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住宅ローンがあっても引っ越す方法4選!注意点やリスクを把握しよう

最終更新日: 2024年08月05日

転勤や介護、子供の進学・通学なの都合といった理由で住宅ローンが残っている家からの引越しを検討する人は少なくありません。

住宅ローンが残っている家から引っ越すことそのものはできますが、きちんと手続きを済ませないと残債の即時完済を求められるなどのリスクがあります。

住宅ローンがある家から引っ越す方法や必要な手続きをせずに住宅ローンのある家から引っ越すリスクを紹介します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

住宅ローンがある家から引っ越す方法

住宅ローンがある家から引っ越すには以下4つの方法があります。

いずれの方法で引っ越す場合も、引っ越す前に必ず住宅ローンを借りている金融機関に連絡・相談を入れましょう

金融機関に黙って引っ越すことには3つのリスクがあります。詳細は「住宅ローンがある家から引っ越すリスク」をご覧ください。

売却益でローンを完済して引っ越す

売却益が住宅ローンの残債を上回るのであれば、住宅ローンを完済して引っ越しましょう。この方法であれば住宅ローンを完済しているので、後々トラブルに巻き込まれることもありません。

売却益が残債を下回る場合であっても、貯金など自己資金で完済できるのであれば完済してから引っ越すことをおすすめします。

もし住宅ローンの返済が滞っているのであれば、任意売却を申し出て少しでも多く返済できるようにしましょう。競売になってしまうと相場の半分~7割ほどの金額で取引されることが多いので、残債が増えてしまいます。

任意売却について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。

新たに住宅ローンを組んで引っ越す

売却益だけでは旧居のローンを完済できない場合は新たに住宅ローンを組んで引っ越すこともできます。このケースはで住み替えローンかダブルローンのどちらかの方法を利用します。

住み替えローンとダブルローンの特徴や注意点は以下の表をご覧ください。

ローンの名称 特徴 注意点
住み替えローン
  • 新居と旧居のローンをまとめられる
  • 返済計画が立てやすくなる
  • 旧居のローンを借り入れている金融機関でないと一本化できない
  • 借入時の審査が厳しい傾向がある
  • 住み替えのスケジュール調整が難しい
ダブルローン
  • 旧居を売らないので仮住まいを用意する必要がない
  • 焦って新居を決める必要がない
  • 2つのローンを組むため返済負担が大きい
  • 借入額が高額になるため審査が厳しい

どちらの方法で住み替えるにしても、借り入れ額が高額になることから審査が厳しくなることが多いです。一定以上の収入だけでなく、継続して返済を続けられるかといった観点からも審査が行われるので、誰でもできる方法ではありません。

家を保持したまま引っ越す

家を一時的に離れるだけなのであれば、家を売らずに引っ越しても良いでしょう。引越し後も住宅ローンを払い続けるだけの金銭的余裕があれば問題なく行える手段です。

ただし一家揃って家から引っ越してしまう場合は住宅ローン控除の適用が外れてしまう点にご注意ください。単身赴任、家族帯同の引越しのどちらであっても、ローンを借り入れている金融機関に住所変更申請をしましょう。

誰もいない家は放火や空き巣などの犯罪被害に遭うことがあるので、防犯面にはよく気をつける必要があります。また住む人がいないと家はすぐに傷んでしまうため、必要があれば空き家管理サービスを利用するなど劣化を抑える工夫をしましょう。

金融機関から許可を得て賃貸物件にして引っ越す

介護や転勤など、やむをえない理由があると判断された場合は、一時的に賃貸物件にできます。これをリロケーションといいます。

リロケーションを行うときは、契約期間が満了したら借主が必ず退去するよう要請できる「定期賃貸借契約」を結びます。

ただし家を離れる理由が、やむをえない理由ではないと判断されてしまうと、住宅ローンではなく不動産投資ローンに切替になり、金利が高くなってしまいます。この場合は家賃収入を得られても問題なく返済できるか不透明になるので、事前に資金計画をよく考えておきましょう。

住宅ローンがある家から引っ越すときにやること

住宅ローンのある家から引っ越すときは4つやることがあります。

住宅ローンの残債を確認する

まずは住宅ローンがいくら残っているかを確認します。住宅ローン残債の総額だけでなく、元金と利子がいくらかもチェックしておく必要があります。

住宅ローンの残債はローンを借り入れている金融機関に問い合わせるほかに、アプリやウェブサイトから確認できます。金融機関によってどの方法で確認できるか異なるのでご注意ください。

住宅ローンを借りている金融機関に相談する

住宅ローンの残債が確認できたら、ローンを組んでいる金融機関に相談をしましょう。売却方法や賃貸物件への移行の可否、返済プランなどについて疑問点を解消するチャンスです。

自分の希望をあらかじめ紙に書いてまとめておくと、聞きたかったことを聞き逃すことがなくなり、相談がスムーズに進みます。

コールセンターや店舗窓口で相談を受け付けているので、金融機関の公式サイトなどを確認しましょう。

住宅ローンの返済計画を立てる

金融機関から売却の許可が下りたら物件の査定を受けましょう。まずは机上査定(簡易査定)を複数社から受けて、平均額を出します。

査定額がそのまま売却額になることはないので、まずはおおよその価値を把握します。査定額をもとに、ゆとりをもって返済計画を立てましょう。

最大5社からの机上査定をチェックする

売り先行・買い先行のどちらで進めるか決める

居住中の物件を売却するときには、旧居が売れてから新居を購入する「売り先行」と先に新居を購入する「買い先行」の2種類の進め方があります。

売り方 メリット デメリット
売り先行
  • 資金計画に狂いが生じにくい
  • 納得できる相手に売却できる
  • 内覧対応など手間がかかる
  • 売却できるまで新居を探せない
買い先行
  • 引越しが1度で済む
  • 空き家状態で売却活動ができる
  • 二重ローンになる可能性がある

