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【ケース別】家の売却でやってはいけないこと20選!流れも含めて解説

最終更新日: 2024年06月28日

長年暮らした家を売却するのは、一生のうちで何度も経験することではありません。条件や金額など、後悔のないように家を売るためには、準備段階から売却活動が終わるまで、そして売却後もトラブルが発生しないように注意が必要です。

今回は、これから家を売りたい人に向けて、売却までのプロセスを交えつつ、さまざまなケースごとにやってはいけないことについて解説します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

家を売却するまでの流れ

家を売り出してから成約に至るまで、事前準備を含め3か月から6か月程度かかるといわれています。ただし買主が見つからないときや値引き交渉次第では、1年ほどかかる場合もあるので注意が必要です。家を売却するまでの流れは下記のとおりです。

フェーズ 売却の流れ 期間


売却準備期間
売上価格の相場を調べる

2週間~1か月
不動産会社に査定を依頼する
不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却活動中
売却活動の開始
1か月~3か月
購入希望者と条件交渉をする
購入希望者と売買契約を結ぶ
売買契約締結後 決済・引き渡しを行う 1か月~2か月
引き渡し後 確定申告を行う 売却の翌年

売却準備期間

最初は物件の売却価格の相場をインターネットで調べます。おおよその相場を把握したら、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。査定方法には、机上査定(簡易査定)と訪問査定がありますが、売却が決まっている場合、精度が高い訪問査定がおすすめです。

査定を受けて家の売却を依頼する不動産会社が決まったら、不動産会社が間に入り、売却に向けて買い手を探してもらうための「媒介契約」を締結します。この際、査定額だけで不動産会社を決めたり、媒介契約の種類を理解せずに契約しないようにしましょう。

売却活動中

不動産会社と媒介契約を締結したら、家の購入希望者を募集するために売却活動を行います。不動産会社はサイトに物件情報を公開したり、広告出稿などを行ったりして、購入者を探しましょう。希望者が現れたら、不動産会社の担当者と一緒に内覧対応をします

内覧を経て売買価格と引き渡し条件で折り合いがついたら、購入者と売買契約を結びます。活動中は不動産会社に任せっきりにせず、内覧に向けて部屋の中を整理したり、当日の対応は丁寧にするなど、誠実に対応することを心掛けましょう。

売買契約締結・引き渡し後

売買契約を締結した後、購入者は決済日までに残代金を支払います。着金を確認したら、売主は1か月から2か月ほどで司法書士立ち会いのもと、家を引き渡します。家を引き渡す際、売主は決済日の前日までに引越しを済ませておきましょう。

加えて家の売却に伴い、売却益が発生したときや税金の特例を利用するときは、翌年に確定申告することを忘れないようにしましょう。

家の売却準備・査定でやってはいけないこと9つ

家を売却するにあたって、事前の調査や準備は欠かせません。不動産会社に査定を依頼して媒介契約を締結する前に、下記9つのことはやらないように注意しましょう。

1.売却スケジュールを立てずに不動産会社を探す

家を売却したいときは、購入需要の高い時期にあわせてスケジュールを立てましょう一般的に家の売却が成立するまで、3か月~6か月ほどかかります。スケジュールを立てないまま不動産会社を探すと、いつまで経っても売却できない可能性もあるので注意しましょう。

家の需要が高い時期は新年度・新学期シーズンの2月~3月にかけて、転勤が多い9月~11月ころにかけてです。

2.不動産会社に相談せずに解体やリフォームをする

不動産会社に相談しないで家のリフォームや解体するのは避けましょう「家をきれいにしたほうが売れる」と考えがちですが、リフォームや解体をしたからといって高い値段で売却できるとは限りません。

木造住宅の解体費用は「4~5万円程度/1坪」かかるほか、自分で家をリフォーム・リノベーションしたい人も増えています。売却目的に家の解体やリフォームをしたい人は、事前に不動産会社に相談しましょう。

3.持ち家が不動産仲介と買取のどちらに適しているのか知らない

家を売却する方法として、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社が直接購入する「買取」の2種類があります。持ち家が不動産仲介と買取のどちらに適しているのか知らないと、売却できない可能性があるので注意しましょう。

築年数が浅くてきれいな家は、不動産仲介を利用することで高値で売却できることがあります。一方で築年数が古い家や立地条件が悪い家などは、ニーズが低いことから仲介で依頼しても売れ残る可能性が高くなります

4.売却相場を調べずに査定依頼

不動産会社に家の査定を依頼する前に、売却する家と同様の物件の相場を調べておきましょう自分で相場を把握しておかないと、不動産会社から提示された査定額が妥当か判断できません。

