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個人事業主が法人化する分岐点は?節税メリットも解説!【税理士監修】

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最終更新日: 2019年09月17日

個人事業主売上が順調に伸びてきたら、「法人成り」を検討する段階かと思います。近年は会社法の改正によって株式会社の設立が容易になったことも追い風です。

ただ、法人化をした方がいいのだろうか?法人化する売上の分岐点はどれくらいなのだろう?そんな疑問も出てくるのではないでしょうか。

本記事では、個人事業主が法人化するメリットや、税制的に法人化した方が良い所得や売上の分岐点について解説します。

個人事業主が法人化する分岐点とは

個人事業主 法人化
事業所得500万円・課税売上高1000万円が個人事業主が法人化する分岐点?

「どれくらい稼いだら法人化すればいいんだろう?」

順調に売上が伸びたら、法人化を検討される個人事業主の方は多いのでは。ただ、一体どの程度まで稼いだら法人化すると良いのでしょうか。

本記事では、税制面における2つの売上分岐点や、法人化のメリットをご紹介します。

分岐点① 「事業所得」が600万円を超えるとき

個人事業主が法人化を検討する分岐点の1つ目は、「事業所得(売上ー経費)が600万円をこえるとき」です。その理由としては、以下の2つの理由が挙げられます。

  1. 個人事業主と法人は支払う税金の種類が違う
  2. 個人事業主が支払う「所得税」と、法人が支払う「法人税」の税率が違う

では、次から詳しく解説していきましょう。

個人事業主と法人が納める税金の種類

個人事業主と法人の税金
個人事業主と法人の税金の種類

個人事業主と法人が納める税金は、以下の通りです。

個人事業主

  • 所得税
  • 個人事業税
  • 住民税
  • 消費税

法人

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 地方法人特別税
  • 消費税

次からは上記税金のうち、個人事業主と法人で税額に大きな差が出る「所得税」「法人税」「個人事業税」「法人事業税」に焦点を当てて解説していきます。

個人事業主が支払う所得税

個人事業主の所得税率および課税控除額は以下早見表の通り、所得に応じて7段階に分類されています。

所得税率 早見表
所得税率 早見表 ※出典:国税庁

個人事業主には個人事業税の納税義務が

また、個人事業主の場合は所得税の他に「個人事業税」という税金を納める必要があります。計算式は以下の通りです。

(事業所得ー専従者給与等ー各種控除)× 税率 

専従者控除とは、家族を従業員として雇用している場合に支払う報酬のことを指し、各種控除には1年間事業を営んでいれば一律で290万円が控除される「事業主控除」や前年度の「赤字繰越」などがあります。

また、個人事業税は地方税であり、税率は自治体によって異なります。例えば東京都のホームページによると、ほとんどの業種で税率が5%になっています。

法人化した場合に支払う法人税

個人事業主が法人化した場合、所得税の代わりに課せられるのが法人税です。税率は、以下の通り2段階になっています。

  1. 事業所得のうち、800万円以下の部分に15%
  2. 事業所得のうち、800万円を超える部分に23.4%

法人事業税の税率は3段階

法人化した場合、「法人事業税」を登記している都道府県に納める必要があります。法人事業税の税率は以下表の通り、所得に応じて3段階に分かれています。

年間事業所得法人事業税率
400万円以下3.4%
400万超え800万以下5.1%
800万円超え6.7%

事業所得が600万円の場合でシミュレーション

個人事業主と法人の税金の比較

では、具体例として「事業所得が600万円の個人事業主」のケースで、法人化した方が節税になるということを検証しましょう。今回は個人事業主と法人で大きく税率が異なる、以下の税金について比較します。

【個人事業主】

  • 所得税
  • 個人事業税

【法人】

  • 法人税
  • 法人事業税

個人事業主の所得税額(青色申告の場合)

青色申告をしている個人事業主で扶養控除などを考慮しない場合、所得税額は以下の通りです。

(事業所得600万円-基礎控除38万円-青色申告特別控除65万円)×20%-税額控除額42万7500円=56万6,500円

個人事業の税額(税率5%・専従者なし)

