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個人事業主が法人化する目安の事業所得は?節税メリットも解説!

最終更新日: 2020年01月07日

個人事業主売上が順調に伸びてきたら、「法人成り」を検討する段階かと思います。ただ、法人化をした方がいいのだろうか?法人化する売上の分岐点はどれくらいなのだろうか?そんな疑問も出てくるのではないでしょうか。

本記事では、個人事業主が法人化するメリットや、税制的に法人化した方が良い所得や売上の分岐点について解説します。

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

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個人事業主と法人の違いは?

これから個人事業主になることを検討する男性
個人事業主と法人の違いって?

個人事業主と法人の違いは事業を営む形態の違いです。しかし、起業する方にとっては事業形態が異なるだけではなく、各種手続きや課せられる税金の種類まで異なるのでその違いをしっかりと把握しておかなければなりません。まずは、簡単に個人事業主と法人の特徴を確認してみましょう。

個人事業主とは

個人事業主とはその名の通り、「個人で事業を営む事業者」です。厳密には、法人との雇用契約等を結ばずに反復して継続される仕事(事業)を営む個人のことを指しており、「個人」という名はついていますが、従業員を雇って事業を行なうこともできます。

法人と比べると開業などの手続きが容易で、誰にでも簡単に始められる事業形態です。この個人事業にかかる代表的な税金は所得税で、確定申告時期に事業所得に係る所得税の確定申告で所得税額を計算します。

法人とは

法人とは、登記によって国に存在を認められた会社であり、「株式会社」や「合同会社」などの事業形態で運営されます。

法人は赤字の繰越可能期間が10年間と、個人事業主の3年間より長くできること、経費として認められる範囲が個人事業主より広いことがメリットです。

個人事業主よりも社会的信用度の高い存在ではありますが、個人事業主と比べると手続きが複雑な傾向にあり、簡単に設立や廃業をすることはできません。法人に課せられる代表的な税金は法人税で、法人が任意で定める会計期間に基づいて法人税の計算が行われます。

個人事業主が法人化する分岐点とは

個人事業主 法人化
事業所得500万円・課税売上高1000万円が個人事業主が法人化する分岐点

「どれくらい稼いだら法人化すればいいんだろう?」

順調に売上が伸びたら、法人化を検討される個人事業主の方は多いのでは。ただ、一体どの程度まで稼いだら法人化すると良いのでしょうか。

分岐点① 「事業所得」が600万円を超えるとき

個人事業主が法人化を検討する分岐点の1つ目は、「事業所得(売上ー経費)が600万円をこえるとき」です。その理由としては、以下の2つの理由が挙げられます。

  1. 個人事業主と法人は支払う税金の種類が違う
  2. 個人事業主が支払う「所得税」と、法人が支払う「法人税」の税率が違う

では、次から詳しく解説していきましょう。

個人事業主と法人が納める税金の種類

個人事業主と法人の税金
個人事業主と法人の税金の種類

個人事業主と法人が納める税金は、以下の通りです。

個人事業主

  • 所得税
  • 個人事業税
  • 住民税
  • 消費税

法人

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 地方法人特別税
  • 消費税

次からは上記税金のうち、個人事業主と法人で税額に大きな差が出る「所得税」「法人税」「個人事業税」「法人事業税」に焦点を当てて解説していきます。

個人事業主が支払う所得税

個人事業主の所得税率および課税控除額は以下早見表の通り、所得に応じて7段階に分類されています。

所得税率 早見表
所得税率 早見表 ※出典:国税庁

個人事業主には個人事業税の納税義務が

また、個人事業主の場合は所得税の他に「個人事業税」という税金を納める必要があります。計算式は以下の通りです。

(事業所得ー専従者給与等ー各種控除)× 税率 

専従者控除とは、家族を従業員として雇用している場合に支払う報酬のことを指し、各種控除には1年間事業を営んでいれば一律で290万円が控除される「事業主控除」や前年度の「赤字繰越」などがあります。

