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家の売却にかかる税金は?計算方法や控除特例についても解説

最終更新日: 2024年04月12日

家の売却でどれくらいのお金が手元に残るのかを考えるとき、見逃せないのが不動産売却にかかる税金です。出ていくお金をしっかり把握できなければ、住み替えや不動産売却の資金計画が大きく狂ってしまうでしょう。家の売却にかかる税金を解説します。

家の売却で必ずかかる税金3つ

家の売却

家を売却すると必ず払う必要がある税金を紹介します。紹介する3つの税金は、家の売却で利益が出ようが損失が出ようが、必ず支払わなくてはならないため、負担を覚悟してお金を用意しておきましょう。

印紙税

印紙税とは、経済取引で交わされる文書に対して課される税金です。家の売却においては、不動産売買契約書に課されます。

印紙税の税額は、契約を交わす金額によって異なります。契約金額別の納税額は以下の通りです(表の税額は軽減税率適用後の額)。2024年3月31日までに作成される文書に関しては、軽減税率が適用されます。

契約金額 印紙税の税額
10万円を超え50万円以下 200円
50万円を超え100万円以下 500円
100万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 1万円
5,000万円を超え1億円以下 3万円
1億円を超え5億円以下 6万円
5億円を超え10億円以下 16万円
10億円を超え50億円以下 32万円
50億円を超えるもの 48万円

印紙税は、求められる税額に応じた収入印紙を文書に貼付け、その上に消印を押すことで納税が完了します。

登録免許税

登録免許税とは、登記に関する手続きを行う際に納める税金です。登記とは権利や義務などを公示し、スムーズな取引を実現するために定められた制度を指します。家の売却で発生する不動産登記は、『抵当権抹消登記』と『所有権移転登記』の2種類です。

抵当権抹消登記とは、住宅ローンを組んで買った物件に設定されている抵当権を、抹消する手続きを指します。かかる登録免許税は不動産1個につき1,000円です。

所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったときに新たな所有者情報を登録する手続きのことです。かかる登録免許税は『固定資産税評価額×税率(原則2%)』で求めます。

消費税

法人や個人事業主などの事業者ではなく、個人が家を売る場合、売却そのものに消費税はかかりません。しかし不動産の売却に関するサービスを利用すると、その費用に消費税が課せられます

消費税がかかる費用の一例が『仲介手数料』です。仲介手数料とは、不動産会社に家の売却の仲介を依頼した場合の成功報酬です。仲介手数料は売却価格に合わせて変動するため、売却価格が高くなるほど仲介手数料が高額になり、納める消費税も多くなります。

その他にも、登記に関する手続きを司法書士に代行してもらうとかかる『司法書士費用』や、売却する家の境界をはっきりさせるための『測量費用』なども消費税がかかる費用です。

家の売却で利益が出た場合にかかる税金

家を売却すると、売却によって得られる利益に対して税金が課せられます。それが『譲渡所得税』です。譲渡所得税は『所得税』『住民税』『復興特別所得税』の3種類の税金で構成されています。譲渡所得税の基礎知識を解説します。

不動産の譲渡所得税の税率

譲渡所得税は、土地や建物などを譲渡したときに得られる『譲渡所得』に税率をかけて計算される税金です。かける税率は、売却した不動産の所有期間の長さによって決まります。

不動産の所有期間が5年以内なら、譲渡所得の種類は『短期譲渡所得』となり、税率は39%(所得税30%・住民税9%)です。所有期間が5年を超えると、譲渡所得は『長期譲渡所得』に分類され、税率は20%(所得税15%・住民税5%)となります(復興特別所得税除く)。

短期譲渡所得と長期譲渡所得どちらに分類されるかは、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかで判断されます。所有を始めた年月日から売却した年月日までを基準に算出するわけではないので、注意しましょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税を計算する方法を解説します。譲渡所得税を計算するには、不動産の取得費や譲渡費用などをはっきりさせる必要があります。何が費用に含まれるのかを明らかにし、正しい所得税額を導き出せるようにしましょう。

STEP1:譲渡所得を計算する

譲渡所得税の額を計算するには、まず譲渡所得の額をはっきりさせる必要があります。譲渡所得の計算式は、『不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)』です

取得費とは、不動産を手に入れたときにかかった費用のことです。購入代金や購入時に支払った仲介手数料をはじめ、登録免許税や不動産取得税など購入時に納めた税金も含まれます。

