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【税理士監修】副業するなら個人事業主が良い理由 メリットと手続きを解説

最終更新日: 2019年12月25日

「働き方改革」の影響もあり、会社員でも副業に興味を持っている人や、実際に副業をしているという人は、増えてきています。

「もっと自分らしく働きたい」、「会社という組織に縛られたくない」と、ゆくゆくは事業化を考える人も少なくないようです。

この記事では、副業について、個人事業主になることのメリット、デメリットから、個人事業主の手続きについてまでまとめました。

副業と個人事業主

事業化するかどうかを検討する際にまず知っておきたいのが、事業とはそもそも何なのか、どういった形でやるのかです。

事業形態でも、個人事業主と法人とでは、扱いが異なります。まずは、これらの違いを押さえましょう。

副業とは?

副業の範囲には、明確な規定はありません。

あえて言うなら、本業以外に副収入を得るために行っている仕事全般を指します。

特技を生かしたちょっとしたお小遣い稼ぎ、アルバイト、株やFXなども該当し、勤務形態や仕事内容は問いません。

個人事業主とは?

個人事業主とは、法人化をしておらず、個人で事業を行っている人をいいます。

事業とは、具体的には、反復・継続 ・独立という3つの要件を満たすものをいいます。

反復とは、同じ種類の取引が何度も行われる状態であり、継続とは、その取引が長期間にわたって継続して続けられている状態をいいます。

独立とは、雇用契約を結ばずに、自分の意志で業務を行える状態を指します。

したがって、アルバイトは給与所得者に該当し、個人事業者には該当しません。

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人とでは、税額の計算方法に大きな違いがあります。

個人事業主では、儲けが大きくなるほど高い税率が適用されるのに対して、法人では、儲けによらず税率は一定です。

そのため、節税という点においては、儲けが少ない場合は、個人事業主の方が有利になり、儲けが多い場合には、法人の方が有利になります。

開業届を出して個人事業主になる

個人事業主になるのは非常に簡単で、所轄の税務署に開業届を提出するだけです。

書類に記載する内容も、特に専門的な知識は必要なく、自分で作成して提出すれば、費用は一切かかりません。

窓口での手続きも、書類のチェックを受けるだけですので、あっという間に終わります。

一方、法人を設立する場合には、法務局への登記といった面倒な手続きが必要な上、25万円前後の費用もかかりますので、まずは個人事業主からスタートするのがお勧めです。

会社員が副業で個人事業主になった場合

会社員が個人事業主として活動をスタートさせるには、まず必要な届出をして口座を開設する必要があります。

会社員であれば、社会保険や雇用保険への影響も気になるところです。

個人事業主として活動するための準備について解説します。

開業届と青色申告申請書を出す

開業するには開業届を提出するだけでいいのですが、その際にいっしょに青色申告承認申請書も提出しておくことをお勧めします。

青色申告をすると、複式簿記によって取引を記帳しなければならないので、それだけ手間はかかります。

しかし、国としては複式簿記による記帳を推進したいので、65万円の青色申告特別控除などのさまざまな特典が用意されています。

いっしょに提出する際は、開業届の開業・廃業に伴う届出書の提出の有無という欄の「青色申告承認申請書」の文字を丸で囲んでチェックします。

もし、青色申告承認申請書を後で提出する場合、開業した年に青色申告を受けようとすると、開業の日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。

口座を作る

事業をするなら、事業用の口座を作っておいた方が便利です。

すでにある個人の口座でまとめて管理してしまっていると、確定申告の際に事業に関係のあるものだけを抜き出して集計しないといけなくなります。

そうなると、集計するのが面倒な上に、個人と事業の線引きが不明瞭になってしまうので、トラブルのもとになりかねません。

通帳に記載された取引で、事業に関係のないものは、全て事業主勘定という科目を使って処理することになり、会計ソフトに入力する内容が増えてしまいます。

また、開業届に屋号を記載しているのであれば、口座の名義に屋号をいれることができます。

その際、開業届の控えが必要になるので、準備しておきましょう。

口座の名義に屋号を入れることで、個人の口座と区別しやすくなるだけでなく、事業として認知してもらいやすくなり、取引先に安心感を与えられるという効果もあります。

社会保険や雇用保険はどうなる?