相場よりも安くなることを知らずに売却、または買取を依頼すると金銭面で損する可能性があり、依頼前に相場を確認しておくと、提示された査定額について不動産会社に質問できます。

5.ローンを借りている金融機関に無断で売却を進める

住宅ローンの残債があるにも関わらず、金融機関に無断で家の売却を進めることは原則不可能です家を購入する際、住宅ローンを組むと金融機関による「抵当権」が設定されるため、ローンを完済して抵当権を抹消しないと売却できません。

抵当権とは、ローンの返済が滞った場合に、金融機関が借り手の不動産(家など)を担保として持ち、必要に応じて競売や公売にかけて債務を回収できる権利をいいます。

住宅ローンの返済が難しい場合は、自己資金のほかに「任意売却」や「住み替えローン」を利用する方法があります。「任意売却」とは、金融機関の同意を得て市場価格で売却し、その収益でローンを返済する方法です。一方で「住み替えローン」とは、新しい住宅購入に際し、既存のローンを新しいローンに組み替えるやり方です。

ただし、これらの手段を用いる場合も金融機関から承認を得ないとできません。

6.複数社の査定を比較しない

不動産会社に家の査定を依頼するとき、1社のみ依頼して契約を決めるのは避けましょう。複数の不動産会社に依頼して査定額を比較することで、売却する家が相場よりも高い、または安いのか、適切に判断できます。

不動産会社によって査定額の基準は異なり、会社によっては数百万円の差が出ることもあります。条件の良い不動産会社と契約するためにも、5~6社を目安に査定を依頼しましょう。

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7.査定額だけで不動産会社を決める

不動産会社から提示された査定額だけで契約するのは避けることをおすすめします。仲介の場合、査定額はあくまでも「売却予想価格」であり、提示された金額で売却できるとは限らないからです。

不動産会社によっては、高額な査定額を提示することがあります。しかし査定額が高い根拠や理由を説明できないと、トラブルが発生する可能性があるので、注意が必要です。

8.売却にかかる費用や税金を調べない

家の売却にかかる費用や税金を調べずに準備を進めることは避けましょう。税金や司法書士に支払う費用などが発生すると、売却後の手取り額が減る可能性があります。売却にかかる主な費用や税金は、以下のとおりです。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 抵当権抹消費用
  • 登記費用
  • 測量費用
  • ハウスクリーニング費用
  • 譲渡所得税
  • 印紙税 など

9.媒介契約の種類の違いを知らずに契約する

不動産会社と媒介契約を締結する際、契約の種類と違いを分からずに契約すると、スムーズに売却活動ができないこともあるので、注意しましょう。

媒介契約には「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

複数会社との契約 自分で購入希望者を探す行為 契約期間 売却活動の報告義務 ※レインズへの登録 ポイント
専属専任媒介契約 1社のみ 不可能 3か月 1週間に1回以上 媒介契約締結日から5日以内 自由度は低いが、手間がかからず、売りにくい物件も売れる可能性あり
専任媒介契約 1社のみ 可能 3か月 2週間に1回以上 媒介契約締結日から7日以内 専属専任と一般との中間ほどの手間がかかる
一般媒介契約 複数の会社と契約可能 可能 指定なし(一般的には3か月) 報告の義務なし 登録の義務なし(任意) 手間はかかるが、早い段階で売却できる

※レインズ:国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営するコンピューターネットワークシステムのこと

それぞれの契約の特徴を把握し、自分が売りたい物件に合った方法で契約しましょう。

家の売却活動中にやってはいけないこと6選

家の売却を依頼する不動産会社が決まったら、売却活動に入ります。活動中は購入希望者の内見対応や契約交渉があるため、不動産会社に任せっきりにせず、下記6つのポイントに注意して対応しましょう。

1.不動産広告のルールを知らずに売りに出す

家の売却活動を行う際、不動産会社のチラシやポータルサイトなどの広告に掲載します。内容については不動産会社が対応しますが、宅地建物取引業法や不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)に従って、掲載することを知っておきましょう。

主なルールは以下のとおりです。

項目 主な内容
誇大広告の禁止 実際の物件よりも優れている表現はしない
広告開始時期の制限 広告を掲載するには、開発許可と建築確認が認められる必要がある
取引態様の明示 代理取引や媒介契約など、取引態様を明確にする

2.不動産会社に全て任せる

不動産会社に家の売却活動を一任させるのはおすすめしません。不動産会社によって対応が異なりますが、定期的に担当者から営業活動や問い合わせ状況などを報告してもらえます。しかし購入希望者が見つからないと、希望の売却時期がずれ込む可能性があります。