また、個人事業税は地方税であり、税率は業種によって異なり、例えば東京都のホームページによると、ほとんどの業種で税率が5%になっています。

法人化した場合に支払う法人税

個人事業主が法人化した場合、所得税の代わりに課せられるのが法人税です。税率は、以下の通り2段階になっています。

  1. 事業所得のうち、800万円以下の部分に15%
  2. 事業所得のうち、800万円を超える部分に23.4%
法人税率 一覧表
法人税率 一覧表 出典:国税庁

法人事業税の税率は3段階

法人化した場合、「法人事業税」を登記している都道府県に納める必要があります。法人事業税の税率は以下表の通り、所得に応じて3段階に分かれています。

年間事業所得法人事業税率
400万円以下3.4%
400万超え800万以下5.1%
800万円超え6.7%

事業所得が600万円の場合でシミュレーション

個人事業主と法人の税金の比較

では、具体例として「事業所得が600万円の個人事業主」のケースで、法人化した方が節税になるかを検証しましょう。今回は個人事業主と法人で大きく税率が異なる、以下の税金について比較します。

【個人事業主】

  • 所得税
  • 個人事業税

【法人】

  • 法人税
  • 法人事業税

個人事業主の所得税額(青色申告の場合)

青色申告をしている個人事業主で扶養控除などを考慮しない場合、所得税額は以下の通りです。

(事業所得600万円-基礎控除38万円-青色申告特別控除65万円)×20%-税額控除額42万7500円=56万6,500円

個人事業の税額(税率5%・専従者なし)

次に、個人事業税の税額を、税率5%の業種と仮定して計算すると以下の通りになります。また、計算を簡単にするために、専従者については考えないものとします。

(事業所得600万円-290万円)× 5%=15万5000円

法人税の税額

法人化した場合の法人税は以下の通りです。

600万円×15%=90万円

法人税の税額

法人化した場合の法人事業税は以下の通りです。

600万円×5%=30万円

個人事業主のままだと、所得税と個人事業税の合計は72万1500円(56万6500円+15万5000円)となり、法人化した場合の法人税と法人事業税の合計は、120万円(90万円+30万円)です。法人の方が50万円以上、多く税金を支払う結果となりました。

事業の拡大を目指すのであれば、法人成りを検討

確かに、単純な納税額では個人事業主に軍配が上がります。しかし後ほど説明する給与所得控除を考慮すると、個人と法人で負担額が逆転するラインが600万円程度といわれています。また、法人成りには税制以外にも後ほどご紹介するようにメリットが多くあります。

なので事業所得600万円を分岐点として、法人化を検討すべきなのです。

分岐点② 「課税売上高」が1,000万円を超えるとき

個人事業主が法人化を検討する、もう1つの分岐点は「課税売上高1,000万円を超える」かどうかです。

これは、消費税の納税義務が発生するためです。課税売上高が1,000万円以下であれば免税になるのですが、1,000万円を超えると消費税の納税義務者になります。

法人化をすると、一部の例外を除き、1期目と2期目の消費税は免除されます。事業の業績が順調に伸びて、課税売上高が1,000万円を超える見通しがあるのなら、法人化を検討しても良いでしょう。

法人化すべきタイミングについてもっと詳しく知りたい場合はこちらの記事をご参考ください。

関連記事:【税理士監修】節税対策にもなる?ベストな法人化のタイミングとは|ミツモア

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個人事業主が法人化するメリット

個人事業主 法人化
個人事業主が法人化するメリット

個人事業主が実際に法人化をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。取引先や金融機関との関係性や資金調達など、さまざまな観点から見たメリットをご紹介します。

取引先の獲得や金融機関の信用獲得で有利に

法人化メリット資金調達

事業を行なう中で、個人事業主よりも法人化の方が有利に取引を進められるケースが多くなります。

新規の取引先を開拓しようとしても、取引先によっては取引先を法人に限定しているところがあり、個人事業主と取引を行なうところであっても、別途で追加の契約条件を設けられることもあります。このため、法人として営業をする方が、交渉相手も増えるうえに、条件の良い契約が可能になるのです。

