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【税理士監修】所得税に扶養控除を賢く利用するために

最終更新日: 2020年12月16日

皆さんは、「控除」という言葉を知っていますか?

14種類ほどある控除ですが、実は、所得から「〇〇控除」を引いていいですよ、というお得な特典なのです!

一番身近なもので、「扶養控除」「医療費控除」があります。

どちらも、家族を養っている方の負担を減らすために設けられた制度なのです。

今回は、便利で優しい制度である「控除」を賢く利用するために、必要なことをわかりやすく解説していきます。

この記事を監修した税理士

税理士村田の画像
村田累実税理士事務所‐東京都

都立芸術高校音楽科を卒業後、船上での演奏のほか、老人ホーム、カー用品店でバイトをし、ハンガリー・リスト音楽院に留学。帰国後、都内大手ダイビング会社に勤務。営業、webマーケティング、コールセンター事業部の立ち上げに携わり、年間営業成績No.1の実績を残す。税理士事務所へ転職後、診療所、医療法人、IT関連会社、輸出販売業、建設業等、約60社の税務顧問、および相続税申告業務を経験。12年間の事務所勤務を経て、独立。

扶養控除を適用するには?

扶養家族を表す家族のシルエット、扶養控除を適用するには家族が必要であることを表した画像
扶養控除を適用するには?

子供や両親など、親族を養っている方に関わってくる「扶養控除」

扶養控除を適用するには、ある一定の条件を満たす必要があります。

ここでは、扶養控除とは一体何なのか、要件とは具体的に何があるのか、などを詳しく見ていきましょう。

扶養控除とは?

簡単に説明しますと、家族を養っている世帯主(納税者)の、納税負担を軽くするために、一定の所得控除が受けられることを「扶養控除」と言います。

では、具体的に養っている家族とは誰のことを指すのでしょうか?これも、ルールがあるので、しっかりと把握しておくことが大切です。対象となる扶養家族のことを「控除対象扶養親族」と言います。

〈控除対象扶養親族〉

①年齢が16歳以上であること

②6親等内の血族及び3親等内の姻族であること

③年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合、年収103万円以下)であること
(注1)

④納税者と生計を一にしていること(生活の財源が同じ)

※個人事業主に関係してくる、青色申告者の専従者(家族従業員)で給与が発生した場合や白色申告者の専従者は、控除対象扶養親族とは認められません。

注1:令和二年分以降は改正されます

参考:No.1180 扶養控除|国税庁

この①〜④の条件を、その年の12月31日時点で全て満たしていなければ、控除対象扶養親族にはなりません。

また、社会保険上の扶養とよく勘違いされる方が多いですが、所得税の扶養対象と社会保険の扶養対象は一緒ではないことを、理解しておいてください。

ちなみに、「医療費控除」は④の生計を一にしている家族が対象となってきます。家族の分をすべて申告できるので、覚えておきたい控除の一つです。

これまで、控除対象の扶養親族について説明してきましたが、少し噛み砕いたものになっているので、①〜③についてはこれから詳しく説明していきます。

対象となる年齢は16歳以上

解釈としては、「その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の親族」となります。16歳未満や対象となる親族でも、年齢によって受けられる扶養控除や控除額が変わってくるので、具体的に説明していきます。

区分 対象年齢 控除額
児童手当の対象 16歳未満(※1) 適用されない
一般の控除 16〜18歳 38万円
23〜69歳
特定扶養控除 19〜22歳 63万円
老人扶養控除 70歳以上(同居以外) 48万円
70歳以上(同居) 58万円

(※1)義務教育修了まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童は「児童手当」の対象になるため扶養控除の対象にはなりません。

参考:No.1180 扶養控除|国税庁
児童手当制度のご案内|内閣府

対象範囲は6親等内

対象範囲である「6親等内の血族及び3親等内の姻族」について説明していきますが、「配偶者」は含まれないということだけ注意が必要です。

疑問に思うかもしれませんが、配偶者は扶養控除とは別に「配偶者控除」という控除があるので、扶養親族にはならないのです。

では、6親等内の血族及び3親等内の姻族はどこまでの親族のことを言うのか、家系図を例に見ていきましょう。

6親等内の血族及び3親等内の姻族を表す家系図
6親等内の血族及び3親等内の姻族を表す家系図
  • 数字…何番目の親等に当たるか
  • 赤く囲われた範囲…血族
  • 囲われていない範囲…姻族

