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築40年の一戸建ての売却相場は?耐震基準による違いや高く売るコツを解説

最終更新日: 2024年08月26日

築40年一戸建て住宅を売却する場合、上物の価値はゼロであることが多いので売却額は土地の価格に左右されることが多いです。

ただし築後40年経過した一戸建て住宅であっても、構造の丈夫さや作りの特殊さなどの付加価値によって上物にも価値がつくことがあります。

築40年一戸建て住宅の売却相場や耐震基準による査定額の違いなどについて解説します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

築40年一戸建ての売却相場の考え方

日本の住宅の多くは木造住宅なので、法定耐用年数は22年に設定されています。築40年の一戸建て住宅は法定耐用年数を大幅に超過しているため、建物部分の価値はゼロと考えられます。

建物部分の価値がゼロ円とされるため築40年一戸建て住宅の取引では、事実上、建物が建っている土地を取引することになります。

たとえば土地と建物をあわせて3,000万円で購入したとしても、価格のうち土地代が多くを占める家であれば相対的に取引額が高くなります。

法定耐用年数の観点では建物の価値はゼロ

築40年一戸建て住宅は法定耐用年数で考えた場合、耐用年数を大きく超えた状態なので税制上の価値がなくなります。

木造住宅の法定耐用年数は22年なので、築40年の住宅は法定耐用年数が0年になってからさらに20年近く時間が経過していることになります。

法定耐用年数を超過しているとはいえ、住宅としての機能が失われるわけではありません。しかし価値計算という観点において、法定耐用年数はひとつの基準になるため「築40年一戸建て住宅の建物部分の価値はゼロ」とされることが多いです。

一般的に耐用年数を過ぎた住宅の価値はゼロ円とされることが多いものの、地震などの災害に強い構造の住宅などなんらかの付加価値がある住宅であれば建物を評価されます。

● 住宅の付加価値の例

  • 耐震・免震構造で地震に強い
  • 風土や気候にあった過ごしやすい住宅
  • 気密性が高くカビ等が発生しづらい
  • レンガ造等特別な建材・工法で建てられた住宅

旧耐震基準の住宅は評価額が低くなる傾向がある

築40年経過した一戸建て住宅を売却するときは耐震基準もチェックが必要です。

日本は周期的に大規模な地震が起きるため、厳しい耐震基準が設定され定期的に見直されています。

現行の耐震基準は1981(昭和56)年6月1日以降に建築確認申請を受けた建物から適用されています。注意点は1981年6月1日以降に建築された住宅であっても旧耐震基準で建てられたものがある点です。

あくまで1981年6月1日以降に建築確認申請を受けたものに適用されているので、新耐震基準適用後すぐに建てられた住宅は旧耐震基準で建てられている可能性があります。

耐震基準について簡単にまとめると以下の通りです。

● 新耐震基準の特徴

  • 震度6~7の揺れを受けても倒壊しない
  • 1981(昭和56)年6月1日以降に建築確認申請を受けた建物に適用

● 旧耐震基準の特徴

  • 震度5程度揺れを受けても倒壊しない
  • 1950年から1981年5月まで適用されていた基準
  • 住宅ローン控除の対象外になるケースが多い

旧耐震基準の住宅で見落とせないデメリットが住宅ローン控除の対象外になるケースが多いことです。

旧耐震基準で建てられた住宅に住宅ローン控除を適用するには、耐震性能が新耐震基準に適していることを証明しなければなりません。新耐震基準に適合させるには大規模な耐震工事が必要になるので、旧耐震基準の物件であると判明したら取り壊しを視野に入れて売却戦略を立てることをおすすめします。

築40年一戸建てを売却する4つの手段

築40年一戸建て住宅を売却するときには4つの手段があります。

基本的には併用できるものではなく、どれかひとつを選んで売却活動を行います。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、特徴を把握してどの方法をとるかを検討しましょう。

不動産会社と仲介の契約を結ぶ

もっとも一般的な方法が不動産会社に売却活動を代行してもらう「仲介」を依頼することです。仲介手数料が発生するものの、購入希望者の発見や交渉など不動産取引のほとんどを代行してもらえます。

相場価格での取引ができるため、なるべく高額で売却したい場合におすすめです。

ただし魅力が少ない物件や売却活動に力を入れてもらえない場合はなかなか売れず、いつまでも処分できずに様々な予定が狂ってしまう可能性があります。

不動産会社に買取をしてもらう

立地条件が悪い、著しく劣化が進んでいるなどの魅力が少ない物件を手放すのであれば、不動産会社に買取を依頼しましょう。

仲介での売買相場の7割程度の価格で売却することになるものの、素早く確実に現金化できる点がメリットです。

不動産会社によっては、はじめに仲介で依頼をし一定期間売却できなかったときは買い取ってもらう「買取保証付き仲介」を依頼できます。買取と仲介で迷っているのなら相談してみるとよいかもしれません。

