もう使わない家を解体するには、かなりの費用がかかります。解体を決断する前に、どれくらいお金が必要なのかを把握しておきたいですよね。
家の解体費用は、建物の構造によってある程度相場が決まっています。空き家の構造と広さ・周辺環境が分かれば大体の解体費用の総額を出すことができるのです。
この記事では住宅を解体する時の工事内容と内訳・安く抑える方法まで解説していきます。
あわせて更地にしたほうが良いケース・しないほうが良いケースや解体業者の選び方なども説明しているので、古い家にお困りの方は参考にしてください。
家の解体費用の相場
解体費用はおもに「構造」と「広さ(坪数)」で決まります。
構造別の坪単価の目安はざっくり以下の通りです。
|
10~50坪の家屋を解体するときの費用の目安をまとめました。
木造 | 軽量鉄骨造 | 重量鉄骨造 | RC造 | |
10坪 | 40万~50万円 | 60万~65万円 | 65万~70万円 | 60万~80万円 |
20坪 | 80万~100万円 | 120万~130万円 | 130万~140万円 | 120万~160万円 |
30坪 | 120万~150万円 | 180万~195万円 | 195万~210万円 | 180万~240万円 |
40坪 | 160万~200万円 | 240万~260万円 | 260万~280万円 | 240万~320万円 |
50坪 | 200万~250万円 | 300万~325万円 | 325万~350万円 | 300万~400万円 |
解体工事にかかる総費用の内訳
解体業者に依頼したときにかかる費用の内訳には、どのような項目があるのでしょうか。それぞれの項目と金額の目安をまとめました。
項目 | 金額の目安 |
仮説工事費用 | 全体の2~5%前後 |
家屋の解体工事費用 | 全体の30~40%前後 |
外構の解体工事費用 | 内容により費用差がある |
重機回送費用 | 木造一戸建て解体時3~5万円程度 |
埋設物の撤去・処理・整地費用 | ・ガレキ:10~30万円 ・古い家の基礎:20~40万円 ・浄化槽:10~20万円 |
廃棄物の処理費用 | 工事費用全体の30~40% |
諸経費 | 工事費用全体の5~10%前後 |
①仮設工事費用:工事費全体の2~5%前後
仮設工事費用は解体作業を安全かつスピーディーに進めるために、一時的な施設や設備を組み立てる準備費用のことです。
準備とは、高いところで人が作業するための「足場」を組んだり、関係者以外立ち入らないように建物の周囲に「仮囲い」を立てたり、粉塵や音が外にもれないよう「養生」をしたりする作業となります。作業員が使用する仮設トイレも仮設工事のうちの1つです。
工事費全体の2~5%前後が相場で、40坪の木造住宅なら3~10万円程度の費用となるでしょう。
②家屋の解体工事費用:工事費全体の30~40%前後が相場
建物の解体作業そのものにかかる費用です。建物の取り壊し、建物の土台である基礎や土間の撤去などが含まれます。カーポートや塀などの外構は別なので注意してください。
家の構造により費用が大幅に異なります。木造の建物が一番安く、鉄筋コンクリート造の建物が一番コストを要する傾向にあります。丈夫で壊しにくい建物ほど費用がかかるイメージですね。
工事費全体の30~40%前後が相場となっており、木造40坪の一軒家なら40~80万円程度かかるでしょう。
③外構の解体工事費用:内容により費用差がある
ブロック塀や庭石・カーポートの撤去、樹木の伐採などにかかる費用です。
土地の広さや内容によって費用は大幅に異なります。一般的な「坪あたり○○万円」のような相場がない費用です。アスベストの除去や地中に埋め込まれている杭を撤去する際の費用は、数十万から数百万円かかることも。
そのため現地調査をしてもらい、詳細な見積もりを出してもらうことが必要です。
④重機回送費用:木造一戸建て解体時3~5万円程度が相場
解体工事に使う油圧ショベルや廃棄物の処分に使うダンプなどを、解体現場まで運ぶ費用のことです。
