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控除とは?税金の計算や節税に欠かせない考え方をわかりやすく解説

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最終更新日: 2024年06月28日

税金の計算や節税を考えるにあたって切っても切れない「控除」。普段なかなか馴染みの無い考え方なので「よく意味がわからない・・・」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、控除の考え方を噛みくだいてわかりやすく解説します。

控除とは税金がかかる「もうけ」から一定金額を差し引くこと

控除と納税額の関係
控除と納税額の関係

控除とは、税金がかかる「もうけ(所得)」から一定金額を差し引くことを意味します。所得税や住民税などの税金は、もうけた金額の「所得額」を元にして計算します。そのため所得額から控除を行うことで、払うべき税金が少なくなるのです。

控除は基礎控除や医療費控除など、納税者の状況に応じた様々なものがあります。そして、基本的にそれらの控除を受けるためには、確定申告や年末調整の手続きを通じて申請を行わなければなりません。

手続きに手間はかかるものの、いわゆる経費として使ったお金の調整最低生活費の保証の観点から、控除の制度は個人事業主からサラリーマンまで多くの人たちの暮らしを支えています。

控除額が増えれば払うべき税金は少なくなる

適用される控除の種類や適用額が増えて、控除額が増えれば増えるほど支払いが必要な税金は少なくなります。

税金は収入から経費を差し引いた「所得」を元に、税率をかけて計算します。この元となる所得に対して控除を適用することで所得額そのものが減り、最終的な税額も下がる仕組みです。

このことからも、控除はかかる税金の計算や節税を考えるうえで欠かせない要素といえます。

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控除は大きく2種類に分かれる

ビジネスシーン

控除は対象となる金額の種類に応じて「所得控除」「税額控除」の2種類に大きく分かれます。

課税対象の所得金額を減らせる「所得控除」

税金がかかる所得金額を減らせる控除が「所得控除」です。「家族がいるかどうか」や「高額な医療費を払っているかどうか」など、個人的な経済事情や状況などを考慮して税金の計算に反映させる制度です。

現在、所得控除は全部で14種類あり、「医療費控除」や「社会保険料控除」などが該当します。

所得控除で節税効果を計算する際の考え方

20万円の所得控除が適用される場合、税金がかかる課税所得額から20万円を差し引けます。仮に適用される所得税率が20%だとすれば、4万円ぶんの節税効果が得られます。

税金そのものを減らせる「税額控除」

「税額控除」は税金そのものを減らせる控除です。所得税額を計算した後に税額控除を適用することで、控除額ぶんの税金をそのまま直接節税できます。

税額控除で節税効果を計算する際の考え方

20万円の税額控除が適用される場合、本来かかるはずだった所得税のうち20万円ぶんの納付義務がなくなります。納税額が仮に50万円だとすれば、30万円の納税で済む計算です。

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基本的な控除

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個人の事情に合わせて適用される14種類の控除のうち、基本的な制度について解説します。対象者や控除額をチェックしておきましょう。

基礎控除

一定の所得以下の納税者全員に適用されるのが「基礎控除」です。納税者本人の合計所得金額に応じて、総所得金額から一定の控除額を差し引けます。

基礎控除額は所得金額の合計に応じて以下のように変動します。

納税者の所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超~2,450万円以下 32万円
2,450万円超~2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円
関連記事:基礎控除とは|控除額の計算方法、申告書の書き方について解説|ミツモア

勤労学生控除

納税者自身が学生のケースでは、「勤労学生控除」を受けられます。給与所得などがあることや特定の学校に通っていることなど、一定の要件を満たす必要があります。

関連記事:勤労学生控除とは?年末調整・確定申告のやり方やデメリットを解説|ミツモア

社会保険料控除

「社会保険料控除」とは、自分・配偶者・親族が支払った社会保険料の全額を、所得から差し引ける制度です。対象となる配偶者や親族は、生活資金を共にしている必要があります。

例えば、生活費や学費を仕送りしている家族がいるなら、別居していてもその家族を対象とすることが可能です。同居している配偶者や親族なら、ほとんどのケースで控除の対象者となります。

控除の対象となる主な保険料は、健康保険・国民年金・厚生年金・介護保険の保険料です。会社員の場合は、健康保険料や厚生年金保険料などがあらかじめ給与から控除されています。

関連記事:確定申告の社会保険料控除|必要書類や書き方を押さえて節税につなげよう|ミツモア

医療費控除

1年間で支払った自分や家族の医療費が高額になった場合は、「医療費控除」を利用できる可能性があります。一般的には、年間の医療費が10万円を超えるケースで、医療費控除の適用を受けることが可能です。控除上限額は200万円となっています。

