テレビの映りが悪くなって困っていることありませんか。主な原因は強風でアンテナの向きがずれてしまい、電波を受信しづらくなった可能性があります。


アンテナの向きは自分で調整できますが、種類によって異なり、改善しないときは業者への依頼が必要です。
地デジやBS/CSアンテナの正しい向きについて、自分で方角を調べる手順や調整する方法、業者に依頼すべきケースを含めて確認しましょう。
地デジアンテナの向きを自分で調整する5つの方法
地デジアンテナの向きがずれてしまった場合、最寄りの電波塔がある方向に向けましょう。ただし電波塔の位置は目視では確認できないため、A-PABのサイトや専用のスマホアプリなどで方角を調べた後、道具を使ってアンテナの向きを調整します。
具体的な手順は、下記のとおりです。
1.A-PABのサイトで自宅近くの電波塔を調べる
自宅から近い電波の発信所が分からない場合は、「A-PUB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)」公式サイトで自宅近くの電波塔を調べましょう。住んでいる地域の基幹局や中継局の位置と電波の強弱が地図上に色分けされて表示されます。
総務省認可の公式サービスで使い方は以下のとおりです。
- A-PABの公式サイトにアクセスして「地デジ放送エリアのめやす」を選択
- 郵便番号や住所の入力、または都道府県名を選択
- 地図上に電波塔の位置と電波の強弱が色分けされて表示される
緑色は電波が強く、黄色は中程度、赤色は弱電界地域を示しています。自宅がどの色のエリアに該当するかで、必要なアンテナの性能も判断できるでしょう。
全国各地の主要な地デジ放送基地局やカバーエリアは、以下のとおりです。
| 主要基幹局名 | 送信場所 | カバーエリア |
|---|---|---|
| 札幌局 | 札幌市手稲区 | 石狩・空知・胆振・日高地方の一部 |
| 仙台局 | 仙台市太白区 | 宮城県、福島県浜通り(一部地域を除く) |
| 東京スカイツリー | 東京都墨田区 | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県(一部地域を除く) |
| 名古屋局 | 愛知県瀬戸市 | 愛知県、岐阜県、三重県(一部地域を除く) |
| 大阪局 | 大阪府東大阪市 | 大阪府、奈良県、京都府、兵庫県(一部地域を除く) |
| 広島局 | 広島市安芸区 | 広島市を含む広島県西部・中部、山口県東部(一部地域を除く) |
| 福岡局 | 福岡市早良区 | 福岡市を含む福岡県北部・中部(一部地域を除く) |
※主要局のみ掲載。詳細な中継局の情報はA-PAB公式サイトで確認できます。
加えて複数の電波塔から受信できる場合、それぞれの電波塔で受信可能なチャンネル一覧も表示されます。特定のチャンネルだけ映りが悪い場合は、別の電波塔からの受信も検討しましょう。
2.スマホアプリで正確な方角を特定する
スマートフォンのGPS機能やコンパス機能を活用した専用アプリの使用も選択肢のひとつです。より手軽に電波塔の方角を割り出すことができ、現在地から最寄りの電波塔がどの方角にあるかを自動で計算し、画面上に表示します。
主なスマホアプリは、下記のとおりです。
【Android向け】地デジアンテナ調整アプリ
「地デジアンテナ調整」は、現在地から最も近い電波塔をリスト表示し、選択した電波塔の方向を矢印やAR(拡張現実)機能で示してもらえるアプリです。利用料金は基本的に無料で、起動した後、表示されたリストから受信したい中継局を選ぶと、スマートフォンを水平に持つだけで画面上の矢印が電波塔のある方向に表示されます。
使用時は金属や電子機器から離れた場所で測定しましょう。あわせて建物内では磁気の影響を受けやすいため、できれば屋外の開けた場所で確認することをおすすめします。
【iPhone向け】A-PABとコンパスアプリの併用

- SafariなどのブラウザでA-PABのサイトを開き、受信すべき電波塔の名称と位置を把握する