次に、個人事業税の税額を、税率5%の業種と仮定して計算すると以下の通りになります。また、計算を簡単にするために、専従者については考えないものとします。

(事業所得600万円-290万円)× 5%=15万5000円

法人税の税額

法人化した場合の法人税は以下の通りです。

600万円×15%=90万円

法人税の税額

法人化した場合の法人事業税は以下の通りです。

600万円×5%=30万円

個人事業主のままだと、所得税と個人事業税の合計は72万1500円(56万6500円+15万5000円)となり、法人化した場合の法人税と法人事業税の合計は、120万円(90万円+30万円)です。
法人の方が50万円以上、多く税金を支払う結果となりました。

事業の拡大を目指すのであれば、法人成りを検討

確かに、単純な納税額では個人事業主に軍配が上がります。しかし今後事業規模を拡大するのであればさらに差は縮まりますし、法人成りには税制以外にも後ほどご紹介するメリットが多くあります。

ですので事業所得600万円を分岐点として、法人化を検討すべきなのです。

【監修税理士・コメント】

小村税務会計事務所 - 埼玉県さいたま市緑区

小村税務会計事務所・小村 春美税理士
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「本記事で、個人事業主の法人化の分岐点としている事業所得600万円は、あくまで目安。実際に法人化した方が良いかどうかはケースバイケースです。

業種による経費率によっても異なりますし、親族を役員として雇用している場合は支払う報酬額によっても異なります。心配な方は、一度税理士に相談されることをおすすめします。財務状況や事業の見通しから判断して、法人化した場合のメリット・デメリットをお伝えできるはずです。」

分岐点② 「課税売上高」が1000万円を超えるとき

個人事業主が法人化を検討する、もう1つの分岐点は「課税売上高1000万円を超える」かどうかです。

これは、消費税の課税義務が発生するためです。課税売上高が1000万円以下であれば免税になりますが、1000万円を超えると消費税の納税義務者になります。

法人化をすると、一部の例外を除き、1期目と2期目の消費税は免除されます。事業の業績が順調に伸びて、課税売上高が1000万円を超える見通しがあるのなら、法人化を検討しても良いでしょう。

個人事業主が法人化するメリット

個人事業主 法人化
個人事業主が法人化するメリット

個人事業主が実際に法人化をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。取引先や金融機関との関係性や資金調達など、さまざまな観点から見たメリットをご紹介します。

取引先の獲得や金融機関の信用獲得で有利に

法人化メリット資金調達

事業を行う中で、個人事業主よりも法人化している方が有利に取引を進められるケースが多くなります。

新規の取引先を開拓しようとしても、取引先によっては取引先を法人に限定しているところがありますし、個人事業主と取引を行うところであっても、別途で追加の契約条件を設けられることもあります。このため、法人として営業をする方が、交渉相手も増えるうえに、条件の良い契約が可能になるのです。

また、法人化されると、会計も個人の所持金と法人の資金が明確に区別されます。これにより、財政管理が整備され、金融機関としても融資について明確な判断ができるようになるのです。

資金調達においても、法人の方が金融機関に対して有利に進められることが多いのです。たとえば融資額、利率、融資期間などの条件を交渉する際に、金融機関の査定ポイントとして法人化しているという条件はプラスにはたらくのです。

対外的には法人化している方が有利な面が多いことから、取引先や金融機関との取引を広げたいと考えた時点が、法人化を検討するタイミングだといえます。

事業拡大時に、優秀な人員を確保できる

事業を拡大するうえで、なにより信用力が欠かせません。法人化の際には、法人登記をしますから、これにより社会的信用は格段に高まります。

とにより、取引先の獲得や金融機関の信用を得られるのはもちろんのこと、優秀な人材の確保にもつながります。

さらには、規模の拡大には、組織としての体制を確立する必要もありますから、事業規模を拡大しようという思いがあるのなら、そのときが、法人化を図るタイミングだといえます。

会社の損金(経費)で退職金を支給できる

個人事業主には、退職という概念はありません。また家族従業員の退職金も経費として認められません。

しかし、法人化をすることで、本人はもとより家族従業員の退職金も法人の損金として認められます。

もちろん退職金は退職所得として課税されますが、退職所得は一般の所得と比べて課税率が優遇されているので、相当の節税効果が期待できます。

決算期間を自由に決める事ができる

個人事業主は確定申告での税務申告が義務づけられているため、1月から12月の事業期間しか選択できませんが、法人化すると好きな決算期間を選択する事ができます。

事業の内容によっては、繁忙期や決算の見通しが立ちやすい時期が異なりますから、事業に見合った時期が自由に選択できることはメリットだといえます。

給与所得控除と家族の給与支給で節税

法人化メリット節税
法人化メリット・節税

法人化により、利益を給与という形で得られると、税制面で大きな節税となります。これは、給与による収入には、給与所得控除があるからです。仮に800万円の給与を得たとすると、このうち200万円が給与所得控除、38万円が基礎控除として控除されますから、課税対象額は562万円になります。

