「家屋の解体に補助金が出ると聞いたんだけど、自分ももらえるのかな?」このような方に、家屋解体の補助金に関して解説していきます。
住宅の解体費用は安くないため、補助金/助成金が出るのであれば有効に活用したいですよね。
ただし家屋解体の補助金は、全ての人が受給できるわけではない点に要注意!まずは自分が補助金をもらえる条件に当てはまっているのか、チェックすることが大切です。
この記事では補助金がどれくらい貰えるのかを、実際にある制度を挙げながら解説。お住まいの地域に制度があるかどうかの確認方法や、具体的な受け取り手順に関しても紹介していきます。
必要な書類や、やらなければいけない手続きがハッキリ分かるようになっているので、是非参考にしてみてください。
家屋解体の補助金とは?制度の目的やもらえる金額に関して
家屋解体の補助金(助成金)支給制度は、2015年に国が発足した「空き家再生等推進事業」の一環として各自治体が運営している制度です。
実際にかかった工事費用の何割かが補助金として支給されます。ただし補助金額には上限額が定められています。
補助金額は自治体ごとに大きく差があるのですが、以下の範囲に収まることが多いです。
- 解体費用の2割~7割程度
- 上限額は20万~100万
この制度の目的は以下のような危険を回避するためです。
- 犯罪の温床になる
- 倒壊の危険性がある
- 害虫の巣になるなど、衛生上の問題がある
- 町の景観が損なわれる
「お金がないから解体をせず放置する」という事態を減らすために、自治体がお金を補助しているのですね。長年使用されていない空き家は、放置することで周囲に危険が及ぶ「特定空き家」と見なされることもあります。
家屋解体補助は国の制度ではないため、各自治体で内容が異なる点が特徴です。具体的には次のような点で自治体ごとに差があります。
- 制度の名称
- 補助を受けるための条件
- 補助金額
「この地域の人は補助金をもらえるけど、他の地域の人はもらえない」ということもあるのです。
家屋解体の補助金制度の具体例!地域や補助費用を紹介
例として、家屋解体補助を行っている自治体の制度を5つ紹介します。
制度名称 | 自治体 | 費用 |
危険空家等除却補助制度 | 北海道札幌市 | 補助費用:工事費の3分の1以内
上限額:50万円 |
老朽建築物等の除却工事費用の助成 | 東京都台東区 | 補助費用:工事費の3分の1以内
上限額:50万円 |
住宅除却補助制度 | 神奈川県横浜市 | 補助費用:工事費の3分の1以内
上限額:20万円 |
老朽木造住宅除却助成 | 愛知県名古屋市 | 補助費用:工事費の3分の1以内
上限額:40万円 |
久留米市老朽危険家屋等除却促進事業補助金 | 福岡県久留米市 | 補助費用:工事費の2分の1以内
上限額:75万円 |
もちろんこれ以外の地域でも補助金制度はありますよ。
最初にチェック:家屋解体で補助金がもらえる条件とは
家屋解体の補助金をもらうためには、運営する自治体が取り決める条件を満たすことが必要不可欠です。具体的には以下の手順で、補助金の受給資格に該当するかをチェックしていきます。
- 自分の居住地域の自治体に家屋解体補助金制度があるかどうかを確認する
- 制度がある場合は、自治体が定める受給条件を自分が満たしているかどうかを確認する
それでは、上記2点を具体的に確認していきましょう。
条件①:自分の居住地域の自治体に家屋解体補助金制度がある
絶対に確認すべきなのが「そもそも自治体に、家屋解体の補助制度があるかどうか」という点。中には補助金制度がない自治体もあるのです。
「地域名 家屋解体補助制度」で検索をかけてみましょう。内容が難しくて良く分からない場合は、自治体のホームページや市役所窓口で家屋解体補助制度の有無を問い合わせてみてください。
条件②:自治体が定める受給条件を自分が満たしている
家屋解体補助制度があった場合、自治体が定める受給条件をクリアする必要があります。自治体によって様々な受給条件がありますが、代表的なものは以下の通りです。
<ほとんど全ての自治体で規定されている条件>
- 家屋解体が未着工であること
- 自治体の税金を滞納していないこと
- 制度を受ける自治体(市区町村)内に建っている空き家であること
<自治体によっては規定されている条件>
- 定められた年以前に建築された空き家であること
- 自治体で定める基準値を超えた「腐朽または破損」状態であること
- 空き家になってから規定の年数以上が経過していること
- 前年の所得が基準以下であること
- 自治体(市区町村)内の業者に解体工事を発注すること
現行の耐震基準が導入された、昭和56年法律改正の影響で「昭和56年5月末以前に建築された空き家」を対象としている自治体が多いです。
「腐朽または破損」に該当するかどうかは、自治体の現地調査によって判断されます。
家屋解体補助金の申請方法と受け取り方
家屋解体補助金を申請する方法と、受け取り方について解説します。大きな手続きの流れは以下の通りです。
- 自治体への申請受付