- Googleマップなどの地図アプリで、自宅からその電波塔までの直線的な方角を確認する
- iPhoneの「コンパスアプリ」を使い、地図アプリで確認した方角を正確に割り出す
手間がかかりますが、iPhoneでも正確な方角を特定できるでしょう。
3.テレビの受信レベルを使ってアンテナの向きを確認する
アンテナの向きを調整する作業の前に、テレビの機能を使って電波の受信状況を確認しましょう。受信レベルを数値でチェックできる機能が搭載されています。
テレビのリモコンによる確認方法はメーカーによって異なり、具体的な操作方法は下記のとおりです。
| メーカー | アンテナレベルの確認方法 |
|---|---|
| シャープ (AQUOS) | 「メニュー」→「デジタル設定」→「デジタルメニューへ」→「システム設定」→「アンテナ設定」→「電源・受信強度表示」 |
| パナソニック (VIERA) | 「メニュー」→「設定する」→「放送設定」→「放送受信設定」→「アンテナレベル」 |
| ソニー (BRAVIA) | 「ホーム」→「設定」または「設定/その他」→「詳細設定」→「放送受信設定」→「地上放送アンテナレベル」または「BS/CSアンテナレベル」 |
| 東芝 (REGZA) 地デジ | 「設定」→「放送受信設定」→「地上デジタル設定」→「地上デジタルアンテナ設定」 |
※テレビ本体によってリモコンによるアンテナレベルの確認方法は異なります。
「アンテナ設定」や「アンテナレベル」を選択したら、項目から「受信レベル」を選びましょう。画面には0〜100の数値が表示され、一般的に50以上で視聴可能、60以上で安定受信となります。
4.アンテナの向きの調整に必要な道具を用意する
スマホアプリで地デジ放送の電波を発信する電波塔の正確な位置を確認したり、テレビを使ってアンテナの受信レベルを確認したら、下記の道具を用意しましょう。
| 必要な道具 | 用途・選び方のポイント |
|---|---|
| スパナ・レンチ(10mm、13mm) | アンテナ固定ボルト用。サイズを事前確認 |
| プラスドライバー | 端子接続部の確認・調整用 |
| 軍手(滑り止め付き)・ヘルメット | 安全作業の必須アイテム |
| 脚立・梯子・安全帯(命綱) | 安定性の高いものを選択 |
| スマートフォン・トランシーバー | 方位確認と連絡用 |
| 防水テープ | 接続部の防水処理用 |
道具の用意とあわせて天気予報を確認し、風速5m/s以下の穏やかな日を選ぶことが安全作業の第一条件です。
5.地デジアンテナの向きを調整する
準備が整い、アンテナレベルの確認方法もわかったら、アンテナ本体の向きを調整しましょう。自宅に設置しているアンテナの種類によって、調整方法が異なり、具体的には以下のとおりです。
八木式アンテナの向きを調整する方法
八木式アンテナは最も一般的なタイプで、素子(横棒)の先端を電波塔に向けることが基本です。調整は以下の手順で行います。
- アンテナを支柱に固定しているUボルトを、レンチで少しだけ緩める
- アンテナの先端(短い棒が複数ある側)を電波塔の方向に向ける
- そこから左右に1度ずつ、ゆっくりと動かす
- 1度動かしたら5秒待ち、受信レベルの数値がテレビ側で更新されるのを待つ
- レベルの数値が最も高い「ピーク」の角度を見つける
- ピークを通り過ぎたら少し戻すなど、微調整を繰り返して最適な一点を探る
- 最適な位置が見つかったら、アンテナが動かないようにしっかり押さえる
- Uボルトを均等に、そして固く締め直す
アンテナの向きを調整している間は、協力者にテレビの受信レベルを常時確認してもらい、数値が最も高くなる位置を探しましょう。
デザインアンテナの向きを調整する方法
壁面やベランダなどに設置されている「デザインアンテナ」は、受信面を電波塔に正対させることが大切です。八木式アンテナよりも受信感度が低いため、以下の方法で向きを調整しましょう。