控除対象とする医療費は、自分または生計を共にする家族の医療費でなければなりません。1月1日から12月31日までの1年分の医療費が対象となります。

控除の対象となる医療費の種類は、治療費や薬代だけではありません。病院へ行くときに使った公共交通機関の利用費や、病人の付き添いを頼んだ場合に支払った付き添い料も該当します。

関連記事:確定申告の医療費控除|必要書類や還付金がいくら戻るのか解説【税理士監修】|ミツモア

雑損控除

「雑損控除」とは、災害・盗難・横領により資産が損害を受けた場合に、一定額の所得控除を受けられる制度です。控除対象となる資産には一定の要件があり、30万円を超えるぜいたく品などは対象となりません。

関連記事:雑損控除とは|確定申告の流れ、必要書類、控除額について解説|ミツモア

寄附金控除

寄付をした場合に控除が適用される「寄附金控除」も覚えておきましょう。国や自治体などに対して寄付金を支出したケースでは、一定の条件を満たせば寄付額の一部を所得から差し引けます。

ふるさと納税を利用しているなら、合計寄付額から2,000円引いた金額を、収入や家族構成などに応じて決定する限度額まで控除可能です。

関連記事:寄附金控除とは? ふるさと納税との違いや確定申告のやり方も解説!|ミツモア

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家族に関する控除

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納税者本人や家族・親族が一定の条件を満たせば、扶養控除・配偶者控除・ひとり親控除・寡婦控除・障害者控除の対象になる可能性があります。それぞれの具体的な内容について解説します。

扶養控除

税法上の控除対象となる扶養親族がいる場合は、「扶養控除」の適用を受けられます。扶養親族に該当する人の主な条件は次の通りです。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)
  • 納税者と生計を共にしている
  • 年間合計所得金額が48万円以下

控除対象となる扶養親族とは、扶養親族のうち、その年の年末時点で16歳以上の人です。扶養親族の同居の有無や年齢などにより、扶養控除額は異なります。

関連記事:【税理士監修】所得税に扶養控除を賢く利用するために|ミツモア

配偶者控除

税法上の控除対象配偶者に該当する人がいる場合は、「配偶者控除」を受けることが可能です。配偶者控除の金額は、納税者本人の所得金額や配偶者の年齢に応じて決まっています。

関連記事:確定申告で配偶者控除を受けるには|計算方法や書き方、必要書類をわかりやすく解説|ミツモア

ひとり親・寡婦控除

納税者がひとり親である場合、「ひとり親控除」を受けることが可能です。合計所得金額が500万円以下であることなど、一定の要件が定められています。控除額は35万円です。

納税者が寡婦であるケースでは、「寡婦控除」の適用を受けられます。控除を利用するためには、合計所得金額500万円以下などの要件を満たす必要があります。寡婦控除の金額は27万円です。

税法上の寡婦とひとり親は、婚姻歴がない人を含むかどうかに違いがあります。婚姻後の離婚や死別などが原因で配偶者のいない人が「寡婦」であるのに対し、「ひとり親」には婚姻せずに親となった人も含まれます。

関連記事:寡婦控除とは|要件や申請方法、ひとり親控除との違いを解説|ミツモア

障害者控除

「障害者控除」とは、納税者本人・同一生計配偶者・扶養親族に税法上の障害者がいる場合に、一定の条件を満たすことで控除が適用される制度です。

扶養控除を受けられない16歳未満の扶養親族でも、障害者であれば控除を受けられます。対象となる障害者の区分は、障害者・特別障害者・同居特別障害者の三つです。

それぞれの控除額は、障害者が27万円・特別障害者が40万円・同居特別障害者が75万円と定められています。

関連記事:確定申告の障害者控除 対象となる人や必要書類、書き方を詳しく解説|ミツモア

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保険・医療に関する控除

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生命保険料や地震保険料などを支払っている場合は、一定の条件を満たせば所得控除を受けられます。万が一のために備えている人が節税につなげられる制度です。

生命保険料控除

生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払っているなら、「生命保険料控除」として一定金額の所得控除を受けられます。

1年間に支払った保険料の金額に応じて、控除金額が異なります。制度改正により、2012年1月1日以降に締結した保険契約は、新制度が適用されることに注意が必要です。

全体および控除区分単位の適用限度額も、旧制度と新制度で異なっています。例えば、旧制度における全体の所得控除限度額は所得税が10万円であるのに対し、新制度での限度額は12万円です。

