ミツモアロゴ
ミツモアメディア

タックスヘイブンとは?メリットと問題点を知ろう

最終更新日: 2020年01月01日

「タックスヘイブンという言葉は聞いたことがあるが、具体的にどういうもので、何が問題点となっているかイマイチ分からない」このような方も多いと思います。

タックスヘイブンとは租税回避地のことであり、それ自体は違法ではありません。しかし、資産隠し(税逃れ)につながったり資金洗浄に利用されたりと問題点もあるのです。このページではタックスヘイブンの概要や代表的な国・地域、タックスヘイブンの利用方法、メリット、問題点、規制についてわかりやすく解説します。

この記事を監修した税理士

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

 
ミツモアでプロを探す

タックスヘイブンとは

タックスヘイブンとは租税回避地のことです
タックスヘイブンとは租税回避地のことです

この段落では、タックスヘイブンの概要を見ていきましょう。

タックスヘイブンとは租税回避地のこと

タックスヘイブンとは租税回避地のことで、法人税や所得税などの税率がゼロもしくは極めて低い国・地域のことです。ちなみにタックスヘイブンの「ヘイブン」のつづりは「避難所」を意味する「haven」であり、「天国」を意味するheavenとは異なります。

タックスヘイブンについて明確な定義はないものの、法人税がゼロまたは税負担率が20%未満であることが多いです。経済がグローバル化し国境を越えた資本移動が当たり前になった結果、資本移動にともなって付加される税の引き下げ競争が生じました。

誤解されることも多いですが、タックスヘイブン自体は違法ではありません。しかし移動元の国や地域において、税収の減少などの弊害をもたらしているため問題視されることが多いのです。

ここまでの内容をまとめます。

  • タックスヘイブン(租税回避地)とは税率が極めて低い国・地域を指す
  • タックスヘイブンは違法ではないが、資産隠しや税逃れに利用されるなど問題視される点も多い
参考:法人税の税率 | 国税庁
参考:租税委員会 | 財務省

タックスヘイブンとされる国・地域の特徴

タックスヘイブンとされる国・地域の主な特徴は、次のとおりです。

  1. 秘匿性が高い
  2. 国の干渉が少ない
  3. 法人の設立・運営が容易

各項目について1つずつ見ていきましょう。

1.秘匿性が高い

タックスヘイブンの国や地域は、個人や法人の資産に関する情報の秘匿性が高く、公開されることがほとんどありません。秘匿性を売りにして、企業や富裕層の資産を誘致しています。

2.国の干渉が少ない

国や地域の規制が整備されておらず、過大に干渉されることがありません。

3.法人の設立・運営が容易

タックスヘイブンとされる国や地域は自国の資源や産業に乏しく、税金を優遇することで外国からの資金を集めようとしています。そのため法人の設立や運営は比較的容易です。

法人設立後実質的な活動を要求されることもありませんので、ペーパーカンパニーとして利益を守ることができます。

代表的なタックスヘイブンとされる国・地域

アメリカのデラウェア州やイギリスのケイマン諸島、ヴァージン諸島、ルクセンブルク、パナマ共和国、香港などが代表的な国・地域です。

タックスヘイブンの利用方法

主な利用方法3つを説明します
主な利用方法3つを説明します

タックスヘイブンの概要が分かったところで、タックスヘイブンを利用する流れを見ていきたいと思います。

  1. 法人を設立(移転)する
  2. ペーパーカンパニーを設立する
  3. オフショア口座を開設する

各利用方法について、くわしく見ていきましょう。

利用方法1.タックスヘイブンに法人を設立(移転)する

海外に移住して本社を設立(移転)すれば、その国の税制を受けることになります。日本に資産や店舗がなく、働く場所を問わない仕事であれば、この方法を利用することが可能でしょう。たとえばインターネットが繋がっていれば場所を問わずできるビジネスを行っている人や、投資家が該当します。