血族とは、血がつながっている直系の身内のことで、姻族とは、血のつながっていない義理の身内のことを言います。

被扶養者の給与収入は103万円以下

まず、納税者と扶養者が生計を一にしていることが第一条件となります。

生計を一にしているとは、「生活費を共にしている」ということです。

なので、単身赴任や学生の一人暮らしなどで別居状態にあっても、生活費や学資金の送金が行われている場合には、生計を一にしていることになります。

また反対に、たとえ一緒に住んでいても、互いに独立した生活をしている時には生計を一にしているとはみなされません。

また、扶養控除とは別の控除で「生活費を共にしている」ことが対象となる「医療費控除」は、生計を一にしている家族の分をまとめて申告することが可能です。

扶養控除を受けるためには、生計を一にしていることを大前提に考え、さらに被扶養者が以下の条件を満たしている必要があります。

  • 年間の合計所得金額が38万円以下
  • 給与のみの場合、年収103万円以下

つまり、年収が一定であれば、扶養から外れてしまう危険性があります。


もし、子供がアルバイトをしているのであれば、年間で103万円を超えてしまわないか確認したほうが良いでしょう。

※令和2年分以降、合計所得金額は38万円以下から48万円以下に引き上げられます。しかし、給与所得控除が10万円引き下げられるため、給与のみの場合の年収103万円以下という要件に変わりはありません。

また、配偶者に適用される「配偶者控除」にも、配偶者の所得が、扶養控除の条件と同じでなければ適用されないとされてきました。しかし、平成29年度の税制改正により、平成30年から配偶者控除の適用が改正され、以前よりも控除を受けやすくなりました。

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

また、条件を満たすことができない場合でも、配偶者の所得金額に応じて「配偶者特別控除」を受けられる場合があります。

参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
改正前 改正後
配偶者控除 納税者本人の合計所得制限 なし 1,000万円以下
控除額 一律38万円(配偶者が70歳以上の場合、48万円) 納税者の合計所得、配偶者の年齢により異なる
配偶者の合計所得 38万円以下 38万円以下
(令和2年分以降は48万円以下)
配偶者特別控除 控除額 配偶者の合計所得金額による 配偶者の合計金額と納税者の合計所得金額により異なる
配偶者の合計所得制限 38万円超76万円未満 38万円超123万円以下

※適用時期は、平成30年分以後の所得税、平成31年度分以後の個人住民税になります。

扶養者の所得によって受けられる控除額が変わる

扶養親族の対象である家族は、年齢や同居しているかどうかで控除額を定められていました。配偶者控除配偶者特別控除に関しては、納税者や配偶者の収入などによっても変わってきます。

国税庁からの引用、配偶者控除額が納税者の合計所得金額により変わることを説明するための表
配偶者控除額
参考:No.1191 配偶者控除 3. 配偶者控除額の金額 |国税庁

※老人控除対象配偶者は、その年の12月31日現在で年齢が70歳以上の人のこと。

国税庁から引用、平成30年、令和元年分の配偶者特別控除額の表
平成30年、令和元年分の配偶者特別控除額
国税庁から引用、令和2年分以降の配偶者特別控除額の表
令和2年分以降の配偶者特別控除額
国税庁から引用、平成29年分以前の配偶者特別控除額の表
平成29年分以前の配偶者特別控除額
参考:No.1195 配偶者特別控除 3. 配偶者特別控除額の金額 |国税庁

控除額を計算する

実際にかかる控除額はいくらなのか?これからさらに読み解いていくことを表す「?」マークの写真
控除額はいくら?

対象の年齢や収入などによって、それぞれの控除額が異なることがわかったと思います。では、どのような場合に控除額がいくら使えるのか?