- 壁面などに取り付けられている固定金具のボルトを、アンテナが動かせる程度に緩める
- アンテナの正面を電波塔の方向に向け、そこから左右にゆっくり動かす
- レベルが最大になる角度を探す
アンテナの向きを微調整した後、壁面から少し離して設置すると建物による電波の遮蔽を軽減できる場合もあります。
室内アンテナの向きを調整する方法
室内アンテナは、向きの調整よりも設置する場所が重要です。電波は壁や家具などの障害物で大きく減衰してしまうため、最適な受信場所を探しましょう。
一般的に最適な場所は、下記のとおりです。
- 電波塔のある方角の「窓際」
- 家具などの障害物がない「できるだけ高い場所」
- テレビや電子レンジなどの「家電製品から離れた場所」
室内アンテナを設置する際、棚の上といったできるだけ高い位置に設置すると受信状態が改善します。加えてテレビやパソコンなどの電子機器から1m以上離すことで、ノイズの影響を軽減できるでしょう。
BS/CSアンテナの向きを自分で調整する方法
BS/CSアンテナは、赤道上空に浮かぶ放送衛星からの電波を受信します。地デジとは異なり、全国共通でアンテナの向きは基本的に「南西」ですが、地域によって仰角(見上げる角度)が異なるため、正確な調整が必要です。
BS/CSアンテナの向きを具体的に調整する方法は、下記のとおりです。
1.スマホアプリで衛星の正確な方角と仰角(上下の角度)を確認する

BS/CSアンテナの向きは専用のスマホアプリを使用すると、仰角と方位角を1度単位で正確に確認できます。GPS機能でお住まいの地域の正確な「方位角」と「仰角」を算出でき、画面の指示に従うだけで迷うことなく方角を特定できるでしょう。
たとえば「BSコンパス」ではGPS機能で現在地を特定すると、その場所での正確な仰角(東京約38度、大阪約40度)と方位角(約220度)が自動的に表示されます。AR機能で実際の空に衛星の位置を表示できるため、障害物の有無も同時に確認できるでしょう。
主要都市の仰角と方位角の目安は、以下のとおりです。
| 地域 | 仰角の目安 | 方位角の目安 | 調整の難易度 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 31度 | 224度(南南西) | やや難しい |
| 東京 | 38度 | 220度(南南西) | 標準 |
| 大阪 | 40度 | 222度(南南西) | 標準 |
| 福岡 | 43度 | 218度(南南西) | 比較的簡単 |
| 那覇 | 49度 | 214度(南南西) | 簡単 |
BS/CSの電波は直進性が強く、わずかな障害物でも受信できなくなるため、南南西の方向に建物や樹木がないか必ず確認することが大切です。
2.BS/CSアンテナの向きを調整して最適なところで固定する
南南西の方向を確認できたら、BS/CSアンテナの向きを調整し、受信レベルが60以上になったところで固定します。具体的な手順は、下記のとおりです。
- アンテナの側面にある目盛りを、地域の仰角に合わせて固定する
- アンテナ全体を左右に「1ミリ動かしては5秒待つ」くらいのイメージで、ゆっくりと動かす
- レベルの数値が0から少しでも反応したら、さらに慎重に動かす
- 数値が最大50~60以上になるポイントを探しながらベストポジションを見つける
- アンテナが動かないよう慎重に仰角固定ボルトと方位角固定ボルトを締めて固定する
- 室内のテレビをつけてアンテナレベルが最高の状態を維持できているかを確認する
- 屋外のケーブルの接続部分に雨水が入らないように自己融着テープ(防水テープ)を巻き付ける
少しでも難しいと感じたら無理をせず、専門業者に作業を依頼しましょう。
アンテナの向きを調整しても改善しないときの解決策4選
アンテナの向きを正しく調整したにもかかわらず、テレビの映りが改善しない場合、以下の解決策を行うようにしましょう。
| 解決策 | アンテナの向き以外の要因 |
