空き家を解体するのには「解体費用」がかかります。しかし解体工事は安いものではないため、全体の相場や業者選びのコツを抑えておくことが大切です。解体工事で損しないためにもぜひポイントを押さえておきましょう。
空き家の解体費用が知りたい
それでは早速、空き家の解体費用について見ていきましょう。ひと口に空き家といっても木造や鉄骨、鉄筋コンクリートなどさまざまです。それぞれの構造別に解体費用をご紹介します。
構造別 空き家の解体費用相場
空き家の解体費用の相場は以下のとおりです。また以下は「1坪あたり」の相場になります。
- 木造住宅:40,000円
- 鉄骨造住宅:60,000円
- 鉄筋コンクリート造住宅:70,000円
木造住宅とは柱や梁などに「木材」を使った住宅です。解体される空き家は年数の経った木造のケースが多いです。また鉄骨や鉄筋コンクリートと比べても解体しやすいため、解体費用も比較的安く済みます。
鉄骨造住宅は柱や梁などに「鉄骨」を使った住宅です。鉄骨には厚みが6mm以上の重量鉄骨構造と、6mm未満の軽量鉄骨造の2つがありますが、一般住宅はおおむね後者に該当します。鉄骨は木造よりも強度があるため、解体費用も高い傾向です。
鉄筋コンクリート造住宅は、柱や梁などに「鉄筋コンクリート」を使った住宅です。木造や鉄筋よりも頑丈なため解体工事が難しくなります。したがって解体費用も高くなるのです。
解体費用が変動する理由
空き家の解体費用の相場についてお伝えしましたが、解体費用はさまざまな要因によって変動します。解体費用が変動する要因は以下の通りです。
- 構造
- 立地
- 付随工事費用
- 解体業者
先述の通り、木造なのか鉄筋コンクリートなのかなど「構造」によって相場は大きく変動します。また平家や2階建てなど「住宅の階数」も、解体費用を左右させる要因です。
空き家の「立地」も解体費用に影響します。たとえば隣の建物と近接している、重機が入れないほど土地が狭い、といった場合、「人件費」がかさむため解体費用も高くなります。
また、古い家を解体する場合は「付随工事費用」がかかります。代表例はアスベストの処理です。古い家には有害物質であるアスベストが含まれているケースがあり、解体する際に特殊な処理が必要になります。
どこの解体業者を選ぶかによって解体費用は異なります。業者選びの際に意識したいのが「時期」です。繁忙期である12〜3月は解体費用が高い傾向にあります。そのため業者を比較しつつ、繁忙期以外で安く対応してくれる業者を見つけることが大切です。
空き家の解体費用を安くするコツ
空き家の解体には大きな費用がかかるので、可能な限り「安く済ませたい」と考えている方が大半でしょう。ここでは、空き家の解体費用を安くするコツをご紹介します。
需要が低い時期に依頼する
解体業者の「閑散期」を狙いましょう。先述のように解体業界は12月、1月、2月、3月はとても忙しいです。ただ、この4ヶ月間が終わると解体業者はひと段落し、いわゆる閑散期に入ります。
業者側も「閑散期でもできるだけ多く仕事が欲しい」と考えているため、多少値引きしてでも請け負ってくれるのです。仮に値引きされなくても、繁忙期ならではのプラス料金がかからずに済むケースもあります。
家庭ゴミや雑草の処分をしておく
解体工事には、木材や家具家電など「廃棄物を処理する費用」が別途発生します。特に家具や家電などを解体業者にお願いすると、専門の買取業者よりも費用が高くついてしまいます。
そのため家具や家電は自治体の回収やリサイクルショップに出すのが良いでしょう。
また、庭木や雑草の処分も自分でやっておくのがおすすめです。業者側の手間が省けるため、解体費用のコストダウンにつながります。
補助金や助成金を活用する
解体工事を行う際、各自治体の補助金や助成金を活用するのも手です。たとえば東京都の場合、27の自治体で補助や助成制度があります。(2018年4月時点)
自治体によって名称は異なりますが、以下のような制度が代表例です。
- 老朽危険家屋解体撤去補助金
- 都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
- 建て替え建設費補助金
- 老朽危険空家除却費用の助成制度(杉並区)
補助金や助成金が支給される目的として、「街の景観の維持」「放火や犯罪の防止」「倒壊等による近隣へのリスク軽減」などがあげられます。
失敗しない解体業者の選び方
空き家の解体費用を安くするコツについてお伝えしました。ここで重要になるのが「解体業者の選び方」です。解体業者選びに失敗しないためにも、特に以下の3つは意識しましょう。
複数の業者から見積もりをとる
適正な工事費用を知るためにも、必ず複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。できるだけ多くの見積もりを取るのが望ましいですが、業者との立ち合いがあることを考えると2〜3社が限界かと思います。また1坪あたりの料金だけでなく、具体的にどこにいくらかかるのか明示してくれる業者を選ぶのが良いでしょう。