実際にかかる税金からどのぐらい節税になっているのかを、計算していきます。

所得税と住民税で異なる

控除額を実際に計算していく前に、まずかかる税金ごとに異なることを理解しなければなりません。

基本的には、どちらも同じ考えなのですが「所得税」と「住民税」では、扶養控除の金額と反映する年度に違いがあります。

年齢 所得税の控除額 住民税の控除額
16歳未満 扶養控除なし
16~18歳 38万円 33万円
19~22歳 63万円 45万円
23~69歳 38万円 33万円
70歳以上(同居していない場合) 48万円 38万円
70歳以上(同居している場合) 58万円 45万円

ちなみに、住民税の控除額が少ないのは、私達の暮らしに必要な「行政サービス」に使われるためのお金を、多く徴収するためだと言われています。

ちなみに「医療費控除」では、10万円以上から控除を受けることができ、上限が200万円となります。

実際にどれくらい減税している?〜所得税〜

ここからは、実際にシミュレーションをしていきます。皆さんもぜひ一緒に、計算してみてください。

以下のモデルで、実際にいくらの所得税額になるのか計算していきます。

人物 年齢 区分 年収 控除額
50歳 納税者 600万円 基礎控除38万円
46歳 配偶者 なし 配偶者控除38万円
息子 20歳 特定扶養親族 なし 扶養控除63万円

〈かかる所得税〉(復興特別所得税を除く)

配偶者控除・扶養控除なし:{(給与収入600万円 – 給与所得控除174万円)- 基礎控除38万円}×20% – 427,500円 = 348,500円

配偶者控除・扶養控除あり:{(給与収入600万円 – 給与所得控除174万円)-(基礎控除38万円 + 配偶者控除38万円 + 扶養控除63万円)}×10% – 97,500円 = 189,500円

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁
No.2260 所得税の税率|国税庁

控除を使用することで、所得税は159,000円も減税することができます。

実際にどれくらい減税している?〜住民税〜

以下のモデルで、実際にいくらの住民税額になるのか計算していきます。

人物 年齢 区分 年収 控除額
50歳 納税者 600万円 基礎控除33万円
46歳 配偶者 なし 配偶者控除33万円
息子 20歳 特定扶養親族 なし 扶養控除45万円

〈かかる住民税〉

配偶者控除・扶養控除なし:{(給与収入600万円 – 給与所得控除174万円)- 基礎控除33万円}10%の税率(一律)=393,000円

配偶者控除・扶養控除あり:{(給与収入600万円 – 給与所得控除174万円)-(基礎控除33万円 + 配偶者控除33万円 + 扶養控除45万円)}×10% = 315,000円

住民税も同様に、控除を使用することで78,000円も減税になりました。

申告書の提出

扶養控除は申告書の提出が必要であることを表した絵。申告書、提出
申告書の提出

扶養控除を受けるためには、「扶養控除申告書」の提出が必要です。年末調整の大切な資料にもなりますので、忘れずに提出するようにしましょう。

では、扶養控除申告書の書き方等を詳しく見ていきます。

扶養控除は申告制

きちんと扶養控除の申告を行えば、所得税や住民税の減額にもつながります。

反対に申告を怠ると所得税と住民税が高くなり、結果的に給与の手取りが少なくなってしまうので、扶養控除の申告は必ず行うようにしましょう。

扶養控除申告書は、正しくは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と言います。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、扶養控除申告書を説明するための資料
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養控除申告書は、以下のものと一緒に年末調整時や会社に雇用された時、扶養親族に変更があった時に会社に提出する必要があります。