売却する不動産が建物のケースでは、建物は時間の経過とともに価値が目減りするため、減価償却費相当額を取得費から差し引く作業が求められます。

譲渡費用とは、不動産の売却の際にかかった費用のことです。売却時に支払った仲介手数料・解体費用・立ち退き料などが含まれます。

STEP2:税率をかけて譲渡所得税を計算する

譲渡所得の額がはっきりしたら、その値を基に譲渡所得税の額を計算します。譲渡所得税の計算式は、『(譲渡所得-特別控除額)×税率』です

特別控除額とは『居住用財産の3,000万円控除』をはじめ、一定の条件をクリアした場合に控除される金額を指します。適用される控除があれば、その分だけ納める譲渡所得が減額される仕組みです。

かける税率は、売却した不動産が短期譲渡所得なら39%、長期譲渡所得なら20%となります(復興特別所得税除く)。

家の売却に適応できる税金控除の特例4つ

譲渡所得税に関する税金控除の代表的な特例を4つ紹介します。特例には細かな適用要件が定められているので、特例を活用したい場合には、自分が置かれている状況で特例を活用できるのか、しっかり調べてから利用を検討しましょう。

マイホームの売却:居住用財産の3,000万円控除

『居住用財産の3,000万円控除』とは、一定の条件を満たした居住用財産を売却した場合に適用される特例です

適用要件の一例には以下のようなものがあります。

  • 現在居住している物件であること
  • 引越しを済ませている場合、引越しから3年目の12月31日までに売却していること
  • 不動産の買主が親族や夫婦など特別な関係ではないこと
  • 売却した年の前年および前々年に、居住用財産の3,000万円控除や居住用物件の譲渡損失の繰越控除を受けていないこと

特例が適用されれば、最大3,000万円の特別控除が受けられます。

マイホームの買換え:特定の居住用財産の買換え特例

『特定の居住用財産の買換え特例』とは、売却するマイホームよりも高額な新居に住み替えたとき、マイホームの譲渡益にかかる譲渡所得税の課税を将来に繰り延べられる特例です

適用要件の一例には以下のようなものがあります。

  • 譲渡する不動産が2023年12月31日までに売却された居住用財産であること
  • 譲渡する不動産が10年以上居住していた建物で、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
  • 譲渡する不動産の売却価格が1億円以内であること

この特例は、課税を新居の売却時まで繰り延べられる制度です。所得税が非課税になるわけではないので、注意しましょう。

所有期間が長い物件:所有期間10年超の物件に対する軽減税率

『所有期間10年超の物件に対する軽減税率』とは、要件に当てはまる居住用の不動産を売却する際に、当該不動産を10年超所有していた場合、譲渡所得税を算出する際に軽減税率を用いるとする特例です

適用要件の一例は以下の通りです。

  • 不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
  • 買主が夫婦や実子など特別な関係ではないこと
  • 不動産が空き家であれば、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること

特例を利用すると、譲渡所得の内6,000万円以下の部分に関して所得税の軽減税率(10%、復興特別所得税除く)が適用されます。6,000万円を超える部分に関しては原則通りの税率が適用されるので、留意しておきましょう。

赤字が出た場合:譲渡損失の繰越控除

『譲渡損失の繰越控除』とは、不動産の売却において赤字が発生した場合に、翌年以降の所得から損失分を差し引ける特例です

譲渡損失が発生した場合にまず行われるのが『損益通算』です。損益通算とは損失と利益とを相殺し、納める税金を減らす仕組みを指します。本来、不動産の譲渡損失は他の所得と損益通算できませんが、一定の要件を満たす場合に限り可能になります。

損益通算を行ってもなお相殺しきれない損失がある場合に行われるのが、『譲渡損失の繰越控除』です。不動産を売却した年の翌年から最長3年間、損失分を繰り越しできます。

家を売却するならかかる税金も知っておこう

家の売却を検討する際、まず気になるのが『物件がいくらで売れるか』でしょう。家が高く売れれば、それだけたくさんのお金が手元に入ってきます。

しかし『どれだけのお金が入ってくるか』と同じくらい大切なのが、『どれくらいのお金が出ていくか』です。家の売却には費用がかかるので、売れた金額そのものが手元に残るわけではありません。

家の売却で出ていくお金を考えたときに重要になってくるのが、売却にかかる税金です。家の売却にかかる税金を前もって知っておけば、家を売却して手元に残るお金をより正しく把握できるようになります。税金の知識を身に付けて、売却で手元に残るお金をきっちり予測できるようになりましょう。

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