利用方法2.タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立する

ペーパーカンパニーとは法人登記がされているものの、事業活動の実態がない会社のこと。「ダミー会社」や「ゴースト会社」と呼ばれることもあります。ペーパーカンパニー自体に違法性はありませんが、ペーパーカンパニーを脱税目的で悪用するのは違法行為です。

利用方法3.タックスヘイブンにオフショア口座を開設する

オフショア口座とは、広い意味では「海外にある銀行口座」のことで、狭い意味では「タックスヘイブンにある銀行口座」のことです。これまで見てきたようにタックスヘイブンは税制優遇が受けられます。そのためオフショア口座を持つことで日本国内の銀行より高い利率を受けることが可能です。

また海外にオフショア口座を開設すると、日本の銀行では購入できない金融資産を購入することもできます。

タックスヘイブン活用のメリット

事業のスピード化が図れます
事業のスピード化が図れます

問題点に注目が集まるタックスヘイブンですが、活用するメリットは次のとおりです。

  1. 事業のスピード化
  2. 二重課税の回避

各項目について見ていきましょう。

1.事業のスピード化

会社で新たな事業を立ち上げる際は、スピードが重視されます。タックスヘイブンで事業展開することで、事業設立や銀行口座の開設などよりスピーディーに進めることが可能です。

2.二重課税を回避

日本に本店のある企業であれば、日本国外で稼いだ収益にも日本の法人税が課せられます。さらに、海外の支店で稼いだ所得にはその国と日本の法人税が課せられているので、二重に税金が取られてしまうのです。

二重課税を防止するために外国税額控除という制度や租税条約が整備されていますが、条約を結んでいない国で事業を展開している場合、依然として二重課税のリスクが残ります。

現行制度では回避できないこういった二重課税を回避するための方法は、そもそも税金がかからないもしくは税率の極めて低いタックスヘイブンで事業を展開することです。

タックスヘイブンの問題点

脱税やマネーロンダリングにつながるケースが跡を絶ちません
脱税やマネーロンダリングにつながるケースが跡を絶ちません

タックスヘイブンを利用した資金移動はお金の流れを把握することが難しく、資産隠しや税逃れ行為につながります。

この段落では、タックスヘイブンの問題点をくわしく見ていきましょう。

【注目のきっかけ】パナマ文書の流出

タックスヘイブンが世界的に注目されるきっかけとなった出来事、パナマ文書の流出について簡単におさらいします。パナマ文書とはパナマ共和国にある法律事務所モサック・フォンセカから流出した1,100万件以上の内部文書のことです。

同法律事務所は世界の権力者や富裕者がパナマにペーパーカンパニーを設立し、資産隠しに利用するためのアドバイスをしていたのではないかと疑いが持たれました。アイスランドの首相やロシア大統領、国際的映画スターなども名指しされ、パナマ文書流出は「史上最大級のリーク」とも言われました。

この事件や報道をきっかけに、タックスヘイブンの問題点にも注目が集まるようになったのです。

参考:Newsweek日本版 | 世紀のリーク「パナマ文書」が暴く権力者の資産運用、そして犯罪

問題点1.お金の流れを把握するのが難しく脱税につながる

タックスヘイブンの問題点1つ目は、海外取引の調査が難しくお金の流れを把握するのが難しいことです。これまで日本政府は、国外へ多額の送金を把握したり、他国と連携し海外にある金融口座の情報を閲覧したりと、包囲網を敷いてきました。しかし租税回避行為の手口は高度化する一方だったのです。

租税回避行為への防止策として2012年に「国外財産調書制度」を創設し、国外財産を保有する国内居住者を対象に資産の種類や金額を記した書類提出を義務を課しました。しかし政府は対象となる富裕層はさらに多いとみており、税逃れを防ぐ仕組みづくりを課題としています。

参考:国外財産調書の提出制度 | 国税庁

問題点2.マネーロンダリング(資金洗浄)に使われる

タックスヘイブンのもう1つの問題点は、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されるケースがあることです。