  • 配偶者控除等申告書
  • 保険料控除申告書

提出しない場合、扶養控除が受けられないだけでなく、年末調整されない場合もありますので、必ず「扶養控除申告書」を提出するようにしましょう。

提出期限に注意

その年の初めて給与が支払われる前日までに、扶養控除申告書を提出しなければなりません。例えば、1月25日が給与支給日だとすると、1月24日が提出期限となります。

しかし、実務的には給与計算担当者の負担が大きくなってしまうため、年末調整時に提出することが多いようです。

また、年の途中で申告内容に変更があった場合には、変更があった日以降の最初の給与支給日の前日までに、扶養控除申告書を提出する必要があります。

申告書の書き方をおさえておく

扶養控除申告書で、記載すべきところを確認しましょう。

扶養控除申告書で記入するところを説明するための図
扶養控除申告書で、記載すべきところ

①基本情報欄

  • 氏名
  • 個人番号
  • 住所または居所
  • 生年月日
  • 世帯主の氏名
  • 世帯主との続柄
  • 配偶者の有無
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出(※)

を記入します。

※別の会社で扶養控除を受けるために「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合は、○印を記載

参考:[手続名]従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告書|国税庁

②源泉控除対象配偶者

以下に該当する場合は記載する必要があります。

・所得者のその年中の合計所得額が900万円以下

・配偶者控除の対象となる配偶者がいる場合

・配偶者のその年中の所得見積額が85万円以下(令和2年以降は95万円以下)、給与所得だけの場合は、給与の収入金額が150 万円以下

配偶者情報や、続柄、その年中の所得見積額などを記入します。

③控除対象扶養親族(16歳以上)

控除対象となる扶養親族の基本情報を記入します。

70歳以上の扶養親族がいる場合には、同居状態を確認するチェック項目もあるので忘れずに記入してください。

④16歳未満の扶養親族

扶養控除には関係ありませんが、住民税に関する事項なので、必ず記入してください。

青い枠で囲われた欄は、会社が記入する欄となっているので記載しないように注意しましょう。

また、印鑑の種類や捺印が必要かどうかは、会社によってルールが変わってきますので、記入前に確認するようにしてください。

他の項目に関しては、扶養控除に直接関係しているところではありませんが、該当している場合には記載が必要になってきます。

項目は、「障害者、寡婦、寡夫または勤労学生」「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」です。

扶養に入れる・扶養から外す

扶養控除を賢く利用するために、扶養にいれるか外すべきかを説明していくことを表す絵。家と扶養対象家族。
扶養に入れる・扶養から外す

扶養控除の対象である、息子や娘、両親を扶養に入れていることは、本当に良いことなのでしょうか?

扶養から外したほうが良い場合、入れておくことで得をすることなどを紹介していきます。

親を扶養に入れる

両親を扶養に入れると、一人あたりに控除額が適用されるので、所得税も住民税も安くなります。

また、両親にとっても、国民健康保険などの公的医療保険の保険料が不要になったり、さらに両親の年齢が70歳以上になると、扶養控除額も増えるという良いことづくしです。

しかし、医療費控除やiDeco、ふるさと納税などの控除をたくさん使っていたり、住宅ローン控除があるなどで、元々の支払い税金が多くない場合は、そこまで減税できるわけではないため、注意が必要です。

学生の子供を扶養から外す

子供が学生になり、アルバイトで多く稼ぐようになってしまったら、扶養からはずれないように、103万円のボーダーラインを気にしている親は多いと思います。

しかし、扶養から外れることは悪いことばかりではありません。

学生のために、「勤労学生控除」という控除が存在しています。

これは、所得税27万円、住民税26万円という一定の所得控除を受けることができる制度なのです。

〈勤労学生控除の対象〉

  • 働いたことによる、給与所得等があること
  • 給与所得のみの場合には、給与の収入が130万円以下
  • 学生、生徒であること(義務教育、高等学校、大学、専門学校など)
参考:No.1175 勤労学生控除|国税庁

ひとつ、注意しなければならないのは「社会保険」との兼ね合いです。

勤労学生控除の対象と同じにはなるのですが、社会保険は「130万円の壁」を超えた場合、扶養から外れてしまうので130万円は超えないようにしたほうが良いでしょう。

監修税理士のコメント

税理士村田の画像

村田累実税理士事務所‐東京都

扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除に関する記事でした。所得税法に限らず、税法は毎年改正がありますので、各種控除の適用にあたっては、国税庁のホームページや手引きなどを確認する必要があります。

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