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太陽光の収入を確定申告する必要はある? 判断基準や計算方法をわかりやすく解説

最終更新日: 2024年11月05日

太陽光発電の売電収入がある場合、収益の大きさによっては確定申告の義務が発生します。この記事では、太陽光発電における確定申告の必要性やかかる税金について解説していきます。

太陽光発電の確定申告は所得の大きさで判断する

太陽光発電の確定申告は所得の大きさで判断する
太陽光発電の確定申告は所得の大きさで判断する

太陽光発電における確定申告の必要性は、1年間の所得の大きさによって判断します。

ここでは、太陽光発電の確定申告が必要かどうかを見極める基準について解説します。

会社員の場合:所得が年20万円を超えているか

会社員なら、給与所得・退職以外の所得が年間20万円以上発生している場合には確定申告が必要です。売電収入以外に副業をしているなら、その副業の収入も合算して所得を計算します。

たとえば太陽光の売電収入が15万円でも、ほかの副業による収入が10万円あるなら確定申告をしなければいけません。

特に発電量が10kw以上の「産業用太陽光発電」を取り入れていると、所得が年20万円を超える可能性が高くなるでしょう。

個人の場合:所得が年38万円を超えているか

自営業やフリーランスなら、所得が年38万円を超えている場合に確定申告が必要です。

38万円は所得税の基礎控除と同じ金額です。所得が38万円以下だと、基礎控除により所得が0円以下になるため、所得税を支払う必要がなくなります。

ただし会社員と同様、ほかの事業収入と合算して38万円を超えると、確定申告の義務が発生するので注意しましょう。

太陽光発電の所得にかかる2種の税金

太陽光発電の所得にかかる税金は2種類あります。どちらもかかる場合とかからない場合があるので、事前に特徴をしっかりと理解しておきましょう。

固定資産税:パネルによっては支払い不要の可能性あり

固定資産税はほとんどの不動産にかかる地方税です。太陽光発電において固定資産税が発生するケースには、以下のようなものがあります。

  • 事業として太陽光発電に取り組んでいる場合
  • 個人や法人として太陽光発電を行っている場合
  • 産業用太陽光発電(10kw以上)を導入している場合
  • 屋根と一体化したタイプのパネルを導入している場合

個人が住宅用太陽光発電をしている場合は、固定資産税は発生しません。

また固定資産税の税額は、課税標準額に1.4%をかけ合わせた金額になります。

所得税:区分に注意

1年間の所得をもとに所得税として納めます。税率は所得の大きさによって変わります。

課税される所得金額(課税総所得金額) 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

参照:国税庁「所得税の税率

なお「所得」と「収入」は全く異なるものであることには注意が必要です。詳しくはのちほど解説します。

太陽光収入の区分けは3種類

太陽光収入の所得区分は3種類
太陽光収入の所得区分は3種類

所得税は複数の区分に分かれており、どの区分に該当するかによって税率や条件が変わります。ここでは、太陽光発電の所得に該当する3つの所得区分を解説します。

自身の生活のために発電しているなら「雑所得」

ほとんどの太陽光収入は「雑所得」としてカウントします。たとえば以下のようなケースはすべて雑所得です。

  • 会社員が副業として住宅用太陽光発電を行う場合
  • 自身の生活に活用するのが発電の主目的で、余剰電力を売って収益を得ている場合

個人や自営業でも、事業の規模が小さく、メインの収益源としているわけではないと見なされる場合は雑所得に区分されます。

事業として発電しているなら「事業所得」

本格的な事業として太陽光発電を行っている場合は「事業所得」に区分けされます。雑所得に比べて、事業所得には税務上のさまざまなメリットが存在します。

事業であるかないかの明確な線引きはないものの、「メインの事業として規模の大きいパネル設備を設置し、継続的に一定以上の収入を得ている」状況なら事業所得として認められます。

参考記事:【税理士監修】事業所得と雑所得の違い! もう迷わない判断基準と具体例

電気を賃貸に利用しているなら「不動産所得」

太陽光パネルを賃貸物件に設置して、電気を賃貸の共用部で利用し、余剰電力を売って発生した収益は「不動産所得」に該当します。

もし自分の部屋でのみ電気を使っているなら、不動産所得には区分けされません。しかし住人も利用できる共用部で発電した電気を使う場合、余剰電力の売却収益は不動産経営との関連性が強いものだと考えられるので、不動産所得の区分けとして計上されます。

太陽光発電の「収入」と「所得」の違い

税金は収入ではなく、所得に対して既定の税率をかけて算出します

所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。たとえば会社員で売電収入が20万円あっても、必要経費が5万円なら、

20万(収入) - 5万(経費) = 15万(所得)

となり、確定申告の義務は発生しません。

太陽光発電の確定申告で経費にできる項目

どのような支出が必要経費にできるのかについて解説します。経費にできそうな支出が発生したら、必ず領収書を保存しておきましょう。

太陽光発電の購入・設置にかかった費用

太陽光発電の購入や設置に伴って発生した出費は、すべて経費として算出できます。

  • 太陽光パネルの購入費
  • パネル設置のための土地購入費用
  • ローンの利子

太陽光発電の勉強をするために買った書籍やセミナー代も経費にできるので、領収書をとっておきましょう。

太陽光発電の運用・メンテナンスにかかった費用

太陽光設備のメンテナンスにかかる費用も経費になります。

  • 保険料金
  • 計測機
  • 太陽光発電に関する資格の取得費用
  • パネルのある土地の草刈り・掃除にかかった費用

太陽光発電にかかわるものであれば幅広く経費にできるので、ちょっとした出費でもしっかりと記録しておきましょう。

固定資産税

固定資産税は経費として計上できます。固定資産税は「収益を生み出す不動産施設への投資料金」として見なされるからです。

太陽光発電の確定申告を行う手順

確定申告の基本的な流れは、

確定申告書を作成する→提出する→納税する、または還付を受ける

です。

提出期限は2月16日~3月15日(前年分の所得が対象)なので、年明けくらいから少しずつ準備を進めておくと安全でしょう。

確定申告のやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

確定申告とは?全くわからない方向けにやり方や必要書類、スマホでの申告方法を解説

太陽光発電の確定申告が難しい場合は税理士に相談しよう

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