重機単体で道路を走ってくることができないものもあるため、専用の大型車に乗せて運搬する際に費用がかかります。重機の保管場所から解体現場まで離れているほど、高額になります。
木造一戸建てを解体する時で、3~5万円程度が相場です。
⑤埋設物の撤去・処理、整地費用
家屋の解体後、地中に埋設物が見つかることがあります。例えば瓦やコンクリートなどのガレキ(昔の建築廃材)、昔に建てられた住宅の基礎や浄化槽(汚水処理設備)などです。
そのままにしておくと不法投棄とみなされる可能性や、土地売買の時に買主とトラブルになることもあります。見えない部分とはいえ撤去する必要があるのです。
撤去と解体の費用を合わせると相場は以下のようになります。
|
整地費とは土地をきれいに整える作業にかかる費用のことです。解体工事の後に土地をきれいに整えてくれる業者もいれば、最低限の荷物を撤去して終わりにする業者がいます。
きれいに整地しないと土地の売却に影響が出るため、解体工事を依頼する前に、どの程度の整地をしてもらえるか確認しましょう。
⑥廃棄物の処理費用:工事費用全体の30~40%が相場
解体工事で出たガレキなどの廃棄物を処分する費用のことです。
廃棄物の種類や自治体によって処理費用が異なります。見積もりの計算も、住宅の坪数やガレキの種類・トラックの台数など様々なものを考慮します。
一般的には工事費用全体の30~40%が相場となっており、木造40坪の一軒家なら40~80万円程度かかるでしょう。
⑦諸経費:工事費用全体の5~10%前後が相場
業者により含まれるものが異なります。主に作業員の法定福利費や事前調査費用、アスベスト調査費用などが一般的な諸経費の内訳です。
また解体工事に必要な書類作成・申請にかかる費用もこちらに入ってくる場合があります。建設リサイクル法の申請や道路使用許可書の届出・滅失登記などが挙げられます。
工事費用全体の5~10%前後が相場となっており、木造40坪の一軒家なら6~20万円程度かかるでしょう。
⑧業者の利益:工事費全体の10~30%が相場
上記の工事に必要な費用に加えて、見積もりには業者が利益として取る費用も加わります。工事費全体の10~30%が相場でしょう。
利益を多く取っている業者でも、企業努力により経費を削減することで原価を抑え、丁寧に仕事ができる環境を整えているというところもあります。
依頼者側からすると「この部分値引きできないの?」と思うかもしれませんが、一概に利益が多い、少ないではなく、担当者の対応や工事の品質で業者を選ぶようにしましょう。
解体費用が変動する要因
解体工事の費用はさまざまな要因が絡み合って決まります。
金額を左右する要因はおもに以下の3つです。
|
①建物の構造の違い
まず建物には大きく分けて3種類の構造があります。取り壊しやすさが変わるため、費用も異なるのです。
【①木造】
家の骨組みを「木材」で構成する建物です。
【②鉄骨造】
家の骨組みを「鉄骨」で構成する建物です。
【③RC(鉄筋コンクリート)造】
家の骨組みを「鉄筋」と「コンクリート」で構成する建物です。
木造が一番取り壊しやすく、この中で解体費用は一番安く済むでしょう。次に鉄骨造、その次に鉄筋コンクリート造の順に解体費用が上がります。取り壊すのに手間と人件費がかかるからですね。
しかし木造でも築年数が浅いと解体に手間がかかり、相場よりも解体費用が高くなることもあるので注意しましょう。
また敷地が広いほど解体する範囲も広くなるので、コストがかかります。広さだけではなく階数も関係します。例えば同じ坪数であれば平屋より2階建てのほうが安くなるのです。
解体にコストがかかるのは建物の土台の部分である基礎と屋根のため、坪数が同じ場合、2階建てのほうが基礎と屋根の坪数は小さくため安くなります。
地下に部屋がある場合は、特殊な重機や作業が必要になる場合もあります。解体費用が相場の倍以上になることもある点を把握しておきましょう。
②立地条件の違い
家屋を解体する土地の立地条件により解体費用に差が出てくることがあります。
住宅密集地域での工事
