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郵便切手の消費税課税の仕組み|正しい仕訳方法も解説【税理士監修】

最終更新日: 2022年04月20日

郵便切手は購入時と使用時で消費税の扱いが異なります。この記事では郵便切手における消費税の課税・非課税の取り扱いや仕訳など、正しい経理処理について解説します。

84円切手の消費税はいくら?

84円切手の消費税は7円(内税)です。

切手に消費税が課税されるタイミングはいつ?

切手に消費税が課税されるタイミングは物品を郵送したときです。購入時は原則として消費税がかかりません。

この記事を監修した税理士

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

 

郵便切手にかかる消費税の仕組み【購入時は原則非課税で配達時に課税】

日本の切手セット

郵便切手は郵便切手類販売所で譲渡が行われる場合、原則として非課税取引の扱いです。そのため、郵便局やコンビニなどで購入した郵便切手には消費税が課税されません。そして配達時など切手を使用した時には課税取引となり、消費税がかかります。

郵便切手は原則として「購入時は非課税」「使用時は課税」と覚えておくとよいでしょう。郵便切手の購入時は現金と同等に扱い、使用時にサービスを消費したとみなして消費税が発生すると考えるとわかりやすいです。

実際に購入する郵便切手には、消費税が内税であらかじめ含まれています。たとえば84円切手の場合、84円のうち7円が消費税になる内訳です。もし購入時にも消費税を課してしまうと、84円切手を買うのに92円かかることになります。

このような二重課税を防ぐためにも、郵便切手は使用時に消費税がかかる仕組みになっているのです。

郵便切手は原則購入時は非課税だけど、購入場所には要注意

郵便切手は、色々な場所で購入できます。郵便局、郵便局、コンビニ、金券ショップ、インターネット等々。色々な場所で買える郵便切手ですが、消費税法上、購入場所によって課税・非課税の取扱いが異なります。

消費税法基本通達では、非課税とされる郵便切手類等の譲渡は、郵便局や指定された郵便切手類販売所など一定の場所における譲渡に限られると定められています。

郵便局等から購入すると非課税仕入れとなりますが、金券ショップやインターネットなどから購入した郵便切手は課税仕入れとなってしまいます。意外なのはコンビニ。コンビニは通常郵便切手類販売所となっていますので、消費税はかかりません。

購入場所で取り扱いが異なるのは、記念切手にプレミアがついて、収集目的としてインターネットなどで売買されることが多いためです。記念切手の売買などは課税取引と見做されるため、郵便局など一定の場所から購入しないと非課税になりません。

なぜ郵便切手購入時は非課税になる?

郵便切手が購入時に非課税になる理由は、購入時と使用時に二重で消費税がかかることを防止するためです。たとえばレターパックライトは370円ですが、購入代金には配達料に対しての消費税33円が元々含まれています。

もしレターパックの売買に対して課税ということになると、元から消費税の含まれている370円に更に消費税を上乗せすることになってしまいます。このような二重課税を防止するために、購入時は非課税という扱いになっています。

郵便切手は購入時に課税処理しても良い

切手の消費税の原則は「切手の購入は非課税」「郵送など使用は課税」です。切手を購入したときは「非課税」、使用する都度「課税」で処理するのが正しい経理処理です。

しかし、そこまで厳密な経理処理をすることは、とても面倒で実務的ではありません。消費税法基本通達では、郵便切手を使用することを目的に継続して購入している場合は、郵便切手の購入時に課税仕入れすることを認めています。

郵便切手の正しい仕訳方法

会計ソフトで切手の仕訳を進める女性

郵便切手の仕訳処理には2通りの方法があります。購入時は、資産に計上し、切手を使用するごとに費用に振り替える原則的な方法と購入時に全部の切手を使用する費用計上する簡便的な方法です。

購入時 使用時 消費税
原則 貯蔵品で資産計上 通信費で費用計上 使用時に控除対象
特例 通信費で費用計上 仕訳不要 購入時に控除対象

非課税仕入れした切手を郵送時に課税処理する方法

原則的な会計方法で処理する場合、切手を受払簿等で管理していることが前提となります。切手は金券ショップなどに持ち込めば換金できるため、多くの会社が不正等を防止する目的で、受払簿等で使用者や使用数など管理しています。

会計処理は、使用時に都度会計処理する原則的な方法と月末や期末に切手の棚卸を行い残高に合わせて簡便的に費用計上する方法があります。

【事例】

10月1日に84円切手を5枚(計420円分)を購入。10月10日、10月20日に2枚ずつ使用し、10月31日には1枚残っている。(消費税は、切手代に10/110をかけ、1円未満を切り捨てる。)