また、法人化されると、会計も個人の所持金と法人の資金が明確に区別されるので、財務管理が整備され、金融機関としても融資について明確な判断ができるようになります。

資金調達においても、法人の方が金融機関に対して有利に進められることが多いのです。たとえば融資額、利率、融資期間などの条件を交渉する際に、金融機関の査定ポイントとして法人化しているという条件はプラスに働くでしょう。

対外的には法人化している方が有利な面が多いことから、取引先や金融機関との取引を広げたいと考えた時点が、法人化を検討するタイミングだと言えます。

事業拡大時に、優秀な人員を確保できる

事業を拡大するうえで、なにより信用力が欠かせません。法人化の際には、法人登記をするので、これにより社会的信用は格段に高まります。

社会的信用が高まることにより、取引先の獲得や金融機関の信用を得られるのはもちろんのこと、優秀な人材の確保にもつながります。

さらに、規模の拡大には組織としての体制を確立する必要もあり、事業規模を拡大しようという思いがあるのなら、そのときが、法人化を図るタイミングだと言えます。

会社の損金(経費)で退職金を支給できる

個人事業主には、退職という概念はありません。また家族従業員の退職金も経費として認められません。

しかし、法人化をすることで、本人はもとより家族従業員の退職金も法人の損金として認められます。

もちろん退職金は退職所得として課税されるのですが、退職所得は一般の所得と比べて課税率が優遇されているので、相当の節税効果が期待できます。

決算期間を自由に決める事ができる

個人事業主は確定申告での税務申告が義務づけられているため、1月から12月の事業期間しか選択できませんが、法人化すると好きな決算期間を選択する事ができます。

事業の内容によっては、繁忙期や決算の見通しが立ちやすい時期が異なるので、事業に見合った時期が自由に選択できることはメリットだといえます。

給与所得控除と家族の給与支給で節税

法人化メリット節税
法人化メリット・節税

法人化により、利益を給与という形で得られると、税制面で大きな節税となります。これは、給与による収入には、給与所得控除があるからです。仮に800万円の給与を得たとすると、このうち200万円が給与所得控除、38万円が基礎控除として控除されるので、課税対象額は562万円です。

もし、これが個人事業主だったとすると、控除されるのは青色申告の特別控除の65万円と基礎控除38万円なので、課税対象額は、697万円になります。つまり給与として支給した方が、課税対象額が135万円も低く抑えられることになるのです。

しかも、この利益を家族従業員に分散して給与という形で支払ったとすると、所得税率表のさらに下のランクの税率が適用されるので、より大きな節税効果が期待できます。

後継者への事業承継がしやすくなる

法人化メリット事業継承

個人事業主の場合、事業主が死亡すると、ただちに事業主名義の預金口座が凍結されます。このため、事業に関わる支払いに支障をきたすことがあります。また業務に必要な備品や車両、機器、道具類も相続対象になることから、たとえ後継者がいたとしても、業務の継続が困難になることがあるため、注意しましょう。

法人化をしていると、個人と法人の財産が明確に区別されているため、たとえ代表者が死亡しても、会社の財産が相続対象になることはありません。このため、事業は中断することなく継続することができます。

会社の事業承継は、役員を変更するだけで可能です。後継者も親族に限る必要がないので、親族に適任者がいなくても、外部から優秀な人材を引き込むなどの選択肢があります。

相続争いに巻き込まれて事業の中断に追い込まれるリスクがなく、事業承継がスムーズに進められる点は、法人化の大きなメリットだといえます。

社会保険に加入できる

個人事業主であっても、社会保険に任意で加入することはできましたが、加入対象者は従業員に限られていました。このため個人事業主は、国民健康保険と国民年金に加入するという選択肢しかなかったのです。