解体工事で重機を使用するには、ある程度のスペースが必要です。スペースの少ない住宅密集地域では、重機類の搬入が難しく手作業が増える傾向にあります。
廃棄物の搬出時にも直接トラックを乗り入れることが難しく、一度広い場所に運搬したうえでの積み込みとなることもあるでしょう。
手壊し解体となる場合、重機使用にくらべて2倍の費用がかかると考えておきましょう。主に手作業で40坪の木造住宅を解体する場合の費用は、240万~400万円程度が相場になります。
道路幅が狭い場所での工事
道路幅が狭い場合も同様に、重機や搬出トラックの乗り入れが難しく手作業が増えるため、コストが増える傾向です。
ただし、一般的に乗用車がすれ違えるほどの道路幅があれば、大幅に費用が上がることはありません。大型の重機が入れない場合でも、幅が2m以下のコンパクトサイズの重機「ミニユンボ」などを使えれば、費用を節約できる可能性が高いです。
解体方法や使用機材は解体業者によっても異なります。対応してもらえるかどうか、一度聞いてみると良いでしょう。狭小地の解体を得意とする解体業者なら、さまざまな提案を受けられます。
交通量が多い場所での工事
交通量が多い場所での工事には、ガードマンの配置が必要になることもあります。ガードマンを配置する場合、解体工事費用にガードマンの人件費がプラスされることでコストが割高になるでしょう。
③付帯工事内容の違い
付帯工事とは、メインの建物以外に対して行う工事のこと。メインの解体工事とは別に、以下のようなものを撤去・処分する際に費用がかかります。
撤去・処分内容 | 費用相場 | 備考 |
ブロック塀 | 5,000~8,000円/㎡ | |
フェンス | 800~1,000円/m | |
庭木の撤去・処分 | 15,000~20,000円/本 | 幹直径20cm・高さ4~5mの場合 |
物置 | 15,000~26,000円 | |
カーポート(車庫) | 50,000~80,000円/台 | 車2台用の場合 |
土間コンクリート | 2,500~4,500円/㎥ | 厚み5cmの場合 |
土地が広くブロック塀やフェンスが長い・カーポートや庭木などで外構が凝っているといった場合はより高額になります。広い土地になるほど、家の坪数とは関係なく+αでかかってくる費用です。
また家を建てる時に地盤改良工事(柱状改良・鋼管杭改良)をしている場合には、地中の杭の撤去も必要です。地盤改良工事とは軟弱地盤の土地で地盤沈下を防ぐために、建物の基礎を支持層(硬い地盤)で支えられるようにする工事のこと。その際に使われる「セメント杭(4m・40本)」の撤去で250万円程度、「鋼管杭(4m・20本)」の撤去で200万円程度の費用がかかります。どちらの杭を使っているかは地盤の状況により異なるので、現地調査で調べてもらいましょう。
仮に見えないからといって、杭を放置したまま買主に知らせず土地を売却するのは厳禁です。「瑕疵(重大な欠陥があること)」として見なされ、後日撤去費用を売主が負担することになってしまいます。そのためしっかりと地中の埋没物も確認して、解体と同時に撤去してもらうようにしましょう。
また、基礎が床下全面をコンクリートで覆うベタ基礎の場合も、費用が高くなります。
ベタ基礎は基礎自体の解体に時間を要するうえ、解体後はコンクリートと鉄筋を分類して処分が必要です。工期が長くなり、発生する廃棄物の量も多くなるため、布基礎に比べて大きく費用がかかります。
このほか、モルタル壁の撤去をともなう場合も、費用がかかりやすくなります。
正確な費用は調査をしてもらわないと分からない
ここまで費用の相場や、どのような条件で金額が変わるのかを解説してきました。しかしながら正確な金額は実際に調査してもらわないと分かりません。
そのためある程度目安となる費用を確認したら、一度見積もりを取ってみましょう。どの業者にお願いするかによっても費用が異なるので、できれば複数社を比較して決めるのがおすすめ。家の解体は大きなお金が動くため、単価が少し違うだけでも総額が大きく異なります。1社の見積もりだけだと、それが適正なのかどうか不安ですよね。
