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個人事業主の法人化の分岐点は?節税メリットを解説!

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最終更新日: 2018年09月27日

2018年9月17日更新

あなたの身の回りに、個人事業主だったのに、いつの間にか株式会社の社長になっていたという人はいませんか? 会社法が改正され、新規に株式会社を設立(法人化)することが容易になってきています。その効果もあり、個人事業主の数が横ばい傾向の中、現在、新規に法人化する数は廃業数を上回っているのです。はたして法人化をした方がいいのだろうか? 法人化するにはどんなタイミングで行えばいいのだろう? そんな個人事業主の疑問について、詳しく解説していきます。

個人事業主が法人化を考え始めるタイミング

個人事業主 法人化
売上が500万円、1000万円を超えるとそれぞれの分岐点が見えてくる

ひと言で法人化といっても、闇雲に踏み切るわけにはいきません。法人化の検討に際しては、いくつかの分岐点があることをご存じでしょうか。事業が順調に成長していく中で、どのようなタイミングで法人化の検討をすればいいのかみていきましょう。

事業所得が500万円を超えるとき

個人事業主の所得税率は、所得に応じて7段階に分類されています。一方、法人に課せられる法人税は、所得のうち800万円以下の部分に課せられる15%と所得のうち800万円を超える部分に課せられる23.2%の2段階です。

個人事業主の所得が「330万円を超え695万円以下」の場合、「所得×20%-427,500円」が所得税となることから、所得が600万円近くになると、法人税額よりも所得税の税額の方が高くなってしまいます。

このため、個人事業主の所得が500万円を超えた段階が、法人化を検討するひとつの目安になるのです。

課税売上高が1000万円を超えるとき

課税売上高が1,000万円というのは、消費税の納税義務者になる分岐点になります。課税売上高が1000万円以下であれば免税になりますが、1000万円を超えると消費税の納税義務者になるのです。

法人化をすると、一部の例外を除き、1期目と2期目の消費税は免除されます。事業の業績が順調に伸びて、課税売上高が1000万円を超える見通しがあれば、法人化を検討するひとつの目安だといえるでしょう。

取引先の獲得と金融機関の信用を得る

事業を行う中で、個人事業主よりも法人化している方が有利に取引を進められることがあります。

新規の取引先を開拓しようとしても、取引先によっては取引先を法人に限定しているところがあります。あるいは、個人事業主と取引を行うところであっても、別途で追加の契約条件を設けられることもあります。このため、法人として営業をする方が、交渉相手も増えるうえに、条件の良い契約が可能になるのです。

また、資金調達をする場合でも、法人の方が金融機関に対して有利に進められることが多いのです。たとえば融資額、利率、融資期間などの条件を交渉する際に、金融機関の査定ポイントとして法人化しているという条件はプラスにはたらくのです。

対外的には法人化している方が有利な面が多いことから、取引先や金融機関との取引を広げたいと考えた時点が、法人化を検討するタイミングだといえます。

事業規模拡大の予定なら法人化を検討

事業を拡大するうえで、なにより信用力が欠かせません。法人化の際には、法人登記をしますから、これにより社会的信用は格段に高まります。

社会的信用が高まることにより、取引先の獲得や金融機関の信用を得られるのはもちろんのこと、優秀な人材の確保にもつながります。

さらには、規模の拡大には、組織としての体制を確立する必要もありますから、事業規模を拡大しようという思いがあるのなら、そのときが、法人化を図るタイミングだといえます。

個人事業主が法人化するメリット

個人事業主 法人化
個人事業主が法人化するメリット

実際に法人化をした場合、はたしてどのようなメリットがあるのでしょうか。様々な観点からメリット面をみていきましょう。

法人税で節税する(所得500万円以上)

個人事業主と法人では、それぞれ様々な税制度があり単純に比較はできませんが、所得税と法人税を比較すると、所得が低い場合は、所得税の方が安いのですが、600万円近くで分岐点があり、それ以上の所得があると法人税の方が安くなります。したがって、収益が大きくなると、法人化した方が税制面のメリットがあるといえます。

取引先、金融機関からの信用が高まる

法人化されると、会計も個人の所持金と法人の資金が明確に区別されます。これにより財政管理が整備され、金融機関としても融資について明確な判断ができるようになります。

また、取引先においては、支払い期日や入金期日などの提案をすることができます。交渉をすることで運転資金の回収サイクルの効率が上がり、事業資金に余裕を生むことができるのです。