会社員であれば、すでに勤め先の会社で社会保険や雇用保険に加入しています。

社会保険や雇用保険は一カ所でしか加入できないため、すでに勤め先の会社で加入している場合には、新たに加入の必要性が生じることはありません。

よって、会社員が個人事業主として活動する場合には、社会保険や雇用保険は今までどおりなので、特に気にする必要はありません。

副業の確定申告

副業の確定申告
副業の確定申告

会社員であれば、面倒な税金の手続きは、全部会社がやってくれますが、個人事業主ともなると、自分で確定申告しないといけなくなります。

そこで、疑問に感じるのが、「儲けがほとんどない場合や、赤字の場合でも、申告しなきゃいけないの?」ということ。

申告しないといけない場合や、赤字が出た時にはどうなるのかを、押さえておきましょう。

確定申告は必要

会社員として得ている給与所得に関しては、年末調整により払い過ぎた税金の精算が行われれます。

そのため、確定申告の必要はありません。

しかし、個人事業主として得た収入に対しては、確定申告が必要になってきます。

ただし、例外的に確定申告が不要になるケースもあります。

確定申告が不要なケース

確定申告が不要なケースとしては、赤字である場合と、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下となる場合(給与等の収入が2000万円以下の場合に限る)の二つがあります。

これらの場合に該当すれば、確定申告の義務はありません。

ただし、申告自体は不要であっても、ちゃんと申告書を提出しておかないと、所得証明を求められたときに、証明できずに困るということもあるので、ご注意ください。

赤字の場合は損益通算ができる

事業化していない単なるお小遣い稼ぎレベルの副業では、得られた所得は雑所得に分類されます。

雑所得では、赤字になったとしても、他の黒字の所得と通算するということができません。

しかし、事業所得では、赤字になってしまった場合、他の黒字の所得と合算して、損益を通算することができます。

それでも赤字が残ってしまうという場合には、青色申告をしていれば、その赤字は三年間繰越すことができます。

基本的な流れとしては、まず同じ年内で損益通算を行い、その次に、赤字が残っていれば、繰越すという処理になります。

副業で個人事業主になったときの確定申告のやり方

青色申告に必要な書類
青色申告に必要な書類

確定申告の必要性がわかったところで、次は、具体的にどうやって税額を計算して納付するのかです。

どんな書類を準備すればいいのかや、どうやって納付するのかを解説します。

申告期限に間に合わなかったり、うっかり申告するのを忘れてしまうと、ペナルティがあるので注意が必要です。

所得税額の求め方

税額の計算というと、なんだか難しそうに思いますが、確定申告書の金額欄を順番に埋めていけば、簡単に求められるようになっています。

確定申告書の左半分には、収入の内訳と所得金額、所得控除を記載する欄があり、ここを埋めていくと、課税の対象となる所得金額が求められます。

さらに、確定申告書の右半分では、課税対象の所得金額に税率を掛けて、税額控除の金額を差し引くことで、最終的な所得税額が算出されます。

簡単な計算式は以下の通りです。

総収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 − 税額控除額 = 所得税額

詳しい計算方法は以下の記事をご参考ください。

確定申告書B

確定申告書B 第一表
確定申告書B 第一表

確定申告書には、主に会社員(給与所得者)が使用する確定申告書Aと、誰でも使用することができる確定申告書Bの二種類があります。

会社員で個人事業者をしているという方は、確定申告書Bを使用することになります。

確定申告書Aは、確定申告書Bを会社勤めしかしていない人のために簡略化したものだと考えるとわかりやすいでしょう。

詳しい記入方法は以下の記事で確認しましょう。

所得税青色申告決算書

個人事業者が、確定申告書といっしょに提出しないといけないのが、所得税青色申告決算書です。

この書類は、確定申告書で計算に使用した収益や費用の金額を、どのようして求めたのかを明らかにするものです。

基本的に会計ソフトで出力された財務諸表の金額を転記していくだけで、簡単に作成できます。

必要書類一覧

会社員をしている個人事業者が、確定申告に必要な書類は、以下の通りです。

必ず必要なもの

  • 確定申告書B
  • 所得税青色決算申告書
  • 源泉徴収票
  • 本人確認書類(運転免許証、もしくはマイナンバーカード)

