建物を解体したときは、法務局に滅失登記(めっしつとうき)を申請する必要があります。
自分で申請することも可能ですが、申請の期限が決まっているため、早めに準備しましょう。
滅失登記の方法や書類のそろえ方、外注時の費用について解説します。
建物滅失登記の基本をおさらい
滅失登記はどんなときに、なぜ必要になるのでしょうか。手続きしないとどうなるのかも併せて確認しましょう。
建物滅失登記とは
滅失登記とは建物がなくなった事実を、登記簿に記録してもらう手続きのことです。
建物は所有者や用途などの建物に関する情報は、全て法務局の登記簿に記録されています。法務局にて登記簿の交付申請書を提出することで、誰でも閲覧可能です。
建物を解体するなどして実際に建物は存在しないのに、記録だけが残っているとさまざまな不都合が起こります。
滅失登記をしておけば、建物が存在しないことを公的に証明でき、不都合が起こることもありません。
滅失登記が必要になるのは、主に以下の場合です。
- 建物の全部を取り壊した
- 建物が焼失した
- 登記簿に存在しない建物が記録されている
手続きを怠った場合
滅失登記の手続きを怠ると、次のようなデメリットが生じます。
- 土地を売却したり、新しい建物を建てたりできない
- 解体した建物の「固定資産税」が請求される
- 建物の所有者が亡くなった場合、手続きが煩雑になる
- 10万円以下の過料を科される可能性がある
滅失登記しないと、書類上は建物が存在していることになるため、更地にした土地を売却することができません。建築許可が下りないので、新しい建物も建てられなくなります。
固定資産税も登記簿の情報を元に請求されるため、滅失登記しない限り請求が続くことになり、建物の所有者が亡くなった場合は、手続きに必要な書類が増えます。
そもそも滅失登記には申請義務があり、怠ると10万円以下の過料を科されることもあるのです。
自分で建物滅失登記を申請する方法
滅失登記の申請は、書類さえそろっていれば誰でもできます。自分で申請すれば、費用もほとんどかかりません。具体的な申請方法を見ていきましょう。
申請する時期
滅失登記は、建物の解体から1カ月以内に申請する必要があります。申請が遅れると不動産登記法に違反したとして、過料の対象となります。
書類の準備などに手間取ることも予想されるため、解体が決まったらできるだけ早めに準備を始めましょう。
申請の必要書類
滅失登記の申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 建物滅失登記の申請書
- 滅失した建物の登記事項証明書
- 建物滅失証明書
- 解体業者の代表者事項証明書及び印鑑証明書
- 滅失した建物の案内図
「建物滅失登記の申請書」は法務局でもらえるほか、法務局のホームページからもダウンロードできます。「登記事項証明書」は法務局の窓口で交付してもらうか、オンラインで請求しましょう。
引越しや結婚などにより、証明書に記載された所有者の住所氏名が、現在のものと異なる場合があります。よく確かめて、異なっていたら変更の経緯が分かる書類を用意しましょう。
住所の場合は住民票の写し、名前の場合は戸籍謄本や除籍謄本が必要です。「建物滅失証明書」「解体業者の代表者事項証明書・印鑑証明書」は、解体を依頼する業者に用意してもらいます。
建物の案内図は手書きでも、インターネットの地図を印刷したものでも構いません。建物の所有者が亡くなっている場合は、亡くなった人の戸籍謄本と住民票の除票が必要です。
亡くなった人の戸籍に相続人の記載がないときは、相続人の戸籍謄本も用意します。自治体によっては、実印と印鑑証明書が必要なケースもあります。事前に管轄の法務局に問い合わせておくとよいでしょう。
申請のやり方
滅失登記の申請書類は、管轄の法務局の「不動産登記申請表示係」に郵送、または持参で提出します。書類の書き方は、法務局のホームページを参考にしましょう。
ただし郵送の場合、書類に不備があると、法務局まで修正に行かなければなりません。記入内容に不安がある場合、持参してその場でチェックしてもらう方が安心です。
自分で申請するのが難しい場合は?
忙しかったり、複雑な事情があったりして自分で申請するのが難しい場合は、不動産登記の専門家に依頼しましょう。依頼先や費用相場を紹介します。
土地家屋調査士に依頼する
滅失登記の申請手続きを代行できるのは、「土地家屋調査士」です。土地家屋調査士は不動産登記の豊富な経験と専門知識を持っており、さまざまなケースに対応してくれます。
費用はかかりますが、書類の不備の心配もなく、スムーズに終わります。
依頼費用の相場も確認しよう
依頼費用の相場は、一般的な家屋の場合、約3万~5万円ほどです。建物の規模が大きいときや、権利関係が複雑で多くの書類をそろえなければならないときは、さらに高くなる傾向です。
依頼から手続き完了までの期間は1~2週間かかるため、早めに相談して見積もりを出してもらうとよいでしょう。
解体後は必ず建物滅失登記の手続きを
建物の滅失には老朽化や火災のほか、所有者が亡くなるなど、さまざまな事情があります。他の手続きに追われて、滅失登記を失念するケースもあるでしょう。
しかし新築の建物に登記が義務づけられているように、建物を解体するときも、滅失登記が必要です。
建物の解体から1カ月以内に申請が終わるよう、しっかりと準備しましょう。
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