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会社設立と個人事業主どちらが良い?メリット・デメリットを比較

最終更新日: 2019年12月11日

事業を行っていく上で個人事業主のままでいるか、会社設立をするのかは大きな迷いどころです。

法人と個人事業主ではそれぞれ長所と短所が異なります。自らの事業スタイルや経営方針にはどちらが適しているのか、効率よく事業を行うには正しい選択をすることが必要です。

本記事では、会社設立と個人事業主のメリット・デメリットをみて違いを比較していきます。ご自分の事業・状況にはどちらが向いているのか、検討することに役立ててください。

会社設立・個人事業主とは

会社設立に関する資料
会社設立と個人事業主、起業するならどちらを選ぶ?

事業を行う上で、主に「個人事業主」という選択肢と「会社を設立する」という選択肢の2つがあります。しかしそもそも、個人事業主と会社(法人)設立は、何が違うのでしょうか。本項ではまず、個人事業主と会社(法人)それぞれの基本的な定義を確認していきたいと思います。

会社(法人)とは

会社(法人)を設立する場合、法人登記など様々な手続きを行う必要があります。法人として事業を行うと、個人事業主に比べて社会的信用度は上がると言えるでしょう。一方で毎年法人住民税を支払わなければならず、設立自体にもそれなりのお金がかかります。

個人事業主とは

個人事業主とは、会社を設立せずに自営業者として事業を行うことを指します。最近ではフリーランスという言い方をすることもありますよね。「個人」という名称がついていますが、実は従業員を雇うことも可能です。個人事業主として事業を始めて、順調に成長したら法人に転換するケースもあります。

会社設立(法人化)のメリット・デメリット

会社設立のメリット・デメリット
会社設立のメリット・デメリット

事業を行う上で、会社設立と個人事業主はどちらが良いのでしょうか。まずは会社設立のメリット・デメリットから見ていきましょう。

会社設立(法人化)のメリット

  • 法人は税金面がお得

法人の1つ目のメリットは「節税手段が増える」ことです。法人だと、個人事業主より認められる経費の範囲が広くなります。経費を計上することで所得額を減らせるので、税金の節約ができます。また、赤字を繰越控除できる年数が個人事業主が3年であるのに対し、法人なら9年間も繰り越すことができるのです。

また、法人は所得税の累進性がありません。個人事業主は所得が上がれば上がるほど税率が上がりますが、法人は一定です。そのため、事業が軌道に乗って収入が上がってくると、法人のほうが税金が少なくて済みます。

  • 法人は社会的信用が高い

法人のもう1つのメリットは「社会的信用の高さ」です。法人は個人事業主より社会的信用度が高いため、銀行などから資金調達しやすくなります。事業を始めたり拡大したりするのに、資金調達は欠かせません。法人ならば事業拡大などの際に必要な資金を集めやすいでしょう。

他にも、社会的信用が高いことで人材を獲得しやすくなります。社会保険や失業手当などもしっかりしていますし、一般的に求職者から信用してもらいやすいと言えるでしょう。

会社設立(法人化)のデメリット

  • 会社設立には手間やコストがかかる

会社設立のデメリットの1つは「設立時の手間やコスト」です。個人事業主が法人化する際には、法務局での設立登記や、会社の定款作成を行わなければなりません。また、会社設立時には最低20万円かかります(定款費用5万円と登録免許税15万円)。その上、たとえ赤字であっても毎年7万円の法人住民税均等割を払う必要があります。

  • 会社設立をすると運営の負担が増加する

もう1つのデメリットは「運営負担の増加」です。会社設立をすると会計処理が個人事業主より煩雑になり、社会保険の加入も義務付けられます。これらの手続きは非常に複雑なため、ほとんどの会社が税理士と契約して事務作業を代行してもらっています。社会保険料や依頼料によってコストがかさみ、経営の負担は増加するでしょう。

個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主のメリット・デメリット
個人事業主のメリット・デメリット

会社設立は税金面でお得なことや社会的信頼が高いことが分かりました。次は個人事業主のメリット・デメリットについて解説していきます。

個人事業主のメリット

  • 個人事業主は開業手続きを無料で簡単にできる

個人事業主のメリットは「開業手続きが手軽にできる」ことです。税務署に「開業届」という1枚の書類を提出するだけで個人事業主を名乗れます。住所や業種などといった基本的で簡単な項目を記入して税務署の窓口に出すだけで、すぐにハンコを押してもらえます。また、開業届提出には費用が掛かりません