しかし、法人化した場合は、会社の規模にかかわりなく、社会保険に強制加入することになります。

健康保険は、国民健康保険に比べて保険給付金が手厚いのが特徴です。また厚生年金保険は、国民年金と比べて保険料は高くなるものの、受給額が大幅に増えるので、加入する価値は十分にあるといえるでしょう。

このように社会保険に加入できるのも、個人事業主では実現できなかったメリットと言えます。

消費税の納税を遅らせることができる

個人事業を営んでいる場合、前々年度の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり消費税の納税が必要です。

例えば、2018年度の課税売上高が1,000万円を超えた場合は2020年度から消費税の課税事業者となり、消費税の納税が必要になります。

ここで、消費税の課税事業者となる2020年の1月から法人化(決算月を12月)した場合、新設法人は最初の2期が納税免除される規定によって2021年12月まで消費税の免税事業者扱いです。

結果として、法人化してから2年が経過する2021年度末まで消費税の納税を遅らせることができます。このように、売上高に応じて消費税の課税事業者となるタイミングで個人事業主から法人化することも重要な選択肢の一つです。

法人化するメリットについてもっと詳しく知りたい場合はこちらの記事をご参考ください。

関連記事:【税理士監修】法人化の3大メリット!100万円以上の節税も可能?|ミツモア

個人事業主が法人化するデメリット

個人事業主 法人化 デメリット
法人化のデメリットとは?

個人事業主が法人化をするにあたり、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。予めデメリットを知ることで、事前に対策を講じられるという利点もあります。詳しくみていきましょう。

個人事業主が法人化するときに設立費用がかかる

個人事業主が法人化する際、資本金とは別に費用がかかります。

以下が主な費用です。

  • 定款認証手数料:5万円
  • 定款印紙代金:一通4万円(電子認証定款に場合は不要)
  • 登録免除税(15万円が下限・資本金の0.7%):15万円

国税庁によると登録免除税は、資本金の0.7%とあります。しかし、国税庁より

15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円

とあります。仮に資本金800万円とすると、800万円×0.7%=56,000円です。

15万円が下限なので、登録免除税は15万円です。

その他に、会社の資本金を用意する必要があります。

資本金は現在、1円からでも問題ありません。ただ対外信用を得るためには、百万円単位の資本金が望ましいでしょう。

この資本金を法人登記前に法人用の口座に入金しましょう。

申告書の様式が複雑になる

個人事業主は確定申告書を提出していましたが、法人化すると決算申告書を作成して税務申告をします。確定申告書より申告書が複雑になるので、自社のみで作成することが相当難しくなります。

自社に専門スキルを持った人員がいる場合は自社で作成することも可能ですが、税理士に依頼した方が、ミスなく適切な申告を行なえるでしょう。

複式簿記による経理事務処理が必要となる

個人事業主であっても青色申告をする場合は複式簿記が求められましたが、白色申告の場合は必要ないことから、複式簿記を回避することが可能でした。

しかし、法人化した場合は、複式簿記による経理事務が必須になります。複式簿記の知識があれば経理事務処理をすることが可能ですが、会計ソフトを導入することで、さらに作業の効率化を図ることができます。

赤字の場合でも税金がかかる

個人事業主の場合、赤字であれば所得税の負担はなかったのですが、法人になるとそうはいきません。法人は住民税均等割があり、たとえ赤字であっても課せられるからです。自治体によって異なりますが、概ね7万円程度が必要になるでしょう。

重要事項を決定するには決議が必要になる

法人化した場合は、様々な意思決定に株主総会や取締役会の決議が必要になります。これは予め会社の定款で定められており、その方法に従って議事進行を行ない、議事内容を議事録として残しておく必要があります。

個人事業主であれば自由に決められたことが、思いどおりにはならない点がデメリットといえるでしょう。

交際費に限度額がある

個人事業主の場合、交際費の上限は設けられていませんでしたが、法人化すると、期末資本金額が1億円以下である法人は、上限が年800万円までです。税法上の交際費の適用は、細かく事例が示されているため、適正に執行することが求められます。

個人事業主が法人化するときの注意点

個人事業主 法人化 注意点
法人化する際に注意すべきこと!