その他、所得控除や税額控除を受ける場合には、それに関連する書類が必要になります。

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出先は、所轄の税務署です。

税務署への提出方法としては、直接持参、郵送、e-Taxで送信の3つがあります。

平日に休みをとれないという会社員の方は、郵送かe-Taxを利用することになるでしょう。

納税方法

確定申告書を提出したら、次は税金の納付です。

これには、以下の5つの方法があります。

  1. 税務署の窓口、もしくは、金融機関の窓口で納付
  2. QRコードを利用したコンビニ納付
  3. e-Taxを利用した電子納税
  4. クレジットカードで納付
  5. 自動振替による納付

これも、平日に休みが取りにくい会社員の方であれば、窓口での納付以外の方法によって、手続きをすることになります。

確定申告をしなかった時のペナルティ

確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告を行わなかった場合には、無申告加算税や延滞税の支払いといったペナルティがあります。

また、悪質な所得隠しだと認定されてしまった場合には、刑事罰の対処になることもあります。

その他、青色申告を行っている場合、65万円の青色申告特別控除が10万円になってしまいます。

副業で個人事業主になる6つのメリット

個人事業主のメリットを解説する人
副業会社員が個人事業主になる6つのメリットを解説!

それでは具体的に、副業で個人事業主になるとどのようなメリットがあるのでしょうか。個人事業主になると、主に次のような利点があります。

  1. 経費として認められる費用が多くなる
  2. 青色申告で最大65万円の節税が可能
  3. 赤字を出したら損益通算できる
  4. 確定申告がやりやすくなる
  5. 家族に支払った給料を経費にできる
  6. 個人よりも社会的信用度が上がる

それぞれのメリットについて、以下より詳しくご説明しましょう。

1.経費として認められる範囲が多くなる

確定申告をする際、所得の種類を選んで記入することになりますが、個人事業主になると「事業所得」として申告できるようになります。

事業所得は、通常の副業で選択する「雑所得」に比べると、経費として認められる範囲が広くなるのが特徴です。経費として申告できるということは、その分所得が下がるということなので、支払う所得税が少なくなります。

関連記事:個人事業主は福利厚生費で経費を計上できない?
関連記事:個人事業主が車を買ったら経費にできる?ガソリン代や保険代は?

2.青色申告で最大65万円の節税が可能

確定申告には簡単な「白色申告」と、より詳細な記帳が必要な「青色申告」があります。個人事業主になって青色申告の承認申請書を提出すると、青色申告で確定申告を行うことが可能に。青色申告をすると、なんと65万円の青色申告特別控除を受けられます。

関連記事:確定申告の白色申告、青色申告とは?違いや必要な書類について解説!

3.赤字を出したら損益通算できる

副業で赤字が出てしまった場合、個人事業主なら本業の利益を損益通算をして、その分の税金の還付を受けられるようになります。個人事業主になっていないとこの損益通算ができないので、赤字になってしまっても支払う税金は減りません。

4.確定申告がやりやすくなる

個人事業主になっていれば、所得を事業所得として申告できるのに加えて青色申告も可能になるので、確定申告がやりやすくなると言えるでしょう。

不明点があって税務署に相談しに行くようなときも、個人事業主という立場がはっきりしているのでやり取りがスムーズです。

5.家族に支払った給料を経費にできる

個人事業主なら、「青色申告の承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出した上で、確定申告を青色申告で行うことで、家族に支払った給与を経費として計上できるようになります。家族と一緒に副業の事業を行っているなら、これは税金面で大きなメリットになりますよね。

6.個人よりも社会的信用度が上がる

単なる個人の副業として事業を行うよりも、個人事業主として事業を行ったほうが、社会的信用度は上がります。個人事業主なら屋号を名乗ることもできますし、資金調達もしやすくなるでしょう。また、屋号で口座を持つことで資金の管理もしやすくなります。

関連記事:【2019年版】個人事業主は屋号口座開設を!おすすめ銀行と必要手続き

副業で個人事業主になる3つのデメリット

個人事業主になるデメリットを解説する人
副業会社員が個人事業主になるデメリットとは…

上記で取り上げたような様々なメリットがある一方で、副業で個人事業主になるといくつかのデメリットも存在します。特に本業で副業が制限されている場合は、大きな影響が出るでしょう。本項では、副業で個人事業主になるデメリットを3つご紹介します。