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地震保険料控除

納税者本人または生計を共にする配偶者・親族が、マイホームや家財を対象とした地震保険料を支払っている場合、一定の条件を満たせば「地震保険料控除」を受けられます。

地震保険以外の長期損害保険契約のうち、一定の条件を満たしている契約も、地震保険料控除の対象となります。損害保険料控除の廃止による経過措置が適用されるためです。

地震保険料控除の金額は、その年に支払った保険料の金額に応じて決まります。地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている場合は、それぞれで受けられる控除額の合計を、上限額の5万円まで所得から差し引けます。

小規模企業共済等掛金控除

「小規模企業共済等掛金控除」とは、控除対象となる共済制度の掛金を支払った場合に、所得から控除できる制度です。掛金の全額を差し引けるため、高い節税効果を期待できます。

控除の対象となる主な掛金は、小規模企業共済法の規定により中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金や、確定拠出年金法に基づく個人型または企業型年金加入者掛金です。

小規模企業共済等掛金控除を受けるためには、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入した上で、支払った掛金の証明書を確定申告書に添付しなければなりません。給与所得者の場合は、年末調整でも対応できます。

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税額控除の種類

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所得税から直接控除できる税額控除には、住宅借入金等特別控除や配当控除などがあります。対象となる人にとっては、いずれも大きな節税効果を期待できる制度です。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合は、「住宅借入金等特別控除」を利用できる可能性があります。原則10年にわたり、年末のローン残高に応じた金額を所得税から控除できる制度です。通称「住宅ローン控除」とも呼ばれます。

控除の適用を受けるためには、「購入した住宅の床面積の1/2以上が居住用であること」「購入後半年以内に住み始めること」「ローン返済期間が10年以上であること」など、いくつかの条件を満たす必要があります。

会社員が住宅借入金等特別控除を利用する場合、初年度は確定申告を行わなければなりません。2年目以降は年末調整での手続きが可能です。

関連記事:住宅ローン控除を受けるための必要書類|初年度と2年目以降の手続き方法も解説|ミツモア

配当控除

国内株式を保有し配当金を得ているケースは、総合課税を選択して確定申告を行うと「配当控除」を適用できる場合があります。配当控除は、税金そのものを減らせる税額控除です。

課税総所得金額が1,000万円以下なら、一定の条件を満たすことで、配当金の5%または10%を控除できます。配当の種類によっては、制度を利用できないものもあることに注意が必要です。

上場株式などの譲渡損失が出ている場合は、総合課税ではなく申告分離課税を選択することで、配当所得と損益通算できます。この場合は配当控除を利用できません。

関連記事:配当控除でいくら戻る?申告すべき場合・計算方法を解説|ミツモア

その他の控除

所得税に相当する海外の税金が課されている場合は、「外国税額控除」により一定額を日本の所得税から控除できます。個人にかかる二重課税を防ぐための制度です。

政党や政治資金団体などに対し、政治活動に関する寄付を行った場合、一定額の税額控除を受けられる「政党等寄附金特別控除」を利用できます。寄付金控除との併用はできません。

住宅に関する税額控除には、「住宅耐震改修特別控除」があります。1981年5月31日以前に建てられた一定の家屋に住宅耐震改修をした場合に、控除を受けられる制度です。

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控除を受けるためには原則として確定申告が必要

パソコンで仕事中の男性

所得控除や税額控除など各種控除を受けるためには、確定申告が原則必要です。

個人事業主はもちろん、サラリーマンが会社で年末調整を受けている場合も医療費控除などの特定の控除を受けるためには確定申告を行わなければなりません。

サラリーマンの場合【医療費控除・雑損控除・寄附金控除】

サラリーマンの場合は会社で年末調整を受けられるので、通常であれば確定申告は不要です。しかし「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」を受ける場合は確定申告を行わなければなりません。

またそのほかにも「住宅ローン控除」を受ける場合、初年度は確定申告が必要となります。

個人事業主の場合

個人事業主は控除の有無に関わらず、基本的に確定申告が毎年必要です。適用する控除を忘れずに申告して、少しでも多くの節税につなげていきましょう。

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控除を活用して節税につなげよう

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所得控除や税額控除に関しては、個人の事情に合わせてさまざまな制度が用意されています。控除の適用には確定申告が原則として必要となりますが、納める税金の額を抑えられる大きなチャンスです。

適用できる控除をなるべく活用して、節税に大きくつなげていきましょう。

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