会社の損金(経費)で退職金を支給できる

個人事業主には、退職という概念はありません。また家族従業員の退職金も経費として認められません。

しかし、法人化をすることで、本人はもとより家族従業員の退職金も法人の損金として認められます。

もちろん退職金は退職所得として課税されますが、退職所得は一般の所得と比べて課税率が優遇されているので、相当の節税効果が期待できます。

決算期間を自由に決める事ができる

個人事業主は確定申告での税務申告が義務づけられているため、1月から12月の事業期間しか選択できませんが、法人化すると好きな決算期間を選択する事ができます。

事業の内容によっては、繁忙期や決算の見通しが立ちやすい時期が異なりますから、事業に見合った時期が自由に選択できることはメリットだといえます。

給与所得控除と家族の給与支給で節税

法人化により、利益を給与という形で得られると、税制面で大きな節税となります。これは、給与による収入には、給与所得控除があるからです。仮に800万円の給与を得たとすると、このうち200万円が給与所得控除、38万円が基礎控除として控除されますから、課税対象額は562万円になります。

もし、これが個人事業主だったとすると、控除されるのは青色申告の特別控除の65万円と基礎控除38万円ですから、課税対象額は、697万円になります。つまり給与として支給した方が、課税対象額が135万円も低く抑えられることになるのです。

しかも、この利益を家族従業員に分散して給与という形で支払ったとすると、所得税率表のさらに下のランクの税率が適用されますから、より大きな節税効果が期待できます。

後継者への事業承継がしやすくなる

個人事業主の場合、事業主が死亡すると、ただちに事業主名義の預金口座が凍結されます。このため、事業に関わる支払いに支障をきたすことがあります。また業務に必要な備品や車両、機器、道具類も相続対象になることから、たとえ後継者がいたとしても、業務の継続が困難になることがあります。

法人化をしていると、個人と法人の財産が明確に区別されているため、たとえ代表者が死亡しても、会社の財産が相続対象になることはありません。このため、事業は中断することなく継続することができます。

会社の事業承継は、役員を変更するだけで可能になります。後継者も親族に限る必要がないので、親族に適任者がいなくても、外部から優秀な人材を引き込むなどの選択肢があります。

相続争いに巻き込まれて事業の中断に追い込まれるリスクがなく、事業承継がスムーズに進められる点は、法人化の大きなメリットだといえます。

社会保険に加入できる

個人事業主であっても、社会保険に任意で加入することはできましたが、加入対象者は従業員に限られていました。このため個人事業主は、国民健康保険と国民年金に加入するという選択肢しかなかったのです。

しかし、法人化した場合は、会社の規模にかかわりなく、社会保険に強制加入になります。

健康保険は、国民健康保険に比べて保険給付金が手厚いのが特徴です。また厚生年金保険は、国民年金と比べて保険料は高くなりますが、受給額が大幅に増えるので、加入する価値は十分にあるといえます。

このように社会保険に加入できるのも、個人事業主では実現できなかったメリットといえます。

個人事業主が法人化するデメリット

個人事業主 法人化 デメリット
法人化のデメリットとは?

個人事業主が法人化をするにあたり、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。予めデメリットを知ることで、事前に対策を講じられるという利点もあります。詳しくみていきましょう。

個人事業主が法人化する時に設立費用がかかる

個人事業主が法人化する際は、定款認証、登録免許税などの費用として約25万円かかります。

また会社の資本金を用意する必要があります。資本金は1円からでも可能ですが、資本金は法人登記に記載されますから、対外的信用を得るためには、百万円単位の資本金の方が望ましいでしょう。この資本金を、法人登記前に法人用の口座に入金する必要があります。

申告書の様式が複雑になる

個人事業主は確定申告書を提出していましたが、法人化すると決算申告書を作成して税務申告をします。確定申告書より申告書が複雑になるので、自社のみで作成することが相当難しくなります。

一般的には税理士に依頼しますが、自社に専門スキルを持った人員がいる場合は、自社で作成することも可能です。

複式簿記による経理事務処理が必要となる

個人事業主であっても、青色申告をする場合は複式簿記が求められましたが、白色申告の場合は必要ないことから、複式簿記を回避することが可能でした。

しかし、法人化した場合は、複式簿記が必須になります。この処理自体は、複式簿記の知識があれば経理事務処理をすることが可能ですが、会計ソフトを導入することで、さらに作業の効率化を図ることができます。

赤字の場合でも税金がかかる

個人事業主の場合、赤字であれば税負担はなかったのですが、法人になると事情が違ってきます。法人は均等割の住民税があり、たとえ赤字であっても課せられます。自治体によって異なりますが、概ね7万円程度が必要になります。