もし、これが個人事業主だったとすると、控除されるのは青色申告の特別控除の65万円と基礎控除38万円ですから、課税対象額は、697万円になります。つまり給与として支給した方が、課税対象額が135万円も低く抑えられることになるのです。

しかも、この利益を家族従業員に分散して給与という形で支払ったとすると、所得税率表のさらに下のランクの税率が適用されますから、より大きな節税効果が期待できます。

後継者への事業承継がしやすくなる

法人化メリット事業継承

個人事業主の場合、事業主が死亡すると、ただちに事業主名義の預金口座が凍結されます。このため、事業に関わる支払いに支障をきたすことがあります。また業務に必要な備品や車両、機器、道具類も相続対象になることから、たとえ後継者がいたとしても、業務の継続が困難になることがあります。

法人化をしていると、個人と法人の財産が明確に区別されているため、たとえ代表者が死亡しても、会社の財産が相続対象になることはありません。このため、事業は中断することなく継続することができます。

会社の事業承継は、役員を変更するだけで可能になります。後継者も親族に限る必要がないので、親族に適任者がいなくても、外部から優秀な人材を引き込むなどの選択肢があります。

相続争いに巻き込まれて事業の中断に追い込まれるリスクがなく、事業承継がスムーズに進められる点は、法人化の大きなメリットだといえます。

社会保険に加入できる

個人事業主であっても、社会保険に任意で加入することはできましたが、加入対象者は従業員に限られていました。このため個人事業主は、国民健康保険と国民年金に加入するという選択肢しかなかったのです。

しかし、法人化した場合は、会社の規模にかかわりなく、社会保険に強制加入になります。

健康保険は、国民健康保険に比べて保険給付金が手厚いのが特徴です。また厚生年金保険は、国民年金と比べて保険料は高くなりますが、受給額が大幅に増えるので、加入する価値は十分にあるといえます。

このように社会保険に加入できるのも、個人事業主では実現できなかったメリットといえます。

個人事業主が法人化するデメリット

個人事業主 法人化 デメリット
法人化のデメリットとは?

個人事業主が法人化をするにあたり、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。予めデメリットを知ることで、事前に対策を講じられるという利点もあります。詳しくみていきましょう。

個人事業主が法人化する時に設立費用がかかる

個人事業主が法人化する際、資本金とは別に費用がかかります

以下が主な費用になります。

  • 定款手数料:5万円
  • 定款印紙代金:一通4万円(電子認証定款に場合は不要)
  • 登録免除税(15万円が下限・資本金の0.7%):15万円

国税庁によると登録免除税は、資本金の0.7%とあります。しかし、国税庁より

15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円

とあります。仮に資本金800万円とすると、800万円×0.7%=56,000円です。

15万円が下限なので、登録免除税は15万円となります。

その他に、会社の資本金を用意する必要があります。

資本金は現在、1円からでも問題ありません。

ただ対外信用を得るためには、百万円単位の資本金が望ましいでしょう。

この資本金を法人登記前に法人用の口座に入金する必要があります。

申告書の様式が複雑になる

個人事業主は確定申告書を提出していましたが、法人化すると決算申告書を作成して税務申告をします。確定申告書より申告書が複雑になるので、自社のみで作成することが相当難しくなります。

自社に専門スキルを持った人員がいる場合は自社で作成することも可能ですが、税理士に依頼した方が、ミスなく適切な申告を行えるでしょう。

複式簿記による経理事務処理が必要となる

個人事業主であっても青色申告をする場合は複式簿記が求められましたが、白色申告の場合は必要ないことから、複式簿記を回避することが可能でした。

しかし、法人化した場合は、複式簿記による経理事務が必須になります。この処理自体は、複式簿記の知識があれば経理事務処理をすることが可能ですが、会計ソフトを導入することで、さらに作業の効率化を図ることができます。

赤字の場合でも税金がかかる

個人事業主の場合、赤字であれば所得税の負担はなかったのですが、法人になるとそうはいきません。法人は均等割の住民税があり、たとえ赤字であっても課せられるからです。自治体によって異なりますが、概ね7万円程度が必要になります。