空き家バンクに登録する

地方自治体が運営している空き家バンクに登録して、購入希望者を募る方法もあります。ただしすべての自治体が空き家バンク制度を運営しているわけではない点には注意が必要です。

空き家バンクに登録し購入希望者が現れた場合、当事者同士で交渉をして売買契約を結ぶことが前提です。自治体では不動産会社等を紹介してくれません。

しかし不動産取引に関する知識がない人同士で売買契約を締結しようとしても、交渉が難航したりトラブルが発生する可能性が高いです。また売主は瑕疵担保責任についても懸念があります。

そのため実際は不動産会社に仲介を依頼し、売買契約を結ぶまでの交渉を代行してもらうことが多いです。

個人間で不動産取引を行う

不動産取引に関する知識があり、買主を自分で見つけられるのであれば個人間で売買契約を結ぶことも可能です。業務として不動産取引に携わるのであれば宅建資格や都道府県知事への申請が必要ですが、個人間での取引そのものを禁じる法律はありません。

個人間で取引をすれば既存の商ルールや相場観にとらわれない、自由な契約を結べます。ただし価格に関して相場からあまりに離れていると課税の対象になったり、高額な税金を納める必要になったりと注意が必要です。

個人間での不動産取引は可能ではあるものの、トラブルに発展する可能性が高い取引方法です。初めての不動産売買を個人間取引で行うことは現実的ではありません。

不動産の個人間売買について、関連記事ではやり方や注意点を詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

築40年一戸建て住宅の売り方のメリット・デメリット

築40年一戸建て住宅を売却するときの懸案事項は、どのような状態で売却活動を始めるかという点です。3つの状態が考えられます。

いずれの方法もメリットとデメリットがあります。特徴や注意点を確認し、売却したい築40年一戸建て住宅にあった方法で売却活動を始めましょう。

古家付き土地として売るときのメリット・デメリット

最も手軽なのは古家付き土地として売り出す方法です。

家を解体しないことで、解体費用がかからないほか固定資産税の減免を受け続けられるというメリットがあります。

また家の状態が良ければ「リノベーション向き物件」等のアピールをすることで、土地と家の両方を探している人にもアピールができます。

古家付き土地として売るデメリットは解体費用を差し引いて売却するケースが多い点です。家の構造や建材によっては解体費用が高額になり、手元に残る額が想定よりも少なくなることがあります。

● 古家付き土地として売るメリット

  • 売却活動にかかるコストを抑えられる
  • すぐに売却活動を始められる
  • 家を探している人と土地を探している人両方にアプローチできる
  • 固定資産税の減免を受けられる

● 古家付き土地として売るデメリット

  • 解体費用分を差し引いた額での売却になることが多い

関連記事では築40年以上の古い家を売る方法や売却時のコツなどを解説しています。あわせてご覧ください。

解体し更地として売るときのメリット・デメリット

家を解体して更地にしてから売る場合、買主からすると購入後すぐに土地を活用できるので利便性が高いと判断されることが多いです。建物を建てるとしても地中埋設物の調査がしやすいので、購入後のトラブル発生確率も低くなります。

デメリットは解体費用が発生することと、固定資産税の減免が受けられなくなり、納税額が高額になる点です。固定資産税は1月1日時点での使用状況をもとに課税されるので、売却活動が長引くほど固定資産税の負担が重くなる点に注意しましょう。

● 解体し更地にしてから売るメリット

  • 買い手が見つかりやすい
  • 譲渡所得税が安くなる
  • 地中埋設物の調査がしやすい

● 解体し更地にしてから売るデメリット

  • 解体費用がかかる
  • 固定資産税の減免が受けられず高額になる

解体費用は家の構造や素材によって異なります。以下は1坪あたりの解体費用の目安です。

家の構造 1坪当たりの解体費用の目安
木造住宅 40,000~50,000円
軽量鉄骨造 60,000~65,000円
重量鉄骨造 65,000~70,000円
RC造 60,000~80,000円

家の解体費用について詳しく知りたい方は関連記事もご覧ください。

リフォーム等を施して売るときのメリット・デメリット

そのままでは売却できないと思われるほど傷みがある家であれば、リフォーム等を施してダメージや不備を修繕してから売り出しても良いでしょう。

リフォーム等をしてから売るメリットは、修繕などをしない状態よりも高値で売却できる可能性があることと、中古住宅に興味があるものの住宅へのダメージを懸念して購入をためらっていた人にもアピールができる点です。

デメリットはリフォーム等の代金を回収できるとは限らない点です。中古住宅の魅力は安さであると考える人も少なくないので、リフォーム代金分を上乗せしてしまうと「築年数の割に高い」と判断される可能性があります。