担当者から売却プランの見直しを提案される前に、売主として何かできることはないか考えつつ、不動産会社と協力しながら売却活動を行いましょう。

3.相場よりも大幅な金額で売却価格を設定する

家の売却にあたって相場を無視した価格を設定するのは避けましょう売却価格を相場よりも大幅に高い金額で設定すると、物件検討の段階で省かれてしまいます。反対に相場よりも大幅に安い金額で設定するのも良くありません。買い手から値引き交渉を依頼されることがあり、最終的に当初予定していた価格よりも安くなる可能性があるからです。

特に住宅ローンの残債がある人は、完済できない価格まで下げないように最低限の売却額を設定しましょう。加えて不動産会社から提示された査定額や、周辺にある売り出し中の物件の価格を参考に希望の売却価格を設定することが大切です。

4.条件交渉に全く応じない

売却価格だけでなく、家の引き渡し時期やクリーニングなど、金額や条件面で交渉に全く応じないのはNGです。大幅な売却価格の値下げや条件の変更など、妥協できない点を譲る必要はありませんが、交渉に全く応じないと、購入を諦められてしまうケースもあります。不動産会社の担当者と相談しながら、柔軟に対応しましょう。

5.家の問題点や購入希望者にとって不利な情報を隠す

売却する家の傷や欠陥など、購入希望者にとって不利な情報を隠したまま、売買契約を結んではいけません万が一、家を売却した後に問題が発生すると、売主は契約内容と異なるものを買主に売ってはいけない「契約不適合責任」を課せられます

最悪の場合、買主から修繕費の請求や契約解除、損害賠償請求などを求められることがあるので、注意しましょう。

6.内覧の準備を怠って不誠実に対応する

家の購入希望者は、物件の内覧を受けて購入するか決めます内覧の準備をせず、いい加減に対応すると、家の印象や評価が下がってしまう可能性があるので注意しましょう。

たとえば水回りをきれいにしたり、内覧前に掃除や片付けをするなど、購入希望者から「この家は不衛生」という印象を与えないように準備することが大切です。

家の売買契約・引き渡し後にやってはいけないこと5選

家の内覧や条件交渉を経て、無事に売買契約を締結した後、引き渡しで終了ではありません。家を引き渡した後も、買主から問い合わせがあったり、不具合が見つかる可能性があります。その際に下記5つのことに注意しましょう。

1.売買契約書の確認を怠る

買主と売買契約を結ぶとき、不動産会社の担当者から家の売買価格や引き渡し日など、重要事項について説明します。説明を受けて契約書に署名と捺印をした後は、原則として内容を変更できませんので、確認を怠らないようにしましょうわからないことがあれば、締結する前に担当者に質問して確認しておくと安心です。

2.契約締結後にキャンセルする

売買契約を締結した後、契約内容について買主の同意を得ない限り、キャンセルすることはできません売主の自己都合で解除、または契約書の内容に違反する行為が発覚すると、買主に売買価格の1~2割程度ペナルティを支払う必要があります。トラブルに発展しないように、契約内容をしっかり確認したうえで売買契約を結びましょう。

3.家財を処分せずに家を引き渡す

家を買主に売却する際、不要な家財を処分しないで引き渡すのは避けましょう原則として空の状態で買主に引き渡すため、カーテンレールを付けたままにしたり、家電や家具を置きっぱなしにするのは、契約違反となります。

一般的に売買契約を締結した後、家を引き渡すまで1か月〜2か月かかります。不要な家財があれば、リサイクルショップに売却したり、引越し会社に引き取ってもらうなど、引き渡し日までに処分しましょう。

4.確定申告を忘れる

家を売却して利益が発生した場合、翌年に確定申告をすることを忘れないようにしましょう。家の売却に伴い「譲渡所得(利益)」が発生したにもかかわらず、確定申告をしないと延滞税や無申告加算税を支払うペナルティが発生します。

5.税控除の特例を調べない

家を売却すると、特例控除が受けられますが、その際に確定申告が必要です。税制特例を把握しないまま確定申告を行うと、損を被る可能性があります。家の売却にかかる代表的な控除は、以下の4種類です。

  • 3,000万円特別控除:居住用財産は譲渡所得から3,000万円控除できる
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税):住宅ローンを利用した個人が受けられる所得税の控除
  • 所有期間10年超の軽減税率:10年以上住んでいたマイホームを売却した際税率が軽減される
  • 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:売却で損失が発生した際、要件を満たせば他の所得と損益通算できる

これらの税控除を受けるとき、要件があるので内容をしっかり調べたうえで利用しましょう。

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家を売却するときにやってはいけないことについて、売却の準備期間や活動中、売買契約・引き渡し後と3つのケースに分けて解説しました。家の売却を成功させるためには、自分で売却スケジュールを立てたり、相場を調べたりする一方で、信用できる不動産会社を選ぶ必要があります。

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