  • 個人事業主は会計処理が容易

個人事業主は会計ソフトを使えば自分で会計処理を行えます。簿記の知識が最低限必要になることはありますが、日々の帳簿付けを怠らなければ難しくはありません。

個人事業主のデメリット

  • 個人事業主は税金面で法人に劣る

まず個人事業主の場合、税率の累進性が高いので、所得が多ければ多いほどその分税率が高くなります。一方で、法人税は800万円から税率が一定です。そのため、所得が増えると多くの個人事業主は法人化します。

そして、個人事業主は経費として認められる範囲が狭いです。個人事業主だと自身の給与は経費として認められません。一方で法人ならば、自身の給与は役員報酬として経費に落ちる上に、「経営者の生命保険料」までもが経費として認められます。

  • 個人事業主は社会的信用度が低い

個人事業主だと法人に比べて社会的信用度が低く、資金調達や融資の際の審査で落とされてしまう可能性が法人よりも高いです。また、法人としか取引しないような会社が多く存在し、取引先を見つけるのは少し困難になるでしょう。

加えて、個人事業主は必要な人材を獲得するのが大変といわれています。個人事業主というと法人より不安定なイメージがあるので、求人を出してもなかなか人が集まらないことが多いのです。

  • 個人事業主は無限責任

個人事業主は無限責任なので、事業で失敗したときに負債を全額返済しなければなりません。一方で法人は有限責任なので、経営者個人が全額返済の義務を負うことはありません。

会社設立と個人事業主の違いまとめ|比較表

これまでご紹介してきた会社(法人)設立と個人事業主の比較を、表にしてまとめてみました。会社設立と個人事業主で迷っている方は、参考にしてみてください。

 個人事業主会社設立
責任範囲無限有限
設立手続き開業届の提出のみ法務局での設立登記など
設立費用なし20〜30万円程度
税務作業簡単(個人でも可能)複雑(税理士の助けが必要)
法人住民税なし毎年最低約7万円
赤字繰越3年9年
経費計上出来る範囲狭い広い
資金調達融資審査で不利個人より有利
社会保険加入義務なし加入義務あり
従業員雇用難しい個人より容易

会社設立する方法

会社設立をする方法
会社設立する方法

個人事業主が会社を設立して法人化するためには、大まかに次の4つの手続きが必要です。

  1. 定款作成
  2. 資本金の支払い
  3. 登記をする
  4. 個人事業主廃業届を提出

ここではこの4つの手続きの内容について、それぞれ順番に解説していきます。会社設立する際の参考にしてください。

1.定款作成

会社設立をする場合、最初に行う手続きは定款の作成です。定款には必ず定めなければいけない項目があり、次のような内容と決まっています。

会社の事業目的 事業目的に含まれないものは手がけられない。そのため、将来的な展望も見据えた事業目的を設定する必要がある。一般的にはメインの事業目的を大まかに書き、「上記に付随する一切の業務」と記載する。
会社の商号 会社名を記載する。株式会社を設立する場合は、「株式会社」という文字を入れなければいけない。
会社の本店所在地 「丁目」「番地」「番」「号」など、正式な住所表記で記載する。東京23区の場合は区まで記載するとよい。
会社設立時に出資されるもの(資本金) 出資総額または出資最低額を記載する。
発起人の氏名・住所 住所は印鑑証明書に記載されているとおりに記載する。

定款は自分で作成したり税理士に頼んだりして作成する以外に、必要な項目を入力するだけで自動的に定款を作成できるサイトも活用できます。

2.資本金の払込

定款が完成したら、次の順番で資本金の払い込み手続きを行います。

  1. 経営者名義の口座へ、経営者の名義で資本金を振り込む。
  2. 通帳の表紙、1ページ目(表紙裏)、振り込みページの3箇所をコピーする。
  3. 払込証明書を作成して、2のコピーと合わせて綴る。
  4. 3の見開き部分に会社代表印を押す。

現在の会社法では、資本金1円以上で会社設立ができます。ただし実際に1円で会社設立または法人化できるかというと、そうではありません。状況や業種にもよりますが、資本金100万円~1,000万円がおおよその目安です

3.登記をする

会社の登記をするためにかならず必要な、次の7つの書類を準備します(状況によっては、これ以外の書類も必要です)。

登記申請書 必要事項を記入し、会社実印で契印する。

参照:商業・法人登記の申請書様式

定款 最初に作成した定款を1部準備する。
登録免許税分の収入印紙 登録免許税(資本金額×0.7%、下限15万円)分の収入印紙をA4用紙中央に貼り、会社実印で契印する。
取締役の就任承諾書 取締役の就任を承諾することを証明する書類。
取締役の印鑑証明書 取締役の印鑑証明書。
資本金の払込証明書類 先に作成した、資本金の払込手続きの書類。
印鑑届出書 法人実印の届け出書類。