|---|---|
| 新しいアンテナケーブルと交換する | アンテナケーブルが劣化・断線している |
| ブースターの設置・交換をする | ブースターが設置していない・故障している |
| 分配器を交換する | 分配器の故障や接続部分の不具合 |
| アンテナの移設・交換をする | アンテナ本体の経年劣化や故障 |
1.新しいアンテナケーブルと交換する
アンテナケーブルは経年劣化による性能の低下が原因で映りが悪くなることがあります。特に屋外部分は紫外線や雨風の影響を受けやすいため、使用から10年以上経過していたら、以下のポイントを確認しましょう。
- ケーブルにひび割れや傷、変色がないか
- 接続部分のプラグが緩んだり錆びたりしていないか
該当する場合は、「5C-2V」や「5C-FB」など、より太くて4K放送に対応した高性能なケーブルと交換しましょう。太いケーブルほど信号の減衰が少なく、安定して電波を受信できます。
2.ブースターの設置・交換をする
電波の弱い地域や複数のテレビに分配している場合、ブースター(増幅器)の設置が必要です。既に設置されている場合でも、経年劣化により性能が低下している可能性があるので、
ブースターの電源ランプが正常に点灯しているか確認しましょう。
もしブースターがない場合は、新設を検討します。あわせてブースターのランプが点滅している場合は、故障している可能性があるため、最新のタイプに交換しましょう。
3.分配器を交換する
複数のテレビを使用している家庭では、分配器の劣化や接続不良が原因となることがあります。装置自体が故障したり、接続部分が緩んだりすると、特定の部屋だけ映りが悪くなることがあるので、以下のポイントを確認しましょう。
- 分配器を外して、アンテナケーブルを直接テレビに接続して映りが改善できるか
- F型コネクタの接続部分が曲がっていたり、接触不良を起こしていないか
上記の作業で不具合が確認できたら、分配器を交換するか、F型コネクタの接続部分の緩みを締め直しましょう。
4.アンテナの移設・交換をする
地デジ、またはBS/CSアンテナ本体は一般的に10〜15年で交換時期を迎えます。雨風や積雪などの影響で経年劣化をするため、下記を踏まえて異常がないか目視で確認しましょう。
- アンテナの素子(骨のような部分)が折れたり曲がったりしていないか
- 本体に錆や腐食が進んでいないか
明らかな破損や劣化が見られる場合は、アンテナ本体の交換が必要です。高所にアンテナを設置している場合は、自分で作業しようとすると危険を伴うため、専門業者に交換を依頼しましょう。
加えて自宅や電波塔周辺に高い建物や樹木があると、電波が遮られてしまうケースがあります。確認できた場合は、高い位置へのアンテナの移設や、八木式をはじめとした指向性の高いアンテナの交換が必要です。
アンテナの向きを業者に依頼すべき判断基準
アンテナの向きを自分で調整するかどうかは、安全性と確実性を最優先に判断することが大切です。下記のポイントを含め、一通りチェックや調整を試みても改善しない場合や、作業が難しいときは、無理をせず専門業者に相談しましょう。
- 屋根の上など、2階以上の高さでの作業が必要な場合
- BS/CSアンテナの精密な調整がうまくいかない
- アンテナ本体やブースターなどの機器が故障している疑いがある
- 原因がどこにあるのか、自分では全く見当がつかない
- 平日の日中に作業する時間がなく、迅速に解決したい
アンテナの向き調整を含めた修理費用をシミュレーション
アンテナの向き調整を含め、専門業者に修理を依頼する際に気になるのが費用相場です。修理にかかる費用は、原因や作業内容によって大きく変動します。
下記の料金シミュレーションでは、アンテナの種類と設置場所、現在のテレビやアンテナの状況について選択すると、必要な修理作業と費用の概算がわかるので確認してみましょう。
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