国税庁の研究活動でもこの問題では認識されており、対応策が考察されています。

無税又は低税率に加え銀行秘密及び情報交換欠如という特徴を持つタックスヘイブンは、国際的租税回避、資産逃避及びマネーロンダリング等において重要な役割を占めている。

引用:海外資産の把握及び法制の異なる資産等の取扱い | 国税庁

タックスヘイブンに関する規制

国際的な取り組みと日本国内の取り組みを見ていきましょう
国際的な取り組みと日本国内の取り組みを見ていきましょう

タックスヘイブンの問題点を確認できたところで、タックスヘイブンに関するOECDの取り組みと日本の規制を見ていきましょう。

OECDによる規制〜BEPS行動計画〜

OECD(経済協力開発機構)は平成24年6月に「BEPSプロジェクト」を始動しました。BEPSとは、各国の税制のズレを利用して課税逃れを行っている多国籍企業活動に関する問題のこと。Base Erosion and Profit Shiftingの略です。

BEPSプロジェクトとは、それらの問題に各国が協調して対応するために起ち上げられたプロジェクトを指します。平成27年9月には最終報告書がとりまとめられ、下記の行動計画が記載されました。

  • 行動計画1:電子経済の課税上の課題への対処
  • 行動計画2:ハイブリッド・ミスマッチ取極めの効果の無効化
  • 行動計画3:外国子会社合算税制の強化
  • 行動計画4:利子控除制限ルール
  • 行動計画5:有害税制への対抗
  • 行動計画6:租税条約の濫用防止
  • 行動計画7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止
  • 行動計画8‐10:移転価格税制と価値創造の一致
  • 行動計画11:BEPSの規模・経済的効果の分析方法の策定
  • 行動計画12:義務的開示制度
  • 行動計画13:多国籍企業の企業情報の文書化
  • 行動計画14:相互協議の効果的実施
  • 行動計画15:多数国間協定の策定

参考:BEPSプロジェクト | 国税庁

日本国内の規制〜タックスヘイブン対策税制「外国子会社合算税制」の見直し〜

BEPSプロジェクトの流れを受けて、日本国内では外国子会社合算税制の見直しが図られました。「外国子会社合算税制」とは、外国の子会社を利用した租税回避を防止するため、外国の所得相当額を日本の親会社の所得とみなして課税する制度のことです。

本税制は法人だけでなく、日本国内居住者の個人にも適用されます。見直しの主なポイントは、海外への事業展開を阻害することなく効果的に租税回避リスクに対応したことです。

具体的には下記の点に配慮されました。

  1. トリガー税率の廃止
  2. ペーパーカンパニーなどの取得は会社単位で合算
  3. 制度適用免除基準を設定
  4. 実質支配基準の導入と持株割合の計算方法の見直し
  5. 事業基準・所在地国基準の判定方法の見直し
  6. 非関連者基準の判定方法の見直し
  7. 受動的所得の対象範囲の設定

引用元:国際課税 | 財務省

監修税理士のコメント

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

日本は諸外国と比べ法人税率がまだ高いと言われてます。ですので法人税率が高くない国に法人を設立することにより税金を少なくすることが可能になってます。しかしここに関しては短いスパンで税制改正が行われていて、パナマ文書の流出により税制改正の速度は加速しています。ですので税制改正等の情報は特に注意しましょう。
ミツモアでプロを探す

ミツモアで税理士を探そう!

ミツモアでプロを探してみよう!
ミツモアで税理士を探そう!

税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

簡単!2分で税理士を探せる!

ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。

パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる

この記事の監修税理士

越智聖税理士事務所 - 愛媛県松山市天山

越智聖(おちさとる)1980年愛媛県今治市生まれ。香川大学経済学部卒。大学卒業後愛媛県西条市の税理士事務所で12年間の勤務の間に税理士試験に合格し平成27年4月に愛媛県松山市にて独立開業。スタッフ5人。法人の顧問先102件、確定申告約130件(平成30年実績)相続税申告年間約5件。“人の為に動く”を経営理念とし、愛媛県で一番話しやすい税理士と言われている。
ミツモアでプロを探す