重要事項を決定するには決議が必要になる

法人化した場合は、様々な意思決定に株主総会や取締役会の決議が必要になります。これは予め会社の定款で定められており、その方法に従って議事進行を行い、議事内容を議事録として残しておく必要があります。個人事業主であれば自由に決められたことが、思いどおりにはならない点がデメリットといえます。

交際費に限度額がある

個人事業主の場合、交際費の上限は設けられていませんでしたが、法人化すると、期末資本金額が1億円以下である法人は、上限が年800万円までになります。税法上の交際費の適用は、細かく事例が示されているため、適性に執行することが求められます。

個人事業主が法人化するときの注意点

個人事業主 法人化 注意点
法人化する際に注意すべきこと!

個人事業主が法人化するにあたり、様々な準備が必要になりますが、どのような点に注意して準備をすすめれば、スムーズに開業までたどり着けるのでしょうか。個人事業主が法人化するときの注意点についてみていきましょう。

会社の運用資金を確保する

開業に際しては、様々な初期投資が必要になります。一方で開業当初は、なかなか利益が上がらないことがあります。初期段階の経営難を乗り越えるだけの資金を予め準備しておくことが必要です。

法人の体制を整える

個人事業主の法人化 準備

個人事業主が法人化すると、決算書を複式簿記によって作成します。また、その処理に使用した領収書や契約書などは税務調査の対象となるため、会社での保管が義務付けられています。さらには社会保険の加入など、個人事業主のときにはなかった事務作業が増えます。

いずれも法人を運営していくうえで、重要な分野ですから、これらをこなせる人材の確保と体制を整えるとともに、パソコンや会計ソフトを導入するなど会社の執務基盤も整備する必要があります。

社名変更への対応

個人事業主から法人化をするにあたり社名が変更されます。引き続き個人事業主として掲げていた屋号を使用する場合であっても、正式な書類などでは会社名義で行うことになります。

店舗や事務所を構えている事業であれば、看板の表示やホームページ、請求書、領収書の表示変更が必要になります。

個人事業主が法人化する際に税理士に依頼するメリット

個人事業主 税理士
税理士に頼むメリットは?

法人を運営するうえにおいて、税理士の存在は欠かせません。個人事業主が法人化するにあたり税理士に依頼すると、どのようなメリットがあるのかをみていきましょう。

法人化の手続から依頼できる

法人化の手続に関しては、税理士が関わることはありません。しかし、順調な事業成長が見込めても、今後の経営の見通しには専門家の判断が必要なことが多く、法人化する段階から税理士に相談に乗ってもらうことには大きな意義があります。

面倒な記帳代行を代行してくれる

税理士に納税手続の依頼だけでなく、経理事務作業の記帳代行と言われる複式簿記の作業も含めて依頼することがあります。会社内で経理事務員を雇用するほどの業務量ではなく、事務量に見合った報酬額で税理士が引き受けてくれるのであれば、効率面でメリットがあります。

固定資産管理を適切にしてくれる

設備投資が大きい事業であれば、固定資産管理における事務作業量が多いために、税務判断が必要となります。また、減価償却費の金額が大きくなり、節税という点からも精緻な管理が求められます。購入を検討する段階で税理士に相談すれば、購入のタイミングなどでアドバイスを得られるため、結果として節税につながることもあります。

税務調査への対応も任せられる

法人は個人事業者に比べて、税務調査が入る可能性が高くなります。税務調査が入ると、会社申告の場合は、会計担当者や代表者が直接対応することになります。

税理士に依頼しているケースであれば、税務調査にも税理士が立ち会ってくれます。さまざまざ質問にも的確に回答してくれるので、税務調査対策という観点からも所得税・事業税・法人税・消費税などの税務処理を税理士に依頼するメリットは大きいといえます。

まとめ ミツモアで法人化に強い税理士を探そう

個人事業主の法人化への分岐点について、ご紹介をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

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また、こちらの記事ではミツモアに登録している税理士の紹介と、依頼に必要な費用や選び方を解説していますので合わせてご確認ください。>>個人事業主にお勧めの税理士55選と税理士の選び方

【監修税理士・紹介】

小村税務会計事務所 - 埼玉県さいたま市緑区

埼玉県に事務所を構え、法人化や相続からコンサルティングまで、幅広い案件に対応。クライアントへ真摯に接する人柄が評判を呼び、県外からも多くの依頼が殺到する。
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