「でも複数社を比較するのは大変だし面倒…」という場合は、ぜひミツモアを利用してみてください。いくつかの質問に答えるだけで、複数の業者が仮の見積もりを出してくれます。それぞれを比較して良さそうなところがあれば、実際に調査をしてもらうという流れになります。費用だけでなく口コミや保証内容も見比べられるので、あなたにピッタリのところが選べるはずですよ。見積もりは無料です。ぜひ一度気軽に利用してみてください。
家の解体費用を安く抑えるポイント
空き家の解体費用は工夫次第で数万円~数十万円単位で安くすることが可能です。
解体費用が安くなる5つの方法をご紹介するので、ご自身でできそうな項目は挑戦してみてください。
|
①複数の業者から見積もりを取る
少しでも解体費用を安くしたい場合は、必ず複数の業者に同じ内容で見積もりを取りましょう。
同じ内容でも業者によって料金は様々。1社から見積もりを取っただけだと、それが安いのか(適正なのか)が判断できませんよね。複数社から見積もりを取ることによって、できる限り適正に近い価格で依頼ができるのです。もちろん費用以外のサポート内容や、見積もり時の担当者の対応なども含めて一番納得のいく業者を選ぶようにしましょう。
複数社から見積もりを取る際は、ぜひミツモアを利用してみてください。無料で比較ができますし、疑問点があれば事前にチャットで相談もできます。
忙しくて業者を調べる時間がない、電話で問い合わせる時間がない方でも気軽に申し込めるので、お気軽に利用してみてくださいね。
②庭木や雑草を処分しておく
庭木1本を伐採・処分するのにも、数千円~数万円の費用がかかります。複数ある場合は費用が10万円以上になってしまうことも考えられます。
植え替えではなく撤去・処分する場合は、事前に自分で伐採し処分しておきましょう。高さが3m以内・直径20cm以下ならば、未経験でも無理なく伐採できる範囲の大きさです。
③家具などの不用品を処分しておく
廃棄物の処理や分別にも費用がかかるので、少しでも減らしておくことで費用を抑えられます。
家財道具や生活用品などを分別し、大きなものは自治体の粗大ゴミに出すか、自分で各自治体のクリーンセンターへ持参し処分しましょう。まだ使えそうな家具などはリサイクルショップなどに持ち込み、解体費の足しにするのもいいかもしれませんね。
④申請関係の手続きを自分で行う
家屋解体に伴う手続きのうち「解体工事届出」の申請は、業者に行ってもらう場合有償になることもあります。無償で行ってくれる業者の場合は委任した方が楽ですが、もし別途費用がかかる場合には自分で行うと費用を節約できます。
また建物の解体が終わったあとには1か月以内に「建物滅失登記申請」をしなければなりません。解体業者が手続きを代行するのが通常ですが、相場としては3~5万円ほど費用がかかります。節約をしたい場合は自分で申請を行いましょう。
滅失登記には申請義務があるため、建物を解体したにもかかわらず登記をしていないと、10万円以下の過料が科されるケースもある点に注意しましょう。
⑤助成金・補助金を利用する
建物の解体をする時に、自治体によっては補助金を出してくれるところもあります。「そのまま放置しておくと危険である」と判断された家屋の解体が主な対象。対象となる場合は数万円~数十万円の補助金を受け取ることができるのです。補助金の目安は解体費用の1/5~1/2程度です。
ただし補助金をもらうには条件に当てはまらないといけないので、解体する建物がある場所の自治体に問い合わせてみましょう。自治体により、例えば以下のような補助金制度があります。
|
また家屋以外にも、ブロック塀の撤去で補助金がもらえることもあります。「建築基準法に違反している」「法の通り作られているが老朽化し安全性が確認されていない」ものが主な対象です。
補助金制度を利用したい方は、解体業者に相談しながら進めるのがおすすめです。ミツモアで見積もりを取った際に「補助金の申請をしたい」と伝えてみてください。
解体費用が一括で出せない時はローンを組む手も