重要事項を決定するには決議が必要になる

法人化した場合は、様々な意思決定に株主総会や取締役会の決議が必要になります。これは予め会社の定款で定められており、その方法に従って議事進行を行い、議事内容を議事録として残しておく必要があります。個人事業主であれば自由に決められたことが、思いどおりにはならない点がデメリットといえます。

交際費に限度額がある

個人事業主の場合、交際費の上限は設けられていませんでしたが、法人化すると、期末資本金額が1億円以下である法人は、上限が年800万円までになります。税法上の交際費の適用は、細かく事例が示されているため、適性に執行することが求められます。

個人事業主が法人化するときの注意点

個人事業主 法人化 注意点
法人化する際に注意すべきこと!

個人事業主が法人化するにあたり、様々な準備が必要になりますが、どのような点に注意して準備をすすめれば、スムーズに開業までたどり着けるのでしょうか。個人事業主が法人化するときの注意点についてみていきましょう。

会社の運用資金を確保する

開業に際しては、様々な初期投資が必要になります。一方で開業当初は、なかなか利益が上がらないことがあります。初期段階の経営難を乗り越えるだけの資金を予め準備しておくことが必要です。

法人の体制を整える

個人事業主が法人化すると、決算書を複式簿記によって作成します。またその処理に使用した領収書や契約書などは税務調査の対象となるため会社での保管が義務付けられています。さらには社会保険の加入など、個人事業主のときにはなかった事務作業が増えます。

いずれも法人を運営していくうえで、重要な分野ですから、これらをこなせる人材の確保と体制を整えるとともに、パソコンや会計ソフトを導入するなど会社の執務基盤も整備する必要があります。

法人化の挨拶状を発送する

法人化をしたら取引先や金融機関などに挨拶状を発送してお知らせをしましょう。挨拶状を送る事で、より取引先からの信頼を得られることになります。

社名変更への対応

個人事業主から法人化をするにあたり社名が変更されます。引き続き個人事業主として掲げていた屋号を使用する場合であっても、正式な書類などでは会社名義で行うことになります。

店舗や事務所を構えている事業であれば、看板の表示やホームページ、請求書、領収書の表示変更が必要になります。

個人事業主が法人化するときに税理士に頼むメリットとデメリット

個人事業主 税理士
税理士に頼むメリット・デメリットとは?

法人を運営するうえにおいて、税理士の存在は欠かせません。法人化にあたり税理士に依頼をする場合、どういったメリット、デメリットがあるのかをみていきましょう。

法人化の手続から依頼するメリット

法人化の手続に関しては、税理士が関わることはありません。しかし、順調な事業成長が見込めても、今後の経営の見通しには専門家の判断が必要なことが多く、法人化する段階から税理士に相談に乗ってもらうことには大きな意義があります。

記帳代行を依頼するメリット・デメリット

税理士に納税手続の依頼だけでなく、経理事務作業の記帳代行と言われる複式簿記の作業も含めて依頼することがあります。会社内で経理事務員を雇用するほどの業務量ではなく、事務量に見合った報酬額で税理士が引き受けてくれるのであれば、効率面でメリットがあります。

ただし、記帳代行は税理士の独占業務ではないため、その業務に限り外部委託することでコストダウンできる場合もあるので、コスト面での検討も必要になります。

固定資産管理を依頼するメリット

設備投資が大きい事業であれば、固定資産管理における事務作業量が多いために、税務判断が必要となります。また、減価償却費の金額が大きくなり、節税という点からも精緻な管理が求められます。購入を検討する段階で税理士に相談すれば、購入のタイミングなどでアドバイスを得られるため、結果として節税につながることもあります。

所得税・事業税・法人税・消費税を依頼するメリット

法人は、個人事業者に比べて税務調査が入る可能性が高くなります。税務調査が入ると、会社申告の場合は、会計担当者や代表者が直接対応することになります。税理士に依頼しているケースであれば、税理士が対応してくれますから、税務署対策という観点からも所得税・事業税・法人税・消費税に関しては税理士に依頼するメリットは大きいといえます。

確定申告を税理士に依頼するメリット

個人事業主が法人化をしても、個人として確定申告が必要な場合があります。法人としての付き合いがあれば、その確定申告を税理士に依頼することができます。

また法人化に際しては、法人税と給与所得に対する所得税のバランスを考えることも重要ポイントです。そうした点を相談できるのも税理士に依頼するメリットと言えます。

まとめ ミツモアで法人化に強い税理士を探そう

個人事業主の法人化への分岐点について、ご紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

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2018年08月11日 By 杉沢広輔