「こっそり副業」が会社ばれる

個人事業主になると確定申告が必要になりますし、源泉徴収の手続きなどを通じて副業が会社に伝わる可能性が高まります。本業の会社で副業にある程度の制限が課されているのであれば、注意したいポイントです。

もっとも、もし本業で副業が禁止されているのであれば、ルールを守ってそもそも副業は行わないようにしましょう。

青色申告の帳簿づけは大変

個人事業主になって、さらに青色申告をするようにすると、税金面で多くの恩恵を受けられます。しかし青色申告はその分複雑な帳簿付けが必要で、時間のない忙しいサラリーマンにとっては大変です。ある程度の税務の知識も求められるので、少しは税金の勉強もしないといけません。

事業所得と認定されない可能性も

個人事業主になったとしても、副業の収入が少なかったり、副業に使っている時間が短かったりすれば税務署から「事業所得」として認定されないリスクがあります。そうすると個人事業主になることのメリットの多くは享受できないことに。自身の副業の状況を冷静に見極めてから個人事業主になるようにしましょう。

税理士に聞く!節税・青色申告に関する疑問

副業を始められたばかりの方が抱きがちな疑問点について、税理士先生に見解を伺いました。ぜひ参考にしてくださいね。

Q:個人事業主として数百万の利益が出る予定です。今からできる節税対策はありますか?

児島泰洋 - 愛知県名古屋市名東区

 
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「まずは正当に経費に算入できる支出がないか点検しましょう。たとえば、家計と事業の両方で利用しているのに、すべて家計で負担している支出などです。事業で使用した部分を按分して経費に算入することによって、追加でキャッシュアウトすることなく、所得を減らすことができます。 保険や年金に加入する、少額の固定資産を購入するなどの節税策は、キャッシュに余裕がある場合に考えましょう。」

Q:今年から青色申告を始めようと思います。白色申告に比べてかかる手間はどの程度増えるのでしょうか。

土屋久仁男税理士事務所 - 東京都足立区佐野

 
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「青色申告であっても白色申告であっても、基本的な手間はさほど変わりません。なぜなら、事業所得や不動産所得がある場合は規模に関係なく取引状況を記帳して、帳簿を保管する必要があるからです。 節税を考えるのであれば、青色申告の届出をしておいたほうが税金面でのメリットが大きいと思います。」

個人事業主の確定申告は税理士に依頼を

税理士
副業に関する税金の相談は税理士におまかせ

個人事業主になると、普段から帳簿付けをしなければなりません。青色申告をするのであれば、煩雑な作業が必要になります。とくに確定申告の時期になると、書類集めや計算などに奔走することになるでしょう。しかし時間がないサラリーマンにとって、これらの手続きはかなりの手間ですよね。そこでおすすめなのが、確定申告の手続きを税理士に依頼することです。

確定申告は税理士に依頼を

税理士は、確定申告など税務関連のプロフェッショナルです。税理士に依頼すると、確定申告の際に必要となる様々な作業や手続きなどを、すべてまとめて代行してくれます。素人が忙しい時間の合間を縫って確定申告するよりもよっぽど確実ですし、手間もかかりません。それに確定申告の依頼はお手頃な値段で行ってくれるケースが多いので、資金に余裕がなくても安心です。

青色申告の帳簿付けも指導してくれる

税理士に依頼すれば、普段の帳簿付けも指導してくれます。青色申告の帳簿付けは難しいので、挫折してしまう人が多いのが現実。税理士に頼めば、基礎から分かりやすく指導してくれるほか、間違いがあれば修正してくれます。帳簿付けのミスで税務署から指摘が入るのは避けたいものですよね。税理士に頼めば、そうしたトラブルを防げるでしょう。

経営や節税に関するアドバイスもくれる

税理士は、起業・副業・節税などに関する専門家でもあります。税理士に依頼することで、経営や節税に関する適切なアドバイスももらえます。それぞれの経営状況に応じたアドバイスをくれるので、長い目で見れば相談費用以上のリターンが得られるはずです。

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