家の解体費用が思ったより高いと感じてしまうこともあるのではないでしょうか。住宅を解体する費用が一括で出せない時には、ローンを組むという方法が有効です。住宅解体の時に組めるローンは以下の通りです。
|
家を建て替えることを前提として、新築費用や土地購入費用の中に解体費用を組み込むのが「住宅ローン」です。
建て替えではなく解体後に土地を売る場合や、別の場所に住む場合は「フリーローン」が候補に挙がります。用途が自由なので解体費用の借入にも使うことも可能。しかし住宅ローンよりも金利が高いのがデメリットだと言えるでしょう。
建て替えをしない場合で一番おすすめなのが「空き家解体ローン」です。住宅ローンよりは金利が高いですが、フリーローンよりは金利が抑えられ、審査も通りやすい傾向にあります。
各地方銀行や信用金庫で「空き家解体ローン」や「解体費ローン」という名前で受け付けているので、一度相談をしてみてください。
家の解体工事の流れ
解体工事はどのような流れで行われるのでしょうか。次は解体工事の具体的な流れについて解説します。
①見積もりと業者の選定
まず業者に見積もりを依頼しましょう。電話で見積もりをとることもできますが、現地に来てもらい実際の現場を見て見積書を作成してもらうことがおすすめです。建物の内部を含め、現場をできる限り見てもらうことで、正確な解体費用を把握できます。
見積もりを依頼したら約1週間で見積書が提出され、内容に合意できれば正式に契約となります。
契約する際はどんなに小さな解体工事であっても、トラブル防止のために契約書を作成しましょう。契約書に誤りはないか確認してから契約することが大切です。
業者を探すならミツモア がおすすめです。条件に合う業者が見つけやすく、見積もりも無料でとれます。
②解体の事前準備
解体工事を依頼する業者が決まったら、解体準備を行います。周囲への騒音や粉じんなどの影響を考慮して、近所に挨拶周りや工事期間の案内を実施するのです。近所への挨拶周りを怠ると、トラブルの原因となる場合もあるため、忘れず行いましょう。
電気やガスなどを停止して、引込配管や配線の撤去を依頼します。ただし水道を止める際は、解体業者に確認してから止めるほうが安心です。
解体工事中はほこりが舞いやすくなるため水を使用することが多く、業者から水道は止めないように依頼される場合があります。
③解体工事の着工
解体の事前準備が終わったら、重機の搬入や足場、養生の組み立てを行うために、樹木やブロック塀など外回りを解体し、撤去作業を行います。
外回りの解体や撤去作業が終了したら、作業するために必要な足場を組み立てるのです。解体作業は高い場所でも行われるため、防音シートや防塵シートなどの養生シートを取り付け、騒音やほこりの影響を抑えます。
次に建物の内部である内装部分の解体をしていきます。廃棄物は分別しながら撤去しないといけないため、壁材や天井材・断熱材・石膏ボードなど職人が手作業で壊していくのです。
内装部分の解体や撤去を行ったら、建物の解体を行います。建物の高いところから順番に壊していくのです。建物自体の解体作業が終わったら、建物の土台部分である基礎も壊していきます。
④廃材撤去と整地
解体で出た廃棄物を木材・鉄・プラスチックなど種類ごとに分別し、処分場に搬出します。解体後、地中に廃材が残っていないか、コンクリートが入っていないかの確認も行うのです。
すべての作業が終了したら、解体後の土地を整地します。整地とは土地をきれいに整えることで、業者によって整地の仕上がりが異なる点に注意が必要です。
どの程度整地されているかで土地の価格は変化するため、事前に整地の仕上がりについて確認しましょう。
【家解体の落とし穴】覚えておきたい注意点
建物は建築されたときに登記されますが、解体時にはこれをなくす建物滅失登記を自分で手続きする必要があります。
滅失登記が済んでいないと、建て替えができなかったり、存在していない建物に固定資産税がかかったりといった問題が起こる可能性があります。
また、滅失登記には申請義務があるため、建物を解体したにもかかわらず登記をしていないと、10万円以下の過料が科されるケースもある点に注意しましょう