解体工事の許可を保有しているか確認する
解体工事にあたって、きちんと許可を保有している業者かどうかも確認しましょう。解体工事を行うためには「建設業許可」もしくは「解体工事業登録」のどちらかが必須になります。
建設業許可は、国が定めている建設業法のもとで発行されるもので、500万円以上の解体工事を行う場合に必要です。一方の解体工事業登録は、建設リサイクル法で定められた都道府県知事の解体工事業登録のことで、500万円未満の工事のみ請け負うことができます。
建設工事保険に加入しているか確認する
その解体業者が「建設工事保険」に加入しているかどうかも重要なポイントです。建設工事保険とは、万が一工事中に住民に怪我をさせてしまった、あるいは隣接する家屋を傷付けてしまった場合、被害者に賠償金を支払うための賠償保険のことをいいます。
業者側は、年単位での加入や工事現場単位での加入、重機や車両単位での加入まで、さまざまな加入方法を選べます。どのような方法であれ多くの業者は加入していますが、なかには保険に加入せずに解体工事を進めようとする業者もあるので、保険に加入しているかどうかを聞いてみましょう。
空き家を解体するメリットとデメリット
それでは最後に、空き家を解体するメリットとデメリットをご紹介します。
空き家を解体するメリット
まずは空き家を解体するメリットから見ていきましょう。具体的なメリットは以下の通りです。
- 近隣への迷惑をかける心配がなくなる
- 売却がされやすい
- 管理の手間やコストを削減できる
近隣への迷惑をかける心配がなくなる
1つ目は「近隣への迷惑をかける心配がなくなる」ことです。空き家は長いあいだ放置していると老朽化します。
老朽化すると、害獣の発生や地震による倒壊の危険などのリスクが高まるのです。また放火される危険性もあるなど、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。
仮に近隣に損害を与えてしまった場合、賠償責任を負わなければならないため、長い間使っていない空き家は解体するのが望ましいでしょう。
売却がされやすい
2つ目は「売却がされやすい」ことです。土地を売却する際、付随する家屋も売ることができます。しかし築30年以上経っている空き家の場合、住居としての資産価値はほとんど失われているため、必然的に「土地だけの価格」で売却することになるのです。
その際、買い手と売り手どちらが解体工事の費用を持つのかを決めることになります。仮に買い手が費用を持った場合、土地価格から工事費用を引いて欲しいと交渉されるケースも少なくありません。そのため最初から解体工事を完了させておいた方が、価格交渉がない分、土地が高く売れる可能性が高まるのです。
管理の手間やコストを削減できる
3つ目は「管理の手間やコストを削減できる」ことです。空き家には税金や家の周辺の環境を整備するための費用がかかります。
まったく管理されていなければ、空き家対策特別措置法に基づいた行政指導によって、空き家の巡回や補修工事を行うよう指導されるのです。
それでも応じない場合、所有者が全額費用を負担する強制撤去、固定資産税の軽減措置対象から除外、などのペナルティを受けることになります。余計な手間やコストをかけないためにも、最初から空き家を解体するのがスムーズです。
空き家を解体するデメリット
続いて空き家を解体するデメリットについて見てきましょう。具体的なデメリットは以下の通りです。
- 解体費用がかかる
- 固定資産税の減税が適用されなくなる
解体費用がかかる
1つ目は「解体費用がかかる」ことです。当然、空き家を解体するのには費用がかかります。建物の規模によりますが、数十万円〜百万円以上かかる場合もあるため、予算に合わせて慎重に検討しましょう。
固定資産税の減税が適用されなくなる
2つ目は「固定資産税の減税が適用されなくなる」ことです。空き家を解体すると、当然「建物」が無くなるため、固定資産税の軽減措置の対象外となります。つまり土地の税率が上がるということです。
そういった理由で、空き家を解体せずにそのまま放置している人も少なくありません。ただ先述のように、空き家の放置によって行政指導が入り、固定資産税の優遇から除外されるケースもあります。その場合、最初から解体工事をしていた方が得です。
建物の状態や管理費用などと照らし合わせて、解体するかしないかを決めるのが良いでしょう。
空き家は放置せず早めに解体を
本記事では、空き家の解体費用や業者の選び方についてご紹介しました。結論、空き家は放置せずに早めに解体するのが良いでしょう。
使っていない空き家を長期間持っていると、税金や管理の手間、コストがかかってしまいます。近隣住民に迷惑をかけてしまうケースもあるため、ある程度の予算がある場合、早めに解体するのが得策です。
ただし、解体業者選びは慎重に進めることが大切です。複数の業者に見積もりを取る、許可や保険加入の有無を確認するなどして安心できる業者を選ぶようにしましょう。
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