個人事業主が法人化するにあたり、様々な準備が必要になりますが、どのような点に注意して準備をすすめれば、スムーズに開業までたどり着けるのでしょうか。個人事業主が法人化するときの注意点についてみていきましょう。

会社の運転資金を確保する

開業に際しては、様々な初期投資が必要です。一方で開業当初は、なかなか利益が上がらないことがあります。初期段階の経営難を乗り越えるだけの資金を予め準備しておかなければいけません。

法人の体制を整える

個人事業主の法人化 準備

個人事業主が法人化すると、決算書を複式簿記によって作成します。また、その処理に使用した領収書や契約書などは税務調査の対象となるため、会社での保管が義務付けられており、さらには社会保険の加入など、個人事業主のときにはなかった事務作業が増えます。

いずれも法人を運営していくうえで重要な分野ですから、これらをこなせる人材の確保と体制を整えるとともに、パソコンや会計ソフトを導入するなど会社の執務基盤も整備するべきでしょう。

社名変更への対応

個人事業主から法人化をするにあたり社名が変更されます。引き続き個人事業主として掲げていた屋号を使用する場合であっても、正式な書類などでは会社名義で行いましょう。

店舗や事務所を構えている事業であれば、看板の表示やホームページ、請求書、領収書の表示変更が必要になるので注意してください。

個人事業主が法人化する際に税理士に依頼するメリット

個人事業主 税理士
税理士に頼むメリットは?

法人を運営するうえにおいて、税理士の存在は欠かせません。個人事業主が法人化するにあたり税理士に依頼すると、どのようなメリットがあるのかをみていきましょう。

法人化の手続から依頼できる

法人化の手続に関しては、税理士が代理できることはありません。しかし、順調な事業成長が見込めても、今後の経営の見通しには専門家の判断が必要なことが多く、法人化する段階から税理士に相談に乗ってもらうことには大きな意義があります。

面倒な記帳代行を代行してくれる

税理士に納税手続の依頼だけでなく、経理事務作業の記帳代行といわれる複式簿記の作業も含めて依頼することがあります。会社内で経理事務員を雇用するほどの業務量ではなく、事務量に見合った報酬額で税理士が引き受けてくれるのであれば、効率面でメリットを享受できるでしょう。

固定資産管理を適切にしてくれる

設備投資が大きい事業であれば、固定資産管理における事務作業量が多いため、税務判断が必要となり、また、減価償却費の金額が大きくなり、節税という点からも精緻な管理が求められます。

購入を検討する段階で税理士に相談すれば、購入のタイミングなどでアドバイスを得られるため、結果として節税につながることもあります。

税務調査への対応も任せられる

法人は個人事業者に比べて税務調査が入る可能性が高く、税務調査が入ると、会社申告の場合は、会計担当者や代表者が直接対応することになります。

税理士に依頼しているケースであれば、税務調査にも税理士が立ち会ってくれ、さまざまざ質問にも的確に回答してくれるので、税務調査対策という観点からも所得税・事業税・法人税・消費税などの税務処理を税理士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

個人事業主から法人化する際の手続き

個人事業主から法人化する際の手続き

個人事業主から法人成りをする場合、手続きが必要になります。手続きは意外と時間がかかるもの。しっかりと手続きの内容を把握しておくことが大事です。ということで法人成りする際に必要な手続きについて解説します。

法人設立

法人成りする際に欠かせないのはもちろん法人の設立。法人設立する際の手続きは、

  1. 会社の形態を決める
  2. 定款の作成・認証
  3. 出資金の払込み
  4. 登記を行なう

です。

株式会社か合同会社か決める

個人事業主が法人設立する際、基本的に選択されるのは株式会社か合同会社で、一番スタンダードなのは株式会社です。株式会社と合同会社の違いは「出資者と経営者が同じかどうか」で、自ら出資者と経営者両方を兼ねたい場合は合同会社を設立しましょう。