家屋を解体して更地にするメリット
住む人がいなくなった家屋の取扱いに迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
家屋を解体すべきかどうかは状況によって異なります。解体して更地にすることのメリットはおもに以下の4つです。
|
土地を売却する場合は買い手が見つかりやすい
家に価値がない場合は、解体して残った土地を売るほうが売り手が見つかりやすくなります。
空き家や倒壊の危険性がある建物など、価値のない家が残されたままの土地を「古家付き土地」といいます。
古家付き土地の買い手は、多くが土地を購入後、新たに家を建てたいと考えている人です。使えない家が建っていたら、買い手は取り壊す作業から始める必要があります。解体費用が追加でかかるため、購入しにくいと感じてしまうのです。
また、傷みのひどい家が建っていると、見た目の面でも印象が良くなく、なかなか売れません。
そのため、使えない家が建っているなら、家を解体してから売却することで買い手が見つかりやすくなります。
管理費用や手間がなくなる
空き家を所有していると、定期的に建物や庭などを確認し、掃除や換気などをする必要があります。
空き家のまま放置していると、換気不足のためカビが生え老朽化が進みます。外観を損ねるほか、庭木の雑草が繁殖すれば、害虫や害獣を呼び寄せることもあるでしょう。
また、明らかに誰も使用していない家は、いつ誰が不法侵入するかもわかりません。犯罪の拠点となったり、放火のリスクにさらされたりすることも考えられます。
いずれも近隣へ大きな迷惑となり、トラブルに発展することもあるため、空き家といえども放置はできません。
自分で管理を行えない場合は、管理会社を利用することもできますが、管理費用が発生します。解体すれば管理の手間や費用をなくせるのです。
老朽化した家屋が近隣へ損害を与える心配がなくなる
築年数が経過した建物では、老朽化により強風で屋根が飛んだり、倒壊したり、周囲に損害が生じる可能性があります。近隣に損害が生じた場合、「損害賠償義務」を負うおそれがあることも空き家を持ち続けるリスクです。
空き家が原因で発生した損害は、空き家の持ち主が賠償責任を負います。そのため解体すれば近隣へ損害を与える心配がなくなり、損害賠償義務を負うこともなくなるのです。
放置された空き家によって周囲に迷惑をかける可能性がある、ということを忘れないようにしましょう。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負わずに済む
古家付きの売却では、建物の瑕疵(欠陥)によるトラブルが起きる可能性もあります。
そのため、古家付き土地の売買契約時には、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を免除する特約を付けるという対処方法があります。しかし、問題を知りながら買主に伝えていなかった場合や、引き渡しまでに問題が発覚した場合など、契約不適合責任が免責されないケースが出てくることもゼロではありません。
解体してからの売却なら、契約不適合責任を負う心配はまったくなくなります。
家屋を解体して更地にするデメリット
もう使わない家屋は解体しなければならないと考えてしまうかもしれません。ただし、解体するときには以下のようなデメリットがあることも考えておきましょう。
|
高額な解体費用がかかる
空き家を解体するときに発生する費用は持ち主が負担します。建物の規模や構造などにより異なりますが、数十~数百万円になることも少なくありません。
自治体の助成制度を活用できたとしても、全額賄えるわけではないため、まとまった費用を用意する必要があります。
解体費用以外にも、解体工事にともなう防音や防塵対策の費用、解体したことで出た廃材や家具・家電の処分などの費用も必要です。そのためトータルで考えると高額な金額となるでしょう。
また、解体の前には、家具や家電など家財道具の処分も必要です。これにも費用や手間がかかることを頭に入れておく必要があります。
