必要な水道光熱費、消耗品費、交通費
  • 太陽光発電の設置業者や点検業者のために支払った飲食費
  • 太陽光発電を設置するための土地の賃料

余剰買取の場合の経費の計算の注意点

余剰買取の場合、減価償却費を計上するときには、減価償却費のうちどれだけが売電収入を得るためのものなのかを計算する必要があります。

なぜなら、余剰買取の場合は、発電した電力に、自家消費した部分と売却部分とが発生するからです。

減価償却費を計算したあとに、発電量を自家消費部分と売却した部分に按分して、売却した部分のみを売電収入を得るための必要経費とすることができます。

太陽光発電設備の贈与時の節税方法

財産を一定額以上贈与する場合、贈与税の対象になります。

しかし、太陽光発電設備は「緑の贈与」の対象となり、非課税枠が大きくなるので贈与税の節税対策として利用することができます。

緑の贈与とは、祖父母から子や孫への贈与において、贈与資金を太陽光発電システムなどの省エネ機器が設置された住宅の購入や増改築に使用した場合に一定額を非課税とする制度です。

緑の贈与についての詳細を知りたい方は、以下にある環境省のPDFをご覧ください。

参考:緑の贈与について|環境省

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