印鑑届出書以外の書類はホッチキスで綴じておきます。登記書類は紙のほか、DVDなどでも提出可能です。

4.個人事業主廃業届を提出

会社の登記をおこなったら、個人事業を廃業しなければいけません。そのために必要な、次の5つの書類を準備し、提出します。

個人事業の開業・廃業等届出書 所得税に関わる書類。

参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

所得税の青色申告の取りやめ届出書 個人事業での青色申告を取りやめ、新会社で青色申告を行う場合は新たに申請する。

参照:[手続名]所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁

給与支払事務所等の廃止届出書 従業員や事業専従者に給与を支払っていた場合に必要。

参照:[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

事業廃止届出書 消費税に関わる書類。

参照:[手続名]事業廃止届出手続|国税庁

所得税の予定納税の7月(11月)減額申請書 一時的に個人所得が下がることによる、所得税の減額申請。

参照:[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁

個人事業主が会社設立するベストタイミング

会社設立するベストタイミング
個人事業主が会社設立するベストタイミング

個人事業主は、どのタイミングで法人化するといいのでしょうか。

一般的には法人の節税効果が個人事業主の節税効果を上回るときと言われます。ここでは、営業利益と売上高からみた法人化のベストタイミングを解説します。

事業利益が800万円を超えたとき

法人の場合、法人税などの税負担は15~23.2%であり、事業利益が増えてもほぼ変わりません。一方で個人事業主の場合、所得税は所得が増えるほど税率が上がります。この累進課税のために最大所得税は45%にもなり、さらに住民税が10%ほど加算されます。

以上のことから、個人事業主の所得税・住民税の合計税率が法人の税率30%弱を上回るタイミングで法人化すると、税率がお得です。個人事業主の事業利益がおおよそ800万円超のあたりが、法人化のタイミングです(所得控除などの条件によって異なる)。

課税される所得金額 個人事業主の所得税 法人税
195万円以下 5% ・資本金1億円以下の法人

年800万以下の部分

15%

・上記以外の普通法人

23.2%

 

 

 

195万円を超え 330万円以下 10%
330万円を超え 695万円以下 20%
695万円を超え 900万円以下 23%
900万円を超え 1,800万円以下 33% ・資本金1億円以下の法人

800万以上の部分

23.2%

・上記以外の普通法人

23.2%

 

1,800万円を超え4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%
参照:No.5759 法人税の税率|国税庁

売上高が1000万円を超えたとき

消費税の納税義務の有無は、2年前(2事業年度前)の売上高が基準です。売上高が1,000万円を超えると、その年の2年後から消費税の課税事業者になり、納税義務が発生します。

一方で、会社設立から2年間は基準となる法人の売上がないため、消費税は免税されます。そのため、個人事業主の売上高が1,000万円を超えるタイミングで法人化すると、消費税が2年間免除されるのです

ただし、2年前の売上高が1,000万円以下でも1年前の前半6ヵ月の売上高が1,000万円を超える場合、または資本金1,000万円以上で法人化した場合は、消費税が免除されません。

どちらが良いか、税理士に相談してみては

会社設立に詳しい税理士
個人事業主と会社設立、迷ったら税理士に相談!

個人事業主と会社設立には、それぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言い切れません。事業の内容や手持ち資金などによってどちらを選ぶべきかはケースバイケースです。起業時に迷ったときは、この分野の専門家である税理士に相談するのもおすすめです。

税理士なら経営状況を鑑みて適切なアドバイスをくれる

税理士は税務はもちろん起業関連のプロフェッショナルでもあります。そのため税理士に相談すれば、経営状況などを鑑みて適切かつ専門的なアドバイスをもらえます。

個人事業主を選ぶか法人設立を選ぶかというのは、今後の経営を大きく左右する重要なマターです。この選択を誤らないためにも、税理士に一度コンタクトを取ってみることをおすすめします。

税理士なら確定申告もおまかせできる

税理士なら、手間のかかる確定申告の手続きもおまかせできます。個人事業主として事業を始めるにしても、確定申告は様々な細かい作業が必要で、時間がない忙しい個人事業主にはとても大変です。税理士にお願いすればそうした諸々の作業と手続きをすべて代行してもらえます。確定申告のおまかせだけなら手数料もかなり安価で済むでしょう。

税理士を探すならミツモアで

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