固定資産税・都市計画税が上がる
固定資産税は土地に住宅が建っている場合と、何もない更地の場合とでは、金額が変わります。更地の場合は、住宅用地の特例(減税措置)がなくなり、税金が高くなってしまうのです。
特に固定資産税は、解体することで最大6倍になるケースもあります。土地を売却せず所有し続ける場合は、大きな負担となってしまうでしょう。
ただし、更地にせず空き家のままにしておいても特例が適用されないケースがあります。倒壊のおそれがある、または著しく景観を壊す空き家は「特定空き家」に指定され、住宅用地の特例の対象外になってしまうのです。解体せず放置して住宅としての価値がなくなると、結局多くの税金を払わなければならない可能性があります。
以下の表は「建物がある状態」と「更地や特定空き家に指定された場合」の固定資産税・都市計画税の区分です。
区分 | 小規模住宅用地 | 一般住宅用地 | 更地・空き家 |
土地の利用状況 | 住宅の敷地 | 住宅の敷地 | |
面積区分 | 200㎡以下の部分 | 200㎡を超える部分 (家屋の床面積の10倍まで) |
|
固定資産税 | 価格×1/6 | 価格×1/3 | 減額なし |
都市計画税 | 価格×1/3 | 価格×1/3 | 減額なし |
以上のことから土地を売買する目的で建物を解体する時は、できるだけ解体後すぐに土地を売却する方が良いということになります。解体後にしばらく土地が売れない場合、減税措置なしの高額な税金を払い続けることになるので注意してくださいね。
解決策としては空き家を解体せず、売主側で解体費用を負担する条件で売りに出します。売れたあとに解体工事を行うことで、ギリギリまで優遇を受けた状態の税率を保つことができるのです。
税金を節約するために色々な方法があるので、不動産屋に相談してみましょう。使っていない土地と建物にかかる税金は少しでも安い方が良いですよね。状況に合わせていつ建物の解体をするかどうかを決めていきましょう。
再建築不可の土地になると売却時に不利になる
空き家をいったん壊してしまうと、再度建物を建てようと思っても不可能になる「再建築不可」の土地になってしまう可能性があります。
再建築不可になってしまう土地とは「敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していない」という条件に当てはまる土地です。
この条件は「接道義務」と言い、1950年に建築基準法によって定められました。そのためそれ以前に建てられた建物は、接道義務を満たしていない可能性もあるのです。
再建築不可の土地は売却時にも不利となる条件なので、不動産屋などに相談をして事前に把握しておきましょう。
家屋を解体して更地にした方が良いケース
家屋の解体はメリットもデメリットもありますが、以下に該当する場合は、家屋を解体して更地にした方が良いでしょう。
建物の老朽化が激しい
建物の老朽化が激しい場合には、先に述べたように近隣へ損害を与えるリスクが生じるだけではありません。適切な管理が行われていない「特定空き家」に指定され、行政指導の対象になることも大きなリスクです。
特定空き家に指定後、適切な対処を行わず改善勧告を受けると固定資産税の優遇措置は受けられません。また、命令に応じなかった場合には、50万円以下の過料です。
老朽化した家屋をそのままにしておくよりは、解体する方が将来のリスク軽減につながります。
周辺環境が変化している
家屋を立てた当時と土地周辺の環境が変わり、家屋がない方が買い手の需要が期待できる場合にも、更地にした方が良いでしょう。
例えば、用途地域の制限がなく開発により店舗需要が高くなっている土地の場合、家屋があることで土地の価値が下がることがあるからです。
このような土地では、家屋を解体して更地として売却する方が、有利に売却できます。
家屋を解体して更地にしない方が良いケース
では逆に、古家であっても家屋を解体しない方が良いケースを見ていきましょう。
リフォーム・リノベーションできる
古くても改修の余地が残っていれば、古家が建っていても買い手がつく可能性があるため、必ずしも解体する必要はありません。