【使用時費用計上】

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 貯蔵品 420 現預金 420
10月10日 通信費 154 貯蔵品 168
仮払消費税 14
10月20日 通信費 154 貯蔵品 168
仮払消費税 14

【月末費用計上】

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 貯蔵品 420 現預金 420
10月31日 貯蔵品 84 貯蔵品 420
通信費 308
仮払消費税 28

非課税仕入れした切手を課税仕入れとして処理する方法

購入時に課税処理するのは特例です。課税仕入れの処理を行うと切手の現物管理が曖昧になり、換金など不正使用のリスクや税務上の利益隠しと見做されるリスクがあります。

そのため特例的な会計処理は、少人数で切手の使用量が少ない会社で行われています。

【事例】

10月1日に84円切手を5枚購入。10月10日、10月20日に2枚ずつ使用し、10月31日には1枚残っている。(消費税は切手代に10/110をかけ、1円未満を切り捨てる。)

【購入時課税仕入れで費用計上】

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 通信費 385 現預金 420
仮払消費税 35

金券ショップで郵便切手を課税仕入れした時の仕訳方法

切手を金券ショップで購入した場合は、少々厄介です。郵便局など特定の場所以外で購入した場合には、売買と見なされ課税取引となります。簡便法では経理処理の変更はありませんが、原則的な方法では購入時に消費税を計上することになります。

また、金券ショップで購入する場合、値引きされた金額で購入できますので、実務上はより複雑になり、会社の規模などによって色々な処理方法があるのが現実です。

【事例】

10月1日に84円切手を5枚購入。10月10日、10月20日に2枚ずつ使用し、10月31日には1枚残っている。(消費税は切手代に10/110をかけ、1円未満を切り捨てる。)

【原則的な経理処理】

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 貯蔵品 385 現預金 420
仮払消費税 35
10月10日 通信費 154 貯蔵品 154
10月20日 通信費 154 貯蔵品 154

【簡便的な方法】

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 通信費 385 現預金 420
仮払消費税 35

郵便切手と商品券では課税方式が異なる

郵便切手と商品券では課税方式が異なる

郵便切手は、郵便局や指定された郵便切手類販売所など一定の場所で購入した場合、非課税取引として扱います。それに対して商品券は、どの場所で購入しても非課税となります。その商品券を使って物品を購入した時に課税されることになります。

商品券はどこで売買しても非課税

商品券は最終的には物品の購入などに使用されます。切手のように収集目的はありません。そのため、どこの場所で購入しても非課税取引となります。

非課税取引となる理由は、切手と同じです。商品券を購入した時に消費税がかかると、商品券で商品を購入するときも消費税がかかります。そのような二重課税を避けるために、商品券を購入した時は課税されません。

商品と交換したら課税となります

会社が商品券を購入する場合は、主に二つの目的です。「自社で物品等を購入するために購入するケース」と「顧客に贈答用に購入するケース」です。

商品券は切手より高額であり、換金性があることから受払簿による管理を行っている会社が多くなっています。特に、贈答用は接待交際費ですので、相手先、理由など会社の定めたルールに従って統制を書けているケースが多いです。

会計処理のポイントは、「購入時は非課税の資産計上」「使用時は自社の使用時は課税、贈答した時は非課税」となることです。

【自社で使用する場合】

10月1日に商品券10,000円を購入し、10月10日に10,000円の備品を購入した。

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 商品券 10,000 現預金 10,000
10月10日 備品 9,091 商品券 10,000
仮払消費税 909

【顧客に贈答する場合】

10月1日に商品券10,000円を購入し、10月10日に顧客に贈答した

記帳日 借方 貸方
科目 金額 科目 金額
10月1日 商品券 10,000 現預金 10,000
10月10日 接待交際費 10,000 商品券 10,000

監修税理士からのコメント

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

実務的には、上場企業以外は、特例処理をすることが通例です。決算対策として、期末に大量に切手を購入する手法を取るように言われることがあり、使っていない大量の切手を一気に経費計上することが、以前は用いられていたように思われますが、切手を貼っておくることが、ビジネス上少なくなってきたので、そんなことも少ないように思われます。

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この記事を監修した税理士

EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木

東京港区で、11年目を迎えた会計事務所です。公認会計士2名・税理士2名が所属しています。個人、法人問わず、税務顧問を始め、確定申告、 経理アウトソーシング、会社設立、相続、など会計事務所を主軸に会計・税務のみに留まらないサービスをお客様にお届けしております。海外財産、海外不動産、仮想通貨など、複雑な申告もお任せください。