合同会社であれば株式会社で必要となる定款認証も必要ありません。

株式会社と合同会社の違いをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。

関連記事:【税理士監修】合同会社と株式会社の違い10ポイントを詳しく解説!|ミツモア

定款の作成・認証

次に定款の作成・認証を行ないます。定款を作成する際は、発起人となる個人事業主が事業計画を作成し、設立目的など会社の基本事項を定めましょう。その後、その情報をもとに定款を作成します。この際に発起人全員の印鑑証明書も用意しておきましょう。

定款の認証は、まず公証役場にて公証人から事前チェックを受けたのち発起人全員が実印を押します。そして同じ定款を3部作成・それぞれに発起人全員が実印を押したしたうえで再度公証役場に持っていくことで認証が完了します。

出資金の払い込み

定款の認証が完了したら、次は出資金の払込みを行います。

手順は

  1. 定款が認証されてから入金を行なう
  2. 入金を証明するために通帳のコピーを取る
  3. 払込証明書を作成する

です。

登記を行なう

登記とは、法務局に備えられている登記簿に権利関係や重要事項を記載する行為をさし、

  • 書面一式を法務局の窓口に提出する方法
  • 管轄の法務局に郵送する郵送申請
  • インターネットで提出するオンライン申請

の三つの方法があります。いずれも申請先は法務局となります。

登記申請に必要な書類は

  • 「設立登記申請書」と「登録免許税貼付台紙」
  • 「登記すべき事項」の提出(FD、CD-R、オンライン申請)
  • 「印鑑届書」
  • 添付書類一式(定款や印鑑証明などの書類)

です。登記書類は法務局HPからダウンロードできます。

資産・負債の引継ぎ

登記後は、個人事業主が所有していた資産・負債を会社に引き継ぎます。

引継ぎをする際は、

  • 「財産目録(引き継ぎ資産・負債の一覧表)」
  • 「事業譲渡(営業譲渡)契約書」
  • 「株主総会(取締役会)議事録」

の三つの書類も同時並行して作成しましょう。

各種契約の名義変更

法人成りすることで事業用として契約しているものは名義を個人から会社に変更する必要が出てきます。

例えば、預金通帳、事務所など賃貸借契約、事業用車両、借入金、官公庁への届け出書類、公共サービス契約などがあります。忘れずに名義変更しましょう。

新法人に関する届出書・申請書の提出

次に、税務署や都道府県、労働基準監督署などへの届出書・申請書を提出しましょう。

税務署には、法人設立届出書と青色申告承認申請書を法人設立から2カ月以内に提出しなくてはいけません。また、都道府県・市町村に対しても法人設立届出書の提出をします。東京23区内は設立から15日以内、それ以外は設立から1カ月以内が一般的な提出期限です。

個人事業の廃業手続き

最後に、個人事業の廃業手続きをしましょう。税務署に個人事業の開業届出・廃業等届出書を廃業から1カ月以内に提出し、都道府県税事務所と市区町村窓口にそれぞれ事業開始(廃止)等申告書を提出します。

地域によって提出期限が違うのでしっかり確認しておきましょう。

監修税理士のコメント

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

読んでいただいた通り、法人化は非常に手間と時間、お金が掛かります。ですが、その分、節税効果は大きく、事業を拡大していく中では必ず通る道と言えます。 その他、役員報酬の設定次第では社会保険料の節約にもなります。 法人化をする際に税理士が代理で行なえる業務はありませんが、決算期の設定や資本金の額をいくらにするかなど、有益なアドバイスをもらえますので一度相談してみてはいかがでしょうか。
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個人事業主の法人化への分岐点について、ご紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。法人化する際には様々な準備が必要になるため、すこし難しく感じた方もいるかもしれません。

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また、こちらの記事ではミツモアに登録している税理士の紹介と、依頼に必要な費用や選び方を解説していますので合わせてご確認ください。>>個人事業主にお勧めの税理士55選と税理士の選び方

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この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬)1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格、2010年京都大学経済学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。
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