- 家屋解体工事
- 完了報告書の提出
- 補助金決定通知の受領と請求
ただし自治体によって、申請書の提出や決定通知のタイミングが異なる場合があります。実際の申請時には自治体の手続き方法を確認のうえ実施してください。
解体業者によっては申請のサポートをしてくれるところもあります。申請を手軽に済ませたい人、まとまった時間が取りづらい人はぜひ積極的に活用してみてくださいね。
手順1:自治体への申請受付
自治体窓口での申請開始から、受給資格の審査を受けるまでの手順を解説します。
<申請の流れ>
①自治体に事前調査を申請
②自治体による現地調査
③自治体からの結果通知受領
<ポイント>
- 申請書の様式は各自治体で異なるため、申請予定の自治体ホームページから確認します
- 現地調査から審査までは、自治体によって1ヶ月以上かかることがあります
- 「仮に補助金がなくても解体する」という場合は、先に解体業者に依頼してサポートしてもらうのもおすすめです
手順2:家屋解体工事
家屋解体業者を選定し、実際に家屋の解体を行うまでの手順を解説します。
<家屋解体工事の流れ>
①解体業者を選定し見積もりを取得
②解体業者の決定~着工(工事前後の写真撮影)
③解体完了・費用の支払い
<ポイント>
- 解体費用は業者によって様々なので、必ず複数社による比較見積もりを行いましょう
- 解体完了後には「建物滅失登記」を忘れずに行いましょう
建物滅失登記とは、建物を解体したときに必要となる登記です。解体後1ヶ月以内に実施しないと罰則があるため、早めに終わらせておくと安心です。
業者の選定には、ミツモアを利用することをおすすめします。ミツモアであれば簡単な質問事項に答えるだけで、複数の業者から見積もりを無料で取得できますよ。それぞれの費用やサポート内容などを比較検討できるため、自分にピッタリの解体業者を選べます。
中には補助金申請のサポートをしてくれるところもありますよ。補助金の申請に関して不安なことがあるなら、登記の代行や申請サポートなどが充実した業者を選ぶのがおすすめです。事前にチャットで相談もできるので、気になることを質問してみてください。
手順3:完了報告書の提出
解体工事の完了をもって、完了報告書を自治体に提出します。
<完了報告書提出の流れ>
①自治体へ完了報告書を提出
②自治体による完了報告確認
③自治体からの補助金決定通知受領
完了報告書には「解体工事の契約書」「工事費用の領収書」「工事写真」などの添付が必要です。
<ポイント>
- 完了報告には1カ月間などの期限が定められているので、速やかに手続きを行いましょう
- 自治体による完了確認は、現地調査が行われることもあります
手順4:補助金の請求と受領
自治体からの補助金決定通知を受け取ったら、いよいよ補助金を請求できるようになります。
<補助金受領までの流れ>
①自治体へ補助金請求書を提出
②自治体が指定口座へ補助金を振り込み
<ポイント>
- 請求書の審査には数週間程度かかることがあります
家屋解体の補助金:ポイントと注意点
家屋解体の補助金を受給するにあたっては、以下のポイント・注意点があります。
- 過去の補助金制度を参考にするのはNG
- 補助金は原則後払いかつ時間がかかる
- 現地調査で職員が空き家内に立ち入る可能性がある
これらについて把握したうえで手続きを開始すれば、スムーズに申請を進めることができますよ。順番に詳細を確認していきます。
注意点①:過去の制度を参考にするのはNG!締め切り日にも注意
家屋解体補助制度は年度ごとに制度内容が改定されることがあるため、自治体窓口への事前確認が必須です。締め切りが過ぎている制度も受けられないので注意してください。
自治体に問い合わせる際には、以下のポイントを質問すると良いでしょう。
- 家屋解体補助制度の有無
- 今年度の受給申請開始日と締切日
- 補助費用
- 申請にあたっての条件や注意点
注意点②:補助金は原則後払いかつ時間がかかる!工事費用の準備が必要
補助金を貰える(受給)資格を得たとしても、補助金が実際に支給されるのは「工事が完了した後」。その理由は、自治体への最終的な受給申請の際に「解体業者と交わした契約書・領収書」を添付する必要があるためです。
業者へ工事費用を支払いする際は、手持ちのお金で払い込みが必要になります。早めに資金の準備を済ませておきましょう。
また工事後の補助金の申請から受給完了までには、数ヶ月程度かかるケースが多いです。補助金を待つ期間を見越し「解体工事費用+数ヶ月先の生活資金」をあらかじめ確保しておくと安心です。
注意点③:現地調査で職員が空き家内に立ち入る可能性がある
工事後に補助金の申請をすると、自治体による現地調査が行われます。現地調査では建物の損傷具合などが詳しくチェックされますので、職員が空き家内に立ち入る可能性もあります。
現地調査に備え、事前に敷地や空き家内の片付けを済ませておきましょう。
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