例えば、近年では古い日本家屋が古民家としてリノベーション・リフォームされて活用されることも多く、一定の人気があります。
新しい耐震基準を満たしている
建物には、地震でも倒壊しないよう、耐震基準が設けられています。
新耐震基準は震度6強~7の地震でも倒壊しない構造水準です。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準を満たしています。
旧耐震基準では震度5までしか耐えらないため、中古住宅を購入するにあたり新耐震基準を満たしていることは買い手から重視されるポイントのひとつです。解体せずに売却が期待できます。
解体工事業者の選び方
解体を依頼する業者選びは、解体後の土地の売却に大きな影響を与えることがあります。業者選びを失敗しないように、選び方のポイントを確認しましょう。
許可や登録番号を確認する
解体業者は工事現場のある都道府県に登録を行う必要があります。解体業者の中には必要な許可をもらっていなかったり、保険に加入していなかったりする場合があるのです。
登録していない業者の中には、仲介を行い悪徳業者や下請け業者に解体作業を依頼し、費用に中間マージンが発生している可能性があります。解体費用が高額になったり、解体処理をきちんと行ってもらえなかったりと、トラブルの原因となることもあるのです。
きちんと許可を得ている業者であるか、事前に許可や登録番号を確認しておいたほうが安心でしょう。
見積もり金額が安すぎる業者を避ける
解体費用を抑えたいあまりに値引きをしすぎて、極端に低い費用にすることはやめましょう。
費用を抑えすぎると手抜き工事や違法な廃棄物処理につながる場合もあります。依頼する側は、「解体はある程度費用がかかるもの」という認識が必要です。
また業者が大幅に値引きをしたときは、理由を問い合わせましょう。初めから高めの価格設定をしていた可能性もあります。大幅値下げを提示された場合は、納得できる理由があるかどうかで判断することが重要です。
おすすめの解体工事業者
さまざまなサービスのプロに見積りを依頼できるミツモアには、家屋解体を扱う解体工事業者も登録されています。その中から、評価の高い業者を2社、抜粋して紹介します。
株式会社幸進
株式会社幸進は、大阪府豊中市にあるアスベスト調査から解体工事までワンストップで対応可能な解体業者です。小規模な解体からアパートやマンションの解体まで幅広く扱っています。
株式会社幸進の特徴は、現場への配慮が行き届いていることです。工事の際の挨拶回りや作業後の清掃など、近隣への配慮が徹底しています。解体工事で起こりがちなトラブルがないと評判で、安心して依頼できるでしょう。
有限会社ウエストバレー
有限会社ウエストバレーは、東京都八王子市にある地域に密着した解体業者です。東京・神奈川を中心に、年間500棟以上と豊富な解体実績があります。
有限会社ウエストバレーは自社施工で重機も自社所有しているため、低価格で安全丁寧な工事を実現していることが特徴です。産業廃棄物収集運搬許可を受けている解体業者のため、廃棄物の処理まで一貫して依頼できることもコストダウンにつながっています。
家屋の解体工事業者選びは相見積もりで比較を
質問に答えるだけで最大5社から見積もりが届く
スマホやパソコンからかんたんな質問に答えると、自動で条件にぴったりのおすすめ事業者から最大5件の見積もりが届きます。
手作業で条件や日程が合う事業者を1件ずつ探す必要はありません。
料金・口コミ評判を比較して選べる
見積もりの料金を比べられるのはもちろん、過去にミツモアでお仕事を依頼した利用者からの口コミ評価も確認できます。
口コミからはサービスの質や人柄などがうかがえることが多く、金額以外の判断材料も得られるので安心です。
チャットで事前に仕事内容の相談ができるので安心
契約前にサイト内のチャットで事業者と直接メッセージのやり取りをすることも可能。事前に見積もり内容に関する質問や相談ができるので、不安を解消した上でお仕事を依頼できます。