● リフォーム等を施して売るメリット

  • 内装等に手を入れられるためより多くの人にアピールできる
  • 手を入れない状態よりも高く売れやすい

● リフォーム等を施して売るデメリット

  • リフォーム等の費用分を回収できるとは限らない
  • 自分好みにリノベーションしたい層からは敬遠される

築40年一戸建てをなるべく高く売るコツ

築40年一戸建て住宅を高額売却するにはコツを知っている必要があります。

売却活動を始める前に以下で紹介する6つのコツを確認し、築40年一戸建て住宅を少しでも高く売却しましょう。

売却時のスケジュールは余裕を持って設定する

不動産売買には一定の時間がかかります。一般的に売り出しから引き渡しの完了までは3~6ヶ月ほどの期間がかかり、一戸建て住宅は売却に難航しやすい傾向があります。

すぐにでも売却しなければならない理由がなければ、半年ほどかけて売却活動をするスケジュールを立てることをおすすめします。無理に短期間で手放そうとすると売り急いでしまって不本意な結果になる可能性が高いです。

売却スケジュールを考えるときは先にゴールを設定し、やるべきことを逆算ししましょう。たとえば4月に新生活を始めたいのであれば、3月下旬には引き渡しを完了する必要があります。そこから逆算すると、前年の8~9月に売り出せるようにすると余裕を持って売却活動に臨めます。

周辺の売却相場をよく調査する

ひと言で「一戸建て住宅」としても1軒ごとに間取りや広さ、駅からの距離などの条件が大きく異なるため、売り出し価格や売却相場を正確に把握することは困難です。

不動産情報ポータルサイトなどでの調査のほか、不動産会社の査定結果等もあわせて実情に即した売り出し価格を決定しましょう。

不動産会社の担当営業とも相談し、プロの目線から見ていくらが妥当かを聞いてみることも重要です。

複数の不動産会社から査定を受ける

築40年一戸建て住宅を少しでも高く売却したいのであれば、複数の不動産会社から査定を受けて価値を確認しましょう。

査定結果には数百万円単位のズレが生じます。査定額や担当者の印象だけでなく売りたい物件の評価ポイントや懸念点を尋ねてみて、納得できる説明をしてくれる業者を探しましょう。

物件の情報だけで査定する簡易査定(机上査定)と現地に赴き調査する訪問査定があります。まずは簡易査定で不動産業者を知り、2~3社ほどに絞り込んでから訪問査定を依頼しましょう。

最大5社から簡易査定結果をもらう

築古の一戸建て住宅の売却実績が豊富な不動産会社に依頼する

不動産会社によって得意な分野は異なります。立地条件にもよるものの、築40年一戸建て住宅は売りにくい部類の不動産です。築古の戸建て住宅の売却実績が豊富な不動産会社と媒介契約を結べれば、想定以上の価格で売却できる可能性が高くなります

また無理に仲介にこだわらず、不動産会社に買取を依頼するのも手段のひとつです。買取では仲介での取引時と比べ7割程度の価格で売却することが多いものの、確実に現金化できるうえ、1~2か月ほどで手放せるスピード感が魅力です。

リノベーション・リフォームの要不要を確認する

築後40年が経過した一戸建て住宅は、一見問題がないように見えても家のあちこちに修繕が必要なことがあります。

必要な修繕を行い、買主がすぐに住み始められるような状態にして売り出すのが理想ではあるものの現実的ではありません。

まずはリフォームやリノベーションが必要なのかをチェックしましょう。家のどこにどのような不備があるのかを確認し、修繕が必要なほどの損傷があるのなら施工をしましょう。

水回りは劣化が進みやすいため、修繕が必要になることが多いです。それでもリフォームをした方が売却しやすいかは別問題なので、すぐにリフォームを施さずに不動産業者の担当者に相談の上、実施するかを決めましょう。

修繕箇所・履歴をリストアップする

一般的に、築後10年を経過した頃から住宅の修繕やメンテナンスの必要性が強くなっていきます。

築40年一戸建て住宅であれば、外壁塗装の塗り直しや屋根の修理、シンク等室内設備の交換・修理などを行っていることが多いです。

築古住宅を購入する人は中古住宅の安さに魅力を感じていることが多いです。購入後すぐにあちこちの修繕が必要となれば、トータルコスト的には節約ができないので購入候補から外れてしまう可能性があります。

今まで修繕した箇所や時期をリストアップしておくと、買主から修繕に関する質問をされたときに明確に答えられます。不安を解消できるので、取引をスムーズに進められるでしょう。

築40年一戸建てをスムーズに売却するには不動産会社選びが重要!

築40年一戸建て住宅を高額で売却するにはいくつかのコツを押さえましょう。場合によっては仲介での売却だけではなく、不動産会社への買取依頼を検討する必要があります。

不動産会社を利用した仲介での高額売却を考えるのであれば、媒介契約を結ぶ相手を厳選する必要があります。

まずは5社を目安に簡易査定を受け、その結果を比較して訪問査定を依頼する業者を選びましょう。

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