どちらの進め方にもメリットとデメリットがあるので、どちらかの方法が優れているわけではありません。自身のスケジュールなどを鑑みて、適した方法を選びましょう。

しかしながら特別な事情がない限り、売り買い同時で進めることが多いです。売り買い同時進行で住み替えを進めると、スケジュール調整の難易度が高くなりがちです。

事前に売り買い同時進行で住み替えるときの注意点を確認しておき、シミュレーションをしておくことをおすすめします。

住宅ローンがある家から引っ越すリスク

住宅ローンがある家から引っ越すことには、大きく分けると以下3つのリスクがあります。
金銭的に大きな負担が発生することもあるので、必ず確認するようにしましょう。

1.残債の即時完済を求められる

定めれられた手続きを取らないまま住宅ローンのある家から引っ越してしまうと、残債の即時完済を求められるケースがあります。

居住の実績がなかったり、住宅ではなく事業用の事務所等としての利用が主だったりすると、個人が住むための住宅ではないと判断されてしまいます。

契約者本人とその家族が住むために購入した家のみが住宅ローンの対象なので注意してください。

2.賃貸にすると不動産投資ローンの利率が適用される

期間の定めがある転勤の間だけ住宅ローンがある家を賃貸物件にすれば管理の手間も省けるうえに家賃収入が得られると考えるかもしれません。

しかし住宅ローンの金利はあくまで契約者やその家族が居住するときにのみ適用されるものなので、もし賃貸物件として運用するのであれば不動産投資ローンの金利が適用されます

不動産投資ローンは住宅ローンに比べると金利が高いので、利子がかさんでしまいローン返済計画が滞る可能性が高いです。

住宅ローンと不動産投資ローンの金利の違いについて、フラット35とオリックス銀行を例に出します。

住宅ローン(フラット35) 不動産投資ローン(オリックス銀行)
金利の範囲 1.850~3.410% 2.700~3.700%

上記表は2024年8月1日現在の情報をもとに作成しています。借入時の金利は毎月見直されるので、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

3.法律に違反する可能性がある

住宅ローンのある家から引っ越すことをローンを借り入れている金融機関に伝えずに引っ越してしまうと法律に違反するリスクがあります。

たとえば要件を満たさないにも関わらず住宅ローン控除を受け続けてしまうと脱税になります

他にも申し込み時に実態と異なる説明をして住宅ローンを借りてしまい、詐欺罪に問われる事件も発生しています。住宅ローンを適切に利用できるよう、契約書に記載されている説明や注意事項はきちんと確認しましょう。

引っ越したら住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローンを組むと最大で13年間所得税などが控除される「住宅借入金特別控除」の対象になります。一般的には住宅ローン控除や住宅ローン減税と呼ばれることが多いです。

住宅借入金特別控除では、年末時点での住宅ローン残債の0.7%が所得税などから控除されます。

納税額にもよるものの、数十万円の還付を受けられることがあるので、引っ越すことでこれらの控除が受けられなくなるのではと不安に思う人は少なくありません。

引越し後の住宅ローン控除の適用について解説します。

今の家の控除は原則として受けられなくなる

住宅借入金特別控除を適用するには、借入者本人が該当の物件に住んでいなければなりません

引っ越してしまうと借入者はその物件に住まなくなるので、控除の対象外となります。

また一時的に賃貸物件にした場合も同様で控除そのものはストップします。

控除の適用期間に再度住み始めた場合は控除が再開されますが、一時的に賃貸に出していた期間も控除の適用期間内に入り、延長はされないのでご注意ください。

単身赴任の引越しであれば引き続き控除の対象になる

住宅ローンの契約者が引っ越しても住宅ローン控除を引き続き受けられることがあります。たとえば契約者が単身赴任で引っ越し、家族はローンがある家に残っているのならこの場合は控除が適用されます。

控除が適用されるかどうかの大まかな目安は、契約者かその家族が住んでいるか否かです。

紹介した控除が適用されるかどうかの目安はあくまで目安で、金融機関によっては異なる運用をしている可能性があります。詳細については住宅ローンを借り入れている金融機関に必ず確認しましょう。

適用要件が複雑なので税務署への確認を忘れずにしよう

住宅借入金特別控除の適用条件は複雑なので、素人が「こうだ」と思い込んでしまうのは大きな損をする原因になります。

税務署へ問い合わせる、国税庁ホームページのチャットボットを活用するなど、正しい情報を得られるように情報収集を怠らないようにしましょう。

住宅ローンがあって引っ越したいときは金融機関へ相談しよう

住宅ローンがある家から引っ越すことそのものは可能ですが、必ず金融機関に相談してからにしましょう。無断で引っ越したり賃貸物件にしたりすると、ローンの一括返済を求められるなど金銭的に大きな負担がかかる可能性があります。

もし家を売却するなら、できるだけ高額で売ってローンの残債を少しでも減らすことが大切です。住居を高値で売却するには不動産業者の選定が重要です。

まずは複数の業者から簡易査定を受けましょう。査定額の根拠を分かりやすく説明してくれたり、対応が丁寧だったりする業者に訪問査定を受けて、媒介契約を結ぶことが一般的です。

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